JP6025602B2 - 路盤材用スラグの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、Pb含有副産物を再利用するにあたって、Pbを無害化する方法、より詳しくは、Pbの溶出量が土壌環境基準以下となるように抑制された路盤材用スラグの製造方法に関する。
近年、廃棄物を低減するためや天然資源の枯渇等の問題から、製鋼などで生成されたスラグを土木資材や路盤材等に利用することが注目されている。スラグを土工用、路盤材として利用するためには、環境庁告示46号(以下、環告46号)に定められた土壌環境基準を満足する必要があり、Pbの溶出量は0.01mg/L以下とすることが定められている。
このPbは、鉄鉱石やスクラップなどの原料に不可避的に含有されている。ただし、Pbは非常に不安定な化合物であり、高温で酸化雰囲気に晒されると酸化鉛(PbO)に変化する性質を有しており、酸化鉛に変化した場合にはスラグ中に残存する場合がある(例えば、特開2002−20815などを参照)。しかし、酸化鉛は、一般に1470℃を超えると揮発するので、精錬温度が1470℃を超える脱炭処理などでは精錬中に大部分が揮発する。つまり、脱炭処理で排滓されるスラグにはPbが残留することはなく、脱炭処理のスラグを路盤材用スラグに利用してもPbの溶出量が問題となる可能性は低い。
しかし、精錬温度が低い脱りん処理などの予備処理では、精錬温度がPbOの沸点を下回ることがあり、Pbの存在形態によっては、Pbの揮発が十分に行われない可能性がある。つまり、予備処理で排滓されるスラグにはPbが揮発せずに残留している場合があり、このような予備処理で排滓されたスラグを路盤材用スラグにそのまま利用するとスラグから溶出するPbの溶出量が0.01mg/Lの環境基準値を上回ってしまう虞がある。
特に、近年は多量の鉄分を含むダストを鉄源としてリサイクルしたいというニーズがあるが、このようなダストには揮発したPbが高濃度で含有されている場合があり、ダストを予備処理の鉄源として直接再利用すると投入されるPbの量が大きくなり、結果として排滓されたスラグに含まれるPbの量も大きくなって、排滓されたスラグを路盤材用スラグに再利用できなくなってしまう虞がある。それゆえ、ダストを鉄源として用いて、予備処理で発生するスラグを路盤材用スラグに再利用しようとする場合には、スラグからのPbの溶出を抑制する何らかの手段を講じるのが好ましいのである。
このようにスラグからのPbの溶出を抑制する手段としては、次の特許文献1〜特許文献7に示すような技術が知られている。
例えば特許文献1〜特許文献4には、スラグの塩基度を低くすることにより、Pbの溶出量を抑制する技術が開示されている。つまり、CaOなどを含むスラグが水和するとスラグの表面にCa(OH)などが形成され、形成されたCa(OH)の作用でスラグの表面が強アルカリ性の環境になり、強アルカリ性の領域で可溶となるPbの溶出が促進される。それゆえ、特許文献1〜4では、スラグの組成を調整したり加熱するなどしてスラグの塩基度を低くし、溶出液pHを制御することでPbの溶出を抑制している。
また、特許文献5〜特許文献7には、Pbが含有されたスラグから、加熱などによってPbを揮発させて取り除く技術が開示されている。すなわち、スラグ中のPbは殆どがPbOに変化しているので、PbOの沸点を超える1470℃以上の温度に加熱すれば、スラグ中からPbOを予め揮発させて取り除くことができ、PbOが溶出する可能性が低い路盤材用スラグを得ることができる。
特開2002−68789号公報 特開2002−20815号公報 特開2001−194074号公報 特開2001−192721号公報 特開平10−273347号公報 特開平8−333613号公報 特表2004−500486号公報
