JP6031371B2 - 衣類用の液体組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、衣類用の液体組成物およびその製造方法に関する。
衣類等の洗濯に用いられる洗浄剤には、粉末型と液体型がある。液体洗浄剤は、溶け残りの懸念が少なく、衣料に直接塗布できるなどの点で、近年、使用割合が高まっている。
洗浄剤においては、界面活性剤が主な洗浄成分として作用する。近年、環境配慮意識の高まりから、天然物由来の原料が再生産可能な原料として使用されているが、さらなる環境配慮の点から洗浄剤中の界面活性剤等の配合量を減らすことも重要とされている。
ところで、洗濯において洗浄性を補助する代表的な製品としては漂白剤が挙げられる。特に液体漂白剤は衣類全体の汚れに対する効果だけでなく、食べ物シミなどの局所的な汚れに直接塗布するという方法で洗浄性能を補助することも多い。
塗布洗浄時の洗浄力のみを考慮すれば、界面活性剤の配合量を減らしても十分な洗浄性能を確保することは可能である。しかし、塗布洗浄の効果を高めるためには、液体漂白剤の粘度を高めて過酸化水素等の漂白成分を布上に留めることが重要である。界面活性剤を高濃度に含有する液体漂白剤は粘度が高いため布上に留まりやすいが、界面活性剤の配合量を減らすと液体漂白剤の粘度も低下するため、布上に留まりにくくなる。
このように界面活性剤を含む液体組成物においては、界面活性剤の配合量を減らすと粘度が低下するという問題があった。
液体洗浄剤や液体漂白剤の粘度を高める方法として、例えば特許文献1には、HLBが10〜13.5の非イオン界面活性剤に対して、特定の溶解度と分子量の芳香族化合物を増粘剤として添加する増粘化方法が開示されている。
また、温度変化に伴う粘度変化が小さく、安定した品質の液体漂白剤として、特許文献2には、過酸化水素、非イオン界面活性剤、および金属イオン封鎖剤を含有し、25℃における電気伝導度を0.8S/m以下とした液体漂白剤組成物が開示されている。
特開2004−256714号公報 特開平11−279594号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載の技術は、特に非イオン界面活性剤を5質量%以上配合した場合に増粘効果が十分に発揮されるものであった。そのため、界面活性剤の配合量を減らすという点では不十分であった。
ところで、液体洗浄剤や液体漂白剤等の液体組成物には、洗浄力はもちろんのこと、保存安定性に優れることも求められる。特に、低温条件での保存安定性が低下すると、例えば冬場の気温変動により白濁、分離、沈殿等が生じやすくなる。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、界面活性剤の配合量を減らしても粘度増加が図れ、かつ、高い洗浄力を有し、高温条件および低温条件での保存安定性に優れる液体組成物およびその製造方法を目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の非イオン界面活性剤と、特定のアニオン界面活性剤と、分子内に2つ以上のカルボニル基を有する特定のカルボン酸とを併用し、かつpHを特定の範囲に調整することで、界面活性剤の配合量を減らしても粘度増加が図れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
[1] 下記(A)成分を0.5質量%以上5質量%未満と、下記(B)成分を0.5質量%以上3質量%未満と、下記(C)成分を0.5質量%以上2.5質量%未満と、水とを含有し、全ての界面活性剤の含有量の合計が5.5質量%未満であり、(A)成分と(B)成分との質量比((A)成分/(B)成分)が1.0〜5.0であり、(B)成分と(C)成分との質量比((B)成分/(C)成分)が1.5未満であり、かつ25℃におけるpHが3〜7である、液体組成物。
(A)成分:下記一般式(I)で表され、HLBが10.5〜12.5であり、かつナロー率が40質量%未満である非イオン界面活性剤。
R−(OCHCH)−OH ・・・(I)
[式(I)中、Rは炭素数8〜18のアルキル基または炭素数8〜18のアルケニル基であり、nはオキシエチレン基の平均繰り返し数を示す。]
(B)成分:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸および/またはその塩。
(C)成分:分子内にカルボニル基を2つ以上有するオキシカルボン酸およびその塩、ならびに分子内にカルボニル基を2つ以上有する飽和カルボン酸およびその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種。
[2] 下記(D)成分および(E)成分をさらに含有する、[1]に記載の液体組成物。
(D)成分:過酸化水素。
(E)成分:フェノール系ラジカルトラップ剤。
[3] [1]に記載の液体組成物の製造方法であって、
前記(A)〜(C)成分と水とを混合し、混合物のpHを3〜7に調整する、液体組成物の製造方法。
本発明の液体組成物は、界面活性剤の配合量を減らしても粘度増加が図れ、かつ、高い洗浄力を有し、高温条件および低温条件での保存安定性に優れる。
本発明の液体組成物の製造方法によれば、界面活性剤の配合量を減らしても粘度増加が図れ、かつ、高い洗浄力を有し、高温条件および低温条件での保存安定性に優れる液体組成物を製造できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の液体組成物は、下記(A)〜(C)成分と水とを含有する。また、下記(D)成分および(E)成分などをさらに含有することが好ましい。
