JP6025396B2 - 電子機器 - Google Patents

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Description

この発明は、圧電素子に所定の電気信号(音声信号)を印加することでパネルを振動させ、当該パネルの振動を人体に伝達させることにより気導音と振動音とを利用者に伝える電子機器に関する。
特許文献1には、携帯電話などの電子機器として、気導音と骨導音とを利用者に伝えるものが記載されている。また、特許文献1には、気導音とは、物体の振動に起因する空気の振動が外耳道を通って鼓膜に伝わり、鼓膜が振動することによって利用者の聴覚神経に伝わる音であることが記載されている。また、特許文献1には、骨導音とは、振動する物体に接触する利用者の体の一部(例えば外耳の軟骨)を介して利用者の聴覚神経に伝わる音であることが記載されている。
特許文献1に記載された電話機では、圧電バイモルフ及び可撓性物質からなる短形板状の振動体が、筐体の外面に弾性部材を介して取り付けられる旨が記載されている。また、特許文献1には、この振動体の圧電バイモルフに電圧が印加されると、圧電材料が長手方向に伸縮することにより振動体が湾曲振動し、利用者が耳介に振動体を接触させると、気導音と振動音とが利用者に伝えられることが記載されている。
特開2005−348193号公報
特許文献1に記載の電子機器は、携帯電話などの筐体の外面に振動体が取り付けられる。そのため、筺体に振動板としてのパネルが接着される電子機器については何ら検討されていない。
本発明の目的は、筺体に取り付けられるパネルを振動させ気導音と振動音とを発生させるタイプであって良好に動作する電子機器を提供することにある。
本発明による電子機器は、筐体と、圧電素子と、前記圧電素子により振動し、気導音と、人体の一部を振動させて伝える振動音とを発生させるパネルと、前記パネルを前記圧電素子の搭載位置付近で前記筐体に接着する第1の接着部と、 前記パネルを前記第1の接着部とは異なる箇所で前記筐体に接着する第2の接着部と、を有することを特徴とする。
前記第1の接着部は、前記圧電素子に対し当該圧電素子の長手方向側、または当該圧電素子の伸縮方向側に位置するとよい。
前記第2の接着部は、前記圧電素子に対し当該圧電素子の短手方向側、または当該圧電素子の伸縮方向と交差する方向側に位置するとよい。
前記第2の接着部は、前記パネルの端部に位置するとよい。さらに、前記第2の接着部は、前記パネルの外周に沿った端部に位置するとなおよい。
前記第1及び第2の接着部のいずれか一方または両方は、前記パネルと前記筐体の間への水の浸入を低減することが可能であるとよい。
前記第1の接着部は、前記第2の接着部より変形しにくい部材からなるとよい。
前記第1、第2の接着部は連結しているとよい。
前記第1の接着部は、前記圧電素子が搭載される位置と前記第2の接着部との間に位置するとよい。
本発明の第2の側面における電子機器は、筐体と、圧電素子と、前記圧電素子により振動し、気導音と、人体の一部を振動させて伝える振動音とを発生させるパネルとを有し、前記パネルは、前記筐体に前記圧電素子の搭載位置付近で第1の接着部材により接着され、それ以外の箇所で前記第1の接着部材より弱い接着力の第2の接着部材により接着されることを特徴とする。
前記第1の接着部材は、前記圧電素子に対し当該圧電素子の長手方向側に、前記第2の接着部材は、前記圧電素子に対し当該圧電素子の短手方向側に適用されるとよい。
前記第1の接着部材は、前記圧電素子に対し当該圧電素子の伸縮方向側に、前記第2の接着部材は、前記圧電素子に対し前記伸縮方向と交わる方向側に適用されるとよい。
前記パネルは、対耳珠から対耳輪下脚までの長さ以上の距離と、耳珠から対耳輪までの長さ以上の距離とを有する領域が振動するとよい。また、前記パネルは、その全域が振動するようにしてもよい。
前記パネルは、表示部、入力部、表示部のカバー、及び電池を取り外し可能とするための蓋部のうちいずれかの一部または全部を構成するとよい。そして、前記パネルが表示部を構成する場合に、表示領域の外側に前記圧電素子が位置するとよい。
前記パネルは、その主面に対し交差する方向に振動する複数の領域を有し、当該各領域における振幅が時間とともに前記主面に対し正負いずれかの値から他方の値に変化するとよい。
