(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態のガラス基板検査装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
本実施形態のガラス基板検査装置100は、解析装置200と撮像装置300とを有する。本実施形態のガラス基板検査装置100は、撮像装置300により撮像された画像データを解析装置200により解析した結果を用いることで、後述するガラス基板500に接触せずにガラス基板500の検査を行う。本実施形態のガラス基板検査装置100で検査されるガラス基板500とは、例えば磁気記録媒体用のガラス基板等である。
本実施形態の解析装置200は、演算処理装置210、メモリ装置220、補助記憶装置230、インターフェイス装置240、入力装置250、出力装置260、ドライブ装置270がバスBを介して接続されている。
入力装置250はキーボードやマウス、操作スイッチなどで構成され、各種信号を入力するために用いられる。出力装置260はディスプレイ装置などで構成され、各種ウインドウやデータ等を表示するために用いられる。インターフェイス装置240は、モデム、LANカードなどで構成されており、例えばガラス基板検査装置100をネットワークに接続する為に用いられる。
本発明のガラス基板検査プログラムは、ガラス基板検査装置100を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。ガラス基板検査プログラムは例えば記録媒体280の配布やネットワークからのダウンロードなどによって提供される。ガラス基板検査プログラムを記録した記録媒体280は、CD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的,電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
また、ガラス基板検査プログラムを記録した記録媒体280がドライブ装置270にセットされると、ガラス基板検査プログラムは記録媒体280からドライブ装置270を介して補助記憶装置230にインストールされる。ネットワークからダウンロードされたガラス基板検査プログラムは、インターフェイス装置240を介して補助記憶装置230にインストールされる。
補助記憶装置230は、インストールされたガラス基板検査プログラムを格納すると共に、必要なファイル,データ等を格納する。メモリ装置220は、コンピュータの起動時に補助記憶装置230からガラス基板検査プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置210はメモリ装置220に格納されたガラス基板検査プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
本実施形態の撮像装置300は、照明装置310、駆動装置320、カメラ330を有し、照明装置310からガラス基板に対して光を照射した状態で撮像する。駆動装置320は、照明装置310に検査対象のガラス基板が収納されたカセット400(図2参照)が固定された状態で、照明装置310とカセットとを動かす。
以下に図2を参照して本実施形態の撮像装置300について説明する。撮像装置300と解析装置200は離れていてもよく、その場合はLAN(Local Area Network)などで接続してもよい。また、解析装置200に複数の撮像装置300を接続して用いてもよい。
図2は、第一の実施形態の撮像装置を説明するための図である。図2(A)は、撮像装置300に撮像対象となるガラス基板が収納されたカセット400が配置された状態を示す図であり、図2(B)は撮像装置300のカセット用台座340を説明する図である。
本実施形態の撮像装置300は、照明装置用台座301の上に照明装置310が配置され、照明装置310を覆うようにカセット用台座340が配置されている。カセット用台座340は、照明装置310から照射される光を透過させるスリット341(図2(B)参照)を設けても良い。本実施形態の照明装置310は、例えばLED等により実現される。カセット用台座340の上には、検査対象物であるガラス基板が収納されたカセット400が配置される。カセット用台座340とカセット400の詳細は後述する。
支柱固定用台座305には、カメラ330を備え付けるための支柱302が取り付けられており、カメラ330はこの支柱302に固定される。本実施形態のカメラとは、例えばCCD(Charge Coupled Device)カメラ等である。また支柱固定用台座305には、照明装置310、カセット400、カメラ330を覆うようにカバー303が被せられている。本実施形態のカバー303は、撮像装置300の外部の光をカバー303内部に透過させない遮光性を有するものである。
本実施形態では、照明装置用台座301の上に照明装置310が配置され、照明装置310を覆うカセット用台座340が配置された上に、カセット400が配置された状態で、照明装置用台座301、照明装置310、カセット用台座340、カセット400が固定される。以下の本実施形態では、照明装置310とカセット400とが各台座に固定された状態のものを、固定体350と呼ぶ。
本実施形態の駆動装置320は、例えば1軸スライダーロボット等である。固定体350は、照明装置用台座301と照明装置310とが駆動装置320の軸を水平移動するように駆動装置320に搭載されている。この場合、固定体350は、カメラ330の視野内を軸にガイドされて水平移動する。
尚本実施形態では、固定体350の移動方向は、カメラ330の撮像面331が向いている方向と直交する方向である。図2(A)においてカメラ330の撮像面331が向いている方向をY2方向とした場合、固定体350の移動方向は、X1方向又はX2方向である。
本実施形態のカメラ330は、固定体350が駆動装置320上を移動しているとき、カセット400を透過した光の画像を連続的に複数枚撮像する。撮像された画像の詳細は後述する。
図2(B)は、カセット用台座340の上面図である。カセット用台座340には、スリット341を設けても良い。照明装置310から照射された光は、スリット341を通過してカセット400へ照射される。スリット341を通過した光でカセット400を照射することで、解析装置200による解析の精度を向上させることが可能な画像を撮像することができる。スリット341の幅Wは、特に限定されるものではなく、照明装置310やカメラ330の性能に応じて決めるものである。例えば、照明装置310としてLEDを用いた場合、スリット341の幅Wを3mm〜7mm程度に設定してもよく、照明装置310としてレーザ光などの直線性の高い光源を用いた場合、スリット341の幅Wを3mm以下に設定する又は格子状のスリットを用いてもよい。
