以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返されない。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による電動車両の全体構成を示すブロック図である。本実施の形態における電動車両は、たとえば、エンジンとモータジェネレータとを駆動源とするハイブリッド車両を一例として説明するが、特にエンジンとモータジェネレータとを駆動源とするハイブリッド車両に限定されるものではなく、たとえば、モータジェネレータのみを駆動源とするハイブリッド車両あるいは電気自動車であってもよい。
図1を参照して、電動車両1は、エンジン2と、第1モータジェネレータ(以下、第1MGと記載する。)3と、動力分割装置4と、第2モータジェネレータ(以下、第2MGと記載する。)5と、車輪6とを含む。電動車両1は、インバータ8と、コンバータ10と、第1バッテリB1と、第1システムメインリレー(以下、第1SMRと記載する。)52と、第2バッテリB2と、第2システムメインリレー(以下、第2SMRと記載する。)62と、充電リレー(以下、CHRと記載する)72とをさらに含む。
電動車両1は、制御装置100と、電流センサ302,452,502,602と、電圧センサ304,306,454,504,604と、充電装置450と、コンデンサC1,C2と、ダイオードD0と、正極線PL1,PL2,PL3,PL4と、負極線NL1,NL2,NL3と、検出器90とをさらに含む。制御装置100は、HV−ECU102と、MG−ECU103と、充電装置マイコン104と、B1監視ユニット105と、B2監視ユニット106とを含む。
電動車両1は、エンジン2および第2MG5を駆動源として走行する。動力分割装置4は、エンジン2と第1MG3と第2MG5とに結合されて、これらの間で動力を分割する。動力分割装置4は、たとえばキャリア、サンギヤ、およびリングギヤの3つの回転軸を有する遊星歯車機構からなり、この3つの回転軸がエンジン2、第1MG3および第2MG5の回転軸にそれぞれ接続される。
なお、第1MG3のロータを中空にして、その中心にエンジン2のクランク軸を通すことにより、エンジン2、第1MG3および第2MG5を動力分割装置4に機械的に接続することができる。また、第2MG5の回転軸は、図示されない減速ギヤあるいは差動ギヤによって車輪6に結合される。車輪6は、たとえば、電動車両1の前輪である。第1MG3は、エンジン2によって駆動される発電機として動作し、かつエンジン2の始動を行ない得る電動機として動作するものとして、電動車両1に組込まれる。第2MG5は、車輪6を駆動する電動機として電動車両1に組込まれる。
エンジン2は、ガソリン等の燃料を燃焼させることにより、第2MG5と並列的に、あるいはそれのみで電動車両1を走行させることができる。
第1バッテリB1および第2バッテリB2の各々は充放電可能な蓄電装置であり、たとえばニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池からなる。なお、第1バッテリB1および第2バッテリB2のうちのいずれか、あるいは、すべてに代えて大容量のキャパシタを用いてもよい。
第1バッテリB1は、電動車両1の駆動時にコンバータ10へ電力を供給し、また電力回生時にはコンバータ10から電力が供給されて充電される。第1バッテリB1とコンバータ10とは、正極線PL1と負極線NL1とによって接続される。
正極線PL1の一方端は、第1バッテリB1の正極端子に接続される。正極線PL1の他方端は、コンバータ10に接続される。負極線NL1の一方端は、第1バッテリB1の負極端子に接続される。負極線NL1の他方端は、コンバータ10を経由してインバータ8に接続される。第1バッテリB1とコンバータ10との間の、正極線PL1および負極線NL1上には、第1SMR52が設けられる。
第1SMR52は、MG−ECU103から受信する信号に応じて、第1バッテリB1とコンバータ10との間を導通状態(オン状態)および非導通状態(オフ状態)のうちのいずれか一方の状態から他方の状態に切り換える。
第1SMR52がオン状態になると、第1バッテリB1とコンバータ10との間で正極線PL1および負極線NL1を経由した電力の授受が可能な状態になる。一方、第1SMR52がオフ状態になると、第1バッテリB1がコンバータ10から切り離されることにより、第1バッテリB1とコンバータ10との間で電力の授受が不可能な状態になる。
第1SMR52は、第1SMRB54と、第1SMRP56と、第1SMRG58と、制限抵抗RAとを含む。第1SMRB54は、正極線PL1に設けられ、正極線PL1を導通状態および非導通状態のうちの少なくともいずれか一方の状態から他方の状態に切り換える。第1SMRG58は、負極線NL1に設けられ、負極線NL1を導通状態および非導通状態のうちの少なくともいずれか一方の状態から他方の状態に切り換える。第1SMRP56は、制限抵抗RAと直列に接続される。第1SMRP56および制限抵抗RAは、負極線NL1に対して第1SMRG58に並列に接続される。
第1SMR52がオフ状態からオン状態に切り換えられる場合には、プリチャージ処理が実行される。プリチャージ処理においては、第1SMR52がオン状態になった直後に大電流が流れて第1SMR52の構成部品に溶着が発生することを防止するために、まず、第1SMRB54と第1SMRP56との各々がオフ状態からオン状態になるように切り換えられる。第1SMRB54および第1SMRP56の各々がオン状態になることにより第1バッテリB1からコンバータ10への出力電流が生じる。
