JP6023581B2 - 超音波振動子ユニットおよびその製造方法 - Google Patents

超音波振動子ユニットおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6023581B2
JP6023581B2 JP2012282688A JP2012282688A JP6023581B2 JP 6023581 B2 JP6023581 B2 JP 6023581B2 JP 2012282688 A JP2012282688 A JP 2012282688A JP 2012282688 A JP2012282688 A JP 2012282688A JP 6023581 B2 JP6023581 B2 JP 6023581B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibrator
electrode film
layer
layers
manufacturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012282688A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014127821A (ja
Inventor
桂 秀嗣
秀嗣 桂
藤井 隆司
隆司 藤井
小林 和裕
和裕 小林
渡辺 徹
徹 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2012282688A priority Critical patent/JP6023581B2/ja
Publication of JP2014127821A publication Critical patent/JP2014127821A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6023581B2 publication Critical patent/JP6023581B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Ultra Sonic Daignosis Equipment (AREA)
  • Transducers For Ultrasonic Waves (AREA)

Description

本発明は、超音波探触子に用いられるアレイ振動子を有する超音波振動子ユニット、およびその製造方法に関する。
医療の分野において超音波診断装置が活用されている。超音波診断装置は、生体に対して超音波を送受波し、これにより得られた受信信号に基づいて超音波画像を形成する装置である。生体に対する超音波の送受波は超音波探触子(プローブ)によって実行される。プローブは、圧電素子を含む振動子を備え、振動子を駆動することで超音波が送受される。多数の個振動子から構成されるアレイ振動子を備えたプローブが知られている。このプローブにおいては、それぞれの個振動子を駆動する位相を制御することにより超音波ビームの送受信方向、焦点を変更することができる。また、送受信方向の連続的な変更により、ビームの走査も可能となる。
個振動子は、圧電素子の層を含む多層構造を有する。例えば、個振動子は、圧電素子の層に加え、圧電素子から超音波の送受信対象である生体へとインピーダンスを段階的に下げて音響的な整合を図る音響整合層を有する。個振動子の各層は、接着剤により接着されて積層される。また、音響整合層等の、圧電素子の層以外の各層は、圧電素子に電圧を印加するために導電性を有する。接着剤は一般的には非導電性であるが、各層を接着している接着剤の層を薄くすることで電気的な接続が図られている。
取得画像の解像度を改善する目的で、また三次元空間の情報を得るなどの目的で、アレイ振動子をより多数の個振動子から構成することが要請されている。一方で、プローブの小型化の要請がある。これらから、多数の個振動子を高密度で配置したアレイ振動子が求められている。このため、個々の個振動子は小形化する必要がある。
個振動子の小形化は、層同士を接着する接着剤の厚さのばらつきを大きくし、各個振動子の導通抵抗がばらつくという問題がある。下記特許文献1には、接着剤に黒鉛粉末を均一に分散させ、接着剤の層の抵抗を低減して、接着剤の厚さのばらつきによる層間の導通抵抗のばらつきを抑える技術が開示されている(請求項1等参照)。