<(A)成分>
(A)成分は、下記一般式(I)で表され、HLBが10.5〜12.5であり、かつナロー率が40質量%未満である非イオン界面活性剤である。(A)成分は、汚れ(特に油性シミ汚れ)に対する除去性を高める成分である。また、後述する(B)成分および(C)成分との併用により粘度増加を図る成分でもある。
R−(OCHCH)−OH ・・・(I)
[式(I)中、Rは炭素数8〜18のアルキル基または炭素数8〜18のアルケニル基であり、nはオキシエチレン基の平均繰り返し数(すなわち、オキシエチレン基の平均付加モル数)を示す。]
上記一般式(I)において、Rの炭素数はそれぞれ8〜18であり、10〜18が好ましく、12〜16がより好ましい。炭素数が8以上であれば、増粘効果が得られる。一方、炭素数が18以下であれば、高温条件および低温条件での保存安定性が良好となる。アルキル基およびアルケニル基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよいが、直鎖であることが好ましい。また、不飽和結合を有していてもよいし、有していなくてもよい。
上記一般式(I)において、nは上記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤のHLBが10.5〜12.5であれば特に制限されないが、5〜7が好ましく、5.5〜7がよりに好ましく、6〜7がさらに好ましい。
(A)成分のHLB(親水親油バランス)は10.5〜12.5であり、11.0〜12.5が好ましく、11.5〜12.5がより好ましい。HLBが上記範囲内であれば、増粘効果が得られる。特にHLBが10.5以上であれば、曇点が高くなるとともに、(A)成分中のエチレンオキシド未付加体の割合が少なくなるため、高温条件および低温条件での保存安定性が良好となる。なお、複数の(A)成分を併用する場合は、これらHLBの平均値が10.5〜12.5である。
上記一般式(I)中、nが5〜7であればHLBが10.5〜12.5に容易になり、nが5.5〜7であればHLBが11.0〜12.5に容易になり、nが6〜7であればHLBが11.5〜12.5に容易になる。
ここで「HLB」は、W.C.Griffinの方法により求められた値であり、詳しくは、J.Soc.Cosmetic Chemists,1,p311(1949)に記載されている方法により求めることができる。
(A)成分のナロー率は40質量%未満であり、20質量%以上40質量%未満が好ましく、25質量%以上40質量%未満がより好ましく、25質量%以上35質量%未満がさらに好ましい。ナロー率が40質量%未満の非イオン界面活性剤は、一般的な製造方法により得られるので、汎用性に優れる。一方、ナロー率が20質量%以上であれば、増粘効果がより得られやすくなる。
ここで「ナロー率」とは、(A)成分を構成する全エチレンオキシド付加体中に質量基準で最も多く存在するエチレンオキシド付加体のオキシエチレン基の平均繰り返し数(n)を「n−ave」としたときに、オキシエチレン基の平均繰り返し数(n)が(n−ave±2)の範囲にあるエチレンオキシド付加体の質量の合計が、(A)成分全体の質量に占める割合のことである。例えば、n−aveが6であり、オキシエチレン基の平均繰り返し数(n)が4〜8の範囲にあるエチレンオキシド付加体の質量の合計が(A)成分の全体の質量の35%の場合、ナロー率は35質量%となる。
(A)成分としては、例えば炭素数12/14の天然アルコールに対して、5モル、6モル、または7モル相当のエチレンオキシドを付加した非イオン界面活性剤などが挙げられる。
また、(A)成分の市販品として、ライオンケミカル株式会社製の「レオックスCL−50」、「レオックスCL−60」、「レオックスCL−70」などが挙げられる。
(A)成分は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(A)成分の含有量は、液体組成物100質量%中、0.5質量%以上5質量%未満であり、1質量%以上5質量%未満が好ましく、2質量%以上4質量%未満がより好ましく、3質量%以上4質量%未満がさらに好ましい。(A)成分の含有量が5質量%未満であれば、液体組成物に含まれる全ての界面活性剤の含有量の合計(以下、「総界面活性剤量」という。)を減らすことができ、環境に対する負荷を軽減できる。また、高温条件および低温条件での保存安定性が良好となる。一方、(A)成分の含有量が0.5質量%以上であれば、増粘効果がより得られやすくなる。また、洗浄力をより高めることができる。
<(B)成分>
(B)成分は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸および/またはその塩である。(B)成分は、特に高温条件および低温条件での保存安定性を高める成分(アニオン界面活性剤)である。また、(A)成分および後述する(C)成分との併用により粘度増加を図る成分でもある。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸としては、直鎖アルキル基の炭素数が8〜18のものが好ましく、炭素数が10〜15のものがより好ましい。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。特に増粘効果が得られやすくなる点で、ナトリウム塩が好ましい。
(B)成分としては、例えば直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸およびそのナトリウム塩などが挙げられる。
また、(B)成分の市販品として、ライオン株式会社製の「ライポンLH−200」などが挙げられる。