このとき、第1SMRP56に直列に接続される制限抵抗RAによって出力電流が過大となることが抑制される。このため、コンデンサC2の端子間の電圧VLは、徐々に上昇することとなる。電圧VLが上昇して第1バッテリB1の電圧とほぼ等しくなると、第1SMRP56がオフ状態になるように切り換えられるとともに第1SMRG58がオン状態になるように切り換えられる。第1SMR52がオン状態からオフ状態に切り換えられる場合には、第1SMRB54および第1SMRG58の少なくとも一方がオン状態からオフ状態に切り換えられる。
第2バッテリB2は、電気負荷(インバータ8、第1MG3および第2MG5)に対してコンバータ10と並列に接続される。電気負荷とコンバータ10とは、正極線PL2と負極線NL1とによって接続される。
第2バッテリB2の正極端子には、正極線PL3の一方端が接続される。正極線PL3の他方端は、正極線PL2上に位置する第1接続ノードaに接続される。第2バッテリB2の負極端子には、負極線NL2の一方端が接続される。負極線NL2の他方端は、負極線NL1上に位置する第2接続ノードbに接続される。正極線PL3および負極線NL2上には、第2SMR62が設けられる。
第2SMR62は、MG−ECU103から受信する信号に応じて第2バッテリB2と第1接続ノードaおよび第2接続ノードbとの間を導通状態(オン状態)および非導通状態(オフ状態)のうちのいずれか一方の状態から他方の状態に切り換える。
第2SMR62がオン状態になると、第2バッテリB2と第1接続ノードaおよび第2接続ノードbとの間で正極線PL3および負極線NL2を経由した電力の授受が可能な状態になる。
一方、第2SMR62がオフ状態になると、第2バッテリB2が第1接続ノードaおよび第2接続ノードbから切り離されて、第2バッテリB2と第1接続ノードaおよび第2接続ノードbとの間で電力の授受が不可能な状態になる。
第2SMR62は、第2SMRB64と、第2SMRG66とを含む。第1SMRB64は、正極線PL3に設けられ、正極線PL3を導通状態および非導通状態のうちの少なくともいずれか一方の状態から他方の状態に切り換える。第2SMRG66は、負極線NL2に設けられ、負極線NL2を導通状態および非導通状態のうちの少なくともいずれか一方の状態から他方の状態に切り換える。
第2SMR62がオフ状態からオン状態に切り換えられる場合には、第2SMRB64と第2SMRG66とがいずれもオン状態なるように切り換えられる。また、第2SMR62がオン状態からオフ状態に切り換えられる場合には、第2SMRB64および第2SMRG66の少なくとも一方がオフ状態になるように切り換えられる。
ここで、第1SMR52および第2SMR62は、切替装置500を構成する。切替装置500は、インバータ8への直流電圧の印加および遮断を切替可能に構成される。具体的には、第1SMR52および第2SMR62の少なくとも一方をオン状態とすることによって、インバータ8への直流電圧の印加を実行することができる。一方、第1SMR52および第2SMR62の双方をオフ状態とすることによって、インバータ8への直流電圧の印加を遮断することができる。
ダイオードD0は、第1接続ノードaと第2SMRB64との間に設けられる。ダイオードD0のアノードは、第2SMRB64に接続される。ダイオードD0のカソードは、第1接続ノードaに接続される。ダイオードD0は、コンバータ10あるいは電気負荷側から第2バッテリB2への電力供給を抑制する。
第1バッテリB1と第2バッテリB2とは、たとえば同時使用することによって電気負荷(インバータ8および第2MG5)に許容された最大パワーを出力可能になるように、各々の放電可能容量が設定される。これによりエンジン2を使用しないEV(Electric Vehicle)走行において最大パワーの走行が可能である。
第2バッテリB2に蓄積された電力が消費されてしまったら、第1バッテリB1の電力に加えてエンジン2の動力を使用することによって、第2バッテリB2を使用しなくとも最大パワーの走行を可能とすることができる。
ここで、第1バッテリB1は、第2バッテリB2よりも出力パワーが高い、いわゆる高出力型バッテリである。これにより、必要に応じて第1バッテリB1から第2MG5へ高パワーを供給することができ、ユーザのアクセル操作に対応した加速性能を速やかに確保することができる。
一方、第2バッテリB2は、第1バッテリB1よりも蓄積エネルギが高い、いわゆる高容量型バッテリである。これにより、高容量の第2バッテリB2に蓄積されたエネルギを長時間に亘って使用することができ、電気エネルギによる走行距離を延ばすことができる。
このように第1バッテリB1および第2バッテリB2を用いることによって、高容量かつ高出力の直流電源を構成することができる。また、第2バッテリB2の電圧は、第1バッテリB1の電圧よりも高い。
コンバータ10は、電力用半導体スイッチング素子(以下の説明においては、単にスイッチング素子と記載する。)Q1,Q2と、ダイオードD1,D2と、リアクトルL1とを含む。
本実施の形態において、スイッチング素子Q1,Q2としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が適用されるものとするが、指令信号によってオン・オフ制御が可能であれば任意のスイッチング素子を適用可能である。たとえば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)あるいはバイポーラトランジスタ等も適用可能である。
スイッチング素子Q1,Q2は、正極線PL2と負極線NL1との間に直列に接続される。ダイオードD1,D2は、それぞれスイッチング素子Q1,Q2に逆並列に接続される。リアクトルL1の一方端は、スイッチング素子Q1,Q2の接続ノードに接続され、リアクトルL1の他方端は、正極線PL1に接続される。スイッチング素子Q1がコンバータ10の上アームに対応し、スイッチング素子Q2がコンバータ10の下アームに対応する。
