JP6024956B2 - 緊急地震速報による工作機械の運転停止制御装置と運転停止制御方法 - Google Patents
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Description
一方、工作機械の稼働時に地震が発生すると、振動によって工作機械が破損したりワークや工具が互いに接触して損傷したりすることになるため、このような被害をできるだけ防ぐために、地震情報を事前に検知して工作機械の稼働を緊急停止させることが要求されている。
この数値制御装置は、地震情報を利用してワークを切削加工しないブロックでプログラム運転の停止や工具の退避を行うようにしている。この装置は、受信した地震情報に基づいて地震発生予測時刻での予測実行ブロックを特定し、地震発生時と予測実行ブロックとの間に主軸が停止するブロックや工具やワークを早送りで移動するブロックを運転停止ブロックとして特定する。そして、運転停止ブロックの間でプログラム運転を停止させ、工具やワークを退避させるようにしている。
本発明によれば、工作機械の稼働時に、緊急地震速報が発信されて地震速報受信手段で受信されると、判別手段によってワーク交換中か工具交換中かを判別し、ワーク交換中であると判別された場合に即座に工作機械を停止させることなく、ワーク交換終了後まで待って機械軸を停止させ、また工具交換中であると判別された場合には工具交換終了まで待って機械軸を停止させる。これによって、ワークと工具と工作機械が非接触状態になるから、緊急地震速報を受信してワーク交換中や工具交換中に機械軸を緊急停止させて、その後の地震でワークや工具や工作機械が互いに損傷したり工具が折損したりすることを防止できる。
また、ワーク交換中であると判別された場合にも、即座に工作機械の稼働を停止させることなく、ワーク交換終了後まで待って機械軸を停止させ、また工具交換中であると判別された場合にも、工具交換終了まで待って機械軸を停止させる。これによって、ワークと工具と工作機械が非接触状態になるから、従来のように、緊急地震速報を受信してワーク交換中や工具交換中に機械軸を緊急停止させて地震でワークや工具や工作機械が互いに損傷したり工具が折損したりすることを防止できる。
また、地震が収まった後、加工の再開に際し、非加工位置に逆移動させた工具を加工済経路に沿ってワークに対する加工中止位置まで戻し移動を行うことができるため、加工の再開作業が容易である。
図1及び図2に示す工作機械1は、緊急地震速報を受信して工作機械1の運転を安全に停止させる運転停止制御装置2を備えている。
図1に示す工作機械1はマシニングセンタであり、ベース3の一端部に門形のコラム4が立設され、ベース3上のコラム4に対向する位置には保持部5が設けられている。ここで、工作機械1において垂直軸をY軸とし、Y軸に直交する水平面内において横方向をX軸、X軸に直交する縦方向をZ軸とする。
また、サドル7にはX軸ガイドレール6a,6bと平行にボールネジ14が設けられ、ボールネジ14の一端部にはX軸駆動源としてX軸サーボモータMxが連結されている。ボールネジ14はサドル7に螺合状態に保持され、X軸サーボモータMxの正逆回転駆動によってサドル7を主軸10と一体にX軸方向に移動可能としている。
なお、加工位置にあるパレット18aは、図2に示すように、ボールネジ19を介してZ軸駆動源としてZ軸サーボモータMzに連結されており、Z軸サーボモータMzを正逆回転させることで、テーブル18をZ軸ガイドレール16a、16bに沿ってZ軸方向に前後動可能としている。
X軸サーボモータMxとZ軸サーボモータMzは軸が重力の影響を受けないためにブレーキ装置は設けられていないが、ブレーキ装置が取り付けられていてもよい。
また、APC装置17にはパレット18aの位置を検知する位置監視手段26が取り付けられている。この工作機械1には、ATC装置(オートツールチェンジャ;自動工具交換装置)のためのATCサーボモータ28、ATCマガジンサーボモータ29に、工具とマガジンの位置と速度を検知するための位置・速度監視手段30、位置・速度監視手段31がそれぞれ取り付けられている。
運転停止制御手段37では停止信号を受信することで、工作機械1が、ワーク加工状態にあるか、工具交換状態にあるか、或いはワーク交換状態にあるか、或いはワーク非加工状態にあるかを判別する。特に工作機械1が非加工状態以外の状態にある場合には、判別手段38において加工状態にあるか否かを加工判別手段39で判断し、ワーク交換状態にあるか否かをワーク交換判別手段40で判断し、工具交換状態にあるか否かを工具交換判別手段41で判断する。
そして、工作機械1の加工プログラム中の停止すべき個所にMコードまたはGコードの信号を打ち込む。
また、判別手段38で工作機械1がワーク交換状態にあると判断した場合には、処理手段43においてワーク交換手段45に信号を入力し、ワーク交換手段45では新旧のワークの交換がなされて未加工のワークがパレット18aにクランプされて固定されるまで処理を継続させ、ワーク交換が終了した時点で機械軸と主軸10とクーラント装置やクーリング装置や潤滑装置等の周辺装置とを停止させる。
工具交換手段44、ワーク交換手段45、機械軸退避手段46によって機械軸や主軸10が上述した位置で停止されると、その後に地震が発生したとしてもワークや工具や工作機械が互いに接触したりして損傷することを防止できる。
加工プログラムの起動中において、工作機械1によるワークの切削加工を行い(ステップ101)、ワークの加工に沿って工作機械1におけるX軸、Y軸、Z軸、B軸等を含む機械軸の位置データと速度データを機械軸記憶手段33に連続して記憶する(ステップ102)。その際、工具によるワーク切削加工が進むにつれてタイムリーに機械軸の新たな位置データと速度データを機械軸記憶手段33に記憶し直すことで古いデータは書き換えられる。機械軸の位置と速度のデータの記録時間は例えば直前の3600秒程度あればよい。
