JP6027298B1 - 繊維ガイド - Google Patents
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Abstract
本開示の繊維ガイドは、繊維との接糸面において、繊維の進行方向における算術平均粗さRa1と、進行方向に直交する直交方向における算術平均粗さRa2との比率Ra1/Ra2が0.5以上1.0未満である。【選択図】 図2
Description
本開示は、繊維ガイドに関する。
繊維の案内においては、ローラーガイド、オイリングノズル、ロッドガイドおよびトラバースガイドと呼ばれる様々な形状の繊維ガイドが繊維機械に取り付けられ使用されている。そして、繊維と接触する繊維ガイドの表面(以下、接糸面という。)には、繊維に傷やほつれ等のダメージを発生させにくいことが求められている。例えば、特許文献1には、搬送される繊維束と接触する面の表面粗さRaが0.1μm以下の繊維ガイドが提案されている。
本開示の繊維ガイドは、繊維との接糸面において、前記繊維の進行方向における算術平均粗さRa1と、前記進行方向に直交する直交方向における算術平均粗さRa2との比率Ra1/Ra2が0.5以上1.0未満である。
繊維に傷やほつれ等のダメージを発生させにくくさせるにあたり、単に繊維ガイドの接糸面における算術平均粗さを小さくしただけでは、繊維ガイドにより繊維を案内する際に、繊維が斜めに摺動(以下、斜め摺動という。)しやすくなる。そして、繊維が斜め摺動すると、繊維と接糸面とが接触する面積が大きくなって、摩擦により繊維がダメージを受けやすくなる。
一方、繊維ガイドの接糸面において、繊維の進行方向に直交する方向の算術平均粗さが大きいときには、繊維ガイドにより繊維を案内する際に、接糸面の同じ箇所を繊維が摺動(以下、同一摺動という。)しやすくなる。そして、繊維が同一摺動すると、繊維との摩擦によって抉られた部分と繊維が接することにより繊維がダメージを受けやすくなる。
また、今般においては、生産効率の向上のために、繊維の送り速度が3000〜8000m/分と極めて高速化してきている。このように、繊維の送り速度の高速化により、斜め摺動や同一摺動によって繊維がダメージをさらに受けやすくなってきている。以上のことから、繊維の送り速度の高速化によっても繊維にダメージを与えることの少ない繊維ガイドが求められている。
本開示の繊維ガイドは、繊維へのダメージを抑制することができるものである。以下に本開示の繊維ガイドについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
最初に、繊維ガイドの代表的な種類について、図1を参照しながら説明する。まず、図1(a)に示すローラーガイド10aは、U字溝の表面を接糸面として、回転することで繊維1を案内するものである。次に、図1(b)に示すオイリングノズル10bは、溝の底面を接糸面として、繊維1を接糸面に摺接させることで、繊維1にオイルを付着させるものである。また、図1(c)に示すロッドガイド10cは、外周面を接糸面として、繊維1を収束したり分離したりするものである。さらに、図1(d)に示すトラバースガイド10dは、溝の表面を接糸面として、この接糸面を通過する繊維1の進行方向を繊維1が円筒状のパッケージの外周に巻き取られるように変えるものである。なお、以降の記載において、特定の繊維ガイドについて記載する場合を除き、繊維ガイドには「10」の符号を付して説明する。
本開示の繊維ガイド10は、繊維1との接糸面において、繊維1の進行方向(以下、単に進行方向ともいう。)における算術平均粗さRa1(以下、単にRa1と記載する場合がある。)と、進行方向に直交する直交方向(以下、単に直交方向ともいう。)における算術平均粗さRa2(以下、単にRa2と記載する場合がある。)との比率Ra1/Ra2が0.5以上1.0未満である。
ここで、繊維ガイド10のうちローラーガイド10aを例に挙げ、図2を参照しながら、進行方向における算術平均粗さRa1および直交方向における算術平均粗さRa2について説明する。