本実施形態の撮像装置300は、解析装置200からの撮像指示に基づき撮像を行っても良い。撮像装置300で撮像された画像の画像データは、解析装置200のメモリ装置220等に記憶される。解析装置200は、撮像装置300から取得した画像データに基づき、以下に説明する各種の解析を行って、カセット400に収納されたガラス基板500の検査を行う。
以下に、図3を参照してカセット400とカセット400に収納されたガラス基板500(500A〜500C)について説明する。図3は、カセットとカセットに収納されたガラス基板を説明するための図である。
本実施形態ではカセット400は、ケース410、蓋420、底板421を有する。本実施形態の蓋420は、カセット400内でガラス基板500を透過した光をカメラ330へ導くための開口部を覆う光透過性のものである。底板421は、照明装置310から照射された光をカセット400へ入射させるための開口部を覆う光透過性のものである。本実施形態のケース410と蓋420には、ガラス基板500を1枚毎に分離して支える溝部430が複数形成されている。ガラス基板500は、この溝部430に挿入され、1枚毎に分離した状態でカセット400に保管される。さらに、ガラス基板500は蓋420に形成された溝部により1枚毎に分離した状態でカセット400に保持され、カセット400を移動した際に保管されているガラス基板500が動かないようになっている。
本実施形態のカセット400は、上記構成により、底板421、ガラス基板500、蓋420を透過した光の画像をカメラ330により撮像することができる。なお、本実施形態のガラス基板500は、中心部に円孔が形成された円盤形状のものとした。
次に、本実施形態の解析装置200の機能について説明する。図4は、第一の実施形態の解析装置の有する機能を説明する図である。
本実施形態の解析装置200は、駆動制御部211、撮像制御部212、画像データ取得部213、位置補正部214、ペース処理部215、色抽出部216、素材判別部217、板厚算出部218、端面状態検出部219を有する。
本実施形態の解析装置200は、駆動制御部211により、駆動装置320を制御して固定体350の動作を制御する。具体的には例えば、駆動制御部211は、画像の撮像指示を受けて、固定体320を駆動装置320の軸上を一定の速度でスライドさせる。
撮像制御部212は、カメラ330を制御する。具体的に撮像制御部212は、画像の撮像指示を受けて固定体350がスライド動作を開始すると、所定間隔毎にカメラ330に画像を撮像させる。本実施形態では、駆動制御部211と撮像制御部212により、カセット400を透過した複数枚の光の画像を連続して撮像することができる。
本実施形態の解析装置200において、画像データ取得部213は、撮像装置300により撮像された画像の画像データを取得する。色抽出部216は、画像データから特定の色の画像を抽出する。素材判別部217は、抽出された画像の色に基づきガラス基板500の素材を判別する。板厚算出部218は、画像データに基づきガラス基板500の板厚を算出する。端面状態検出部219は、ガラス基板500の端面の状態の検査等を行う。以下に各部の処理について説明する。
画像データ取得部213は、撮像装置300により撮像された画像の画像データを取得する。尚撮像装置300により撮像された複数の画像の画像データは、解析装置200のメモリ装置220に格納されていても良い。
位置補正部214は、取得した画像データが出力装置260において常に同じ位置に表示されるように補正する。撮像装置300で撮像された画像データは、例えばカセット400をカセット用台座340に配置する際のずれや、カセット400のバラツキにより、検査対象であるガラス基板500の画像の位置にずれが生じる場合がある。よって位置補正部214は、予め決められた基準画像に対するパターンマッチングを行うことにより、画像データの位置補正を行う。本実施形態では、この位置補正により、補正された画像が常に同じ位置に映るため、所定領域内で色抽出を行うことができる。
ペース処理部215は、画像データからの色抽出の前処理を行う。ペース処理部215は、例えば画像データのノイズを除去し、後述する色抽出を行う所定領域を指定する。
色抽出部216、素材判別部217、板厚算出部218、端面状態検出部219の処理の詳細は後述する。
ここで、図5を参照して本実施形態のカメラ330で撮像した画像について説明する。
本実施形態の撮像装置300では、例えば25枚のガラス基板が収納されているカセット400を、1つの画像にガラス基板5枚写るように5回にわけて撮像する。本実施形態では、このようにカセット400に収納されたガラス基板を所定枚数毎の複数の画像として撮影することで、カセット400に収納された全てのガラス基板をカメラ330の1視野に入るように撮像するよりも高解像度の画像を取得できる。本実施形態では、固定体350とカメラ330との距離が、カセット400に収納された全てのガラス基板が1視野に入る距離に設置されていた場合には、カメラ330のズーム機能による拡大画像として高解像度の画像を取得しても良い。また固定体350とカメラ220との距離をカセット400に近づけることで、高解像度の画像を取得しても良い。
図5は、第一の実施形態の撮像装置により撮像された画像の例を示す図である。図5では、図3に示す素材の異なるガラス基板500A〜500Cが収納されたカセット400をカセット用台座340へ配置して撮像した場合を示している。本実施形態では、撮像した画像が解析装置200の出力装置260に表示される。
本実施形態の撮像装置300で撮像される各画像は、カセット400を上面から部分的に撮像した画像となる。
本実施形態のカセット400の蓋420は、照明装置310から照射された光を透過させる。このため色抽出を行わない場合は、画像51〜53は、それぞれにガラス基板500A〜500Cを透過した3種類の光の画像が含まれる。すなわち画像51には、カセット400に収納されたガラス基板500Aを透過したガラス基板500Aの素材に応じた色の光の画像が含まれる。画像52には、カセット400に収納されたガラス基板500Bを透過したガラス基板500Bの素材に応じた色の光の画像が含まれる。画像53には、カセット400に収納されたガラス基板500Cを透過したガラス基板500Cの素材に応じた色の光の画像が含まれる。
本実施形態では、色抽出を行うことにより、所定の色の画像のみを抽出して表示させることができる。尚以下の実施形態の説明では、ガラス基板を透過した光の画像をガラス基板の画像と呼ぶ。
次に、色抽出部216による所定の色の画像の抽出について説明する。尚図5に示す画像は、カセット用台座340にスリット341が設けられた場合の画像である。
