JP6024378B2 - 触媒、触媒の製造方法、およびエポキシド類の製造方法 - Google Patents
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Description
また、自動車用のシートや断熱材や防音材などに用いられるポリウレタン製品の原料であるポリエーテルポリオールは、プロピレンオキシドやエチレンオキシド等のエポキシド類から合成され、エポキシド類も再生可能なカーボンニュートラル原料とすることが求められている。
例えば特許文献1の実施例には、アルカリ金属ケイ酸塩を425℃以上の温度で、空気中で加熱した触媒を用いて、398℃以上の高温でプロピレングリコールを窒素ガスと同伴させて反応させてプロピレンオキシドを合成する方法が記載されている。またケイ酸カリウムの溶液をα−アルミナに含浸させた後425℃で加熱して担持体からなる触媒を製造した例、ケイ酸カリウムの溶液をケイ酸ジルコニアに加えた後450℃で加熱して担持体からなる触媒を製造した例も記載されている。
特許文献2は、シリカなどからなる担体(シリカ・ゼオライト・アルミナなど)にアルカリ金属塩を加熱担持させた触媒を用いて、プロピレングリコールからプロピレンオキシドを合成する方法が記載されている。触媒を製造する際の加熱温度は500〜600℃であり、反応温度は375〜500℃に限定されている。
本発明は、グリコール類からエポキシド類を製造する反応に用いられる触媒として、触媒を製造する際に高温での加熱を必要とせず、従来より低い反応温度で触媒活性を発揮する新規な触媒を提供することを目的とする。
[1]グリコール類からエポキシド類を生成する反応に用いられる触媒であって、
下記組成式(1’)で表わされる複合塩を含むことを特徴とする触媒。
aK 2O・bCaO・SiO2…(1’)
[式中、0.15≦a≦1.9、0.1≦b≦1.5、a+b≦2である。]
前記触媒が、下記組成式(1’)で表わされる複合塩が担体に担持された担持体からなり、該担体がケイ素を含まないことを特徴とする触媒。
aK 2O・bCaO・SiO2…(1’)
[式中、0.15≦a≦1.9、0.1≦b≦1.5、a+b≦2である。]
前記触媒が、ケイ素を含む担体に、ケイ素とカリウムとカルシウムと酸素とを含有する複合塩が担持された担持体からなり、
前記カリウムと前記カルシウムの含有比率を酸化物で示したK 2O/CaOの組成比が、0.1以上、19.0以下であることを特徴とする触媒。
[6]前記複合塩を含有する水分散液を得る工程の後、前記乾燥工程の前に、炭酸カリウムの水溶液または炭酸水素カリウムの水溶液を滴下する工程を有することを特徴とする[4]または[5]に記載の触媒の製造方法。
[12]グリコール類からエポキシド類を製造する方法であって、反応器内に[1]〜[3]のいずれかに記載の触媒を存在させ、該触媒と接触するように、グリコール類を同伴ガスとともに流す反応工程を有し、前記同伴ガスが不活性ガス、炭酸ガス、またはこれらの混合ガスであり、前記同伴ガスを前記グリコール類1モルに対して0.1モル以上流し、反応工程における反応温度が、該反応器内のガス流中における前記グリコール類の曇点以上、かつ350℃以下であることを特徴とするエポキシド類の製造方法。
本発明の触媒におけるA2OとMOとSiO2の含有比率は、該触媒の製造に用いた各原料の仕込み量から算出される含有比率と同じとみなすことができる。
本発明の触媒は、グリコール類から、プロピレンオキシド(以下、POと記すこともある。)、エチレンオキシド(以下、EOと記すこともある。)、スチレンオキシドに代表されるエポキシド類を、1段階反応にて生成させる反応に用いられる触媒である。
該触媒は、ケイ素と金属元素と酸素とを必須成分とする複合塩(I)を含む触媒、
ケイ素と金属元素と酸素とを必須成分とする複合塩がケイ素を含まない担体に担持された担持体(II)からなる触媒、または
ケイ素と金属元素と酸素とを必須成分とする複合塩がケイ素を含む担体に担持された担持体(III)からなる触媒、のいずれかである。
本発明において、複合塩(I)中の金属元素は、アルカリ金属元素(A)の1種以上と、2価の陽イオンとなる金属元素(M)(以下、単に金属元素(M)とも言う)の1種以上からなる。
アルカリ金属元素(A)は、触媒の活性点として作用する。アルカリ金属元素(A)はリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムであり、入手のしやすさ、およびプロピオンオキシドの高選択率が得られやすい点でナトリウム、カリウム、セシウムが好ましく、カリウム、セシウムがより好ましい。
金属元素(M)は、例えばアルカリ土類金属(カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム)のほかベリリウム、マグネシウム、スズ、亜鉛、鉄などの2価の陽イオンとなり得る金属類を用いることができる。金属元素(M)を含有させることにより複合塩を難水溶化する効果が良好に得られやすい点で、アルカリ土類金属、マグネシウム、スズ、亜鉛、鉄が好ましい。その中でも触媒合成の利便性や触媒活性持続の点でカルシウム、バリウム、マグネシウム、スズ、亜鉛がより好ましい。