(B)成分は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(B)成分の含有量は、液体組成物100質量%中、0.5質量%以上3質量%未満であり、1質量%以上3質量%未満が好ましく、1質量%以上2質量%未満がより好ましい。(B)成分の含有量が0.5質量%以上であれば、高温条件および低温条件での保存安定性が良好となる。一方、(B)成分の含有量が3質量%未満であれば、洗浄力が高まる。
また、(A)成分と(B)成分との質量比((A)成分/(B)成分)は1.0〜5.0であり、2.0〜4.5が好ましく、3.0〜4.0がより好ましい。質量比が1.0以上であれば、洗浄力を十分に維持しつつ、増粘効果が得られる。一方、質量比が5.0以下であれば、高温条件および低温条件での保存安定性が良好となる。
また、液体組成物100質量%中の総界面活性剤量は5.5質量%未満であり、2.0質量%以上5.5質量%未満が好ましく、3.5質量%以上5.0質量%未満がより好ましい。総界面活性剤量が5.5質量%未満であれば、環境に対する負荷を軽減できる。一方、総界面活性剤量が2.0質量%以上であれば、十分な洗浄力が得られる。
なお、本発明の液体組成物が後述する任意界面活性剤を含有する場合、総界面活性剤量は(A)成分および(B)成分と任意界面活性剤との含有量の合計のことであり、本発明の液体組成物が任意界面活性剤を含有しない場合、総界面活性剤量は(A)成分および(B)成分の含有量の合計のことである。
<(C)成分>
(C)成分は、分子内にカルボニル基を2つ以上有するオキシカルボン酸およびその塩、ならびに分子内にカルボニル基を2つ以上有する飽和カルボン酸およびその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である。(C)成分は、(A)成分および(B)成分との併用により粘度増加を図る成分である。
分子内にカルボニル基を2つ以上有するオキシカルボン酸としては、例えばリンゴ酸、酒石酸、クエン酸などが挙げられる。
分子内にカルボニル基を2つ以上有するオキシカルボン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。
分子内にカルボニル基を2つ以上有する飽和カルボン酸としては、例えばマロン酸、グルタル酸などが挙げられる。
分子内にカルボニル基を2つ以上有する飽和カルボン酸の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。
(C)成分としては、増粘効果と保存安定性のバランスに優れる点で、分子内にカルボニル基を2つ以上有するオキシカルボン酸が好ましく、その中でも特に増粘効果が高く、かつ洗浄力をより高める点でリンゴ酸、クエン酸が好ましい。また、液体組成物が後述する(D)成分を含有する場合、(D)成分の安定性が低下しやすいpH7付近において緩衝機能を付与できる点でクエン酸が特に好ましい。
(C)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(C)成分の含有量は、液体組成物100質量%中、0.5質量%以上2.5質量%未満であり、1質量%以上2.5質量%未満が好ましく、1質量%以上2質量%未満がより好ましい。(C)成分の含有量が0.5質量%以上であれば、詳しくは後述するが、(A)成分および(B)成分で形成されるミセルの中に(C)成分が取り込まれ、適度に親水性を保ちながら棒状ミセルの形成を促進する。よって、高温条件での保存安定性を保ちながら十分な増粘効果が得られる。一方、(C)成分の含有量が2.5質量%未満であれば、低温条件での保存安定性が良好となる。
また、(B)成分と(C)成分との質量比((B)成分/(C)成分)は1.5未満であり、0.5以上1.5未満が好ましく、0.5以上1.0未満がより好ましく、0.5以上0.9未満がさらに好ましい。質量比が1.5未満であれば、増粘効果が得られる。一方、質量比が0.5以上であれば、高温条件および低温条件での保存安定性がより良好となる。
また、(B)成分および(C)成分の含有量の合計は1.0質量%以上であり、1.0質量%以上4.5質量%未満が好ましく、1.5質量%以上4.0質量%未満がより好ましく、2.0質量%以上3.5質量%未満がさらに好ましい。(B)成分および(C)成分の含有量の合計が1.0質量%以上であれば、増粘効果が得られる。一方、(B)成分および(C)成分の含有量の合計が4.5質量%未満であれば、高温条件および低温条件での保存安定性がより良好となる。
<(D)成分>
(D)成分は、過酸化水素である。(D)成分は、洗浄力(特に塗布洗浄時の洗浄力)を高める漂白成分である。本発明の液体組成物を液体漂白剤として用いる場合には、(D)成分を含有するのが好ましい。
(D)成分の含有量は、液体組成物100質量%中、0.1〜5質量%が好ましい。(D)成分の含有量が0.1質量%以上であれば、十分な漂白効果が得られる。一方、(D)成分の含有量が5質量%以下であれば、増粘効果を良好に維持できる。
ところで、(C)成分は(D)成分と反応することで(C)成分が分解し、ガス(二酸化炭素)が発生すると考えられる。通常、(D)成分はpHが酸性側である方が安定であるが、pHが酸性になるほど(C)成分は(D)成分と反応しやすくなる傾向にある。一方、pHが中性付近である場合、(C)成分の(D)成分との反応性は低くなる傾向にあるが、(D)成分の安定性も低下する。(D)成分の安定性が低下すると(C)成分は(D)成分と反応しやすくなるため、結果として(C)成分の(D)成分との反応性が高くなる。
