JP6023553B2 - セシウム吸着材及びセシウム吸着フィルター体 - Google Patents

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Description

本発明はセシウム吸着材及びセシウム吸着フィルター体に関し、特に、セシウムを選択的に吸着する吸着材と当該吸着材を含んでなるフィルター体に関する。
一般的なウラン型原子炉に用いられる核燃料において、235Uは核分裂反応の主要元素である。235Uの核分裂反応により生成される放射性物質の核種に90Sr、131I、134Cs、137Cs等がある。前記の核種が環境中に拡散された場合、半減期の長さや核分裂反応による生成量の点から、特に137Csの存在が問題視される。137Csの半減期は約30年でありβ壊変(β崩壊)することから、β線照射を伴う長期間の被曝の危険性がある。
それゆえ、環境中への拡散分、核燃料中や原子炉施設内からの137Cs等の放射性核種(放射性同位体)の回収等は喫緊の問題である。速やかに回収後、安定核種(安定同位体)に変化するまで隔離、遮蔽する必要がある。このような経緯から、効率よいセシウムの回収材料、回収方法が検討されている。
セシウムはアルカリ金属であるため、Cs+のイオンの状態で水中に存在することが多い。土壌等の環境中のセシウムを回収するに際し、通常は、多くの種類の金属化合物や金属イオンが存在している。そのため、単なるイオン交換体のみの使用では、当然ながら、セシウム以外の金属イオンも吸着することになり、選択吸着効率は良好とはいえない。そこで、過大な設備を必要とする等の問題がある。
例えば、独立行政法人産業技術総合研究所(AIST)による2011年8月24日並びにそれ以降の発表において、プルシアンブルーはセシウムの選択的な吸着に効果を発揮することが明らかにされている。これはプルシアンブルー錯体の格子状の空隙の大きさと、セシウムイオン(水和セシウムイオン)の大きさが比較的近似しているため、空隙内に安定的に取り込まれる特性に着目した知見である。
プルシアンブルー自体は青色の染料、塗料等として古くから使用されていた。プルシアンブルーの効率的な製造方法として、陰イオン性金属シアノ錯体を含有する水溶液と、金属陽イオンを含有する水溶液とを混合し、双方の水溶液由来の金属原子を有するプルシアンブルー型金属錯体の結晶を析出させ、次いで、配位子を溶媒に溶解させた溶液と、プルシアンブルー型金属錯体の結晶とを混合して、プルシアンブルー型金属錯体超微粒子の分散液とし、ここから分離してプルシアンブルー型金属錯体を得る手法である(特許文献1参照)。
特許文献1のプルシアンブルー型金属錯体は、微粒子となることによって粒子自体の表面積が増してセシウムイオンとの接触面積は増加する。従って、水中に存在するセシウムイオンは効率よくプルシアンブルーに吸着される。その反面、プルシアンブルー自体も水中に分散しているため、被処理水からのプルシアンブルー微粒子を分離し、回収することは必ずしも容易ではなかった。プルシアンブルー微粒子の回収に際しては、遠心分離や別途の凝集処理が必要である。特に、137Cs等の放射性核種を吸着したプルシアンブルーを処理する際の被曝の危険性が高い。このため、極力処理に要する時間の軽減、処理自体の簡素化が喫緊の課題である。
そこで、プルシアンブルーが具備するセシウムの選択的吸着性能を活かしながら、よりプルシアンブルーの取り扱いの利便性を高めた新たなセシウム吸着材が求められるに至った。さらに、当該セシウム吸着材の効果的なフィルター体も求められるに至った。
特開2006−256954号公報
以前から活性炭や濾過用フィルターの性能改善に取り組んでいた発明者らは、セシウムの選択吸着の分野にも活性炭を利用することについて鋭意検討を重ねていた。その結果、活性炭やプルシアンブルーの種類を適切に選択することによりプルシアンブルーと活性炭と組み合わせることに成功し、効率よいセシウムの吸着を可能にした。
