以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、航空機の動翼を駆動するための動翼駆動機構において電動アクチュエータが設けられた形態を例にとって説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態で例示した形態に限らず、広く適用することができる。具体的には、本発明は、スクリュー機構を有し、電動モータが出力する回転方向の駆動力を直線方向の駆動力に変換して出力する電動アクチュエータに関して、広く適用することができる。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電動アクチュエータ1が、航空機の翼101及び動翼102に対して取り付けられた状態を例示する模式図である。図1においては、航空機の主要部の図示は省略されている。図1では、翼101の一部、及び動翼102が、模式的に図示されている。
本実施形態では、翼101は、例えば、航空機の主翼として構成されている。動翼102は、例えば、エルロン(補助翼)として構成されている。本実施形態では、動翼102が、電動アクチュエータ1によって駆動される機器として構成されている。図1では、翼101の後端側の部分を航空機の左右方向から見た状態が模式的に図示されている。また、図1では、翼101及び動翼102に関し、それらの輪郭のみが模式的に図示されている。
尚、本実施形態では、動翼102が、エルロンとして構成された形態を例示したが、この通りでなくてもよい。電動アクチュエータ1が適用される動翼102が、ラダー(方向舵)、エレベータ(昇降舵)、等の主操縦翼面として構成されていてもよい。また、電動アクチュエータ1が適用される動翼102が、フラップ、スポイラー、等の二次操縦翼面として構成されていてもよい。
[動翼駆動機構]
電動アクチュエータ1の説明にあたり、まず、電動アクチュエータ1が適用される例である航空機用の動翼駆動機構100について説明する。図1に示す動翼駆動機構100は、航空機の翼101に設置される。動翼駆動機構100は、航空機の動翼102を駆動するために用いられる。そして、動翼駆動機構100は、電動アクチュエータ1と、この電動アクチュエータ1に連結されるリアクションリンク103と、を備えるリンク駆動機構として構成されている。
電動アクチュエータ1は、動翼102を駆動するアクチュエータとして設けられている。電動アクチュエータ1においては、出力部12が、ハウジング11に対して突出して相対変位可能に設けられている。即ち、出力部12は、ハウジング11から突出することでハウジング11から伸張する動作が可能に構成されている。更に、出力部12は、ハウジング11に対して収縮する動作も可能に構成されている。また、出力部12は、動翼102に取り付けられた揺動軸104に対して、軸受或いは円筒状の摺動用部材としてのブッシュを介して、回転自在に取り付けられている。これにより、電動アクチュエータ1は、出力部12において、動翼102に対して、揺動自在に取り付けられている。
尚、1つの動翼102に対して、複数の電動アクチュエータ1が対応するように設けられている。即ち、1つの動翼102に対して、複数の動翼駆動機構100が設けられている。これにより、電動アクチュエータ1の故障が発生する場合に備えて、アクチュエータの冗長化が図られている。図2は、電動アクチュエータ1の制御構成を模式的に示す図である。尚、図2では、リアクションリンク103の図示は省略されている。図2に示すように、本実施形態では、1つの動翼102に対して、2つの電動アクチュエータ1が対応するように設けられている。各電動アクチュエータ1は、動翼102を駆動可能なように、動翼102に連結されている。即ち、同じ動翼102を駆動可能な2つの電動アクチュエータ1が並列して設けられている。
リアクションリンク103は、電動アクチュエータ1からの出力が動翼102に出力された際に、この出力による動翼102からの反力を支持する部材として設けられている。そして、リアクションリンク103は、翼101に対して揺動する可動側の動翼102が受ける負荷が、動翼102が揺動自在に支持される固定側の翼101に対して、直接に影響しないようにするために、設けられている。
リアクションリンク103は、一端側の端部が、動翼102を翼101側に対して回転自在に支持する支点軸105に対して取り付けられる。尚、リアクションリンク103における一端側の端部は、例えば、支点軸105に対して、軸受或いは円筒状の摺動用部材としてのブッシュを介して回転自在に取り付けられている。これにより、リアクションリンク103は、その一端側が、支点軸105に対して、揺動自在に取り付けられている。また、支点軸105と揺動軸104とは、軸方向が互いに平行に延びるように設けられている。そして、支点軸105と揺動軸104との間の距離寸法は、電動アクチュエータ1の作動によって支点軸105を中心として揺動させて動翼102を駆動するために必要なトルクアーム長さを確保できるように、適宜設定されている。
また、リアクションリンク103は、例えば、支点軸105に取り付けられる一端側からその反対側の他端側にかけて、二股に分岐するように形成されている。そして、リアクションリンク103における二股に分岐した部分の間に、電動アクチュエータ1の一部が配置される。また、リアクションリンク103における二股に分岐した他端側の各端部は、電動アクチュエータ1における出力部12と反対側の部分であるハウジング11の端部に対して、揺動自在に取り付けられる。そして、リアクションリンク103の他端側の各端部は、電動アクチュエータ1とリアクションリンク103とを互いに回転自在に連結する連結軸106に対して、軸受或いは円筒状の摺動用部材としてのブッシュを介して回転自在に取り付けられている。尚、電動アクチュエータ1及びリアクションリンク103は、連結軸106を介して、翼101に対して回転自在に支持されている。
[電動アクチュエータの構成]
図3は、電動アクチュエータ1を模式的に示す図であって、電動アクチュエータ1の一部断面を含む図である。前述のように、電動アクチュエータ1は、動翼102を駆動するアクチュエータとして構成されている。そして、図3に示すように、電動アクチュエータ1は、ハウジング11、出力部12、電動モータ13、ギヤ機構14、弾性支持機構15、スクリュー機構16、一対の支持部(17、18)、第1リンク機構19、第2リンク機構20、第1解除機構21、第2解除機構22、第1バネ部材23、第2バネ部材24、電磁クラッチ25、位置検出機構26、等を備えて構成されている。
ハウジング11は、内部空間を有する構造体として設けられている。そして、ハウジング11は、その内部空間において、ギヤ機構14、弾性支持機構15、スクリュー機構16、一対の支持部(17、18)、等を収納している。また、ハウジング11の端部には、連結部11aが設けられている。連結部11aは、連結軸106に対して、軸受を介して、或いはブッシュを介して、回転自在に連結される。これにより、ハウジング11は、翼101に対して、連結軸106を介して、回転自在に設置されている。
出力部12は、電動アクチュエータ1によって生成された駆動力を外部に対して出力する部分として設けられている。出力部12は、スクリュー機構16における後述の第1スクリュー27の端部に対して固定されている。そして、出力部12は、ハウジング11に対して、第1スクリュー27とともに突出可能に設けられている。これにより、出力部12は、ハウジング11に対して相対変位可能に設けられている。また、出力部12の先端部分には、連結部12aが設けられている。連結部12aは、揺動軸104に対して、軸受を介して、或いはブッシュを介して、回転自在に連結される。
電動モータ13は、正逆回転動作が可能な電動モータとして構成されている。電動モータ13は、図2に示すアクチュエータコントローラ30からの指令に基づいて、フィードバック制御が行われる。アクチュエータコントローラ30は、ドライバ31を介して、電動モータ13を制御する。
電動モータ13は、ハウジング11に取り付けられている。電動モータ13は、ギヤ機構14及びスクリュー機構16を介して、出力部12をハウジング11に対して駆動する駆動源として設けられている。電動モータ13の運転に伴って出力部12が駆動されることで、動翼102が駆動される。即ち、電動モータ13が作動することで、電動アクチュエータ1が作動する。そして、電動アクチュエータ1が作動することで、動翼102が駆動される。
ここで、図2を参照して、ドライバ31及びアクチュエータコントローラ30について、簡単に説明する。ドライバ31は、アクチュエータコントローラ30からの指令信号に基づいて電動モータ13を駆動するモータ駆動装置として構成されている。ドライバ31は、1つの動翼102を駆動する2つの電動アクチュエータ1のそれぞれに対応して設けられている。即ち、各ドライバ31が、各電動アクチュエータ1の電動モータ13を駆動する。ドライバ31は、アクチュエータコントローラ30からの指令信号に基づいて、電動モータ13の回転速度(回転数)及びトルク電流を制御する。尚、ドライバ31は、電動モータ13の回転速度を検知する回転センサ13aからの検知信号が入力されるように構成されている。
アクチュエータコントローラ30は、動翼102の動作を指令する上位のコンピュータ(図示省略)からの指令信号に基づいて、電動アクチュエータ1の作動を制御するように構成されている。そして、1つのアクチュエータコントローラ30が、1つの動翼102を駆動する2つの電動アクチュエータ1を制御するように構成されている。また、アクチュエータコントローラ30は、後述する位置検出機構26での検出結果に基づいて、ドライバ31を介して電動モータ13の運転状態を制御し、ハウジング11に対する出力部12の位置を制御する。また、アクチュエータコントローラ30は、後述する電磁クラッチ25の作動状態も制御するように構成されている。
[ギヤ機構、弾性支持機構]
図3に示すギヤ機構14は、電動モータ13からの駆動力をスクリュー機構16に伝達する機構として設けられている。本実施形態にて例示されたギヤ機構14は、出力ギヤ32及びスパーギヤ33を備えて構成されている。出力ギヤ32の回転軸とスパーギヤ33の回転軸とは、平行に延びるように配置されている。そして、出力ギヤ32及びスパーギヤ33は、互いに噛み合うように配置されている。即ち、出力ギヤ32の外周の歯車も、スパーギヤとして設けられている。
出力ギヤ32は、電動モータ13の出力軸13bの端部に固定され、出力軸13bとともに回転するように設けられている。即ち、出力軸13bは、出力ギヤ32の回転軸としても構成されている。尚、出力軸13bは、ハウジング11に対して、軸受を介して、回転自在に支持されている。
スパーギヤ33は、ハウジング11内において、出力ギヤ32に対して噛み合うように設置されている。そして、スパーギヤ33は、後述するスクリュー機構16における第2スクリュー28に対しても噛み合うように設置されている。より具体的には、スパーギヤ33は、第2スクリュー28のギヤ部28aの外周に設けられた外歯28bに対して噛み合うように設置されている。そして、スパーギヤ33は、電動モータ13から出力ギヤ32を介して入力された駆動力を第2スクリュー28に伝達するように構成されている。
図4は、図3の一部を拡大して示す図である。図3及び図4に示す弾性支持機構15は、出力ギヤ32と第2スクリュー28とに対して噛み合うスパーギヤ33をハウジング11に対して支持する機構として設けられている。また、弾性支持機構15は、スパーギヤ33を、ハウジング11及び電動モータ13に対して相対変位可能なように、ハウジング11に対して支持するように構成されている。
弾性支持機構15は、支持軸15aと、一対のコイルバネ(15b、15c)と、を備えて構成されている。支持軸15aは、スパーギヤ33を回転自在に支持する軸部材として設けられている。即ち、支持軸15aは、スパーギヤ33の回転軸として設けられている。支持軸15aは、電動モータ13の出力軸13bに平行に延びるとともに、スクリュー機構16の第1スクリュー27及び第2スクリュー28の軸心と平行な方向に延びるように、配置されている。
支持軸15aの両端部のそれぞれは、ハウジング11に対して、軸受(34a、34b)を介して回転自在に支持されている。即ち、支持軸15aの一方の端部は、軸受34aを介してハウジング11に対して支持されている。そして、支持軸15aの他方の端部は、軸受34bを介してハウジング11に対して支持されている。また、支持軸15aは、スパーギヤ33の中央を貫通した状態で、スパーギヤ33を支持している。
支持軸15aには、支持軸15aがスパーギヤ33とともに回転するように、スパーギヤ33が取り付けられている。例えば、支持軸15aの外周に、スプライン歯が設けられ、スパーギヤ33の内周に、支持軸15aのスプライン歯に噛み合うスプライン溝が設けられている。これにより、スプライン結合を介して、支持軸15aにスパーギヤ33が取り付けられている。
また、スパーギヤ33のスプライン溝は、支持軸15aのスプライン歯に対して、支持軸15aの軸方向に沿って、摺動自在に設けられている。即ち、支持軸15aとともに回転するスパーギヤ33は、支持軸15aに対して、支持軸15aの軸方向において相対変位可能に、設置されている。これにより、弾性支持機構15は、スクリュー機構16の第1スクリュー27及び第2スクリュー28の軸心と平行な方向におけるスパーギヤ33の電動モータ13に対する相対変位を許容するように、構成されている。
一対のコイルバネ(15b、15c)は、スパーギヤ33をスパーギヤ33の軸方向における両側から互いに逆方向に付勢する一対の弾性部材として設けられている。各コイルバネ(15b、15c)は、内側に支持軸15aが挿通された状態で、支持軸15aに対して取り付けられている。尚、コイルバネ15bは、スパーギヤ33に対して、支持軸15aの軸方向において、支持軸15aの一方の端部側に配置されている。コイルバネ15cは、スパーギヤ33に対して、支持軸15aの軸方向において、支持軸15bの他方の端部側に配置されている。
また、コイルバネ15bは、その一端側の端部が、支持軸15aの一方の端部に取り付けられた止め輪35aに当接している。そして、コイルバネ15bは、その他端側の端部が、スパーギヤ33に当接している。更に、コイルバネ15bは、止め輪35aとスパーギヤ33との間で、圧縮された状態で設置されている。一方、コイルバネ15cは、その一端側の端部が、スパーギヤ33に当接している。そして、コイルバネ15cは、その他端側の端部が、支持軸15aの他方の端部に取り付けられた止め輪35bに当接している。更に、コイルバネ15bは、止め輪35bとスパーギヤ33との間で、圧縮された状態で設置されている。
上記により、一対のコイルバネ(15b、15c)は、支持軸15aの軸方向に変位可能なスパーギヤ33を、その両側から互いに逆方向に付勢している。そして、弾性支持機構15は、スパーギヤ33の軸方向における両側からスパーギヤ33を弾性部材であるコイルバネ(15b、15c)を介して支持している。
尚、上記の例では、一対のコイルバネ(15b、15c)がいずれも圧縮された状態で設置された形態を例示したが、この通りでなくてもよい。いずれも伸びた状態の一対のコイルバネ(15b、15c)が、スパーギヤ33を互いに逆方向に引っ張り合うように設置された形態が実施されてもよい。また、スパーギヤ33をその両側から逆方向に付勢する弾性部材として、コイルバネ(15b、15c)以外の弾性部材が用いられてもよい。例えば、筒状に形成されたゴム部材或いは樹脂部材が用いられてもよい。
[スクリュー機構]
図3及び図4に示すスクリュー機構16は、電動モータ13が出力する回転方向の駆動力を直線方向の駆動力に変換して出力する機構として設けられている。スクリュー機構16は、第1スクリュー27、第2スクリュー28、複数のボール29、等を備えて構成されている。
スクリュー機構16は、第1スクリュー27及び第2スクリュー28の一方に電動モータ13からの駆動力が入力されるように構成される。更に、スクリュー機構16は、第1スクリュー27及び第2スクリュー28の他方が、出力部12に連結されるように構成される。本実施形態では、第2スクリュー28に電動モータ13からの駆動力が入力され、第1スクリュー27が出力部12に連結された形態が、例示されている。
第1スクリュー27は、ハウジング11に一部が収納されたネジ軸部材として設けられている。この第1スクリュー27は、内部に空間領域が形成された筒状の部材として設けられている。第1スクリュー27の内側の空間領域には、後述する位置検出機構26が配置されている。また、第1スクリュー27の外周には、螺旋状のネジ溝が設けられている。
また、第1スクリュー27の一方の端部は、ハウジング11から外部に露出するように配置されている。そして、ハウジング11から露出した第1スクリュー27の端部には、出力部12が固定されている。尚、出力部12には、連結部12aが設けられる端部とは反対側の端部において、ネジ軸部12bが設けられている。そして、第1スクリュー27の端部には、ネジ軸部12bが挿入される挿入孔が形成されている。ネジ軸部12bの外周には、オネジ部分が設けられている。一方、第1スクリュー27の端部の挿入孔の内周には、ネジ軸部12bのオネジ部分に螺合するメネジ部分が設けられている。第1スクリュー27に設けられたメネジ部分とネジ軸部12bに設けられたオネジ部分とが螺合することで、出力部12が、第1スクリュー27に取り付けられて固定されている。
