JP6032474B2 - 非水電解質二次電池およびその製造方法 - Google Patents

非水電解質二次電池およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、非晶質コート天然黒鉛を負極活物質とし、負極活物質表面にLiBOB由来の皮膜を有する非水電解質二次電池およびその製造方法に関する。
従来、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池においては、正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極、および正極と負極との間に介在されるセパレータを積層して電極体を構成し、前記電極体を電解液とともにケースに封入することにより構成されるものがある。
前記電解液としては、例えば、電解質である「LiPF6」等のリチウム塩を、「EC(エチレンカーボネート)」や「DMC(ジメチルカーボネート)」や「EMC(エチルメチルカーボネート)」等の有機溶媒に溶解させたものが用いられている。
前述の非水電解質二次電池においては、負極活物質と電解質との反応を抑制するために、製造時に電解液中にLiBOB(リチウムビス(オキサラト)ボレート)を添加することが行われている。
LiBOBは、非水電解質二次電池の初期充電時に分解して負極活物質上にSEI膜(Solid Electrolyte Interphase膜)を形成するものである。しかし、電解液にLiBOBを添加した場合に形成されるSEI膜は、充放電を繰り返した場合の皮膜厚みの成長が遅いため、SEI膜の過剰な成長が抑制されて、負極抵抗の過剰な上昇を抑えることが可能となる。
また、電解液に添加されたLiBOBによって負極活物質上にSEI膜が形成されることにより、負極活物質の反応面積が減少することが知られている。
電解液にLiBOBを添加した非水電解質二次電池としては、例えば特許文献1に記載されるリチウムイオン二次電池がある。
ここで、非水電解質二次電池は、高温環境下にて充放電を行うと発熱が生じて電池性能が劣化する可能性があるが、発熱の原因としては、電流が流れることによるジュール熱の発生、および発生したジュール熱により負極活物質等の負極材料が発熱すること等が挙げられる。このジュール熱の発生は非水電解質二次電池の電池抵抗に比例し、負極材料の発熱は前記負極材料の反応面積に比例する。
従って、前記電池抵抗および負極材料の反応面積を適切に設定することにより、非水電解質二次電池の発熱を抑えることが可能になると考えられる。
特開2005−032712号公報
前述の特許文献1には、電解液にLiBOBを添加して構成した非水電解質二次電池が記載されているが、LiBOBの添加量は、電解液中の濃度のみにより規定されている。
しかし、LiBOBの添加量を電解液中の濃度のみにより規定した場合、LiBOBとLiBOBにより皮膜が形成される負極活物質の特性との関係が不明であるため、負極活物質の種類や特性によっては、LiBOBを添加することによる効果が十分に発現しないおそれがある。
つまり、添加するLiBOBの電解液中の濃度を規定するだけでは、必ずしも非水電解質二次電池の発熱を抑えることができるものではない。
そこで、本発明においては、LiBOBを添加した電解液を用いて構成される非水電解質二次電池において、高温環境下での充放電に伴う発熱を抑えることができる非水電解質二次電池およびその製造方法を提供するものである。
上記課題を解決する非水電解質二次電池およびその製造方法は、以下の特徴を有する。
即ち、請求項1記載の如く、LiBOBが添加された電解液と、表面が非晶質炭素にてコートされた天然黒鉛にて構成される負極活物質を含み、前記負極活物質の表面にLiBOB由来の皮膜が形成された負極とを備える非水電解質二次電池であって、前記負極のキャパシタンスが1.00〜2.00Fであり、前記電解液に対するLiBOBの添加量X(mol/l)と前記負極のキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が、当該X/Yの値を小数点以下第3位の値を四捨五入して小数点以下第2位までの値で表したときに0.01以上かつ0.1以下である。
また、請求項2記載の如く、LiBOBが添加された電解液と、表面が非晶質炭素にてコートされた天然黒鉛にて構成される負極活物質を含み、前記負極活物質の表面にLiBOB由来の皮膜が形成された負極とを備える非水電解質二次電池の製造方法であって、1.00〜2.00Fのキャパシタンスを有する前記負極を用いて、前記電解液に対するLiBOBの添加量X(mol/l)と前記負極のキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が、当該X/Yの値を小数点以下第3位の値を四捨五入して小数点以下第2位までの値で表したときに0.01以上かつ0.1以下となるように、前記LiBOBの添加量X(mol/l)と前記負極のキャパシタンスY(F)とを調製する。