ところで、上述した特許文献1〜特許文献5の技術は、いずれも鉄鉱石などに不可避的に含まれるPbの溶出を抑制するものであり、比較的低濃度のPbの溶出抑制を対象とするものである。また、特許文献6は、精錬プロセスに直接利用することを想定しているが、ダストへのPb濃縮などを想定しており、発生するスラグからのPb溶出挙動については不明である。加えて、特許文献7でも、製錬工程での直接利用を想定しているが、スラグをセメントの原料に用いるだけでなく、スラグ塩基度などの精錬特性を満足できるかは不明であり、かつスラグから実際にPb溶出が防止できているかは全く不明である。つまり、特許文献1〜特許文献7の方法を採用しても、上述したようにダストを鉄源として再利用する場合には、ダスト由来のPbが原因でスラグ中のPb濃度が高くなり、スラグからのPb溶出量が環境基準値を超える可能性がある。
加えて、特許文献1〜特許文献7の技術は、いずれも難水和膨張性に改質するためにスラグの組成を調整する工程やスラグを加熱する工程などを別途設けなくてはならず、路盤材用スラグの製造コストが高騰しやすいという問題もある。
本発明は、上述の問題に鑑みて為されたものであり、製造コストを高騰させることなく、高濃度のPbを含むダストを鉄源として利用してもスラグからのPb溶出量を環境基準内に確実に抑えることができる路盤材用スラグの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の路盤材用スラグの製造方法は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の路盤材用スラグの製造方法は、脱炭処理に先立って行われる予備処理工程で、Pbを含むダストを鉄源として利用するに際して、Pbを充分に揮発させ、吹錬後に排滓された当該工程で発生するスラグを路盤材用スラグとして再利用するものである。
具体的には、本発明の路盤材用スラグの製造方法は、脱炭処理に先立って行われる予備処理工程において排滓されるスラグを路盤材用スラグとして再利用するに際しては、前記予備処理工程において、Fe分及びPb分を含むダストを投入し、以下の式(1)の関係を満足する精錬条件に従って吹錬を行い、吹錬後に排滓されたスラグを路盤材用スラグとして再利用するものである。
本発明者は、予備処理工程の後で排滓されるスラグ中に含まれるPbの含有量は、炉内の酸素濃度、吹錬の時間、溶銑の温度(吹錬の温度)などといった精錬条件に依存して変化するため、スラグからのPbの溶出量が所定の範囲に収まるようにこれらの精錬条件を決定すれば、路盤材用スラグからのPb溶出量を環境基準内に抑えることができることを知見して、本発明を完成させたのである。
本発明の路盤材用スラグの製造方法によれば、製造コストを高騰させることなく、Pb
が高濃度で含まれたスラグからのPb溶出量を土壌環境基準内に確実に抑えることができる。
(a)は本発明の路盤材用スラグを製造する際に行われる予備処理工程を説明する図であり、(b)は予備処理工程に続いて行われる脱炭工程を説明する図である。 製錬工程のうち予備処理工程だけを説明する図である。 (a)は、予備処理工程での処理温度が1250℃の場合における酸素濃度に対するPb揮発率の変化を示すグラフであり、(b)は、予備処理工程での処理温度が1300℃の場合における酸素濃度に対するPb揮発率の変化を示すグラフである。 (a)は、予備処理工程での処理温度が1350℃の場合における酸素濃度に対するPb揮発率の変化を示すグラフであり、(b)は、予備処理工程での処理温度が1450℃の場合における酸素濃度に対するPb揮発率の変化を示すグラフである。 Pb揮発率が予備処理工程での処理時間に対して線形的に変化すると考えた場合のPb揮発率の傾きaを示した図である。 スラブ中に含まれるPbの含有量と、スラグから溶出するPb溶出量との関係を示した図である。
以下、本発明に係る路盤材用スラグの製造方法の実施形態を、図を基に説明する。