また、第1スクリュー27の端部と連結部12aとの間には、ワッシャー36が配置されている。ワッシャー36は、第1スクリュー27の端部と連結部12aとの両方に対して係合した状態で、第1スクリュー27及び出力部12に取り付けられている。これにより、出力部12の第1スクリュー27に対する回り止めが施され、出力部12の第1スクリュー27からの脱落が防止されている。
第2スクリュー28は、ハウジング11に収納されている。そして、第2スクリュー28は、ハウジング11の内側において、後述する一対の支持部(17、18)に対して回転自在に支持されている。また、第2スクリュー28は、第1スクリュー27が内側に設置される筒状の部分を有して構成されている。第2スクリュー28は、筒状の部分の外周側において、一対の支持部(17、18)に対して回転自在に支持されている。また、第2スクリュー28における筒状の部分の内周には、螺旋状のネジ溝が設けられている。尚、第2スクリュー28において、筒状の部分の内側の領域は、第2スクリュー28の軸方向に延びる貫通孔として構成されている。
また、第2スクリュー28には、筒状に延びる部分の中央部分において、ギヤ部28aが設けられている。ギヤ部28aの外周には、外歯28bが設けられている。第2スクリュー28は、ギヤ部28aの外歯28bにおいて、ギヤ機構14のスパーギヤ33に噛み合うように設置されている。スパーギヤ33からの回転駆動力は、ギヤ部28aに入力される。これにより、第2スクリュー28は、回転駆動される。尚、ギヤ部28aの外歯28bは、スパーギヤ33よりも大径の歯車として設けられている。このため、スパーギヤ33からの回転駆動力は、第2スクリュー28に対して、減速されて伝達される。
第2スクリュー28は、第2スクリュー28の筒状の部分の内側に配置される第1スクリュー27に対して、第1スクリュー27の軸心を中心として相対回転可能に取り付けられている。そして、第2スクリュー28は、第1スクリュー27に対して相対回転することで、第1スクリュー27に対して軸方向に相対変位可能に設けられている。即ち、第1スクリュー27も、第2スクリュー28に対して相対回転することで、第2スクリュー28に対して軸方向に相対変位可能に設けられている。
また、第2スクリュー28の内周のネジ溝と第1スクリュー27の外周のネジ溝との間においては、複数のボール29が循環して転動するように構成されている。即ち、スクリュー機構16は、ボールスクリュー機構の構成を備えている。
第1スクリュー27の軸心の位置と、第2スクリュー28の軸心の位置とは、一致している。そして、スパーギヤ33によって駆動された第2スクリュー28が軸心を中心として回転することで、複数のボール29が第1スクリュー27のネジ溝と第2スクリュー28のネジ溝との間で転動する。これにより、第1スクリュー27が、第1スクリュー27の軸方向に変位することになる。
尚、第2スクリュー28が回転すると、第1スクリュー27は、ハウジング11及び第2スクリュー28に対して、第1スクリュー27の軸方向に変位する。第1スクリュー27がハウジング11に対して軸方向に変位することで、第1スクリュー27とともに、出力部12も、ハウジング11に対して変位する。一方、第1スクリュー27に対して軸方向に相対変位する第2スクリュー28は、ハウジング11に対しては、第2スクリュー28の軸方向において変位しない。
上記のように、第2スクリュー28は、第1スクリュー27に対して相対回転することで、第1スクリュー27に対してその軸方向に、相対変位可能に構成されている。尚、本実施形態では、電動モータ13からの駆動力を入力された第2スクリュー28が回転し、第1スクリュー27が、ハウジング11、一対の支持部(17、18)、及び第2スクリュー28に対して、軸方向に変位する形態を例示しているが、この逆の関係の構成が実施されてもよい。即ち、電動モータからの駆動力が入力された第1スクリューが回転し、第2スクリューが、ハウジング、一対の支持部、及び第1スクリューに対して、軸方向に変位する形態が実施されてもよい。この場合、電動モータからの駆動力は上記のように第1スクリューに入力され、第2スクリューが出力部に連結される形態となる。
尚、第1スクリュー27に固定された出力部12と、ハウジング11との間には、図示が省略された回り止め機構が設置されている。この回り止め機構は、第1スクリュー27の軸心を中心とした第1スクリュー27及び出力部12の回転方向の変位を規制する機構として設けられている。この回り止め機構は、例えば、複数のリンク部材が連結された機構として設けられ、一方の端部が出力部12に取り付けられ、他方の端部がハウジング11に取付けられている。このように回り止め機構が設けられていることで、第2スクリュー28が回転した際に、第1スクリュー27が直線方向に沿って移動することになる。
[第1支持部、第2支持部]
一対の支持部(17、18)は、第1スクリュー27及び第2スクリュー28の一方を、その一端側及び他端側のそれぞれにおいて、回転自在に支持する機構として設けられている。本実施形態では、一対の支持部(17、18)は、第2スクリュー28をその一端側及び他端側のそれぞれにおいて回転自在に支持するように構成されている。
そして、本実施形態では、一対の支持部(17、18)のうちの一方である第1支持部17が、第2スクリュー28の一端側を回転自在に支持している。即ち、第1支持部17は、第2スクリュー28をその出力部12側において回転自在に支持している。更に、一対の支持部(17、18)のうちの他方である第2支持部18が、第2スクリュー28の他端側を回転自在に支持している。即ち、第2支持部18は、第2スクリュー28をその連結部11a側において回転自在に支持している。
第1支持部17は、リング状構造部17a、軸受部17b、摺動部材17c、リンク連結部17d、等を備えて構成されている。
リング状構造部17aは、リング状に形成された部分として設けられ、中央には貫通孔が形成されている。リング状構造部17aの内側には、第2スクリュー28が配置されている。即ち、リング状構造部17aの貫通孔に第2スクリュー28が挿通されている。第2スクリュー28は、筒状構造部17aの内側に対して、軸受部17bを介して、回転自在に設置されている。
また、リング状構造部17aは、ハウジング11の内側に配置されている。リング状構造部17aの外周には、複数の摺動部材17cが取り付けられている。複数の摺動部材17cは、リング状構造部17aの外周において、その周方向に並んで配置されている。リング状構造部17aは、複数の摺動部材17cを介して、ハウジング11の内周に対して、第1スクリュー27の軸方向と平行な方向に沿って、摺動可能に配置されている。
軸受部17bは、リング状構造部17aの内周に対して第2スクリュー28の一端側の外周を回転自在に支持する機構として設けられている。本実施形態では、玉軸受として設けられた軸受部17bを例示している。軸受部17bの外輪は、リング状構造部17aの内周に嵌め込まれている。そして、軸受部17bの内輪は、第2スクリュー28の一端側の部分の外周に対して取り付けられている。これにより、軸受部17bは、リング状構造部17aに対して、第2スクリュー28の一端側の外周を回転自在に支持している。尚、軸受部17bの内輪は、第2スクリュー28の一端側の部分の外周に対して、第2スクリュー28の軸方向において摺動自在な状態で、取り付けられている。
尚、軸受部17bによって支持されている第2スクリュー28の一端側の部分は、第2スクリュー28において、ギヤ部28aに対して出力部12側の部分として設けられている。そして、第2スクリュー28において軸受部17bによって支持されている一端側の部分は、ギヤ部28aよりも縮径した部分として設けられている。
また、軸受部17bの外輪におけるギヤ部28a側に配置された端部は、リング状構造部17aの内周において周方向に亘って内側に向かって突出した壁部17eに対して、当接して支持されている。更に、軸受部17bの外輪における出力部12側に配置された端部は、リング状構造部17aの内周に嵌め込まれたストッパリング17fに当接して位置決めされている。これにより、軸受部17bは、リング状構造部17aに対して保持されている。また、軸受部17bの内輪におけるギヤ部28a側に配置された端部は、ギヤ部28aに対して、出力部12側から当接している。そして、ギヤ部28aの出力部12側の端部には、軸受部17bに対してその内輪にのみ当接する段部が設けられている。
リンク連結部17dは、後述する第1リンク機構19に連結される部分として設けられている。このリンク連結部17dは、リング状構造部17aと一体に設けられ、リング状構造部17aの外周から外側に向かって突出するように形成されている。そして、リンク連結部17dは、ハウジング11の外周壁部に設けられたスリット孔11bを貫通するように、配置されている。更に、スリット孔11bを貫通するリンク連結部17dは、ハウジング11の内側から外側に向かって突出するように、配置されている。
尚、上記のスリット孔11bは、ハウジング11の外周壁部において、貫通形成されたスリット状の孔として設けられている。そして、スリット孔11bは、ハウジング11の外周壁部において、第1スクリュー27及び第2スクリュー28の軸方向(以下、「スクリュー機構16の軸方向」とも称する)と平行な方向に沿って開口するように、設けられている。
第2支持部18は、リング状構造部18a、軸受部18b、摺動部材18c、リンク連結部18d、等を備えて構成されている。
リング状構造部18aは、リング状に形成された部分として設けられ、中央には貫通孔が形成されている。リング状構造部18aの内側には、第2スクリュー28が配置されている。即ち、リング状構造部18aの貫通孔に第2スクリュー28が挿通されている。第2スクリュー28は、筒状構造部18aの内側に対して、軸受部18bを介して、回転自在に設置されている。
また、リング状構造部18aは、ハウジング11の内側に配置されている。リング状構造部18aの外周には、複数の摺動部材18cが取り付けられている。複数の摺動部材18cは、リング状構造部18aの外周において、その周方向に並んで配置されている。リング状構造部18aは、複数の摺動部材18cを介して、ハウジング11の内周に対して、スクリュー機構16の軸方向と平行な方向に沿って、摺動可能に配置されている。
軸受部18bは、リング状構造部18aの内周に対して第2スクリュー28の他端側の外周を回転自在に支持する機構として設けられている。本実施形態では、玉軸受として設けられた軸受部18bを例示している。軸受部18bの外輪は、リング状構造部18aの内周に嵌め込まれている。そして、軸受部18bの内輪は、第2スクリュー28の他端側の部分の外周に対して取り付けられている。これにより、軸受部18bは、リング状構造部18aに対して、第2スクリュー28の他端側の外周を回転自在に支持している。尚、軸受部18bの内輪は、第2スクリュー28の他端側の部分の外周に対して、第2スクリュー28の軸方向において摺動自在な状態で、取り付けられている。
尚、軸受部18bによって支持されている第2スクリュー28の他端側の部分は、第2スクリュー28において、ギヤ部28aに対して連結部11a側の部分として設けられている。そして、第2スクリュー28において軸受部18bによって支持されている他端側の部分は、ギヤ部28aよりも縮径した部分として設けられている。
また、軸受部18bの外輪におけるギヤ部28a側に配置された端部は、リング状構造部18aの内周において周方向に亘って内側に向かって突出した壁部18eに対して、当接して支持されている。更に、軸受部18bの外輪における連結部11a側に配置された端部は、リング状構造部18aの内周に嵌め込まれたストッパリング18fに当接して位置決めされている。これにより、軸受部18bは、リング状構造部18aに対して保持されている。また、軸受部18bの内輪におけるギヤ部28a側に配置された端部は、ギヤ部28aに対して、連結部11a側から当接している。そして、ギヤ部28aの連結部11a側の端部には、軸受部18bに対してその内輪にのみ当接する段部が設けられている。
尚、ギヤ部28aは、第1支持部17と第2支持部18との間に配置されている。そして、第1支持部17の軸受部17bにおける出力部12側と反対側の端部は、ギヤ部28aの一端側に設けられた前述の段部に対して当接している。更に、第2支持部18の軸受部18bにおける連結部11a側と反対側の端部は、ギヤ部28aの他端側に設けられた前述の段部に対して当接している。これにより、ギヤ部28aは、第1支持部17の軸受部17bと第2支持部18の軸受部18bとによって、第2スクリュー28の軸方向における両側から挟み込まれた状態で、支持されている。
リンク連結部18dは、後述する第2リンク機構20に連結される部分として設けられている。このリンク連結部18dは、リング状構造部18aと一体に設けられ、リング状構造部18aの外周から外側に向かって突出するように形成されている。そして、リンク連結部18dは、ハウジング11の外周壁部に設けられたスリット孔11cを貫通するように、配置されている。更に、スリット孔11cを貫通するリンク連結部18dは、ハウジング11の内側から外側に向かって突出するように、配置されている。
尚、上記のスリット孔11cは、ハウジング11の外周壁部において、貫通形成されたスリット状の孔として設けられている。そして、スリット孔11cは、ハウジング11の外周壁部において、スクリュー機構16の軸方向と平行な方向に沿って開口するように、設けられている。また、スリット孔11b及びスリット孔11cは、ハウジング11の外周壁部において、同一直線上に沿って配置されている。
[第1リンク機構、第2リンク機構]
図5は、第1リンク機構19及び第1解除機構21を示す模式図である。尚、図5では、第1リンク機構19と、第1解除機構21の一部とについては、外形が図示されている。また、図5では、第1解除機構21におけるハウジング11と一体に設けられる部分については、模式的な断面が図示されている。
図3乃至図5に示す第1リンク機構19は、複数の第1リンク部材(19a、19b)を備えている。本実施形態では、直列に連結された2つの第1リンク部材(19a、19b)を有する第1リンク機構19が例示されている。各第1リンク部材(19a、19b)は、例えば、長手方向を有し、直線状に延びる板状の部材として設けられている。そして、第1リンク部材19aと第1リンク部材19bとは、一つの端部同士が互いに回転自在に連結されている。
上記のように、第1リンク機構19は、第1リンク部材19aと第1リンク部材19bとが直列に連結されて構成されている。そして、第1リンク機構19は、その一方の端部が、第1支持部17に対して回転可能に連結されている。更に、第1リンク機構19は、その他方の端部が、ハウジング11に対して回転可能に連結されている。即ち、第1リンク機構19は、第1支持部17に連結される端部とは反対側の端部が、ハウジング11に対して回転可能に連結されている。このように、第1リンク機構19は、第1支持部17とハウジング11とを連結するように設けられている。
尚、より具体的には、第1リンク機構19において、第1支持部17に連結される一方の端部は、連結部11a側の端部として構成されている。更に、第1リンク機構19の一方の端部は、第1リンク部材19aにおける第1リンク部材19bに連結される端部とは反対側の端部として構成されている。そして、第1リンク部材19aにおける第1リンク部材19b側と反対側の端部は、第1支持部17のリンク連結部17dに対して、回転軸を介して回転自在に連結されている。尚、第1リンク部材19aの端部は、スリット孔11bからハウジング11の外部に露出したリンク連結部17dの先端部分に対して、回転自在に連結されている。
また、第1リンク機構19において、ハウジング11に連結される他方の端部は、出力部12側の端部として構成されている。更に、第1リンク機構19の他方の端部は、第1リンク部材19bにおける第1リンク部材19aに連結される端部とは反対側の端部として構成されている。そして、第1リンク部材19bにおける第1リンク部材19a側と反対側の端部は、ハウジング11におけるリンク連結部11dに対して、回転軸を介して回転自在に連結されている。
上記のリンク連結部11dは、ハウジング11の外周から外側に向かって突出した部分として設けられている。そして、第1リンク部材19bの端部が、リンク連結部11dに対して、回転自在に連結されている。また、リンク連結部11d及びスリット孔11bは、ハウジング11の外周壁部において、スクリュー機構16の軸方向と平行な方向に沿って配置されている。
図3及び図5では、連結された複数の第1リンク部材(19a、19b)が、直線状に延びた状態が図示されている。第1リンク機構19は、連結された複数の第1リンク部材(19a、19b)が直線状に延びた状態において、ハウジング11に対する第1支持部17の相対変位を規制可能に構成されている。
直線状に延びた状態の複数の第1リンク部材(19a、19b)は、スクリュー機構16の軸方向と平行な方向に沿って延びている。また、第2スクリュー28の一端側を支持する第1支持部17は、ハウジング11に対して、スクリュー機構16の軸方向と平行な方向に沿って相対移動可能に設置されている。そして、直線状に延びた状態の第1リンク部材(19a、19b)は、ハウジング11と第1支持部17とを連結している。更に、ハウジング11において第1リンク機構19の他方の端部に連結されるリンク連結部11dは、第1支持部17に対して第2スクリュー28のギヤ部28a側と反対側に配置されている。