本発明によれば、高温環境下で非水電解質二次電池に対して充放電を繰り返し行った際の、非水電解質二次電池の発熱を抑えることが可能となる。
リチウムイオン二次電池を示す側面図である。 LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)と、高温環境下での充放電サイクル試験後のリチウムイオン二次電池の温度との関係を示す図である。 LiBOBの添加量X(mol/l)およびキャパシタンスY(F)の値による、高温環境下での充放電サイクル試験後のリチウムイオン二次電池の発熱度合いの違いを示す図である。
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
図1に示す、本実施形態に係る非水電解質二次電池であるリチウムイオン二次電池1は、一面(上面)が開口した有底角筒形状のケース本体21と、平板状に形成されケース本体21の開口部を閉塞する蓋体22とで構成される電池ケース2に、電解液とともに電極体3を収容して構成されている。
電池ケース2は、一面(上面)が開口した直方体状の有底角筒形状に形成されるケース本体21の開口部を、平板状の蓋体22にて閉塞した角型ケースに構成されている。
蓋体22の長手方向一端部(図1における左端部)には正極端子4aが設けられ、蓋体22の長手方向他端部(図1における右端部)には負極端子4bが設けられている。
電極体3は、正極31、負極32、およびセパレータを、正極31と負極32との間にセパレータが介在するように積層し、積層した正極31、負極32、およびセパレータを巻回して扁平させることにより構成されている。
電池ケース2に電極体3および電解液を収容して二次電池1を構成する際には、まず電極体3の正極31および負極32に、それぞれ蓋体22の正極端子4aおよび負極端子4bを接続して、電極体3を蓋体22に組み付けて、蓋体サブアッシーを形成する。
その後、電極体3および電解液をケース本体21内に収容するとともに、ケース本体21の開口部に蓋体22を嵌合して、蓋体22とケース本体21とを溶接により密封することにより、二次電池1を構成する。
正極31は、正極活物質、導電材、および結着材等の電極材料を溶媒とともに混練して得られた正極合材ペーストを、箔状に形成される正極集電体の表面(片面又は両面)に塗布するとともに乾燥・加圧して構成されている。このように構成される正極31は、正極集電体の表面に正極合材層が形成されている。
正極活物質としては、三元系活物質である「Li(Ni、Mn、Co)O2系活物質」や、「リン酸鉄リチウム(LiFeO2)」などを用いることができる。
同様に、負極32は、負極活物質や増粘剤や結着材等の電極材料を混練して得られた負極合材ペーストを、箔状に形成される負極集電体の表面(片面又は両面)に塗布するとともに乾燥・加圧して構成されている。このように構成される負極32は、負極集電体の表面に負極合材層が形成されている。
負極活物質としては、天然黒鉛系活物質を用いることができる。本実施形態では、前記天然黒鉛系活物質として、表面が非晶質炭素にてコートされた天然黒鉛を用いている。なお、表面が非晶質炭素にてコートされた天然黒鉛は、例えば天然黒鉛の表面を、石油残渣を原料とするピッチにて覆い、約1000℃に加熱することにより得ることができる。
前記負極活物質を有する負極32は、所定のキャパシタンス(静電容量)を有している。負極32のキャパシタンスは、負極32の反応面積を示す指標となるものであり、負極32のキャパシタンスを増加させると負極32のLiの受け入れ性を向上することができる。つまり、負極32のキャパシタンスは、負極活物質の反応面積に対して高い相関性を有している。
負極32のキャパシタンスは、例えば、以下のように求めることができる。
つまり、負極32を模したサンプルピースとなる、負極集電体の一面に負極合材層を形成した一対のサンプルピースを、所定の距離だけ離間した状態で、互いの負極合材層が対向するように配置するとともに、前記サンプルピース間にリチウムイオン二次電池1の電解液を充填した状態で、前記サンプルピース間のインピーダンスを測定し、測定したインピーダンスよりコールコールプロットを用いてキャパシタンスを算出することができる。
セパレータは、例えば多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されるシート状部材であり、正極31と負極32との間に配置される。
電池ケース2に電極体3とともに収容される前記電解液としては、例えば、電解質である「LiPF6」等のリチウム塩を、「EC(エチレンカーボネート)」や「DMC(ジメチルカーボネート)」や「EMC(エチルメチルカーボネート)」等の有機溶媒に溶解させたものを用いている。
