本発明の熱伝導性粘着シートは、モノマー成分および/またはポリマー成分と、熱伝導性粒子とを含有している粘着剤原料からシート状に形成されている。
モノマー成分としては、例えば、必須成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーが挙げられ、任意成分として、極性基含有モノマー、これらのモノマーと共重合可能な共重合可能モノマーが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、メタクリル酸アルキルエステルモノマーおよび/またはアクリル酸アルキルエステルモノマーであって、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどが挙げられる。
これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーのうち、特に接着特性のバランスを取りやすい点から、好ましくは、(メタ)アクリル酸C2−12アルキルエステル、より好ましくは、(メタ)アクリル酸C4−9アルキルエステルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーは、モノマー成分中に、例えば、60質量%以上、好ましくは、80質量%以上、例えば、99質量%以下の割合で配合される。
極性基含有モノマーとしては、例えば、窒素含有モノマー、水酸基含有モノマー、スルホ基含有モノマー、窒素・水酸基併有モノマー、窒素・スルホ基併有モノマー、水酸基・リン酸基併有モノマー、カルボキシル基含有モノマーなどが挙げられる。
窒素含有モノマーとしては、例えば、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−アクリロイルピロリジンなどの環状(メタ)アクリルアミド、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド(例えば、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミドなどのN−アルキル(メタ)アクリルアミド、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(n−ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(t−ブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド)などの非環状(メタ)アクリルアミド、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−モルホリノン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−1,3−オキサジン−2−オン、N−ビニル−3,5−モルホリンジオンなどのN−ビニル環状アミド、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有モノマー、例えば、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド骨格含有モノマー、例えば、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマーなどが挙げられる。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルメタクリレートなどが挙げられる。
スルホ基含有モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などが挙げられる。
窒素・水酸基併有モノマーとしては、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド(HEAA)、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(1−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
窒素・スルホ基併有モノマーとしては、例えば、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸などが挙げられる。
水酸基・リン酸基併有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどが挙げられる。
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
これらの極性基含有モノマーのうち、粘着剤層(後述)に高い接着性と保持力を付与するという点から、好ましくは、窒素含有モノマー、水酸基含有モノマー、窒素・水酸基含有モノマーが挙げられ、より好ましくは、N−ビニル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
極性基含有モノマーは、モノマー成分中に、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、また、例えば、30質量%以下、好ましくは、25質量%以下の割合で配合される。極性基含有モノマーの配合割合が上記範囲内であると、粘着剤層に良好な保持力を付与することができる。
なお、モノマー成分中に、好ましくは、カルボキシル基含有モノマーは、実質的に含まない。具体的には、カルボキシル基含有モノマーの配合割合は、モノマー成分中に、例えば、5質量%以下、好ましくは、1質量%以下、さらに好ましくは、0.5質量%以下である。カルボキシル基含有モノマーの配合割合が上記範囲内であると、熱伝導性粒子をゲル化することなく分散することができる。