aA2O・bMO・SiO2…(1)
式(1)において、Aはアルカリ金属元素(A)の1種以上を表し、Mは金属元素(M)の1種以上を表す。
本発明において、組成式(1)は、複合塩(I)の必須成分であるケイ素、アルカリ金属元素(A)、および金属元素(M)の含有比率を、酸化物表記で示したものである。
複合塩(I)は、式(1)に含まれる元素以外に、複合塩(I)の製造に用いた原料に由来する元素を含有してよい。
該触媒(担持体を含まない)中における、「aA2O・bMO・SiO2」の含有量は、25質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、100質量%でもよい。
aが0.15以上であると十分な触媒活性が得られやすい。bが0.1以上かつaが1.9以下であると、金属元素(M)を含有させることによる触媒活性の持続効果が充分に得られやすい。bが1.5以下であると、活性点となるアルカリ金属元素(A)の良好な含有量を確保できる。
複合塩(I)が、ケイ素、アルカリ金属元素(A)、および金属元素(M)以外の元素を含む場合、a+bが2より大きくなり得るが、a+bが2以下であると良好な反応率が得られやすい。
a、bの好ましい範囲は、0.2≦a≦1.7、0.2≦b≦1.0、かつa+b≦2であり、より好ましい範囲は、0.3≦a≦1.5、0.3≦b≦0.8、かつa+b≦2である。
担持体(II)は、ケイ素と金属元素と酸素とを必須成分とする複合塩が担体に担持されたものであり、該担体はケイ素を含まない。かかる担体は公知の触媒担体から適宜選択して用いることができる。具体例としては岩塩などのケイ素を含有しない粘土鉱物類を乾燥したもの、アルミナ、ジルコニア、活性炭等が挙げられる。
担持体(II)における複合塩は、好ましい態様も含めて前記複合塩(I)と同じである。
担持体(II)における担体の含有量は、複合塩1質量部に対して0.5〜100質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。
担持体(II)からなる触媒において、担体に担持されている成分に、組成式(1)で表わされる複合塩(I)の他に、複合塩(I)の製造に用いた原料に由来する副生成物が含まれていてもよい。
担持体(III)は、ケイ素と金属元素と酸素とを必須成分とする複合塩が担体に担持されたものであり、該担体はケイ素を含む。ケイ素を含む担体の具体例としては珪藻土などのケイ酸含有粘土鉱物類を粉砕乾燥したもの、シリカ、シリカゲル、モレキュラーシーブス、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。
担持体(III)において、ケイ素と金属元素と酸素とを必須成分とする複合塩を構成しているケイ素には、複合塩の製造に用いた原料に由来するケイ素の他に、担体中のケイ素も含まれる。複合塩と担体とが接すると、担体中のケイ素が該複合塩に作用すると考えられる。
なお、担体中に2価の陽イオンとなる金属元素が存在しても、該金属元素は複合塩に作用しないので、複合塩を構成する金属元素(M)には含めない。また、担体中にアルカリ金属元素が微量(例えばシリカゲルなどには金属ナトリウムなどが1質量%以下)含まれている場合があるが、複合塩を構成するアルカリ金属元素(A)には含めない。
担持体(III)において、担体中のケイ素は金属元素に対して十分に多く存在する。したがって担持体(III)における複合塩は、アルカリ金属元素(A)と金属元素(M)の含有比率が、酸化物表記で、MOに対するA2Oの組成比(A2O/MOのモル比)が0.1以上、19.0以下を満たせばよい。このモル比の範囲は、複合塩(I)におけるa/bの範囲と同じである。
[第1の実施形態:複合塩(I)の製造方法]
複合塩(I)は、ケイ素源およびアルカリ金属元素(A)源としてアルカリ金属ケイ酸塩を用い、金属元素(M)源としてM(OH)2もしくはMX2/nで示される二価金属塩を用い、これらを水性媒体中で反応させて難水溶性の複合塩を生成する方法で製造することができる。上記Xは、ハロゲン原子、硫酸根、硝酸根、クロム酸根、リン酸根、乳酸根、グルコン酸根、およびクエン酸根からなる群から選ばれる1種以上であり、nはXの価数の絶対値を表す。酸根とは、酸の分子から1個以上の水素原子を除いた原子団を意味する。
アルカリ金属元素(A)源として、前記アルカリ金属ケイ酸塩のほかに、KOHなどのアルカリ金属水酸化物を用いることが好ましい。アルカリ金属水酸化物を用いると活性点として作用するアルカリ金属元素(A)の含有量を制御しやすい点で好ましい。アルカリ金属水酸化物は前記アルカリ金属ケイ酸塩を含む水溶液に含有させることができる。
ケイ素源としてはアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を用いることが好ましい。
各原料の添加量は、仕込み比率が前記式(1)を満たすように設定される。