図2に示すように、進行方向とは、繊維1との接糸面において、繊維1が摺動する方向のことである。また、Ra1とは、この進行方向における算術平均粗さのことである。なお、図2においては、接糸面の中央を繊維1が摺動している例を示しており、進行方向とは、ローラーガイド10aにおける回転方向ということもできる。一方、直交方向とは、図2に示すように、繊維1との接糸面において、繊維1の進行方向に対して直交する方向のことである。また、Ra2とは、この直交方向における算術平均粗さのことである。
そして、本開示の繊維ガイド10は、繊維1との接糸面において、進行方向における算術平均粗さRa1と直交方向における算術平均粗さRa2との比率Ra1/Ra2が0.5以上1.0未満であることにより、繊維1へのダメージを抑制することができる。このように、繊維1へのダメージを抑制することができるのは、本開示の繊維ガイド10の接糸面の表面性状が、繊維1を接触面積の少ない状態で摺動させながらも、同一摺動させることなく、適度に摺動位置を変えることができるものとなるためである。
これに対し、この比率Ra1/Ra2が1.0以上であるときには、繊維1との接糸面において、進行方向と直交方向との表面性状が同じ、または直交方向よりも進行方向の表面性状が粗くなる。接糸面がこのような表面性状であるときには、摺動時に繊維1が跳ねやすくなったり、進行方向よりも直交方向の表面性状が平坦となったりするために、繊維1が斜め摺動しやすくなる。よって、繊維1と接糸面とが接触する面積が大きくなり、摩擦によって繊維1がダメージを受けやすくなる。
また、この比率Ra1/Ra2が0.5未満であるときには、斜め摺動は起こりにくくなるものの、同一摺動が起こりやすくなる。よって、繊維1との摩擦によって抉られた部分に繊維1が接触することにより繊維1がダメージを受けやすくなる。
ここで、繊維1との接糸面において、進行方向における算術平均粗さRa1および直交方向における算術平均粗さRa2とは、JIS B 0601(2001)に準拠して測定することができる。測定条件としては、例えば、測定長さを0.1〜5.0mm、カットオフ値を0.01〜0.8mmとし、触針径を1〜10μmとして触針の走査速度を0.01〜1mm/秒に設定すればよい。そして、進行方向および直交方向の各5箇所において測定を行ない、この測定で得られた値の平均をそれぞれ算術平均粗さRa1およびRa2とする。
また、本開示の繊維ガイド10において、直交方向の算術平均粗さRa2が、0.03μm以上0.05μm以下であるときには、繊維1へのダメージをさらに抑制することができる。
また、本開示の繊維ガイド10は、進行方向における粗さ曲線から求められるスキューネスRsk1が0より大きく、直交方向における粗さ曲線から求められるスキューネスRsk2が0より小さいときには、繊維1がダメージを受けにくくなる。ここで、粗さ曲線から求められるスキューネスとは、粗さの平均高さを中心線とした際に、これに対する山となる領域と谷となる領域との比率を示す指標である。スキューネスが0より大きい値ならば山よりも谷となる領域の方が大きいのに対し、スキューネスが0よりも小さい値ならば谷よりも山となる領域の方が大きいことを示している。
そして、進行方向における粗さ曲線から求められるスキューネスRsk1が0より大きければ、進行方向における表面性状は谷となる領域が多く、繊維1が摺動する際に接糸面と接触する山となる領域が少ないということであり、繊維1と接糸面とが接触する面積が減ることから、繊維1がダメージを受けにくくなる。また、直交方向における粗さ曲線から求められるスキューネスRsk2が0より小さければ、直交方向における接糸面は谷となる領域が少なく、同一摺動を抑制することができるので、繊維1がダメージを受けにくくなる。
なお、粗さ曲線から求められるスキューネスは、算術平均粗さを求めたときと同様に、JIS B 0601(2001)に準拠して測定することで求めることができる。