ここで、工作機械1における主軸10の速度監視手段21、主軸10、B軸、X軸、Y軸、Z軸の位置・速度監視手段22,23,24,25から運転停止制御手段37に入力される主軸10、B軸、X軸、Y軸、Z軸の位置データや速度データに基づいて、工作機械1による稼働状態を判別手段38によって判別する。
例えば、まず判別手段38における工具交換判別手段41によって工具交換中即ちATC中か否かを判断し(ステップ106)、工具交換中と判断した場合には、工具交換手段44によって工具交換願終了するまで、即ち新しい工具が主軸10にクランプするまで工具交換作業を継続する(ステップ107)。
そして、ステップ110でワーク加工中でもない場合、工作機械1は工具交換、ワーク交換、ワーク加工中のいずれでもなく、工作機械1はいずれの作業も行っていないので、ワークと工具は互いに非接触の位置にあり、そのまま停止させてワークや工具、そして工作機械1を損傷するおそれがないので、そのまま、機械軸と主軸10を停止させ、周辺機器も停止させることができる(ステップ111)。
そして、機械軸復帰指令信号を受けて(ステップ113)、緊急地震速報受信直前における機械軸記憶手段33で記憶された主軸10と機械軸の位置と速度の記憶データと機械軸退避手段46の退避プログラムから、加工時と逆方向の加工済経路に沿って工具とワークを駆動させて加工前の非接触の位置まで逆移動させて退避させる (ステップ114)。
約30秒のタイムラグがあれば、本実施形態による工作機械1の運転停止制御装置2において、緊急地震速報を受信してから地震発生までの間に、工具交換やワーク交換の段階から工具交換やワーク交換を終了させることができる。また、工具によるワーク加工の途中段階であっても、加工を中止して工具を非加工位置まで加工済経路に沿って逆移動させてワークに対して工具が離れた非接触位置に停止させることができる。これによって、その後に地震が発生しても工具でワークや工作機械1を損傷したり振動で工具が折れたりすることを防止できる。
そのため、その後に地震が発生しても、ワークや工具、そして工作機械の損傷を防止して保護することができる。しかも、地震が発生したとしても、稼働中の工作機械1による損傷や破損等の二次災害を防止できる。
また、運転停止制御装置2によってワーク加工途中で加工を中止させた場合でも、工具を退避させた非接触状態から機械軸記憶手段33の記憶データに基づいて加工中止位置まで加工済み経路をたどって戻るため、ワークを損傷することなく容易に加工を再開できる。
例えば、上述した実施形態では、気象庁が電波で発信した緊急地震速報を地震速報受信手段35で受信して機械停止指示手段36で機械停止信号を出力するようにした。しかし、緊急地震速報の受信は気象庁から発信した電波信号に限定されるものではなく、テレビ、ラジオ、メール等各種の有線または無線の信号を地震速報受信手段35で受信するようにしてもよい。
2 運転停止制御装置
10 主軸
33 機械軸記憶手段
35 地震速報受信手段
36 機械停止指示手段
37 運転停止制御手段
38 判別手段
39 加工判別手段
40 ワーク交換判別手段
41 工具交換判別手段
43 処理手段
44 工具交換手段
45 ワーク交換手段
46 機械時退避手段
48 機械軸戻し手段
My Y軸サーボモータ
Mx X軸サーボモータ
Mz Z軸サーボモータ
Bb 主軸サーボモータ
Claims (4)
- 緊急地震速報を受信する地震速報受信手段と、
前記地震速報受信手段で緊急地震速報を受信した際に工作機械でワーク交換中か否か、工具交換中か否かを判別する判別手段と、
前記判別手段でワーク交換中であると判別された場合にワーク交換終了後に機械軸を停止させるワーク交換手段と、
前記判別手段で工具交換中であると判別された場合に工具交換終了後に機械軸を停止させる工具交換手段と、
を備えたことを特徴とする緊急地震速報による工作機械の運転停止制御装置。 - 緊急地震速報を受信する地震速報受信手段と、
工作機械によるワーク加工時に機械軸の位置と速度を記憶する機械軸記憶手段と、
前記地震速報受信手段で緊急地震速報を受信した際に、ワーク加工中か、ワーク交換中か、工具交換中かを判別する判別手段と、
前記判別手段でワーク加工中であると判別された場合に前記機械軸記憶手段で記憶された位置と速度により機械軸の加工済経路に沿って機械軸を逆移動させてワークの非加工位置まで工具を戻して停止させる機械軸退避手段と、
前記判別手段でワーク交換中であると判別された場合にワーク交換終了後に機械軸を停止させるワーク交換手段と、
前記判別手段で工具交換中であると判別された場合に工具交換終了後に機械軸を停止させる工具交換手段と、
を備えたことを特徴とする緊急地震速報による工作機械の運転停止制御装置。 - ワーク加工のための機械軸の位置と速度を記憶させる工程と、
緊急地震速報を地震速報受信手段で受信した際、工作機械がワーク交換中、工具交換中、ワーク加工中のいずれかであるかを判別する工程と、
工作機械がワーク交換中または工具交換中にあると判別された場合には、ワーク交換または工具交換を終了させた後に機械軸を停止させ、また、
工作機械がワーク加工中であると判別された場合には、ワーク加工のための機械軸を加工済経路に沿って逆移動させてワークの非加工位置まで工具を戻して停止させる工程と、
を備えたことを特徴とする緊急地震速報による工作機械の運転停止制御方法。 - 地震の終了後に、ワークの前記非加工位置まで戻した工具を前記機械軸の加工済経路に沿ってワーク加工中止位置まで戻すようにした請求項3に記載された緊急地震速報による工作機械の運転停止制御方法。
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