本発明は、上記状況に鑑み提案されたものであり、セシウムの吸着に用いるプルシアンブルーを直接活性炭に付着させることによって、プルシアンブルー単体での使用よりも取り扱いの利便性を高めたセシウム吸着材を提供するとともに、当該セシウム吸着材を適用したフィルター体を提供する。
すなわち、請求項1の発明は、基材活性炭に、粒径を10ないし20nmとする疎水性のプルシアンブルー微粒子を付着してなり、前記基材活性炭をMP法により測定した比表面積(S M )と前記基材活性炭をDH法により測定した比表面積(S D )との間に下記(i)式が成立し、前記基材活性炭をMP法により測定した細孔容積(V M )と前記基材活性炭をDH法により測定した細孔容積(V D )との間に下記(ii)式が成立することを特徴とするセシウム吸着材に係る。
Figure 0006023553
Figure 0006023553
請求項の発明は、前記セシウム吸着材において、前記基材活性炭100重量部に対し前記プルシアンブルー微粒子は1ないし50重量部付着している請求項に記載のセシウム吸着材に係る。
請求項の発明は、請求項1または2に記載のセシウム吸着材を含有してなることを特徴とするセシウム吸着フィルター体に係る。
請求項1の発明に係るセシウム吸着材によると、基材活性炭に、粒径を10ないし20nmとする疎水性のプルシアンブルー微粒子を付着してなり、前記基材活性炭をMP法により測定した比表面積(S M )と前記基材活性炭をDH法により測定した比表面積(S D )との間に(i)式が成立し、前記基材活性炭をMP法により測定した細孔容積(V M )と、前記基材活性炭をDH法により測定した細孔容積(V D )との間に(ii)式が成立するため、ミクロ孔とメソ孔のいずれの細孔の量が優勢であるか把握でき、疎水性プルシアンブルー微粒子の付着に有利な基材活性炭の選定に役立てることができるとともに、プルシアンブルー単体での使用よりも取り扱いの利便性を高めることができる。また、プルシアンブルー微粒子が疎水性であるため、処理対象のセシウムが溶解している水と必要以上に親和することなく基材活性炭に保持される。加えて、活性炭自体も疎水性であることから、双方の接着性も良くなる。さらに、既存のプルシアンブルー(紺青)の粒径よりも細かいため、活性炭の細孔内に入りやすく保持量や保持性能が向上する。
請求項の発明に係るセシウム吸着材によると、請求項において、前記セシウム吸着材において、前記基材活性炭100重量部に対し前記プルシアンブルー微粒子は1ないし50重量部付着しているため、セシウム吸着材に求められる多用な用途に対応することができる。
請求項の発明に係るフィルター体によると、請求項1または2に記載のセシウム吸着材を含有してなるため、取り扱いの利便性がさらに高まる。特に、作業の効率の向上から放射性セシウムによる被曝の危険性を抑えることができる。
本発明のセシウム吸着材の製造方法を説明する概略工程図である。 本発明のセシウム吸着フィルター体の斜視図である。 セシウム吸着フィルター体の製造工程を示す概略工程図である。
本発明のセシウム吸着材は、吸着材を構成する基材活性炭にプルシアンブルー微粒子を付着させた粒状物である。このため、プルシアンブルーを単体で取り扱う場合と比較して活性炭を介在させた分だけ活性炭の粒状物としての利便性が備わる。例えば、遠心分離の省略、あるいは遠心分離に要する時間の圧縮や装置の簡素化である。さらに、後述するフィルター体の内部に組み込む吸着材とすることも可能である。
基材活性炭は、木材の製材、加工時に生じるオガコ(大鋸屑)や鉋屑等、廃材や間伐材、廃竹、伐採竹、ヤシ殻等のセルロース分に富む木質の植物原料の粉砕物を炭化、焼成、適宜の賦活を経て得た炭化物である。植物原料の他に、古タイヤ、フェノール樹脂等の各種樹脂製品の炭化物等も加えることができる。基材活性炭は比較的安価かつ量的に調達可能である。また、従来から吸着、濾過材料として使用されており、安定性、安全性が高くしかも活性炭表面に発達した細孔により幅広い物質を吸着対象とすることができる。
基材活性炭の大きさはセシウム吸着材の使用条件、適用場所等を勘案して調達可能な活性炭の中から選択される。比較的良好な大きさを検討すると、活性炭の粒径は0.08mmないし2.4mmの範囲、好ましくは0.15mmないし1.0mmの範囲が適切である。