国際公開第2009/050881号
特許文献1のように接着剤に粉末を混入すると、接着剤の層が厚くなる傾向があり、接着剤の層の音響的な影響が大きくなる。このため、超音波の送受信の効率が低下する等の問題が生じる。
また、前述のように個振動子を小形とすると、層間の接着をより強固にする必要が生じる。接着の強化のために接着面を粗くすると、接着した際の接触点が減って接触面積が小さくなり接触抵抗が増加するという問題がある。
本発明は、アレイ振動子を構成する個振動子の層同士を強固に接着し、かつ層間の導電性を良好なものとすることを目的とする。
本発明の超音波振動子ユニットの製造方法においては、後に切断されてアレイ振動子となる振動子ブランクの、少なくとも1組の隣接する層となる導電性の素材に対し、これらの素材の対向する表面の粗さを所定の粗さとする加工を行い、さらにこれらの表面に電極膜を形成する。次に、振動子ブランクの各層となる素材を非導電性接着剤により接着して積層し、回路基板に接合された振動子ブランクを形成する。このとき、回路基板上に各層を順次積層して、回路基板に接合された振動ブランクを形成してよい。また、各層を積層して一体化した振動子ブランクを形成した後、この振動子ブランクを回路基板に接合してもよい。最後に、回路基板に接合された振動子ブランクを切断し、複数の個振動子からなるアレイ振動子を形成する。
対向する表面の粗さを所定の粗さとすることで、接着剤の付きがよくなり、個振動子を構成する層同士が強固に接着される。素材に形成された電極膜は、素材が切断されて個振動子となった後も残っている。この電極膜が、個振動子の層同士の接触点から周囲に電流を流し、層全体を電流が流れるようにする。これにより、層間の抵抗が低減する。
振動子ブランクは、複数の音響整合層を含むものとできる。複数の音響整合層を設けることで、音響インピーダンスを徐々に変化させることができる。音響整合層同士の対向する面に電極膜を形成することができる。音響整合層が増えることで、層間の数が増加し、音響整合層全体の抵抗が増加する可能性があるが、電極膜を形成したことによって抵抗の増加を抑えることができる。
前記の表面粗さは、中心平均粗さで0.2〜1.0μmとすることができる。また、電極膜の厚さは0.3〜1.0μm、より好ましくは0.4〜0.7μmとすることができる。
また、電極膜は、振動子ブランクを構成する層となる全ての素材に対して、その表裏両面に形成することができる。
本発明の他の態様によれば、回路基板に接合され、接合後切断されたアレイ振動子となる振動子ブランクの製造方法が提供される。この方法は、圧電素子素材の層を含む多層構成の振動子ブランクの、少なくとも1組の隣接する層となる導電性の素材の、互いに対向する表面に対し、表面粗さを所定の粗さとする表面粗し加工を行うステップと、表面粗し加工を行った素材の表面に電極膜を形成するステップと、振動子ブランクの各層となる素材を非導電性接着剤により接着して積層し振動子ブランクを形成するステップと、を含む。
本発明の更に他の態様によれば、回路基板と回路基板に接合されたアレイ振動子とを含む超音波振動子ユニットであって、アレイ振動子が、圧電素子の層を含む多層構成の複数の個振動子からなり、各個振動子の少なくとも1組の隣接する導電性の層は、互いに対向する表面が中心平均粗さで0.3〜1.0μmに加工後電極膜が形成され、当該層同士が非導電性接着剤により接着されている、超音波振動子ユニットが提供される。
振動子ブランクを構成する層の表面の粗さを所定の粗さとすることで、層同士が強固に接着される。また、電極膜により層間の抵抗が低減される。
超音波振動子ユニットの外観を示す斜視図である。 超音波振動子ユニットの製造過程の一工程の説明図である。 超音波振動子ユニットの製造過程の一工程の説明図である。 超音波振動子ユニットの断面図である。 超音波振動子ユニットの積層された素材境界付近の微視的断面図であり、本発明の実施形態と対比される例を示す図である。 超音波振動子ユニットの積層された素材境界付近の微視的断面図であり、本発明の実施形態と対比される例を示す図である。 超音波振動子ユニットの積層された素材境界付近の微視的断面図であり、本発明の実施形態を示す図である。 超音波振動子ユニットの製造工程を示すフローチャートである。 接合された振動子ブランクと回路素子の境界付近の断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。図1は、本実施形態の超音波振動子ユニット10の完成状態を示す斜視図である。超音波振動子ユニット10は、超音波診断装置のプローブに内蔵され、プローブが接触する生体に対して超音波の送受を行う。図1における超音波の送信方向は上方である。なお、以下の説明において、「上方」や「下面」などの上下の関係を示す語句は、図における上下を示すのに限定したものであり、使用態様等における上下関係を示すものではない。
