ところで,上記した従来の製造方法のように,前身頃外装体及び後身頃外装体の連続体に対して,搬送過程における流れ方向(使い捨ておむつの幅方向)に沿って接着剤を塗布し,その上に,個別の吸収性本体を重ね合わせて固定する場合,この個別の吸収性本体を,前身頃外装体及び後身頃外装体の連続体の上に重ね合わせる位置が,流れ方向にずれ込む恐れがある。すなわち,前身頃外装体及び後身頃外装体の連続体は,流れ方向(使い捨ておむつの幅方向)に従って移動しているため,個別の吸収性本体をその上に転写するタイミングが少しでも遅れたり早まったりした場合,個別の吸収性本体の固定位置がずれてしまうこととなる。このため,個別の吸収性本体の固定位置が多少ずれた場合であっても,前身頃外装体及び後身頃外装体の連続体に塗布した接着剤が,吸収性本体の脇からはみ出してしまわないようにするため,前身頃外装体及び後身頃外装体の連続体に塗布する接着剤は,吸収性本体の幅全体に合わせて塗布することはできず,転写時のずれを考慮して,吸収性本体の幅よりも少し狭い幅で塗布する必要がある。
しかし,上記製造方法のように,前身頃外装体及び後身頃外装体の連続体に対して,搬送過程における流れ方向(使い捨ておむつの幅方向)に沿って接着剤を塗布するときに,その上に固定される吸収性本体の幅よりも少し狭い幅で接着剤を塗布すると,吸収性本体の幅方向の両端部分に接着剤を塗布できない領域(余白部分)が存在することになるという問題があった。すなわち,吸収性本体の幅方向の両側に接着剤を塗布できない余白部分が存在すると,吸収性本体と前身頃外装体及び後身頃外装体の固定が不安定になり,使い捨ておむつの着用時に,吸収性本体にヨレが生じたり,このヨレた部分から尿漏れが発生したりするという不具合があった。
他方,上記のように,吸収性本体の幅方向の両側に接着剤を塗布できない領域が存在することに起因した不具合を解消して,吸収性本体の固定を安定なものとするために,前身頃外装体及び後身頃外装体の連続体に対して塗布する接着剤の領域を広げることも考えられる。しかしながら,接着剤の塗布領域を広げると,上述したように,前身頃外装体及び後身頃外装体に対して吸収性本体を転写した際に,吸収性本体の脇から接着剤がはみ出してしまい,はみ出した接着剤が着用者の肌に付着して不快感を与える原因になるという恐れがあった。
このように,使い捨ておむつの製造工程において,前身頃外装体及び後身頃外装体の連続体に対してのみ,その流れ方向に沿って接着剤を塗布する技術を採用すると,その接着剤の塗布領域を吸収性本体の幅よりも狭めた場合には,吸収性本体の固定が不安定となり,反対に,その接着剤の塗布領域を吸収性本体の幅と同じかそれ以上とした場合には,吸収性本体の脇から接着剤がはみ出して着用者に不快感を与える原因となっている。
このため,現在では,吸収性本体を前身頃外装体及び後身頃外装体に対し安定的に固定することができ,且つ,これらを固定する際に使用した接着剤が,吸収性本体の縁からはみ出してしまうことを防止することのできる技術が求められている。
そこで,本発明の発明者らは,上記の従来発明の問題点を解決する手段について鋭意検討した結果,吸収性本体を前身頃外装体及び後身頃外装体に固定するにあたり,前身頃外装体及び後身頃外装体の幅方向に沿って接着剤を塗布するだけでなく,吸収性本体自体にも,その長さ方向に沿って接着剤を塗布することにより,接着剤が吸収性本体の縁からはみ出すことなく,しかも,吸収性本体を前身頃外装体及び後身頃外装体に対して安定的に固定できるようになるという知見を得た。すなわち,流れ方向(おむつの幅方向)に沿って移動している前身頃外装体と後身頃外装体の上に吸収性本体を転写するときの位置ズレを考慮すると,吸収性本体の幅全体に合わせて,前身頃外装体と後身頃外装体に対し接着剤を塗布することはできないものの,この前身頃外装体と後身頃外装体に接着剤を塗布できない領域については,吸収性本体自体に接着剤を塗布するようにすることで,前身頃外装体と後身頃外装体に塗布された接着剤と,吸収性本体に塗布された接着剤とが,相互に隙間を埋め合うようになるため,これらの固定が安定になり,しかも接着剤がはみ出す恐れもなくなる。そして,本発明者らは,上記知見に基づけば,従来技術の課題を解決できることに想到し,本発明を完成させた。
具体的に説明すると,本発明は以下の構成を有する。
本発明の第1の側面は,使い捨ておむつの製造方法に関する。
本発明の製造方法により製造される使い捨ておむつは,前身頃外装体1と,後身頃外装体2と,吸収性本体3と,を有する。吸収性本体3の前身頃側は,前身頃外装体1に固定され,吸収性本体3の後身頃側は,後身頃外装体2に固定され,使い捨ておむつの長さ方向において,吸収性本体3の前身頃側と後身頃側の間に位置する股下域は,前身頃外装体1及び後身頃外装体2のいずれにも固定されない。
ここで,本発明の製造方法は,第1接着剤塗布工程と,第2接着剤塗布工程と,重ね合わせ工程と,を含む
第1接着剤塗布工程では,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の肌対向面側であって,吸収性本体3と重なる領域に,使い捨ておむつの幅方向に沿って接着剤10,20を塗布する。
また,第2接着剤塗布工程では,吸収性本体3の肌非対向面側であって,前身頃外装体1及び後身頃外装体2と重なる領域に,長さ方向に沿って接着剤30を塗布する。
そして,重ね合わせ工程では,第1接着剤塗布工程及び第2接着剤塗布工程の後,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の肌対向面側に,吸収体本体3を重ね合わせる。