コンバータ10は、チョッパ回路により構成される。コンバータ10は、MG−ECU103から受信する指令信号に基づいて、正極線PL1の電圧を、リアクトルL1を用いて昇圧し、その昇圧した電圧を正極線PL2へ出力する。このとき、MG−ECU103は、スイッチング素子Q1および/またはスイッチング素子Q2のオン・オフ期間比(デューティ)を制御することによって、第1バッテリB1からの出力電圧の昇圧比を制御する。
一方、コンバータ10は、MG−ECU103から受信する指令信号に基づいて、正極線PL2の電圧を降圧し、その降圧した電圧を正極線PL1へ出力する。このとき、MG−ECU103は、スイッチング素子Q1および/またはスイッチング素子Q2のオン・オフ期間比(デューティ)を制御することによって、正極線PL2の電圧の降圧比を制御する。
さらに、コンバータ10は、MG−ECU103から動作停止を示す指令信号を受信するとスイッチング動作を停止させる。さらに、コンバータ10は、MG−ECU103から上アームをオン状態にする指令信号を受けると、コンバータ10に含まれる上アームおよび下アームをオン状態およびオフ状態にそれぞれ固定する。
コンデンサC1は、正極線PL2と負極線NL1との間に接続され、正極線PL2と負極線NL1との間の電圧変動を平滑化する。コンデンサC2は、正極線PL1と負極線NL1との間に接続され、正極線PL1と負極線NL1との間の電圧変動を平滑化する。
インバータ8は、コンバータ10と第1MG3および第2MG5との間に設けられる。インバータ8は、第1MG3の駆動時には、MG−ECU103から受信する指令信号に基づいて正極線PL2からの直流電圧を三相交流電圧に変換し、その変換した交流電圧を第1MG3へ出力する。また、インバータ8は、第1MG3の発電時には、MG−ECU103から受信する指令信号に基づいて、エンジン2の動力を用いて第1MG3が発電した三相交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧を正極線PL2へ出力する。
さらに、インバータ8は、MG−ECU103から受信する指令信号に基づいて正極線PL2からの直流電圧を三相交流電圧に変換し、その変換した交流電圧を第2MG5へ出力する。また、インバータ8は、電動車両1の回生制動時には、MG−ECU103から受信する指令信号に基づいて車輪6から入力される回転力によって第2MG5が発生させる三相交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧を正極線PL2へ出力する。
図2は、図1に示すインバータ8の構成を示す回路図である。図2を参照して、インバータ8は、第1インバータ81と、第2インバータ82とを含む。第1インバータ81は、第1MG3を駆動するためのインバータである。第2インバータ82は、第2MG5を駆動するためのインバータである。
第1インバータ81は、U相アーム83と、V相アーム84と、W相アーム85とを含む。U相アーム83,V相アーム84,およびW相アーム85は、正極線PL2と負極線NL1との間に並列に接続される。
U相アーム83は、正極線PL2と負極線NL1との間に直列接続されたスイッチング素子Q3,Q4と、スイッチング素子Q3,Q4とそれぞれ並列に接続されるダイオードD3,D4とを含む。ダイオードD3のカソードは、スイッチング素子Q3のコレクタに接続される。ダイオードD3のアノードは、スイッチング素子Q3のエミッタに接続される。ダイオードD4のカソードは、スイッチング素子Q4のコレクタに接続される。ダイオードD4のアノードは、スイッチング素子Q4のエミッタに接続される。
V相アーム84は、正極線PL2と負極線NL1との間に直列接続されたスイッチング素子Q5,Q6と、スイッチング素子Q5,Q6とそれぞれ並列に接続されるダイオードD5,D6とを含む。ダイオードD5のカソードは、スイッチング素子Q5のコレクタに接続される。ダイオードD5のアノードは、スイッチング素子Q5のエミッタに接続される。ダイオードD6のカソードは、スイッチング素子Q6のコレクタに接続される。ダイオードD6のアノードは、スイッチング素子Q6のエミッタに接続される。
W相アーム85は、正極線PL2と負極線NL1との間に直列接続されたスイッチング素子Q7,Q8と、スイッチング素子Q7,Q8とそれぞれ並列に接続されるダイオードD7,D8とを含む。ダイオードD7のカソードは、スイッチング素子Q7のコレクタに接続される。ダイオードD7のアノードは、スイッチング素子Q7のエミッタに接続される。ダイオードD8のカソードは、スイッチング素子Q8のコレクタに接続される。ダイオードD8のアノードは、スイッチング素子Q8のエミッタに接続される。
第1MG3のU相,V相,W相の3つのコイルは、各々一方端が中点に共に接続されている。U相コイルの他方端は、スイッチング素子Q3,Q4の接続ノードに接続される。V相コイルの他方端は、スイッチング素子Q5,Q6の接続ノードに接続される。W相コイルの他方端は、スイッチング素子Q7,Q8の接続ノードに接続される。
第2インバータ82の内部の構成は、図示しないが第1インバータ81と同様であり、詳細な説明は繰返さない。
ここで、第1インバータ81は、MG−ECU103からの信号PWI1によってスイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作が制御される。そして、MG−ECU103は、第1インバータ81の作動状態と停止状態とを切り替えることができる。作動状態とは、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作が実行している状態およびスイッチング素子Q3〜Q8のいずれかがオンしている状態を含む。停止状態とは、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作が停止しており、スイッチング素子Q3〜Q8がオフされている状態である。言い換えると、停止状態では、スイッチング素子Q3〜Q8のゲートが遮断され、スイッチング素子Q3〜Q8は、非導通状態となる。