超音波振動子ユニット10は、個振動子12が縦横に配置された二次元のアレイ振動子14を含む。図示するアレイ振動子14は、縦横に同数の個振動子12が配列され、全体として略正方形に構成される。また、図においては、説明のために、個振動子12の数を5×5配置の25個としているが、実際のアレイ振動子14は、格段に多くの、例えば数千個の個振動子12を備えている。この構成においては、超音波ビームを交差する2方向に走査することができる。2方向の走査によって取り込まれた三次元空間内のデータから、三次元空間を表す三次元超音波画像を形成することができる。このデータから任意の断面における超音波画像を形成することもできる。アレイ振動子は、個振動子12が一列に直線状に配列された一次元アレイであってもよい。また、縦方向と横方向において異なる個数の個振動子12を配列した、略長方形のアレイであってもよい。
超音波振動子ユニット10は、アレイ振動子14を駆動する電子回路を備えた回路基板16と、アレイ振動子14を覆って保護する保護層18を有する。このユニット10の場合、回路基板16は、電子回路が形成された電子回路基板20と、この電子回路と個振動子12を接続する配線または回路を有する中継基板22を有する。中継基板22は、電子回路上の端子と個振動子12の接続を切り換える機能を有していてもよい。
個振動子12は、圧電素子24を含む振動素子26と音響整合層28とを含む。振動素子26は圧電素子24のみで構成されてよく、また圧電素子24と共振層30を組み合わせて構成されてもよい。共振層30は、圧電素子24の背面側、つまり超音波を送受する向きの反対側に配置される。また、共振層30は、圧電素子24より音響インピーダンスが高くされており、ハード背面層を形成し、圧電素子24と共振層30が一体となって超音波の送波および受波を行っている。圧電素子24と共振層30の音響インピーダンスはそれぞれ、例えば30MRayls程度、70〜100MRaylsである。共振層30は、例えばカーボンやタングステン等の導電性のフィラーを含む樹脂材料やコバルト等をバインダとした合金を用いて形成することができる。共振層30は、圧電素子24と共振して生体に向けて効率よく超音波を発信するのに役立つ。この場合、圧電素子24は、使用する周波数の超音波の波長λに対し、おおよそ四分の1(λ/4)の厚さに調整されている。
音響整合層28は、圧電素子24から生体へ音響インピーダンスを段階的に減少させ、圧電素子24と生体を音響的に整合させるための層である。音響整合層28は、1層のみにより構成されてもよいが、音響インピーダンスを生体に向けてできるだけ滑らかに減少させるために複数の層を有してもよい。図示する例では、第1音響整合層28A、第2音響整合層28Bの2層から構成されている。
個振動子12の保護層18に対向する面には、各個振動子12に共通のグランド電極32が接合されている。音響整合層28は、導電性を有しており、グランド電極32と振動素子26を電気的に接続している。音響整合層28は、導電性を持たせるために、カーボン、炭素、グラファイト材または導電性フィラーが混入された樹脂を用いることができる。この樹脂は、例えばエポキシ樹脂を用いることができる。グランド電極32の更に上に音響整合層34を設けることもできる。この層は、個々の個振動子12に対応して分割されておらず、アレイ振動子14の全体に共通の層として形成されている。以降において、この音響整合層34を共通音響整合層34と記して前述の音響整合層28と区別する。共通音響整合層34は、個振動子12には属さない。
圧電素子24に電圧を印加するために、圧電素子24に隣接する層の素材は導電性を有することが必要である。この実施形態においては、音響整合層28および共振層30共に導電性を有する。これらの層は、電圧の損失を少なくするため、電気抵抗が低いことが望まれる。音響整合層28が複数の層から構成される場合、層の増加に伴って層同士の接触抵抗が増加する可能性がある。これが音響整合層28全体の電気抵抗を増加させる可能性がある。また、音響整合層28は、圧電素子24と生体の間の超音波の通路となり、超音波をできるだけ効率よく伝達することが要請される。このため、層同士を接着する接着剤の厚さは薄くすることが望まれる。しかし、電気抵抗を増加させるために、接着剤に導電性のフィラーを混入すると、フィラーに阻止されて接着剤の厚さが厚くなる傾向がある。