本実施形態において、金属元素(M)源としてMX2/nを用いた場合、金属元素(M)が難水溶性の複合塩の形成に消費され、残ったXがアルカリ金属(A)と水溶性の塩(AnX、nはXの価数の絶対値を表す。)を形成する。したがって仕込み比率には、aA2O・bMO・SiO2の他にAnXが含まれる。AnXは水溶性の塩となるため、難溶性の複合塩から奪われるアルカリ金属(A)を、アルカリ金属水酸化物を用いて補充することが好ましい。例えば、MX2/nを添加する工程よりも前、または該工程の後に、アルカリ金属水酸化物を添加して、複合塩中のアルカリ金属元素(A)を調整することが好ましい。
前記減圧下または常圧の雰囲気中で水分を除去する際の雰囲気圧力は0.0001〜0.2MPa絶対単位の範囲が好ましく、0.0001〜0.15MPa絶対単位(真空を0MPaとして常圧は0.1013MPaとする)がより好ましい。
後述の実施例に示されるように、この反応温度以上、400℃以下の温度で乾燥させる工程の雰囲気ガスが炭酸ガス、または炭酸ガスと不活性ガスの混合ガスであると、触媒活性がより向上する。雰囲気ガス中の炭酸ガスが触媒中のアルカリ金属を炭酸塩化すると考えられる。
炭酸ガスと不活性ガスの混合ガスを用いる場合、該混合ガスに対する炭酸ガスの含有量は特に限定されないが、炭酸ガスを用いることによる触媒活性向上効果が良好に得られやすい点では、複合塩中のアルカリ金属元素(A)1モルに対して、炭酸ガスを0.1モル以上さらに好ましくは1以上の炭酸ガス絶対量を流通させることが好ましい。
前記反応温度以上400℃以下の温度で乾燥させる時間は、特に限定されないが30分〜12時間程度が好ましく、1〜5時間程度が触媒活性の安定化と省エネルギーの面でより好ましい。
該反応温度以上400℃以下の温度で乾燥させる前に、必要に応じて、該反応温度より低い温度で加熱乾燥してもよい。
本実施形態が第1の実施形態と大きく異なる点は、アルカリ金属ケイ酸塩を含む水溶液に、M(OH)2またはMX2/nの水溶液を添加して、難水溶性の複合塩を生成させるところまでは第1の実施形態と同様に行うが、その後、さらにアルカリ金属元素(A)源としてアルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属炭酸水素塩を添加し、反応させて複合塩を生成させる点である。この製造方法によると、アルカリ金属、2価の陽イオンとなる金属、ケイ素、および炭酸根(CO3)を含有する複合塩が得られる。
アルカリ金属炭酸塩の水溶液またはアルカリ金属炭酸水素塩の水溶液は滴下により添加することが好ましい。
本実施形態においても各原料の添加量は、仕込み比率が前記式(1)を満たすように設定される。
本実施形態において、仕込み比率には、A2O・bMO・SiO2の他にAnXおよびCO3が含まれる。触媒中にかかるアルカリ金属の炭酸塩または炭酸水素塩に由来するCO3存在すると、グリコール類からエポキシド類を生成する反応における選択率が向上しやすい。
乾燥工程は第1の実施形態と同様である。
本実施形態が第2の実施形態と異なる点は、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属炭酸水素塩を、M(OH)2またはMX2/nの水溶液を添加する前の、アルカリ金属ケイ酸塩を含む水溶液に添加する点である。
その他は第2の実施形態と同様に行うことができる。
複合塩の難溶性がより安定化しやすい点では第2の実施形態の方法が好ましく、グリコール類からエポキシド類を生成する反応における選択率を安定的に向上しやすい点では第3の実施形態の方法が好ましい。
担持体(II)または担持体(III)は、第1または第2の実施形態において、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に担体を投入した後に、前記M(OH)2またはMX2/nの水溶液を添加したのち、水分を除去し乾燥(乾燥工程)する方法、
第3の実施形態において、アルカリ金属ケイ酸塩を含む水溶液に担体を投入した後、アルカリ金属炭酸塩の水溶液またはアルカリ金属炭酸水素塩の水溶液を添加したのち、水分を除去し乾燥(乾燥工程)する方法、または
第1、第2、または第3の実施形態において、複合塩を含有する水分散液を得た後、アルカリ金属水酸化物および担体を投入し、必要に応じて前記M(OH)2またはMX2/nの水溶液を添加したのち、水分を除去し乾燥(乾燥工程)する方法で製造できる。
本発明のエポキシド類の製造方法は、本発明の触媒の存在下、グリコール類を脱水反応させる工程を有する方法である。好ましくは、反応器内に本発明の触媒を存在させ、該触媒と接触するように、グリコール類を同伴ガスとともに流す反応工程を有する方法である。
グリコール類は、1,2−グリコールなど、隣り合う2個のメチレン基において、それぞれ1個の水素原子が水酸基に置換したグリコール構造を有する化合物であればよく、特に限定されない。同一分子内に2つ以上のグリコール構造を有してもよい。グリコール類は、沸点が350℃以下のものが常圧で反応する場合はより好ましいが、反応圧力を常圧以下の減圧下で行うことで曇点を下げることが可能であり、限定されるものではない。
具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、プロペングリコール等のアルキレングリコール類;スチレングリコール等のフェニル基を含有するグリコール類;シクロへキセングリコール等の脂環式グリコール類;等があげられる。