同様に、第2インバータ82は、MG−ECU103からの信号PWI2によってスイッチング動作が制御される。そして、MG−ECU103は、第2インバータ82の作動状態と停止状態とを切り替えることができる。このように、MG−ECU103は、インバータ8の作動状態と停止状態とを切り替えることができる。なお、インバータ8の作動状態を「インバータゲート許可状態」とも称し、インバータ8の停止状態を「インバータゲート遮断状態」とも称する。
再び図1を参照して、第1MG3および第2MG5の各々は三相交流回転電機であり、たとえば三相交流同期電動発電機からなる。第1MG3は、エンジン2の動力を用いて発電した三相交流電圧をインバータ8へ出力する。また、第1MG3は、エンジン2の始動時にインバータ8によって駆動させられて、エンジン2をクランキングする。
第2MG5は、インバータ8によって駆動されて、電動車両1を駆動するための駆動力を発生する。また、第2MG5は、電動車両1の回生制動時に、車輪6から受ける回転力を用いて発電した三相交流電圧をインバータ8へ出力する。
電流センサ302は、コンバータ10のリアクトルL1に流れる電流ILを検出してMG−ECU103へ出力する。電圧センサ304は、コンデンサC2の端子間の電圧VLを検出してMG−ECU103へ出力する。電圧センサ306は、コンデンサC1の端子間の電圧VHを検出してMG−ECU103へ出力する。
電流センサ502は、正極線PL1に流れる電流IB1を検出してB1監視ユニット105へ出力する。電圧センサ504は、第1バッテリB1の電圧VB1を検出してB1監視ユニット105へ出力する。電流センサ602は、正極線PL3に流れる電流IB2を検出してB2監視ユニット106へ出力する。電圧センサ604は、第2バッテリB2の電圧VB2を検出してB2監視ユニット106へ出力する。
充電装置450は、コンバータ10に対して第2バッテリB2と並列に接続される。充電装置450の正極端子には、正極線PL4の一方端が接続される。正極線PL4の他方端は、正極線PL3上に位置する第3接続ノードcに接続される。充電装置450の負極端子には、負極線NL3の一方端が接続される。負極線NL3の他方端は、負極線NL2上に位置する第4接続ノードdに接続される。
充電装置450は、充電装置マイコン104から受信する指令信号に応じて、電動車両1の外部の電源(以下の説明において「外部電源」と記載する。)710から供給される電力を用いて第1バッテリB1および第2バッテリB2のうちの少なくともいずれか一方を充電したり、その充電を停止したりする。
充電装置450には、インレット456が接続される。インレット456は、充電ケーブル700の一方端に設けられるコネクタ702と接続可能な形状を有する。充電ケーブル700の他方端には、プラグ706が設けられる。プラグ706は、外部電源710に設けられるコンセント708に接続される。
外部電源710は、たとえば、交流電源である。交流電源は、たとえば、電力会社から家屋に供給される商用電源である。
インレット456と外部電源710とが充電ケーブル700によって接続される場合に、外部電源710の交流電力が充電装置450に供給可能な状態になる。外部電源710から供給される交流電力は、充電装置450によって直流電力に変換されて正極線PL4および負極線NL3に出力される。
コネクタ702には、スイッチが設けられる。コネクタ702がインレット456に接続されるとスイッチが閉じた状態となる。このとき、スイッチが閉じた状態であることを示す信号がスイッチから充電装置マイコン104に送信される。充電装置マイコン104は、スイッチが閉じた状態であることを示す信号を受信することによって、インレット456にコネクタ702が接続された状態であると判定する。なお、スイッチは、インレット456に設けられてもよい。
プラグ706は、家屋に設けられるコンセント708に接続可能な形状を有する。コンセント708には、外部電源710からの交流電力が供給される。充電ケーブル700は、コネクタ702およびプラグ706に加えてCCID(Charging Circuit Interrupt Device)704をさらに含む。
CCID704は、リレーおよびコントロールパイロット回路を有する。リレーが開いた状態では、外部電源710からインレット456への電力を供給する経路が遮断される。リレーが閉じた状態では、外部電源710からインレット456へ電力が供給可能になる。リレーの状態は、コネクタ702がインレット456に接続された状態で充電装置マイコン104により制御される。
コントロールパイロット回路は、プラグ706がコンセント708に接続され、かつコネクタ702がインレット456に接続された状態において、コントロールパイロット線にパイロット信号(方形波信号)CPLTを送る。コントロールパイロット回路内に設けられた発信器によって、パイロット信号CPLTは周期的に変化する。
プラグ706がコンセント708に接続され、かつ、コネクタ702がインレット456に接続されると、コントロールパイロット回路は、予め定められたパルス幅(デューティサイクル)のパイロット信号CPLTを生成する。パイロット信号CPLTのパルス幅は、充電ケーブルの種類毎に定められる。
生成されたパイロット信号CPLTは、HV−ECU102に送信される。パイロット信号CPLTは、たとえば、CCID704からコネクタ702、インレット456、充電装置450および充電装置マイコンを経由してHV−ECU102に送信される。HV−ECU102は、受信したパイロット信号CPLTのパルス幅により、充電ケーブル700から電動車両1に対して供給可能な電流容量を判定する。