上記により、第1リンク機構19は、連結された複数の第1リンク部材(19a、19b)が直線状に延びた状態において、第2スクリュー28に付勢された第1支持部17が第1リンク機構19の両端部を接近させる方向に向かって第1リンク機構19を付勢する際に、ハウジング11に対する第1支持部17の相対変位を規制するように設けられている。即ち、連結された第1リンク部材(19a、19b)が直線状に延びた状態では、スクリュー機構16の軸方向と平行な方向における第1支持部17のハウジング11に対する出力部12側への移動が規制される。更に換言すれば、直線状に延びた第1リンク部材(19a、19b)の座屈方向に平行な方向におけるハウジング11に対する第1支持部17の相対変位が規制される。
尚、連結された第1リンク部材(19a、19b)が直線状に延びた状態は、必ずしも、連結された第1リンク部材(19a、19b)が厳密に一直線に沿って延びた状態でなくてもよい。連結された第1リンク部材(19a、19b)が直線状に延びた状態には、第1リンク機構19が、連結された第1リンク部材(19a、19b)の連結位置においてハウジング11側に僅かに屈曲した状態も含まれる。即ち、第1リンク機構19は、第1リンク部材(19a、19b)の連結位置においてハウジング11側に僅かに屈曲したような直線状の状態であっても、ハウジング11に対する出力部12側への第1支持部17の相対変位を規制する。この場合、第1リンク機構19における複数の第1リンク部材(19a、19b)が連結されている部分である第1連結部分19cが、ハウジング11側に当接した状態となる。このため、連結された第1リンク部材(19a、19b)の変形が規制される。これにより、直線状に延びた第1リンク部材(19a、19b)の座屈方向に平行な方向におけるハウジング11に対する第1支持部17の相対変位が規制される。
一方、第1リンク機構19は、後述する第1解除機構21が作動することで、連結された複数の第1リンク部材(19a、19b)の連結位置において屈曲した状態となる。このとき、第1リンク機構19における第1連結部分19cは、ハウジング11から遠ざかる方向に向かって変位する。これにより、第1支持部17のハウジング11に対する出力部12側への相対変位が許容される。即ち、第1リンク機構19は、第1解除機構21が作動することで、連結された第1リンク部材(19a、19b)の連結位置において屈曲した状態となり、第1支持部17のハウジング11に対する出力部12側への相対変位を許容するように構成されている。
図6は、第2リンク機構20及び第2解除機構22を示す模式図である。尚、図6では、第2リンク機構20と、第2解除機構22の一部とについては、外形が図示されている。また、図6では、第2解除機構22におけるハウジング11と一体に設けられる部分については、模式的な断面が図示されている。
図3、図4、図6に示す第2リンク機構20は、複数の第2リンク部材(20a、20b)を備えている。本実施形態では、直列に連結された2つの第2リンク部材(20a、20b)を有する第2リンク機構20が例示されている。各第2リンク部材(20a、20b)は、例えば、長手方向を有し、直線状に延びる板状の部材として設けられている。そして、第2リンク部材20aと第2リンク部材20bとは、一つの端部同士が互いに回転自在に連結されている。
上記のように、第2リンク機構20は、第2リンク部材20aと第2リンク部材20bとが直列に連結されて構成されている。そして、第2リンク機構20は、その一方の端部が、第2支持部18に対して回転可能に連結されている。更に、第2リンク機構20は、その他方の端部が、ハウジング11に対して回転可能に連結されている。即ち、第2リンク機構20は、第2支持部18に連結される端部とは反対側の端部が、ハウジング11に対して回転可能に連結されている。このように、第2リンク機構20は、第2支持部18とハウジング11とを連結するように設けられている。
尚、より具体的には、第2リンク機構20において、第2支持部18に連結される一方の端部は、出力部12側の端部として構成されている。更に、第2リンク機構20の一方の端部は、第2リンク部材20aにおける第2リンク部材20bに連結される端部とは反対側の端部として構成されている。そして、第2リンク部材20aにおける第2リンク部材20b側と反対側の端部は、第2支持部18のリンク連結部18dに対して、回転軸を介して回転自在に連結されている。尚、第2リンク部材20aの端部は、スリット孔11cからハウジング11の外部に露出したリンク連結部18dの先端部分に対して、回転自在に連結されている。
また、第2リンク機構20において、ハウジング11に連結される他方の端部は、連結部11a側の端部として構成されている。更に、第2リンク機構20の他方の端部は、第2リンク部材20bにおける第2リンク部材20aに連結される端部とは反対側の端部として構成されている。そして、第2リンク部材20bにおける第2リンク部材20a側と反対側の端部は、ハウジング11におけるリンク連結部11eに対して、回転軸を介して回転自在に連結されている。
上記のリンク連結部11eは、ハウジング11の外周から外側に向かって突出した部分として設けられている。そして、第2リンク部材20bの端部が、リンク連結部11eに対して、回転自在に連結されている。また、リンク連結部11e及びスリット孔11cは、ハウジング11の外周壁部において、スクリュー機構16の軸方向と平行な方向に沿って配置されている。
図3及び図6では、連結された複数の第2リンク部材(20a、20b)が、直線状に延びた状態が図示されている。第2リンク機構20は、連結された複数の第2リンク部材(20a、20b)が直線状に延びた状態において、ハウジング11に対する第2支持部18の相対変位を規制可能に構成されている。
直線状に延びた状態の複数の第2リンク部材(20a、20b)は、スクリュー機構16の軸方向と平行な方向に沿って延びている。また、第2スクリュー28の他端側を支持する第2支持部18は、ハウジング11に対して、スクリュー機構16の軸方向と平行な方向に沿って相対移動可能に設置されている。そして、直線状に延びた状態の第2リンク部材(20a、20b)は、ハウジング11と第2支持部18とを連結している。更に、ハウジング11において第2リンク機構20の他方の端部に連結されるリンク連結部11eは、第2支持部18に対して第2スクリュー28のギヤ部28a側と反対側に配置されている。
上記により、第2リンク機構20は、連結された複数の第2リンク部材(20a、20b)が直線状に延びた状態において、第2スクリュー28に付勢された第2支持部18が第2リンク機構20の両端部を接近させる方向に向かって第2リンク機構20を付勢する際に、ハウジング11に対する第2支持部18の相対変位を規制するように設けられている。即ち、連結された第2リンク部材(20a、20b)が直線状に延びた状態では、スクリュー機構16の軸方向と平行な方向における第2支持部18のハウジング11に対する連結部11a側への移動が規制される。更に換言すれば、直線状に延びた第2リンク部材(20a、20b)の座屈方向に平行な方向におけるハウジング11に対する第2支持部18の相対変位が規制される。
尚、連結された第2リンク部材(20a、20b)が直線状に延びた状態は、必ずしも、連結された第2リンク部材(20a、20b)が厳密に一直線に沿って延びた状態でなくてもよい。連結された第2リンク部材(20a、20b)が直線状に延びた状態には、第2リンク機構20が、連結された第2リンク部材(20a、20b)の連結位置においてハウジング11側に僅かに屈曲した状態も含まれる。即ち、第2リンク機構20は、第2リンク部材(20a、20b)の連結位置においてハウジング11側に僅かに屈曲したような直線状の状態であっても、ハウジング11に対する連結部11a側への第2支持部18の相対変位を規制する。この場合、第2リンク機構20における複数の第2リンク部材(20a、20b)が連結されている部分である第2連結部分20cが、ハウジング11側に当接した状態となる。このため、連結された第2リンク部材(20a、20b)の変形が規制される。これにより、直線状に延びた第2リンク部材(20a、20b)の座屈方向に平行な方向におけるハウジング11に対する第2支持部18の相対変位が規制される。
一方、第2リンク機構20は、後述する第2解除機構22が作動することで、連結された複数の第2リンク部材(20a、20b)の連結位置において屈曲した状態となる。このとき、第2リンク機構20における第2連結部分20cは、ハウジング11から遠ざかる方向に向かって変位する。これにより、第2支持部18のハウジング11に対する連結部11a側への相対変位が許容される。即ち、第2リンク機構20は、第2解除機構22が作動することで、連結された第2リンク部材(20a、20b)の連結位置において屈曲した状態となり、第2支持部18のハウジング11に対する連結部11a側への相対変位を許容するように構成されている。
[第1解除機構、第2解除機構]
第1解除機構21は、第1リンク機構19によるハウジング11に対する第1支持部17の相対変位の規制を解除可能な機構として設けられている。第1解除機構20は、アクチュエータコントローラ30からの指令に基づいて、作動する。アクチュエータコントローラ30は、スクリュー機構16において固着状態(ジャム状態)が発生したことが検知された場合に、第1解除機構18を作動させる。また、アクチュエータコントローラ30は、スクリュー機構16とギヤ機構14との間において固着状態(ジャム状態)が発生したことが検知された場合にも、第1解除機構18を作動させる。尚、スクリュー機構16における固着状態は、第1スクリュー27と第2スクリュー28とボール24との間におけるこじり或いは焼き付き等の原因によって、発生する。そして、スクリュー機構16とギヤ機構14との間における固着状態は、第2スクリュー28とスパーギヤ33との間におけるこじり或いは焼き付き等の原因によって、発生する。
また、スクリュー機構16における固着状態の発生、或いは、スクリュー機構16とギヤ機構14との間における固着状態の発生を検知する方法は、種々の手段によって実施することができる。例えば、電動モータ13のトルク電流に基づいて、上記の固着状態が検知されてもよい。この場合、アクチュエータコントローラ30が、電動モータ13のトルク電流を検出する電流センサからの信号を、ドライバ31を介して受信する。そして、アクチュエータコントローラ30にて、電流センサで検出された電流値に基づいて、上記の固着状態の発生が検知される。更にこの場合、例えば、アクチュエータコントローラ30は、電流センサで検出された電流値が所定の値よりも大きい場合に、上記の固着状態が発生していると判定するように構成されていてもよい。
或いは、後述する位置検出機構26からの信号に基づいて、アクチュエータコントローラ30にて、上記の固着状態の発生が検知されてもよい。後述するように、位置検出機構26では、第1スクリュー27のハウジング11に対する位置が検出される。そして、例えば、アクチュエータコントローラ30は、出力部12をハウジング11に対して変位させる指令を出力しているにも関わらず、第1スクリュー27がハウジング11に対して所定変位量以下しか変位しない場合に、上記の固着状態が発生していると判定するように構成されていてもよい。
尚、スクリュー機構16における固着状態の発生と、スクリュー機構16とギヤ機構14との間における固着状態の発生とは、アクチュエータコントローラ30において、区別して検知されなくてもよい。即ち、アクチュエータコントローラ30は、スクリュー機構16における固着状態と、スクリュー機構16とギヤ機構14との間における固着状態と、のうちの少なくともいずれかが発生したことを検知可能に構成されていてもよい。
図5に示すように、第1解除機構21は、プランジャ37、ソレノイド38、ガイド部39、等を備えて構成されている。プランジャ37及びソレノイド38は、ハウジング11に設置されている。ガイド部39は、ハウジング11の一部として又はハウジング11に固定された部材として構成されている。
プランジャ37には、プランジャ先端部37a及びプランジャ本体部37bが設けられている。プランジャ先端部37aは、プランジャ本体部37bから突出した部分として設けられている。そして、プランジャ先端部37aは、第1リンク機構19における複数の第1リンク部材(19a、19b)が連結されている部分である第1連結部分19cに対して当接可能な部分として設けられている。また、プランジャ先端部37aは、ガイド部39に貫通形成されたガイド孔39aの内側に配置されている。そして、プランジャ先端部37aは、ガイド孔39aによって変位方向を案内される。
プランジャ本体部37bは、ソレノイド38の内側に配置されている。プランジャ本体部37bは、ソレノイド38によって駆動される。そして、プランジャ本体部37bは、ソレノイド38によって駆動されることでソレノイド38に対して相対変位する可動鉄心として設けられている。
上記の構成により、プランジャ37は、ソレノイド38によって、ハウジング11から外側に向かって突出するように、駆動される。そして、プランジャ37は、第1解除機構21において、第1連結部分19cに向かってハウジング11側から突出するように変位可能に支持されている。プランジャ37は、本実施形態における第1突出部として構成されている。
ソレノイド38は、アクチュエータコントローラ30からの指令に基づいて通電されるコイル部として設けられている。ソレノイド38が通電されて励磁されることで、第1解除機構21が作動することになる。そして、ソレノイド38は、励磁されることで、プランジャ37を第1リンク機構19の第1連結部分19cに向かって突出させるように駆動する。そして、プランジャ37は、ソレノイド38によって駆動されて第1連結部分19cに向かって突出することで、第1連結部分19cに当接した状態で、更に、第1連結部分19cを付勢する。これにより、プランジャ37は、第1リンク機構19を屈曲させるように、第1連結部分19cを付勢する。ソレノイド38は、本実施形態における第1突出駆動部として構成されている。
図7は、第1解除機構21が作動した状態を示す模式図であって、図5に対応させて示す図である。図7に示すように、プランジャ37は、ソレノイド38によって駆動されることで、第1連結部分19cに向かって突出する。そして、プランジャ37が第1連結部分19cを付勢することで、第1リンク機構19が屈曲することになる。
尚、第1リンク部材(19a、19b)が直線状に延びた状態の第1リンク機構19は、第1リンク部材(19a、19b)が直線状に延びる方向においては、大きな力を支持している。一方、第1リンク部材(19a、19b)が直線状に延びる方向に対して直交する方向において第1リンク機構19が支持可能な力は、小さい。そして、プランジャ37は、第1連結部分19cに対して、第1リンク部材(19a、19b)が直線状に延びる方向に略直交する方向から当接する。このため、プランジャ37が第1連結部分19cを付勢することで、第1リンク機構19が容易に屈曲することになる。
また、図7に示すように、第1解除機構21が作動して第1リンク機構19が連結位置において屈曲すると、第1リンク機構19は、更に屈曲し易くなる。即ち、図7に示す状態になると、第1リンク機構19は、第1支持部17から外力が作用することで、容易に、更に屈曲することになる。
また、本実施形態では、プランジャ37は、ソレノイド38が励磁されることでソレノイド38から第1連結部分19cに向かって突出するように構成されている。そして、第1解除機構21には、プランジャ37を第1連結部分19cから離間させる方向に付勢する離間用のバネ(図示省略)も設けられている。
ソレノイド38が消磁された状態においては、上記の離間用のバネのバネ力が作用しているため、第1リンク機構19を連結位置において屈曲させるようにプランジャ37が第1連結部分19cを付勢する動作は、行われない。一方、ソレノイド38が励磁されると、プランジャ37が、上記の離間用のバネのバネ力に抗して、第1連結部分19cに向かって突出する。そして、プランジャ37が、第1リンク機構19を屈曲させるように、第1連結部分19cを付勢する。
尚、本実施形態では、ソレノイド38が励磁されることでプランジャ37が第1連結部分19cを付勢する構成を例示したが、この通りでなくてもよい。ソレノイド38が消磁されることでソレノイド38から第1連結部分19cに向かってプランジャ37が突出する変形例が実施されてもよい。
上記の変形例の場合、第1解除機構21には、プランジャ37を第1連結部分19cに向かって突出させる方向に付勢する突出用のバネ(図示省略)が設けられることになる。そして、ソレノイド38が励磁された状態においては、プランジャ37が、上記の突出用のバネのバネ力に抗して、連結部分19cから離間する方向に変位している。このため、第1リンク機構19を屈曲させるようにプランジャ37が第1連結部分19cを付勢する動作は、行われない。一方、ソレノイド38が消磁されると、プランジャ37が、上記の突出用のバネのバネ力によって、第1連結部分19cに向かって突出する。そして、プランジャ37が、第1リンク機構19を屈曲させるように、第1連結部分19cを付勢する。
ガイド部39は、前述のように、ハウジング11の一部として又はハウジング11に固定された部材として設けられている。そして、ガイド部39には、プランジャ先端部37aの変位方向を案内するガイド孔39aが設けられている。ガイド孔39aは、ガイド部39において、貫通孔として設けられている。そして、ガイド孔39aは、第1リンク機構19の第1連結部分19cに向かって開口している。更に、ガイド孔39aは、ガイド部39において、直線状に延びた状態の第1リンク部材(19a、19b)に対して直交する方向に沿って延びる孔として設けられている。