(C)成分と(D)成分との存在下に、下記(E)成分を添加すると、(C)成分の(D)成分との反応性が低下するとともに、(D)成分の安定性が向上する。その結果、(C)成分の分解が抑制され、ガス発生を防止できると考えられる。このとき、液体組成物の25℃におけるpHを5〜7に調整すれば、(C)成分の分解がより抑制される。
また、(C)成分が分解すると増粘効果が低下するおそれもあるが、(E)成分を併用し、好ましくは液体組成物のpHを5〜7に調整することにより(C)成分の分解を抑制することで、増粘効果を良好に維持できると考えられる。
<(E)成分>
(E)成分は、フェノール系ラジカルトラップ剤である。(E)成分は、液体組成物が(D)成分を含有する場合に、(C)成分の分解により発生するガスを抑制する目的で用いられる。
フェノール系ラジカルトラップ剤とは、フェノールまたはフェノール誘導体のことである。
フェノール誘導体としては、フェノール性のOH基を有する化合物、フェノール性のOH基のエステル誘導体、フェノール性のOH基のエーテル誘導体などが挙げられる。なお、ベンゼン環には置換基が結合していてもよく、その置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよい。
ここで、「フェノール性のOH基のエステル誘導体」とは、フェノール性のOH基の水素原子が、炭素数1〜3程度の脂肪酸とエステル反応することにより形成されるエステル基を有する化合物を示す。
また、「フェノール性のOH基のエーテル誘導体」とは、フェノール性のOH基の水素原子が、炭素数1〜5のアルキル基またはフェニル基などのアリール基と置換してエーテル結合を構成している基を有する化合物を示す。
これらの中でも、(E)成分としてはフェノール性のOH基を有する化合物が好ましい。その中でも特に、「G.E.Penketh,J.Appl.Chem」,7,512〜521頁(1957)に記載された酸化還元電位(O.P.)が1.25V以下の化合物が好ましく、0.75V以下の化合物がより好ましい。これらの中でも、さらに好ましくは、ジメトキシフェノール、カテコール、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等が挙げられ、4−メトキシフェノールが特に好ましい。
(E)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分の含有量は、液体組成物100質量%中、0.01〜6質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましい。(E)成分の含有量が0.01質量%以上であれば、(D)成分が存在していても(C)成分の分解を抑制でき、液体組成物からのガス発生を防止できる。一方、(E)成分の含有量が6質量%以下であれば、製造コストが高くなりにくい。
<任意成分>
本発明の液体組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、上記(A)〜(E)成分、および水以外の他の成分を含有してもよい。
例えば本発明の液体組成物が(D)成分を含有する場合は、漂白効果を向上させる目的で下記漂白活性化剤をさらに含有することが好ましい。
さらに、高温条件での保存安定性をより向上させる目的で下記キレート剤を含有することが好ましく、低温条件での保存安定性をより向上させる目的で下記ハイドロトロープ剤を含有することが好ましく、嗜好性を高める目的で下記香料を含有することが好ましい。
(漂白活性化剤)
漂白活性化剤としては、例えばテトラアセチルエチレンジアミン、ペンタアセチルグルコース、オクタノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタノイルオキシ安息香酸、ノナノイルオキシ安息香酸、デカノイルオキシ安息香酸、ウンデカノイルオキシ安息香酸、ドデカノイルオキシ安息香酸、オクタノイルオキシベンゼン、ノナノイルオキシベンゼン、デカノイルオキシベンゼン、ウンデカノイルオキシベンゼン、ドデカノイルオキシベンゼン等の有機過酸前駆体などが挙げられる。これらの中でも、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシ安息香酸が好ましい。
これら漂白活性化剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(キレート剤)
キレート剤は、Fe3+およびCu2+に対するキレート安定化定数の対数値(logK)がそれぞれ10以上であって、Ca2+に対するキレート安定化定数の対数値(logK)がそれぞれ5.5以上であるキレート剤である。Fe3+およびCu2+に対するキレート安定化定数の対数値(logK)は、それぞれ12以上が好ましい。
このようなキレート剤としては、例えばエタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸塩、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸等の有機ホスホン酸誘導体が挙げられる。これらの中でも、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸が好ましく、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸が特に好ましい。
1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸としては、市販品を用いることができ、例えばローディアジャパン株式会社製の「フェリオックス115」;オルブライトウィルソン社製の「BRIQUEST ADPA」;キレスト株式会社製の「キレストPH−210」;モンサント社製の「DEQUEST 2010」等が挙げられる。