具体例としてはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、プロぺンオキシド、スチレンオキシド、シクロへキセンオキシド等が挙げられる。
触媒の使用量は、特に限定されない。しかし、管式連続反応装置の場合は十分な反応時間と線速度を確保するため20mm以上の充填長さ(高さ)が好ましく、50mm以上がより好ましい。生産量に応じて管の断面積と長さは調整可能であるので、十分な反応熱の制御が可能であれば特に制限はしない。また、並列で複数の反応管を並べてもよいし、バッチ式で攪拌機や気流を用いて触媒を流動させてもよい。
グリコール類および同伴ガスの流量は、反応器における滞留時間(グリコール類と触媒との接触時間)が所望の値となるように設定される。滞留時間は0.1〜120秒が好ましく、1〜60秒がより好ましい。
同伴ガスの流量は、全くなくてもよいがグリコール類1モルに対して同伴ガスが0.1モル以上であることが好ましい。該同伴ガスの割合が0.1モル以上であると原料ガスの曇点が安定すると同時に、生成ガス中のエポキシドの副反応が抑制されやすく選択率が向上しやすい。同伴ガスの割合の上限は、特に限定されないが、グリコール類1モルに対して100モル以下が好ましく、生成物の回収などの経済性を考えると10モル以下がより好ましい。
反応工程における反応温度は、該反応器内のガス流中における前記グリコール類の曇点以上、かつ350℃以下とする。反応温度がグリコール類の曇点以上であると原料ガス組成が安定し反応時間が安定し選択性も安定する。本発明の触媒を用いると、反応温度が350℃以下と低くても良好な触媒活性が得られ、良好な選択率を得ることができる。
また後述の実施例に示されるように、触媒活性の活性点として作用するアルカリ金属(A)のほかに、アルカリ土類金属等の2価の陽イオンとなる金属元素(M)を特定の割合で含有させたことにより触媒活性の持続性が向上する。触媒活性の持続性が向上すると、反応率および選択率の安定性が向上し、長期間の触媒無交換運転を良好に行うことができる。かかる効果が得られる理由としては、アルカリ土類金属などの2価の陽イオンとなる金属元素がケイ酸と結合して高分子量化することでケイ酸またはケイ酸のアルカリ金属塩の難流動化に寄与し、触媒活性が安定すると考えられる。例えば、−Si−O−M−O−Si−の結合が形成されることにより高分子量化されると推測される。
また、同様の目的で3価以上の金属を2価の金属と併用することは可能である。その場合2価金属化合物水溶液と同時にまたはその前後に3価以上の金属化合物水溶液状態で滴下することがより好ましいが、これに限定するものではない。
また後述の実施例に示されるように、前記式(1)において、0.15≦a≦1.9、0.1≦b≦1.5、a+b≦2の範囲内とすることにより、反応率および選択率が良好に向上する。また、a+bが2を超えると、反応率および選択率が低下することから、Si−O−に金属元素が結合せずSi−OH基となっている構造の存在が、反応率および選択率の向上に寄与すると考えられる。
下記の例において、グリコール類からエポキシド類を製造する反応は以下の方法で行った。
反応器としては、外径3/8インチ、厚さ1mm、長さ200mmのSUS316L製のチューブの、長さ方向の中央部に、外径1/8インチ、厚さ0.028インチ、長さ500mmのSUS316L製の鞘管を取り付けたものを用いた。反応器は、定温に制御可能な電気炉(長さ300mmの長筒状電気炉、内部実行長さ250mm長)で加熱されるようになっている。
反応器の入口には外径1/4インチ、厚さ1mmのSUS316L製のチューブ配管(入口配管)が接続されている。該入口配管にはリボンヒーターが巻かれ、所定の温度に加熱できるようになっている。該入口配管には1/4インチT継ぎ手を介してグリコール類を導入できるようになっている。
反応器の出口には外径1/4インチ1mm厚のSUS316L製のチューブ配管(出口配管)が接続されている。該出口配管には1/4インチT継ぎ手を介してガスサンプリング部が設けられている。
まず、触媒が充填された反応器、および入口配管を所定の温度に加熱し、入口配管にマスフローコントローラーを介して同伴ガスを導入した。反応器と入口配管の温度が安定した後、入口配管に1/4インチT継ぎ手を介して、ポンプで流量制御したグリコール類を導入して気化させ、反応器にグリコールガスを同伴ガスとともに導入してグリコール類からエポキシド類を製造する反応を行った。
・ケイ酸カリウム水溶液:K2O含有量8質量%、SiO2含有量19.5質量%含有。
・KOHペレット試薬:KOH含有量85質量%。
・炭酸水素カリウム水溶液:KHCO3含有量1mmol/g。
・塩化カルシウム水溶液:CaCl2含有量2mmol/g。
・水酸化カルシウム水溶液:Ca(OH)2含有量0.02mmol/g。
反応器内の触媒を乾燥させる工程において、電気炉の中心温度を乾燥温度とした。エポキシド類の製造工程において、電気炉の中心温度を反応温度とした。
滞留時間は、グリコールガスと触媒との接触時間を意味し、下記の方法で求めた値である。