また、本開示の繊維ガイド10は、接糸面が送入部と送出部とを有し、送出部の進行方向における算術平均粗さRa3が、送入部の進行方向における算術平均粗さRa4よりも大きいときには、繊維1がよりダメージを受けにくくなる。
ここで、接糸面が送入部と送出部とを有する繊維ガイド10とは、接糸面において繊維1の送入側と送出側とが明確に区別できるものに限られる。例えば、図1におけるオイリングノズル10bである。このようなオイリングノズル10bの接糸面は、繊維1の進行方向に一対の第1端および第2端を有する。ここで、第1端とは、送入側において接糸面に最初に接する部分のことである。また、第2端とは、送出側において最後まで接糸面に接していた部分のことである。そして、送入部とは、接糸面における第1端から第2端側までを全長としたとき、繊維1の進行方向における手前から、全長の1/5にあたる部分までのことを指す。一方、送出部とは、繊維1の進行方向における奥から、全長の1/5にあたる部分までのことを指す。
そして、算術平均粗さRa3およびRa4が上記関係を満足するときには、送入部において繊維1が跳ねにくいことで繊維1が円滑に送入され、送出部において繊維1との接触面積が少ないことで繊維1が円滑に送出されることから、繊維1がよりダメージを受けにくくなる。
ここで、算術平均粗さRa3およびRa4は、JIS B 0601(2001)に準拠して測定することができる。まず、接糸面の送出部および送入部の各3箇所において、進行方向に測定を行なう。そして、この測定で得られた値の平均をそれぞれ算術平均粗さRa3およびRa4とする。なお、測定条件は、上述した算術平均粗さRa1およびRa2を求めたときと同じでよい。
本開示の繊維ガイド10において、進行方向の算術平均粗さRa1が、送入部から送出部に向かって段階的に大きくなっているときには、繊維1へのダメージがさらに抑制される。このような構成を満たすときには、接糸面の進行方向の算術平均粗さRa1が段階的に変化し、繊維1がより円滑に摺動するため、繊維1へのダメージがさらに抑制される。
ここで、進行方向の算術平均粗さRa1が送入部から送出部に向かって段階的に大きくなるとは、接糸面の送入部と送出部との間の領域(以下、中間部という。)の進行方向における算術平均粗さRa7が、送入部の進行方向における算術平均粗さRa4よりも大きく、送出部の進行方向における算術平均粗さRa3よりも小さいということである。すなわち、接糸面の各箇所の進行方向における算術平均粗さの関係において、送入部(Ra4)<中間部(Ra7)<送出部(Ra3)を満たすということである。なお、進行方向の算術平均粗さRa1が、送入部から送出部に向かって連続的に大きくなっていてもよいことは言うまでもない。
ここで、中間部の進行方向における算術平均粗さRa7は、算術平均粗さRa3およびRa4を求めたときと同様に、JIS B 0601(2001)に準拠して測定することで求めることができる。
また、本開示の繊維ガイド10は、送出部の直交方向における算術平均粗さRa5が、送入部の直交方向における算術平均粗さRa6よりも大きいときには、繊維1にダメージを与えることを抑制することができる。このような構成を満たすときには、送入部において繊維1が一層跳ねにくくなり、繊維1が円滑に送入されるとともに、繊維1を送出する際に、繊維1が横に振れたとしても、送出部の直交方向における繊維との接触面積が少ないことで、繊維1にダメージを与えることを抑制することができる。
ここで、算術平均粗さRa5およびRa6は、JIS B 0601(2001)に準拠して測定することができる。まず、接糸面において、送出部および送入部の各3箇所において、直交方向に測定を行なう。そして、この測定で得られた値の平均を、それぞれ算術平均粗さRa5およびRa6とする。なお、測定条件は、上述した算術平均粗さRa1およびRa2を求めたときと同じでよい。
さらに、本開示の繊維ガイド10は、直交方向の算術平均粗さRa2が、送入部から送出部に向かって段階的に大きくなっているときには、繊維1へのダメージがより抑制される。このような構成を満たすときには、接糸面の直交方向の算術平均粗さRa2が段階的に変化し、繊維1がより円滑に摺動するため、繊維1へのダメージがより抑制される。