また、前記電解液には、LiBOB(リチウムビス(オキサラト)ボレート)を添加している。LiBOBの電解液に対する添加量は、LiBOBの電解液に対する濃度が所定の濃度となるように設定されている。
LiBOBは、リチウムイオン二次電池1の初期充電時に分解して負極活物質上にSEI膜(Solid Electrolyte Interphase膜)を形成するものである。即ち、前記電解液にLiBOBを添加することにより、前記負極活物質の表面には、LiBOBに由来する皮膜であるSEI膜が形成されることとなる。
LiBOBに由来するSEI膜は、充放電を繰り返した場合の皮膜厚みの成長が遅いため、SEI膜の過剰な成長が抑制されて、負極抵抗の過剰な上昇を抑えることが可能となっている。
また、電解液に添加されたLiBOBによって負極活物質上にSEI膜が形成されることにより、負極活物質の反応面積が減少することとなる。
さらに、LiBOBによって形成されるSEI膜の膜厚は、LiBOBの電解液への添加量に応じて増加し、LiBOBによって形成されたSEI膜の膜厚の増加に比例して、リチウムイオン二次電池1の電池抵抗が上昇する。
ここで、リチウムイオン二次電池1においては、高温環境下にて充放電を行うと発熱が生じて電池性能が劣化する可能性がある。この発熱の原因としては、電流が流れることによるジュール熱の発生、および発生したジュール熱により負極活物質等の負極材料が発熱すること等が挙げられる。
前記ジュール熱の発生はリチウムイオン二次電池1の電池抵抗に比例し、負極活物質の発熱は負極活物質の反応面積に比例する。
従って、本実施形態のリチウムイオン二次電池1においては、負極活物質の反応面積に比例する負極活物質のキャパシタンスと、リチウムイオン二次電池1の電池抵抗に比例するLiBOBの電解液への添加量とが、以下の関係を有するように、負極活物質のキャパシタンスおよびLiBOBの電解液への添加量を設定して、高温環境下にて充放電を行った際のリチウムイオン二次電池1の発熱を抑えるようにしている。
すなわち、リチウムイオン二次電池1においては、電解液に対するLiBOBの添加量X(mol/l)と負極32のキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が、0.01以上かつ0.1以下となるように、電解液に対するLiBOBの添加量X(mol/l)と負極32のキャパシタンスY(F)とを調製している。
これにより、高温環境下にて充放電を行った際のリチウムイオン二次電池1の発熱を抑えることが可能となっている。
次に、リチウムイオン二次電池1に対して、高温環境下にて充放電サイクル試験を行った際の、電解液に対するLiBOBの添加量X(mol/l)と負極32のキャパシタンスY(F)との比(X/Y)と、リチウムイオン二次電池1の温度との関係について説明する。
高温環境下での充放電サイクル試験は、リチウムイオン二次電池1の実施例1〜5、および比較例1〜4に対して行った。
高温環境下での充放電サイクル試験の試験条件としては、80℃での環境下にて、開始電圧3.82V、電流50A、2sec矩形波での充放電を2000サイクル行ったものである。
実施例1は、負極32のキャパシタンスYが1.00(F)であり、電解液へのLiBOBの添加量Xが0.005(mol/l)であって、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が0.01であるリチウムイオン二次電池1である。
なお、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)の値は、小数点以下第3位の値を四捨五入して、小数点以下第2位までの値で表したものである。
実施例2は、負極32のキャパシタンスYが1.00(F)であり、電解液へのLiBOBの添加量Xが0.10(mol/l)であって、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が0.10であるリチウムイオン二次電池1である。
実施例3は、負極32のキャパシタンスYが1.30(F)であり、電解液へのLiBOBの添加量Xが0.05(mol/l)であって、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が0.04であるリチウムイオン二次電池1である。
なお、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)の値は、小数点以下第3位の値を四捨五入して、小数点以下第2位までの値で表したものである。