画像51〜53は、ガラス基板500A〜500Cが収納されたカセット400にスリット341を通過した光Sが照射された状態でカメラ330により撮像された画像の例であり、カセット400の上面図である。画像51〜53には、ガラス基板500A〜500Cを透過した光の画像S1と、光が照射された状態のガラス基板500A〜500Cの画像500GA〜500GCとが含まれる。
以下では、画像51に対して色抽出部216の処理を行った例を説明する。
本実施形態では、ペース処理部215により、画像400Gの領域511が色抽出を行うための領域として指定される。領域511は、例えばガラス基板500Aが挿入される溝部430を含むように設定される。色抽出部216は、領域511の画像を解析し、その結果から画像500GAの色が抽出対象の色か否かを特定する。尚本実施形態の解析装置200には、抽出対象となる色が予め設定されている。本実施形態の解析装置200では、後述するHSV値の範囲を設定することで抽出対象の色を任意に設定することができる。また領域512は、後述する端面状態検出部516の処理において指定される領域である。領域511、512は、解析装置200の入力装置250により入力される座標に従って任意に設定することができる。
本実施形態の色抽出部216は、撮像装置300から取得したR,G,B系成分表現による画像データからHSV(色相、彩度、明度)で表されるHSV値を算出する。そして色抽出部216は、HSV値が設定値範囲内である領域が所定面積以上存在する場合に、この領域を設定された色の領域として特定し、抽出する。
例えば本実施形態において青色の画像を抽出する場合、解析装置200には青色に対応するHSV値の範囲が設定されている。色抽出部216は、領域511においてHSV値が設定された範囲内である領域の面積を算出し、この面積が設定値以上であれば、画像500GAの色を青色と特定する。そして色抽出部216は、青色の画像500GAを抽出し、画像51のように出力装置260へ表示させる。
次に素材判別部217について説明する。素材判別部217は、色抽出部216により抽出された画像データの色に基づき、ガラス基板500Aの素材を判別する。本実施形態の解析装置200では、例えば補助記憶装置230等にガラス基板の素材と、画像データとの色とを対応付けたガラス基板素材と特定色の表60が格納されている。図6は、ガラス基板素材と特定色の表の一例を示す図である。
ガラス基板素材と特定色の表60では、例えばa色を示す特定色Aと、光を透過させたときa色となる素材1とが対応付けられている。また例えばb色を示す特定色Bと、光を透過させたときb色となる素材2とが対応付けられている。素材判別部217は、色抽出部216により抽出された画像データのHSV値に基づき、ガラス基板500Aの素材を判別する。
板厚算出部218は、色抽出部216により抽出された画像データから、ガラス基板500Aの板厚を算出する。図5を参照して本実施形態の板厚算出部218による板厚の算出について説明する。
板厚算出部218は、領域511を解析し、HSV値の変化が設定値以上となる箇所を2箇所検出する。本実施形態の板厚算出部218は、例えば画像データのHSV値が背景画像である黒色を示す値から画像500GAの色を示す値へ変化する点を2点検出し、この2点間の距離をガラス基板500Aの板厚として検出する。
板厚算出部218は、領域511をX1からX2方向に検索(走査)し、HSV値の変化する点P1と点P2とを検出する。点P1、P2は、画像500GAと背景との境界上の点である。板厚算出部218は、点P1から点P2までの幅t1をガラス基板500Aの板厚とする。尚幅t1は、点P1から点P2までの画素数とカメラ330の解像度とに基づき算出される。また領域511の走査方向は、X1からX2方向と、X2からX1方向の両方向であっても良い。
また本実施形態の板厚算出部218は、領域511における走査ラインをY1−Y2方向へずらして複数箇所で幅t1を算出し、この平均をガラス基板500Aの板厚としても良い。
端面状態検出部219は、ガラス基板500Aの端面の状態を検出する。以下に図7を参照して端面の状態の検出について説明する。図7は、端面の状態の検出について説明する第一の図である。図7(A)は、ガラス基板500Aに端面処理が施されている状態を説明する図であり、図7(B)はガラス基板500Aに端面処理が施されていない状態を説明する図である。本実施形態における端面処理とは、ガラス基板500Aの端面に研磨加工またはエッチング加工などの処理を施し、端面のキズや凹凸を除去して鏡面とする加工処理を示す。ガラス基板500の端面とは、ガラス基板500の外周面である外周端面500Hと、ガラス基板500の内周面である内周端面500Iとを示す。
ガラス基板500に端面処理が施されている場合、外周端面500H、内周端面500Iは鏡面となっている。ガラス基板500の内周の中心Oを通るように光Sを照射すると、光Sはガラス基板500を透過し、図7(A)に示すように透過光の画像70を形成する。
これに対し、例えばガラス基板500Aの内周端面500Iに端面処理が施されていない場合、内周端面500Iには凹凸が存在する。よって光Sは内周端面500Iの凹凸で散乱し、ガラス基板500Aを透過する量が少ない。ガラス基板500Aの内周端面500Iに端面処理を施さなかった場合、図7(B)に示すように、光Sは外周端面500Hを透過するが、内周端面500Iで散乱するため、透過光の画像70は形成されない。又は、透過光の画像70が形成されたとしても、輝度が弱く、画像70部が薄い線または細い線でつながった画像となる。
本実施形態の端面状態検出部219は、この原理を利用してガラス基板500Aに端面処理が施されているか否かを検出する。端面状態検出部219は、図5に示す領域512の画像データをX1からX2方向へ走査する。そして端面状態検出部219は、領域512においてガラス基板500の画像500GAが途切れているか否かを検出する。
具体的には端面状態検出部219は、例えば領域512におけるX1からX2方向への走査において画像データのHSV値の変化が設定値以上となる箇所を2箇所検出したとき、画像500GAが途切れていないと検出する。また端面状態検出部219は、領域512におけるX1からX2方向への走査において画像データのHSV値の変化が設定値以上となる箇所を検出しない場合、画像500GAが途切れていると検出する。
画像500GAが途切れていない場合、ガラス基板500Aの中心Oを透過した透過光の画像(図7の画像70に対応)が形成されていないことを示す。よって端面状態検出部219は、端面処理が施されていないものと検出する。
また画像500GAが途切れている場合、ガラス基板500Aの中心Oを透過した透過光の画像(図7の画像70に対応)が形成されていることを示す。よって端面状態検出部219は、端面処理が施されているものと検出する。