上記工程のように,吸収性本体を前身頃外装体及び後身頃外装体に固定するにあたり,前身頃外装体及び後身頃外装体の幅方向に沿って接着剤を塗布するだけでなく,吸収性本体自体にも,その長さ方向に沿って接着剤を塗布することにより,接着剤が吸収性本体の縁からはみ出すことなく,しかも,吸収性本体を前身頃外装体及び後身頃外装体に対して安定的に固定できるようになる。なお,前身頃外装体及び後身頃外装体に対し,使い捨ておむつの幅方向に沿って接着剤を塗布する理由は,一般的な製造工程において,前身頃外装体及び後身頃外装体が,使い捨ておむつの幅方向に相当する方向を流れ方向として搬送されるものであり,この流れ方向に沿った方向に接着剤を塗布し易いからである。また,同様に,吸収性本体に対し,使い捨ておむつの長さ方向に沿って接着剤を塗布する理由は,一般的な製造工程において,吸収性本体が,使い捨ておむつの長さ方向に相当する方向を流れ方向として搬送されるものであり,この流れ方向に沿った方向に接着剤を塗布し易いからである。
本発明の製造方法では,第2接着塗布工程において,接着剤30は,吸収性本体3の肌非対向面側であって,前身頃外装体1及び前記後身頃外装体2と重なる領域のうち,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に塗布された接着剤10,20よりも,幅方向外側に位置する部分に,長さ方向に沿って塗布されることが好ましい。
上記工程のように,吸収性本体3自体に塗布する接着剤30を,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に塗布された接着剤10,20よりも幅方向外側に位置させることにより,前身頃外装体と後身頃外装体に接着剤を直接塗布しにくい領域にも接着剤を付着させることができる。このように,吸収性本体自体にも接着剤を塗布するようにすることで,前身頃外装体と後身頃外装体に塗布された接着剤と,吸収性本体に塗布された接着剤とが,相互に隙間を埋め合うようになるため,これらの固定が安定になる共に,接着剤がはみ出す恐れもなくなる。
本発明の製造方法により製造される使い捨ておむつは,前身頃外装体1及び後身頃外装体2が,幅方向の左右両端部分に設けられた一対のサイドシール部11,21において,互いに接合されて環状に繋がる。そして,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の両方又はいずれか一方は,股下域側に位置する端部であって,幅方向の左右両端部分にサイドシール部11,21が形成されていない自由領域Cを有するものであることが好ましい。
このような場合,本発明の製造方法は,第2接着塗布工程において,接着剤30が,吸収性本体3の肌非対向面側のうち,上記の自由領域Cと重なる領域に,長さ方向に沿って塗布されるものであることが好ましい。
上記のように,使い捨ておむつの前身頃外装体1又は後身頃外装体2に,幅方向の左右両端部分にサイドシール部11,21が形成されていない自由領域Cが存在すると,この自由領域Cはヒラヒラするようになって,めくれたり,ヨレたりしやすくなる。特に前身頃外装体1や後身頃外装体2に,ギャザーを形成するための弾性伸縮部材が固定されていると,この弾性伸縮部材が収縮した際に,自由領域Cにめくれやヨレが発生しやすい。そこで,上記工程のように,第2接着塗布工程において,接着剤30を,吸収性本体3の肌非対向面側のうち,上記自由領域Cと重なる領域に塗布することで,吸収性本体3と,前身頃外装体1又は後身頃外装体2の自由領域Cが接着されるようになり,自由領域Cのめくれ等を防止できる。
本発明の製造方法では,第2接着塗布工程において,接着剤30は,自由領域Cの長さ方向における長さの30%〜100%に亘って塗布することが好ましい。
上記工程のように,吸収性物品3に塗布する接着剤30を,前身頃外装体1又は後身頃外装体2の形成された自由領域Cの比較的広い範囲に亘って存在させることで,自由領域Cのめくれ防止効果をさらに高めることができる。
本発明の製造方法により製造される使い捨ておむつは,前身頃外装体1及び後身頃外装体2が,使い捨ておむつのウエスト開口部を形成する端縁に相当する位置に設けられた折線において,肌対向面側に向かって折り返される折返部12,22を有することが好ましい。
このような場合に,本発明の製造方法では,重ね合わせ工程において,吸収性本体3は,前身頃側の一端部分と後身頃側の一端部分とが,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の肌対向面と,折返部12,22との間に挟み込まれて固定されることが好ましい。
上記のように,吸収性本体3の長手方向両端部分を,前身頃外装体1又は後身頃外装体2の折り返し部分に挟み込んで固定することで,吸収性本体3の固定が安定なものとなる。
本発明の製造方法において,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の肌対向面は,折返部11,21が折り返されて重なる領域である重畳領域Aと,この重畳領域Aを除き幅方向の左右両端部分にサイドシール部11,21が形成されている領域である中間領域Bと,上説した自由領域Cとに,長さ方向に区分される。
ここで,重畳領域Aに塗布される接着剤10,20の幅方向における幅を,WAとする。
また,中間領域Bに塗布される接着剤10,20の幅方向における幅を,WBとする。
また,自由領域Cに塗布される接着剤10,20の幅方向における幅を,WCとする。
また,吸収性本体3の幅方向における幅を,WPとする。
このような場合において,第1接着塗布工程では,WA>WPとなり,WB<WPとなり,且つ,WC<WPとなるように,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の肌対向面側に,幅方向に沿って接着剤10,20を塗布することが好ましい。