図2および図3は、アレイ振動子14の製造工程を説明するための図である。図2は、回路基板16の上面である振動子接合面36に振動子ブランク38が接合された状態を示している。振動子ブランク38は、後に分割されて振動素子26となる振動素子素材40と、同様に分割されて音響整合層28となる音響整合層素材42を含む。振動素子素材40は、圧電素子24となる圧電素子素材44を含む。また、振動素子26が圧電素子24と共振層30を含む場合には、振動素子素材40は共振層30となる共振層素材46を更に含む。音響整合層素材42の層数は、音響整合層28の層数と同じである。各々の素材は層をなし、振動子ブランク38は多層に構成されている。振動子ブランク38の各層は、振動子接合面36上に順次積層されてもよく、または、まず各層同士を積層して一体の振動子ブランク38を形成した後、これを回路基板16に接合してもよい。
各層を構成する素材は、隣接する素材に対向する面の全体に電極膜を有してよい。電極膜は、金、銀、ニッケル、その他の導電性が良好な金属で形成される。電極層形成の手法は、メッキ、蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、焼き付け、化学気相堆積法(CVD)などを採用することができる。また、振動子ブランク38の回路基板16に対向する面、すなわち振動素子素材40の下面の全体に、前記の電極膜と同様の電極膜を設けることができる。同様に、振動子ブランク38の保護層18に対向する面の全体に前記の電極膜と同様の電極膜を設けることができる。電極膜は、振動子ブランク38の各層の表裏両面に形成することができる。また、必要に応じて、電極膜を形成する層および面を限定することができる。
振動子ブランク38の各層を構成する素材同士、および回路基板16と振動子ブランク38の接合は、粘度が低く非導電性の接着剤を用いて行われる。接着剤は、例えばエポキシ樹脂系の接着剤を用いることができる。接着剤を塗布し、各層、または各層と回路基板16を積層後、加圧加熱して接着剤を硬化させる。加圧加熱により、接着剤の層の厚さを薄くすることができる。
図3は、振動子ブランク38を切断して分割し、個振動子12を形成した状態を示す図である。振動子ブランク38は、ダイシングソーなどの切削工具により縦横に切断される。切断により、振動素子26と音響整合層28が積層された個振動子12が切り出される。個振動子12は、2次元配列されてアレイを形成する。その後、個振動子12間の隙間に目詰め剤が充填され、さらにグランド電極32、共通音響整合層34及び保護層18が積層されて、図1の状態となる。保護層18は、図1に示す平板形状以外の形状であってもよい。例えば、アレイ振動子14の側面全体、または一部を覆う縁を有するキャップ形状とすることができる。また、保護層18の上面を曲面、特に凸面とすることもできる。
図4は、超音波振動子ユニットの断面図である。図4には、個振動子12と回路基板16の接続態様、および回路基板16を構成する電子回路基板20と中継基板22の接続態様が示されている。なお、個振動子12の各層同士を接着する接着剤、個振動子12の間に充填される目詰め剤、および個振動子12と中継基板22を接着する接着剤については、図示を省略している。中継基板22の上面には電極パッド48が形成され、電極パッド48が対応する個振動子12の下面に接合している。電極パッド48は、中継基板22の貫通ビア50内の導電材料およびはんだ52を介して、電子回路基板20の所定の電極に接続されている。図4では、中継基板22は貫通ビア50のみが示されているが、その上面の電極パッド48と電子回路基板20の端子の接続関係を切り換えるための回路が備えられてもよい。