基材活性炭の粒径については、細かくなるほどプルシアンブルー微粒子や処理対象の水との接触面積が増加するため吸着効率が高まり好ましい。ただし、例えば濾過装置のカラムに充填して使用する用途を想定すると、極端に粒径が小さい場合、装置を通過する被処理液の圧力損失が大きくなり処理能力の低下を招く。そこで、0.08mmが粒径の下限と考えられる。
プルシアンブルー(Prussian blue)は、一般に「FeIII 4[FeII(CN)63」として示される金属ヘキサシアノ錯体の一種であり、格子状の結合を成す。Fe以外の金属元素としてNi、Coが配位する種類も存在する。
プルシアンブルーは染料や顔料として主に使用されている。従前の塗料用途のプルシアンブルーの場合、塊状やフレーク状等の不定形状であり、用途に応じ適宜所望の粒子径に粉砕していた。しかし、通常の粉砕方法では基材活性炭と比較して、ナノメートル径の微小なプルシアンブルーの粒子に加工することは難しい。そのため、プルシアンブルーの基材活性炭表面への付着精度のばらつきは多い。プルシアンブルー自体が塊となっている場合、セシウムイオンがプルシアンブルーの粒状体内部まで侵入し難く、単位重量当たりのプルシアンブルーによるセシウムの吸着効率の向上は思わしくない。
そこで、プルシアンブルーは水や有機溶媒等への分散性を高めるべく微粒子の性状が好適である。具体的には、関東化学株式会社からプルシアンブルーナノ分散液として販売されている。このプルシアンブルー微粒子の粒径はおよそ10ないし20nmであり、親水性もしくは疎水性を呈する微粒子である。プルシアンブルー微粒子の調製に際し、前出の特許文献1(特開2006−256954号公報)の手法が例示される。
従前の一般に使用されているプルシアンブルー(紺青)はおよそ1ないし10μmの粒径である。それゆえ、大きさの相違が大きすぎて後記する活性炭の細孔内にプルシアンブルーの粒子は入りにくい。これに対し、プルシアンブルー微粒子が前記の10ないし20nmの粒径範囲であることにより、基材活性炭表面に発達した細孔内に比較的容易に入りやすくなる。単に基材活性炭表面への付着に留まらず細孔内部への侵入も可能であるため、基材活性炭のプルシアンブルー微粒子の担持性能は向上し、安易な脱離は抑制される。また、プルシアンブルー自体が微粒子状であるため個々の微粒子の表面積は増し、セシウムイオンがプルシアンブルーの粒状体内部まで侵入しやすくなり、総じてセシウムの吸着効率は向上する。
加えて、本発明に用いるプルシアンブルー微粒子については疎水性の微粒子とすることが好ましい。本発明のセシウム吸着材は専らセシウムの溶解した水処理に用いられる。このため、親水性が高まれば活性炭から離脱して処理対象水へのプルシアンブルー漏洩のおそれがある。加えて、活性炭自体も疎水性であることから疎水性同士となり双方の接着性も高まる。そこで、基材活性炭に良好に保持される点を考慮してプルシアンブルー微粒子については疎水性とすることが望ましい。
基材活性炭にプルシアンブルー微粒子が付着してなるセシウム吸着材にあっては、基材活性炭100重量部に対し、プルシアンブルー微粒子は1ないし50重量部付着される。プルシアンブルー微粒子の付着量が1重量部よりも少ない場合、セシウム吸着材の使用量と比較してセシウムの吸着性能が少なくなり効率の上で好ましくない。プルシアンブルー微粒子の付着量が50重量部よりも多い場合、後記実施例のセシウム吸着性能の傾向からプルシアンブルー微粒子は基材活性炭に対し十分な量である。そこで、セシウム吸着材の使用条件、セシウムの濃度、使用期間等を勘案して多用な要望に応えるべく前掲のプルシアンブルー微粒子の付着量範囲が導き出される。
基材活性炭は前述のとおり粒の大きさ以外に表面に発達する細孔が重要な役割を担う。一般に活性炭においては、ミクロ孔(直径2nm以下)、メソ孔(直径2ないし50nm)、マクロ孔(直径50nm以上)の各種大きさの細孔が生じる。基材活性炭の比表面積、その細孔の大きさや細孔の分布を制御、選択することにより、多様な選択吸着の用途に適合可能である。