図1(a)及び図1(b)は、路盤材用スラグを製造する際に行われる精錬方法の一連の流れを例示するものである。精錬方法には、製造所のレイアウトや製造しようとする鋼種などに合わせてさまざまなやり方があるが、大別すると予備処理炉1を用いて行われる予備処理工程(図1(a))と、予備処理工程後に転炉2を用いて行われる脱炭工程(図1(b))とに分けられる。
精錬方法の中でも予備処理工程には、溶銑3中からりんを取り除く脱りん処理、または溶銑3中から硫黄を取り除く脱硫処理などがある。これらの予備処理工程は、いずれも予備処理炉に装入された溶銑3に対して吹錬を行うことで溶銑3中に含まれるP、Sなどの不純物を除去するものとなっている。
また、脱炭処理は、予備処理工程が終了した溶銑4から炭素を取り除くものであり、転炉2に装入された溶銑4に対して吹錬を行うことで実施される。そして、本発明の路盤材用スラグは、精錬工程の中でも、予備処理工程で発生するスラグ、言い換えれば予備処理炉より払い出された製鋼スラグをエージング、粉砕することで製造される。
次に、本発明の路盤材用スラグを製造する際に行われる予備処理工程、及びこの予備処理工程で用いられる予備処理炉などについて詳しく説明する。
図2に示すように、予備処理炉1は耐火材などが内張りされた容器であり、内部に溶銑3を貯留できるようになっている。この予備処理炉1には、トピードカーのように車載可能な横長の容器もあるが、図例のように縦長の有底円筒状の容器を用いる場合もある。図例の予備処理炉1(脱りん炉)は、縦長の有底円筒状の容器であって、その上部に上方に向かって開口する炉口5を有しており、この炉口5には炉内に装入された溶銑3へ酸素を吹き込む上吹ランス6が挿入可能となっている。また、炉口5からは、スラグの生成を促進する造滓剤が投入可能となっている。さらに、予備処理炉1の炉壁には、炉体の傾動により精錬後の溶銑を出銑できるように出銑口7が形成されている。そして、炉口5の上方には、図示は省略するが、炉内から発生するダストやガスを排気する集塵機が備えられている。
予備処理炉1では、溶銑3が装入された予備処理炉1の炉口5から上吹ランス6を挿入して溶銑3に向かって酸素ガスや攪拌ガスを吹き付け、脱りん処理が行われる。このようにして脱りん処理された溶銑3は、転炉2に出銑され、転炉2で脱炭処理される。
図1(b)に示すように、脱炭処理に用いられる転炉2は、予備処理炉1同様に上方に向かって開口する炉口8から上吹ランス9を挿入可能となっており、酸素ガスを吹錬しつつ脱炭処理できるようになっている。
ところで、上述した予備処理工程で発生するスラグ、言い換えれば脱りん処理や脱硫処
理後に予備処理炉1から排滓されるスラグを路盤材用スラグとして再利用する場合には、スラグ中に含有されたPbが溶出して環告46号に規定される土壌環境基準値を超えるという問題が起こりえる。
というのも、Pbは、高温酸化雰囲気に晒されると酸化鉛(PbO)となる可能性がある。この酸化鉛は沸点が1470℃であるため、精錬温度が沸点を上回る脱炭処理などでは酸化鉛は殆どが揮発してしまい、スラグ中に残留することはない。しかし、精錬温度が低い脱りん処理などの予備処理では、精錬温度がPbOの沸点を下回ることがあり、Pbの存在状態によってはPbの揮発が十分に行われない虞がある。
つまり、予備処理で排滓されるスラグにはPbが揮発せずに残留している可能性が考えられ、このような予備処理で排滓されたスラグを路盤材用スラグにそのまま利用するとスラグから溶出するPbの溶出量が0.01mg/Lの環境基準値を上回る可能性が残る。
特に、近年は多量の鉄分を含むダストを鉄源としてリサイクルしたいというニーズがあるが、このようなダストには揮発した鉛が高濃度で含有されていることが多く、ダストを予備処理の鉄源に再利用する場合、ダスト中のPbを揮発し、ダストに再濃縮することができなければ、スラグ中のPb濃度が高くなる虞があり、Pb溶出量を環境基準値以下とするには、従来技術に記載されているような塩基度調整などのPb不溶化処理が必要となることがある。