CHR72は、正極線PL4および負極線NL3に設けられる。CHR72は、充電装置マイコン104から受信する信号に応じて充電装置450と第3接続ノードcおよび第4接続ノードdとの間を導通状態(オン状態)および遮断状態(オフ状態)のうちの少なくともいずれか一方の状態から他方の状態に切り換える。
インレット456と外部電源710とが充電ケーブル700によって接続された状態において、CHR72がオン状態になると、外部電源710から供給された電力がインレット456および充電装置450を経由して正極線PL4およぶ負極線NL3間に出力可能な状態になる。CHR72がオフ状態になると、充電装置450の正極端子および負極端子と第3接続ノードcおよび第4接続ノードdとの間がぞれぞれ電力遮断状態になる。
CHR72は、第1SMR52と同様の構成を有する。すなわち、上述の第1SMR52の構成における第1バッテリB1を充電装置450に置き換え、第1SMRB54,第1SMRP56,第1SMRG58および制限抵抗RAをCHRB74,CHRP76,CHRG78および制限抵抗RCにそれぞれ置き換えた構成がCHR72の構成に対応する。
CHR72がオフ状態からオン状態に切り換えられる場合には、CHRB74とCHRP76との各々がオフ状態からオン状態になるように切り換えられる。その後に、CHRP76がオン状態からオフ状態に切り換えられるとともに、CHRG78がオフ状態からオン状態に切り換えられる。
電流センサ452は、正極線PL4に流れる電流Ichgを検出して充電装置450へ出力する。電圧センサ454は、正極線PL4と負極線NL3との間の電圧Vchgを検出して充電装置450へ出力する。
検出器90は、電動車両1の電気系統と車体との間の絶縁抵抗の低下を検出するために設けられる。ここで、電動車両1の電気系統は、第1MG3と、第2MG5と、インバータ8と、第1バッテリB1と、第2バッテリB2と、充電装置450と、切替装置500とを含む。
検出器90は、電気系統に接続される。より具体的には、検出器90は、電気系統における第1バッテリB1の負極に接続される。検出器90は、低周波数(たとえば、2.5Hz)の交流信号を電気系統へ出力し、電気系統の絶縁抵抗の低下に応じて変化する波高値VkをHV−ECU102へ出力する。
HV−ECU102は、検出器90から受けた波高値Vkに基づいて電気系統の絶縁抵抗の低下を判定する。なお、検出器90は、第1バッテリB1の負極に接続されるものとしたが、第1バッテリB1の正極、第2バッテリB2の正極、または第2バッテリB2の負極などに接続されてもよい。以下、検出器90の構成について説明する。
図3は、図1に示す検出器90の構成図である。図3とともに図1を参照して、検出器90は、交流電源91と、抵抗92と、コンデンサ93と、バンドパスフィルタ94と、ピークホールド回路95とを含む。なお、バンドパスフィルタ94およびピークホールド回路95は、検出回路96を構成する。
交流電源91および抵抗92は、ノードN1と、接地ノードGND(車両のシャーシ)との間に直列に接続される。コンデンサ93は、ノードN1と、電気系統900との間に接続される。より具体的には、コンデンサ93は、ノードN1と、第1バッテリB1の負極との間に接続される。なお、図1において第1バッテリB1に接続される回路の全体を、図3では電気系統900として示す。
交流電源91は、交流信号を出力する。そして、バンドパスフィルタ94は、ノードN1上の交流信号を受け、その受けた交流信号から所定周波数(たとえば、2.5Hz)の成分だけを抽出してピークホールド回路95へ出力する。ピークホールド回路95は、バンドパスフィルタ94から受けた交流信号のピークをホールドし、そのホールドした波高値VkをHV−ECU102へ出力する。
電気系統900は、接地ノードGNDに対して電気的に絶縁されている。しかしながら、何らかの要因によって、電気系統900および接地ノードGND間の絶縁抵抗が低下する場合がある。この場合、電気系統900および接地ノードGND間のインピーダンスが低下するので、ノードN1における電圧が低下する。したがって、HV−ECU102は、波高値Vkの大きさに基づいて、絶縁抵抗の低下の有無を判定することができる。
再び図1を参照して、制御装置100は、インバータ8、コンバータ10、第1SMR52、第2SMR62、CHR72および充電装置450を制御するための指令信号を生成して、制御対象となる機器に対して生成した指令信号を出力する。
B1監視ユニット105は、電流センサ502からの電流IB1の検出値と、電圧センサ504からの電圧VB1の検出値とを受信する。B1監視ユニット105は、これらの検出値をHV−ECU102に送信する。B2監視ユニット106は、電流センサ602からの電流IB2の検出値と、電圧センサ604からの電圧VB2の検出値とを受信する。B2監視ユニット106はこれらの検出値をHV−ECU102に送信する。
HV−ECU102は、B1監視ユニット105およびB2監視ユニット106から受ける情報に基づいて、第1バッテリB1および第2バッテリB2の充電状態を制御する。具体的には、HV−ECU102は、第1バッテリB1および第2バッテリB2を充電するための制御指令を生成し、生成した制御指令を充電装置マイコン104およびMG−ECU103へ送信する。
また、HV−ECU102は、検出器90から受ける波高値Vkに基づいて電気系統900の絶縁抵抗の低下を判定する。HV−ECU102は、電気系統900の絶縁抵抗の状態に応じて電気系統900の状態を制御する。
充電装置マイコン104は、HV−ECU102から受けた信号に基づいて充電装置450を制御する。MG−ECU103は、HV−ECU102から受けた信号に基づいてインバータ8およびコンバータ10の動作を制御する。