共重合可能モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのアルコキシ基含有モノマー、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー、例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのα−オレフィン、例えば、2−イソシアナートエチルアクリレート、2−イソシアナートエチルメタクリレートなどのイソシアネート基含有モノマー、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー、例えば、アルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどの複素環含有(メタ)アクリル酸エステル、例えば、フルオロアルキル(メタ)アクリレートなどのハロゲン原子含有モノマー、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのアルコキシシリル基含有モノマー、例えば、(メタ)アクリル基含有シリコーンなどのシロキサン骨格含有モノマー、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの脂環式炭化水素基含有(メタ)アクリレート、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸フェノキシジエチレングリコールなどの芳香族炭化水素基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの共重合可能モノマーのうち、好ましくは、アルコキシ基含有モノマー、より好ましくは、アクリル酸2−メトキシエチルが挙げられる。アルコキシ基含有モノマーを配合することで、粘着剤層の被着体に対する密着性を向上させることができ、被着体からの熱を効率よく伝導させることができる。
共重合可能モノマーは、モノマー成分中に、例えば、30質量%以下、好ましくは、20質量%以下、また、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上の割合で配合される。
これらのモノマーは、単独(1種類のみ)で使用することもでき、また、2種以上組み合わせて使用することもできる。
また、モノマー成分は、粘着剤原料中に、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、10質量%以上、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、60質量%以下、さらに好ましくは、50質量%以下の割合で配合される。
ポリマー成分としては、例えば、上記したモノマー成分を反応させて得られる重合体(ポリマー)が挙げられる。詳しくは、ポリマーとしては、特に制限されないが、例えば、アクリルポリマー、より詳しくは、必須成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーが用いられ、任意成分として、極性基含有モノマー、これらのモノマーと共重合可能な共重合可能モノマーが用いられたアクリル重合体などが挙げられる。なお、ポリマーには、上記したモノマーの一部重合物が含まれる。
これらのポリマーは、単独(1種類のみ)で使用することもでき、また、2種以上組み合わせて使用することもできる。
ポリマー成分は、粘着剤原料中に、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、10質量%以上、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、さらに好ましくは、30質量%以下の割合で配合される。
なお、粘着剤原料にモノマー成分およびポリマー成分の両方が配合される場合、モノマー成分及びポリマー成分は、粘着剤原料中に、その総量が、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、10質量%以上、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、さらに好ましくは、30質量%以下の割合となるように、配合される。
熱伝導性粒子としては、例えば、水和金属化合物などが挙げられる。
水和金属化合物は、分解開始温度が150〜500℃の範囲であり、一般式MxOy・nH2O(Mは金属原子、x,yは金属の原子価によって定まる1以上の整数、nは含有結晶水の数)で表される化合物または上記化合物を含む複塩である。
水和金属化合物としては、例えば、水酸化アルミニウム[Al2O3・3H2O;またはAl(OH)3]、ベーマイト[Al2O3・H2O;またはAlOOH]、水酸化マグネシウム[MgO・H2O;またはMg(OH)2]、水酸化カルシウム[CaO・H2O;またはCa(OH)2]、水酸化亜鉛[Zn(OH)2]、珪酸[H4SiO4;またはH2SiO3;またはH2Si2O5]、水酸化鉄[Fe2O3・H2Oまたは2FeO(OH)]、水酸化銅[Cu(OH)2]、水酸化バリウム[BaO・H2O;またはBaO・9H2O]、酸化ジルコニウム水和物[ZrO・nH2O]、酸化スズ水和物[SnO・H2O]、塩基性炭酸マグネシウム[3MgCO3・Mg(OH)2・3H2O]、ハイドロタルサイト[6MgO・Al2O3・H2O]、ドウソナイト[Na2CO3・Al2O3・nH2O]、硼砂[Na2O・B2O5・5H2O]、ホウ酸亜鉛[2ZnO・3B2O5・3.5H2O]などが挙げられる。
水和金属化合物は、市販されており、例えば、水酸化アルミニウムとして、商品名「ハイジライトH−100−ME」(平均粒子径75μm)(昭和電工社製)、商品名「ハイジライトH−10」(平均粒子径55μm)(昭和電工社製)、商品名「ハイジライトH−32」(平均粒子径8μm)(昭和電工社製)、商品名「ハイジライトH−31」(平均粒子径18μm)(昭和電工社製)、商品名「ハイジライトH−42」(平均粒子径1μm)(昭和電工社製)、商品名「B103ST」(平均粒子径8μm)(日本軽金属社製)、商品名「BE033T」(平均粒子径3μm)(日本軽金属社製)など、例えば、水酸化マグネシウムとして、商品名「KISUMA 5A」(平均粒子径1μm)(協和化学工業社製)などが挙げられる。
また、熱伝導性粒子としては、上記した水和金属化合物の他に、例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ガリウムなどの金属窒化物、例えば、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化銅、酸化ニッケルなどの金属酸化物、例えば、炭化ケイ素、アンチモン酸ドープ酸化スズ、炭酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、銅、銀、金、ニッケル、アルミニウム、白金、カーボンブラック、カーボンチューブ(カーボンナノチューブ)、カーボンファイバー、ダイヤモンドなどが挙げられる。
