JP6031300B2 - ラクチド共重合体およびその製造方法 - Google Patents

ラクチド共重合体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、分岐構造を有する新規なラクチド共重合体及びその製造方法に関するものであり、より詳しくは、ラクチドと特定の構造を有するε−カプロラクトンの共重合により得られる分岐構造を有する新規なラクチド共重合体及びその製造方法に関するものである。
従来、ポリ乳酸(ポリラクチド)は生分解性、生体適合性を有し、医薬用材料として利用されてきた。これに対して、近年、バイオマス資源を利用した植物由来プラスチックであるとともに、従来用いられてきたプラスチックに近い物性を示すことから、汎用材料としての利用が広がりつつある。
ところが、結晶性のポリ乳酸は硬くて脆い性質が更なる利用の広がりを制限しており、さらに、結晶性ポリ乳酸は、成型加工性に劣る問題点が指摘されており、これらの課題を改善するための手法が検討されている。
ポリ乳酸の成形加工性を改善する検討として、例えば、ポリ乳酸にアクリル酸エステルを添加、架橋を生じさせる方法(例えば特許文献1参照。)、イソシアネート化合物を添加することで架橋させる方法(例えば特許文献2参照)、などが提案されている。
特開2004−051803号公報(例えば特許請求の範囲参照。) 特開2003−238789号公報(例えば特許請求の範囲参照。)
しかし、特許文献1,2に提案された方法により得られるポリ乳酸は、その成形加工性改良効果としては不十分である上に、耐熱性、熱的安定性等に課題を有するものであった。
そこで、本発明は、成形加工性が改良されると共に、耐熱性にも優れることが期待される分岐構造を有する新規なラクチド共重合体及びその製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、ラクチドの開環重合を特定のε−カプロラクトン誘導体の存在下で行うことで、分岐構造を有する新規なラクチド共重合体が従来のポリ乳酸より高い融点を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、一般式(1)
(式中、l、nは、それぞれ独立して1以上の整数であり、2≦(l+n)≦400を満たし、mは、1〜20の整数であり、pは、0〜5の整数を示す。)
で示されることを特徴とするラクチド共重合体及びその製造方法に関するものである。
本発明のラクチド共重合体は、分岐構造を有する新規なラクチド共重合体であることから、優れた耐熱性、成形加工性を有するものとなり、その産業的価値は極めて高いものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のラクチド共重合体は、分岐構造を有する新規なラクチド共重合体であり、上記一般式(1)で示される構造を有するものである。ここで、1及びnは、ラクチドの開環残基単位を示すものであり、l、nは、それぞれ独立して1以上の整数であり、2≦(l+n)≦400を満たすものである。ここで、l又はnが0である場合、ラクチド共重合体は、分岐構造をとることができなくなり成形加工性に劣るものとなる。また、(l+n)が400を越える場合、ラクチド共重合体の分子量が大きいものとなり成形加工性に劣るものとなる。また、mは、分岐構造を誘導する共重合成分の開環残基単位を示すものであり、mは、1〜20の整数であり、特に耐熱性と成形加工性のバランスにより優れるものとなることから1〜10の整数であることが好ましい。ここで、mが0である場合、ラクチド重合体は、分岐構造を有さず成形加工性に劣るものとなる。一方、mが20を越える場合、ラクチド共重合体は、分岐構造の導入量が多くなる、架橋構造となる、等の課題が発生しやすくなるため、成形加工性に劣るものとなる。なお、pは0〜5の整数を示すものである。該pは、該分岐構造を誘導する共重合成分、好ましくは、特定のε−カプロラクトンの構成単位を示すものであり、詳細については後述する。
そして、本発明の分岐構造を有する新規なラクチド共重合体は、主としてL−ラクチドの開環重合により生成するポリL−ラクチド重合体、主としてD−ラクチドの開環重合により生成するポリ(D−ラクチド)重合体、ラセミ体ラクチドの開環重合により生成するポリ(DL−ラクチド)重合体のいずれでもよく、その中でも、ポリ(L−ラクチド)重合体又はポリ(D−ラクチド)重合体である場合、高結晶性で、融点を170℃付近に有するラクチド共重合体となることから、高結晶、高耐熱の新規なラクチド共重合体とする場合には、ポリ(L−ラクチド)型共重合体又はポリ(D−ラクチド)型共重合体とすることが好ましい。また、ポリ(DL−ラクチド)重合体である場合には、ラセミ体ラクチドの開環重合により形成されるL−ラクチド開環残基単位とD−ラクチド開環残基単位の光学異性体の強い相互作用によりステレオコンプレックスが形成され、融点を190℃以上に有するラクチド共重合体となることから、より高耐熱性を有する新規なラクチド共重合体とする場合には、ポリ(DL−ラクチド)型共重合体とすることが好ましい。