以上のような構成において、電動車両1が走行しているときには、第2バッテリB2は放電のみを実行可能であるため、第2バッテリB2の蓄電量が徐々に低下する。このため、電動車両1が停車している間に、プラグ706がコンセント708に接続され、かつ、コネクタ702がインレット456に接続されると、制御装置100は、外部電源710から第2バッテリB2へ電力を供給することによって第2バッテリB2を充電する充電制御を実行する。以下、この充電制御の内容を説明する。
図4は、図1に示す制御装置100が実行する充電制御における動作状態の一例を説明する図である。図4を参照して、電気系統900の絶縁抵抗が低下していない場合における充電制御の一例が示される。この場合、第1バッテリB1および第2バッテリB2からの直流電圧がインバータ8へ印加されない状態において、すなわち、電圧VHがゼロである状態において、第2バッテリB2の充電が実行される。なお、実線LN1は、充電装置450から第2バッテリB2へ電力を供給する経路を示す。
このとき、CHRB74およびCHRG78が閉成されることによって、充電装置450から第2バッテリB2への送電経路が導通状態となる。一方、第2SMRB64が開放されるとともに第2SMRG66が閉成されることによって、第2バッテリB2からインバータ8への送電経路が非導通状態となる。また、第1SMRB54が閉成されるとともに第1SMRP56および第1SMRG58が開放されることによって、第1バッテリB1からインバータ8への送電経路が非導通状態となる。
ここで、第2バッテリB2の充電中において電気系統900における絶縁抵抗の低下を検出する必要がある。このため、第1SMRB54が閉成されるとともに第2SMRG66が閉成される。これにより、破線LN2で示される経路を介して検出器90からの交流信号が電気系統900へ伝播される。よって、第2バッテリB2の充電中において電気系統900の絶縁抵抗の低下を検出することができる。
ところで、電気系統900の絶縁抵抗の低下が発生する場合がある。この場合、第2バッテリB2の充電を実行すると、電動車両1に搭載される機器の二次故障が発生する可能性がある。このため、電気系統900の絶縁抵抗の低下が検出されると、第2バッテリB2の充電を中止することが考えられる。しかしながら、電気系統900の絶縁抵抗が低下した場合に充電が一律に中止されると、第2バッテリB2を十分に充電することができないため、電動車両1の走行可能距離が短くなってしまうという問題がある。
そこで、本実施の形態では、電気系統900の絶縁抵抗の低下が発生した場合に、絶縁抵抗の低下が発生している部位が特定される。そして、絶縁抵抗の低下が発生している部位が第2バッテリB2への送電経路から遮断可能な部位である場合には、充電の実行が許容される。具体的には、絶縁抵抗の低下が発生している部位が電気系統900の駆動部であるのか否かが特定される。駆動部とは、電気系統900においてインバータ8からの交流電圧が印加される部位である。
より具体的には、駆動部は、第1MG3と、第2MG5と、インバータ8の交流側の部分と、これらを接続するケーブルとを含む。言い換えると、インバータ8のスイッチング素子およびダイオードを境界として電気系統900を分割した場合に、第1MG3および第2MG5が含まれる部分である。なお、電気系統900において駆動部ではない部分を非駆動部とも称する。
そして、駆動部において絶縁抵抗の低下が発生している場合には、インバータ8を停止状態とすることによって第2バッテリB2の充電が許容される。さらに、第2バッテリB2の充電の実行中においても、電気系統900の駆動部以外の部位における絶縁抵抗の低下を検出する必要がある。そこで、インバータ8に直流電圧を印加することで、検出器90からの交流信号をインバータ8で遮断し、電気系統900の駆動部以外の部位における絶縁抵抗の低下を検出可能とする。以下、この原理について説明する。
図4とともに図2を参照して、インバータ8が作動状態であるときには、検出器90から駆動部までの経路が導通状態となるため、駆動部を含む電気系統900の絶縁抵抗の低下が検出される。一方、インバータ8が停止状態であるときには、インバータ8に直流電圧が印加されているか否かによって、検出器90からの交流信号が駆動部へ伝播するか否かが変化する。
具体的には、スイッチング素子Q3〜Q8が遮断状態であり、かつ、インバータ8に直流電圧が印加されていない状態では、検出器90からの交流信号がダイオードD3〜D8を介して駆動部へ伝播する。このため、駆動部を含む電気系統全体における絶縁抵抗の低下を検出することができる。
一方、スイッチング素子Q3〜Q8が遮断状態であり、かつ、インバータ8に直流電圧が印加されている状態では、ダイオードD3〜D8に逆方向バイアス電圧が印加される。ダイオードD3〜D8に逆方向バイアス電圧が印加されると、検出器90からの交流信号は、ダイオードD3〜D8を通過することができない。よって、検出器90からの交流信号がインバータ8において遮断される。これにより、検出器90から駆動部までの経路が非導通状態となるため、駆動部以外の部位において絶縁抵抗の低下が発生しているか否かを検出することができる。
したがって、駆動部を含む電気系統900全体の絶縁抵抗の低下を検出し、さらに、駆動部以外の部位の絶縁抵抗の低下を検出することによって、絶縁抵抗の低下部位が駆動部であるのか非駆動部であるのかを識別することができる。
さらに、第2バッテリB2の充電の実行中においては、インバータ8を停止状態とし、かつ、インバータ8に直流電圧が印加されることによって、駆動部以外の部位において絶縁抵抗の低下が発生しているか否かを検出することができる。これにより、駆動部以外の部位において絶縁抵抗の低下が発生した場合に、充電を中止して安全を確保することができる。以下、本実施の形態に従う充電制御について詳しく説明する。