本発明によれば、筺体に取り付けられるパネルを振動させ気導音と振動音とを発生させるタイプの電子機器において、筐体とパネルの接着方法が考慮された電子機器を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る電子機器の機能ブロックを示す図である。 パネルの好適な形状を示す図である。 第1の実施形態に係る電子機器の実装構造を示す図である。 第1の実施形態に係る電子機器のパネルの振動の一例を示す図である。 パネルと筐体の接着の概略的な態様を示す図である。 パネルと筐体の接着の態様を示す筐体の拡大図である。 パネルと筐体の接着の態様の比較例を示す図である。 接着方法が異なる場合ごとにパネルの振動の例を示す図である。 第1の実施形態におけるパネルの周波数特性を示す図である。 第1の実施形態における接着部の配設方法を説明するための図である。 第2の実施形態に係る電子機器の実装構造を示す図である。 第2の実施形態に係る電子機器のパネルの振動の一例を示す図である。 パネルと筐体との接合例を示す図である。
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器1の機能ブロックを示す図である。電子機器1は、例えば携帯電話(スマートフォン)であって、パネル10、表示部20、圧電素子30、入力部40、制御部50を備える。
パネル10は、接触を検出するタッチパネル、または表示部20を保護するカバーパネル等である。パネル10は、例えばガラス、またはアクリル等の合成樹脂により形成される。パネル10の形状は板状であるとよい。パネル10は、平板であってもよいし、表面が滑らかに傾斜する曲面パネルであってもよい。パネル10は、タッチパネルである場合、利用者の指、ペン、又はスタイラスペン等の接触を検出する。タッチパネルの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式(又は超音波方式)、赤外線方式、電磁誘導方式、及び荷重検出方式等の任意の方式を用いることができる。
表示部20は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又は無機ELディスプレイ等の表示デバイスである。表示部20は、パネル10の背面に設けられる。表示部20は、パネル10の背面に配設される。表示部20は、パネル10と離間して配設され、電子機器1の筐体により支持されてもよい。あるいは、好適な態様では、表示部20は、接合部材(例えば接着剤)によりパネル10の背面に接合されてもよい。接合部材は、たとえば、透過させる光の屈折率を制御した、光学弾性樹脂などの弾性樹脂である。表示部20は、接着部材とパネル10を透過して種々の情報を表示する。表示部20をパネル10の背面に接合することで、後述するように、パネル10の振動の減衰量を調節できる。
圧電素子30は、電気信号(電圧)を印加することで、構成材料の電気機械結合係数に従い伸縮または湾曲する素子である。これらの素子は、例えばセラミック製や水晶からなるものが用いられる。圧電素子30は、ユニモルフ、バイモルフまたは積層型圧電素子であってよい。積層型圧電素子には、バイモルフを積層した(例えば16層または24層積層した)積層型バイモルフ素子が含まれる。積層型の圧電素子は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる複数の誘電体層と、該複数の誘電体層間に配置された電極層との積層構造体から構成される。ユニモルフは、電気信号(電圧)が印加されると伸縮し、バイモルフは、電気信号(電圧)が印加されると湾曲する。
圧電素子30は、パネル10の背面(電子機器1の内部側の面)に配置される。圧電素子30は、接合部材(例えば両面テープ)によりパネル10に取り付けられる。圧電素子30は、中間部材(例えば板金)を介してパネル10に取り付けられてもよい。圧電素子30は、パネル10の背面に配置された状態で、筐体60の内部側の表面と所定の距離だけ離間している。圧電素子30は、伸縮または湾曲した状態でも、筐体60の内部側の表面と所定の距離だけ離間しているとよい。すなわち、圧電素子30と筐体60の内部側の面との間の距離は、圧電素子30の最大変形量よりも大きいとよい。
入力部40は、利用者からの操作入力を受け付けるものであり、例えば、操作ボタン(操作キー)から構成される。なお、パネル10がタッチパネルである場合には、パネル10も利用者からの接触を検出することにより、利用者からの操作入力を受け付けることができる。
制御部50は、電子機器1を制御するプロセッサである。制御部50は、圧電素子30に所定の電気信号(音声信号に応じた電圧)を印加する。制御部50が圧電素子30に対して印加する電圧は、例えば、振動音ではなく気導音による音の伝導を目的とした所謂パネルスピーカの印加電圧である±5Vよりも高い、±15Vであってよい。これにより、利用者が3N以上の力(例えば5N〜10Nの力)で自身の体にパネル10を押し付けた場合であっても、パネル10に十分な振動を発生させ、利用者の体の一部を介する振動音を発生させることができる。尚、どの程度の印加電圧を用いるかは、パネル10の筐体または支持部材に対する固定強度もしくは圧電素子30の性能に応じて適宜調整可能である。