そこで、10ないし20nmの粒径範囲で存在するプルシアンブルー微粒子を安定して基材活性炭に付着させることとの関連性から、基材活性炭におけるミクロ孔とメソ孔の分布に着目し、比表面積、細孔容積を評価の指標とした。比表面積は、プルシアンブルー微粒子が基材活性炭に付着可能な面積量を推定する指標となる。細孔容積は、プルシアンブルー微粒子が基材活性炭に付着可能な体積量を推定する指標となる。
活性炭の細孔の解析に際し、MP法(Micropore法)は一般に直径2nm以下のミクロ孔の分布解析に用いられる。DH法(Dollimore−Heal法)は一般に直径2nmないし50nmのメソ孔の分布解析に用いられる。ミクロ孔とメソ孔のそれぞれに好適な手法を用いて解析することができる。なお、マクロ孔はプルシアンブルー微粒子と比較して極端に大きい。そのため、マクロ孔は直接プルシアンブルー微粒子の保持への作用は少ないと考えられる。
基材活性炭について、MP法により測定した比表面積(SM)は主にミクロ孔を反映した値であり、DH法により測定した比表面積(SD)は主にメソ孔を反映した値である。同様に、MP法により測定した細孔容積(VM)は主にミクロ孔を反映した値であり、DH法により測定した細孔容積(VD)は主にメソ孔を反映した値である。比表面積(SM)と(SD)の間の比率(SM/SD)、さらに、細孔容積(VM)と(VD)の間の比率(VM/VD)を算出することにより、ミクロ孔とメソ孔のいずれの細孔の量が優勢であるか把握できる。
使用するプルシアンブルー微粒子の粒径範囲から、メソ孔側が多くなるほどプルシアンブルー微粒子は基材活性炭の細孔内に付着されやすくなると予想される。そこで、活性炭ごとの比表面積の傾向に着目すると、(i)式のとおり比表面積間の比率(SM/SD)として表すことができる。
Figure 0006023553
さらに、活性炭ごとの細孔容積の傾向に着目すると、(ii)式のとおり細孔容積間の比率(VM/VD)を表すことができる。
Figure 0006023553
比表面積間の比率(SM/SD)の数値「1.3」及び細孔容積間の比率(VM/VD)の数値「0.4」は後記実施例より下限として導き出される。また、比表面積間の比率(SM/SD)の数値「20.8」及び細孔容積間の比率(VM/VD)の数値「8.6」を超過する場合、プルシアンブルーの漏出が多くなりすぎる。そこで、(i)式の「1.3ないし20.8」及び(ii)式の「0.4ないし8.6」に示す上限値、下限値が規定される。
MP法及びDH法の解析領域を重複させることにより、活性炭の比表面積、活性炭に発達した細孔容積をより正確に把握できる。そこで、疎水性プルシアンブルー微粒子の付着を想定し、そのために好適な基材活性炭の選定に役立てることができる。
次に、図1の概略工程図を用いセシウム吸着材の一例となる製造方法を説明する。当該製造方法に使用する原料等は前出の原料と共通するため、その説明を省略する。
図1(a)より、セシウム吸着材の本体となる基材活性炭1が用意される。活性炭については、その粒子径、比表面積、細孔容積を満たす種類から選択される。使用するプルシアンブルーは微粒子状に形成された微結晶であり、主に水等の液体中に分散されている性状である。プルシアンブルー微粒子の水分散液2とすることにより、計量や取り扱いは容易となる。また、プルシアンブルー微粒子の水分散液2は、プルシアンブルー微粒子の粒径を10ないし20nmとする疎水性の粒子である。プルシアンブルー微粒子として疎水性の粒子を選択した理由は、前述のとおり処理対象水への溶出を考慮したためである。
図1(b)のように、プルシアンブルー微粒子の水分散液2は、例えば噴霧装置3に装填され、基材活性炭1に対して霧状に噴霧(スプレー)される。噴霧による付着とする場合、基材活性炭1の各粒子に比較的均等に、しかも、むらなくプルシアンブルー微粒子の吹き付けが可能である。また、水分散液の量を抑制できるため、後述の乾燥時の負担を軽減することができる。