上記のように,重畳領域Aは,折返部11,21が折り返されて重なる領域であるため,接着剤が吸収性本体3の縁からはみ出しても問題はない。却って,接着剤が吸収性本体3の縁からはみ出すように塗布することで,折返部11,21の固定が安定する。他方,中間領域Bと自由領域Cでは,吸収性本体3の縁から接着剤がはみ出すと,はみ出した接着剤が着用者の肌に触れて,着用者に不快感を与える恐れがある。このため,WA>WP,WB<WP,WC<WPの関係を満たすものであることが好ましい。
本発明の第2の側面は,使い捨ておむつに関するものである。
本発明の使い捨ておむつは,前身頃外装体1と,後身頃外装体2と,吸収性本体3と,を有し,吸収性本体3の前身頃側が,前記前身頃外装体1に固定され,吸収性本体3の後身頃側が,後身頃外装体2に固定され,使い捨ておむつの長さ方向において,吸収性本体3の前身頃側と後身頃側の間に位置する股下域は,前身頃外装体1及び後身頃外装体2のいずれにも固定されない。
また,本発明の使い捨ておむつは,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の肌対向面側であって,吸収性本体3と重なる領域に,使い捨ておむつの幅方向に沿って接着剤10,20が塗布された第1接着剤塗布部と,吸収性本体3の肌非対向面側のうち,前身頃外装体1及び後身頃外装体2と重なる領域に,長さ方向に沿って接着剤30が塗布された第2接着剤塗布部と,を有する。
本発明は,吸収性本体を前身頃外装体及び後身頃外装体に対し安定的に固定することができ,且つ,これらを固定する際に使用した接着剤が,吸収性本体の縁からはみ出してしまうことを防止できる使い捨ておむつの製造方法,及び使い捨ておむつを提供することができる。
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
なお,本願明細書において,使い捨ておむつの「長さ方向」というときは,使い捨ておむつの前身頃と後身頃を結ぶ方向(例えば図4の上下方向)を意味し,使い捨ておむつの「幅方向」というときは,上記長さ方向に平面的に直交する方向(例えば図4の左右方向)を意味する。
また,本願明細書において,使い捨ておむつの「肌対向面」というときは,装着時において着用者の肌に向かい合う面を意味し,使い捨ておむつの「肌非対向面」というときは,上記肌対向面とは反対の面,すなわち装着時において着用者の肌に向かい合わない面を意味する。
また,本願明細書において,「A〜B」というときは,「A以上B以下」であることを意味する。
まず,図1を参照して,本発明に係る使い捨ておむつの製造方法の概要について説明する。図1は,使い捨ておむつの製造方法における一部の工程を概念的に示した平面図である。本発明に係る製造方法によれば,基本的に,着用者の腹部に接する前身頃外装体と,着用者の背部に接する後身頃外装体とが股下域を隔てて分離し,液吸収性能を持つ吸収性本体が,前身頃外装体と後身頃外装体の間に架かるように固定された使い捨ておむつを製造することができる。図1では,前身頃外装体及び後身頃外装体の製造ラインと,吸収性本体の製造ラインとが別々に設けられ,吸収性本体の製造ラインにおいて製造された吸収性本体が,前身頃外装体及び後身頃外装体の製造ラインに合流される例が示されている。
図1に示されるように,まず,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´とが,公知の方法により製造される(ステップA1)。ここで,図1に示されるように,前身頃外装体の連続体1´は,個々の前身頃外装体が,個別の使い捨ておむつになったときの幅方向に連続したものである。同様に,後身頃外装体の連続体2´は,個々の後身頃外装体が,個別の使い捨ておむつになったときの幅方向に連続したものである。例えば,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´は,使い捨ておむつの最も外側の層を構成するアウターシートと,このアウターシートの内側に配置されるインナーシートとの間に,複数の弾性伸縮部材を伸長状態で固定することにより製造可能である。また,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´は,もともと一体的に形成されていたものあってもよい。この場合,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´が一体となったシート部材は,脚部周りに相当する部分で開口をくり抜くと共に,股下域に相当する部分で切断することで,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´のそれぞれに分離される。なお,図1に示された例では,既に,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´が,股下域を隔てて分離されているが,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´を分離する工程は,後述する接着剤の塗布工程(ステップA2)の後に行われるものであってもよい。
図1に示されるように,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´は,その長尺方向(個別の使い捨ておむつになったときの幅方向)を流れ方向として,公知の搬送装置によって搬送される。図1において,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´の流れ方向は,矢印によって示されている。