制御部50が圧電素子30に電気信号を印加すると、圧電素子30は長手方向に伸縮または湾曲する。このとき、圧電素子30が取り付けられたパネル10は、圧電素子30の伸縮または湾曲にあわせて変形し、パネル10が振動する。このため、パネル10は、気導音を発生させるとともに、利用者が体の一部(例えば外耳の軟骨)を接触させた場合、体の一部を介する振動音を発生させる。制御部50は、例えば通話相手の音声に係る音声信号に応じた電気信号を圧電素子30に印加させ、その音声信号に対応する気導音及び振動音を発生させることができる。音声信号は、着信メロディ、または音楽を含む楽曲等に係るものであってもよい。なお、電気信号にかかる音声信号は、電子機器1の内部メモリに記憶された音楽データに基づくものでもよいし、外部サーバ等に記憶されている音楽データがネットワークを介して再生されるものであってもよい。
パネル10は、圧電素子30が取り付けられた取付領域だけでなく、取付領域から離れた領域も振動する。パネル10は、振動する領域において、当該パネル10の主面と交差する方向に振動する箇所を複数有し、当該複数の箇所の各々において、振動の振幅の値が、時間とともにプラスからマイナスに、あるいはその逆に変化する。パネル10は、ある瞬間において、振動の振幅が相対的に大きい部分と振動の振幅が相対的に小さい部分とが一見パネル10の略全体にランダムにあるいは周期的に分布した振動をする。即ちパネル10全域にわたって、複数の波の振動が検出される。利用者が例えば5N〜10Nの力で自身の体にパネル10を押し付けた場合であっても、パネル10の上述したような振動が減衰しないためには、制御部50が圧電素子30に対して印加する電圧は、±15Vであってよい。そのため、利用者は、上述したパネル10の取付領域から離れた領域に耳を接触させて音を聞くことができる。
ここで、パネル10は、利用者の耳とほぼ同じ大きさであってよい。また、パネル10は、図2に示すように、利用者の耳よりも大きいものであってもよい。この場合、利用者が音を聞く際、電子機器1のパネル10により耳全体が覆われやすいことから、周囲音(ノイズ)を外耳道に入りにくくできる。パネル10は、対耳輪下脚(下対輪脚)から対耳珠までの間の距離に相当する長さと、耳珠から対耳輪までの間の距離に相当する幅とを有する領域よりも広い領域が振動すればよい。パネル10は、好ましくは、耳輪における対耳輪上脚(上対輪脚)近傍の部位から耳垂までの間の距離に相当する長さと、耳珠から耳輪における対耳輪近傍の部位までの間の距離に相当する幅を有する領域が振動すればよい。長さ方向は、この例ではパネル10が延在する長手方向2aであり、その中心から一方の端部寄りに圧電素子30が配置される。また、幅方向は、長手方向と直交する方向2bである。かかる長さおよび幅を有する領域は、長方形状の領域であってもよいし、上記の長さを長径、上記の幅を短径とする楕円形状であってもよい。日本人の耳の平均的な大きさは、社団法人 人間生活工学研究センター(HQL)作成の日本人の人体寸法データベース(1992−1994)等を参照すれば知ることができる。尚、パネル10が日本人の耳の平均的な大きさ以上の大きさであれば、パネル10は概ね外国人の耳全体を覆うことができる大きさであると考えられる。
上記のような寸法や形状を有することで、パネル10は、ユーザーの耳を覆うことができ、耳に当てたときの位置ずれに対して寛容になる。
上記の電子機器1は、パネル10の振動により、気導音と、利用者の体の一部(例えば外耳の軟骨)を介する振動音とを利用者に伝えることができる。そのため、従来のダイナミックレシーバと同等の音量の音を出力する場合、パネル10が振動することで空気の振動により電子機器1の周囲へ伝わる音は、ダイナミックレシーバと比較して少ない。したがって、例えば録音されたメッセージを電車内等で聞く場合等に適している。
また、上記の電子機器1は、パネル10の振動によって振動音を伝えるため、例えば利用者がイヤホンまたはヘッドホンを身につけていても、それらに電子機器1を接触させることで、利用者はイヤホンまたはヘッドホンおよび体の一部を介して音を聞くことができる。
上記の電子機器1は、パネル10の振動により利用者に音を伝える。そのため、電子機器1が別途ダイナミックレシーバを備えない場合、音声伝達のための開口部(放音口)を筐体に形成する必要がなく、電子機器1の防水構造が簡略化できる。尚、電子機器1がダイナミックレシーバを備える場合、放音口は、気体は通すが液体は通さない部材によって閉塞されるとよい。気体は通すが液体は通さない部材は、例えばゴアテックス(登録商標)である。