そこで、本発明の路盤材用スラグの製造方法では、Pbを含むダストなどを鉄源として利用する場合に、確実にPbを揮発させ、スラグからのPb溶出量を低減させるために精錬条件として、炉内の酸素濃度、吹錬の時間、溶銑の温度(吹錬の温度)といった条件を採用し、これらの精錬条件の関数として与えられるスラグ中のPb濃度、ひいてはPbの溶出量を環境基準値以下に設定することで、実際に路盤材用スラグから溶出されるPbの溶出量を環境基準値以下にしているのである。
具体的には、図2に示すように、脱炭処理に先立って行われる予備処理工程においてPbを含むダストなどを鉄源として利用し、かつ排滓されるスラグを路盤材用スラグとして再利用するに際しては、以下の式(1)の関係を満足する精錬条件に従って吹錬を行い、Pbを十分に揮発させることで吹錬後に排滓されたスラグを路盤材用スラグとして再利用している。
上述した式(1)のような関係は、次のように導かれる。
すなわち、予備処理工程において、予備処理炉1に投入されるPb投入量をY、予備処理中に揮発するPbの割合をPb揮発率α、とした場合にスラグ中に残留するPb残留量Xは次の式(2)のように示される。
なお、Pb投入量Yは、予備処理炉1に投入されたすべてのPbを合計したものである。それゆえ、Pb投入量Yには、Pb源となる得る溶銑3、ダスト10、スクラップ中に含まれる全てのPbが含まれる。
例えば、高炉などから出銑された溶銑3、溶銑中に鉄源として加えられるダスト10やスクラップなどのPb源に含まれるPbの濃度は予め分かっているか、分かっていなくても分析などで求めることができる。それゆえ、各Pb源のそれぞれの投入量をYi、Pb濃度を[%Pb]iとすると、Pb投入量Yは以下の式(3)に従って算出することができる。
なお、Pb源に含まれるPbの濃度を分析で求める場合は、例えばICP発光分析法やICP−mass分析法を好適に用いることができる。
例えば、図3、図4は、予備処理炉内の溶銑温度Tを1250℃、1300℃、1350℃、1450℃の範囲で変化させると共に、予備処理炉内で行われる吹錬時間を3min、5min、15minの範囲で変化させた場合に、予備処理炉1内の酸素濃度CO2に対してPb揮発率αがどのように変化するかを、ラボ実験で求めたものである。
図3(a)の3min(図中の丸印)、5min(図中の三角印)、15min(図中の四角印)の各結果に着目すると、酸素濃度CO2が0vol%→10vol%→20vol%と変化するのに対して、例えば5minの場合はPb揮発率が100mass%(Pbのすべてが完全に揮発することはなく、スラグに多少は残るため、厳密には99.9mass%)→67.6mass%→42.4mass%と、また15minの場合はPb揮発率が100mass%(厳密には99.9mass%)→85.0mass%→67.2mass%と減少し、上述したPb揮発率αは予備処理炉1内の酸素濃度CO2が増加した場合に一定の変化率で減少するような関係を備えていることがわかる。
また、図3(b)、図4(a)、図4(b)から明らかなように、この予備処理炉1内の酸素濃度CO2に対するPb揮発率の変化傾向は、溶銑温度Tが1250℃とは異なる1300℃、1350℃、1450℃の場合においてもそれぞれ成立する。なお、1500℃を超えると酸素濃度によらずPb揮発率はほぼ100mass%に達しており、このことからも脱炭工程のように精錬温度が高い場合は、Pbがダストに濃縮し、スラグ中に残留し難いことが分かる。
つまり、上述した式(2)に示されるPb揮発率αは、例えば予備処理炉1内の酸素濃度が高い場合、PbがPbOとなり、揮発しにくくなると考えられるため、予備処理炉1内の酸素濃度CO2に対して次の式(4)に示すような相関関係を有していると考えられる。
なお、この式(4)で用いられる「炉内の酸素濃度」、つまりCO2は、予備処理炉1内が極めて高温となるため、センサなどを用いて直接計測することができない。そこで、