本発明の分岐構造を有する新規なラクチド共重合体の製造方法としては、上記一般式(1)で示される構造を有するラクチド共重合体の製造が可能であれば如何なる方法により製造することも可能であり、ラクチドと下記一般式(2)で示されるε−カプロラクトンとを開環重合による共重合を行う方法を挙げることができる。
(式中、qは0〜5の整数を示す。)
一般に、ラクチドとは、2分子の乳酸の互いのヒドロキシ基とカルボキシル基が脱水縮合してできた2つのエステル結合を有する環状化合物として知られている。ラクチドには、L−乳酸から生成するL−ラクチド、D−乳酸から生成するD−ラクチド、L−乳酸とD−乳酸から生成するメソ−ラクチドの3種類の異性体が存在することが知られている。そして、L−ラクチドとD−ラクチドの同量の混合物がラセミ体ラクチドである。ここで、ラクチドとしては、L−ラクチド、D−ラクチド、メソ−ラクチド、ラセミ体ラクチドのいずれでもよく、その中でも高融点を有し、高耐熱性が期待できる分岐構造を有する新規なラクチド共重合体となることから、L−ラクチド、D−ラクチド、ラセミ体ラクチドであることが好ましく、特にラセミ体ラクチドであることが好ましい。
また、上記一般式(2)で示されるε−カプロラクトンは、開環重合により側鎖として水酸基を有するε−カプロラクトン開環残基単位を誘導するものであり、該水酸基から、さらにラクチドの開環重合が進行することにより、側鎖にポリラクチド部位を有する本発明の分岐構造を有する新規なラクチド共重合体を形成するものである。そして、上記一般式(2)で表されるε−カプロラクトンのqは、水酸基を有する側鎖の長さを示しており0〜5の整数である。qが0〜5の整数であることにより、該ε−カプロラクトンは入手しやすいものとなる。該一般式(2)で表されるε−カプロラクトンは、ε−カプロラクトンに水酸基を有するアルキル基が付加した化合物であり、水酸基を有するアルキル基が付加する位置として、ε−カプロラクトンの2,3,4、5,6位のいずれの位置でもよく、容易に合成が可能であることから、4位に水酸基を有するアルキル基が付加したものであることが好ましい。
該一般式(2)で示されるε−カプロラクトンとしては、例えば4−ヒドロキシ−ε−カプロラクトン、 4−ヒドロキメチル−ε−カプロラクトン、4−(2−ヒドロキシエチル)−ε−カプロラクトン、4−(3−ヒドロキシプロピル)−ε−カプロラクトン、4−(4−ヒドロキシブチル)−ε−カプロラクトン、4−(5−ヒドロキシペンチル)−ε−カプロラクトン、4−ヒドロキシ−ε−カプロラクトン等を挙げることができる。
以下に、4位に置換基を有し、q=2に相当するε−カプロラクトンである4−(2−ヒドロキシエチル)−ε−カプロラクトンの具体的製造方法の例示を示す。該4−(2−ヒドロキシエチル)−ε−カプロラクトンは、例えば1,4−シクロヘキサンジオン −モノ−エチレンアセタール を出発原料として用い、該1,4−シクロヘキンジオン −モノ−エチレンアセタール とホスホノ酢酸トリエチルの反応後に 、還元、脱アセタール化反応により、ヒドロキシエチル基を有するシクロヘキサノンを合成後、バイアービリガー反応により、4−(2−ヒドロキシエチル)−ε−カプロラクトンとすることができる。
そして、ラクチドおよび該一般式(2)で示されるε−カプロラクトンの開環重合を行う際には、触媒を用いることが好ましく、ラクチドの開環重合、ラクチドと該ε−カプロラクトンの共重合を進行させることが可能な触媒としては、例えば下記一般式(4)に示されるサレン型アルミニウム錯体を触媒として用いることが好ましい。
(ここで、Yは2つのイミン部位を架橋する炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基を示す。R、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基を示す。Rは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を示す。)
一般式(4)中、Yは2つのイミン部位を架橋する炭素数2〜6の二価脂肪族炭化水素基を示しており、例えばエチレン基、テトラメチルエチレン基、トリメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基などを例として挙げることができる。R、R、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などの炭素数1〜20の炭化水素基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基、メチルジイソプロピルシリル基、メチルジ−tert−ブチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基などの炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基を挙げることができる。