そして、図1(c)のとおり、プルシアンブルー微粒子の水分散液2が基材活性炭1に噴霧されて生じたプルシアンブルー付着活性炭4は、適宜の乾燥機5等を用いて乾燥され、噴霧時に付着した水分は蒸発する。乾燥の温度や時間は装置の処理能力等により適宜設定される。
基材活性炭に付着するプルシアンブルー微粒子の量の調整は、自明ながらプルシアンブルー微粒子の水分散液2の噴霧量となる。この場合、噴霧量を多くすると噴霧量と比べて付着されずに流出してしまう量も増す。このことから、基材活性炭表面への十分な付着を得ることが難しい。
そこで、同図(b)のプルシアンブルー微粒子の水分散液の噴霧とその後の(c)の乾燥を複数回にわたり繰り返す手法が好ましい。噴霧と乾燥を繰り返す利点は、1回当たりの噴霧量を必要かつ十分な量にすることができ、プルシアンブルー微粒子の水分散液の浪費を防ぐことができる。続く乾燥においても、水分散液が過剰ではないため乾燥効率も良い。いったん乾燥した後、再度プルシアンブルー付着活性炭4に対してプルシアンブルー微粒子の水分散液2が噴霧され、乾燥される。噴霧と乾燥を2回以上繰り返すことにより、回数に応じてプルシアンブルー微粒子の付着量を増やすことができ、付着量の調整は容易である。最終的に乾燥を終えてセシウム吸着材6は出来上がる(図1(d))。
これまでに説明したセシウム吸着材は主に水中に溶解している放射性セシウムを吸着することにより、環境中の放射能汚染を低減する用途を想定している。セシウム吸着材は粒状物であり不定形であるため、所望の用途に幅広く適用可能である。特に、プルシアンブルー微粒子が単独で存在している状態に比べて基材部分を備えたため、分離や回収等の取り扱いやすさは向上する。また、既存の活性炭と形態が同様であることから、各種の濾過部材、フィルター等の定形部材への適用も容易である。そこで、後記実施例に示すように、前述のセシウム吸着材を含有するフィルター体とすることができる。フィルター体に加工すると、濾過装置等への取り付け、取り外しが簡単であり、保守、点検の効率も上がる。特に、放射性セシウムによる被曝の危険性を抑えることができ都合がよい。
セシウム吸着材配合のフィルター体の一例について図2を用い説明する。図2(a)のフィルター体Fのフィルター本体10は、適宜の透過孔を有した中空円筒形芯部材12の表面に濾過能力を有する濾過部11を凝集させた構造体である。また、図2(b)のフィルター体Faのように、キャップ14等の付属品が取り付けられ、取り扱いの利便性が図られる。同図において、フィルター本体10の濾過部11の表面は、不織布等の透過性の高い布状物13により被覆、保護される。そして、濾過部11の上下を保護するキャップ14が被せられる(キャップの形状、材質は用途により異なる。)。
フィルター体におけるフィルター本体の濾過部は、例えば、セシウム吸着材と、ポリエチレン繊維、これらの結合性を高めるためにアクリル繊維バインダー、さらには繊維状活性炭等が適量添加されて形成される。セシウム吸着材以外の成分により濾過部の保形性を確保した構造体である。
図3を用いセシウム吸着材配合のフィルター体の製造例も説明する。はじめに、セシウム吸着材21と、繊維状構成材22は水中に投入され、十分に混合されて混合スラリー状物20が調製される(図3(a),(b))。繊維状構成材22は、例えば、ポリエチレン繊維、アクリル繊維、または繊維状活性炭等から選択される。
中空円筒形芯部材12の内部に、混合スラリー状物を減圧吸引するための多孔の金型棒状部材26が挿入される。中空円筒形芯部材12には透過孔(図示省略)が形成されており、金型棒状部材26は多孔形状のステンレス製である。中空円筒形芯部材12と金型棒状部材26の一体化物が混合スラリー状物20内に降ろされた後、金型棒状部材26を介して減圧吸引することにより、混合スラリー状物20は中空円筒形芯部材12の側面に引き寄せられて被着する(図3(c))。図示の切り欠き部分参照のとおり、中空円筒形芯部材の表面にスラリー被着部27が形成される。所定量のスラリー被着部27が形成された後、混合スラリー状物から引き上げられ、金型棒状部材26が取り外される。こうして中空円筒形芯部材12の表面にスラリー被着部27を備えた吸着被着物25が得られる。その後、吸着被着物25は乾燥機30内で加熱乾燥され、出来上がる(図3(d),(e))。