これらの熱伝導性粒子は、市販されており、例えば、窒化ホウ素として、商品名「HP−40」(水島合金鉄社製)、商品名「PT110」(平均粒子径35μm)(モメンティブ社製)、商品名「PT620」(モメンティブ社製)など、例えば、酸化アルミニウムとして、商品名「AL−13KT」(平均粒子径97μm)(昭和電工社製)、商品名「AS−50」(昭和電工社製)、商品名「AS−10」(昭和電工社製)など、例えば、アンチモン酸ドープスズとして、商品名「SN−100S」(石原産業社製)、商品名「SN−100P」(石原産業社製)、商品名「SN−100D(水分散品)」(石原産業社製)など、例えば、酸化チタンとして、商品名「TTOシリーズ」(石原産業社製)など、例えば、酸化亜鉛として、商品名「SnO−310」(住友大阪セメント社製)、商品名「SnO−350」(住友大阪セメント社製)、商品名「SnO−410」(住友大阪セメント社製)などが挙げられる。
これらの熱伝導性粒子のうち、好ましくは、水和金属化合物が挙げられ、より好ましくは、粘着剤層に高い熱伝導性と難燃性とを付与するという理由から、水酸化アルミニウムが挙げられる。また、金属窒化物、金属酸化物も好ましく挙げられ、より好ましくは、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムが挙げられる。
なお、熱伝導性粒子の形状は特に限定されず、バルク状、針形状、板形状、鱗片状(層状を含む)であってもよい。バルク形状には、例えば、球形状、直方体形状、破砕状、丸味状、凝集体またはそれらの異形形状が含まれる。
熱伝導性粒子は、平均粒子径が異なる3種以上の熱伝導性粒子を含有している。具体的には、平均粒子径が異なる3種類以上の熱伝導性粒子を混合したときの空間率が、72%以下であり、好ましくは、70%以下であり、さらに好ましくは、65%以下であり、また、例えば、30%以上、好ましくは、50%以上、さらに好ましくは、55%以上である。
空間率が上記範囲内であると、高い熱伝導率を粘着剤層に付与することができる。
空間率は、「空間率(%)=100−{(タップ密度)/(熱伝導性粒子の真密度)}×100」により、算出される。なお、タップ密度は、紛体特性評価装置(パウダーテスタ「PT−R」、ホソカワミクロン社製)を用いて、測定される。
熱伝導性粒子の真密度は、例えば、0.8g/cm3以上、好ましくは、1.5g/cm3以上であり、また、例えば、20g/cm3以下、好ましくは、10g/cm3以下でもある。
熱伝導性粒子の真密度は、乾式密度計(ガス置換法)によって求められる。
好ましくは、熱伝導性粒子が、平均粒子径3μm未満の第1熱伝導性粒子と、平均粒子径3μm以上70μm未満の第2熱伝導性粒子と、少なくともさらに平均粒子径が異なる1種の熱伝導性粒子を含有している。
より好ましくは、熱伝導性粒子が、第1熱伝導性粒子と、第2熱伝導性粒子と、平均粒子径70μm以上の第3熱伝導性粒子とを含有している。または、熱伝導性粒子が、第1熱伝導性粒子と、第2熱伝導性粒子と、平均粒子径3μm以上70μm未満で鱗片状である第4熱伝導性粒子とを含有している。このような3種類以上の熱伝導性粒子を含有すると、より一層高い熱伝導率を粘着剤層に付与することができる。
第1熱伝導性粒子の平均粒子径は、3μm未満、好ましくは、2μm以下であり、また、例えば、0.5μm以上である。第1熱伝導性粒子の形状は、上記した形状が挙げられ、好ましくは、バルク状が挙げられる。
第2熱伝導性粒子の平均粒子径は、3μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、70μm未満、好ましくは、60μm未満である。第2熱伝導性粒子の形状は、上記した形状が挙げられ、好ましくは、バルク状が挙げられる。
第3熱伝導性粒子の平均粒子径は、70μm以上、好ましくは、90μm以上であり、また、例えば、300μm未満、好ましくは、150μm未満である。第3熱伝導性粒子の形状は、上記した形状が挙げられ、好ましくは、バルク状が挙げられる。
第4熱伝導性粒子は、鱗片状に形成され、その平均粒子径は、3μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、70μm未満、好ましくは、50μm未満である。
熱伝導性粒子の平均粒子径は、レーザー散乱法における粒度分布測定法によって求められる(具体的には、レーザー散乱式粒度分布計により計測する)粒度分布に基づいて、D50値(累積50%メジアン径)として求められる。
また、3種以上の熱伝導性粒子において、好ましくは、そのうち少なくとも1種の熱伝導性粒子が、金属酸化物または金属窒化物から形成され、それ以外の熱伝導性粒子が、金属水酸化物から形成されている。
具体的には、第1熱伝導性粒子は、好ましくは、金属水酸化物、より好ましくは、水酸化アルミニウムから形成されている。第2熱伝導性粒子は、好ましくは、金属水酸化物、金属酸化物または金属窒化物、より好ましくは、水酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムから形成されている。また、第3熱伝導性粒子は、好ましくは、金属酸化物または金属窒化物、より好ましくは、金属酸化物、さらに好ましくは、酸化アルミニウムから形成されている。また、第4熱伝導性粒子は、金属酸化物または金属窒化物、より好ましくは、金属窒化物、さらに好ましくは、窒化ホウ素から形成されている。
この場合、金属水酸化物から形成される熱伝導性粒子は、粘着剤原料に対して、例えば、30体積%以上、好ましくは、40体積%以上であり、また、例えば、70体積%以下、好ましくは、60体積%以下の割合で配合される。また、金属酸化物または金属窒化物(より好ましくは、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムまたは窒化ホウ素)から形成される熱伝導性粒子の含有割合は、粘着剤原料に対して、例えば、5体積%以上、好ましくは、8体積%以上であり、また、例えば、25体積%以下、好ましくは、20体積%以下の配合割合で配合される。
また、熱伝導性粒子は、3種以上の平均粒子径の熱伝導性粒子を含有していればよく、例えば、4種類の平均粒子径の熱伝導性粒子を含有することもできる。
熱伝導性粒子が、4種類の平均粒子径の熱伝導性粒子を含有する場合、例えば、第1熱伝導性粒子が、第2熱伝導性粒子、第3熱伝導性粒子、および、第4熱伝導性粒子のいずれにおいても、さらに2種類以上の平均粒子径を備えることができる。具体的には、平均粒子径3μm以上70μm未満の第2熱伝導性粒子が、さらに、例えば、平均粒子径3μm以上40μm未満の第2熱伝導性粒子および平均粒子径40μm以上70μm未満の第2熱伝導性粒子を備えることができる。