これらキレート剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
キレート剤の含有量は特に制限されないが、液体組成物100質量%中、0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
(ハイドロトロープ剤)
ハイドロトロープ剤としては、例えばエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、質量平均分子量が約200のポリエチレングリコール、質量平均分子量が約400のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリグリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキルエーテル類等の水混和性の有機溶剤、パラトルエンスルホン酸、安息香酸塩、尿素などが挙げられる。
これらハイドロトロープ剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(香料)
香料とは、香料原料単体、または香料原料、香料用溶剤、香料安定化剤等からなる混合物である香料組成物を含むものである。
香料の含有量は特に制限されないが、液体組成物100質量%中、0.0001〜5質量%が好ましく、0.001〜2質量%がより好ましい。
香料として使用される香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals」,Vol.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994);「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996);「Perfume and Flavor Materials of NaturalOrigin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994);「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989);「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996);「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
香料用溶剤としては、例えばエタノール、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート)、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコールDPG−FC(ジプロピレングリコール)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト−5(1,2−ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA−2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA−4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。
香料組成物100質量%中の香料用溶剤の含有量は、0.1〜99質量%が好ましく、0.1〜10%質量がより好ましい。
香料安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ビタミンEとその誘導体、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物等が挙げられる。これらの中でも、ジブチルヒドロキシトルエンが好ましい。
香料組成物100質量%中の香料安定化剤の含有量は、0.0001〜10質量%が好ましく、0.001〜5質量%がより好ましい。
(その他)
本発明の液体組成物は、上述した任意成分以外にも、液体洗浄剤や液体漂白剤等に通常用いられる成分を配合することができ、例えば以下に示す任意界面活性剤やpH調整剤などが挙げられる。
(任意界面活性剤)
任意界面活性剤としては、(A)成分及び(B)成分を除くものであればよく、例えばカチオン界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。また、(A)成分以外の非イオン界面活性剤や、(B)成分以外のアニオン界面活性剤を任意界面活性剤として含んでいてもよい。
任意界面活性剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
任意界面活性剤の含有量は、液体組成物100質量%中、1質量%以下が好ましい。
(pH調整剤)
pH調整剤としては、例えば塩酸、硫酸等の無機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基などが挙げられる。中でも硫酸、水酸化ナトリウムが好ましい。
pH調整剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<物性>
(pH)
本発明の液体組成物の25℃におけるpHは3〜7である。液体組成物のpHを上記範囲内とすることで、詳細は後述するが(C)成分が酸解離を起こすことで、保存安定性を維持しつつ、増粘効果が得られる。