実施例4は、負極32のキャパシタンスYが2.00(F)であり、電解液へのLiBOBの添加量Xが0.20(mol/l)であって、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が0.10であるリチウムイオン二次電池1である。
実施例5は、負極32のキャパシタンスYが2.00(F)であり、電解液へのLiBOBの添加量Xが0.01(mol/l)であって、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が0.01であるリチウムイオン二次電池1である。
比較例1は、負極32のキャパシタンスYが1.00(F)であり、電解液へのLiBOBの添加量Xが0.00(mol/l)であって(LiBOBの添加無し)、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が0.00であるリチウムイオン二次電池1である。
比較例2は、負極32のキャパシタンスYが1.00(F)であり、電解液へのLiBOBの添加量Xが0.15(mol/l)であって、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が0.15であるリチウムイオン二次電池1である。
比較例3は、負極32のキャパシタンスYが2.00(F)であり、電解液へのLiBOBの添加量Xが0.005(mol/l)であって、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が0.00であるリチウムイオン二次電池1である。
なお、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)の値は、小数点以下第3位の値を四捨五入して、小数点以下第2位までの値で表したものである。
比較例4は、負極32のキャパシタンスYが2.00(F)であり、電解液へのLiBOBの添加量Xが0.25(mol/l)であって、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が0.13であるリチウムイオン二次電池1である。
なお、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)の値は、小数点以下第3位の値を四捨五入して、小数点以下第2位までの値で表したものである。
このように、実施例1〜5のリチウムイオン二次電池1は、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が0.01以上かつ0.1以下の範囲内にあるリチウムイオン二次電池1であり、比較例1〜4のリチウムイオン二次電池1は、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が0.01以上かつ0.1以下の範囲外にあるリチウムイオン二次電池1である。
高温環境下にて充放電サイクル試験を行った後の、実施例1〜5および比較例1〜4のリチウムイオン二次電池1の温度を、図2および表1に示す。
なお、リチウムイオン二次電池1の温度としては、電池ケース2の底部の温度を測定した。
Figure 0006032474
図2および表1によれば、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が、0.01以上かつ0.1以下の範囲内にある実施例1〜5においては、リチウムイオン二次電池1の温度は85℃〜92℃であって、100℃以下の低い温度となっている。
一方、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が、0.01以上かつ0.1以下の範囲外にある比較例1〜4においては、リチウムイオン二次電池1の温度は116℃〜122℃であって、100℃を超える高い温度となっている。
負極32を構成する負極活物質は100℃を越えると発熱するため、リチウムイオン二次電池1の発熱を抑制するという観点から、高温環境下での充放電サイクル試験後の温度が100℃以下であった実施例1〜5のリチウムイオン二次電池1を良品と判定し、100℃を超える温度であった比較例1〜4のリチウムイオン二次電池1を不良品であると判定することができる。
このように、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)を、0.01以上かつ0.1以下の範囲内に設定することで、高温環境下にて充放電サイクル試験を行った際の発熱、即ち、高温環境下で充放電を繰り返し行った際の発熱を小さく抑えることが可能となっている。