また、第1熱伝導性粒子が、第2熱伝導性粒子、第3熱伝導性粒子、および、第4熱伝導性粒子は、2種類以上の異なる材料からなる熱伝導性粒子を備えることができる。具体的には、例えば、第2熱伝導性粒子は、2種類の異なる材料からなる熱伝導性粒子を備える。すなわち、熱伝導性粒子は、好ましくは、第1熱伝導性粒子と、異なる材料から形成される2種の第2熱伝導性粒子とを備えている。このような2種類の異なる材料としては、好ましくは、金属水酸化物と金属酸化物との組み合わせが挙げられ、より好ましくは、水酸化マグネシウムと酸化マグネシウムとの組み合わせが挙げられる。
熱伝導性粒子全量中における第1熱伝導性粒子の配合割合は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、より好ましくは、30質量%以上であり、また、例えば、70質量%以下、好ましくは、55質量%以下、より好ましくは、45質量%以下でもある。
熱伝導性粒子全量中における第2熱伝導性粒子の配合割合は、例えば、15質量%以上、好ましくは、25質量%以上、より好ましくは、35質量%以上であり、また、例えば、70質量%以下、好ましくは、60質量%以下、より好ましくは、50質量%以下でもある。なお、第2熱伝導性粒子が異なる2種の材料を備えたり、異なる2種の平均粒子径を備える場合は、その配合割合の合計は、熱伝導性粒子全量中に対して、30質量%以上、好ましくは、40質量%以上、より好ましくは、50質量%以上であり、また、例えば、80質量%以下、好ましくは、75質量%以下、より好ましくは、70質量%以下でもある。
熱伝導性粒子が第3熱伝導性粒子を含む場合、熱伝導性粒子全量中における第3熱伝導性粒子の配合割合は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは、15質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、30質量%以下でもある。
熱伝導性粒子が第4熱伝導性粒子を含む場合、熱伝導性粒子全量中における第4熱伝導性粒子の配合割合は、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、10質量%以上であり、また、例えば、40質量%以下、好ましくは、30質量%以下、より好ましくは、20質量%以下でもある。
これらの熱伝導性粒子全量は、粘着剤原料中に、例えば、75質量%以上、好ましくは、80質量%以上であり、例えば、90質量%以下、好ましくは、87質量%以下の割合で配合される。また、熱伝導性粒子全量は、粘着剤原料中に、55体積%以上、好ましくは、60体積%以上であり、75体積%以下、好ましくは、70体積%以下の割合で配合される。
熱伝導性粒子の配合割合が上記範囲内であると、高い熱伝導率、良好な硬度および難燃性とを粘着剤層に付与することができる。
次いで、粘着剤原料の調製方法について説明する。
粘着剤原料を調製するには、まず、上記したモノマー成分と、重合開始剤とを含有するモノマー組成物を調製する。
モノマー組成物を調製するには、上記したモノマー成分に重合開始剤を配合する。
重合開始剤としては、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤などが挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。
ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。
アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。
α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。
芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。
光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。
ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインなどが挙げられる。
ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルなどが挙げられる。
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3、3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノンなどが挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、デシルチオキサントンなどが挙げられる。
熱重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4′−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)ヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレートなどのアゾ系重合開始剤、例えば、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルマレエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素などの過酸化物系重合開始剤、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、例えば、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの組み合わせなどのレドックス系重合開始剤などが挙げられる。
これらの重合開始剤は、単独(1種類のみ)で使用することもでき、また、2種以上組
み合わせて使用することもできる。
これらの重合開始剤のうち、重合時間を短くすることができる利点などから、好ましくは、光重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤として光重合開始剤を配合する場合には、光重合開始剤は、特に限定されないが、例えば、モノマー成分100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上であり、また、例えば、5質量部以下、好ましくは、3質量部以下の割合で配合される。