なお、端面状態検出部219は、透過光の画像の輝度の強度により端面処理が施されているか否かを検出しても良い。例えば本実施形態の端面状態検出部219は、透過光の画像の輝度の強度が設定値以下である場合は、画像500GAが途切れていないものとして検出しても良い。輝度の強度は、例えば解析装置200に予め設定された値である。
また本実施形態の端面状態検出部219は、領域512におけるX1からX2方向への走査を、Y1からY2方向またはY2からY1方向にシフトさせながら複数回行っても良い。そして端面状態検出部219は、複数回のX1からX2方向への走査において、予め設定された回数以上画像500GAが途切れていると検出された場合に、端面処理が施されているものと検出しても良い。なお、領域512の走査方向は、X1からX2方向と、X2からX1方向の両方向であっても良い。
図5の画像51では、複数のガラス基板500Aの画像500GAのうち画像500GA1では、領域512においてガラス基板500を透過した透過光の画像S1(図7の画像70に対応)が形成されていない。したがって画像51において画像GA1に対応するガラス基板500Aは、端面処理が施されていないか又は端面処理が不充分であることがわかる。
また画像500GA2、500GA3では、領域512においてガラス基板500Aを透過した透過光の画像S1が形成されている。したがって画像500G2、500G3として撮像されたガラス基板500Aは、端面処理が充分に施されていることがわかる。
なお、本実施形態の端面状態検出部219では、領域512において走査ラインをY1からY2方向へずらし、複数箇所において検出を行っても良い。また本実施形態では、複数箇所の検出において、端面処理が施されていないと検出された箇所が所定数以上である場合にガラス基板500Aの端面処理が施されていないものとしても良い。
尚本実施形態では、色抽出部216、素材判別部217、板厚算出部218、端面状態検出部219における各処理は、はR,G,B系成分表現による画像データからHSV値を算出し、HSV値を用いて画像の抽出を行うものとしたが、これに限定されない。色抽出部216、素材判別部217、板厚算出部218、端面状態検出部219の処理は、例えばHSV値の代わりにRGB値を用いても同様に行うことができる。また本実施形態では、画像51を例として説明したが、色抽出部216、素材判別部217、板厚算出部218、端面状態検出部219は、撮像装置300により撮像した全ての画像について、各部の処理を行う。
次に、図8を参照して本実施形態のガラス基板検査装置100の動作について説明する。図8は、第一の実施形態のガラス基板検査装置の動作を説明するフローチャートである。
本実施形態のガラス基板検査装置100において撮像装置300は、カセット400がカセット用台座340に設置され(ステップS801)、カメラ330のフォーカスや照明装置310の光量等の設定がされると(ステップS802)、撮像を行う(ステップS803)。本実施形態では、カセット400が搭載された固定体350を駆動装置320の軸に沿ってスライドさせ、カメラ330により所定のタイミング毎にカセット400を撮像する。
撮像された画像は、解析装置200へ送られ、解析装置200の画像データ取得部213により、画像データとして解析装置200に取得される。
解析装置200は、位置補正部214により画像データの位置補正を行い、ペース処理部215により、色抽出を行うための領域を指定する(ステップS804)。次に解析装置200は、色抽出部216により領域内の画像データの色合いの差分を算出する(ステップS805)。次に色抽出部216は、R,G,B系成分表現による画像データからHSV(色相、彩度、明度)で表されるHSV値を算出する(ステップS806)。続いて色抽出部216は、算出されたHSV値が解析装置200に設定された設定値範囲の領域を検索し、該当する領域を抽出する(ステップS807)。続いて色抽出部216は、抽出された領域の面積を算出する(ステップS808)。次に解析装置200は、素材判別部217により、抽出された領域の色を判定し(ステップS809)、ガラス基板素材と特定色の表60を参照してガラス基板500A〜Cの素材を判別する(ステップS810)。
次に解析装置200は、板厚算出部218により、算出された領域の面積からガラス基板500A〜Cの板厚を算出する(ステップS811)。次に解析装置200は、端面状態検出部219により、ガラス基板500A〜Cの端面状態を検出する(ステップS812)。そしてガラス基板検査装置100は、ステップS810〜ステップS812の結果を検査結果として出力する(ステップS813)。
なお、本実施形態の素材判別部217による処理と板厚算出部218による処理と端面状態検出部219による処理は、いずれの処理を先に実施しても良いし、2つ以上の処理を並列して実行しても良い。
上記処理により、本実施形態のガラス基板検査装置100は、例えばカセット400内に異なる素材のガラス基板500が混在しているか否かの検査を行うことができる。また本実施形態のガラス基板検査装置100は、例えばカセット400内に板厚の異なるガラス基板500が混在しているか否かの検査を行うことができる。また本実施形態のガラス基板検査装置100は、例えばカセット400内に板厚が許容値外であるガラス基板500が混在しているか否かの検査や、端面処理が施されていないガラス基板500が混在しているか否かの検査を行うことができる。さらに、カセット400に保管されているガラス基板の枚数をカウントし、所定枚数のガラス基板が保管されているか否かの検査を行うことができる。
本実施形態では、カセット400に収納されたガラス基板に接触せずにガラス基板500の検査を行うことができるため、検査中にガラス基板5にキズを付けるおそれがない。また本実施形態では、カセット400に蓋420や底板421をセットした状態であっても、ガラス基板500の素材、板厚、端面の状態等を含めたガラス基板500の状態を検査することができるため、検査中にガラス基板500へ異物を付着させてしまうおそれがない。
なお、本実施形態では、ガラス基板500は中心に円孔が形成された円盤形状(ドーナツ形状)のものとしたが、これに限定されない。本実施形態のガラス基板検査装置100は、検査対象物が光透過性であって且つ板状のものであれば、適用可能である。また本実施形態では、カセット400内に複数のガラス基板500が収納されているものとしたが、カセット内400に収納されるガラス基板500は一枚であっても良い。また本実施形態は、検査対象物のガラス基板500がカセット400内に収納されているものとしたが、これに限定されない。本実施形態では、検査対象物がカセット400内部に収納されていなくても良い。