第2解除機構22は、第2リンク機構20によるハウジング11に対する第2支持部18の相対変位の規制を解除可能な機構として設けられている。第2解除機構22は、アクチュエータコントローラ30からの指令に基づいて、作動する。アクチュエータコントローラ30は、前述の固着状態が発生したことが検知された場合に、第2解除機構22を作動させる。よって、アクチュエータコントローラ30は、前述の固着状態が発生したことが検知された場合には、第1解除機構21及び第2解除機構22の両方を作動させる。
図6に示すように、第2解除機構22は、プランジャ40、ソレノイド41、ガイド部42、等を備えて構成されている。プランジャ40及びソレノイド41は、ハウジング11に設置されている。ガイド部42は、ハウジング11の一部として又はハウジング11に固定された部材として構成されている。
プランジャ40には、プランジャ先端部40a及びプランジャ本体部40bが設けられている。プランジャ先端部40aは、プランジャ本体部40bから突出した部分として設けられている。そして、プランジャ先端部40aは、第2リンク機構20における複数の第2リンク部材(20a、20b)が連結されている部分である第2連結部分20cに対して当接可能な部分として設けられている。また、プランジャ先端部40aは、ガイド部42に貫通形成されたガイド孔42aの内側に配置されている。そして、プランジャ先端部40aは、ガイド孔42aによって変位方向を案内される。
プランジャ本体部40bは、ソレノイド41の内側に配置されている。プランジャ本体部40bは、ソレノイド41によって駆動される。そして、プランジャ本体部40bは、ソレノイド41によって駆動されることでソレノイド41に対して相対変位する可動鉄心として設けられている。
上記の構成により、プランジャ40は、ソレノイド41によって、ハウジング11から外側に向かって突出するように、駆動される。そして、プランジャ40は、第2解除機構22において、第2連結部分20cに向かってハウジング11側から突出するように変位可能に支持されている。プランジャ40は、本実施形態における第2突出部として構成されている。
ソレノイド41は、アクチュエータコントローラ30からの指令に基づいて通電されるコイル部として設けられている。ソレノイド41が通電されて励磁されることで、第2解除機構22が作動することになる。そして、ソレノイド41は、励磁されることで、プランジャ40を第2リンク機構20の第2連結部分20cに向かって突出させるように駆動する。そして、プランジャ40は、ソレノイド41によって駆動されて第2連結部分20cに向かって突出することで、第2連結部分20cに当接した状態で、更に、第2連結部分20cを付勢する。これにより、プランジャ40は、第2リンク機構20を屈曲させるように、第2連結部分20cを付勢する。ソレノイド41は、本実施形態における第2突出駆動部として構成されている。
尚、第2リンク部材(20a、20b)が直線状に延びた状態の第2リンク機構20は、第2リンク部材(20a、20b)が直線状に延びる方向においては、大きな力を支持している。一方、第2リンク部材(20a、20b)が直線状に延びる方向に対して直交する方向において第2リンク機構20が支持可能な力は、小さい。そして、プランジャ40は、第2連結部分20cに対して、第2リンク部材(20a、20b)が直線状に延びる方向に略直交する方向から当接する。このため、プランジャ40が第2連結部分20cを付勢することで、第2リンク機構20が容易に屈曲することになる。
また、第2解除機構22が作動して第2リンク機構20が連結位置において屈曲すると、第2リンク機構20は、更に屈曲し易くなる。即ち、第2リンク機構20は、第2解除機構22が作動して屈曲した状態となると、第2支持部18から外力が作用することで、容易に、更に屈曲することになる。
また、本実施形態では、プランジャ40は、ソレノイド41が励磁されることでソレノイド41から第2連結部分20cに向かって突出するように構成されている。そして、第2解除機構22には、プランジャ40を第2連結部分20cから離間させる方向に付勢する離間用のバネ(図示省略)も設けられている。
ソレノイド41が消磁された状態においては、上記の離間用のバネのバネ力が作用しているため、第2リンク機構20を連結位置において屈曲させるようにプランジャ40が第2連結部分20cを付勢する動作は、行われない。一方、ソレノイド41が励磁されると、プランジャ40が、上記の離間用のバネのバネ力に抗して、第2連結部分20cに向かって突出する。そして、プランジャ40が、第2リンク機構20を屈曲させるように、第2連結部分20cを付勢する。
尚、本実施形態では、ソレノイド41が励磁されることでプランジャ40が第2連結部分20cを付勢する構成を例示したが、この通りでなくてもよい。第1解除機構21の変形例として説明した形態と同様の変形例が実施されてもよい。即ち、ソレノイド41が消磁されることでソレノイド41から第2連結部分20cに向かってプランジャ40が突出する変形例が実施されてもよい。
ガイド部42は、前述のように、ハウジング11の一部として又はハウジング11に固定された部材として設けられている。そして、ガイド部42には、プランジャ先端部40aの変位方向を案内するガイド孔42aが設けられている。ガイド孔42aは、ガイド部42において、貫通孔として設けられている。そして、ガイド孔42aは、第2リンク機構20の第2連結部分20cに向かって開口している。更に、ガイド孔42aは、ガイド部42において、直線状に延びた状態の第2リンク部材(20a、20b)に対して直交する方向に沿って延びる孔として設けられている。
[第1バネ部材、第2バネ部材]
図3に示す第1バネ部材23は、トーションバネを構成するコイルバネとして設けられている。第1バネ部材23は、本実施形態では、第1リンク機構19及びハウジング11に対して設置されている。より具体的には、第1バネ部材23は、第1リンク部材19bとハウジング11のリンク連結部11dとが連結される位置に設置されている。
尚、図3では、第1バネ部材23と、電動アクチュエータ1における第1バネ部材23の取付位置との関係が、模式的に分解斜視図で図示されている。具体的には、図3では、第1バネ部材23と、電動アクチュエータ1における第1バネ部材23の取付位置との対応関係が、一点鎖線で図示されている。
第1バネ部材23におけるコイル状に巻かれた巻線の一方の端部は、第1リンク部材19bの端部に対して取り付けられて固定されている。一方、第1バネ部材23におけるコイル状に巻かれた巻線の他方の端部は、リンク連結部11dに対して取り付けられ固定されている。
上記の構造により、第1バネ部材23は、直線状に延びた第1リンク機構19をハウジング11側に向かって押し付けるように、第1リンク機構19にトルクを付与する。より具体的には、第1バネ部材23は、連結された複数の第1リンク部材(19a、19b)が直線状に延びた状態において、第1連結部分19cをハウジング11側のガイド部39に向かって押し付けるように、第1リンク部材19bにトルクを付与する。
更に、上記の構造により、第1バネ部材23は、第1解除機構21が第1リンク機構19によるハウジング11に対する第1支持部17の相対変位の規制を解除し、第1リンク機構19が屈曲した状態となった際にも、第1リンク部材19bにトルクを付与する。このとき、第1バネ部材23は、第1連結部分19cをハウジング11側に向かって付勢する方向のトルクを、第1リンク部材19bに付与する。即ち、第1解除機構21による解除動作後は、第1バネ部材23は、第1リンク部材19aと第1リンク部材19bとがハウジング11側で成す屈曲角度を大きくする向きに付勢する方向のトルクを、第1リンク部材19bに付与する。
更に、第1解除機構21による解除動作後は、第1バネ部材23は、第1リンク機構19の屈曲状態に応じた大きさのトルクを第1リンク部材19bに付与する。即ち、第1解除機構21による解除動作後は、第1バネ部材23は、第1連結部分19cがハウジング11から離間するように変位した変位量に応じた大きさのトルクを第1リンク部材19bに付与する。
図3に示す第2バネ部材24は、トーションバネを構成するコイルバネとして設けられている。第2バネ部材24は、本実施形態では、第2リンク機構20及びハウジング11に対して設置されている。より具体的には、第2バネ部材24は、第2リンク部材20bとハウジング11のリンク連結部11eとが連結される位置に設置されている。
尚、図3では、第2バネ部材24と、電動アクチュエータ1における第2バネ部材24の取付位置との関係が、模式的に分解斜視図で図示されている。具体的には、図3では、第2バネ部材24と、電動アクチュエータ1における第2バネ部材24の取付位置との対応関係が、一点鎖線で図示されている。
第2バネ部材24におけるコイル状に巻かれた巻線の一方の端部は、第2リンク部材20bの端部に対して取り付けられて固定されている。一方、第2バネ部材24におけるコイル状に巻かれた巻線の他方の端部は、リンク連結部11eに対して取り付けられ固定されている。
上記の構造により、第2バネ部材24は、直線状に延びた第2リンク機構20をハウジング11側に向かって押し付けるように、第2リンク機構20にトルクを付与する。より具体的には、第2バネ部材24は、連結された複数の第2リンク部材(20a、20b)が直線状に延びた状態において、第2連結部分20cをハウジング11側のガイド部42に向かって押し付けるように、第2リンク部材20bにトルクを付与する。
更に、上記の構造により、第2バネ部材24は、第2解除機構22が第2リンク機構20によるハウジング11に対する第2支持部18の相対変位の規制を解除し、第2リンク機構20が屈曲した状態となった際にも、第2リンク部材20bにトルクを付与する。このとき、第2バネ部材24は、第2連結部分20cをハウジング11側に向かって付勢する方向のトルクを、第2リンク部材20bに付与する。即ち、第2解除機構22による解除動作後は、第2バネ部材24は、第2リンク部材20aと第2リンク部材20bとがハウジング11側で成す屈曲角度を大きくする向きに付勢する方向のトルクを、第2リンク部材20bに付与する。
更に、第2解除機構22による解除動作後は、第2バネ部材24は、第2リンク機構20の屈曲状態に応じた大きさのトルクを第2リンク部材20bに付与する。即ち、第2解除機構22による解除動作後は、第2バネ部材24は、第2連結部分20cがハウジング11から離間するように変位した変位量に応じた大きさのトルクを第2リンク部材20bに付与する。
[位置検出機構、電磁クラッチ]
図3及び図4に示す位置検出機構26は、ケース26a及びこのケース26aに対して変位するプローブ26bを備えて構成されている。そして、位置検出機構26は、ケース26aに対するプローブ26bの相対位置を検出する機構として設けられている。位置検出機構26は、ケース26aの主要部とプローブ26bとが、第1スクリュー27の内側に配置されている。
ケース26aは、ハウジング11に設置され、内部に1次側及び2次側のコイル(図示省略)が設けられている。プローブ26bは、第1スクリュー27に対して取り付けられて、第1スクリュー27とともに変位するように設けられている。また、プローブ26bには、ケース26aのコイルの内側でケース26aに対して相対変位する可動鉄心が設けられている。上記の構成より、位置検出機構26は、ハウジング11に対する第1スクリュー27の位置を検出するように構成されている。出力部12は、第1スクリュー27に固定されている。このため、位置検出機構26によって、ハウジング11に対する出力部12の位置も検出されることになる。
尚、位置検出機構26においては、1次側のコイルが励磁された状態で可動鉄心がケース26aに対して変位することで、2次側のコイルで発生した誘起電圧に基づく信号が位置検出信号として出力される。そして、この出力された位置検出信号は、アクチュエータコントローラ30に送信される。位置検出信号を受信したアクチュエータコントローラ30は、その位置検出信号に基づいて、ドライバ31を介して電動モータ13を制御し、動翼102の動作を制御する。
図2及び図3に示す電磁クラッチ25は、電動モータ13の出力軸13bの回転を規制可能な機構として設けられている。例えば、電磁クラッチ25は、摩擦クラッチ、又は、噛み合いクラッチとして構成されている。電磁クラッチ25は、アクチュエータコントローラ30からの指令によって作動する。
電磁クラッチ25は、電動アクチュエータ1の通常の運転動作時においては、アクチュエータコントローラ30からの指令に基づいて、励磁された状態となっている。この状態では、出力軸13bの回転を規制するための電磁クラッチ25によるクラッチ動作は行われない。一方、アクチュエータコントローラ30からのクラッチ動作開始の指令信号が電磁クラッチ25に送信されると、電磁クラッチ25は、非励磁状態に切り替えられる。これにより、電磁クラッチ25は、電磁クラッチ25に内蔵されたバネ(図示省略)のバネ力によって、出力軸13bの回転を規制するためのクラッチ動作を行うように構成されている。
電磁クラッチ25の作動によるクラッチ動作が行われている状態では、電磁クラッチ25は、出力部12から入力されてスクリュー機構16及びギヤ機構14を介して出力軸13bに伝達される外力に対する抗力を発生させる。電磁クラッチ25の作動によるクラッチ動作は、例えば、1つの動翼102を駆動する両方の電動アクチュエータ1の電源が喪失するような異常が発生した場合に、行われる。このような場合に、両方の電動アクチュエータ1において上記のクラッチ動作を行わせ、動力102に作用する外力に対する抗力を発生させ、外力の影響を減衰させるダンピングモードでの運転状態を実現することができる。
[電動アクチュエータの作動]
電動アクチュエータ1の作動について説明する。スクリュー機構16における固着状態と、スクリュー機構16及びギヤ機構14の間における固着状態と、のいずれもが発生していない通常の状態においては、アクチュエータコントローラ30からの指令に基づいて、電動モータ13の運転による電動アクチュエータ1の作動が行われる。
上記の場合、電動アクチュエータ1は、第1解除機構21及び第2解除機構22がともに作動していない状態である。このため、図3に示すように、第1リンク機構19は、第1リンク部材(19a、19b)が直線状に延びた状態である。そして、第2リンク機構20は、第2リンク部材(20a、20b)が直線状に延びた状態である。これにより、スクリュー機構16の軸方向と平行な方向における第1支持部17及び第2支持部18のハウジング11に対する相対変位が規制されている。そして、第2スクリュー28は、第1支持部17及び第2支持部によって、ギヤ部28aの両側から挟まれた状態で保持されている。このため、スクリュー機構16の軸方向と平行な方向における第2スクリュー28のハウジング11に対する相対変位も規制されている。
上記の状態において、電動モータ13の運転が行われると、電動モータ13の回転駆動力がギヤ機構14を介して第2スクリュー28に伝達される。これにより、第1支持部17及び第2支持部18に保持された第2スクリュー28が、第1スクリュー27の軸心を中心として、回転する。第2スクリュー28が回転することで、前述のように、第1スクリュー27が、出力部12とともに、ハウジング11及び第2スクリュー28に対して、第1スクリュー27の軸方向に変位する。これにより、動翼102が、翼101に対して、駆動される。
図8は、電動アクチュエータ1の作動を説明するための図である。図3においては、第1スクリュー27及び出力部18がハウジング11に対して中立位置に位置した状態が、図示されている。一方、図8においては、電動アクチュエータ13が所定の回転方向に回転し、第1スクリュー27及び出力部12が、図3に示す中立位置よりも、よりハウジング11から突出した状態が、図示されている。
電動アクチュエータ1の状態が図8に示す状態である場合には、図1に示す状態よりも動翼102の後端部が上方に位置するように、動翼102が駆動された状態となる。尚、動翼102の後端部は、動翼102における電動アクチュエータ1に連結される側の端部とは反対側の端部である。一方、電動モータ13が上記の所定の回転方向とは逆方向に回転すると、第1スクリュー27及び出力部12が、ハウジング11に対して収縮する方向に変位することになる。
次に、スクリュー機構16における固着状態が発生した場合の電動アクチュエータ1の作動について説明する。例えば、ハウジング11に対して第1スクリュー27が突出又は収縮する動作の途中において、スクリュー機構16における固着状態が発生すると、第2スクリュー28に対して第1スクリュー27が軸方向に変位する動作が、不能となる。この場合、アクチュエータコントローラ30において、前述のように、固着状態の発生が検知される。
上記のように、スクリュー機構16における固着状態が発生した場合には、第2スクリュー28に対する第1スクリュー27の軸方向の変位動作が不能なため、電動モータ13による駆動によって出力部12をハウジング11に対して変位させることができない。しかし、固着状態の発生が検知されると、アクチュエータコントローラ30からの指令に基づいて、第1解除機構21及び第2解除機構22が作動する。即ち、ソレノイド38が励磁され、プランジャ37が第1リンク機構19の第1連結部分19cに向かって突出する。これにより、第1リンク機構19が連結位置において屈曲する。そして、ソレノイド41が励磁され、プランジャ40が第2リンク機構20の第2連結部分20cに向かって突出する。これにより、第2リンク機構20が連結位置において屈曲する。尚、固着状態の発生が検知されると、電動モータ13の運転も停止される。