続いて,図1に示されるように,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´に対し,接着剤10,20が塗布される(ステップA2:第1接着剤塗布工程)。接着剤10,20としては,例えば,ホットメルト接着剤や,その他流動性のある接着剤を用いればよい。また,接着剤10,20は,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´の肌対向面に塗布される。また,図1に示されるように,接着剤10,20は,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´の流れ方向(個別の使い捨ておむつになったときの幅方向)に沿って延びるように塗布される。一般的な使い捨ておむつの製造装置では,接着剤10,20を吐出する接着剤塗布装置の設置位置は固定されている。このため,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´が流れ方向に沿って進行することにより,設置位置が固定された接着剤塗布装置が吐出した接着剤10,20が,流れ方向沿って延びるよう塗布される。前身頃外装体と後身頃外装体に接着剤10,20を塗布する領域や範囲の詳細については,後述する。
他方,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´の製造ラインとは別の製造ラインにおいて,吸収性本体3が製造される。吸収性本体3の製造ラインでは,まず,公知の方法に従って,吸収性本体の連続体3´を製造する(ステップB1)。図1に示されるように,吸収性本体3´の連続体は,個々の吸収性本体3が,個別の使い捨ておむつになったときの長さ方向に連続した状態のものである。吸収性本体3の構成部材としては,公知のものを採用できる。例えば,吸収性本体3は,少なくとも,液透過性のトップシートと,液不透過性のバックシートの間に,液体を吸収し保持することが可能な吸収体を介在させればよい。また,吸収性本体3は,その幅方向の左右両側に立体ギャザーを備えるものであってもよい
図1に示されるように,吸収性本体3の連続体3´は,その長尺方向(個別の使い捨ておむつになったときの長さ方向)を流れ方向として,公知の搬送装置によって搬送される。図1において,吸収性本体の連続体3´の流れ方向は,矢印によって示されている。
続いて,図1に示されるように,吸収性本体の連続体3´に対し,接着剤30が塗布される(ステップB2:第2接着剤塗布工程)。接着剤30としては,上述したものと同様に,例えば,ホットメルト接着剤や,その他流動性のある接着剤を用いればよい。また,接着剤30は,吸収性本体の連続体3´の肌非対向面に塗布される。これは,後の工程において,吸収性本体の連続体3´の肌非対向面を,前身頃外装体の連続体1´及び後身頃外装体の連続体2´の肌対向面の上に重ね合わせて,両者を固定するためである。また,図1に示されるように,接着剤30は,吸収性本体の連続体3´の流れ方向(個別の使い捨ておむつになったときの長さ方向)に沿って延びるように塗布される。上述した通り,一般的な使い捨ておむつの製造装置では,接着剤30を吐出する接着剤塗布装置の設置位置は固定されている。このため,吸収性本体の連続体3´が流れ方向に沿って進行することにより,設置位置が固定された接着剤塗布装置が吐出した接着剤30が,流れ方向沿って延びるよう塗布される。吸収性本体に接着剤30を塗布する領域や範囲の詳細については,後述する。
その後,図1に示されるように,接着剤30が塗布された吸収性本体の連続体3´を切断し,個別の吸収性本体3に分離する(ステップB3)。吸収性本体の連続体3´を切断する方向は,その流れ方向に直交する方向である。切断装置としては,公知のものを用いればよい。
その後,個別の吸収性本体3の向きを約90度回転させる工程を行う(ステップB4)。これは,上述した前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´の流れ方向と,個別の吸収性本体3の流れ方向を揃えるためである。すなわち,吸収性本体3は,個別の使い捨ておむつになったときの長さ方向を流れ方向として搬送されるものであったが,ステップB4において向きを変えることで,個別の使い捨ておむつになったときの幅方向が流れ方向となる。これにより,個別の吸収性本体3の流れ方向が,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´の流れ方向に一致する。
その後,図1に示されるように,個別の吸収性本体3は,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´の製造ラインに合流される。すなわち,ステップA2(第1接着剤塗布工程)で前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´に塗布した接着剤10,20,及びステップB2(第2接着剤塗布工程)で吸収性本体3に塗布した接着剤30を利用して,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´の肌対向面の上に,個別の吸収性本体3を重ね合わせて固定する(ステップA3:重ね合わせ工程)。このステップA3(重ね合わせ工程)では,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´に塗布した接着剤10,20と,吸収性本体3に塗布した接着剤30が,それぞれ適所に位置するように,吸収性本体3を転写するタイミングが調整されている。この吸収性本体を前身頃外装体及び後身頃外装体に固定する位置の詳細については,後述する。
その後,図1に示されるように,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´の長手方向端部に設けられた余剰部分が,使い捨ておむつのウエスト開口部を形成する端縁に相当する位置に設けられた折線12a,22aにおいて,肌対向面側に向かって折り返される(ステップA4)。このように,ステップA4において,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´の長手方向端部が折線12a,22aで折り返されることで,折返部12,22が形成される。前身頃外装体に設けられた折返部12と,後身頃外装体に設けられた折返部22には,接着剤が塗布されており,吸収性本体3の長手方向両端部分の肌対向面に固定される。これにより,吸収性本体3は,前身頃側の一端部分と後身頃側の一端部分とが,前身頃外装体及び後身頃外装体の肌対向面と,折返部12,22との間に挟み込まれて固定される。