(第1の実施形態)
図3は第1の実施形態に係る電子機器1の実装構造を示す図である。図3(a)は正面図、図3(b)は図3(a)におけるb−b線に沿った断面図である。図3に示す電子機器1はパネル10としてガラス板であるタッチパネルが筐体60(例えば金属や樹脂のケース)の前面に配されたスマートフォンである。パネル10は、後述するように接着部材により筐体60に接着され、筐体60に支持される。接着部材は、例えば接着剤や両面テープである。また、入力部40も筐体60に支持される。表示部20および圧電素子30は、それぞれ接合部材70によりパネル10に接着されている。接合部材70は、熱硬化性あるいは紫外線硬化性等を有する接着剤や両面テープ等であり、例えば無色透明のアクリル系紫外線硬化型接着剤である光学弾性樹脂でもよい。パネル10、表示部20および圧電素子30は、それぞれ略長方形状である。
表示部20は、パネル10の短手方向におけるほぼ中央に配置される。圧電素子30は、パネル10の長手方向の端部から所定の距離だけ離間して、当該端部の近傍に、圧電素子30の長手方向がパネル10の短辺に沿うように配置される。表示部20と圧電素子30とは、パネル10の内部側の面に平行な方向において並んで配置される。
図4は、第1の実施形態に係る電子機器1のパネル10の振動の一例を示す図である。第1の実施形態に係る電子機器1では、表示部20がパネル10に取り付けられている。このため、パネル10の下部は、圧電素子30が取り付けられたパネル10の上部に比して振動しにくくなる。すなわち、パネル10の長手方向2aにおいて、圧電素子30により生じた振動を減衰させることができる。そのため、パネル10の下部において、パネル10の下部が振動することによる音漏れが低減できる。
このように、本実施形態に係る電子機器1によれば、パネル10の背面に取り付けられた圧電素子30の変形に起因してパネル10が変形し、当該変形するパネル10に接触する対象物に対して気導音と振動音とを伝える。これにより、振動体を筐体60の外面に突出させることなく気導音と振動音とを利用者に伝えることができるため、筐体に比べて非常に小さな振動体を人体に接触させる特許文献1に記載の電子機器よりも使い勝手が向上する。また、圧電素子自体に利用者の耳を当てる必要がないので圧電素子30そのものが破損しにくい。また、パネル10ではなく筐体60を変形させる場合には、振動を発生させる際に、利用者が端末を落としてしまいやすいのに対して、パネル10を振動させた場合には、このようなことが起きにくい。
また、圧電素子30はパネル10に接合部材70により接合されている。これにより、圧電素子30の変形の自由度を阻害しにくい状態で圧電素子30をパネル10に取り付けることができる。また、接合部材70は、非加熱型硬化性の接着剤とすることができる。これにより、硬化時に、圧電素子30とパネル10との間に熱応力収縮が発生しにくいという利点がある。また、接合部材70は、両面テープとすることができる。これにより、圧電素子30とパネル10との間に接着剤使用時のような収縮応力がかかりにくいという利点がある。
ここで、図5を用いて、パネル10と筐体60の接着構造について説明する。図5は、パネル10と筐体60の接着の概略的な態様を示す図である。図5には、パネル10が筐体60から分離された状態が示される。図5において、31は、筐体60とパネル10とが取り付けられた状態での圧電素子30の位置を示す。筐体60側に示されるように、パネル10と筐体60は、接着部11、12により接着される。接着部11は、たとえば、非加熱型硬化性の接着剤からなる接着部材である。接着部11は、例えば、PET基材又はポリエステル基材の両面に、アクリル系粘着剤を積層して成る両面テープである。接着部11は、例えば、空気中の水分(湿気)と反応して硬化する湿気硬化型弾性接着剤であってもよい。このような湿気硬化型弾性接着剤は、例えばシリル基を含む特殊ポリマーが主成分である。接着部12は、たとえば、発泡材入りの両面テープである。発泡材入りの両面テープは、例えば、微小独立気泡構造を持つポリエチレンの基材の両面に、アクリル系粘着剤を積層して成る両面テープである。
接着部11及び接着部12は、上に挙げたものに限られない。接着部11は、接着部12より変形しにくいものであればよい。変形のしやすさは、例えば、JIS規格に準拠したスプリング式硬さ試験機又は針入度計で測定されるものである。接着部11は、接着部12より粘着力が強いものであってよい。ここでいう粘着力は、例えば、JISZ0237(新旧双方を含む)に規定される方法で測定されるものである。接着部11は、接着部12より接着強度が強いものであってもよい。ここでいう接着強度は、例えば、JISK6849に規定される方法で測定される引っ張り接着強さである。