上述した炉内の酸素濃度CO2としては、炉外で計測された酸素濃度の計測値C'O2を用いて算出された計算値が用いられる。
具体的には、予備処理炉1の炉上には上述したように集塵機が設けられており、炉内から排出される排ガスを吸い込んで、炉外に排出している。この集塵機は、予備処理炉1の炉口5の上方に距離をあけて配備されており、炉内の排ガスを吸い込むと共に炉口5と集塵機との間から炉外の大気をも吸い込んでいる。つまり、集塵機に酸素濃度を計測可能なセンサを設けて酸素濃度を計測しても、計測値には余分に吸い込まれた大気の分が含まれている。
そこで、本実施形態では、集塵機に窒素ガス以外の排ガス濃度を計測可能な排ガス計、言い換えれば酸素ガス、二酸化炭素ガス、アルゴンガスなどの濃度を計測可能な排ガス計を設けておき、各排ガス計で計測された窒素ガス以外のガス濃度の合計から窒素ガスのガス濃度を求めている。つまり、予備処理炉1内には窒素ガスは原則として存在していないため、集塵機で確認された窒素ガスは余分に吸い込まれた大気に由来するものと考えることができる。それゆえ、以下の式(5)に示すように、窒素ガスのガス濃度から逆算して吸い込まれた大気に由来する酸素ガスの濃度を求め、大気に由来する酸素ガスの濃度から炉内の酸素濃度を計算することが可能となる。
なお、式(5)で計算される酸素濃度CO2が0vol%を下回る場合は、吹錬で発生する一酸化炭素ガスの酸化に炉内の酸素が消費されて、炉内の酸素濃度が実質的にゼロになっていると考えるとよい。
このようにして炉内の酸素濃度CO2が求められたら、次に係数aがわかれば式(4)からPb揮発率αを求めることができる。
この式(4)に用いられる係数aは、上述した図3(a)〜図4(b)の結果に基づけば、吹錬時間tや溶銑温度Tの関数となっている。
例えば、図3(a)〜図4(b)から求められる熱履歴毎の傾きaを、吹錬時間tの1次関数と考えて、溶銑温度T[℃]毎に分けてプロットすると、図5に示すようになる。
図5に示すように、吹錬時間tが短い3minを除けば、1次関数の傾きaはほぼ一定の値(定数)となっており、Pb揮発率αを吹錬時間tの関数と考えても良いことがわかる。
また、式や図は省略するが、Pb揮発率α、溶銑温度Tのデータを整理した場合にも、同様にPb揮発率αは溶銑温度Tの関数と考えても良いという結果が得られる。それゆえ、式(4)中の係数aは、吹錬時間tと溶銑温度Tとの関数であるとして最小二乗法により各係数を求めると、係数aは式(6)のように示される。
なお、上述した溶銑温度Tは、吹錬前の溶銑3の温度を意味する。しかし、造滓剤などを投入して溶銑3の温度低下が大きい場合は、吹錬中に測定した溶銑3の温度(吹錬温度)を用いても良い。
また、上述した吹錬時間tは、Pb源であるダスト、スクラップ、溶銑などの投入から吹錬終了までの時間を意味する。例えば、吹錬前に副原料などと共にPb源を投入した場合は、吹錬が開始されていなくても副原料の投入から吹錬終了までの時間を吹錬時間tとするとよい。
次に、上述のようにして求められた関係を用いて、式(2)を整理する。まず、式(6)を式(4)に代入すると、式(7)が得られる。
さらに、式(7)を式(2)に代入すると、式(8)が得られる。
このようにして得られたPb残留量Xを、スラグ量Zで除すると、式(9)に示すようにPb含有量CPbを求めることができる。
なお、式(9)に用いられるスラグ量Zは、吹錬中に発生するスラグの重量のことであり、式(10)に示すように造滓剤などの副原料として溶銑3中に投入されるものと、溶銑、スクラップ、ダストなどの主原料として溶銑3中に投入されるものとの合計として示される。
なお、上述したスラグ量は式(10)に示す通り、CaO、SiOで定義する。実際
のスラグには酸化鉄や酸化マグネシウムなども含まれるため、実際に計測されるスラグ量は式(10)で定義されるものより多い。なお、スラグ量を実際の数値より小さく見積もっても、Pbの溶出をより厳格に抑制することになるので、スラグ量を式(10)のように定義しても実質的に問題とはならない。