図5は、図1に示す制御装置100の充電制御に関する機能ブロック図である。図5を参照して、制御装置100は、検出部201と、判定部202と、制御部203とを含む。
検出部201は、インバータ8が停止状態であり、かつ、インバータ8に直流電圧が印加されているときに検出器90から出力される波高値Vkを波高値Vk1として検出する。さらに、検出部201は、インバータ8が作動状態であり、かつ、インバータ8に直流電圧が印加されているときに検出器90から出力される波高値Vkを波高値Vk2として検出する。検出部201は、波高値Vk1,Vk2を判定部202へ出力する。
判定部202は、検出器90から受けた波高値Vk1,Vk2に基づいて絶縁抵抗の低下が発生している部位を特定する。具体的には、判定部202は、波高値Vk1および波高値Vk2の双方がしきい値よりも大きい場合は、電気系統900における絶縁抵抗が低下していないと判定する。なお、上記しきい値は、電気系統900の絶縁抵抗が正常であるか異常であるかを判定するための値である。すなわち、判定部202は、波高値Vk1および波高値Vk2の双方が絶縁抵抗の正常状態を示す場合は、絶縁抵抗の低下部位がないと判定する。
また、判定部202は、波高値Vk1がしきい値よりも大きく、かつ、波高値Vk2がしきい値よりも小さい場合は、絶縁抵抗の低下部位が駆動部であると判定する。すなわち、判定部202は、波高値Vk1が絶縁抵抗の正常状態を示し、かつ、波高値Vk2が絶縁抵抗の異常状態を示す場合は、絶縁抵抗の低下部位が駆動部であると判定する。
また、判定部202は、波高値Vk1および波高値Vk2の双方がしきい値よりも小さい場合は、絶縁抵抗の低下部位が駆動部以外であると判定する。すなわち、判定部202は、波高値Vk1および波高値Vk2の双方が絶縁抵抗の異常状態を示す場合は、絶縁抵抗低下部位が駆動部以外であると判定する。判定部202は、絶縁抵抗の低下が発生している部位を示す信号を制御部203へ出力する。
制御部203は、判定部202から受けた信号に基づいて第2バッテリB2の充電を制御する。具体的には、判定部202によって絶縁抵抗の低下部位がないと判定された場合は、制御部203は、第2バッテリB2の充電を実行する。このとき、インバータ8に直流電圧を印加することなく充電装置450から第2バッテリB2へ電力が供給される。
判定部202によって絶縁抵抗の低下部位が駆動部であると判定された場合は、制御部203は、インバータ8が停止状態であり、かつ、インバータ8へ直流電圧が印加されるようにインバータ8および切替装置500を制御する。そして、制御部203は、第2バッテリB2の充電を許可する。この場合、第2バッテリB2の充電中において検出される波高値Vkに基づいて駆動部以外の部位における絶縁抵抗の低下が検出され、絶縁抵抗の低下が検出されると充電が中止される。
一方、判定部202によって絶縁抵抗の低下部位が駆動部以外であると判定された場合は、制御部203は、第2バッテリB2の充電を禁止する。制御部203は、充電装置450、切替装置500、およびインバータ8を制御するための信号を生成し、生成した信号をこれらに出力する。
図6は、図1に示す制御装置100が実行する充電制御に関する処理の制御構造を示すフローチャートである。なお、図6に示されるフローチャート中の各ステップについては、制御装置100に予め格納されたプログラムがメインルーチンから呼び出されて、所定周期もしくは所定の条件が成立したことに応答して実行されることによって実現される。あるいは、専用のハードウェア(電子回路)を構築して処理を実現することも可能である(以下に説明する図7に示されるフローチャートについても同様である。)。
図6を参照して、制御装置100は、ステップ(以下、ステップをSと略す。)10にて、第2バッテリB2の充電開始前であるか否かを判定する。第2バッテリB2の充電開始前でないと判定された場合は(S10にてNO)、以下の処理は実行されない。
第2バッテリB2の充電開始前であると判定された場合は(S10にてYES)、制御装置100は、インバータ8への電圧印加状態であるか否かを判定する(S20)。具体的には、制御装置100は、切替装置500によってインバータ8への直流電圧が印加されている場合に、インバータ8への電圧印加状態であると判定する。インバータ8への電圧印加状態でないと判定された場合は(S20にてNO)、制御装置100は、第1SMR52のプリチャージ処理を実行する(S30)。これにより、インバータ8へ直流電圧が印加される。
インバータ8への電圧印加状態であると判定された場合は(S20にてYES)、制御装置100は、インバータゲート操作時の検出器出力を検出する(S40)。具体的には、制御装置100は、インバータ8のスイッチング素子のゲートを操作することによって、インバータ8の停止状態と作動状態とを切り替える。
そして、制御装置100は、インバータ8が停止状態であるときに検出器90から出力される波高値Vkを波高値Vk1として検出する。さらに、制御装置100は、インバータ8が作動状態であるときに検出器90から出力される波高値Vkを波高値Vk2として検出する。
続いてS50にて、制御装置100は、電気系統900における絶縁抵抗の低下部位を判定する。具体的には、制御装置100は、波高値Vk1および波高値Vk2の双方がしきい値よりも大きい場合は、電気系統900における絶縁抵抗が低下していないと判定する。また、制御装置100は、波高値Vk1がしきい値よりも大きく、かつ、波高値Vk2がしきい値よりも小さい場合は、絶縁抵抗の低下部位が駆動部であると判定する。また、制御装置100は、波高値Vk1および波高値Vk2の双方がしきい値よりも小さい場合は、絶縁抵抗の低下部位が駆動部以外であると判定する。
S50にて電気系統900における絶縁抵抗が低下していないと判定された場合は、制御装置100は、第2バッテリB2の充電を実行する(S60)。具体的には、インバータ8に直流電圧を印加することなく充電装置450から第2バッテリB2へ電力が供給される。