反応器において、触媒が充填されている部分(反応長)に存在する空間の体積Vを、触媒充填量w、触媒比重ρ、および触媒が充填されている部分(反応長)の体積V0より、V=V0−w×ρ(ml)として算出する。
原料はすべて理想気体とみなして、モル流量と反応温度より体積流量s(ml/sec)を計算し、通過時間=V/s(sec)を求める。
以下の例において触媒比重はシリカの比重と同じとみなした。
反応率の測定方法:出口ガスをガスクロマトグラフィーで分析し、該出口ガスに含まれる各化合物の含有比率(モル%)を求め、供給したグリコール類に対する、反応に消費されたグリコール類の割合を反応率として求めた。
選択率の測定方法:上記の各化合物の含有比率(モル%)より、未反応のグリコール類以外の生成物合計を100モル%とした時の、エポキシド類(目的化合物)の生成量の割合(モル%)を選択率として求めた。
表1〜4に、仕込み比率におけるK2O、CaO、SiO2のモル比(含有比率)、グリコール類からエポキシド類を製造する反応の反応条件および反応成績等を示す。
本例における複合塩の仕込み比率は1.11K2O・0.5CaO・SiO2・1KCl・2CO3である。
(複合塩を含有する水分散液を得る工程)
500mlポリプロピレン製ビーカーに30.81gのケイ酸カリウム溶液と、4.60gのKOHペレットと、33.5gの水を加え、外周50mmの6枚ばねディスクタービン翼を用いて300rpm回転数にて攪拌混合した。これに塩化カルシウム水溶液の25gを15分かけて滴下して難水溶性の塩を析出させて、さらに30分混合した。その後、炭酸水素カリウム水溶液100gを15分かけて滴下し30分攪拌混合して、複合塩の水分散液を得た。
得られた複合塩の水分散液を500mlガラス製なす型フラスコに移し、エバポレーターを用いて80℃、5mmHg(658Pa)で2時間真空乾燥させて37.82gの固体触媒を得た。
この固体触媒を反応器に9.2g充填し140mm反応長(充填高さ)とした。これを長さ300mmの長筒状電気炉にいれて、窒素気流下(流量:30ml/分)にて120℃で1時間保持した後、350℃(乾燥温度、以下同様)で2時間保持して乾燥させた。こうして乾燥触媒が充填された反応器を得た。
(プロピレンオキシドの製造)
得られた反応器を330℃(反応温度、以下同様。)に制御しつつ、プロピレングリコールを0.1637mmol/minで流し、同伴ガスとして窒素をその2倍モル量で流し、滞留時間を12秒とした。プロピレングリコールの曇点については、同伴ガスが存在する場合には沸点219℃以下であるため、沸点以上の温度で常圧で反応させるときは、反応温度は該曇点よりも充分に高い(以下、同様)。プロピレングリコールを流し始めた時点を反応開始時とし(以下同様。)、反応開始から1時間後と3時間後の反応成績(反応率および選択率)をそれぞれ測定した。結果を表1に記載する。
本例における複合塩の仕込み比率は1K2O・SiO2・1.48CO3であり、CaOを含まない。
(複合塩を含有する水分散液を得る工程)
300mlガラス製ナス型フラスコに炭酸水素カリウム水溶液を100.01g仕込み、30mm長テフロン(登録商標)製攪拌子を入れて300rpmで攪拌している中に、20.86gのケイ酸カリウム溶液を15分かけて滴下して、難水溶性の塩を析出させ、複合塩の水分散液を得た。
(乾燥工程)
得られた複合塩の水分散液を実施例1と同様にして真空乾燥させて固体触媒を得た。
この固体触媒を反応器に6.94g充填し90mm反応長(充填高さ)とした。これを実施例1と同様にして加熱乾燥させて、乾燥触媒が充填された反応器を得た。
(プロピレンオキシドの製造)
得られた反応器を330℃(反応温度)に制御しつつ、プロピレングリコールを0.1807mmol/minで流し、同伴ガスとして窒素をその2倍モル量で流し、滞留時間を11秒とした。反応開始から1時間後と3時間後の反応成績(反応率および選択率)をそれぞれ測定した。結果を表1に記載する。
実施例1の複合塩の乾燥温度は350℃、反応温度は330℃である。すなわち、比較的低い温度で製造することができ、低い反応温度でも触媒活性を発揮できることが確認された。
一方、CaOを含有しないK2O・SiO2複合塩を触媒として用いた比較例1では、反応開始から1時間後の反応率および選択率に比べて、3時間後の反応率および選択率が著しく低かった。
本例における複合塩の仕込み比率は0.29K2O・0.5CaO・SiO2・1KClである。
(複合塩を含有する水分散液を得る工程)
実施例1において、ケイ酸カリウム溶液の添加量を61.62gに、KOHペレットの添加量を13.87gに、水の添加量を23.1gに変更した。また滴下する塩化カルシウム水溶液の量を50gに変更し、炭酸水素カリウム水溶液の滴下は行わなかった。その他は実施例1と同様にして複合塩の水分散液を得た。
(乾燥工程)
得られた複合塩の水分散液を実施例1と同様にして真空乾燥させて17.59gの固体触媒を得た。
この固体触媒を反応器に10.93g充填し140mm反応長(充填高さ)とした。これを実施例1と同様にして加熱乾燥させて、乾燥触媒が充填された反応器を得た。
(プロピレンオキシドの製造)