ここで、直交方向の算術平均粗さRa2が送入部から送出部に向かって段階的に大きくなるとは、接糸面の各箇所の直交方向における算術平均粗さの関係において、送入部(Ra6)<中間部(Ra8)<送出部(Ra5)を満たすということである。なお、直交方向の算術平均粗さRa2が、送入部から送出部に向かって連続的に大きくなっていてもよいことは言うまでもない。
また、中間部の直交方向における算術平均粗さRa8は、算術平均粗さRa5およびRa6を求めたときと同様に、JIS B 0601(2001)に準拠して測定することで求めることができる。
また、本開示の繊維ガイド10は、接糸面が、セラミックスからなっていてもよい。このように、接糸面がセラミックスからなるときには、接糸面が金属や樹脂等からなる場合と比較して耐磨耗性および耐熱性に優れていることから、繊維1へのダメージをより一層抑制することができる。ここで、セラミックスとしては、例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、炭化珪素、窒化珪素、またはこれらの複合物を用いることができる。
なお、接糸面をセラミックスとする方法としては、接糸面を備える部材若しくは繊維ガイド10自体をセラミックスで製造してもよいし、繊維ガイド10の基体を金属や樹脂等で製造し、その表面をセラミックスでコーティングしてもよい。または、接糸面を有する部材をセラミックスで製造し、金属や樹脂等の基体に接合しても良い。そして、接糸面の材質は、X線回折装置(XRD)により測定し、得られた2θ(2θは、回折角度である。)の値よりJCPDSカードを用いて同定することができる。
次に、本開示の繊維ガイド10の製造方法の一例について説明する。なお、ここでは繊維ガイド10のうち、オイリングノズル10bを例に挙げて説明する。
まず、アルミナ(酸化アルミニウム)粉末を溶媒およびボールとともにミルに入れて、所定の粒度となるまで粉砕し、スラリーを作製する。
次に、得られたスリラーにバインダーを添加した後、スプレードライヤーを用いて、噴霧乾燥を行なうことで顆粒を作製する。
次に、この顆粒をメカプレスに投入して、圧力を加えて所定の形状の成形体を作製する。そして、この成形体に切削加工を行ない、オイリングノズルの形状とする。なお、この切削加工を行なうことで得られるオイリングノズル形状の成形体の接糸面においては、進行方向よりも直行方向の表面性状が粗くなっている。また、同じ原料から作製したペレットを用いてインジェクション成形法で成形体を作製しても構わない。
次に、得られたオイリングノズル形状の成形体を、例えば、アルミナが主原料である場合には、大気雰囲気中で最高温度を1450〜1750℃とし、この最高温度での保持時間を1〜8時間として焼成すればよい。なお、最高温度や保持時間等の焼成条件は、製品の形状や大きさにより変化するため、必要に応じて調整すればよい。
次に、得られたオイリングノズル形状の焼結体を固定し、焼結体の接糸面に紐を摺接させ、研磨材を分散させた油を接糸面に供給しながら紐を送り速度300m/分で進行方向に摺動させることで、焼結体の接糸面を研磨する。ここで、この研磨には、直径が0.5〜10mmのナイロン製の紐と、平均粒径が2〜6μmのダイヤモンド砥粒の研磨材とを用いる。なお、ローラーガイド10aなどの回転可能な繊維ガイドであれば、ローラーガイド形状の焼結体を回転させて、接糸面に紐を摺接させればよい。そして、この研磨方法では、繊維1の進行方向に紐を摺接させることで接糸面の研磨を行なうため、接糸面における進行方向よりも直交方向の表面粗さが小さくなるように研磨される。
そして、上述の接糸面の研磨を3〜20分間行なうことで、接糸面において、進行方向における算術平均粗さRa1と直交方向における算術平均粗さRa2との比率Ra1/Ra2が0.5以上1.0未満である本開示のオイリングノズル10bを得ることができる。