フィルター体において水中に存在するセシウム(セシウムイオン)は、セシウム吸着材に含まれるプルシアンブルーにより吸着される。ここにアクリル繊維や炭素繊維等が配合されることによりセシウム吸着材を互いに保持する構造材料として作用する。繊維状構成材はセシウム吸着材を互いに保持する結着材料として作用し、フィルター本体の形状を維持するための網状の構造材として作用する。
むろん、フィルター体の構造、作製方法は図示し詳述した例に限られることなく適宜の構造、作製方法を採用可能である。例えば、小孔を複数設けた収容容器にセシウム吸着材自体を充填する等の簡便な構造のフィルター体とすることも可能である。また、開示例のフィルター体に他の既存の濾過用のフィルター体を組み合わせて放射性セシウムに加え他の成分の除去性能も高めて使用することもできる。すなわち、放射性物質の濃度、濾過装置、浄水規模等を勘案して適切に構築される。
〔原料・物性〕
発明者らは、基材活性炭として、下記の活性炭(1)ないし(6)と疎水性プルシアンブルー微粒子を使用し、セシウム吸着材を作成した。各活性炭の諸物性は表1である。
・活性炭(1)
フタムラ化学株式会社製,木質系活性炭「太閤SG280P」,粒子径:0.180〜0.710mm
・活性炭(2)
フタムラ化学株式会社製,ヤシ殻活性炭「太閤CW480AZ」,粒子径:0.180〜0.425mm
・活性炭(3)
フタムラ化学株式会社製,ヤシ殻活性炭「太閤CW480AR」,粒子径:0.180〜0.425mm
・活性炭(4)
フタムラ化学株式会社製,ヤシ殻活性炭「太閤CW480A」,粒子径:0.180〜0.425mm
・活性炭(5)
フタムラ化学株式会社製,ヤシ殻活性炭「太閤CW480AL」,粒子径:0.180〜0.425mm
・活性炭(6)
フタムラ化学株式会社製,ヤシ殻チャコール「CH480」,粒子径:0.180〜0.425mm
・疎水性プルシアンブルー微粒子
関東化学株式会社製,プルシアンブルーナノ分散液L(粒径10〜20nm),約10重量%水分散液
日本ベル株式会社製の高精度全自動ガス吸着装置BELSORP−mini IIを使用して77Kにおける窒素吸着等温線を測定した。全細孔容積(cm3/g)は、Gurvitschの法則を適用して相対圧0.953における窒素吸着量(V)を下記の式(iii)により液体窒素の体積(Vp)に換算して求めた。なお、式(iii)において、Mgは吸着質の分子量(窒素:28.020)、ρg(g/cm3)は吸着質の密度(窒素:0.808)である。
Figure 0006023553
得られた窒素吸着等温線をBET法により解析することで比表面積を求めた。平均細孔直径(nm)は、細孔の形状を円筒形と仮定し、前述の測定から得た細孔容積(cm3/g)及び比表面積(m2/g)の値を用い次の式(iv)より求めた。
Figure 0006023553
得られた窒素吸着等温線のt−plotをMP法により解析することで、細孔直径0nmないし2.0nmの範囲の比表面積(SM)と細孔容積(VM)を求めた。
得られた窒素吸着等温線をDH法により解析することで、細孔直径1nmないし100nmの範囲の細孔の比表面積(SD)と細孔容積(VD)を求めた。
さらに、指標となる比表面積の比率(SM/SD)及び細孔容積の比率(VM/VD)を算出した。結果は表1である。
Figure 0006023553
〔セシウム吸着材の作成〕
疎水性プルシアンブルー微粒子の水分散液について、さらに加水して約0.1重量%ないし約5重量%にまで希釈し、「プルシアンブルー付着液」を調製した。活性炭(1)ないし(6)のそれぞれを所定量ずつ秤量し、秤量後の活性炭を攪拌しながらプルシアンブルー付着液を噴霧した。活性炭にプルシアンブルー付着液を付着させた後、乾燥機に搬入して120℃で適宜乾燥した。そして、活性炭重量100重量部に対し、最終的に疎水性プルシアンブルー微粒子が0.25重量部ないし50重量部となるまで噴霧付着と乾燥を繰り返し、所望量の疎水性プルシアンブルー微粒子を活性炭に付着させてセシウム吸着材を作成した。試作例1ないし6、並びに試作例11ないし22は原料となる活性炭とプルシアンブルー付着量の相違以外は同様の作成手法に基づいて作成した。