第1解除機構21及び第2解除機構22が作動して第1リンク機構19及び第2リンク機構20が少し屈曲した状態で、動翼102に外力が作用すると、その外力が、出力部12に作用する。出力部12に作用した外力は、第1スクリュー27に伝達される。そして、第1スクリュー27は第2スクリュー28に固着しているため、第1スクリュー28に伝達された外力は、第2スクリュー28を介して、第1支持部17又は第2支持部18に伝達される。
図9及び図10は、第1解除機構21及び第2解除機構22が作動した状態における、電動アクチュエータ1の作動を説明するための図である。尚、図9は、上記の状態で、出力部12をハウジング11に対して突出させる方向に付勢する外力が出力部12に作用した場合の電動アクチュエータ1の状態を示している。一方、図10は、上記の状態で、出力部12をハウジング11に対して収縮させる方向に付勢する外力が出力部12に作用した場合の電動アクチュエータ1の状態を示している。
出力部12をハウジング11に対して突出させる方向に付勢する外力が出力部12に作用する場合は、出力部12は、ハウジング11から突出する方向に向かって移動する。そして、出力部12とともに、スクリュー機構16が、出力部12と同じ方向に向かって、変位する。即ち、第1スクリュー27及び第2スクリュー28は、固着しているため、第1スクリュー27及び第2スクリュー28は、ハウジング11内において、一体の状態で、スクリュー機構16の軸方向において、出力部12側に向かって移動する。そして、第2スクリュー28は、ギヤ部28aにおいて、第1支持部17を出力部12側に向かって付勢する。これにより、第1支持部17は、スクリュー機構16とともに、スクリュー機構16の軸方向において、出力部12側に向かって移動する。尚、このとき、ギヤ部28aの外歯28bは、スパーギヤ33に対して、スパーギヤ33の軸方向にスライド移動することになる。
出力部12、スクリュー機構16、及び第1支持部17が、ハウジング11に対して上記のように移動すると、図9に示すように、第1連結部分19cがハウジング11から離間するように、第1リンク機構19が屈曲する。即ち、第1リンク機構19がより大きく屈曲する。また、第1リンク機構19がこのように屈曲する際、第1バネ部材23によって、第1連結部分19cがハウジング11から離間した変位量に応じた大きさのトルクが、第1リンク部材19bに付与されている。このため、出力部12、スクリュー機構16、及び第1支持部17が、出力部12側に向かって急激に移動してしまうことが抑制される。
一方、出力部12をハウジング11に対して収縮させる方向に付勢する外力が出力部12に作用する場合は、出力部12は、ハウジング11に対して収縮する方向に向かって移動する。そして、出力部12とともに、スクリュー機構16が、出力部12と同じ方向に向かって、変位する。即ち、第1スクリュー27及び第2スクリュー28は、固着しているため、第1スクリュー27及び第2スクリュー28は、ハウジング11内において、一体の状態で、スクリュー機構16の軸方向において、連結部11a側に向かって移動する。そして、第2スクリュー28は、ギヤ部28aにおいて、第2支持部18を連結部11a側に向かって付勢する。これにより、第2支持部18は、スクリュー機構16とともに、スクリュー機構16の軸方向において、連結部11a側に向かって移動する。尚、このとき、ギヤ部28aの外歯28bは、スパーギヤ33に対して、スパーギヤ33の軸方向にスライド移動することになる。
出力部12、スクリュー機構16、及び第2支持部18が、ハウジング11に対して上記のように移動すると、図10に示すように、第2連結部分20cがハウジング11から離間するように、第2リンク機構20が屈曲する。即ち、第2リンク機構20がより大きく屈曲する。また、第2リンク機構20がこのように屈曲する際、第2バネ部材24によって、第2連結部分20cがハウジング11から離間した変位量に応じた大きさのトルクが、第2リンク部材20bに付与されている。このため、出力部12、スクリュー機構16、及び第2支持部18が、連結部11a側に向かって急激に移動してしまうことが抑制される。
上記のように、電動アクチュエータ1においては、スクリュー機構16の固着状態が発生した場合であっても外力に応じて出力部12をハウジング11に対して変位させることが可能となる。即ち、1つの動翼102を駆動する2つの電動アクチュエータ1のうちの一方において、スクリュー機構16の固着状態が発生した場合であっても、その電動アクチュエータ1において、外力に応じて出力部12をハウジング11に対して変位させることが可能となる。これにより、スクリュー機構16の固着状態が発生した電動アクチュエータ1が、スクリュー機構16の固着状態が発生していない電動アクチュエータ1の作動を阻害してしまうことが、防止されることになる。
次に、スクリュー機構16とスパーギヤ33との間における固着状態が発生した場合の電動アクチュエータ1の作動について説明する。例えば、ハウジング11に対して第1スクリュー27が突出又は収縮する動作の途中において、スパーギヤ33と第2スクリュー28のギヤ部28aとの間における固着状態が発生すると、ギヤ機構14から伝達する駆動力によってスクリュー機構16を作動させることが、不能となる。この場合、アクチュエータコントローラ30において、固着状態の発生が検知される。
上記のように、スパーギヤ33とギヤ部28aとの間における固着状態が発生した場合には、スクリュー機構16を作動させることが不能なため、電動モータ13による駆動によって出力部12をハウジング11に対して変位させることができない。しかし、上記の固着状態の発生が検知されると、アクチュエータコントローラ30からの指令に基づいて、第1解除機構21及び第2解除機構22が作動する。これにより、スクリュー機構16での固着状態の発生時と同様に、第1リンク機構19及び第2リンク機構20が、それぞれの連結位置において屈曲する。尚、上記の固着状態の発生が検知されると、電動モータ13の運転も停止される。
第1解除機構21及び第2解除機構22が作動して第1リンク機構19及び第2リンク機構20が少し屈曲した状態で、動翼102に外力が作用すると、その外力が、出力部12に作用する。出力部12に作用した外力は、スクリュー機構16に伝達される。そして、第2スクリュー28とスパーギヤ33とが固着しているため、スクリュー機構16に伝達された外力は、スパーギヤ33にも伝達される。そして、第2スクリュー28とスパーギヤ33とが固着して第2スクリュー28の回転動作が不能なため、第1スクリュー27に伝達された外力は、第2スクリュー28を介して、第1支持部17又は第2支持部18に伝達される。
図11は、第2スクリュー28とスパーギヤ33との間における固着状態が発生し、更に、第1解除機構21及び第2解除機構22が作動した状態における、電動アクチュエータ1の作動を説明するための図である。図11は、上記の状態で、出力部12をハウジング11に対して突出させる方向に付勢する外力が出力部12に作用した場合の電動アクチュエータ1の状態を示している。尚、上記の状態で、出力部12をハウジング11に対して収縮させる方向に付勢する外力が出力部12に作用した場合の電動アクチュエータ1の作動の説明については、図11に基づく電動アクチュエータ1の作動の説明と略同様であるため、省略する。
出力部12をハウジング11に対して突出させる方向に付勢する外力が出力部12に作用する場合は、出力部12は、ハウジング11から突出する方向に向かって移動する。そして、出力部12とともに、スクリュー機構16及びスパーギヤ33が、出力部12と同じ方向に向かって、変位する。即ち、第2スクリュー28及びスパーギヤ33は、固着しているため、スクリュー機構16及びスパーギヤ33は、ハウジング11内において、一体の状態で、スクリュー機構16の軸方向において、出力部12側に向かって移動する。そして、第2スクリュー28は、ギヤ部28aにおいて、第1支持部17を出力部12側に向かって付勢する。これにより、第1支持部17は、スクリュー機構16とともに、スクリュー機構16の軸方向において、出力部12側に向かって移動する。
尚、上記のようにスクリュー機構16及びスパーギヤ33が移動する際、スパーギヤ33は、出力ギヤ32に対して、出力ギヤ32の軸方向にスライド移動することになる。そして、スパーギヤ33は、コイルバネ15bを圧縮するとともにコイルバネ15cを伸張させながら、支持軸15aに沿って移動する。
出力部12、スクリュー機構16、スパーギヤ33、及び第1支持部17が、ハウジング11に対して上記のように移動すると、図11に示すように、第1連結部分19cがハウジング11から離間するように、第1リンク機構19が屈曲する。即ち、第1リンク機構19がより大きく屈曲する。また、第1リンク機構19がこのように屈曲する際、第1バネ部材23によって、第1連結部分19cがハウジング11から離間した変位量に応じた大きさのトルクが、第1リンク部材19bに付与されている。このため、出力部12、スクリュー機構16、スパーギヤ33、及び第1支持部17が、出力部12側に向かって急激に移動してしまうことが抑制される。
[効果]
以上説明したように、本実施形態によると、第1及び第2解除機構(21、22)が作動していない状態では、直線状に延びた第1及び第2リンク機構(19、20)によって、ハウジング11に対する第1及び第2支持部(17、18)の相対変位が規制されている。尚、第1支持部17は、第2スクリュー28の一端側を支持し、第2支持部18は、第2スクリュー28の他端側を支持している。そして、電動モータ13からの駆動力が、スクリュー機構16に入力される。スクリュー機構16において、電動モータ13が出力する回転方向の駆動力が、直線方向の駆動力に変換される。スクリュー機構16により変換された駆動力は、出力部12から出力される。これにより、電動アクチュエータ1は、ハウジング11に対して出力部12を直線方向に沿って伸縮させるように変位させ、動翼102を駆動する。
一方、スクリュー機構16において固着状態が発生した場合は、第1及び第2解除機構(21、22)の作動が行われる。第1及び第2解除機構(21、22)が作動すると、第1及び第2リンク機構(19、20)のそれぞれが僅かに屈曲した状態となる。そして、スクリュー機構16を支持する第1及び第2支持部(17、18)のハウジング11に対する相対変位が許容される。これにより、スクリュー機構16は、第1又は第2支持部(17、18)とともに、ハウジング11に対して、第1又は第2リンク機構(19、20)における両端部が接近する方向に向かって、変位可能となる。即ち、スクリュー機構16は、第1又は第2支持部(17、18)とともに、ハウジング11に対して、第1又は第2リンク機構(19、20)における一方の端部と他方の端部との間の距離が小さくなる方向に向かって、変位可能となる。このため、出力部12に外力が作用すると、出力部12は、第1又は第2支持部(17、18)及び固着したスクリュー機構16とともに、ハウジング11に対して変位可能となる。
よって、本実施形態によると、スクリュー機構16において固着状態が発生した場合であっても外力に応じて出力部12をハウジング11に対して変位させることが可能となる。更に、上記のように出力部12を外力に応じて変位させるための構造が、第1及び第2支持部(17、18)、第1及び第2リンク機構(19、20)、第1及び第2解除機構(21、22)を備えて構成された小型で簡素な構造によって実現される。このため、電動アクチュエータ1の構造の簡素化及び小型化が図られることになる。
従って、本実施形態によると、スクリュー機構16において固着状態が発生した場合であっても外力に応じて出力部12をハウジング11に対して変位させることが可能であるとともに、構造の簡素化及び小型化を図ることができる電動アクチュエータ1を提供することができる。そして、上記の電動アクチュエータ1を用いると、スクリュー機構16を有する電動アクチュエータ1における固着状態が発生する場合に備えたアクチュエータの冗長化を容易に実現することができる。
また、本実施形態によると、スクリュー機構16において固着状態が発生した場合に加え、スパーギヤ33とスクリュー機構16との間において固着状態が発生した場合にも、外力に応じて出力部12をハウジング11に対して変位させることが可能となる。まず、スパーギヤ33とスクリュー機構16との間において固着状態が発生していない場合には、出力ギヤ32からスパーギヤ33に対して駆動力が入力される。そして、スパーギヤ33からスクリュー機構16に駆動力が伝達され、スクリュー機構16が作動し、直線方向の駆動力が出力部12から出力される。一方、スパーギヤ33とスクリュー機構16との間において固着状態が発生した場合には、第1及び第2解除機構(21、22)の作動が行われる。これにより、第1及び第2支持部(17、18)のハウジング11に対する相対変位が許容される。そして、スパーギヤ33は、弾性支持機構15によって、電動モータ13に対する相対変位が許容された状態で、支持されている。このため、スクリュー機構16及びスパーギヤ33は、第1又は第2支持部(17、18)とともに、ハウジング11に対して、第1又は第2リンク機構(19、20)における一方の端部と他方の端部との間の距離が小さくなる方向に向かって、変位可能となる。このため、出力部12に外力が作用すると、出力部12は、第1又は第2支持部(17、18)と、固着したスパーギヤ33及びスクリュー機構16とともに、ハウジング11に対して変位可能となる。よって、本実施形態によると、スパーギヤ33とスクリュー機構16との間において固着状態が発生した場合にも外力に応じて出力部12をハウジング11に対して変位させることが可能となる。
また、本実施形態によると、ソレノイド38(第1突出駆動部)によって駆動されたプランジャ37(第1突出部)が、第1リンク機構19の第1連結部分19cに向かって突出し、第1連結部分19cを付勢する。これにより、第1リンク機構19が屈曲する。よって、第1解除機構21が、プランジャ37(第1突出部)及びソレノイド38(第1突出駆動部)を備えて構成された小型で簡素な構造によって実現される。
更に、本実施形態によると、ソレノイド41(第2突出駆動部)によって駆動されたプランジャ40(第2突出部)が、第2リンク機構20の第2連結部分20cに向かって突出し、第2連結部分20cを付勢する。これにより、第2リンク機構20が屈曲する。よって、第2解除機構22が、プランジャ40(第2突出部)及びソレノイド41(第2突出駆動部)を備えて構成された小型で簡素な構造によって実現される。
また、本実施形態によると、第1バネ部材23によって、第1リンク機構19の第1連結部分19cがハウジング11側に向かって押し付けられるように、第1リンク部材19bにトルクが付与される。このため、第1バネ部材23が設けられた簡素な構造によって、連結された複数の第1リンク部材(19a、19b)が直線状に延びた状態が維持される。即ち、ハウジング11に対する第1支持部17の相対変位が第1リンク機構19によって規制された状態を簡易な構造によって容易に維持することができる。
更に、本実施形態によると、第2バネ部材24によって、第2リンク機構20の第2連結部分20cがハウジング11側に向かって押し付けられるように、第2リンク部材20bにトルクが付与される。このため、第2バネ部材24が設けられた簡素な構造によって、連結された複数の第2リンク部材(20a、20b)が直線状に延びた状態が維持される。即ち、ハウジング11に対する第2支持部18の相対変位が第2リンク機構20によって規制された状態を簡易な構造によって容易に維持することができる。
また、本実施形態によると、第1リンク部材19bにトルクを付与する第1バネ部材23がコイルバネとして構成された簡素な構造で実現される。また、第1バネ部材23は、第1解除機構21による解除動作後、第1連結部分19cのハウジング11からの変位量に応じた大きさのトルクを第1リンク部材19bに付与する。このため、出力部12に外力が作用し、第1支持部17がスクリュー機構16とともに変位する際に、第1支持部17をスクリュー機構16に追従させるように変位させることができる。そして、出力部12がハウジング11に対して急激に変位してしまうことを抑制できる。これにより、スクリュー機構16がハウジング11内で急激に移動して機械的衝撃力が発生してしまうことを抑制することができる。
更に、本実施形態によると、第2リンク部材20bにトルクを付与する第2バネ部材24がコイルバネとして構成された簡素な構造で実現される。また、第2バネ部材24は、第2解除機構22による解除動作後、第2連結部分20cのハウジング11からの変位量に応じた大きさのトルクを第2リンク部材20bに付与する。このため、出力部12に外力が作用し、第2支持部18がスクリュー機構16とともに変位する際に、第2支持部18をスクリュー機構16に追従させるように変位させることができる。そして、出力部12がハウジング11に対して急激に変位してしまうことを抑制できる。これにより、スクリュー機構16がハウジング11内で急激に移動して機械的衝撃力が発生してしまうことを抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図12は、本発明の第2実施形態に係る電動アクチュエータの第1リンク機構19及び第1解除機構51を示す模式図である。図13は、本発明の第2実施形態に係る電動アクチュエータの第2リンク機構20及び第2解除機構52を示す模式図である。第2実施形態に係る電動アクチュエータは、第1実施形態の電動アクチュエータ1と同様に構成される。但し、第2実施形態に係る電動アクチュエータは、第1解除機構51及び第2解除機構52の構成において、第1実施形態の電動アクチュエータ1とは異なっている。