図5および図6は、個振動子の各層間および個振動子と電極パッドの間の接続の態様を微視的に示す断面図である。これらの図に示す例は、本実施形態との対比のために挙げたものであり、本実施形態とは異なることに留意されたい。図5は、接触する二つの部材70,72のうち、一方の部材70の表面に電極膜(例えば金メッキ膜)74が形成され、他方の部材72は、部材自体が表面に現れている場合を示す図である。回路基板16上に形成される電極パッドは金メッキ処理される場合が多い一方、共振層には金属膜が形成されない。よって、電極パッドと共振層の境界は、図5に示す態様になる。また、圧電素子も、その表面に金属膜が形成されるのが一般的であり、圧電素子と音響整合層または共振層の境界も図5に示す態様となる。二つの部材70,72は、接着剤76で接合されている。
図6は、接触する二つの部材78,80の両者ともに金属膜を有さず、部材そのものが表面に現れている場合を示す図である。音響整合層は、その表面に金属膜が形成されていないものが一般的であり、音響整合層同士の境界は、図6に示す態様になる。二つの部材78,80は、接着剤82で接合されている。
図5,6に示すように、部材70,72,78,80(以下、簡単のために部材70等と記す。)の表面は、微視的に見ると凹凸を有しており、限られた部分(接触点84)で接触している。接触点84の数は、部材70等の表面が粗くなると減少し、実質的な接触面積が小さくなる。前述のように音響整合層および共振層は、基材の樹脂は非導電性であるが、導電体であるフィラーを含有することによって層全体として導電性を有するものとなっている。このような部材においては、樹脂による抵抗が大きく、表面の接触抵抗およびフィラー間の抵抗は大きい。このため、層同士の接触点84の間の、接触点から離れたフィラーは導通に関与しない。接触点84の数が減少すると、導通に関与するフィラーが減少し、導電性が低下するという問題がある。
前述のように、この実施形態のアレイ振動子14は、振動子ブランク38を切断して形成される。切断時に振動子ブランク38を構成する各層が剥がれないように、隣接する層同士を強固に接着する必要がある。このため、各層の表面は、適切な粗さが与えられている。適切な粗さを与えることにより、表面の凹の部分の接着剤が隣接する層の接着に関与して、層間の接合を強固なものとする。しかし、表面の粗さが大きいと、前述のように導電性の低下を招く場合がある。
この超音波振動子ユニット10においては、接着される層の表面に金属膜を形成してこれを電極膜54とし、導電性の改善を図っている。図7は、超音波振動子ユニット10の各層間、および個振動子12と電極パッド48の間の接続の態様を微視的に示す断面図である。図7において、接着される二つの部材として、第1および第2音響整合層28A,28Bを例示するが、他の層、電極パッド48の場合も例示の場合と同様であり、その説明は省略する。
第1および第2音響整合層28A,28Bの互いに対向する面は、接着に適切な粗さに処理されている。粗さは、電極膜形成前において、例えば中心平均粗さ(Ra)で0.2〜1.0μmである。さらに、第1および第2音響整合層28A,28Bの互いに対向する面には、それぞれ電極膜54が形成されている。電極膜は、金属、例えば金、銀、ニッケル等で構成される。電極膜54同士が接触点56で接触し、電極膜54の間には接着剤58が介在している。電極膜54の厚さは、表面の粗さと同程度とすることが好ましく、例えば0.3〜1.0μm、より好ましくは0.4〜0.7μmとすることができる。電極膜54の厚さが表面の粗さより極端に薄いと、電極膜54が表面全体に形成されない場合、特に、表面の凸の部分に十分形成されない場合がある。一方で、電極膜54が大幅に厚いと、表面の凹凸がならされてしまい、接着剤58の層の厚さが確保できない場合がある。以上の理由から、電極膜54の厚さの範囲が定められている。
第1および第2音響整合層28A,28Bの対向する表面に電極膜54を形成すると、電流は接触点56から電極膜54内を流れる。このため、接触点56から離れた部分のフィラーも電気伝導に関与し、電気抵抗が低減される。このことが、図5〜7において矢印で模式的に示されている。図5,6においては、接触点84の近傍のみ矢印が描かれており、接触点84の近傍のフィラーが電気伝導に関与し、一方で接触点84から離れたフィラーが電気伝導に関与していないことを表している。図7においては、電極膜54の全体にわたって矢印が描かれており、電極膜が形成された部分の全体のフィラーが電気伝導に関与していることを表している。電極膜54を形成したことにより、より多くのフィラーが電気伝導に関与し、このため電気抵抗が低減する。発明者らの実験によれば、電極膜がない音響整合層の材料を2層接合した場合の抵抗が5〜10Ωであったのに対し、表裏両面に金メッキをして電極膜を形成することで電気抵抗がほぼ0Ωとなることが確認できた。