また、直交方向の算術平均粗さRa2を、0.03μm以上0.05μm以下にするには、上述の接糸面を研磨する時間を5〜10分に設定すればよい。
さらに、進行方向の粗さ曲線から求められるスキューネスRsk1を0より大きく、直交方向の粗さ曲線から求められるスキューネスRsk2を0より小さくするには、上述の接糸面の研磨に、平均粒径が2〜4μmの研磨材を用いればよい。このように、粒径が小さい研磨材を用いることで、進行方向に沿って接糸面を引掻くような研磨となるため、スキューネスRsk1を0より大きく保ちながら、スキューネスRsk2のみを0より小さくすることができる。
また、上述の接糸面の研磨において、接糸面の送入部、中間部および送出部のみに紐が摺接するようにオイリングノズル形状の焼結体を固定し、研磨材の平均粒径および研磨時間を調整して研磨することで、各箇所の進行方向および直交方向における算術平均粗さを任意の大きさにすることができる。
なお、本開示の繊維ガイド10の製造方法として、オイリングノズル10bの製造方法を例に挙げ説明したが、ローラーガイド10a、ロッドガイド10c、トラバースガイド10dを作製する場合も、各ガイド形状とすること以外については、上述したオイリングノズル10bと同様の製造方法を用いればよい。
また、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
接糸面の進行方向における算術平均粗さRa1と、接糸面の直交方向における算術平均粗さRa2との比率Ra1/Ra2が異なるローラーガイドを作製した。そして、これらのローラーガイドで繊維を案内した際に、繊維にダメージが発生するまでの時間の比較を行なった。
まず、純度99.6%のアルミナ粉末を溶媒である水およびボールとともにミルに入れて粉砕することで、スラリーを作製した。
次に、このスラリーにバインダーを添加した後、スプレードライヤーを用いて、噴霧乾燥を行なうことで顆粒を作製した。そして、得られた顆粒を用いて、メカプレスにより成形体を作製した後、切削加工を行なうことでローラーガイド形状の成形体を得た。
次に、このローラーガイド形状の成形体を、大気雰囲気中で最高温度を1600℃とし、この最高温度での保持時間を1時間として焼成を行ない、ローラーガイド形状の焼結体を得た。
次に、これらのローラーガイド形状の焼結体を回転可能なように固定した。そして、焼結体の接糸面に紐を摺接させ、研磨材を分散させた油を接糸面に供給しながら送り速度300m/分で、表1に示す研磨時間において紐を摺接させることで、接糸面の研磨を行なった。なお、この研磨には、直径が6mmのナイロン製の紐と、平均粒径が5μmのダイヤモンド砥粒の研磨材を用いた。
そして、各試料の接糸面の進行方向における算術平均粗さRa1と、接糸面の直交方向における算術平均粗さRa2とを、JIS B 0601(2001)に準拠して測定した。測定条件としては、測定長さを1.5mm、カットオフ値を0.25mmとし、触針径を2μmとして触針の走査速度を0.5mm/秒に設定した。そして、進行方向および直交方向の各5箇所において測定を行ない、この測定で得られた値の平均をそれぞれ算術平均粗さRa1およびRa2とした。
次に、各試料で繊維を案内した際に、繊維にダメージが発生するまでの時間を測定した。まず、この試験には、75デニールの断面形状が四角形状であり、平均結晶粒径が1.2μmの酸化チタンを、繊維100質量部に対して1.2質量部含有するポリエステルからなる繊維を用いた。また、各試料の接糸面には、繊維100質量部に対して、2〜4質量部となる水エマルジョン油剤を供給した。
そして、各試料において繊維を送り速度5000m/分で案内し、案内後の繊維において、ほつれや傷等のダメージの確認を行ない、案内開始からダメージが確認されるまでの耐久時間を算出した。結果を表1に示す。
表1に示す結果から、比率Ra1/Ra2が1.0以上である試料No.1,2および比率Ra1/Ra2が0.5未満である試料No.9は、耐久時間が680時間以下と短かった。