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態は、照明台座に配置されたカセットの種類を判別し、カセットの種類に基づき特定する色の画像を抽出する点で第一の実施形態と相違する。以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図9は、第二の実施形態の解析装置の有する機能を説明する図である。本実施形態の解析装置200Aは、第一の実施形態の解析装置200の有する各部に加え、カセット判別部221を有する。本実施形態のカセット判別部221は、画像データのカセット400の蓋420の色に基づきカセット400の種類を判別する。本実施形態の解析装置200Aには、例えばカセット400の色とカセット400の種類とが対応付けられたカセット判別表が格納されており、カセット判別部221はこのカセット判別表を参照してカセット400の種類を判別する。
また本実施形態の色抽出部216は、カセット判別部221による判別結果に基づき、画像データから抽出される画像の色を設定する。本実施形態の解析装置200Aには、例えばカセット400の種別と、画像の色とが対応付けられた対応表が格納されている。色抽出部216は、対応表を参照してカセット400の種類に対応した色を抽出する色として設定する。
図10は、第二の実施形態のガラス基板検査装置の動作を説明するフローチャートである。
図10のステップS1001からステップS1003までの処理は、図8のステップS801からステップS803までの処理と同様であるから説明を省略する。解析装置200Aは、カセット判別部221により、ステップS1003により撮像された画像データからカセット400の種類を判別する(ステップS1004)。続いて解析装置200Aは、色抽出部216により、判別されたカセット400の種類に基づき抽出する色を設定し、設定された色の画像を抽出する(ステップS1005)。
ステップS1006からステップS1014までの処理は、図8のステップS805からステップS813までの処理と同様であるから説明を省略する。
以上の構成により、本実施形態では、カセット400の種類に基づきガラス基板500の検査を行うことができる。
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第三の実施形態について説明する。本発明の第三の実施形態は、板厚算出の精度を向上させるために板厚算出部の処理をより詳細にした点で第一の実施形態と相違する。以下の第三の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図11は、第三の実施形態の解析装置の有する機能を説明する図である。本実施形態の解析装置200Bは、撮像制御部212A、板厚算出部231を有する。
本実施形態の撮像制御部212Aは、カセット400に収納されたガラス基板500の画像が所定枚数ずつ含まれるように、複数の画像をカメラ330に撮像させる。また本実施形態の撮像制御部212Aは、カセット400の端部に収納されたガラス基板500が画像の中央に位置する画像をカメラ330に撮像させる。
例えば図12(A)において固定体350がX2からX1方向へスライド移動する場合、撮像制御部212Aは、カセット400の左端のガラス基板500の画像が中央にくる画像(図12の画像54に相当)を撮像装置300に撮像させる。続いて撮像制御部212Aは、所定枚数のガラス基板500の画像が収まった画像(図5の画像51〜53に相当)を撮像装置300に撮像させる。そして撮像制御部212Aは、カセット400の右端のガラス基板500の画像が中央にくる画像(図12の画像55に相当)を撮像装置300に撮像させる。したがって本実施形態では、画像54に相当する画像が最初に撮像され、画像55に相当する画像が最後に撮像される。
尚本実施形態の撮像制御部212Aは、例えば予め設定されたタイミングにしたがって、画像を撮像するようにカメラ330を制御しても良い。また本実施形態の撮像制御部212Aは、例えば撮像した画像の画像データをメモリ装置220に格納する際に、画像データに撮像された順番を示す識別子を付与して格納しても良い。
本実施形態の板厚算出部231は、カセット400に所定枚数のガラス基板500が格納されているか否かの判定と、ガラス基板500の板厚の算出を行う。板厚算出部231の詳細は後述する。
ここで図12を参照して、本実施形態の撮像制御部212Aがカメラ330に撮像させる画像について説明する。図12は、第三の実施形態の撮像装置により撮像された画像の例を示す図である。図12(A)は、所定枚数のガラス基板500の画像が含まれる画像の例であり、図12(B)は、カセット400の両端に収納されたガラス基板500の画像が中央にくるように撮像された画像である。
図12(A)に示す画像51、52、53は、第一の実施形態と同様であるから説明を省略する。
図12(B)に示す画像54は、カセット400の左端に収納されたガラス基板500の画像500GA1が中央に位置するように撮像された画像である。図12(B)に示す画像55は、カセット400の右端に収納されたガラス基板500の画像500GA4が中央に位置するように撮像された画像である。尚以下の説明では、カセット400の左右の両端に収納されたガラス基板500の画像が、画像の幅方向の中央に位置するように撮像された画像を、中央配置画像と呼ぶ。
中央配置画像54は、例えば中央配置画像54の幅をW10とした場合に、画像500GA1の中央が幅W10の中点にくるように撮像されている。中央配置画像55は、例えば中央配置画像55の幅をW20とした場合に、画像500GA4の中央が幅W20の中点にくるように撮像されている。
本実施形態では、カセット400の左右の両端に収納されたガラス基板500の板厚を算出する際に、中央配置画像54、55を用いる。本実施形態では、この構成により、カセット400の左右の両端に収納されたガラス基板500の板厚を算出する際に、カメラ330のレンズによる収差の影響を抑制できる。また本実施形態では、この構成により、例えばカセット400の蓋420等の成型時のバラツキ等による画像の歪みの影響を低減する。
以下に図13を参照して本実施形態の板厚算出部231について説明する。図13は、第三の実施形態の板厚算出部を説明する図である。
本実施形態の板厚算出部231は、画像判断部232、領域設定部233、グレースケール処理部234、ペアエッジ検出部235、エッジ間算出部236、判定部237を有する。
本実施形態の画像判断部232は、メモリ装置220等に格納された画像データの画像が中央配置画像か否かを判断する。例えば本実施形態のカセット400には25枚のガラス基板500が収納可能であり、画像51〜53に相当する5つの画像に5枚のガラス基板500の画像と、画像54及び画像55に相当する2つの画像(中央配置画像)が含まれるものとする。この場合画像判断部232は、最初に撮像された1枚目の画像と、最後に撮像された7枚目の画像とを中央配置画像と判断する。