また、重合開始剤として熱重合開始剤を配合する場合には、熱重合開始剤は、特に限定されず、利用可能な割合で配合される。
モノマー組成物では、必要により、モノマー成分の一部を重合させることもできる。
モノマー成分の一部を重合させるには、光重合開始剤を配合している場合には、モノマー成分と光重合開始剤との混合物に紫外線を照射する。紫外線を照射するには、光重合開始剤が励起されるような照射エネルギーで、モノマー組成物の粘度(BH粘度計、No.5ロータ、10rpm、測定温度30℃)が、例えば、5Pa・s以上(好ましくは、10Pa・s以上)、例えば、30Pa・s以下(好ましくは、20Pa・s以下)になるまで、照射する。
また、熱重合開始剤を配合している場合には、モノマー成分と熱重合開始剤との混合物を、例えば、熱重合開始剤の分解温度以上、具体的には、20〜100℃程度の重合温度で、光重合開始剤を配合している場合と同様に、モノマー組成物の粘度(BH粘度計、No.5ロータ、10rpm、測定温度30℃)が、例えば、5Pa・s以上(好ましくは、10Pa・s以上)、例えば、30Pa・s以下(好ましくは、20Pa・s以下)になるまで加熱する。
なお、モノマー成分の一部を重合させてモノマー組成物を調製する場合には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと、極性基含有モノマーおよび共重合可能モノマーから選択されるモノマーと、重合開始剤とを配合して、上記したように、モノマーの一部を重合させ、その後、架橋剤を配合することもできる。
架橋剤は、エチレン系不飽和炭化水素基を複数有する多官能化合物であって、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ジブチル(メタ)アクリレート、ヘキシジル(メタ)アクリレートなどの2官能以上の多官能オリゴマーが挙げられる。
架橋剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
架橋剤として、好ましくは、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
架橋剤の含有割合は、モノマー成分100質量部に対して、例えば、0.001質量部以上、好ましくは、0.01質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、1質量部以下でもある。
次いで、粘着剤原料を調製するには、得られたモノマー組成物に、上記した熱伝導性粒子を配合し、混合する。
なお、熱伝導性粒子などは、有機溶剤などの溶媒中に分散又は溶解した状態で、モノマー組成物に配合することができる。
これにより、粘着剤原料が調製される。
また、粘着剤原料は、熱伝導性粒子が配合されたモノマー組成物において、モノマー成分をすべて重合させることにより熱伝導性粒子を含有するポリマー成分を形成し、その後、そのポリマー成分を有機溶媒などの溶媒に溶解させることにより、ポリマー組成物として調製することもできる。
なお、モノマー組成物やポリマー組成物には、必要により、分散剤、粘着付与剤、アクリル系オリゴマー、シランカップリング剤、フッ素系界面活性剤、可塑剤、充填材、老化防止剤、着色剤などの添加剤を配合することもできる。
熱伝導性粒子を凝集させることなく安定して分散させる観点から、モノマー組成物やポリマー組成物中に、好ましくは、分散剤を配合する。分散剤としては、例えば、リン酸エステル系分散剤が挙げられ、具体的には、ポリオキシエチレンアルキル(またはアルキルアリル)エーテルまたはポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、リン酸トリエステル、これらの誘導体などが挙げられる。
具体的には、第一工業製薬社製の「プライサーフシリーズ」A212E、A208F、A210G、A212C,A215C、東邦化学社製の「フォスファノール」RE610,RS710,RS610などが挙げられる。
これらのリン酸エステル系分散剤は、単独または2種以上混合して使用することができる。
粘着剤原料中における分散剤の配合割合は、例えば、0.01質量%以上、好ましくは、0.1質量%以上であり、また、例えば、10質量%以下、好ましくは、5質量%以下でもある。
得られた粘着剤原料の粘度(BM粘度計、No.4ロータ、12rpm、測定温度23
℃)は、例えば、50Pa・s以下、好ましくは、40Pa・s以下、より好ましくは、35Pa・s以下であり、また、例えば、5Pa・s以上、より好ましくは、10Pa・s以上でもある。
なお、粘着剤原料には、気泡を含有させることもできる。気泡を含有した粘着剤原料を用いて、熱伝導性粘着シートを作製することにより、熱伝導性粘着シートを発泡体とすることができる。
粘着剤原料に気泡を含有させるには、例えば、中央部に貫通孔を持った円盤上に多数の歯を有するステータ(固定歯)と、ステータに対向し、円盤上に多数の歯を有するロータ(回転歯)とを備えた撹拌装置を用いて、ステータの歯とロータの歯との間に粘着剤原料を導入し、ロータを高速回転させながら、ステータの貫通孔を通して気泡を形成させるための気体を、粘着剤原料中に導入する。
粘着剤原料に導入される気体としては、特に限定されず、例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどの不活性ガス、例えば、空気などが挙げられる。
粘着剤原料に導入される気体としては、粘着剤原料の反応を阻害しにくいことから、好ましくは、不活性ガス、より好ましくは、窒素が挙げられる。
気泡は、例えば、粘着剤原料の全体積に対して、例えば、5体積%以上、好ましくは、10体積%以上、より好ましくは、12体積%以上であり、また、例えば、50体積%以下、好ましくは、40体積%以下、より好ましくは、35体積%以下の割合で導入される。
図1は、熱伝導性粘着シートの作製方法を説明する説明図である。
次いで、熱伝導性粘着シートの作製方法について説明する。
熱伝導性粘着シートを作製するには、まず、図1(a)に示すように、基材としてのベースフィルム1の剥離処理が施された面に粘着剤原料2を塗布する。