図8は、超音波振動子ユニット10の製造工程を示すフローチャートである。ステップS100〜S104が振動子ブランク38の各層となる素材を準備する工程であり、ステップS106〜S112が製造過程の全体の概要を示している。テップS100〜S104の各層の素材を準備する工程において、対象とする層は適宜選択することができる。通常、圧電素子素材44は、すでに表裏に電極膜が形成されたものを使用するので、以下の説明では、それ以外の素材、すなわち第1および第2音響整合層素材42A,42B、共振層素材46を準備する場合について説明する。
振動子ブランク38の第1および第2音響整合層素材42A,42B、共振層素材46の厚さの調整を行う(S100)。これらの素材は、加工代を考慮して仕様に定められた厚さより厚く板材に荒加工された後、両面研磨装置、平面研削盤等を用いた研磨加工にて厚さが調整される。このときの厚さは、後続の工程の加工代を入れた値である。
次に、両面研磨装置を用い、適切な粒径の研磨材(砥粒)を使用して、各素材の表面を所定の粗さとする表面粗し加工を行う(S102)。このときの表面粗さは、中心平均粗さ(Ra)で例えば0.2〜1.0μmとできる。また、このときの表面粗さは、前段階の厚さ調整後の表面粗さより粗くされている。この表面粗し加工は、層間の接着強度を向上する目的で実施するが、後段階のS104で形成される電極膜の密着強度を向上する効果もある。
表面粗し加工された表面に対し電極膜54を形成する(S104)。電極膜54の形成手法としては、電解メッキ、無電解メッキ、スパッタリング、イオンプレーティング、蒸着、CVD(化学気相成長)、焼き付け等を採用することができる。電極膜54は、単層とすることも、複層とすることもできる。最外層の金属は、金、銀、ニッケルを採用することができる。電極膜54は、層を構成する素材と電極膜の密着強度を向上させるために複層とすることができ、例えば、最外層を金とし、最外層と素材との間にニッケルの中間層を設けることができる。
振動子ブランク38の素材を準備する一方、回路基板16の準備も行う。中継基板22に電子回路基板20およびFPC(フレキシブルプリント基板)をはんだリフロー等により実装する(S106)。FPCは、アレイ振動子14と超音波診断装置本体を繋ぐ配線の一部となる。中継基板22の、電子回路基板20と反対側の面には、電極パッド48が二次元アレイ状に並んで設けられている。
中継基板22の、電極パッド48が配列された面に共振層素材46、圧電素子素材44、第1および第2音響整合層素材42A,42Bを接着剤を塗布して積層し、加圧加熱して接着する(S108)。これにより、回路基板16に接合された振動子ブランク38が形成される。この状態が前出の図2に示されている。この振動子ブランク38をダイシングソーにより切断し、振動子ブランク38を分割して、アレイ振動子14を形成する(S110)。この状態が前出の図3に示されている。振動子ブランク38は、電極パッド48の一つが、一つの個振動子12に対応するように切断される。切断後、個振動子12同士の隙間に目詰め剤が充填される。最後に、グランド電極32、共通音響整合層34および保護層18が接着されて、探触子ユニットが完成する(S112)。
図9は、振動子ブランク38が回路基板16に接合されたときの、共振層30と回路基板16の境界周辺の状態を示す図である。製造上のばらつきによって、電極パッド48の高さに差hがあると、低い電極パッド48が共振層30に接触しない場合がある。共振層30の材料が、硬い場合、例えばタングステンを含む場合には、電極パッド48の高低差hによる接触不良が発生しやすい。この高低差hによる接続不良を回避するために、共振層30の回路基板16に対向する面に軟質の金属からなる電極膜60、例えば金の膜を形成する。電極膜60の厚さは、実際に発生する電極パッド48の高低差hに応じて定めることができ、例えば0.3〜5μmとすることができる。
10 超音波振動子ユニット、12 個振動子、14 アレイ振動子、16 回路基板、20 電子回路基板、22 中継基板、24 圧電素子、26 振動素子、28 音響整合層、30 共振層、38 振動子ブランク、40 振動素子素材、42 音響整合層素材、44 圧電素子素材、46 共振層素材、48 電極パッド、54 電極膜、56 接触点、58 接着剤、60 電極膜。