以下、第2実施形態に係る電動アクチュエータについては、第1実施形態と異なる構成について説明する。そして、第2実施形態において、第1実施形態と同様に構成される要素については、第1実施形態と同一の符号を図面において付すことで、或いは、第1実施形態と同一の符号を引用することで、説明を省略する。
第2実施形態に係る電動アクチュエータは、第1実施形態と同様に、動翼駆動機構100に対して適用され、動翼102を駆動するアクチュエータとして構成されている。そして、第2実施形態に係る電動アクチュエータは、ハウジング11、出力部12、電動モータ13、ギヤ機構14、弾性支持機構15、スクリュー機構16、第1支持部17、第2支持部18、第1リンク機構19、第2リンク機構20、第1解除機構51、第2解除機構52、第1バネ部材23、第2バネ部材24、電磁クラッチ25、位置検出機構26、等を備えて構成されている。
図12に示す第1解除機構51は、第1リンク機構19によるハウジング11に対する第1支持部17の相対変位の規制を解除可能な機構として設けられている。第1解除機構51は、手動操作によって駆動され、作動する。作業者(図示省略)が、スクリュー機構16において、或いは、スクリュー機構16とスパーギヤ33との間において、固着状態が発生したことを把握した場合に、第1解除機構51を手動操作によって作動させる。
図12に示すように、第1解除機構51は、第1カム部材53、第1回転駆動部54、を備えて構成されている。第1解除機構51は、ハウジング11に設置されている。尚、図12においては、第1解除機構51のハウジング11に対する設置形態については、模式的に図示されている。
第1カム部材53は、第1回転駆動部54の回転軸54aに取り付けられている。そして、第1カム部材53は、回転軸54aに対して、回転軸54aとともに回転可能に、支持されている。また、第1カム部材53は、本体部53a及び第1偏心部53bを備えて構成されている。本体部53a及び第1偏心部53bは、一体に設けられている。
本体部53aは、例えば、円柱状の部分として設けられている。本体部53aは、第1回転駆動部54の回転軸54aに固定されて支持されている。そして、本体部53aは、円柱状の部分の中心軸を中心として、回転軸54aとともに回転可能に、回転軸54aに対して支持されている。
第1偏心部53bは、本体部53aから本体部53aの径方向に突出した部分として設けられている。そして、第1偏心部53bは、本体部53aの外周方向における一部において、本体部53aから突出した部分として設けられている。これにより、第1偏心部53bは、第1カム部材53の外周部分における一部分であって第1カム部材53の回転中心位置から外周位置までの距離寸法が上記外周部分における他の部分よりも大きくなるように形成された部分として設けられている。尚、本体部53aの回転中心位置が、第1カム部材53の回転中心位置となる。そして、第1カム部材53の回転中心位置は、回転軸54aの回転中心軸線上に位置している。
また、第1偏心部53bの外周における本体部53aの回転中心位置からの距離寸法は、本体部53aの回転中心位置に対する角度位置の変化に応じて徐々に変化するように構成されている。具体的には、上記の距離寸法は、一定の度合で徐々に増加した後、途中から増加の度合が低下しながら増加し、最も距離寸法が大きくなる位置まで増加する。そして、上記の距離寸法は、最も距離寸法が大きい位置を超えると、徐々に減少する。尚、上記の距離寸法は、最も距離寸法が大きい位置を超えると、減少の度合が大きくなりながら減少し、途中から一定の度合で徐々に減少する。
第1回転駆動部54は、第1カム部材53を回転駆動する機構として設けられている。第1回転駆動部54は、回転軸54a、回転板54b、ハンドル54c、等を備えて構成されている。
回転軸54aは、ハウジング11に対して回転自在に支持されている。そして、回転軸54aは、その先端部に第1カム部材53が固定されている。このように、回転軸54aによって、第1カム部材53が、ハウジング11に対して回転自在に支持されている。また、回転軸54aの中心軸線と直線状に延びた第1リンク機構19との両方に平行な面から見た状態において、回転軸54aの中心軸線と直線状に延びた第1リンク機構19が延びる方向とが直交して重なって見えるように、回転軸54aの位置が設定されている。
回転板54bは、回転軸54aに対して、回転軸54aにおける第1カム部材53が取り付けられている端部とは反対側の端部において、固定されている。回転板54bは、例えば、長方形状の表裏面を有する板状の部材として設けられている。そして、回転板54bは、板状に広がる面方向が、回転軸54aの中心軸線に対して垂直に広がるように、回転軸54aに対して固定されている。また、回転板54bは、その長手方向における一方の端部側において、回転軸54aに固定されている。
ハンドル54cは、作業者によって手動操作が行われる際に、作業者が把持して操作するための部分として設けられている。ハンドル54cは、例えば、作業者が把持しやすいように、細長い円柱状の部分として設けられている。ハンドル54cは、回転板54bに対して固定されている。ハンドル54cは、回転板54bの長手方向における回転軸54aに取り付けられている端部側と反対の端部側において、回転板54bに対して固定されている。
また、ハンドル54cは、回転板54bに対して、回転軸54aとは反対側から突出するように取り付けられている。即ち、ハンドル54cは、回転板54bに対して、回転板54bの表裏面における回転軸54aが突出する側と反対側の面から突出するように、取り付けられている。また、円柱状のハンドル54cの長手方向が、回転軸54aの中心軸線方向と平行に設定されるように、ハンドル54cが回転板54bに取り付けられている。尚、ハンドル54c及び回転板54bは、作業者がそれらを回転軸54aを中心として回転させる操作が可能なように、ハウジング11の外部に露出した状態で、ハウジング11に設置されている。
作業者がハンドル54cを操作し、ハンドル54c及び回転板54bが回転軸54aを中心として回転すると、第1解除機構51が作動する。そして、第1カム部材53は、直線状の状態の第1リンク機構19の連結部分19cの近傍に配置されている。更に、第1カム部材53は、その回転中心位置を中心として回転軸54aとともに回転することで、第1偏心部53bが第1連結部分19cに当接してその第1連結部分19cを付勢可能な位置に、配置されている。これにより、第1解除機構51は、作業者の操作によって第1回転駆動部54が作動して第1カム部材53が回転することで、第1リンク機構19を屈曲させるように、第1連結部分19cを第1偏心部53bが付勢するように構成されている。
図13に示す第2解除機構52は、第2リンク機構20によるハウジング11に対する第2支持部18の相対変位の規制を解除可能な機構として設けられている。第2解除機構52は、第1解除機構51と同様に、手動操作によって駆動され、作動する。作業者(図示省略)が、スクリュー機構16において、或いは、スクリュー機構16とスパーギヤ33との間において、固着状態が発生したことを把握した場合に、第2解除機構52を手動操作によって作動させる。
図13に示すように、第2解除機構52は、第2カム部材55、第2回転駆動部56、を備えて構成されている。第2解除機構52は、ハウジング11に設置されている。尚、図13においては、第2解除機構52のハウジング11に対する設置形態については、模式的に図示されている。
第2カム部材55は、第2回転駆動部56の回転軸56aに取り付けられている。そして、第2カム部材55は、回転軸56aに対して、回転軸56aとともに回転可能に、支持されている。また、第2カム部材55は、本体部55a及び第2偏心部55bを備えて構成されている。本体部55a及び第2偏心部55bは、一体に設けられている。
本体部55aは、第1解除機構51の第1カム部材53の本体部53aと同様に構成されている。そして、第2偏心部55bは、第1解除機構51の第1カム部材53の第1偏心部53bと同様に構成されている。このため、第2偏心部55bは、第2カム部材55の外周部分における一部分であって第2カム部材55の回転中心位置から外周位置までの距離寸法が上記外周部分における他の部分よりも大きくなるように形成された部分として設けられている。本体部55aは、本体部53aと同様に構成され、第2偏心部53bは、第1偏心部53bと同様に構成されるため、本体部55a及び第2偏心部53bについての詳細な説明は省略する。
第2回転駆動部56は、第2カム部材53を回転駆動する機構として設けられている。第2回転駆動部56は、回転軸56a、回転板56b、ハンドル56c、等を備えて構成されている。第2回転駆動部56は、第1回転駆動部54と同様に構成されている。即ち、回転軸56aは、回転軸54aと同様に構成され、回転板56bは、回転板54bと同様に構成され、ハンドル56cは、ハンドル54cと同様に構成されている。このため、回転軸56a、回転板56b、ハンドル56cについての詳細な説明は省略する。
作業者がハンドル56cを操作し、ハンドル56c及び回転板56bが回転軸56aを中心として回転すると、第2解除機構52が作動する。そして、第2カム部材55は、直線状の状態の第2リンク機構20の連結部分20cの近傍に配置されている。更に、第2カム部材55は、その回転中心位置を中心として回転軸56aとともに回転することで、第2偏心部55bが第2連結部分20cに当接してその第2連結部分20cを付勢可能な位置に、配置されている。これにより、第2解除機構52は、作業者の操作によって第2回転駆動部56が作動して第2カム部材55が回転することで、第2リンク機構20を屈曲させるように、第2連結部分20cを第2偏心部55bが付勢するように構成されている。
第2実施形態の電動アクチュエータは、第1実施形態の電動アクチュエータ1に対し、第1解除機構51及び第2解除機構52の構成において異なっているが、その他の要素については同様に構成されている。このため、第1解除機構51及び第2解除機構52が作動していない状態、及び、第1解除機構51及び第2解除機構52が作動した後の状態においては、第2実施形態の電動アクチュエータは、第1実施形態の電動アクチュエータ1と同様に作動する。
以上説明した第2実施形態によると、第1実施形態と同様に、スクリュー機構16において、或いは、スパーギヤ33とスクリュー機構16との間において、固着状態が発生した場合であっても、外力に応じて出力部12をハウジング11に対して変位させることが可能であるとともに、構造の簡素化及び小型化を図ることができる電動アクチュエータを提供することができる。
そして、第2実施形態によると、第1回転駆動部54によって駆動された第1カム部材53が回転し、第1カム部材53の第1偏心部53bが、第1リンク機構19の第1連結部分19cを付勢する。これにより、第1リンク機構19が屈曲する。よって、第1解除機構51が、第1カム部材53及び第1回転駆動部54を備えて構成された小型で簡素な構造によって実現される。更に、第2実施形態によると、第2回転駆動部56によって駆動された第2カム部材55が回転し、第2カム部材55の第2偏心部55bが、第2リンク機構20の第2連結部分20cを付勢する。これにより、第2リンク機構20が屈曲する。よって、第2解除機構52が、第2カム部材55及び第2回転駆動部56を備えて構成された小型で簡素な構造によって実現される。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図14は、本発明の第3実施形態に係る電動アクチュエータの第1リンク機構19及び第1解除機構61を示す模式図である。図15は、本発明の第3実施形態に係る電動アクチュエータの第2リンク機構20及び第2解除機構62を示す模式図である。第3実施形態に係る電動アクチュエータは、第1実施形態の電動アクチュエータ1と同様に構成される。但し、第3実施形態に係る電動アクチュエータは、第1解除機構61及び第2解除機構62の構成において、第1実施形態の電動アクチュエータ1とは異なっている。
以下、第3実施形態に係る電動アクチュエータについては、第1実施形態と異なる構成について説明する。そして、第3実施形態において、第1実施形態と同様に構成される要素については、第1実施形態と同一の符号を図面において付すことで、或いは、第1実施形態と同一の符号を引用することで、説明を省略する。
第3実施形態に係る電動アクチュエータは、第1実施形態と同様に、動翼駆動機構100に対して適用され、動翼102を駆動するアクチュエータとして構成されている。そして、第3実施形態に係る電動アクチュエータは、ハウジング11、出力部12、電動モータ13、ギヤ機構14、弾性支持機構15、スクリュー機構16、第1支持部17、第2支持部18、第1リンク機構19、第2リンク機構20、第1解除機構61、第2解除機構62、第1バネ部材23、第2バネ部材24、電磁クラッチ25、位置検出機構26、等を備えて構成されている。
図14に示す第1解除機構61は、第1リンク機構19によるハウジング11に対する第1支持部17の相対変位の規制を解除可能な機構として設けられている。第1解除機構61は、手動操作によって、作動する。作業者(図示省略)が、スクリュー機構16において、或いは、スクリュー機構16とスパーギヤ33との間において、固着状態が発生したことを把握した場合に、第1解除機構61を手動操作によって作動させる。
図14に示すように、第1解除機構61は、第1ピン部材63、第1操作部64、を備えて構成されている。第1解除機構61は、第1リンク機構19に設置されている。尚、図14においては、第1解除機構61の第1リンク機構19に対する設置形態については、模式的に図示されている。
第1ピン部材63は、円柱状の部材として設けられ、第1リンク機構19に取り付けられる。そして、第1ピン部材63は、複数の第1リンク部材(19a、19b)のそれぞれに設けられた貫通孔65を貫通するとともに、複数の第1リンク部材(19a、19b)を連結する部材として設けられている。
第1リンク部材19aには、リンク連結部17dに連結される端部とは反対側の端部において、貫通孔65が設けられている。第1リンク部材19bには、リンク連結部11dに連結される端部とは反対側の端部において、貫通孔65が設けられている。そして、第1リンク部材19aの貫通孔65と第1リンク部材19bの貫通孔65とが重ねられた状態で、第1ピン部材63が、両第1リンク部材(19a、19b)の貫通孔65に対して、それらを貫通するように、挿通されている。これにより、第1リンク部材19aと第1リンク部材19bとが、第1ピン部材63によって連結されている。また、第1リンク機構19は、複数の第1リンク部材(19a、19b)が直線状に延びた状態で、第1ピン部材63によって第1リンク部材19a及び第1リンク部材19bが連結されている。
第1操作部64は、第1ピン部材63を操作可能な要素として設けられ、第1ピン部材63に取り付けられている。そして、第1操作部64は、作業者によって手動操作が行われる際に、作業者が把持して操作するための部分として設けられている。本実施形態では、第1操作部64は、リング状の部材として設けられている。第1操作部64は、リング状の部分の円周方向における一部において第1ピン部材63に係合した状態で、第1ピン部材63に取り付けられている。また、第1操作部64は、作業者による操作が容易に行われるように、第1ピン部材63に対して揺動可能に取り付けられている。
尚、本実施形態では、第1ピン部材63とは別部材として設けられたリング状の第1操作部64が、第1ピン部材63に揺動可能に取り付けられる形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。第1操作部が第1ピン部材63に固定された形態が実施されてもよい。また、第1操作部が第1ピン部材63に一体に設けられた形態が実施されてもよい。また、リング状以外の形状の第1操作部が設けられた形態が実施されてもよい。
作業者が第1操作部64を操作することで、第1解除機構61が作動することになる。具体的には、作業者は、第1解除機構61を作動させる際、第1リンク機構19に設置された第1ピン部材63を第1リンク機構19から引き抜くように、第1操作部64の引っ張り操作を行う。そして、第1ピン部材63が複数の第1リンク部材(19a、19b)の貫通孔65から抜き出されるように、第1操作部64の操作が行われることで、複数の第1リンク部材(19a、19b)の連結が切り離された状態となる。
第1操作部64が操作されて、複数の第1リンク部材(19a、19b)の連結が切り離された状態となると、第1リンク部材19aが、第1リンク部材19bに対して、スクリュー機構16の軸方向と平行な方向に沿って、相対変位可能となる。このため、第1支持部17のハウジング11に対する相対変位が許容されることになる。このように、第1リンク機構19は、第1解除機構61が作動することで、第1支持部17のハウジング11に対する相対変位を許容するように、複数のリンク部材(19a、19b)の連結が切り離された状態となる。