図3には、LiBOBの添加量X(mol/l)およびキャパシタンスY(F)の値による、高温環境下での充放電サイクル試験後のリチウムイオン二次電池1の発熱度合いの違いを示しており、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が0.01以上かつ0.1以下の範囲内にあるとリチウムイオン二次電池1の発熱度合いが小さく、0.01以上かつ0.1以下の範囲外にあるとリチウムイオン二次電池1の発熱度合いが大きくなっている。
なお、図2において、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が0.00から0.01へ増加することによって、リチウムイオン二次電池1の温度が100℃を超える温度から100℃以下の温度に低下している(図2における(a)参照)。
これは、LiBOBが殆ど存在しない状態から、負極活物質量に対するLiBOB量が増加することにより、負極活物質量の表面にSEI膜が形成され、負極活物質量の反応面積が減少して発熱が抑制されたものであると考えられる。
また、負極活物質量は温度が100℃を超えると発熱を生じるため、温度が118℃および116℃と高い値を示した比較例1および比較例3は、負極活物質量の発熱により高温になったと考えられる。
また、図2において、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が0.10を超えると、リチウムイオン二次電池1の温度が100℃を超える高い温度になっている(図2における(b)参照)。
これは、負極活物質量に対するLiBOB量が必要以上に増加することにより、負極活物質の表面にSEI膜が過剰に形成されることとなって負極抵抗が増加し、ジュール熱の発生が増大したことによるものと考えられる。
1 リチウムイオン二次電池
2 電池ケース
3 電極体
31 正極
32 負極

Claims (2)

  1. LiBOBが添加された電解液と、表面が非晶質炭素にてコートされた天然黒鉛にて構成される負極活物質を含み、前記負極活物質の表面にLiBOB由来の皮膜が形成された負極とを備える非水電解質二次電池であって、
    前記負極のキャパシタンスが1.00〜2.00Fであり、
    前記電解液に対するLiBOBの添加量X(mol/l)と前記負極のキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が、当該X/Yの値を小数点以下第3位の値を四捨五入して小数点以下第2位までの値で表したときに0.01以上かつ0.1以下である、
    ここで、前記LiBOBの添加量X(mol/l)は、前記電解液に対するLiBOBの初期充電前の添加量であり、
    前記負極のキャパシタンスY(F)は、前記負極を模したサンプルピースとなる、負極集電体の一面に負極合材層を形成した一対のサンプルピースを、所定の距離だけ離間した状態で、互いの負極合材層が対向するように配置するとともに、前記サンプルピース間に非水電解質二次電池の電解液を充填した状態で、前記サンプルピース間のインピーダンスを測定し、測定したインピーダンスよりコールコールプロットを用いて算出されたキャパシタンスである、
    ことを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. LiBOBが添加された電解液と、表面が非晶質炭素にてコートされた天然黒鉛にて構成される負極活物質を含み、前記負極活物質の表面にLiBOB由来の皮膜が形成された負極とを備える非水電解質二次電池の製造方法であって、
    1.00〜2.00Fのキャパシタンスを有する前記負極を用いて、
    前記電解液に対するLiBOBの添加量X(mol/l)と前記負極のキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が、当該X/Yの値を小数点以下第3位の値を四捨五入して小数点以下第2位までの値で表したときに0.01以上かつ0.1以下となるように、前記LiBOBの添加量X(mol/l)と前記負極のキャパシタンスY(F)とを調製する、
    ここで、前記LiBOBの添加量X(mol/l)は、前記電解液に対するLiBOBの初期充電前の添加量であり、
    前記負極のキャパシタンスY(F)は、前記負極を模したサンプルピースとなる、負極集電体の一面に負極合材層を形成した一対のサンプルピースを、所定の距離だけ離間した状態で、互いの負極合材層が対向するように配置するとともに、前記サンプルピース間に非水電解質二次電池の電解液を充填した状態で、前記サンプルピース間のインピーダンスを測定し、測定したインピーダンスよりコールコールプロットを用いて算出されたキャパシタンスである、
    ことを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
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