その後,図1に示されるように,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´が互いに重ね合わされる(ステップA5)。例えば,図1に示されるように,後身頃外装体の連続体2´を持ち上げて,股下域の中央付近で折り返し,前身頃外装体の連続体1´の上に重ね合わせるようにすればよい。
その後,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´を重ね合わせた状態で,個別の使い捨ておむつになったときの幅方向の左右両端部に相当する位置に,一対のサイドシール部11,21を形成する(ステップA6)。サイドシール部11,21は,前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´の一部を接合するためのものであり,サイドシール部11,21は,個別の使い捨ておむつになったときの長さ方向に延びて形成される。サイドシール部11,21を形成する手段としては,公知の接合方法を用いることができる。例えば,ヒートシール接合や,超音波シール接合によって,サイドシール部11,21を形成すればよい。
その後,重なった状態の前身頃外装体の連続体1´と後身頃外装体の連続体2´を流れ方向と直交する方向に切断する(ステップA7)。このときの切断位置は,隣接するサイドシール部11,21の間の位置である。これにより,個別の前身頃外装体1と,個別の後身頃外装体2と,個別の吸収性本体3を有する使い捨ておむつ100が得られる。本発明に係る使い捨ておむつの製造方法では,基本的に,上記のような工程により,使い捨ておむつ100を製造する。
次に,図2〜図4を参照し,第1接着剤塗布工程(ステップA2)及び第2接着剤塗布工程(ステップB2)で,前身頃外装体1,後身頃外装体2,及び吸収性本体3のそれぞれに接着剤10,20,30と塗布する領域や範囲について詳しく説明する。
図2は,前身頃外装体1,後身頃外装体2,及び吸収性本体3の展開状態を示した概略平面図である。また,図2では,前身頃外装体1の折返部12と後身頃外装体2の折返部22が折り返される前の状態のものを示している。図2において,その上下方向が,使い捨ておむつの長さ方向に相当し,その左右方向が,使い捨ておむつの幅方向に相当する。
図2に示されるように,前身頃外装体1と後身頃外装体2は,それぞれ,重畳領域A,中間領域B,及び自由領域Cを,長さ方向に有している。重畳領域Aは,折返部12,22が,使い捨ておむつのウエスト開口部を形成する端縁に相当する位置に設けられた折線12a,22aに相当する位置で肌対向面側に向かって折り返されて,前身頃外装体1と後身頃外装体2の本体部分に重なる領域である。また,中間領域Bは,上記の重畳領域Aを除き,幅方向の左右両端部分にサイドシール部11,21が形成されている領域である。中間領域Bは,重畳領域Aと自由領域Cの中間に位置している。また,自由領域Cは,股下域側に位置する端部であって,幅方向の左右両端部分にサイドシール部11,21が形成されていない領域である。なお,図2に示した一点鎖線は,重畳領域A,中間領域B,及び自由領域Cを概念的に区分するために描画したものである。
図2に示されるように,重畳領域A及び中間領域Bは,おむつ幅方向の左右両端部分にサイドシール部11,21を有し,サイドシール部11,21が設けられた長さ範囲で画定される。また,中間領域Bよりも股下域3aの方向に向かって延出した領域が,自由領域Cとなる。自由領域Cは,重畳領域A及び中間領域Bよりも幅方向における幅が狭くなっており,また自由領域Cの幅は股下域3aの方向に向かうにつれて漸次狭くなる。より具体的に説明すると,図2の展開図に示されるように,前身頃外装体1及び後身頃外装体2は,腰周り端となり折線12a,22aに相当する辺である長辺と,一対のサイドシール部11,21が形成された一対の左右両側辺と,長辺と略平行に形成された辺である短辺と,一対の左右両側辺と短辺を結ぶ一対の斜辺を有する形状となっている。
また,図2に示されるように,後身頃外装体2の自由領域Cは,前身頃外装体1の自由領域Cよりも,股下域3aの方向に長く延出していることが好ましい。例えば,後身頃外装体2の自由領域Cの長さ方向における長さは,前身頃外装体1の自由領域Cの長さを100%とした場合に,120%〜250%,又は150%〜200%であることが好ましい。このため,後身頃外装体2の自由領域Cの面積が,前身頃外装体1の自由領域Cの面積よりも,大きくなっている。このような形状とすることで,後身頃外装体2の自由領域Cによって,着用者の臀部を適切に覆うことができる。他方,前身頃外装体1については,一対の斜辺の傾斜が後身頃外装体2における一対の斜辺の傾斜よりも緩やかになるため,前身頃外装体1と後身頃外装体2を接合した場合であっても,脚部周り開口部は,前身頃外装体1側の方が比較的広く開けることとなり,着用者が両脚部を動かし易くなる。
また,図2において,前身頃外装体1と後身頃外装体2に吸収性本体3が重なる領域が,符号Rによって示されている。そして,前身頃外装体1と後身頃外装体2の肌当接面には,この吸収性本体3が重なる領域R内に,又は吸収性本体3が重なる領域Rを含む部分に,接着剤10,20が塗布される。例えば,接着剤10,20は,図2に示されるように,使い捨ておむつの幅方向に延びる複数の線状に配置して塗布されることが好ましい。接着剤10,20により形成されたそれぞれの線幅(使い捨ておむつの長手方向の幅)は,適宜調節可能である。