ベースフィルム1としては、例えば、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルムなど)、例えば、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体など)からなるフッ素系フィルム、例えば、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)からなるオレフィン系樹脂フィルム、例えば、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)、例えば、上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙などの紙類、例えば、これらを複層化した複合体などが挙げられる。
なお、粘着剤原料2がモノマー組成物として調製され、光重合開始剤を含有している場合には、粘着剤原料2に対する紫外線の照射を妨げないように、紫外線を透過するベースフィルム1を使用する。
粘着剤原料2をベースフィルム1に塗布する方法としては、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などが挙げられる。
粘着剤原料2の塗工厚みとしては、例えば、10μm以上、好ましくは、50μm以上、より好ましくは、100μm以上であり、また、例えば、10000μm以下、好ましくは、5000μm以下、より好ましくは、3000μm以下でもある。
熱伝導性粘着シートを作製するには、次いで、図1(b)に示すように、粘着剤原料2の塗膜の上にカバーフィルム3を配置する。カバーフィルム3を塗膜の上に配置するには、カバーフィルム3の剥離処理が施された面が塗膜に接触するように、配置する。
カバーフィルム3としては、例えば、上記したベースフィルム1と同様のフィルムが挙げられる。また、粘着剤原料2がモノマー組成物として調製され、光重合開始剤を含有している場合には、粘着剤原料2に対する紫外線の照射を妨げないように、紫外線を透過するカバーフィルム3を使用する。
熱伝導性粘着シートを作製するには、次いで、粘着剤原料2がモノマー組成物として調製されている場合には、図1(c)に示すように、粘着剤原料2を反応させて、アクリル系粘着剤層4を形成する。
粘着剤原料2を反応させるには、上記したように、光重合開始剤を配合している場合には、粘着剤原料2に紫外線を照射し、熱重合開始剤を配合している場合には、粘着剤原料2を加熱する。
また、粘着剤原料2がポリマー組成物から調製されている場合には、粘着剤原料2の塗工後、乾燥させて、溶媒を除去することにより、アクリル系粘着剤層4を形成する。
これにより、熱伝導性粘着シートを得る。
得られた熱伝導性粘着シートのアクリル系粘着剤層4の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、50μm以上、より好ましくは、100μm以上であり、また、例えば、10000μm以下、好ましくは、5000μm以下、より好ましくは、3000μm以下でもある。
アクリル系粘着剤層4の厚みを10μm以上とすることにより、より良好な接着力を得ることができる。また、アクリル系粘着剤層4の厚みを10000μm以下とすることにより、より良好な熱伝導性を得ることができる。
また、得られた熱伝導性粘着シートは、アクリル系粘着剤層4に対する熱伝導性粒子の含有割合が、55体積%以上、好ましくは、60体積%以上であり、また、75体積%以下、好ましくは、70体積%以下でもある。
熱伝導性粒子の含有割合が55体積%未満であると、十分な熱伝導性を得ることができない。一方、熱伝導性粒子の含有割合が75体積%を超過すると、シートとしての形状を保つことができない。
金属酸化物または金属窒化物(好ましくは、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムまたは窒化ホウ素)からなる熱伝導性粒子の含有割合は、アクリル系粘着剤層4に対して、例えば、5体積%以上、好ましくは、8体積%以上であり、また、例えば、25体積%以下、好ましくは、20体積%以下でもある。金属酸化物または金属窒化物の含有割合が上記範囲であると、熱伝導性、難燃性が良好となる。
金属水酸化物からなる熱伝導性粒子の含有割合は、アクリル系粘着剤層4に対して、例えば、30体積%以上、好ましくは、40体積%以上であり、また、例えば、70体積%以下、好ましくは、60体積%以下である。
また、得られた熱伝導粘着シートは、好ましくは、平均粒子径3μm未満の第1熱伝導性粒子と、平均粒子径3μm以上70μm未満の第2熱伝導性粒子と、平均粒子径70μm以上の第3熱伝導性粒子および/または平均粒子径3μm以上70μm未満で鱗片状である第4熱伝導性粒子とを含有している。
また、得られた熱伝導性粘着シートの90度剥離接着力(ステンレス鋼板に接着した後、ステンレス鋼板に対して剥離角度90度で剥離速度300mm/分剥離したときの接着力)は、例えば、3N/20mm以上、好ましくは、10N/20mm以上、より好ましくは、15N/20mm以上であり、例えば、100N/20mm以下である。
また、得られた熱伝導性粘着シートの硬度(JIS K 7312に規定されるタイプC硬さ試験に準じて測定する。)は、タイプCデュロメータの加圧面を密着させてから3
0秒後に測定したときに、例えば、80以下、好ましくは、70以下であり、また、例えば、20以上、好ましくは、30以上である。
硬度が上記範囲であると、段差追従性、作業性が良好である。
また、得られた熱伝導性粘着シートのアクリル系粘着剤層4の熱伝導率(後述の実施例に記載の方法により測定する。)は、例えば、1.7W/m・K以上、好ましくは、2.0W/m・K以上、さら好ましくは、2.5W/m・K以上であり、例えば、10W/m・K以下である。
また、得られた熱伝導性粘着シートは、例えば、難燃性UL94規格がV−0である。熱伝導性粘着シートは、難燃性UL94規格がV−0であると、難燃性に優れる。
この熱伝導性粘着シートは、アクリル系粘着剤層4を備えている。そのため、そのアクリル系粘着剤層4は、その両面において、タック性を備えている。従って、両面性の粘着(感圧接着)シートとして使用することができる。
また、この熱伝導性粘着シートでは、アクリル系粘着剤層4が、平均粒子径が異なる3種以上の熱伝導性粒子を含有し、3種以上の熱伝導性粒子を混合したときの空間率が、72%以下であり、アクリル系粘着剤層4に対する3種以上の熱伝導性粒子の含有割合が、55体積%以上75体積%以下である。