保存安定性を維持しつつ増粘効果をより高める点では、液体組成物のpHは4〜7が好ましく、4〜6が好ましい。
また、(C)成分の分解を抑制でき、液体組成物からのガス発生を防止できる点では、液体組成物のpHは5〜7が好ましく、5〜6がより好ましい。
液体組成物のpHは、pH調整剤を用いて調整できる。なお、液体組成物のpHは(C)成分の含有量によっても変化するので、上述した(C)成分の含有量の範囲内であれば、(C)成分によって液体組成物のpHを調整してもよい。
(粘度)
本発明の液体組成物の25℃における粘度は10〜100mPa・sが好ましく、10〜50mPa・sがより好ましい。粘度が上記範囲内であれば、安定性に優れ、使い勝手のよい液体組成物となる。また、液体組成物を塗布洗浄に用いる場合でも、布上に留まりやすい。
ここで、液体組成物の粘度は、以下のようにして測定されたものである。
まず、B型粘度計にローター番号No.1(粘度が100mPa・s以上の場合はローター番号No.2)を備え付ける。ついで、測定試料をビーカーに入れ、25℃の恒温槽内にて測定試料の液温が25℃になるように調整する。液温を25℃に調整した測定試料を先のB型粘度計にセットし、ローターの回転数を60rpmに設定し、回転開始から60秒後の粘度を測定する。
<製造方法>
本発明の液体組成物は、上記(A)〜(C)成分と、必要に応じて(D)成分、(E)成分、任意成分とを、各成分の純分換算量が上記範囲内となるように、水(例えば精製水、イオン交換水など)と混合し、混合物のpHを3〜7に調整することにより得られる。上述したように、pHは(C)成分の含有量(配合量)によっても変化するので、(C)成分の配合量を調節して混合物のpHを調整してもよい。(C)成分だけでは混合物のpHが所望の値とならない場合は、pH調整剤を用いてpHを調整する。
混合条件としては、(B)成分および(C)成分と水とを混合した後に、(A)成分を添加してさらに混合するのが好ましい。(B)成分と(C)成分の添加順序は特に制限されないが、(B)成分の後に(C)成分を添加するのが好ましい。また、液体組成物が(D)成分、(E)成分、任意成分を含有する場合、その混合のタイミングは特に制限されないが、例えば(D)成分は、最後に添加することが好ましく、(E)成分は(A)成分、(B)成分および(C)成分を添加した後に添加することが好ましい。
<使用方法>
本発明の液体組成物は、液体洗浄剤として好適である。特に液体組成物が(D)成分を含有していれば、液体漂白剤として用いることもできる。
本発明の液体組成物の使用方法は、通常の液体洗浄剤や液体漂白剤の使用方法と同様である。すなわち本発明の液体組成物(以下、本発明品ということがある。)を、洗濯時に洗濯物と一緒に水に投入する方法、泥汚れや皮脂汚れに本発明品を直接塗布する方法、本発明品を予め水に溶かして衣類を浸漬する方法等が挙げられる。また、本発明品を洗濯物に塗布後、適宜放置し、その後、通常の洗濯液を用いて通常の洗濯を行う方法も好ましい。
<作用効果>
以上説明した本発明の液体組成物は、上記(A)〜(C)成分を特定量含有し、かつ25℃におけるpHが3〜7であるため、界面活性剤の配合量を減らしても粘度増加が図れ、かつ、高い洗浄力を有し、高温条件および低温条件での保存安定性に優れる。
粘度増加を図りつつ、高温条件および低温条件での保存安定性に優れる理由としては以下のように考えられる。
HLBが10.5〜12.5であり、かつナロー率が40質量%未満である、上記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤((A)成分)は、HLBが13以上のエチレンオキシド付加体を多く含んでいるため、球状ミセルを形成しやすい。また、(A)成分はエチレンオキシドが付加されていないものも含んでいるため、高温条件および低温条件での保存安定性が悪い。そのため、(A)成分と水との組成物(初期組成物)は、一般的に粘度が低くなる傾向にあり、さらに安定性の確保が困難となる。該初期組成物に(B)成分および(C)成分を添加すると、(B)成分が安定性を良好にしつつ、(C)成分が棒状ミセルの形成を促進するため、増粘効果が得られる。また、pHを3〜7に調整して液体組成物とすると、理由は定かではないが、(C)成分の酸解離が起こり、親水性を維持しながら棒状ミセルの形成をさらに促進するため、増粘効果が得られると考えられる。また、(C)成分は適度に棒状ミセルのパッキング性を緩和し、高温条件および低温条件での保存安定性を維持しながら増粘効果を発現すると考えられる。
通常、(A)成分を5質量%未満と水とを含有し、25℃におけるpHが3〜7の組成物(初期組成物)は、25℃における粘度が2〜20mPa・s程度の範囲にある。特に、粘度が10〜20mPa・s程度の範囲にある場合は、高温条件および低温条件での保存安定性が低下する傾向にある。該初期組成物に(B)成分および(C)成分を添加し、pHを3〜7に調整することにより、上述したように、高温条件および低温条件での保存安定性を維持しながら増粘化する。
本発明の液体組成物であれば、初期組成物の粘度の2〜20倍、好ましくは5〜10倍の増粘化が可能となる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
「使用原料」
(A)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・A−1:天然アルコール(C12/C14=7/3)に平均5モルのエチレンオキシドを付加した非イオン界面活性剤(ライオンケミカル株式会社製、「レオックスCL−50」、HLB=10.6、ナロー率=36質量%)、上記一般式(I)に示す化合物に相当し、式(I)中、Rはドデシル基/テトラデシル基=7/3であり、n=5である。