得られた反応器を290℃に制御しつつ、プロピレングリコールを0.2046mmol/minで流し、窒素をその2倍モル量で流し、滞留時間を12秒とした。反応開始から3時間後の安定期の反応成績(反応率および選択率)を測定した。結果を表2に記載する。
本例における複合塩の仕込み比率は0.5K2O・0.5CaO・SiO2である。
(複合塩を含有する水分散液を得る工程)
2000mlガラス製ビーカーに20.86gのケイ酸カリウム溶液と、2.14gのKOHペレットを加え、外周50mmの6枚ばねディスクタービン翼を用いて400rpm回転数にて攪拌混合した。これに水酸化カルシウム水溶液の1692.5gを15分かけて滴下して難水溶性の塩を析出させ、さらに30分混合して複合塩の水分散液を得た。
得られた複合塩の水分散液を16時間静置した後に上澄みを除去して、809.72gの沈降液(複合塩の水分散液)を得た。
(乾燥工程)
得られた沈降液(複合塩の水分散液)を実施例1と同様にして真空乾燥させて8.22gの固体触媒を得た。
この固体触媒を反応器に6.05g充填し80mm反応長(充填高さ)とした。これを実施例1と同様にして加熱乾燥させて、乾燥触媒が充填された反応器を得た。
(プロピレンオキシドの製造)
得られた反応器を290℃に制御しつつ、プロピレングリコールを0.1591mmol/minで流し、窒素をその2倍モル量で流し、滞留時間を12秒に調整した。反応開始から3時間後の安定期の反応成績(反応率および選択率)を測定した。結果を表2に記載する。
本例における複合塩の仕込み比率は1.76K2O・0.5CaO・SiO2・3CO2である。
(複合塩を含有する水分散液を得る工程)
2000mlガラス製ビーカーにケイ酸カリウム溶液を20.86g加え、外周50mmの6枚ばねディスクタービン翼を用いて400rpm回転数にて攪拌混合した。これに水酸化カルシウム水溶液1692.5gを30分かけて滴下して難水溶性の塩を析出させて、さらに30分混合した。その後、炭酸水素カリウム水溶液167.9gを15分かけて滴下し、複合塩の水分散液を得た。
(乾燥工程)
この全量を2000mlガラス製なす型フラスコに移し、エバポレーターを用いて80℃、5mmHg(658Pa)で2時間真空乾燥させて固体触媒を得た。この固体触媒を反応器に12.64g充填し95mm反応長とした。これを長さ300mmの長筒状電気炉にいれて、窒素気流下(30ml/min)にて120℃で2時間保持した後、350℃で2時間保持して乾燥させた。こうして乾燥触媒が充填された反応器を得た。
(プロピレンオキシドの製造)
得られた反応器を290℃に制御しつつ、プロピレングリコールを0.2046mmol/minで流し、同伴ガスとして窒素をその2倍モル量で流し、滞留時間を12秒に調整した。反応開始から3時間後の安定期の反応成績を表2に記載する。
本例における複合塩の仕込み比率は0.11K2O・0.5CaO・SiO2・1KClである。
(複合塩を含有する水分散液を得る工程)
実施例1において、ケイ酸カリウム溶液の添加量を123.25gに変更し、KOHペレットの添加量を18.42gに変更し、水の添加量を151.53gに変更した。また滴下する塩化カルシウム水溶液の量を104.42gに変更し、炭酸水素カリウム水溶液の滴下は行わなかった。その他は実施例1と同様にして複合塩の水分散液を得た。
(乾燥工程)
得られた複合塩の水分散液を実施例1と同様にして真空乾燥させて固体触媒を得た。
この固体触媒を反応器に7.08g充填し140mm反応長とした。これを長さ300mm長筒状電気炉にいれて、窒素気流下(流量:30ml/min)にて120℃で2時間保持した後、350℃で2時間保持して乾燥させた。こうして乾燥触媒が充填された反応器を得た。
(プロピレンオキシドの製造)
得られた反応器を290℃に制御しつつ、プロピレングリコールを0.2046mmol/minで流し、同伴ガスとして窒素をその2倍モル量で流し、滞留時間を12秒に調整した。反応開始から3時間後の安定期の反応成績を表2に記載する。
一方、SiO2の1モルに対する、K2OとCaOの合計のモル比が2モル超える(a+b>2)比較例2では、プロピレンオキシドの選択率が低下した。この比較例2はアルカリケイ酸塩のSiO2と塩を形成し得る量(a+b≦2)を超えてK2Oが過剰に存在するために、かかる性能の低下が生じたと推測される。
また、SiO2の1モルに対する、K2Oのモル比が0.11と小さい比較例3は、反応率および選択率がともに低下した。
実施例3で製造した触媒が充填された反応器を用い、表3に示す通りに反応条件を変えてエポキシド類の製造を行った。
すなわち、実施例11、12ではグリコール類としてプロピレングリコールを用い、反応温度290℃でプロピレンオキシド(PO)を製造した。実施例13、14ではグリコール類としてエチレングリコールを用い、反応温度273℃でエチレンオキシド(EO)を製造した。
実施例11、13では同伴ガスとして炭酸ガスを用い、実施例12、14では窒素ガスを用いた。
グリコール類の流量はいずれの場合も0.1591mmol/minとし、同伴ガスの流量はその2倍モル量とした。滞留時間は12秒とした。エチレングリコールの曇点については、同伴ガスが存在する場合には沸点が194℃以下であるため、沸点以上の温度で常圧で反応させるときは、反応温度は該曇点よりも充分に高い。反応開始から3時間後の反応成績(反応率および選択率)を測定した。結果を表3に記載する。