接着部11は、圧電素子30の近傍に配置される。具体的には、圧電素子30の左右両側、すなわち、圧電素子30の長手方向であり、かつ伸縮方向である方向2b(これは、パネル10の短手方向である)側に配置される。ただし、圧電素子30の左右のいずれか一方に配置される場合も、本実施形態に含まれる。一方、接着部12は、パネル10の外周に沿ってパネル10の端部に配置される。圧電素子30との位置関係では、接着部12は、パネル10の上端部側で、圧電素子30の短手方向、かつ伸縮方向ではない方向2a(これは、パネル10の長手方向である)側に配置される。そして、圧電素子30の短手方向2bにおいて、接着部11は、圧電素子30と接着部12の間に配置される。このように配置される接着部11、12により、パネル10が筐体60に接着されて固定される。そして、接着部11、12は防水性を有し、パネル10と筐体60との隙間からの水の浸入を低減させる。
好適な態様では、図6の拡大図に示すように、接着部11と12は、互いに連結される。具体的には、接着部11の外周を接着部12が取り囲むようにして連結される。そうすることで、パネル10と筐体60の接着をより強固にすることができる。
第1の実施形態では、上記のような接着部11、12によりパネル10を筐体60に接着することで、たとえば、図7に示すようにパネル10を接着部12のみ、すなわち両面テープのみにより接着する場合と比べて、パネル10の周波数特性を改善することができる。
図8は、接着方法が異なる場合ごとにパネル10の振動の例を示す図である。図8(a)、(b)は、接着部12、つまり両面テープのみでパネル10を接着した場合に、ある周波数の駆動信号を圧電素子30に印加したときのパネル10の振動を示す。一方、図8(c)、(d)は、接着部11及び12、つまり両面テープと接着材でパネル10を接着した場合に、同じ周波数の駆動信号を圧電素子30に印加したときのパネル10の振動を示す。なお、図8(a)と図8(c)、及び図8(b)と図8(d)は、それぞれの場合における逆位相の振動を示している。
図示されるように、両面テープのみでパネル10を接着した場合より両面テープと接着材でパネル10を接着した場合の方が、振幅が大きい振動が得られる。また、ここで、振動していないときのパネル10の平面(主面)を基準として、パネル10の振幅の方向を見てみる。振幅の方向は、主面上方を正、下方を負とする。すると、たとえば、パネル10の短手方向2bにおいて、圧電素子30が搭載された領域の中心と左右端部に着目したときに、両面テープのみでパネル10を接着した場合には、図8(a)、(b)に示すように、パネル10において圧電素子30が搭載された領域の中心部と、圧電素子30が搭載された領域の左右端部とは振幅が逆方向となる。すなわち、中心部が正方向に振動しているときに左右端部は負方向に振動する。中心部が負方向に振動しているときに左右端部は正方向に振動する。これに対し、接着材と両面テープでパネル10を接着した場合には、図8(c)、(d)に示すように、パネル10において圧電素子30が搭載された領域の中心部と、圧電素子30が搭載された領域の左右端部とは振幅方向が一致している。
このことは、接着部12(発泡材入り両面テープ)の方が接着部11(接着材)より変形しやすく、また、接着力が弱いので、パネル10を接着部12だけで接着すると、駆動信号の周波数によっては、パネル10の左右端部が大きく振動し、その結果として中心部の振動が抑制されることによる。これに対し、圧電素子30の長手方向、つまり伸縮方向2b側に接着部11を配置したことにより、パネル10の左右端部の固定を強固にすることができ、その結果として圧電素子30付近の振動を抑制することを回避できる。そうすることで、良好な音圧を確保できる。
図9は、第1の実施形態におけるパネル10の周波数特性を示す図である。図9では、パネル10を接着部12のみで接着した場合(圧電素子30の長手方向両端近傍に接着部11が配置されない場合)の周波数特性91と、接着部11及び12で接着した場合(圧電素子30の長手方向両端近傍に接着部11が配置される場合)の周波数特性92とがそれぞれ示される。横軸は出力音声の周波数を、縦軸は音圧を示す。
周波数特性91が示すように、パネル10を接着部12のみで接着した場合には、4kHz付近で音圧が落ち込む「ディップ」が生じる。一方、周波数特性92が示すように、パネル10を接着部11及び12で接着した場合には、ディップの発生を6kHz以上の帯域に移動させることができる。すなわち、ディップが携帯電話機の音声通話で用いられる周波数帯は400Hz〜3.4kHzで発生することをより確実に回避できる。それとともに、3kHz以上での音圧を増加させることができる。このように、圧電素子30の長手方向、つまり伸縮方向2b側を接着部11で接着し、パネル10の外周を接着部12で接着することで、パネル10の周波数特性を改善できる。