Rは、アルミニウム元素に直接結合した配位子を示しており、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などの炭素数1〜20の炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ 基などの炭化水素基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの炭素数1〜20の窒素原子含有炭化水素基などを挙げることができ、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ベンゾキシ基などが好ましく、エチル基、ベンゾキシ基がさらに好ましい。該サレン型アルミニウム錯体の具体的な例としては、(N,N’−ビス(3−(トリイソプロピルシリル)サリチリデン)−1,2−ジアミノエタン)エチルアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(トリイソプロピルシリル)サリチリデン)−1,2−ジアミノエタン)エトキシアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(トリイソプロピルシリル)サリチリデン)−1,2−ジアミノエタン)ベンゾキシアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(トリイソプロピルシリル)サリチリデン)−1,2−ジアミノエタン)フェノキシアルミニウム;(N,N’−ビス(3−(トリイソプロピルシリル)サリチリデン)−1,3−ジアミノプロパン)エチルアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(トリイソプロピルシリル)サリチリデン)−1,3−ジアミノプロパン)エトキシアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(トリイソプロピルシリル)サリチリデン)−1,3−ジアミノプロパン)ベンゾキシアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(トリイソプロピルシリル)サリチリデン)−1,3−ジアミノプロパン)フェノキシアルミニウム;(N,N’−ビス(3−(トリイソプロピルシリル)サリチリデン)−2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン)エチルアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(トリイソプロピルシリル)サリチリデン)−2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン)エトキシアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(トリイソプロピルシリル)サリチリデン)−2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン)ベンゾキシアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(トリイソプロピルシリル)サリチリデン)−2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン)フェノキシアルミニウム;(N,N’−ビス(3−(tert−ブチルジメチルシリル)サリチリデン)−1,2−ジアミノエタン)エチルアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(tert−ブチルジメチルシリル)サリチリデン)−1,2−ジアミノエタン)エトキシアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(tert−ブチルジメチルシリル)サリチリデン)−1,2−ジアミノエタン)ベンゾキシアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(tert−ブチルジメチルシリル)サリチリデン)−1,2−ジアミノエタン)フェノキシアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(tert−ブチルジメチルシリル)サリチリデン)−1,3−ジアミノプロパン)エチルアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(tert−ブチルジメチルシリル)サリチリデン)−1,3−ジアミノプロパン)エトキシアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(tert−ブチルジメチルシリル)サリチリデン)−1,3−ジアミノプロパン)ベンゾキシアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