ここで、スラグ中のPb含有量CPbと、スラグからのPb溶出量SPbとの関係は、経験的に図6や式(11)に示すように1次関数になることが分かっているため、この式(11)に式(9)を代入すれば、式(12)のようになる。
最後に、式(12)に従って求められたSPbがを0.01以下とすることで、上述した式(1)の関係を導くことができる。
上述した式(1)の関係が成立するように予備処理を行えば、Pbは揮発し、予備処理後に得られるスラグから排出されるPb溶出量を環境基準値以下に抑えることが可能となる。また、本発明の路盤材用スラグの製造方法であれば、スラグを加熱したり成分調整したりする手間が不溶となるため、製造コストを高騰させることもない。
次に、実施例及び比較例を用いて、本発明の路盤材用スラグの製造方法の作用効果を説明する。
実施例1〜実施例14、及び比較例1〜比較例13は、炉内の酸素濃度CO2を0.01vol%〜0.8vol%、溶銑温度Tを1200℃〜1430℃、吹錬時間tを1min〜20minの範囲で変化させて予備処理を行った際に、予備処理後に排滓されたスラグに対して上述した式(12)に従って求められたPb溶出量SPbと、実際にスラグから溶出したPb溶出量の計測値とを比較したものである。
なお、実施例及び比較例に用いた予備処理炉1には、40mm×40mm×25mmのブリケットに加工した脱炭炉微粒ダストや脱りん炉ダストと、溶銑3、スクラップ、CaOなどの造滓剤を適宜予備処理炉1に投入し、吹錬を開始した。このブリケット投入以降の時間を実施例及び比較例では吹錬時間tとする。また、予備処理途中に鉄源(Pb源)を投入する際には、炉上のホッパから炉内に直接ブリケットを投入した。
結果を表1に示す。
比較例1〜比較例13のPb溶出量SPbを計算して求めると、SPbの計算値は0.012〜0.120となっていて、SPbの計算値がいずれも0.01mg/Lを超えており、式(1)の関係を満足していない。また、比較例のPb溶出量の実測値の結果を見ると、溶出量は0.012〜0.19mg/Lとなっていて、実測値も環境基準値である0.01mg/Lを上回っている。このことから、式(1)の関係を満足していない比較例1〜比較例13では、溶出されるPbの量を環境基準内に抑えることは困難であると考えられる。
これに対して、実施例1〜実施例14のPb溶出量SPbを計算して求めると、SPbの計算値は−0.011〜0.009となっていて、SPbの計算値がいずれも0.01mg/Lを下回っており、式(1)の関係を満足している。また、実施例のPb溶出量の実測値の結果を見ると、溶出量は0.003〜0.008mg/Lとなっていて、実測値も環境基準値である0.01mg/Lを下回っている。このことから、式(1)の関係を満足している実施例1〜実施例14では、溶出されるPbの量を環境基準内に抑えることは困難であると考えられる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 予備処理炉
2 転炉
3 予備処理炉の溶銑
4 転炉の溶銑
5 予備処理炉の炉口
6 予備処理炉の上吹ランス
7 予備処理炉の出銑口
8 転炉の炉口
9 転炉の上吹ランス
10 ダスト

Claims (1)

  1. 脱炭処理に先立って行われる予備処理工程において排滓されるスラグを路盤材用スラグとして再利用するに際しては、
    前記予備処理工程において、Fe分及びPb分を含むダストを投入し、
    以下の式(1)の関係を満足する精錬条件に従って吹錬を行い、吹錬後に排滓されたスラグを路盤材用スラグとして再利用することを特徴とする路盤材用スラグの製造方法。
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