領域設定部233は、中央配置画像における板厚算出を行う際に、中央配置画像内に所定領域を設定する。領域設定部233により設定される領域の詳細は後述する。
グレースケール処理部234は、RGB系の画像データをグレースケールの画像データに変換する処理を行う。
ペアエッジ検出部235は、グレースケール処理部234により変換されたグレースケール画像データから、明度が上昇するアップエッジと明度が下降するダウンエッジとよりなるペアエッジを検出する。
エッジ間算出部236は、ペアエッジ検出部235により検出されたアップエッジとダウンエッジとのエッジ間の距離を算出する。
判定部237は、エッジ間算出部236により算出されたエッジ間の距離が、所定の範囲内であるか否かを判断する。本実施形態では、エッジ間の距離が所定の範囲内でない場合、カセット400に適切なガラス基板500が収納されていないものと判定する。
また本実施形態の板厚算出部231は、上述した各部による処理以外にも、第一の実施形態で説明した板厚算出部218と同様の処理を実行することができる。
以下に、図14を参照して本実施形態の板厚算出部231による板厚の算出を説明する。図14は、第三の実施形態の板厚算出部によるガラス基板の板厚の算出を説明するフローチャートである。
本実施形態の板厚算出部231は、板厚の算出指示を受けると、メモリ装置220から画像データを取得する(ステップS1401)。続いて板厚算出部231は、画像判断部232により、取得した画像データが中央配置画像の画像データであるか否かを判断する(ステップS1402)。
ステップS1402において、画像データが中央配置画像の画像データでない場合、板厚算出部231は、グレースケール処理部234により、取得した画像データをグレースケール画像データに変換する(ステップS1403)。続いて板厚算出部231は、ペアエッジ検出部235により、グレースケール画像データの設定された領域において明度が上昇するアップエッジと明度が下降するダウンエッジとよりなるペアエッジを検出する(ステップS1404)。尚本実施形態では、グレースケール画像データにおいてペアエッジの検出を行う領域は予め設定されているものとした。
続いて板厚算出部231は、エッジ間算出部236により、アップエッジとダウンエッジとの間の距離(以下、エッジ間距離)を算出する(ステップS1405)。続いて判定部237は、エッジ間距離が設定値範囲内か否かを判定する(ステップS1406)。尚設定値範囲は、予め設定されているものとした。
ステップS1406において、エッジ間距離が設定値範囲内である場合、板厚算出部231は、エッジ間距離を板厚として出力し(ステップS1407)、処理を終了する。尚出力の形態は、例えば解析装置200の出力装置260等に表示させても良いし、メモリ装置220に格納しても良い。ステップS1406においてエッジ間距離が設定値範囲内でない場合、板厚検出部231は、カセット400に適切なガラス基板500が収納されていないものとし、その旨を出力装置260等に出力して(ステップS1408)、処理を終了する。
以下に、図15を参照して、本実施形態のペアエッジ検出について説明する。図15は第三の実施形態におけるペアエッジ検出を説明する図である。
図15では、画像52を例に示している。画像52には、5枚のガラス基板500の画像500GBが含まれる。図15では、画像52の画像データにおいて予め設定された領域S10におけるペアエッジの検出について説明する。
ペアエッジ検出部235は、X1−X2方向へ画像データを走査し、明度が上昇するアップエッジと明度が下降するダウンエッジとを検出する。図15では、点PAがアップエッジであり、点PBがダウンエッジである。そして点PAと点PB間の距離t10がガラス基板500の板厚となる。
尚図15では、領域S10についてのみ説明したが、本実施形態では、画像52に含まれる全てのガラス基板500の画像について同様の処理を行う。
本実施形態では、このように画像データをグレースケール画像データに変換し、ペアエッジ検出により板厚を算出することで、画像解析処理の負荷を軽減しつつ板厚算出の精度を向上させることができる。
図14に戻って、ステップS1402において取得した画像データが中央位置画像の画像データである場合について説明する。
板厚算出部231は、中央位置画像の画像データであった場合、板厚算出部231は、後述するステップS1410〜ステップS1416までの処理を所定回数繰り返したか否かを判断する(ステップS1409)。
ステップS1409において所定回数繰り返していない場合、板厚算出部231は、領域設定部233により画像データ内における領域の設定を行う(ステップS1410)
本実施形態の領域設定部233は、予め設定された複数の領域を指定された順に設定する。領域設定部233による領域の設定の詳細は後述する。
続いて板厚算出部231は、グレースケール処理部234により、取得した画像データをグレースケール画像データとする(ステップS1411)。続いて板厚算出部231は、ペアエッジ検出部235により、グレースケール画像データにおける領域設定部233に設定された領域内に、明度が上昇するアップエッジと明度が下降するダウンエッジとが検出されたか否かを判断する(ステップS1412)。
ステップS1412においてアップエッジとダウンエッジの両者を検出しなかった場合、板厚算出部231は後述するステップS1415へ進む。ステップS1412においてアップエッジとダウンエッジとが検出された場合、エッジ間算出部236はエッジ間距離を算出する(ステップS1413)。続いて判定部237は、エッジ間距離が設定値範囲内か否かを判定する(ステップS1414)。
ステップS1414においてエッジ間距離が設定値範囲内である場合、板厚算出部231は、エッジ間距離を板厚とし、ステップS1407へ進む。
ステップS1414においてエッジ間距離が設定値範囲内でない場合、板厚算出部231は、ステップS1410で設定された領域内において、特定色の画像の面積が設定値以上であるか否かを判断する(ステップS1415)。尚ここでの特定色の画像の面積は、予め設定された設定値範囲のRGB値やHSV値の画素数により求められる。また設定値は予め設定された値である。
ステップS1415において特定色の画像の面積が設定値以上であった場合、板厚算出部231は、該当画素の面積から板厚を算出する(ステップS1416)。ステップS1415、ステップS1416における板厚算出部231の処理は、第一の実施形態で説明した板厚算出の処理と同様である。
続いて板厚算出部231は、ステップS1407へ進み、算出した板厚を出力して処理を終了する。ステップS1415において特定色の画像の面積が設定値未満であった場合、板厚算出部231はステップS1409へもどる。
以下に図16を参照して本実施形態の領域設定部233による領域の設定について説明する。図16は、第三の実施形態の領域設定部による領域の設定を説明する図である。