具体的に説明すると,図2に示されるように,まず,重畳領域Aにおいては,吸収性本体3が重なる領域Rを含む部分に,接着剤10,20が塗布されている。本実施形態において,重畳領域Aに塗布された接着剤10,20の幅方向における幅WAは,吸収性本体3の幅方向における幅WPよりも広くなっている(WA>WP)。例えば,接着剤の幅WAは,吸収性本体の幅WPを100%とした場合に,105%以上であることが好ましい。なお,接着剤の幅WAの上限は,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の幅である。特に,接着剤の幅WAは,吸収性本体の幅WPに対し,105%〜200%,105%〜150%,又は105%〜120%程度であることが好ましい。このようにすることで,吸収性本体3の長手方向両端部分を,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に対し,強固に固定することができる。また,重畳領域Aは,折返部12,22が重なって覆われる部分であるため,吸収性本体3の幅よりも広い幅で接着剤10,20塗布しても,吸収性本体3の脇からはみ出した接着剤10,20が着用者の肌に直接触れることもない。
また,吸収性本体3の固定を安定させるために,重畳領域Aにおいて吸収性本体3が重なる領域Rの長手方向端縁近傍まで,接着剤10,20を塗布することが好ましい。例えば,重畳領域Aにおける領域Rの長手方向端縁と接着剤10,20の離間距離は,5mm以内であることが好ましく,特に,この離間距離は,0〜5mm,又は0.5〜3mm以内であることが好ましい。また,図2に示されるように,重畳領域Aにおける領域Rの長手方向端縁に近い位置に塗布される接着剤10,20の線幅は,他の接着剤の線幅と比較して,幅広にすることもできる。
また,重畳領域Aに塗布する接着剤10,20の全体面積は,重畳領域Aにおいて吸収性本体3が重なる領域Rの面積に対し,90%以上であることが好ましく,90%〜200%,100%〜190%,又は110%〜180%であることが特に好ましい。このように,重畳領域Aにおいて吸収性本体3が重なる領域Rの略全面積に対し接着剤10,20を塗布することで,吸収性本体3の固定が安定になる。
次に,中間領域Bにおいては,吸収性本体3が重なる領域Rの範囲内で,接着剤10,20が塗布されている。すなわち,本実施形態において,重畳領域Bに塗布された接着剤10,20の幅方向における幅WBは,吸収性本体3の幅方向における幅WPよりも狭くなっている(WB<WP)。例えば,接着剤の幅WBは,吸収性本体の幅WPを100%とした場合に,95%以下であることが好ましい。特に,接着剤の幅WBは,吸収性本体の幅WPに対し,20%〜95%,40%〜90%,又は60%〜80%程度であることが好ましい。このようにすることで,吸収性本体3を前身頃外装体1及び後身頃外装体2の上に固定したときに,中間領域Bにおいて,接着剤10,20が吸収性本体3の脇からはみ出すことを防止できる。中間領域Bは,接着剤10,20がはみ出すと,はみ出した接着剤10,20が着用者の肌に直接触れる恐れがあるため,吸収性本体3が重なる領域Rの幅よりも狭い幅で,接着剤10,20を塗布することが好ましい。
また,重畳領域Bに塗布する接着剤10,20の全体面積は,重畳領域Bにおいて吸収性本体3が重なる領域Rの面積に対し,95%以下であることが好ましく,20%〜95%,40%〜90%,又は60%〜80%であることが特に好ましい。図2に示されるように,重畳領域Bにおいて吸収性本体3が重なる領域Rの全面積に接着剤10,20を塗布せずに,重畳領域Bにおける領域Rの幅方向両端部分に,接着剤10,20を塗布しない余白部分を設けることで,吸収性本体3の脇から接着剤がはみ出すことを防止できる。例えば,重畳領域Bにおける領域Rの幅方向両端部分に設けられた余白部分の幅方向の長さは,それぞれ,1mm〜15mm,5mm〜10mm程度であることが好ましい。
また,自由領域Cにおいても,吸収性本体3が重なる領域Rの範囲内で,接着剤10,20が塗布されている。すなわち,本実施形態において,自由領域Cに塗布された接着剤10,20の幅方向における幅WCは,吸収性本体3の幅方向における幅WPよりも狭くなっている(WC<WP)。例えば,接着剤の幅WCは,吸収性本体の幅WPを100%とした場合に,95%以下であることが好ましい。特に,接着剤の幅WCは,吸収性本体の幅WPに対し,20%〜95%,40%〜90%,又は60%〜80%程度であることが好ましい。このようにすることで,吸収性本体3を前身頃外装体1及び後身頃外装体2の上に固定したときに,自由領域Cにおいて,接着剤10,20が吸収性本体3の脇からはみ出すことを防止できる。自由領域Cは,接着剤10,20がはみ出すと,はみ出した接着剤10,20が着用者の肌に直接触れる恐れがあるため,吸収性本体3が重なる領域Rの幅よりも狭い幅で,接着剤10,20を塗布することが好ましい。なお,自由領域Cに塗布される接着剤10,20の幅WCは,中間領域Bに塗布される接着剤10,20の幅WBと同じ幅としてもよい。
また,自由領域Cに塗布する接着剤10,20の全体面積は,自由領域Cにおいて吸収性本体3が重なる領域Rの面積に対し,95%以下であることが好ましく,20%〜95%,40%〜90%,又は60%〜80%であることが特に好ましい。図2に示されるように,自由領域Cにおいて吸収性本体3が重なる領域Rの全面積に接着剤10,20を塗布せずに,自由領域Cにおける領域Rの幅方向両端部分に,接着剤10,20を塗布しない余白部分を設けることで,吸収性本体3の脇から接着剤がはみ出すことを防止できる。例えば,自由領域Cにおける領域Rの幅方向両端部分に設けられた余白部分の幅方向の長さは,それぞれ,1mm〜15mm,5mm〜10mm程度であることが好ましい。