(tert−ブチルジメチルシリル)サリチリデン)−1,3−ジアミノプロパン)フェノキシアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(tert−ブチルジメチルシリル)サリチリデン)−2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン)エチルアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(tert−ブチルジメチルシリル)サリチリデン)−2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン)エトキシアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(tert−ブチルジメチルシリル)サリチリデン)−2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン)ベンゾキシアルミニウム、(N,N’−ビス(3−(tert−ブチルジメチルシリル)サリチリデン)−2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン)フェノキシアルミニウムなどを挙げることができる。
そして、ラクチドと上記一般式(2)で示されるε−カプロラクトンとの共重合反応に制限はなく、例えば溶液開環重合、スラリー開環重合、塊状開環重合等により、重合を行うことができる。また、重合時に溶媒を使用することも任意であり、溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム等の一般的な溶媒を、単独または複数の溶媒を混合して使用することが可能である。
ラクチドと上記一般式(2)で示されるε−カプロラクトンとの共重合反応における反応条件は任意であり、その中でも特に反応効率よく、分岐構造を有する新規なラクチド共重合体を製造することが可能となることから、ラクチド:該ε−カプロラクトン(モル比)=2:1〜400:1、ラクチド:触媒(モル比)=1000:1〜1:1であることが好ましい。また、反応温度についても制限はなく、その中でも0℃〜200℃の温度範囲で行うことが好ましい。
反応終了後のラクチド共重合体の回収、反応後処理の方法についても、特に制限はなく、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールに投入し、析出したラクチド共重合体を回収後、乾燥する方法等を挙げることができる。
本発明の新規なラクチド共重合体は、耐熱性、成形加工性に優れることから各種用途用成形体として用いることが可能であり、例えば電子機器、パソコン、携帯電話、テレビ等の家電製品;インストルメンタルパネル、インストルメンタルパネルのアンダーカバー等の自動車内装部品、タイヤカバー等の自動車外装部品等の自動車用部品;コピー機、ファックス機、複合機、プリンター等のオフィス用機器;船、車両、航空機、自転車、オートバイ等の車両用部品;机、椅子等の事務機器;液晶表示装置、有機EL表示装置等の表示機器;太陽電池用基板;トレイ、コップ等の食器;シート;フィルム;カード;磁気テープ、キャリアテープ等のテープ;写真フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、金属板ラミネート用フィルム、ガラスディスプレイ用フィルム等のフィルム;タッチパネル、バックライト等のベースフィルム;救急絆創こう、サージカルテープ、リハビリテープ等の医療補助用テープの基材;消炎、鎮痛、血行促進等の疾患治療用テープの基材;手術用手袋;紙おむつ、等を挙げることができる。
以下に本発明を実施例により、詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
〜開環重合の進行確認〜
核磁気共鳴装置(NMR)(Varian社製、(商品名)GEMINI−2000型フーリエ変換核磁気共鳴装置)を用い、H−NMR(溶媒CDCl、テトラメチルシラン(TMS)基準)にて開環重合の追跡を行った。
〜ラクチド共重合体の分子量、多分散度の測定〜
溶離液にクロロホルムを用いたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)(東ソー(株)製、高速液体クロマトグラフ(商品名)SD−8020、カラム:(商品名)TSK−gel G2000HxL、G3000HxL及びG5000HxL、溶出液:クロロホルム)を用い(40℃、流速1.0ml/min )、標準ポリスチレン換算値として測定した。
〜ラクチド共重合体の溶融温度(Tm)、ガラス転移温度(Tg)の測定〜
示差走査熱量分析計(DSC)(セイコーインスツルメンツ製、(商品名)DSC6200(リファレンス:空アルミニウムパン;昇温速度:10℃/min;窒素流速:40mL/min)を用いて、0℃から230℃の範囲で加熱、急冷後、再加熱して測定した。