尚、第3実施形態に係る電動アクチュエータにおいては、図示が省略された第1ワンウェイクラッチ及び第2ワンウェイクラッチが、第1解除機構61に対応して設けられている。第1ワンウェイクラッチは、第1リンク部材19aと第1支持部17のリンク連結部17dとが連結される位置に設置されている。そして、第2ワンウェイクラッチは、第1リンク部材19bとハウジング11のリンク連結部11dとが連結される位置に設置されている。
上記の第1及び第2ワンウェイクラッチは、一方の方向のみに回転力を伝達するクラッチ機構として設けられている。各ワンウェイクラッチとしては、カム式、スプラグ式、等の種々の形態のワンウェイクラッチを用いることができる。そして、第1ワンウェイクラッチは、例えば、内輪側が第1リンク部材19aに係合して取り付けられ、外輪側がリンク連結部17dに係合して取り付けられる。一方、第2ワンウェイクラッチは、例えば、内輪側が第1リンク部材19bに係合して取り付けられ、外輪側がリンク連結部11dに係合して取り付けられる。
第1ワンウェイクラッチは、第1リンク部材19aにおけるリンク連結部17dに連結されている端部とは反対側の端部がハウジング11から離間する方向における第1リンク部材19aの回転動作のみを規制するように設置されている。一方、第2ワンウェイクラッチは、第1リンク部材19bにおけるリンク連結部11dに連結されている端部とは反対側の端部がハウジング11から離間する方向における第1リンク部材19bの回転動作のみを規制するように設置されている。
複数の第1リンク部材(19a、19b)の連結が切り離された後の状態においては、各第1リンク部材(19a、19b)は、ハウジング11に対して片持ち状態で支持されている。しかし、上記のように第1及び第2ワンウェイクラッチが設けられていることにより、ハウジング11の周囲でハウジング11に対して各第1リンク部材(19a、19b)が自由に回転してしまうことが防止される。これにより、電動アクチュエータの周辺の装置等に対して各第1リンク部材(19a、19b)が衝突してしまうことが防止される。
また、第3実施形態に係る電動アクチュエータにおいては、第1支持部17は、第2スクリュー28とともに変位可能なように、第2スクリュー28に係止されている。これにより、第1解除機構61が作動した後に、第1支持部17が第2スクリュー28から離間して変位し、第1支持部17がハウジング11等に衝突してしまうことが防止される。
図15に示す第2解除機構62は、第2リンク機構20によるハウジング11に対する第2支持部18の相対変位の規制を解除可能な機構として設けられている。第2解除機構62は、手動操作によって、作動する。作業者(図示省略)が、スクリュー機構16において、或いは、スクリュー機構16とスパーギヤ33との間において、固着状態が発生したことを把握した場合に、第2解除機構62を手動操作によって作動させる。
図15に示すように、第2解除機構62は、第2ピン部材66、第2操作部67、を備えて構成されている。第2解除機構62は、第2リンク機構20に設置されている。尚、図15においては、第2解除機構62の第2リンク機構20に対する設置形態については、模式的に図示されている。
第2ピン部材66は、円柱状の部材として設けられ、第2リンク機構20に取り付けられる。そして、第2ピン部材66は、複数の第2リンク部材(20a、20b)のそれぞれに設けられた貫通孔68を貫通するとともに、複数の第2リンク部材(20a、20b)を連結する部材として設けられている。第2操作部67は、第2ピン部材66を操作可能な要素として設けられ、第2ピン部材66に取り付けられている。そして、第2操作部67は、作業者によって手動操作が行われる際に、作業者が把持して操作するための部分として設けられている。尚、第2ピン部材66に一体に設けられ又は固定された第2操作部が実施されてもよい。
第2ピン部材66は、第1解除機構61の第1ピン部材61と同様に構成されている。そして、複数の第2リンク部材(20a、20b)のそれぞれに設けられた貫通孔68は、複数の第1リンク部材(19a、19b)のそれぞれに設けられた貫通孔65と同様に構成されている。また、第2操作部67は、第1解除機構61の第2操作部64と同様に構成されている。このため、第1ピン部材66、貫通孔68、第2操作部67についての詳細な説明は省略する。
作業者が第2操作部67を操作することで、第2解除機構62が作動することになる。具体的には、作業者は、第2解除機構62を作動させる際、第2リンク機構20に設置された第2ピン部材66を第2リンク機構20から引き抜くように、第2操作部67の引っ張り操作を行う。そして、第2ピン部材66が複数の第2リンク部材(20a、20b)の貫通孔68から抜き出されるように、第2操作部67の操作が行われることで、複数の第2リンク部材(20a、20b)の連結が切り離された状態となる。
第2操作部67が操作されて、複数の第2リンク部材(20a、20b)の連結が切り離された状態となると、第2リンク部材20aが、第2リンク部材20bに対して、スクリュー機構16の軸方向と平行な方向に沿って、相対変位可能となる。このため、第2支持部18のハウジング11に対する相対変位が許容されることになる。このように、第2リンク機構20は、第2解除機構62が作動することで、第2支持部18のハウジング11に対する相対変位を許容するように、複数のリンク部材(20a、20b)の連結が切り離された状態となる。
尚、第3実施形態に係る電動アクチュエータにおいては、図示が省略された第1ワンウェイクラッチ及び第2ワンウェイクラッチが、第2解除機構62に対応して設けられている。第1ワンウェイクラッチは、第2リンク部材20aと第2支持部18のリンク連結部18dとが連結される位置に設置されている。そして、第2ワンウェイクラッチは、第2リンク部材20bとハウジング11のリンク連結部11dとが連結される位置に設置されている。
第2解除機構62に対応して設けられた第1及び第2ワンウェイクラッチは、一方の方向のみに回転力を伝達するクラッチ機構として設けられている。そして、第2解除機構62に対応して設けられた第1及び第2ワンウェイクラッチは、第1解除機構61に対応して設けられた第1及び第2ワンウェイクラッチと同様に構成されている。このため、第2解除機構62に対応して設けられた第1及び第2ワンウェイクラッチについての詳細な説明は省略する。
また、第3実施形態に係る電動アクチュエータにおいては、第2支持部18は、第2スクリュー28とともに変位可能なように、第2スクリュー28に係止されている。これにより、第2解除機構62が作動した後に、第2支持部18が第2スクリュー28から離間して変位し、第2支持部18がハウジング11等に衝突してしまうことが防止される。
第3実施形態の電動アクチュエータは、第1実施形態の電動アクチュエータ1に対し、第1及び第2解除機構(61、62)の構成と、第1及び第2ワンウェイクラッチの構成と、第1及び第2支持部(17、18)が第2スクリュー28に係止されている構成とにおいて異なっているが、その他の要素については略同様に構成されている。このため、第1解除機構61及び第2解除機構62が作動していない状態、及び、第1解除機構61及び第2解除機構62が作動した後の状態においては、第3実施形態の電動アクチュエータは、第1及び第2リンク機構(19、20)の動作を除き、第1実施形態の電動アクチュエータ1と略同様に作動する。
以上説明した第3実施形態によると、第1実施形態と同様に、スクリュー機構16において、或いは、スパーギヤ33とスクリュー機構16との間において、固着状態が発生した場合であっても、外力に応じて出力部12をハウジング11に対して変位させることが可能であるとともに、構造の簡素化及び小型化を図ることができる電動アクチュエータを提供することができる。
更に、第3実施形態によると、第1操作部64が操作されることで、複数の第1リンク部材(19a、19b)の貫通孔65から第1ピン部材63が抜き出される。これにより、複数の第1リンク部材(19a、19b)の連結が切り離される。よって、第1解除機構61が、第1ピン部材63及び第1操作部64を備えて構成された小型で簡素な構造によって実現される。更に、第3実施形態によると、第2操作部67が操作されることで、複数の第2リンク部材(20a、20b)の貫通孔68から第2ピン部材66が抜き出される。これにより、複数の第2リンク部材(20a、20b)の連結が切り離される。よって、第2解除機構62が、第2ピン部材66及び第2操作部67を備えて構成された小型で簡素な構造によって実現される。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図16は、本発明の第4実施形態に係る電動アクチュエータの第1リンク機構19及び第1解除機構71を示す模式図である。図17は、本発明の第4実施形態に係る電動アクチュエータの第2リンク機構20及び第2解除機構72を示す模式図である。第4実施形態に係る電動アクチュエータは、第1実施形態の電動アクチュエータ1と同様に構成される。但し、第4実施形態に係る電動アクチュエータは、第1解除機構71及び第2解除機構72の構成において、第1実施形態の電動アクチュエータ1とは異なっている。
以下、第4実施形態に係る電動アクチュエータについては、第1実施形態と異なる構成について説明する。そして、第4実施形態において、第1実施形態と同様に構成される要素については、第1実施形態と同一の符号を図面において付すことで、或いは、第1実施形態と同一の符号を引用することで、説明を省略する。
第4実施形態に係る電動アクチュエータは、第1実施形態と同様に、動翼駆動機構100に対して適用され、動翼102を駆動するアクチュエータとして構成されている。そして、第4実施形態に係る電動アクチュエータは、ハウジング11、出力部12、電動モータ13、ギヤ機構14、弾性支持機構15、スクリュー機構16、第1支持部17、第2支持部18、第1リンク機構19、第2リンク機構20、第1解除機構71、第2解除機構72、第1バネ部材23、第2バネ部材24、電磁クラッチ25、位置検出機構26、等を備えて構成されている。
図16に示す第1解除機構71は、第1リンク機構19によるハウジング11に対する第1支持部17の相対変位の規制を解除可能な機構として設けられている。第1解除機構71は、例えば、ソレノイド及びプランジャを有するソレノイド機構(図示省略)によって駆動され、作動する。スクリュー機構16において、或いは、スクリュー機構16とスパーギヤ33との間において、固着状態が発生したことが第1実施形態と同様の方法によって検知された場合に、上記のソレノイド機構が励磁又は消磁され、第1解除機構71が作動する。
尚、第1解除機構71は、作業者による手動操作によって駆動され、作動するように構成されてもいてもよい。或いは、第1解除機構71は、上記のソレノイド機構以外の機構による駆動によって作動するように構成されていてもよい。例えば、第1解除機構71は、小型の電動モータ、ラック、ピニオン、リンク要素、等を有する機構による駆動によって作動するように構成されていてもよい。
図16に示すように、第1解除機構71は、てこ機構73、第1突出部74、を備えて構成されている。第1解除機構71は、ハウジング11に設置されている。尚、図16においては、第1解除機構71のハウジング11に対する設置形態については、模式的に図示されている。
てこ機構73は、てこ本体部73a及び支点軸73bを備えて構成されている。てこ本体部73aは、棒状の部材として設けられている。支点軸73bは、てこ本体部73aを支持する軸部材として設けられている。そして、てこ本体部73aは、支点軸73bを中心として揺動可能に設けられている。即ち、てこ本体部73aは、支点軸73bを介してハウジング11に対して揺動可能に支持されている。また、てこ本体部73aは、長手方向における中途位置において、支点軸73bに対して回転自在に取り付けられている。
第1突出部74は、てこ本体部73aにおける一方の端部に設けられている。本実施形態では、第1突出部74は、てこ本体部73aと一体に設けられている。そして、第1突出部74には、てこ本体部73aの長手方向に対して略垂直な方向に向かって或いは斜めの方向に向かって凸状に突出した凸部74aが設けられている。
また、第1突出部74は、第1リンク機構19の第1連結部分19cの近傍に配置されている。そして、第1突出部74は、第1解除機構71において、第1連結部分19cに向かってハウジング11側から突出するように変位可能に支持されている。更に、第1突出部74は、第1連結部分19cに向かって突出するように変位したときは、凸部74aにおいて第1連結部分19cを付勢するように構成されている。
また、てこ本体部73aにおける第1突出部74側と反対側の端部は、力点側部分73cとして構成されている。この力点側部分73cは、前述のソレノイド機構のプランジャに連結されている。そして、スクリュー機構16において、或いは、スクリュー機構16とスパーギヤ33との間において、固着状態が発生したことが検知された場合に、前述のソレノイド機構が励磁又は消磁されることによって、力点側部分73cが図中矢印A方向に沿って駆動される。尚、第1突出部74は、てこ本体部73aにおいて、支点軸73bを介して力点側部分73cと反対側に設けられている。即ち、第1突出部74は、てこ本体部73aにおいて、作用点側に設けられている。
上記により、てこ本体部73aは、ソレノイド機構によって駆動されることで、支点軸73bを中心として揺動し、図中矢印B方向に向かって第1突出部74を変位させるようにこの第1突出部74を駆動する。このように、てこ機構73は、第1突出部74を第1連結部分19cに向かって突出させるように駆動するよう構成されている。即ち、てこ機構73は、本実施形態における第1突出駆動部を構成している。尚、てこ機構73に加えてソレノイド機構を含んだ構成が、第1突出駆動部として構成されてもよい。
上記のようにてこ機構73が揺動することで、第1解除機構71が作動する。そして、第1解除機構71の作動時には、第1突出部74は、てこ機構73によって駆動されて第1連結部分19cに向かって突出することで、第1連結部分19cに当接した状態で、更に、第1連結部分19cを付勢する。これにより、第1突出部74は、第1リンク機構19を屈曲させるように、第1連結部分19cを付勢する。
図17に示す第2解除機構72は、第2リンク機構20によるハウジング11に対する第2支持部18の相対変位の規制を解除可能な機構として設けられている。第2解除機構72は、例えば、ソレノイド及びプランジャを有するソレノイド機構(図示省略)によって駆動され、作動する。スクリュー機構16において、或いは、スクリュー機構16とスパーギヤ33との間において、固着状態が発生したことが第1実施形態と同様の方法によって検知された場合に、上記のソレノイド機構が励磁又は消磁され、第2解除機構72が作動する。
尚、第2解除機構72は、作業者による手動操作によって駆動され、作動するように構成されてもいてもよい。或いは、第2解除機構72は、上記のソレノイド機構以外の機構による駆動によって作動するように構成されていてもよい。例えば、第2解除機構72は、小型の電動モータ、ラック、ピニオン、リンク要素、等を有する機構による駆動によって作動するように構成されていてもよい。
図17に示すように、第2解除機構72は、てこ機構75、第2突出部76、を備えて構成されている。第2解除機構72は、ハウジング11に設置されている。尚、図17においては、第2解除機構72のハウジング11に対する設置形態については、模式的に図示されている。
てこ機構75は、てこ本体部75a及び支点軸75bを備えて構成されている。てこ機構75は、第1解除機構71のてこ機構73と同様に構成されている。このため、てこ本体部75aは、てこ本体部73aと同様に構成されており、支点軸75bは、支点軸73bと同様に構成されている。そして、てこ本体部75aにおける力点側部分75cは、てこ本体部73aにおける力点側部分73cと同様に構成されている。
第1突出部76は、てこ本体部75aにおける一方の端部に設けられている。より具体的には、第1突出部76は、てこ本体部75aにおいて、力点側部分75cと反対側である作用点側に設けられている。また、本実施形態では、第1突出部76は、てこ本体部75aと一体に設けられている。そして、第1突出部76には、てこ本体部75aの長手方向に対して略垂直な方向に向かって或いは斜めの方向に向かって凸状に突出した凸部76aが設けられている。
また、第1突出部76は、第2リンク機構20の第2連結部分20cの近傍に配置されている。そして、第2突出部76は、第2解除機構72において、第2連結部分20cに向かってハウジング11側から突出するように変位可能に支持されている。更に、第2突出部76は、第2連結部分20cに向かって突出するように変位したときは、凸部76aにおいて第2連結部分20cを付勢するように構成されている。
第2解除機構72においては、てこ本体部75aは、ソレノイド機構によって図中矢印A方向に沿って駆動される。これにより、てこ本体部75aは、支点軸75bを中心として揺動し、図中矢印B方向に向かって第2突出部76を変位させるようにこの第2突出部76を駆動する。このように、てこ機構75は、第2突出部76を第2連結部分20cに向かって突出させるように駆動するよう構成されている。即ち、てこ機構75は、本実施形態における第2突出駆動部を構成している。尚、てこ機構75に加えてソレノイド機構を含んだ構成が、第2突出駆動部として構成されてもよい。