また,図2に示されるように,吸収性本体3の固定を安定させるために,自由領域Cにおいて吸収性本体3が重なる領域Rの股下域3a側の長手方向端縁近傍まで,接着剤10,20を塗布することが好ましい。例えば,自由領域Cにおける領域Rの股下域3a側の長手方向端縁と接着剤10,20の離間距離は,5mm以内であることが好ましく,特に,この離間距離は,0〜5mm,又は0.5〜3mm以内であることが好ましい。また,図2に示されるように,自由領域Cにおける領域Rの長手方向端縁に近い位置に塗布される接着剤10,20の線幅は,他の接着剤の線幅と比較して,幅広にすることもできる。
なお,本実施形態において,吸収性本体3は略矩形状となっており,その幅方向における幅WPは,略一定である。ただし,吸収性本体3の形状は矩形状のものに限定されず,例えば,瓢箪型や砂時計型となっていてもよい。このように,吸収性本体3の幅が一定ではない場合,吸収性本体3の幅方向における幅WPは,例えば,前身頃外装体1等の重畳領域Aに塗布された接着剤の幅WAと比較する場合には,この重畳領域Aに重なる部分における吸収性本体3の幅の値を意味する。同様に,吸収性本体3の幅方向における幅WPは,前身頃外装体1等の中間領域Bや自由領域Cに塗布された接着剤の幅WBや幅WCと比較する場合には,この中間領域Bや自由領域Cに重なる部分における吸収性本体3の幅の値を意味するものとなる。
他方,図2には,吸収性本体3の肌非対向面に接着剤30を塗布する位置が示されている。図2に示されるように,吸収性本体3の肌非対向面には,前身頃外装体1と重なる部分と,後身頃外装体2と重なる部分のそれぞれに,接着剤30が塗布される。また,吸収性本体3に塗布される接着剤30は,使い捨ておむつの長手方向に沿って延びるように塗布されている。
具体的に説明すると,本実施形態において,接着剤30は,吸収性本体3を前身頃外装体1と後身頃外装体2の上に重ねた際に,前身頃外装体1の自由領域Cと,後身頃外装体2の自由領域Cに重なり合う吸収性本体3の部分に,塗布される。さらに詳しく説明すると,吸収性本体3に塗布される接着剤30は,吸収性本体3を前身頃外装体1と後身頃外装体2の上に重ねた際に,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の自由領域Cに塗布された接着剤10,20よりも,幅方向外側に位置するようになっている。すなわち,上述したように,前身頃外装体1と後身頃外装体2の自由領域Cには,吸収性本体3の脇から接着剤がはみ出すことを防止するために,吸収性本体3が重なる領域Rの全面積に接着剤10,20を塗布せずに,自由領域Cにおける領域Rの幅方向両端部分に,接着剤10,20を塗布しない余白部分が設けられている。このため,吸収性本体3には,前身頃外装体1と後身頃外装体2の自由領域Cにおける領域Rに形成された余白部分に対応する位置に,接着剤30が塗布される。
本実施形態のように,使い捨ておむつの前身頃外装体1と後身頃外装体2に自由領域Cが存在すると,この自由領域Cがめくれたりヨレたりしやすくなる。特に前身頃外装体1や後身頃外装体2に,ギャザーを形成するための弾性伸縮部材が固定されていると,この弾性伸縮部材が収縮した際に,自由領域Cにめくれやヨレが発生しやすい。そこで,吸収性本体3に接着剤30を塗布するにあたり,吸収性本体3の肌非対向面側のうち,上記前身頃外装体1と後身頃外装体2の自由領域Cと重なる領域に接着剤30を塗布することで,吸収性本体3と,前身頃外装体1又は後身頃外装体2の自由領域Cが接着されるようになり,自由領域Cのめくれ等を防止できる。
また,図2において,吸収性本体3に接着剤30を塗布する長さ方向の長さが,それぞれ,符号LPで示されている。また,前身頃外装体1と後身頃外装体2の自由領域Cの長さ方向の長さが,符号LCで示されている。ここで,吸収性本体3に塗布される接着剤30の長さLPは,自由領域Cの長さLCを100%とした場合に,少なくとも30%以上であることが好ましい。接着剤30の長さLPが,自由領域Cの長さLCの30%以上であることにより,吸収性本体3を幅方向の両端部に至るまで,前身頃外装体1と後身頃外装体2にしっかりと固定できる。例えば,接着剤30の長さLPは,自由領域Cの長さLCに対し,30%〜100%,40%〜90%,又は50%〜80%程度であることが好ましい。
上記のようにして前身頃外装体1,後身頃外装体2,及び吸収性本体3のそれぞれに,接着剤10,20,30を塗布した後,吸収性本体3の前身頃側の端部を前身頃外装体1の上に重ね合わせると共に,吸収性本体3の後身頃側の端部を後身頃外装体2の上に重ね合わせる工程を行う(重ね合わせ工程)。図3は,吸収性本体3を,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の肌当接面側に重ね合わせるときの状態を,概念的に示した斜視図である。図3に示されるように,吸収性本体3は,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の上に架橋するようにして固定される。また,吸収性本体3が前身頃外装体1及び後身頃外装体2の上に固定された後,前身頃外装体1の折返部12と後身頃外装体2の折返部22を,折線12a,22aにおいて肌対向面側に向かって折り返し,これらの折返部12,22によって,吸収性本体3の長手方向両端部分の肌対向面側を被覆する。
図4は,吸収性本体3が前身頃外装体1及び後身頃外装体2に固定されることにより完成した使い捨ておむつ100を示している。図4(a)は,使い捨ておむつ100の展開図であり,図4(b)はY−Yの線分において使い捨ておむつ100を切断した状態を示す断面図である。