・A−2:天然アルコール(C12/C14=7/3)に平均6モルのエチレンオキシドを付加した非イオン界面活性剤(ライオンケミカル株式会社製、「レオックスCL−60」、HLB=11.6、ナロー率=39質量%)、上記一般式(I)に示す化合物に相当し、式(I)中、Rはドデシル基/テトラデシル基=7/3であり、n=6である。
・A−3:天然アルコール(C12/C14=7/3)に平均7モルのエチレンオキシドを付加した非イオン界面活性剤(ライオンケミカル株式会社製、「レオックスCL−70」、HLB=12.3、ナロー率=35質量%)、上記一般式(I)に示す化合物に相当し、式(I)中、Rはドデシル基/テトラデシル基=7/3であり、n=7である。
(B)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・B−1:直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸(ライオン株式会社製、「ライポンLH−200(LAS−H)」)。
(C)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・C−1:リンゴ酸(関東化学株式会社製、試薬「DL−リンゴ酸」)。
・C−2:酒石酸(関東化学株式会社製、試薬「L(+)−酒石酸」)。
・C−3:クエン酸(関東化学株式会社製、試薬「くえん酸」)。
・C−4:グルタル酸(和光純薬工業株式会社製、試薬「グルタル酸」)。
(D)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・D−1:過酸化水素(三菱ガス化学株式会社製)。
(E)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・E−1:4−メトキシフェノール(川口化学工業株式会社製、「MQ−F」)。
任意成分として、以下に示す化合物を用いた。
HEDP:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(ローディアジャパン株式会社製、「フェリオックス115」)。
香料:特開2003−268398号公報の表7〜14に記載の香料組成物A。
水酸化ナトリウム:東亞合成株式会社製。
「実施例1」
<液体組成物の調製>
500mLのビーカーに、表1に示す種類と配合量の(B)成分および(C)成分と任意の量の精製水とを投入し、マグネットスターラー(MITAMURA KOGYO INC.製)で十分に撹拌した。次いで、表1に示す種類と配合量の(A)成分を投入して攪拌した後、表1に示す種類と配合量の(E)成分および任意成分を添加し、最後に(D)成分加え、全体量(最終の全体量を100質量%とする。)が90質量%になるように精製水を入れ、さらによく撹拌して混合した。その後、pH調整剤(水酸化ナトリウム)を適量添加してpHを調整し、全体量が100質量%になるように残りの精製水を加え、液体組成物を得た。
pH測定は、ビーカーに入れ、25℃の恒温槽内にて測定試料の液温が25℃になるように調整し、pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、「HM−30G」)を用いて行った。測定方法は、JIS K3362−1998に準拠して行った。液体組成物のpHを表1に示す。
得られた液体組成物について、粘度を測定し、保存安定性、洗浄力、ガス発生の評価を行った。これらの結果を表1に示す。
なお、表1中の配合量の単位は質量%であり、純分換算量を示す。また、バランス量の精製水とは、最終生成物である液体組成物の総量(全体量)が100質量%になるように配合量を調整した精製水のことである。
<測定・評価方法>
(粘度の測定)
液体組成物の25℃における粘度を以下のようにして測定した。
まず、B型粘度計(株式会社東京計器製、「型式BM」)にローター番号No.1(粘度が100mPa・s以上の場合はローター番号No.2)を備え付けた。ついで、測定試料をトールビーカーに入れ、25℃の恒温槽内にて測定試料の液温が25℃になるように調整した。液温を25℃に調整した測定試料を先のB型粘度計にセットし、ローターの回転数を60rpmに設定し、回転開始から60秒後の粘度を測定した。
(保存安定性の評価)
透明のガラス瓶(広口規格びんPS−NO.11K)に、液体組成物100mLを入れ、蓋を閉めて密封した。この状態で50℃の恒温室または−5℃の恒温室中で1ヵ月保存した後、液の外観を目視で観察し、下記基準により保存安定性を評価した。△、○、◎を合格とした。
◎:液は透明であり、沈殿物は確認できない。
○:液がやや濁っている。
△:液が白濁している。
×:液が分離している、および/または、沈殿物が確認できる。
(洗浄力の評価)
3cm×3cmのポリエステルトロピカル(原布)に市販のラー油(ヱスビー食品株式会社製)を0.015mL滴下し、一晩放置し、これを評価布とした。この評価布1枚に対して、液体組成物を0.24mL塗布し、5分放置した。その後、水温15℃の水道水900mLを入れたTerg−O−Tometer(UNITED STATES TESTING社製)を用いて、120rpmで10分間洗浄した(浴比20倍)。その後、ザルに空けて洗浄液を除き、評価布を2槽式洗濯機(三菱電機株式会社製、「CW−C30A1型」)の脱水槽で1分間脱水した。さらに水温15℃の水道水900mLを入れたTerg−O−Tometer浴中で3分間すすぎ、評価布を2槽式洗濯機の脱水槽で1分間脱水した。そして、水温15℃の水道水900mLを入れたTerg−O−Tometer浴中で3分間すすぎ、評価布を2槽式洗濯機の脱水槽で1分間脱水した後、評価布を風乾した。