〔プルシアンブルーの保持性能の測定及び評価〕
疎水性プルシアンブルー微粒子が活性炭に保持され、極力プルシアンブルーの漏出を抑えることが製品としての安定性、耐久性の上で望ましい。プルシアンブルーは前述のとおり鉄を含む金属ヘキサシアノ錯体である。そこで、セシウム吸着材から水中に溶出した鉄の量を比較することにより、活性炭におけるプルシアンブルーの保持の良否を評価した。
評価対象のセシウム吸着材(各試作例)を0.25g秤量して100mLの容器内に入れた。次に塩化セシウム(CsCl)を超純水に溶解し1000mg/Lの溶液とし、さらに超純水で希釈し1mg/Lのセシウム溶液に調製した。このセシウム溶液(1mg/L)50mLを前出の容器に投入し、100分間振とうした。振とうに際し、タイテック株式会社製,振とう機(トリプルシェーカー,NR−80)を使用した。
容器内の液体を採取し、No.5Cの濾紙を用いて濾過した。当該濾液について、鉄(Fe)の原子吸光により定量した。測定には、株式会社島津製作所製,原子吸光分光光度計(AA−6300)を使用した。鉄濃度はmg/Lとした。
基材活性炭に付着した疎水性プルシアンブルー微粒子の重量を計測し、実際に活性炭に付着したプルシアンブルー中に含まれる鉄の量を測定した。そして、この全ての鉄の量のうち、5%相当量が上記の振とうにより水に溶出したか否かによりプルシアンブルーの保持性能評価の基準値とした。すなわち、溶出した鉄量が5%相当量以下であれば「○」、5%相当量より多くなれば「×」の評価とした。
原料となる基材活性炭自体も僅かながら鉄を含む。このため、評価対象のセシウム吸着材(各試作例)の鉄含有量(JIS K 1474(2007)活性炭試験方法6.12鉄に準拠)から、原料である基材活性炭の鉄含有量を除外した値の5%量を鉄溶出基準濃度とした。従って、「鉄溶出基準濃度(mg/L)={鉄含有量(mg/L)−基材活性炭の鉄含有量(mg/L)}×5÷100」として示すことができる。前記の鉄含有量は基材活性炭にプルシアンブルー微粒子を付着させた際の全体の鉄の量を示す。また、基材活性炭の鉄含有量はプルシアンブルー微粒子を基材活性炭に付着させる以前の当初から活性炭に含有されていた鉄の量を示す。
〔セシウムの吸着性能の測定及び評価〕
評価対象のセシウム吸着材(各試作例)を0.25g秤量して100mLの容器内に入れた。次に前出のプルシアンブルーの保持性能の測定に用いたセシウム溶液(1mg/L)50mLを前出の容器に投入し、100分間振とうした。振とうは同一の振とう機を使用し、同一の条件により行った。ここで、セシウム吸着材を入れずセシウム溶液のみを投入して振とうし、以降同一処理とし対照例となるブランク試験も行った。
容器内の液体を採取し、No.5Cの濾紙を用いて濾過した。当該濾液について、セシウム(Cs)の原子吸光により定量した。測定には、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製,原子吸光分析装置(iCE 3000 SERIES AA Spectrometer)を使用した。
ブランク試験の濾液におけるセシウム量を基準とした。各試作例のセシウム吸着材添加の濾液中に含まれるセシウム量を測定し、ブランク試験と比較してセシウムの吸着率(相対濃度)を求めた。完全吸着(相対濃度0%)ならば吸着率100%とし、1%の検出(相対濃度1%)ならば吸着率99%とした。そこで、吸着率80%以上を「○」、80%未満を「×」として評価した。
表2の試作例1ないし6は、疎水性プルシアンブルー微粒子の付着量を共通(10重量部)とし活性炭の種類を変更して作成したセシウム吸着材の結果である。表2は、比表面積の比率(SM/SD)及び細孔容積の比率(VM/VD)の指標、疎水性プルシアンブルー微粒子の付着量(重量部)、鉄の溶出濃度(mg/L)、鉄含有量(mg/L)、活性炭鉄含有量(mg/L)、鉄溶出の評価基準濃度(mg/L)、プルシアンブルー保持性能評価、セシウム吸着率(%)、セシウム吸着性能評価、総合評価である。表2における総合評価は鉄の溶出量とセシウム吸着率の双方を勘案して良「○」、否「×」の評価とした。