これに対して、試料No.3〜8は、耐久時間が700時間以上と長寿命である結果が得られている。これは、試料No.3〜8の比率Ra1/Ra2が0.5以上1.0未満であることにより、繊維との接触面積が少なく、また繊維を同一摺動させることなく、適度に摺動位置を変えることができたためである。よって、このようなローラーガイドを繊維機械に取り付けることで、繊維へのダメージを抑制することができるため、繊維を長期間案内することができることがわかった。
また、試料No.4〜6は、耐久時間が850時間以上とより長い結果が得られている。このことから、算術平均粗さRa2が、0.03μm以上0.05μm以下であるときには、さらに繊維へのダメージを抑制することができ、繊維をより長期間にわたって案内できることがわかった。
次に、接糸面の進行方向の粗さ曲線から求められるスキューネスRsk1と、接糸面の直交方向の粗さ曲線から求められるスキューネスRsk2との正負の関係が異なるローラーガイドを作製した。そして、これらのローラーガイドで繊維を案内した際に、繊維にダメージが発生するまでの時間の比較を行なった。なお、作製方法としては、研磨材を表2に示す平均粒径のダイヤモンド砥粒としたこと以外は実施例1の試料No.5の作製方法と同様であり、試料No.11は、実施例1の試料No.5と同じ試料である。
次に、実施例1と同様の方法により、各試料のスキューネスRsk1およびスキューネスRsk2を測定した。そして、実施例1と同様の方法により繊維の送り試験を行なった。結果を表2に示す。なお、表2においては、スキューネスの値が0より大きい値ならば「正」、0より小さい値ならば「負」として表記している。
表2に示す結果から、試料No.10は、耐久時間が1000時間であり、長寿命である結果が得られた。このことから、接糸面においては、進行方向の粗さ曲線から求められるスキューネスRsk1が正であり(0より大きく)、直交方向の粗さ曲線から求められるスキューネスRsk2が負である(0より小さい)ことが好適であることがわかった。
次に、接糸面の送入部、中間部、送出部の進行方向における算術平均粗さRa4、Ra7、Ra3が異なるオイリングノズルを作製した。そして、これらのオイリングノズルで繊維を案内した際に、繊維にダメージが発生するまでの時間の比較を行なった。まず、オイリングノズル形状とする以外は、実施例1のローラーガイド形状の焼結体の作製方法と同じ条件で、オイリングノズル形状の焼結体を作製した。
そして、オイリングノズル形状の焼結体を、接糸面の送入部、中間部および送出部のみに紐が摺接するように固定した。次に、表3に示す平均粒径のダイヤモンド砥粒の研磨材を分散させた油を接糸面に供給しながら送り速度300m/分で、紐を表3に示す研磨時間の間摺動させることで、接糸面の各箇所の研磨を行なった。なお、この研磨には直径が0.5mmのナイロン製の紐を用いた。
そして、実施例1と同様の方法により、各試料の算術平均粗さRa1およびRa2を測定した。その結果、すべての試料の比率Ra1/Ra2は0.5以上1.0未満を満たすことがわかった。
次に、各試料の接糸面の送入部、中間部および送出部の進行方向における算術平均粗さRa4、Ra7およびRa3を、JIS B 0601(2001)に準拠して測定した。測定条件としては、測定長さを0.24mm、カットオフ値を0.08mmとし、触針径を2μmとして触針の走査速度を0.05mm/秒に設定し、送出部、中間部および送入部の各3箇所において、進行方向に測定を行なった。そして、この測定で得られた値の平均を、それぞれ算術平均粗さRa4、Ra7およびRa3とした。
そして、実施例1と同様の方法により繊維の送り試験を行なった。結果を表3に示す。
表3に示す結果から、試料No.13の耐久時間が1000時間と長寿命である結果が得られた。このことから、送出部の進行方向における算術平均粗さRa3が、送入部の進行方向における算術平均粗さRa4よりも大きいオイリングノズルであれば、繊維を傷付けずに、長期間案内することができることがわかった。