Claims (9)

  1. アレイ振動子を有する超音波振動子ユニットの製造方法であって、
    圧電素子素材の層を含む多層構成の振動子ブランクの少なくとも1組の隣接する層となる導電性の素材の、互いに対向する表面に対し、表面粗さを所定の粗さとする表面粗し加工を行うステップと、
    表面粗し加工を行った素材の表面に電極膜を形成するステップと、
    振動子ブランクの各層となる素材を非導電性接着剤により接着して積層し、回路基板に接合された振動子ブランクを形成するステップと、
    回路基板に接合された振動子ブランクを切断し、アレイ振動子を形成するステップと、
    を有する、超音波振動子ユニットの製造方法。
  2. 請求項1に記載の超音波振動子ユニットの製造方法であって、
    振動子ブランクは複数の音響整合層を含み、
    電極膜を形成するステップにおいて、複数の音響整合層となる素材の互いに対向する表面に電極膜が形成される、
    超音波振動子ユニットの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の超音波振動子ユニットの製造方法であって、
    前記表面粗し加工を行うステップにおいて、加工対象の表面を中心平均粗さで0.2〜1.0μmに加工し、
    前記電極膜を形成するステップにおいて、厚さ0.3〜1.0μmの電極膜を形成する、
    超音波振動子ユニットの製造方法。
  4. 請求項3記載の超音波振動子ユニットの製造方法であって、前記電極膜の厚さが0.4〜0.7μmである、超音波振動子ユニットの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の超音波振動子ユニットの製造方法であって、
    電極膜を形成するステップにおいて、振動子ブランクを構成する層となる全ての素材の表裏両面に電極膜が形成される、
    超音波振動子ユニットの製造方法。
  6. 回路基板に接合され、接合後切断されてアレイ振動子となる振動子ブランクの製造方法であって、
    圧電素子素材の層を含む多層構成の振動子ブランクの少なくとも1組の隣接する層となる導電性の素材の、互いに対向する表面に対し、表面粗さを所定の粗さとする表面粗し加工を行うステップと、
    表面粗し加工を行った素材の表面に電極膜を形成するステップと、
    振動子ブランクの各層となる素材を非導電性接着剤により接着して積層し振動子ブランクを形成するステップと、
    を含む、振動子ブランクの製造方法。
  7. 請求項6に記載の振動子ブランクの製造方法であって、
    振動子ブランクは複数の音響整合層を含み、
    電極膜を形成するステップにおいて、複数の音響整合層となる素材の互いに対向する表面に電極膜が形成される、
    振動子ブランクの製造方法。
  8. 回路基板と回路基板に接合されたアレイ振動子とを含む超音波振動子ユニットであって、
    アレイ振動子が、圧電素子の層を含む多層構成の複数の個振動子からなり、各個振動子の少なくとも1組の隣接する導電性の層は、互いに対向する表面が中心平均粗さで0.2〜1.0μmに加工後電極膜が形成され、当該層同士が非導電性接着剤により接着されている、超音波振動子ユニット。
  9. 請求項8に記載の超音波振動子ユニットであって、個振動子は複数の音響整合層を含み、電極膜が形成される前記の層が音響整合層である、超音波振動子ユニット。
JP2012282688A 2012-12-26 2012-12-26 超音波振動子ユニットおよびその製造方法 Active JP6023581B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012282688A JP6023581B2 (ja) 2012-12-26 2012-12-26 超音波振動子ユニットおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012282688A JP6023581B2 (ja) 2012-12-26 2012-12-26 超音波振動子ユニットおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014127821A JP2014127821A (ja) 2014-07-07
JP6023581B2 true JP6023581B2 (ja) 2016-11-09