図16(A)は、カセット400の右端に収納されたガラス基板500の画像500GA1に歪み等が生じていない例を示す図であり、図16(B)は、カセット400の右端に収納されたガラス基板500の画像500GA1に歪み等が生じた例を示す図である。尚図16では、カセット400の右端に収納されたガラス基板の画像500GA1についてのみ説明するが、カセット400の左端に収納されたガラス基板の画像についても同様のことが言える。
カセット400の右端に収納されたガラス基板500の画像500GA1は、カセット400の蓋420の成型のダレやばらつき等に影響されやすい。例えば図16(A)では画像500GA1が撮像されているのに対し、図16(B)の画像500GA1′は画像の一部が欠けている。これは、蓋420を成型する際のダレやキズ、摩耗等により、蓋420の形状に生じるバラツキに起因する。
本実施形態では、中央位置画像54に含まれる画像500GA1から、カセット400の右端に収納されたガラス基板500の板厚を高精度に算出するために、画像500GA1についてのみ、任意の回数に設定された複数回の異なる板厚算出処理を行う。
図16(A),(B)の領域R1,R2,R3は、領域設定部233により設定される領域である。本実施形態では、領域R1,R2,R3の順に設定されるものとした。
以下に図16(A)を参照して図14のステップS1409からステップS1416までの処理を具体的に説明する。
板厚算出部231が中央位置画像の画像データを取得すると、領域設定部233はステップS1410において、始めに領域R1を画像データに設定する。次にステップS1411で画像データをグレースケール画像データとし、ステップS1412で領域R1内にアップエッジとダウンエッジの両方が検出されるか否かを判断する。図16(A)の画像54Aでは、領域R1内にアップエッジとなる点P11とダウンエッジとなる点P12とが含まれる。よってステップS1413においてエッジ間算出部236によりエッジ間距離が算出され、ステップS1414でエッジ距離間が設定値範囲内と判断される。
次に図16(B)を参照して図14のステップS1409からステップS1416までの処理を具体的に説明する。
板厚算出部231が中央位置画像の画像データを取得すると、領域設定部233はステップS1410において、始めに領域R1を画像データに設定する。次にステップS1411で画像データをグレースケール画像データとし、ステップS1412で領域R1内にアップエッジとダウンエッジの両方が検出されるか否かを判断する。図16(B)の画像54Bでは、領域R1内にアップエッジとなる点もダウンエッジとなる点も存在しない。よって板厚算出部231は、ステップS1415において特定色の画像の面積が設定値以上か否かを判断する。しかし領域R1内にはガラス基板500の画像500GA1′は含まれていない。よって次に板厚算出部231は、ステップS1409において予め設定された中央位置画像の板厚検出回数分処理が終了したか否かを判断する。
ここでは板厚検出回数は3回としたため、板厚算出部231は再度ステップS1410からの処理を繰り返す。
ステップS1410において領域設定部233は、次に画像54Bにおいて領域R2を設定する。続いて画像データをグレースケール画像データとし、領域R2内にアップエッジとダウンエッジとを検出か否かを判断する。領域R2では、アップエッジとダウンエッジとが検出可能であるが、エッジ間距離が設定値範囲外である。
そこで板厚算出部231は、ステップS1415において、領域R2における特定色の画像の面積が設定値以上か否かを判断する。領域R2内では、画像500GA1′は欠けた状態であるため、特定色の画像の面積が設定値以上とならない。
よって板厚検出部231は、再度ステップS1410において領域設定部233により領域R3を設定する。領域R3では、アップエッジとダウンエッジとが検出可能であり、且つエッジ距離間が設定値範囲内であるため、領域R3において算出したエッジ間距離を画像500GA1′に対応するガラス基板500の板厚として出力する。
本実施形態では、カセット400の左右の両端に収納されたガラス基板500の板厚算出を以上のように行うことで、板厚算出におけるカセット400の蓋420の成型のバラツキ等による影響を低減することができ、板厚算出の精度を向上できる。
尚本実施形態では、板厚算出処理の回数を3回としたが、板厚算出処理回数は任意で設定することができる。
また本実施形態では、領域設定部233により設定される領域毎に、ステップS1415の判断に用いる設定値(閾値)が設定されている。ステップS1415の判断で用いる設定値とは、領域内に特定色の画像が存在するか否かを判断するための閾値である。
例えば領域R1の面積は、領域R2の面積に対して広い。よって領域R1において、特定色の画像が存在すると判断する基準となる設定値は、領域R2における設定値より小さい値となる。
また領域R1,R2,R3は、例えばカセット400の成型のバラツキの傾向によって設定されても良い。また本実施形態では、領域R1,R2,R3のうち少なくとも何れか1つの領域は、画像500GA1の一部が含まれるように設定されている。
さらに本実施形態では、領域R1,R2,R3のうち、最も板厚を算出できる可能性の高い領域を学習し、領域設定部233による領域の設定順を変更しても良い。例えば領域R1では画像が欠けている場合が多く、領域R3では良好な画像が含まれることが多い場合、領域設定部233は最初に領域R3を設定するように領域の設定順を変更しても良い。
(第四の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第四の実施形態について説明する。本発明の第四の実施形態では、板厚算出を行うための画像を撮像するカメラと、端面状態を検出するための画像を撮像するカメラとを別々に設けた点が第三の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第四の実施形態では、第三の実施形態との相違点についてのみ説明し、第三の実施形態と同様の機能構成を有するものには第三の実施形態の説明で用いた符号を付与し、その説明を省略する。
図17は、第四の実施形態の撮像装置を説明する図である。
本実施形態の撮像装置300Aは、板厚算出処理と素材判別処理に用いる画像を撮像するためのカメラ330Aを有する。カメラ330Aは、撮像面331Aがカセット400の開口部によって仮想的に形成される開口面に対して傾斜するように配置される。
本実施形態では、このように開口部に対して傾斜させたカメラ330Aにより撮像した画像を用いることで、板厚算出と素材判別に用いる画像に対するカメラ330Aの収差の影響を低減できる。