なお、図7に示す接着態様は、接着部12の一部が、パネル10の外周部から、圧電素子30の長手方向の両端近傍まで延設されている。そのため、接着部12がパネル10の外周部のみに配置されている態様と比較すると、パネル10の音響特性が向上する。図7に示す接着態様は、パネル10の外周部に配置される接着部12と、圧電素子30の長手方向の両端近傍に配置される接着部12とが連続している(連結されている)と言うことができる。
図10は、接着部11が上記の湿気硬化型弾性接着剤である場合の、第1の実施形態における接着部11の配設方法を説明するための図である。
図10(a)は、パネル10を接着する前における筐体60の正面上部の拡大図を示す。図10(b)は、筐体60のX−X断面図を示す。ここでは、パネル10が配設された状態が示される。そして、図10(c)は、筐体60を背面側から観察した斜視図である。
筐体60には、接着部11を配置する凹部102が設けられる。凹部102には、背面側に連通する孔100が設けられる。パネル10の接着に際し、たとえば、まず接着部12が、凹部102を取り囲むようにしてパネル10の外周に沿って配置される。そしてパネル10が配設され、接着部11により接着される。次に、筐体60の背面側から、孔100を介して凹部102に接着部11、つまり接着材が充填される(矢印103)。その際、接着材を吐出するノズルは、図10(d)の断面図に示すように、先細のノズル110や、段付きのノズル111を用いることで、ノズルの外壁と孔100の開口の外周が当接して孔100とノズルの間に隙間が生じることなく、接着材を凹部102に充填できる。このようにして、接着部11を配設し、パネル10を筐体60に接着することができる。
(第2の実施形態)
図11は第2の実施形態に係る電子機器1の実装構造を示す図である。図11(a)は正面図、図11(b)は図11(a)におけるb−b線に沿った断面図、図11(c)は図11(a)におけるc−c線に沿った断面図である。図11に示す電子機器1はパネル10として表示部20を保護するカバーパネル(アクリル板)が上側の筐体60の前面に配された折りたたみ式の携帯電話である。第2の実施形態でも、パネル10は、第1の実施形態と同様にして筐体60に接着される。そうすることで、第1の実施形態と同じ効果を得ることができる。
第2の実施形態では、パネル10と圧電素子30との間には、補強部材80が配置される。補強部材80は、例えば樹脂製の板、板金またはガラス繊維を含む樹脂製の板である。補強部材80は、例えばゴムまたはシリコン等の弾性部材である。補強部材80は、例えばある程度の弾性を有するアルミニウム等から成る金属板であってもよい。補強部材80は、例えば樹脂製の板であってもよい。ここでいう樹脂製の板を形成する樹脂としては、例えばポリアミド系樹脂が挙げられる。ポリアミド系樹脂には、例えば、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とから得られる結晶性の熱可塑性樹脂から成り、強度および弾性に富むレニー(登録商標)がある。このようなポリアミド系樹脂は、それ自体をベースポリマーとして、ガラス繊維、金属繊維または炭素繊維等により強化された強化樹脂であってもよい。ポリアミド系樹脂に対するガラス繊維、金属繊維または炭素繊維等の付加量に応じて、強度および弾性が適宜調整される。上記のような強化樹脂は、例えば、ガラス繊維、金属繊維または炭素繊維等を編みこんで形成された基材に樹脂を含浸させ、硬化させて形成される。強化樹脂は、液状の樹脂に細かく切断された繊維片を混入させたのちに硬化させて形成されるものであってもよい。強化樹脂は、繊維を編みこんだ基材と樹脂層とを積層したものであってもよい。
すなわち、第2の実施形態に係る電子機器1は、圧電素子30と補強部材80とが接合部材70により接着され、さらに補強部材80とパネル10とが接合部材70により接着される構造である。また、第2の実施形態では、表示部20は、パネル10に接着されるのではなく、筐体60によって支持されている。すなわち、第2の実施形態に係る電子機器1は、表示部20がパネル10と離間しており、表示部20と筐体60の一部である支持部90とが接合部材70により接着される構造である。なお、支持部90は、筐体60の一部としての構成に限定されず、金属や樹脂等により筐体60から独立した部材として構成することが可能である。