S50にて絶縁抵抗の低下部位が駆動部であると判定された場合は、制御装置100は、インバータゲート遮断状態、かつ、インバータ8へ直流電圧が印加される状態となるように、インバータ8および切替装置500を制御する(S70)。続いてS80にて、制御装置100は、第2バッテリB2の充電を許可する。この場合、第2バッテリB2の充電中において検出される波高値Vkに基づいて駆動部以外の部位における絶縁抵抗の低下が検出され、絶縁抵抗の低下が検出されると充電が中止される。
S50にて絶縁抵抗の低下部位が駆動部以外であると判定された場合は、制御装置100は、第2バッテリB2の充電を禁止する(S90)。
以上のように、この実施の形態1においては、駆動部の絶縁抵抗の低下が検出されたときに、インバータ8へ直流電圧が印加されるように切替装置500を制御するとともにインバータ8の作動を停止して、充電装置450による第2バッテリB2の充電が実行される。これにより、検出器90からの交流信号がインバータ8で遮断されるため、電気系統900における駆動部以外の部分の絶縁抵抗の低下を検出することができる。よって、駆動部の絶縁抵抗が低下していても第2バッテリB2の充電を実行でき、蓄電装置を充電する機会の減少を抑制することができる。したがって、この実施の形態1によれば、電気系統900の絶縁抵抗の異常時における走行可能距離の低下を抑制することができる。
[実施の形態2]
この発明の実施の形態2は、実施の形態1と比較して、電気系統900において絶縁抵抗が低下している部位を特定する方法が異なる。具体的には、実施の形態1では、インバータ8に直流電圧が印加された状態において、インバータ8の作動状態および停止状態を切り替えたときの波高値Vkの変化に基づいて絶縁抵抗が低下している部位が特定された。これに対し、実施の形態2では、インバータ8の停止状態において、インバータ8に印加される直流電圧を切り替えたときの波高値Vkの変化に基づいて絶縁抵抗が低下している部位が特定される。なお、実施の形態2による車両構成は、図1に示した実施の形態1による車両構成と同じである。
図7は、この発明の実施の形態2による電動車両1Aの制御装置100Aが実行する充電制御に関する処理の制御構造を示すフローチャートである。図7を参照して、S60〜S90については、実施の形態1と同様であるので説明を繰り返さない。
図7を参照して、制御装置100Aは、S110にて、第2バッテリB2の充電開始前であるか否かを判定する。第2バッテリB2の充電開始前でないと判定された場合は(S110にてNO)、以下の処理は実行されない。
第2バッテリB2の充電開始前であると判定された場合は(S110にてYES)、制御装置100Aは、インバータ8におけるスイッチング素子のゲートを遮断し、インバータ8を停止状態とする(S120)。
続いてS130にて、制御装置100Aは、インバータ8への電圧印加を切り替えたときの検出器出力を検出する(S130)。具体的には、制御装置100Aは、インバータ8への直流電圧の印加の実行および停止を切り替えるように切替装置500を制御する。そして、制御装置100Aは、インバータ8へ直流電圧を印加していないときに検出器90から出力される波高値Vkを波高値Vk3として検出する。さらに、制御装置100Aは、インバータ8へ直流電圧を印加しているときに検出器90から出力される波高値Vkを波高値Vk4として検出する。
続いてS140にて、制御装置100Aは、電気系統900における絶縁抵抗の低下部位を判定する。具体的には、制御装置100Aは、波高値Vk3および波高値Vk4の双方がしきい値よりも大きい場合は、電気系統900における絶縁抵抗が低下していないと判定し、処理をS60へ進める。すなわち、制御装置100Aは、波高値Vk3および波高値Vk4の双方が絶縁抵抗の正常状態を示す場合は、絶縁抵抗の低下部位がないと判定する。
また、制御装置100Aは、波高値Vk3がしきい値よりも小さく、かつ、波高値Vk4がしきい値よりも大きい場合は、絶縁抵抗の低下部位が駆動部であると判定し、処理をS70へ進める。すなわち、制御装置100Aは、波高値Vk3が絶縁抵抗の異常状態を示し、かつ、波高値Vk4が絶縁抵抗の正常状態を示す場合は、絶縁抵抗の低下部位が駆動部であると判定する。
また、制御装置100Aは、波高値Vk3および波高値Vk4の双方がしきい値よりも小さい場合は、絶縁抵抗の低下部位が駆動部以外であると判定し、処理をS90へ進める。すなわち、制御装置100Aは、波高値Vk3および波高値Vk4の双方が絶縁抵抗の異常状態を示す場合は、絶縁抵抗低下部位が駆動部以外であると判定する。
以上のように、この実施の形態2においても、実施の形態1と同様に電気系統900において絶縁抵抗が低下している部位を特定することができる。したがって、この実施の形態2においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、上記においては、電動車両1が第1MG3および第2MG5を備え、前輪を駆動するものとして説明したが、電動車両1は、後輪を駆動するためのリア用モータジェネレータ(以下、リアMGと記載する。)をさらに備えてもよい。この場合、駆動部は、リアMGと、リアMGを駆動するためのインバータとをさらに含む。
なお、上記において、第1バッテリB1は、この発明における「第1の蓄電装置」に対応し、第2バッテリB2は、この発明における「第2の蓄電装置」に対応する。また、第1MG3および第2MG5は、この発明における「回転電機」に対応し、第1SMR52および第2SMR62は、この発明における「切替装置」に対応する。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。