本実施形態では、カメラ330で撮像された画像の画像データと、カメラ330Aで撮像された画像の画像データとがそれぞれ識別可能にメモリ装置220に格納される。板厚算出部231と素材判別部217は、カメラ330Aにより撮像された画像の画像データを取得して板厚の算出を行う。端面状態検出部219はカメラ330が撮像した画像の画像データを取得して端面状態の検出を行う。
図18は、第四の実施形態のカメラとカセットとの位置関係の例を示す図である。本実施形態では、カセット400の開口部401によって仮想的に形成される開口面402の法線と、カメラ330Aの撮像面331Aが向く方向との角度をθとしたとき、θが30度以上90度未満であることが好ましい。より好ましくは、角度θは60度程度であることが好ましい。尚θが40度以上80度以下であることがより好ましく、更にはθが50度以上70度以下であることがより好ましい。
(第五の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第五の実施形態について説明する。本発明の第五の実施形態では、カメラの撮像面を傾斜させる構成を有する点が第三の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第五の実施形態では、第三の実施形態との相違点についてのみ説明し、第三の実施形態と同様の機能構成を有するものには第三の実施形態の説明で用いた符号を付与し、その説明を省略する。
図19は、第五の実施形態の撮像装置を説明する図である。本実施形態の撮像装置300Bは、カメラ330Bを有する。カメラ330Bは、開口面402に対する撮像面の角度が所定の角度となるように作動(回動)させる作動制御部332により支柱302に取りつけられている。作動制御部332は、固定体350の移動方向にあわせて、カメラ330Bを回動させる。
本実施形態では、例えば固定体350がA方向に移動しているとき、カメラ330Bの撮像面331Bがカセット400の開口面402と平行になるようにし、端面状態検出部219による端面状態の検出に用いる画像を撮像する。そして固定体350がB方向に移動しているとき、カメラ330Bの撮像面331Bとカセット400の開口面402との角度が略60度となるように作動制御部332がカメラ330Bを回動させる。そして板厚算出部231による板厚算出と、素材判別部217による素材判別に用いる画像を撮像する。
本実施形態では、このように固定体350の動作に合わせてカメラ330Bを回動させることで、カメラを2台設けずとも第四の実施形態と同様の効果を得ることができる。尚本実施形態では、固定体350がA方向に移動している際にカメラ330Bを傾斜させ、B方向に移動している際にカメラ330Bを開口面402と垂直になる位置に戻しても良い。
尚上記の実施形態では、カメラ330が固定されており、照明装置310とカセット400とが固定された固定体350がカメラ330の撮像面331と直交する方向に移動するものとしたが、これに限定されない。例えばカセット用台座340の上に設置されたカセット400の上をカメラ330が撮像面331と直交する方向に移動しても良い。
さらに本実施形態では、例えばカセット400のみが固定されており、カメラ330と照明装置310とが撮像面331と直交する方向に移動しても良い。すなわち本実施形態では、カメラ330と照明装置310との位置関係が常に同一となっていれば良い。
本発明の測定の対象となるガラス基板500としては特に制限はないが、磁気記録媒体用、フォトマスク用、液晶や有機EL等のディスプレイ用、光ピックアップ素子や光学フィルタ等の光学部品用などのガラス基板が具体的なものとして挙げられる。
また、ガラス基板500のガラスの種類は、それぞれの用途に適したものが適宜選択されるが、アモルファスガラスでもよいし、結晶化ガラスでもよく、ガラス基板の表層に強化層を有する強化ガラス(例えば、化学強化ガラス)でもよい。
また、加工前のガラス基板500(以下、ガラス素基板ともいう)の製造方法としても特に制限はなく、フロート法で造られたものでもよく、フュージョン法で造られたものでもよく、ダウンドロー法で造られたものでもよく、プレス成型法で造られたものでもよい。
上記の中でも、磁気記録媒体用ガラス基板は、他のガラス基板製品に要求される形状特性(板厚偏差、端面処理状態など)に比べて厳しいレベルのものが要求されるが、本発明のガラス基板検査装置100を使用した検査方法およびガラス基板検査装置100を用いた検査方法を有する検査工程を含むガラス基板の製造方法が最も好適に適用されるものである。
一般に、磁気記録媒体用ガラス基板及び磁気ディスクの製造工程は、以下の工程を含む。(1)フロート法、フュージョン法、ダウンドロー法またはプレス成型法で成型されたガラス素基板を、円盤形状に加工した後、内周側面と外周側面に面取り加工を行う。(2)ガラス基板の上下主平面に研削加工を行う。(3)ガラス基板の側面部と面取り部に端面研磨を行う。(4)ガラス基板の上下主平面に研磨を行う。研磨工程は、1次研磨のみでも良く、1次研磨と2次研磨を行っても良く、2次研磨の後に3次研磨を行っても良い。(5)ガラス基板の精密洗浄を行い、磁気記録媒体用ガラス基板を製造する。(6)磁気記録媒体用ガラス基板の上に磁性層などの薄膜を形成し、磁気ディスクを製造する。
なお、上記磁気記録媒体用ガラス基板及び磁気ディスクの製造工程において、各工程間にガラス基板洗浄(工程間洗浄)やガラス基板表面のエッチング(工程間エッチング)を実施してもよい。さらに、磁気記録媒体用ガラス基板に高い機械的強度が求められる場合、ガラス基板の表層に強化層を形成する強化工程(例えば、化学強化工程)を研磨工程前、または研磨工程後、あるいは研磨工程間で実施してもよい。
本発明において、磁気記録媒体用ガラス基板は、アモルファスガラスでもよく、結晶化ガラスでもよく、ガラス基板の表層に強化層を有する強化ガラス(例えば、化学強化ガラス)でもよい。また、本発明のガラス基板500のガラス素基板は、フロート法で造られたものでもよく、フュージョン法で造られたものでもよく、プレス成型法で造られたものでもよい。
本発明のガラス基板検査装置100は、磁気記録媒体用ガラス基板及び磁気ディスクの製造工程の端面研磨工程(3)で、加工途中の磁気記録媒体用ガラス基板の検査に使用できる。また、磁気記録媒体用ガラス基板及び磁気ディスクの製造工程において、ガラス基板を精密洗浄して製造された磁気記録媒体用ガラス基板(5)の検査(磁気記録媒体用ガラス基板の最終検査)や、磁気記録媒体用ガラス基板の上に磁性層などの薄膜を形成して製造された磁気ディスク(6)の形状検査に使用できる。
本発明のガラス基板検査装置100は、磁気記録媒体用ガラス基板の形状検査(磁気記録媒体用ガラス基板の最終検査)に、特に好適に用いられるものである。
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。