ラー油付着前の原布と、洗浄前の評価布と、洗浄・乾燥後の評価布のZ値(反射率)を測色色差計(日本電色株式会社製、「SE2000」)を用いて測定し、下記式により洗浄率(%)を算出した。
洗浄率(%)=(洗浄・乾燥後の評価布のZ値−洗浄前の評価布のZ値)/(原布のZ値−洗浄前の評価布のZ値)×100
下記評価基準により洗浄力を評価した。なお、洗浄率(%)には、汚染布5枚の平均点を用いた。△、○、◎を合格とした。
◎:洗浄率が40%以上。
○:洗浄率が30%以上40%未満。
△:洗浄率が20%以上30%未満。
×:洗浄率が20%未満。
(ガス発生の評価)
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)、厚さ15μmのポリエチレン(PE)、厚さ7μmのアルミニウム箔、厚さ30μmのPEの順で積層した積層フィルムを縦6cm、横12cmに切り出し、縦方向に半分に折った。ついで、横方向の2辺を0.5cm幅でヒートシールして容器とした。容器の開口部から液体組成物を20g充填した後、開口部を0.5cm幅でヒートシールして密封した。この状態で50℃の恒温室中で2ヵ月保存した後、容器の外観を目視で観察し、下記基準により保存安定性を評価した。△、○、◎を合格とした。
◎:容器に膨らみが全くない。
○:容器がわずかに膨らんでいる。
△:容器がやや膨らんでいる。
×:容器が明らかに膨らんでいる。
「実施例2〜20、比較例1〜10」
各成分の配合量を表1〜3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして各例の液体組成物を調製し、各種測定および評価を行った。結果を表1〜3に示す。
Figure 0006031371
Figure 0006031371
Figure 0006031371
表1〜2から明らかなように、各実施例の液体組成物は、界面活性剤の配合量を減らしても粘度増加が図れた。また、各実施例の液体組成物は高い洗浄力を有し、高温条件および低温条件での保存安定性に優れていた。特に、25℃におけるpHが5〜6である実施例5〜18の液体組成物は、ガス発生を効果的に抑制できた。
一方、(B)成分および(C)成分を含有しない比較例1〜5の液体組成物は、粘度が低く、増粘効果が得られなかった。また、高温条件および低温条件での保存安定性にも劣っていた。特に、比較例4の液体組成物は洗浄力にも劣っていた。なお、比較例1〜5はガス発生の原因と考えられる(C)成分を含有していないので、ガス発生の評価は行わなかった。
(B)成分と(C)成分との質量比((B)成分/(C)成分)が1.7である比較例6の液体組成物は、粘度が低く、増粘効果が得られなかった。また、高温条件および低温条件での保存安定性にも劣っていた。
(C)成分の含有量が2.5質量%であり、(A)成分と(B)成分との質量比((A)成分/(B)成分)が0.8である比較例7の液体組成物は、洗浄力に劣っていた。
(A)成分と(B)成分との質量比((A)成分/(B)成分)が6.7である比較例8の液体組成物は、高温条件での保存安定性に劣っていた。
(C)成分の含有量が2.5質量%である比較例9の液体組成物は、低温条件での保存安定性に劣っていた。また、(B)成分と(C)成分との質量比((B)成分/(C)成分)が0.4であったため、高温条件での保存安定性にも劣っていた。
25℃におけるpHが2である比較例10の液体組成物は、粘度が低く、増粘効果が得られなかった。また、ガスが発生しやすかった。

Claims (4)

  1. 下記(A)成分を0.5質量%以上5質量%未満と、下記(B)成分を0.5質量%以上3質量%未満と、下記(C)成分を0.5質量%以上2.5質量%未満と、水とを含有し、全ての界面活性剤の含有量の合計が5.5質量%未満であり、(A)成分と(B)成分との質量比((A)成分/(B)成分)が1.0〜5.0であり、(B)成分と(C)成分との質量比((B)成分/(C)成分)が1.5未満であり、かつ25℃におけるpHが3〜7である、衣類用の液体組成物。
    (A)成分:下記一般式(I)で表され、HLBが10.5〜12.5であり、かつナロー率が40質量%未満である非イオン界面活性剤。
    R−(OCHCH)−OH ・・・(I)
    [式(I)中、Rは炭素数8〜18のアルキル基または炭素数8〜18のアルケニル基であり、nはオキシエチレン基の平均繰り返し数を示す。]
    (B)成分:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸および/またはその塩。
    (C)成分:分子内にカルボニル基を2つ以上有するオキシカルボン酸およびその塩、ならびに分子内にカルボニル基を2つ以上有する飽和カルボン酸およびその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種。
  2. 前記(A)成分と(B)成分との質量比((A)成分/(B)成分)が2.0〜5.0である、請求項1に記載の衣類用の液体組成物。
  3. 下記(D)成分および(E)成分をさらに含有する、請求項1または2に記載の衣類用の液体組成物。
    (D)成分:過酸化水素。
    (E)成分:フェノール系ラジカルトラップ剤。
  4. 請求項1または2に記載の衣類用の液体組成物の製造方法であって、
    前記(A)〜(C)成分と水とを混合し、混合物のpHを3〜7に調整する、衣類用の液体組成物の製造方法。
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