この熱伝導性粘着シートによれば、そのアクリル系粘着剤層4に熱伝導性粒子が適度な距離を保ちながら密に充填されているため、アクリル系粘着剤層4が変形する際にも、熱伝導性粒子同士の接触または干渉が抑制される。よって、優れた熱伝導性および良好な硬度(適度な柔らかさ)を兼ね備えている。さらには、良好な難燃性も備えている。
また、上記した熱伝導性粘着シートの製造方法は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするモノマー成分(モノマー組成物)に、平均粒子径が異なる3種以上である熱伝導性粒子を混合して、粘着剤原料2を得る工程、および粘着剤原料2を反応させ、アクリル系粘着剤層4を得る工程を備えている。
そのため、粘着剤原料2をベースフィルム1に塗布して、アクリル系粘着剤層4を形成することができるので、熱プレスなどの圧縮工程を実施せずとも、熱伝導性粒子が密に充填され、熱伝導性粒子間に発生する隙間(モノマー成分やポリマー成分などが充填される箇所)を減らすことができる。そのため、優れた熱伝導性を備える熱伝導性粘着シートを簡便に製造することができる。
また、この熱伝導性粘着シートは、熱伝導性と難燃性とに優れるため、半導体装置、ハードディスク、LED装置(テレビジョン、照明、ディスプレイなど)、EL装置(有機ELディスプレイ、有機EL照明など)、キャパシタやコンデンサ、バッテリー(リチウムイオンバッテリーなど)、パワーモジュールなどの用途に好適に用いることができる。
以下、本発明を各実施例および各比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施
例および比較例によって何ら限定されるものではない。
各実施例および各比較例で用いる測定方法の詳細を次に記載する。
・熱伝導性粒子の平均粒子径:下記に従い測定した。
レーザー散乱法における粒度分布測定用によって求められる(具体的には、レーザー散乱式粒度分布計(商品名SALD−2100、島津製作所社製)により計測する粒度分布に基づいて、D50値(累積50%メジアン径)として求められる。
・熱伝導性粒子の空隙率(%)
熱伝導性粒子の空間率を下記の式に従って、算出した。
空間率(%)=100−{(タップ密度)/(熱伝導性粒子の真密度)}×100
タップ密度は、パウダーテスタ「PT−R」(ホソカワミクロン社製)を用いて、測定モードとして「固めかさ密度」測定を選択することにより、測定した。詳しくは、目開き1.1mmのふるいを用いて、熱伝導性粒子をカップに充填し、次いで、タッピングストロークを18mmとして、360回タッピングした。タッピング終了後、カップ上部を平板で擦切り、カップに充填された熱伝導性粒子の質量から、タップ密度を求めた。
熱伝導性粒子の真密度は、乾式密度計(商品名アキュピック1330、島津製作所社製)(ガス置換法)により算出した。
異なる材料を含有する熱伝導性粒子の場合は、各熱伝導性粒子の真密度および配合割合より、理論真密度を算出した。この値を表1に示す。
1.実施例および比較例
実施例1
(モノマー組成物の調製)
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)82質量部およびアクリル酸2−メトキシエチル(MEA)12質量部と、極性基含有モノマーとして、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)5質量部およびヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)1質量部とを配合し、混合して、モノマー成分を得た。
得られたモノマー成分に、光重合開始剤として商品名「イルガキュア651」(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、チバ・ジャパン社製)0.10質量部および商品名「イルガキュア184」(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバ・ジャパン社製)0.05質量部を配合した。
その後、混合物に、粘度(BH粘度計No.5ロータ、10rpm、測定温度30℃)が約20Pa・sになるまで紫外線を照射して、モノマーの一部が重合した部分重合物(シロップ状)を調製した。
調製した部分重合物に、架橋剤として、DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、商品名「KAYARAD DPHA−40H」、日本化薬社製)0.05質量部と、分散剤として、商品名「プライサーフA212E」(第一工業製薬社製)3質量部とを配合し、混合して、モノマー組成物を得た。
(粘着剤原料の調製)
得られたモノマー組成物に、熱伝導性粒子として、ハイジライトH−42(商品名、昭和電工社製、水酸化アルミニウム、平均粒子径1μm、破砕状)266質量部、ハイジライトH−10(商品名、昭和電工社製、水酸化アルミニウム、平均粒子径55μm、破砕状)74質量部、および、AL−13KT(商品名、昭和電工社製、平均粒子径97μm、凝集体)85質量部を配合し、混合して、粘着剤原料を得た。
(熱伝導性粘着シートの作製)
得られた粘着剤原料を、片面に剥離処理が施されているベースフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、商品名「ダイアホイルMRF38」、三菱化学ポリエステルフィルム社製)の剥離処理面に、乾燥及び硬化後の厚みが1000μmとなるように塗布した(図1(a)参照)。
次いで、ベースフィルムとの間に粘着剤原料の塗膜を挟むように、粘着剤原料の塗膜の
上に、カバーフィルム(ベースフィルムと同じフィルム)を配置した(図1(b)参照)。
次いで、粘着剤原料に、両側(ベースフィルム側およびカバーフィルム側)から紫外線(照度約5mW/cm2)を3分間(照射エネルギー900mJ/cm2に相当)照射した。
これにより、粘着剤原料中のモノマー成分を重合させて、アクリル系粘着剤層を形成し、熱伝導性粘着シートを作製した(図1(c)参照)。
実施例1の熱伝導性粘着シートの粘着剤層は、その表面および裏面において、タック性を有した。このことから、両面粘着シートであることが確認できた。
粘着剤層中における熱伝導性粒子の配合割合(質量%、体積%)、粘着剤層中における水酸化アルミニウムの配合割合(体積%)、粘着剤層中における金属酸化物および金属窒化物(具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよび窒化ホウ素)の配合割合(体積%)、および、熱伝導性粒子の空間率を、表1に示す。