図4(a)に示されるように,吸収性本体3は,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に塗布された接着剤10,20と,吸収性本体3自身に塗布された接着剤30によって,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に固定されている。また,図4(a)に示されるように,吸収性本体3に塗布された接着剤30と,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に塗布された接着剤10,20とは,重畳しないものであることが好ましい。すなわち,吸収性本体3に塗布する接着剤30と,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に塗布する接着剤10,20とが,両者を重ね合わせた際に重畳するものであると,その重畳部分において,接着剤の塗布量が増加してムラが発生したり,接着剤が外部にはみ出す原因となる。このため,吸収性本体3に塗布される接着剤30は,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に吸収性本体3を重ね合わせた際に,前身頃外装体1及び後身頃外装体2に塗布された接着剤10,20と重畳しない位置に,塗布されるものであることが好ましい。
また,図4(b)の断面図に示されるように,前身頃外装体1と後身頃外装体2のそれぞれは,使い捨ておむつの最も外側の層を構成するアウターシート13,23と,このアウターシート13,23の内側に配置されるインナーシート14,24と,これらのシートの間に伸長状態で固定される複数の弾性伸縮部材15,25を備えるものであることが好ましい。
次に,図5及び図6を参照して,上記した実施形態とは異なる実施形態の製造方法により得られた使い捨ておむつについて説明する。
図5は,図4と同様に,吸収性本体3が前身頃外装体1及び後身頃外装体2に固定されることにより完成した使い捨ておむつ100を示している。図5に示した実施形態では,図4に示した実施形態とは異なり,吸収性本体3に塗布される接着剤30が,吸収性本体3を前身頃外装体1と後身頃外装体2の上に重ねた際に,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の中間領域Bから自由領域Cに重なり合う部分に亘って塗布されている。すなわち,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の中間領域Bの長手方向の長さをLBとし,自由領域Cの長手方向の長さをLCとした場合に,吸収性本体3に塗布された接着剤30の長手方向の長さLPは,LC<LP<(LC+LB)となる。例えば,吸収性本体3に塗布された接着剤30の長さLPは,自由領域Cの長さLCを100%とした場合に,105%〜300%,又は150%〜200%となることが好ましい。また,吸収性本体3に塗布された接着剤30の長さLPは,自由領域Cの長さLCと中間領域Bの長さLBの合計値を100%とした場合に,40%〜95%,又は60%〜80%となることが好ましい。なお,図5に示された実施形態では,吸収性本体30に塗布される接着剤30は,吸収性本体3を前身頃外装体1と後身頃外装体2の上に重ねた際に,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の中間領域Bと自由領域Cに塗布された接着剤10,20よりも,幅方向外側に位置するようになっている。
図6も,図4と同様に,吸収性本体3が前身頃外装体1及び後身頃外装体2に固定されることにより完成した使い捨ておむつ100を示している。図6に示した実施形態では,図4に示した実施形態とは異なり,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の重畳領域Aに塗布された接着剤の幅WAと,中間領域Bに塗布された接着剤の幅WBと,自由領域Cに塗布された接着剤の幅WCが,WA>WB>WCの関係を満たすように調整されている。すなわち,図6の実施形態では,重畳領域Aに塗布された接着剤の幅WAと,自由領域Cに塗布された接着剤の幅WCについては,図4の実施形態のものと同様となっている。他方,図6の実施形態では,中間領域Bに塗布された接着剤の幅WBが,図4の実施形態のものよりも幅広になっている。特に,図6に示された実施形態において,中間領域Bに塗布された接着剤の幅WBは,自由領域Cに塗布された接着剤の幅WCよりも幅広であり,且つ,吸収性本体3の幅方向における幅WPよりも幅狭となる(WC<WB<WP)。例えば,中間領域Bに塗布された接着剤の幅WBは,吸収性本体の幅WPを100%とした場合に,80〜99%,又は85%〜95%程度であることが好ましい。また,例えば,中間領域Bに塗布された接着剤の幅WBは,自由領域Cに塗布された接着剤の幅WCを100%とした場合に,105%〜150%,又は110%〜140%であることが好ましい。
以上,本願明細書では,本発明の内容を表現するために,図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態を説明した。ただし,本発明は,上記実施形態に限定されるものではなく,本願明細書に記載された事項に基づいて当業者が自明な変更形態や改良形態を包含するものである。
例えば,他の実施形態において,吸収性本体3に塗布される接着剤30は,吸収性本体3を前身頃外装体1と後身頃外装体2の上に重ねた際に,前身頃外装体1の中間領域Bと,後身頃外装体2の中間領域Bに重なり合う吸収性本体3の部分のみに,塗布されるものであってもよい。より詳しく説明すると,吸収性本体30に塗布される接着剤30は,吸収性本体3を前身頃外装体1と後身頃外装体2の上に重ねた際に,前身頃外装体1及び後身頃外装体2の中間領域Bに塗布された接着剤10,20よりも,幅方向外側に位置するようにすることとしてもよい。