Family

ID=51407022

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012282688A Active JP6023581B2 (ja) 2012-12-26 2012-12-26 超音波振動子ユニットおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6023581B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US12023198B2 (en) 2020-05-29 2024-07-02 Canon Medical Systems Corporation Ultrasonic transducer element, ultrasonic probe, and electrode structure of ultrasonic transducer element

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6675142B2 (ja) * 2014-10-29 2020-04-01 キヤノンメディカルシステムズ株式会社 超音波プローブ
JP6528504B2 (ja) * 2015-03-31 2019-06-12 コニカミノルタ株式会社 超音波振動子およびその製造方法ならびに超音波探触子
JP7187165B2 (ja) * 2018-04-18 2022-12-12 キヤノンメディカルシステムズ株式会社 超音波プローブ及び超音波診断装置
JP7261429B2 (ja) * 2019-02-28 2023-04-20 本多電子株式会社 ソナー、超音波振動子及びその製造方法
JP7546026B2 (ja) * 2021-12-31 2024-09-05 エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド 装置

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04218765A (ja) * 1990-03-26 1992-08-10 Toshiba Corp 超音波プローブ
JPH05284599A (ja) * 1992-03-31 1993-10-29 Fuji Electric Co Ltd 超音波振動子
JP3304560B2 (ja) * 1993-10-26 2002-07-22 ジーイー横河メディカルシステム株式会社 超音波探触子及び超音波探触子の製造方法
JP2000297256A (ja) * 1999-04-14 2000-10-24 Mitsui Mining & Smelting Co Ltd 導電性粘着テープ
JP4520317B2 (ja) * 2005-01-25 2010-08-04 パナソニック株式会社 超音波探触子、超音波診断装置及び超音波探傷装置
KR100747336B1 (ko) * 2006-01-20 2007-08-07 엘에스전선 주식회사 이방성 도전 필름을 이용한 회로기판의 접속 구조체, 이를위한 제조 방법 및 이를 이용한 접속 상태 평가방법
JP5415274B2 (ja) * 2007-10-15 2014-02-12 パナソニック株式会社 超音波探触子

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US12023198B2 (en) 2020-05-29 2024-07-02 Canon Medical Systems Corporation Ultrasonic transducer element, ultrasonic probe, and electrode structure of ultrasonic transducer element

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014127821A (ja) 2014-07-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6023581B2 (ja) 超音波振動子ユニットおよびその製造方法
JP4913814B2 (ja) 改良された超音波プローブ変換器アセンブリ及び生産方法
US8207652B2 (en) Ultrasound transducer with improved acoustic performance
JP4801989B2 (ja) 超音波プローブ
US7567016B2 (en) Multi-dimensional ultrasound transducer array
JP5643667B2 (ja) 超音波トランスデューサ、超音波プローブおよび超音波トランスデューサの製造方法
US6859984B2 (en) Method for providing a matrix array ultrasonic transducer with an integrated interconnection means
CN102497938B (zh) 带有整体的电连接的超声波成像转换器声学叠层
JP4323487B2 (ja) 超音波振動子及びその製造方法
US11197655B2 (en) Ultrasound probe and method of manufacturing ultrasound probe
CN110026329B (zh) 超声换能器及其制备方法
JP2009503990A5 (ja)
JP5543178B2 (ja) 超音波診断装置用プローブ及びその製造方法
US6664717B1 (en) Multi-dimensional transducer array and method with air separation
JP4941998B2 (ja) 超音波プローブの圧電振動子、超音波プローブ、超音波診断装置及び超音波プローブにおける圧電振動子の製造方法
JP4528606B2 (ja) 超音波プローブ及び超音波診断装置
JP6063289B2 (ja) 超音波振動子ユニットの製造方法
JP3612312B2 (ja) 超音波探触子及びその製造方法
JP5079485B2 (ja) 超音波探触子及びその製造方法
JP2002345094A (ja) 超音波探触子用バッキング及びその製造方法
EP2190008A1 (en) Probe for ultrasound system and method of manufacturing the same
JP3880218B2 (ja) 超音波探触子
JP4999669B2 (ja) 超音波探触子
JP2017164258A (ja) 超音波探触子
JP5457843B2 (ja) 超音波プローブ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151106

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20160523

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160912

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160920

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161007

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6023581

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250