合成例1(4−(2−ヒドロキシエチル)−ε−カプロラクトンの合成)
(エチル−2−(4−オキソシクロヘキシリデン−4−エチレンアセタール)アセテート の合成)
ナスフラスコに攪拌子を入れて真空加熱乾燥した後、水素化ナトリウム(60% in oil)(132mg,3.3mmol)を秤取った。窒素置換したのちベンゼン(6.0ml)を加えた。0℃に冷却後、ホスホノ酢酸トリエチル(0.75ml,3.75mmol)を滴下して0℃〜室温で30分撹拌した。別の乾燥済みフラスコに1,4−シクロヘキサジオンモノエチレンアセタール(468mg,3.0mmol)を秤り取り、窒素置換後にベンゼン(3.0ml)で溶液とし、ステンレスキャニュラを用いて塩基処理したホスホノ酢酸トリエチル溶液へ加えて室温で1.5時間撹拌した。TLCで原料の消失を確認後、上澄みは飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。沈殿は水に溶かしてトルエンで分液抽出後、上澄みと有機相を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮してシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製した(662mg,収率97%)。
(エチル−2−(4−オキソシクロヘキシル−4−エチレンアセタール)アセテート の合成)
ナスフラスコ中でエタノール(5.0ml)にエチル−2−(4−オキソシクロヘキシリデン)アセテート−4−エチレンアセタール(662mg,2.92mmol)を溶解し、10wt%パラジウムカーボン(154 mg,0.14mmol)を添加し、ゴム風船圧をかけた水素ガス雰囲気にて一昼夜室温で撹拌した。TLCで原料の消失を確認した後、セライトで減圧濾過して濃縮後、真空乾燥で溶媒を除去した。パラジウムカーボンが混入したため、次の反応にて収量を算出した。
(4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサノン− エチレンアセタールの合成)
窒素雰囲気下のナスフラスコでエチル−2−(4−オキソシクロヘキシル−4−エチレンアセタール)アセテート を脱水ジエチルエーテル(13ml)に溶解し−20℃に冷却した。水素化アルミニウムリチウム(173mg,4.56mmol)と撹拌子を別のフラスコへ秤り取り窒素置換した後、エチル−2−(4−オキソシクロヘキシル−4−エチレンアセタール)アセテート のジエチルエーテル溶液を加えて−20℃から室温で1時間撹拌した。TLCで原料スポットの消失を確認後、冷却しながら水(0.17ml)、2mol/l水酸化ナトリウム水溶液(0.17ml,0.34mmol)、水(0.51ml)を滴下して反応を停止しセライトで濾過した。濾液をジエチルエーテルで分液抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製した(430mg,収率79%)。
(4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサノンの合成)
THF(4ml)に4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサノン− エチレンアセタール(430mg,2.31mmol)を溶解し、1mol/l塩酸(4ml)を加えて室温で一晩撹拌した。TLCで原料の消失を確認後、ジクロロメタンで分液抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を留去した(328mg,収率99%)。
(4−(2−ヒドロキシエチル)−ε−カプロラクトンの合成)
ジクロロメタン(4ml)に4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサノン(328mg,2.30mmol)を溶解し、80%メタクロロ過安息香酸(760mg,3.52mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。TLCで原料の消失を確認後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止し、酢酸エチルで分液抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製した。溶媒を留去後、クーゲル蒸留器で減圧蒸留(180℃,60Pa)し、再びシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。残存する水分を共沸で除去するためにクロロホルム溶液として減圧乾燥し、無色油状の4−(2−ヒドロキシエチル)−ε−カプロラクトンを得た。得られた4−(2−ヒドロキシエチル)−ε−カプロラクトンは一晩真空乾燥した後、精製トルエンで溶液とし凍結脱気して精製窒素下に保存した(122mg,収率33%、全収率25%)。
実施例1
(触媒溶液の調製)