本例では、球状シリカ(AGCSIテック社製、製品名:H−201)を担体として用い、担持体からなる触媒を製造した。
本例における複合塩の、担体を含まない仕込み比率は1.5K2O・1CaO・SiO2・2KCl、担体を含む仕込み比率は1.5K2O・1CaO・3SiO2・2KClであり、CaOに対するK2Oのモル比は1.5である。
300mlポリプロピレン製ビーカーに15.41gのケイ酸カリウム溶液と、1.57gのKOHペレットと、83.77gの水を加え、外周50mmの6枚ばねディスクタービン翼を用いて300rpm回転数にて攪拌混合した。これに塩化カルシウム水溶液の12.5gを15分かけて滴下して難水溶性の塩を析出させて、さらに30分混合した。これにKOHペレットの13.2gのと、球状シリカの6.01g加え、外周50mmの6枚ばねディスクタービン翼を用いて300rpm回転数にて攪拌混合した。この後、塩化カルシウム水溶液の12.5gを15分かけて滴下して難水溶性の塩を析出させ、さらに30分混合して、複合塩がケイ素を含む担体に担持された担持体を含有する水分散液を得た。
得られた水分散液を500mlガラス製なす型フラスコに移し、エバポレーターを用いて80℃、5mmHg(658Pa)で2時間真空乾燥させて固体触媒を得た。この固体触媒を反応器に11.06g充填し140mm反応長とした。これを長さ300mmの長筒状電気炉にいれて、窒素気流下(流量:30ml/min)にて120℃にて1時間保持した後、350℃で2時間保持して乾燥させた。こうして乾燥触媒が充填された反応器を得た。
(プロピレンオキシドの製造)
得られた反応器を330℃に制御しつつ、プロピレングリコールを0.2046mmol/minで流した。
まず、同伴ガスとして窒素をプロピレングリコールに対して2倍モル量で流し、滞留時間を6.5秒に調整した。反応開始から3時間後の安定期の反応成績を実施例21の結果として測定した。
続いて、反応開始から4時間経過後に同伴ガスを同流量の炭酸ガス(CO2)に切り替え、滞留時間を6.5秒に調整した。切り替えてから3時間後(反応開始から7時間後)の安定期の反応成績を、実施例22の結果として測定した。
続いて、反応開始から8時間経過後に、同伴ガスを再び同流量の窒素ガスに切り替え、滞留時間を6.5秒に調整した。切り替えてから3時間後(反応開始から11時間後)の安定期の反応成績を、実施例23の結果として測定した。
表にはガスを切り替えてからの経過時間を記載する。
実施例21の乾燥工程において、長筒状電気炉内で加熱乾燥する際の雰囲気ガスを炭酸ガスに変更した。すなわち、実施例21と同様にして固体触媒を得、これを反応器に9.86g充填し、140mm反応長とした。これを長さ300mmの長筒状電気炉にいれて、炭酸ガス気流下(流量:30ml/min、複合塩中のカリウム(K)1モルに対して二酸化炭素(CO2)は約6モルに相当)にて120℃で1時間保持した後、350℃で2時間保持して乾燥させた。こうして乾燥触媒が充填された反応器を得た。
(プロピレンオキシドの製造)
得られた反応器を330℃に制御しつつ、プロピレングリコールを0.2046mmol/minで流した。
まず、同伴ガスとして炭酸ガスをプロピレングリコールに対して2倍モル量で流し、滞留時間を6.5秒に調整した。反応開始から3時間後の安定期の反応成績を実施例24の結果として測定した。
続いて、反応開始から4時間経過後に同伴ガスを同流量の窒素ガスに切り替え、滞留時間を6.5秒に調整した。切り替えてから3時間後(反応開始から7時間後)の安定期の反応成績を、実施例25の結果として測定した。
表にはガスを切り替えてからの経過時間を記載する。
また、乾燥時に炭酸ガスと接触させると、プロピレンオキシド選択率が向上することがわかった。
特開昭59−170083号公報(特許文献1)に記載の実施例1の触媒を製造した。
市販のケイ酸カリウム粉末(K2O・SiO2)を用い、空気中にて450℃加熱を12時間実施した後、0.5〜2.8mm篩分けして触媒を得た。これを反応器に5.02g充填し80mm反応長とした。
これを長さ300mm長筒状電気炉にいれ、反応器を398℃に制御しつつ、プロピレングリコールを1.5345mmol/minで流し、同伴ガスとして窒素ガスをその2倍モル量で流し、滞留時間を1.2秒に調整した。
反応開始から1時間後のプロピレングリコール反応率は82%、PO選択率は81%と高かったが、20時間後の値は反応率79%、選択率64%であった。
Claims (12)
- グリコール類からエポキシド類を生成する反応に用いられる触媒であって、
下記組成式(1’)で表わされる複合塩を含むことを特徴とする触媒。
aK 2O・bCaO・SiO2…(1’)
[式中、0.15≦a≦1.9、0.1≦b≦1.5、a+b≦2である。] - グリコール類からエポキシド類を生成する反応に用いられる触媒であって、
前記触媒が、下記組成式(1’)で表わされる複合塩が担体に担持された担持体からなり、担体がケイ素を含まないことを特徴とする触媒。
aK 2O・bCaO・SiO2…(1’)