図12は、第2の実施形態に係る電子機器1のパネル10の振動の一例を示す図である。第2の実施形態に係る電子機器1では、パネル10がガラス板と比較し剛性の低いアクリル板であり、また、パネル10の背面に表示部20が接着されていないため、図4に示す第1の実施形態に係る電子機器1に比べ、圧電素子30により生じる振幅が大きくなる。また、パネル10は、圧電素子30が取り付けられた取付領域だけでなく、取付領域から離れた領域も振動する。たとえば、ここでは、パネル10の長手方向2aにわたって、振動が図4の場合ほど減衰せずに伝わる様子が示される。このため、利用者は、空気を介する気導音に加え、パネル10の任意の位置に耳を接触させて振動音を聞くことができる。
このように、本実施形態に係る電子機器1によれば、パネル10に補強部材80を介して取り付けられた圧電素子30の変形に起因して補強部材80およびパネル10が変形し、当該変形するパネル10に接触する対象物に対して気導音と振動音とを伝える。これにより、振動体自体を耳に当てることなく気導音と振動音とを利用者に伝えることができる。また、圧電素子30は、パネル10の筐体60内部側の面に取り付けられる。このため、振動体を筐体60の外面に突出させることなく気導音と振動音とを利用者に伝えることができる。また、パネル10は、圧電素子30が取り付けられた取付領域だけでなく、パネル10のいずれの箇所においても気導音と振動音とを伝えるための変形が発生する。このため、利用者は、空気を介する気導音に加え、パネル10の任意の位置に耳を接触させて振動音を聞くことができる。
また、圧電素子30とパネル10との間に補強部材80を配置することで、例えばパネル10に外力が加わった場合に、その外力が圧電素子30に伝達され圧電素子30が破損する可能性を低減することができる。また、人体にパネル10を強く接触させても、パネル10の振動が減衰しにくくできる。また、圧電素子30とパネル10との間に補強部材80を配置することで、パネル10の共振周波数が下がり、低周波帯域の音響特性が向上する。なお、補強部材80に換えて、板状の錘を接合部材70により圧電素子30に取り付けてもよい。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
例えば、図13に示すとおり、パネル10が筐体60に接合部材70により接合されている構成としても良い。このように、筐体60にパネル10からの振動がダイレクトに伝わりにくくすることで、筐体自体が大きく振動する場合と比較して、ユーザーが電子機器1を落としてしまう恐れを低減できる。また、接合部材70は、非加熱型硬化性の接着剤とすることができる。これにより、硬化時に、筐体60とパネル10との間に熱応力収縮が発生しにくいという利点がある。また、接合部材70は、両面テープとすることができる。これにより、筐体60とパネル10との間に接着剤使用時のような収縮応力が発生しにくいという利点がある。
例えば、パネル10と表示部20とが重畳しない構成である場合、圧電素子30は、パネル10の中央に配設されてもよい。圧電素子30がパネル10の中央に配設された場合、圧電素子30の振動がパネル10全体に均等に伝わり、気導音の品質を向上させたり、利用者が耳をパネル10の様々な位置に接触させても振動音を認識させたりすることができる。なお、上述の実施形態と同様に、圧電素子30は複数個搭載してもよい。
また、上記の電子機器1においては、圧電素子30はパネル10に貼り付けられているが、パネル10と異なる場所に取り付けられてもよい。例えば、圧電素子30は、筐体60に取り付けられてバッテリを覆うバッテリリッドに貼り付けられてもよい。バッテリリッドは携帯電話機等の電子機器1においてパネル10と異なる面に取り付けられることが多いため、そのような構成によれば、利用者はパネル10と異なる面に体の一部(例えば耳)を接触させて音を聞くことができる。
また、上記の電子機器1においては、筺体60の一部又は全体が圧電素子30によって振動してもよい。例えば、圧電素子30により筺体60の角部又は側壁部が振動する構成であれば、利用者は、振動する筺体60の角部又は側壁部に体の一部(例えば外耳の軟骨)を接触させて音を聞くことができる。
また、パネル10は、表示パネル、操作パネル、カバーパネル、充電池を取り外し可能とするためのリッドパネルのいずれかの一部または全部を構成することができる。特に、パネル10が表示パネルのとき、圧電素子30は、表示機能のための表示領域の外側に配置される。これにより、表示を阻害しにくいという利点がある。操作パネルは、第1実施形態のタッチパネルを含む。また、操作パネルは、例えば折畳型携帯電話において操作キーのキートップが一体に形成され操作部側筐体の一面を構成する部材であるシートキーを含む。