(N,N’−ビス(3−(tert−ブチルメチルシリル)サリチリデン)−2,2−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン)ベンゾキシアルミニウムのトルエン溶液(0.60ml,0.020mmol)を調製後、さらに触媒溶液を精製トルエン(1.2ml)で希釈した。
(開環重合反応)
真空加熱乾燥した攪拌子入りすり付き試験管にラセミ体ラクチド(288mg,2.0mmol)を秤り取り、1時間以上真空乾燥した。ここへ4−(2−ヒドロキシエチル)−ε−カプロラクトンの0.10mol/lトルエン溶液(0.20ml,0.020mmol)を加えたのち、精製窒素下で触媒溶液のトルエン希釈液(1.8ml、0.020mmol)を加え70℃で撹拌し、開環重合反応を行った。
開環重合の進行は、H−NMRで追跡した。重合時間24時間、転化率が96%で重合を停止し、得られたラクチド共重合体を得た
得られたラクチド共重合体の粗ポリマーのSECを測定した結果、数平均分子量(Mn)は、17700、多分散度は1.42であった。メタノールによる精製、乾燥を行い、精製ラクチド共重合体を得た。DSC測定を行った結果、Tm=199℃、Tg=51℃であった。
得られたラクチド共重合体は、一般式(1)におけるl+n=122、m=1、p=2であるラクチド共重合体であり、13C−NMR(DEPT−135)を測定したところ、主鎖中の分岐部位に帰属される三級炭素の共鳴吸収が、31ppmに観測され、分岐構造を有することを確認した。
実施例2
4−(2−ヒドロキシエチル)−ε−カプロラクトンの添加量0.020mmolの代りに、0.040mmolとした以外は、実施例1と同様の方法によりラクチドと4−(2−ヒドロキシエチル)−ε−カプロラクトンの開環重合反応を行った。
開環重合の進行を、H−NMRで追跡した。転化率92%で重合を停止し、ラクチド共重合体を得た。
得られたラクチド共重合体の粗ポリマーのSECを測定した結果、数平均分子量(Mn)は、12800、多分散度は、1.35であった。また、精製ラクチド共重合体のDSC測定を行った結果、Tm=200℃、Tg=47℃であった。
得られたラクチド共重合体は、一般式(1)におけるl+n=88、m=2、p=2であるラクチド共重合体であった。
実施例3
4−(2−ヒドロキシエチル)−ε−カプロラクトンの添加量0.020mmolの代りに、0.080mmolとした以外は、実施例1と同様の方法でラクチドと4−(2−ヒドロキシエチル)−ε−カプロラクトンの開環重合反応を行った。
開環重合の進行を、H−NMRで追跡し、転化率95%で重合を停止し、ラクチド共重合体を得た。
得られたラクチド共重合体の粗ポリマーのSECを測定した結果、数平均分子量(Mn)は、9200、多分散度は、1.66であった。また、精製ラクチド共重合体のDSC測定を行った結果、Tm=194℃、Tg=46℃であった。
得られたラクチド共重合体は、一般式(1)におけるl+n=63、m=3、p=2であるラクチド共重合体であった。
比較例1
ラセミ体ラクチドの代りに、L体ラクチドを用い、4−(2−ヒドロキシエチル)−ε−カプロラクトンを用いなかった以外は、実施例1と同様の方法でラクチドの開環重合反応を行った。
開環重合の進行を、H−NMRで追跡し、転化率95%で重合を停止し、ラクチド重合体を得た。
得られたラクチド重合体の粗ポリマーのSECを測定した結果、数平均分子量(Mn)は、24900、多分散度は、1.10であった。また、精製ラクチド重合体のDSC測定を行った結果、Tm=167℃、Tg=47℃であった。
得られたラクチド重合体は、ラクチドの単独重合体であり、13C−NMR(DEPT−135)を測定したところ、主鎖中の分岐部位に帰属される三級炭素の共鳴吸収が見られず、分岐構造は確認できなかった。
本発明の分岐構造を有するラクチド共重合体は、融点を高く保ったまま、ラクチド重合体の成形加工性を改善することができることで、ポリオレフィンの代替材料としての利用が期待できる。

Claims (4)

  1. ラクチドと一般式(2)

    (式中、qは0〜5の整数を示す。)
    で示されるε−カプロラクトンとを共重合し、分岐構造を有するラクチド共重合体とすることにより得られるラクチド共重合体。
  2. ラクチドが、ラセミ体ラクチドであり、ε−カプロラクトンが、4−(2−ヒドロキシエチル)−ε−カプロラクトンであることを特徴とする請求項1に記載のラクチド共重合体。
  3. ラクチドと一般式(2)

    (式中、qは0〜5の整数を示す。)
    で示されるε−カプロラクトンとを共重合し、分岐構造を有するラクチド共重合体とすることを特徴とするラクチド共重合体の製造方法。
  4. ラクチドが、ラセミ体ラクチドであり、ε−カプロラクトンが、4−(2−ヒドロキシエチル)−ε−カプロラクトンであることを特徴とする請求項3に記載のラクチド共重合体の製造方法。
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