実施例2〜6
熱伝導性粒子の種類及びその配合割合を表1に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性粘着シートを作製した。
各実施例の熱伝導性粘着シートの粘着剤層はいずれも、その表面および裏面において、タック性を有した。このことから、両面粘着シートであることが確認できた。
粘着剤層中における熱伝導性粒子の配合割合(質量%、体積%)、粘着剤層中における水酸化アルミニウムの配合割合(体積%)、粘着剤層中における金属酸化物および金属窒化物の配合割合(体積%)、および、熱伝導性粒子の空間率を、表1に示す。
比較例1〜4
熱伝導性粒子の種類及びその配合割合を表1に示す配合割合とした以外は、実施例1と同様にして、熱伝導性粘着シートを作製した。なお、比較例4においては、比較例4に記載の配合割合における粘着剤原料では、シート状に形成することができなかった。
各比較例の熱伝導性粘着シートの粘着剤層はいずれも、その表面および裏面において、タック性を有した。このことから、両面粘着シートであることが確認できた。
粘着剤層中における熱伝導性粒子の配合割合(質量%、体積%)、粘着剤層中における水酸化アルミニウムの配合割合(体積%)、粘着剤層中における金属酸化物および金属窒化物の配合割合(体積%)、および、熱伝導性粒子の空間率を、表1に示す。
2.評価
(熱伝導率)
熱伝導性テープの熱伝導率を測定した。すなわち、厚み方向(TD)における熱伝導率を、キセノンフラッシュアナライザー「LFA−447型」(NETZSCH社製)を用いるパルス加熱法により測定した。
熱伝導性粘着シートを、1cm×1cmの正方形に切り出して切片を得、切片の表面(厚み方向一方面)に熱伝導性シートカーボンスプレー(カーボンのアルコール分散溶液)を塗布して乾燥し、かかる部分を受光部とし、裏面(厚み方向他方面)にカーボンスプレーを塗布して、これを検出部とした。
次いで、受光部に、キセノンフラッシュによりエネルギー線を照射して、検出部の温度を検出することによって、厚み方向の熱拡散率(D1)を測定した。
得られた熱拡散率(D1)から、次式によって、熱伝導性粘着シートの厚み方向の熱伝導率(TC1)を求めた。この結果を表1に示す。
TC1=D1×ρ×Cp
ρ : 熱伝導性テープの25℃における密度(試料を2.5cmφに打ち抜き、厚み・重量から密度を算出した)
Cp : 熱伝導性テープの比熱(比熱はDSCにより下記比熱容量測定により測定した。)
(比熱容量測定)
比熱容量の測定を、示差走査熱量測定装置(以下DSC)「EXSTAR6200」(セイコーインスツル社製)を用いて、下記条件にて行った。
DSCを用いて、比熱容量を測定する場合、次式にて算出することが可能である。
Cp=h/H・m′/m・C′p
Cp : 熱伝導性テープの比熱容量(J/g℃)
C′p : 基準物質の比熱容量(J/g℃)
h : 空容器と熱伝導テープのDSC曲線の差
H : 空容器と基準物質のDSC曲線の差
m : 熱伝導テープ重量(g)
m′ : 基準物質重量(g)
基準物質としては、サファイヤを用いて測定を行い(25℃における比熱容量は、0.75J/g℃)、空容器、サファイヤ、熱伝導テープそれぞれを、−15℃にて5分間等温保持した後、10℃/分の速度で昇温、65℃に到達した後、5分間等温保持した。これにより、空容器、サファイヤ、熱伝導テープそれぞれのDSC曲線を得て、上式により25℃における熱伝導テープの比熱容量を求めた。この操作を三回繰り返し、これらの平均値を比熱容量として用いた。
(硬度)
各実施例および各比較例の熱伝導性粘着シートを用いて、JIS K 7312(1996)に準じて、下記条件にて試験を実施した。
詳しくは、熱伝導性粘着シートの粘着剤層を幅20mm、長さ20mmに切断し、厚みが4mmになるように積層させたものを評価用サンプルとして、アスカーC硬度計(高分子計器社製)で、23℃、50%RH雰囲気下において、アスカーC硬度計の加圧面を密着させてから30秒後の硬さ(アスカーC硬度)を測定した。この結果を表1に示す。
(難燃性)
各実施例および比較例で作製した熱伝導性粘着シートを、12.7mm×127mmの大きさにカットし、ベースフィルムおよびカバーフィルムを剥がして、それぞれ5つの試験片を作製し、UL94難燃性試験を実施した。
詳しくは、それらの試験片を、その上端を固定して下端を垂下させた。そして、試験片の下端に、まず、10秒間、バーナーの炎を当て、その後、炎を試験片から離した後、
再度、試験片の下端に、10秒間、炎を当てた。
そして、以下の評価基準に従って、V−0規格の合否を評価した。この結果を表1に示す。
1:各試験片の合計有炎燃焼時間(最初の炎をあてた後の燃焼時間と、2回目の炎をあてた後の燃焼時間の合計)が10秒以内である。
2:各試験片5つの合計有炎燃焼時間の総計が50秒以内である。
3:2回目に炎をあてた後の各試験片の有炎燃焼時間および無炎燃焼時間が30秒以内である。
4:試験片から燃焼滴下物が落下した場合に、下に配置された綿に着火しない。
5:各試験片はいずれもその吊り下げ部分まで燃え尽きない。
○:上記した1〜5を満たす評価項目数が3個以上であり、V−0規格を満たしている。
×:上記した1〜5を満たす評価項目数が3個未満であり、V−0規格を満たしていない。
なお、モノマー成分、重合開始剤、架橋剤およぶ分散剤の単位は、質量部である。
また、表中、各成分について、以下にその詳細を記載する。
・ハイジライトH−42:商品名、昭和電工社製、水酸化アルミニウム、平均粒子径1μm、破砕状、真密度2.4g/cm3
・BE033:商品名、日本軽金属社製、水酸化アルミニウム、平均粒子径3μm、破砕状、真密度2.4g/cm3
・ハイジライトH−31:商品名、昭和電工社製、水酸化アルミニウム、平均粒子径18μm、破砕状)、真密度2.4g/cm3
・ハイジライトH−10:商品名、昭和電工社製、水酸化アルミニウム、平均粒子径55μm、破砕状、真密度2.4g/cm3
・MCP524−50:商品名、宇部マテリアルズ社製、酸化マグネシウム、平均粒子径50μm、球状、真密度3.6g/cm3
・AL−13KT:商品名、昭和電工社製、酸化アルミニウム、平均粒子径97μm、凝集体、真密度4.0g/cm3
・PT110:商品名モメンティブ社製、窒化ホウ素、平均粒子径35μm、鱗片状、真密度2.3g/cm3