なお、第1の実施形態および第2の実施形態では、パネル10と圧電素子30とを接着する接合部材およびパネル10と筐体60とを接着する接合部材等を同一の符号を有する接合部材70として説明した。しかしながら、第1実施形態および第2実施形態で用いられる接合部材は、接合する対象である部材に応じて適宜異なるものが用いられてよい。
1 電子機器
10 パネル
11、12 接着部
20 表示部
30 圧電素子
40 入力部
50 制御部
60 筐体
70 接合部材
80 補強部材
90 支持部

Claims (18)

  1. 筐体と、
    圧電素子と、
    前記圧電素子により振動し、気導音と、人体の一部を振動させて伝える振動音とを発生させるパネルと、
    前記パネルを前記圧電素子の搭載位置付近で前記筐体に接着する第1の接着部と、
    前記パネルを前記第1の接着部とは異なる箇所で前記筐体に接着する第2の接着部と、
    を有し、
    前記第1の接着部は、前記第2の接着部より変形しにくい部材からなる
    電子機器。
  2. 請求項1において、
    前記第1の接着部は、前記圧電素子に対し当該圧電素子の長手方向側に位置する、
    電子機器。
  3. 請求項1において、
    前記第1の接着部は、前記圧電素子に対し当該圧電素子の伸縮方向側に位置する、
    電子機器。
  4. 請求項1または2において、
    前記第2の接着部は、前記圧電素子に対し当該圧電素子の短手方向側に位置する、
    電子機器。
  5. 請求項1または2において、
    前記第2の接着部は、前記圧電素子に対し当該圧電素子の伸縮方向と交差する方向側に位置する、
    電子機器。
  6. 請求項4または5において、
    前記第2の接着部は、前記パネルの端部に位置する、
    電子機器。
  7. 請求項1乃至6のいずれかにおいて、
    前記第2の接着部は、前記パネルの外周に沿った端部に位置する、
    電子機器。
  8. 請求項1乃至7のいずれかにおいて、
    前記第1及び第2の接着部のいずれか一方または両方は、前記パネルと前記筐体の間への水の浸入を低減する
    電子機器。
  9. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    前記第1、第2の接着部は連結している
    電子機器。
  10. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    前記第1の接着部は、前記圧電素子が搭載される位置と前記第2の接着部との間に位置する
    電子機器。
  11. 筐体と、
    圧電素子と、
    前記圧電素子により振動し、気導音と、人体の一部を振動させて伝える振動音とを発生させるパネルとを有し、
    前記パネルは、前記筐体に前記圧電素子の搭載位置付近で第1の接着部材により接着され、それ以外の箇所で前記第1の接着部材より弱い接着力の第2の接着部材により接着される、電子機器。
  12. 請求項11において、
    前記第1の接着部材は、前記圧電素子に対し当該圧電素子の長手方向側に、前記第2の接着部材は、前記圧電素子に対し当該圧電素子の短手方向側に適用される
    電子機器。
  13. 請求項11において、
    前記第1の接着部材は、前記圧電素子に対し当該圧電素子の伸縮方向側に、前記第2の接着部材は、前記圧電素子に対し前記伸縮方向と交わる方向側に適用される
    電子機器。
  14. 請求項1乃至13のいずれかにおいて、
    前記パネルは、対耳珠から対耳輪下脚までの長さ以上の距離と、耳珠から対耳輪までの長さ以上の距離とを有する領域が振動する、
    電子機器。
  15. 請求項1乃至14のいずれかにおいて、
    前記パネルは、その全域が振動する、
    電子機器。
  16. 請求項1乃至15のいずれかにおいて、
    前記パネルは、表示部、入力部、表示部のカバー、及び電池を取り外し可能とするための蓋部のうちいずれかの一部または全部を構成する、
    電子機器。
  17. 請求項16において、
    前記パネルが表示部を構成する場合に、表示領域の外側に前記圧電素子が位置する
    電子機器。
  18. 請求項1乃至17のいずれかにおいて、
    前記パネルは、その主面に対し交差する方向に振動する複数の領域を有し、当該各領域における振幅が時間とともに前記主面に対し正負いずれかの値から他方の値に変化する電子機器。
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