さらに、試料No.14は、耐久時間が1050時間とより長い結果が得られた。このことから、進行方向の算術平均粗さが、送入部から送出部に向かって段階的に大きくなっていることが更に好適であるとわかった。
次に、接糸面の送入部、中間部、送出部における直交方向の算術平均粗さRa6、Ra8、Ra5が異なるオイリングノズルを作製し、これらのオイリングノズルで繊維を案内した際に、繊維にダメージが発生するまでの時間の比較を行なった。なお、作製方法としては、研磨材のダイヤモンド砥粒の平均粒径および研磨時間を表4に示すようした以外は実施例3の試料No.14の作製方法と同様であり、試料No.15は、実施例3の試料No.14と同じ試料である。
次に、各試料の接糸面の送入部、中間部および送出部の直交方向における算術平均粗さRa6、Ra8およびRa5を、JIS B 0601(2001)に準拠して測定した。まず、送出部、中間部および送入部の各3箇所において、直交方向に測定を行なった。そして、この測定で得られた値の平均を、それぞれ算術平均粗さRa6、Ra8およびRa5とした。なお、測定表件は、実施例3の算術平均粗さRa4、Ra7およびRa3を求めたときと同じとした。
そして、実施例1と同様の方法により繊維の送り試験を行なった。結果を表4に示す。
表4に示す結果から、試料No.16の耐久時間が1150時間とより一層長寿命である結果が得られた。このことから、送出部の直交方向における算術平均粗さRa5が、送入部の直交方向における算術平均粗さRa6よりも大きいオイリングノズルであれば、繊維を傷付けずに、更に長期間案内することができることがわかった。
さらに、試料No.17は、耐久時間が1200時間と非常に長い結果が得られた。このことから、直交方向の算術平均粗さが、送入部から送出部に向かって段階的に大きくなっていることが更に好適であることがわかった。
1:繊維
10a:ローラーガイド
10b:オイリングノズル
10c:ロッドガイド
10d:トラバースガイド
10:繊維ガイド
10a:ローラーガイド
10b:オイリングノズル
10c:ロッドガイド
10d:トラバースガイド
10:繊維ガイド
Claims (8)
- 繊維との接糸面において、前記繊維の進行方向における算術平均粗さRa1と、前記進行方向に直交する直交方向における算術平均粗さRa2との比率Ra1/Ra2が0.5以上1.0未満である繊維ガイド。
- 前記直交方向の算術平均粗さRa2が、0.03μm以上0.05μm以下である請求項1に記載の繊維ガイド。
- 前記進行方向における粗さ曲線から求められるスキューネスRsk1が0より大きく、前記直交方向における粗さ曲線から求められるスキューネスRsk2が0より小さい請求項1または請求項2に記載の繊維ガイド。
- 前記接糸面は送入部と送出部とを有し、該送出部の前記進行方向における算術平均粗さRa3が、前記送入部の前記進行方向における算術平均粗さRa4よりも大きい請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の繊維ガイド。
- 前記進行方向の算術平均粗さRa1が、前記送入部から前記送出部に向かって段階的に大きくなっている請求項4に記載の繊維ガイド。
- 前記接糸面は送入部と送出部とを有し、該送出部の前記直交方向における算術平均粗さRa5が、前記送入部の前記直交方向における算術平均粗さRa6よりも大きい請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の繊維ガイド。
- 前記直交方向の算術平均粗さRa2が、前記送入部から前記送出部に向かって段階的に大きくなっている請求項6に記載の繊維ガイド。
- 前記接糸面が、セラミックスからなる請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の繊維ガイド。
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