上記のようにてこ機構75が揺動することで、第2解除機構72が作動する。そして、第2解除機構72の作動時には、第2突出部76は、てこ機構75によって駆動されて第2連結部分20cに向かって突出することで、第2連結部分20cに当接した状態で、更に、第2連結部分20cを付勢する。これにより、第2突出部76は、第2リンク機構20を屈曲させるように、第2連結部分20cを付勢する。
第4実施形態の電動アクチュエータは、第1実施形態の電動アクチュエータ1に対し、第1解除機構71及び第2解除機構72の構成において異なっているが、その他の要素については同様に構成されている。このため、第1解除機構71及び第2解除機構72が作動していない状態、及び、第1解除機構71及び第2解除機構72が作動した後の状態においては、第4実施形態の電動アクチュエータは、第1実施形態の電動アクチュエータ1と同様に作動する。
以上説明した第4実施形態によると、第1実施形態と同様に、スクリュー機構16において、或いは、スパーギヤ33とスクリュー機構16との間において、固着状態が発生した場合であっても、外力に応じて出力部12をハウジング11に対して変位させることが可能であるとともに、構造の簡素化及び小型化を図ることができる電動アクチュエータを提供することができる。
更に、第4実施形態によると、てこ機構73(第1突出駆動部)によって駆動された第1突出部74が、第1リンク機構19の第1連結部分19cに向かって突出し、第1連結部分19cを付勢する。これにより、第1リンク機構19が屈曲する。よって、第1解除機構71が、てこ機構73(第1突出駆動部)及び第1突出部74を備えて構成された小型で簡素な構造によって実現される。更に、第4実施形態によると、てこ機構75(第2突出駆動部)によって駆動された第2突出部76が、第2リンク機構20の第2連結部分20cに向かって突出し、第2連結部分20cを付勢する。これにより、第2リンク機構20が屈曲する。よって、第2解除機構72が、てこ機構75(第2突出駆動部)及び第2突出部76を備えて構成された小型で簡素な構造によって実現される。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図18は、本発明の第5実施形態に係る電動アクチュエータの第1リンク機構19及び第1解除機構81を示す模式図である。図19は、本発明の第5実施形態に係る電動アクチュエータの第2リンク機構20及び第2解除機構82を示す模式図である。第5実施形態に係る電動アクチュエータは、第1実施形態の電動アクチュエータ1と同様に構成される。但し、第5実施形態に係る電動アクチュエータは、第1解除機構81及び第2解除機構82の構成において、第1実施形態の電動アクチュエータ1とは異なっている。
以下、第5実施形態に係る電動アクチュエータについては、第1実施形態と異なる構成について説明する。そして、第5実施形態において、第1実施形態と同様に構成される要素については、第1実施形態と同一の符号を図面において付すことで、或いは、第1実施形態と同一の符号を引用することで、説明を省略する。
第5実施形態に係る電動アクチュエータは、第1実施形態と同様に、動翼駆動機構100に対して適用され、動翼102を駆動するアクチュエータとして構成されている。そして、第5実施形態に係る電動アクチュエータは、ハウジング11、出力部12、電動モータ13、ギヤ機構14、弾性支持機構15、スクリュー機構16、第1支持部17、第2支持部18、第1リンク機構19、第2リンク機構20、第1解除機構81、第2解除機構82、第1バネ部材23、第2バネ部材24、電磁クラッチ25、位置検出機構26、等を備えて構成されている。
図18に示す第1解除機構81は、第1リンク機構19によるハウジング11に対する第1支持部17の相対変位の規制を解除可能な機構として設けられている。第1解除機構81は、手動操作によって駆動され、作動する。作業者(図示省略)が、スクリュー機構16において、或いは、スクリュー機構16とスパーギヤ33との間において、固着状態が発生したことを把握した場合に、第1解除機構81を手動操作によって作動させる。
図18に示すように、第1解除機構81は、第1突出部83、第1突出駆動部84、を備えて構成されている。第1解除機構81は、ハウジング11に設置されている。尚、図18においては、第1解除機構81のハウジング11に対する設置形態については、模式的に図示されている。
第1突出部83は、第1突出駆動部84のネジ軸部84aの先端部から突出した状態で、ネジ軸部84aに固定されている。そして、第1突出部83は、ネジ軸部84aに対して、ネジ軸部84aとともに回転可能に、支持されている。また、第1突出部83は、ネジ軸部84aに固定される側と反対側である先端側の端部が、球面の一部を成すように形成されている。
また、第1突出部83は、第1リンク機構19の第1連結部分19cの近傍に配置されている。そして、第1突出部83の先端側の端部は、第1連結部分19cに対してハウジング11側から当接可能に配置されている。また、第1突出部83は、第1解除機構81において、第1連結部分19cに向かってハウジング11側から突出するように変位可能に支持されている。そして、第1突出部83は、第1連結部分19cに向かって突出するように変位したときは、その先端側の端部において第1連結部分19cを付勢するように構成されている。
第1突出駆動部84は、第1突出部83を第1リンク機構19の第1連結部分19cに向かって突出させるように駆動する機構として設けられている。第1突出駆動部84は、ネジ軸部84a、回転板84b、ハンドル84c、等を備えて構成されている。
ネジ軸部84aは、オネジ部分が外周に設けられた軸部材として設けられている。そして、ネジ軸部84aのオネジ部分は、ハウジング11に設けられたメネジ孔(図示省略)に対して、或いはハウジング11に取り付けられた部材(図示省略)に設けられたメネジ孔(図示省略)に対して、螺合するように設けられている。上記のメネジ孔は、貫通孔として設けられている。そして、ネジ軸部84aは、上記のメネジ孔を貫通可能な状態で、そのメネジ孔に螺合している。
ネジ軸部84aは、上記のメネジ孔に螺合した状態で、直線状に延びた第1リンク機構19に対して直交する方向に沿って延びるように、設置されている。また、ネジ軸部84aの先端側の端部には、前述のように、第1突出部83が固定されている。そして、第1突出部83は、上記のメネジ孔から外部に露出した状態で配置されている。更に、第1突出部83は、第1リンク機構19の第1連結部分19cに対向する位置に配置されている。上記の構成により、ネジ軸部84aは、上記のメネジ孔に螺合した状態で回転することで、ハウジング11に対して相対変位し、第1連結部分19cに向かって突出可能に設けられている。
回転板84bは、ネジ軸部84aに対して、ネジ軸部84aにおける第1突出部83が取り付けられている端部とは反対側の端部において、固定されている。回転板84bは、例えば、長方形状の表裏面を有する板状の部材として設けられている。そして、回転板84bは、板状に広がる面方向が、ネジ軸部84aの中心軸線に対して垂直に広がるように、ネジ軸部84aに対して固定されている。また、回転板84bは、その長手方向における一方の端部側において、ネジ軸部84aに固定されている。
ハンドル84cは、作業者によって手動操作が行われる際に、作業者が把持して操作するための部分として設けられている。ハンドル84cは、例えば、作業者が把持しやすいように、細長い円柱状の部分として設けられている。ハンドル84cは、回転板84bに対して固定されている。ハンドル84cは、回転板84bの長手方向におけるネジ軸部84aに取り付けられている端部側と反対の端部側において、回転板84bに対して固定されている。
また、ハンドル84cは、回転板84bに対して、ネジ軸部84aとは反対側から突出するように取り付けられている。即ち、ハンドル84cは、回転板84bに対して、回転板84bの表裏面におけるネジ軸部84aが突出する側と反対側の面から突出するように、取り付けられている。また、円柱状のハンドル84cの長手方向が、ネジ軸部84aの中心軸線方向と平行に設定されるように、ハンドル84cが回転板84bに取り付けられている。尚、ハンドル84c及び回転板84bは、作業者がそれらをネジ軸部84aを中心として回転させる操作が可能なように、ハウジング11の外部に露出した状態で、ハウジング11に設置されている。
作業者がハンドル84cを操作し、ハンドル84c及び回転板84bがネジ軸部84aを中心として回転すると、第1解除機構81が作動する。ハンドル84cの所定方向の回転操作が行われることで、前述のメネジ孔に螺合した状態のネジ軸部84aが、そのメネジ孔に螺合する位置を変えながら、ハウジング11に対して相対変位する。そして、ネジ軸部84aが第1リンク機構19の第1連結部分19cに向かって突出する。第1突出部83は、上記のように第1突出駆動部84によって駆動されて第1連結部分19cに向かって突出することで、第1連結部分19cに当接した状態で、更に、第1連結部分19cを付勢する。これにより、第1突出部83は、第1リンク機構19を屈曲させるように、第1連結部分19cを付勢する。
図19に示す第2解除機構82は、第2リンク機構20によるハウジング11に対する第2支持部18の相対変位の規制を解除可能な機構として設けられている。第2解除機構82は、手動操作によって駆動され、作動する。作業者(図示省略)が、スクリュー機構16において、或いは、スクリュー機構16とスパーギヤ33との間において、固着状態が発生したことを把握した場合に、第2解除機構82を手動操作によって作動させる。
図19に示すように、第2解除機構82は、第2突出部85、第2突出駆動部86、を備えて構成されている。第2解除機構82は、ハウジング11に設置されている。尚、図19においては、第2解除機構82のハウジング11に対する設置形態については、模式的に図示されている。
第2突出部85は、第2突出駆動部86のネジ軸部86aの先端部から突出した状態で、ネジ軸部86aに固定されている。そして、第2突出部85は、ネジ軸部86aに対して、ネジ軸部86aとともに回転可能に、支持されている。また、第2突出部85は、ネジ軸部86aに固定される側と反対側である先端側の端部が、球面の一部を成すように形成されている。
また、第2突出部85は、第2リンク機構20の第2連結部分20cの近傍に配置されている。そして、第2突出部85の先端側の端部は、第2連結部分20cに対してハウジング11側から当接可能に配置されている。また、第2突出部85は、第2解除機構82において、第2連結部分20cに向かってハウジング11側から突出するように変位可能に支持されている。そして、第2突出部85は、第2連結部分20cに向かって突出するように変位したときは、その先端側の端部において第2連結部分20cを付勢するように構成されている。
第2突出駆動部86は、第2突出部85を第2リンク機構20の第2連結部分20cに向かって突出させるように駆動する機構として設けられている。第2突出駆動部86は、ネジ軸部86a、回転板86b、ハンドル86c、等を備えて構成されている。第2突出駆動部86は、第1突出駆動部84と同様に構成されている。即ち、ネジ軸部86aは、ネジ軸部84aと同様に構成され、回転板86bは、回転板84bと同様に構成され、ハンドル86cは、ハンドル84cと同様に構成されている。このため、ネジ軸部86a、回転板86b、ハンドル86cについての詳細な説明は省略する。
作業者がハンドル86cを操作し、ハンドル86c及び回転板86bがネジ軸部86aを中心として回転すると、第2解除機構82が作動する。ハンドル86cの所定方向の回転操作が行われることで、ハウジング11又はハウジング11に取り付けられた部材に設けられたメネジ孔に螺合した状態のネジ軸部86aが、そのメネジ孔に螺合する位置を変えながら、ハウジング11に対して相対変位する。そして、ネジ軸部86aが第2リンク機構20の第2連結部分20cに向かって突出する。第2突出部85は、第2突出駆動部86によって駆動されて第2連結部分20cに向かって突出することで、第2連結部分20cに当接した状態で、更に、第2連結部分20cを付勢する。これにより、第2突出部85は、第2リンク機構20を屈曲させるように、第2連結部分20cを付勢する。
第5実施形態の電動アクチュエータは、第1実施形態の電動アクチュエータ1に対し、第1解除機構81及び第2解除機構82の構成において異なっているが、その他の要素については同様に構成されている。このため、第1解除機構81及び第2解除機構82が作動していない状態、及び、第1解除機構81及び第2解除機構82が作動した後の状態においては、第5実施形態の電動アクチュエータは、第1実施形態の電動アクチュエータ1と同様に作動する。
以上説明した第5実施形態によると、第1実施形態と同様に、スクリュー機構16において、或いは、スパーギヤ33とスクリュー機構16との間において、固着状態が発生した場合であっても、外力に応じて出力部12をハウジング11に対して変位させることが可能であるとともに、構造の簡素化及び小型化を図ることができる電動アクチュエータを提供することができる。
更に、第5実施形態によると、第1突出駆動部84によって駆動された第1突出部83が、第1リンク機構19の第1連結部分19cに向かって突出し、第1連結部分19cを付勢する。これにより、第1リンク機構19が屈曲する。よって、第1解除機構81が、第1突出部83及び第1突出駆動部84を備えて構成された小型で簡素な構造によって実現される。更に、第5実施形態によると、第2突出駆動部86によって駆動された第2突出部85が、第2リンク機構20の第2連結部分20cに向かって突出し、第2連結部分20cを付勢する。これにより、第2リンク機構20が屈曲する。よって、第2解除機構82が、第2突出部85及び第2突出駆動部86を備えて構成された小型で簡素な構造によって実現される。
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。例えば、次のように変更して実施してもよい。
(1)前述の実施形態では、航空機の動翼を駆動するための動翼駆動機構における電動アクチュエータとして構成された形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。本発明は、スクリュー機構を有し、電動モータが出力する回転方向の駆動力を直線方向の駆動力に変換して出力する電動アクチュエータとして広く適用することができるものである。
(2)前述の実施形態では、一対の支持部に回転自在に支持された第2スクリューが回転し、第1スクリューが第2スクリュー及び一対の支持部に対して軸方向に変位する形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。一対の支持部に回転自在に支持された第1スクリューが回転し、第2スクリューが第1スクリュー及び一対の支持部に対して軸方向に変位する変形例が実施されてもよい。この変形例の場合、電動モータからの駆動力は、第1スクリューに入力され、第2スクリューが出力部に連結される形態となる。また、この変形例の場合、弾性支持機構によって支持されるスパーギヤは、第1スクリューの外周に設けられた外歯に対して噛み合うとともに、電動モータから入力された駆動力を第1スクリューに伝達する形態となる。
(3)前述の実施形態では、第1リンク機構における第1リンク部材の数が2つの形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。第1リンク部材を3つ以上有する第1リンク機構の変形例が実施されてもよい。この変形例の場合、第1解除機構の数が、第1リンク機構における第1連結部分の数に対応して設定されてもよい。また、前述の実施形態では、第2リンク機構における第2リンク部材の数が2つの形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。第2リンク部材を3つ以上有する第2リンク機構の変形例が実施されてもよい。この変形例の場合、第2解除機構の数が、第2リンク機構における第2連結部分の数に対応して設定されてもよい。
(4)前述の実施形態では、第1及び第2スクリューを有するスクリュー機構が、ボールスクリュー機構の構成を備えた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。即ち、第1及び第2スクリューを有するスクリュー機構が、ボールスクリュー機構以外の構成を備えた形態として実施されてもよい。例えば、第1スクリュー及び第2スクリューが螺合する構成のスクリュー機構が実施されてもよい。或いは、第1及び第2スクリューを有するスクリュー機構が、ローラスクリュー機構の構成を備えた形態として実施されてもよい。ローラスクリュー機構の場合、第1スクリューと第2スクリューとの間に、外周に螺旋溝が設けられた複数のスクリュー状のローラ軸が回転自在に設置されることになる。第1スクリュー又は第2スクリューの回転に伴って、各ローラ軸は、第1スクリューと第2スクリューとに対して、螺旋溝で噛み合って各軸心を中心として回転することになる。
(5)第1解除機構及び第2解除機構については、前述の第1乃至第5実施形態で例示した形態に限らず、種々変更されて実施されてもよい。即ち、第1解除機構は、第1リンク機構を屈曲させることが可能な機構、或いは、第1リンク機構における複数の第1リンク部材の連結を切り離すことが可能な機構として構成されていればよい。そして、第2解除機構は、第2リンク機構を屈曲させることが可能な機構、或いは、第2リンク機構における複数の第2リンク部材の連結を切り離すことが可能な機構として構成されていればよい。