[式中、0.15≦a≦1.9、0.1≦b≦1.5、a+b≦2である。] - グリコール類からエポキシド類を生成する反応に用いられる触媒であって、
前記触媒が、ケイ素を含む担体に、ケイ素とカリウムとカルシウムと酸素とを含有する複合塩が担持された担持体からなり、
前記カリウムと前記カルシウムの含有比率を酸化物で示したK 2O/CaOの組成比が、0.1以上、19.0以下であることを特徴とする触媒。 - 請求項1に記載の触媒を製造する方法であって、
ケイ酸カリウムを含む水溶液に、Ca(OH)2またはCaX2/n(Xは、ハロゲン原子、硫酸根、硝酸根、クロム酸根、リン酸根、乳酸根、グルコン酸根、およびクエン酸根からなる群から選ばれる1種以上であり、nはXの価数の絶対値を表す。)の水溶液を添加して、複合塩を含有する水分散液を得る工程と、該水分散液の水分を除去する乾燥工程を有することを特徴とする触媒の製造方法。 - 請求項2または3に記載の触媒を製造する方法であって、
ケイ酸カリウムの水溶液に担体を投入した後、Ca(OH)2またはCaX2/n(Xは、ハロゲン原子、硫酸根、硝酸根、クロム酸根、リン酸根、乳酸根、グルコン酸根、およびクエン酸根からなる群から選ばれる1種以上であり、nはXの価数の絶対値を表す。)の水溶液を添加して、複合塩を含有する水分散液を得る工程と、該水分散液の水分を除去する乾燥工程を有することを特徴とする触媒の製造方法。 - 前記複合塩を含有する水分散液を得る工程の後、前記乾燥工程の前に、炭酸カリウムの水溶液または炭酸水素カリウムの水溶液を滴下する工程を有することを特徴とする請求項4または5に記載の触媒の製造方法。
- 請求項2または3に記載の触媒を製造する方法であって、
ケイ酸カリウムを含む水溶液に、Ca(OH)2またはCaX2/n(Xは、ハロゲン原子、硫酸根、硝酸根、クロム酸根、リン酸根、乳酸根、グルコン酸根、およびクエン酸根からなる群から選ばれる1種以上であり、nはXの価数の絶対値を表す。)の水溶液を添加して、複合塩を含有する水分散液を得る工程と、該複合塩を含有する水分散液に担体および水酸化カリウムを投入した後、Ca(OH)2またはCaX2/n(Xおよびnは上記と同じ意味を表す。)の水溶液を添加して、担持体を含有する水分散液を得る工程と、該担持体を含有する水分散液の水分を除去する乾燥工程を有することを特徴とする触媒の製造方法。 - 請求項1に記載の触媒を製造する方法であって、
ケイ酸カリウムを含む水溶液に、炭酸カリウムの水溶液または炭酸水素カリウムの水溶液を滴下して反応液を得る工程と、該反応液にCa(OH)2またはCaX2/n(Xは、ハロゲン原子、硫酸根、硝酸根、クロム酸根、リン酸根、乳酸根、グルコン酸根、およびクエン酸根からなる群から選ばれる1種以上であり、nはXの価数の絶対値を表す。)の水溶液を添加して、複合塩を含有する水分散液を得る工程と、該水分散液の水分を除去する乾燥工程を有することを特徴とする触媒の製造方法。 - 請求項2または3に記載の触媒を製造する方法であって、
ケイ酸カリウムを含む水溶液に担体を投入した後、炭酸カリウムの水溶液または炭酸水素カリウムの水溶液を滴下して反応液を得る工程と、該反応液にCa(OH)2またはCaX2/n(Xは、ハロゲン原子、硫酸根、硝酸根、クロム酸根、リン酸根、乳酸根、グルコン酸根、およびクエン酸根からなる群から選ばれる1種以上であり、nはXの価数の絶対値を表す。)の水溶液を添加して、複合塩を含有する水分散液を得る工程と、該水分散液の水分を除去する乾燥工程を有することを特徴とする触媒の製造方法。 - 請求項2または3に記載の触媒を製造する方法であって、
ケイ酸カリウムを含む水溶液に、Ca(OH)2またはCaX2/n(Xは、ハロゲン原子、硫酸根、硝酸根、クロム酸根、リン酸根、乳酸根、グルコン酸根、およびクエン酸根からなる群から選ばれる1種以上であり、nはXの価数の絶対値を表す。)の水溶液を添加して、複合塩を含有する水分散液を得る工程と、該複合塩を含有する水分散液に担体および水酸化カリウムを投入した後、炭酸カリウムの水溶液または炭酸水素カリウムの水溶液を滴下して反応液を得る工程と、該反応液にCa(OH)2またはCaX2/n(Xおよびnは上記と同じ意味を表す。)の水溶液を添加して、担持体を含有する水分散液を得る工程と、該担持体を含有する水分散液の水分を除去する乾燥工程を有することを特徴とする触媒の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の触媒の存在下、グリコール類を脱水反応させる工程を有することを特徴とするエポキシド類の製造方法。
- グリコール類からエポキシド類を製造する方法であって、
反応器内に請求項1〜3のいずれか一項に記載の触媒を存在させ、該触媒と接触するように、グリコール類を同伴ガスとともに流す反応工程を有し、
前記同伴ガスが不活性ガス、炭酸ガス、またはこれらの混合ガスであり、
前記反応工程における反応温度が、該反応器内のガス流中における前記グリコール類の曇点以上、かつ350℃以下であることを特徴とするエポキシド類の製造方法。
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