Figure 0006023553
〔表2の結果・考察〕
試作例1ないし6を構成する活性炭(1)ないし(6)の物性(表1参照)、比表面積の比率(SM/SD)、細孔容積の比率(VM/VD)の数値の傾向と、鉄の溶出量について検討すると、それぞれの比率の値が大きくなるほど鉄の溶出量は増加する。つまり、疎水性プルシアンブルー微粒子の保持性能の低下が明らかである。比表面積の比率、細孔容積の比率が大きいとは、活性炭におけるミクロ孔がメソ孔よりも相対的に多く存在することを示唆する。疎水性プルシアンブルー微粒子は粒径10〜20nmである。すると、疎水性プルシアンブルー微粒子はメソ孔と比較してミクロ孔(直径2nm以下)の内部に入り込むことができず、総じて保持性能に影響を与えることとなった。なお、保持性能の低いセシウム吸着材では、使用に伴いプルシアンブルーの漏出も多くなるため耐用時間が短くなると考えられる。加えて、プルシアンブルーの保持性能が低い場合、プルシアンブルーの脱離に伴い、シアン化合物や吸着したセシウムの漏出が問題視されるためである。
従って、疎水性プルシアンブルー微粒子を良好に保持するために活性炭に求められる性能を検討すると、MP法(ミクロ孔解析)による比表面積の比率(SM/SD)、これに加えてDH法(メソ孔解析)による細孔容積の比率(VM/VD)の指標の採用が簡便である。特には、比表面積の比率(SM/SD)は1.3ないし20.8が適切であり、さらには、細孔容積の比率(VM/VD)は0.4ないし8.6が適切である。両指標ともに活性炭(1)ないし(4)を使用して作成した試作例1ないし4に基づく。
表2の結果から相対的にメソ孔の割合が多く、疎水性プルシアンブルー微粒子を良好に保持可能な試作例1の活性炭(1)に着目した。そこで、同活性炭(1)に付着する疎水性プルシアンブルー微粒子量を加減して新たにセシウム吸着材を作成した(試作例11ないし22)。各試作例の結果は表3,4,5である。
表3,4,5は、比表面積の比率(SM/SD)、細孔容積の比率(VM/VD)の指標、疎水性プルシアンブルー微粒子の付着量(重量部)、鉄の溶出量(mg/L)、鉄含有量(mg/L)、活性炭鉄含有量(mg/L)、鉄溶出の評価基準量(mg/L)、プルシアンブルー保持性能評価、セシウム吸着率(%)、セシウム吸着性能評価、総合評価である。表3,4,5における鉄溶出の評価基準量は、付着したプルシアンブルー微粒子に含有される鉄の5%相当量を基準とした。この量については前述のとおり活性炭に含有される鉄量を除外した補正済みの数値である。そのため、付着量の増加に伴い基準も増加する。溶出した鉄量が5%相当量以下であれば「○」、5%相当量より多くなれば「×」の評価とした。表3,4,5における総合評価は鉄の溶出量とセシウム吸着率の双方を勘案して良「○」、否「×」の評価とした。
Figure 0006023553
Figure 0006023553
Figure 0006023553
〔表3ないし表5の結果・考察〕
表3,4,5の各試作例の傾向から、疎水性プルシアンブルー微粒子は極めて広範囲にわたり活性炭に付着することができる。むろん、プルシアンブルーの付着量が多くなるに従って鉄の溶出量自体は増加する。しかし、当初のプルシアンブルーの付着量と比較した場合、相対的には5%相当量を下回っているため、活性炭へのプルシアンブルーの付着は良好であると考えることができる。
自明ながらプルシアンブルーの付着量とセシウムの吸着量は対応する。試作例11ないし13については、プルシアンブルーの保持自体は良好であるもののプルシアンブルー自体の保持量は少なく、セシウムの吸着率は思わしくない。そこで、本発明の所望するセシウムの吸着の観点から、プルシアンブルー微粒子は基材活性炭100重量部に対し少なくとも1重量部は必要と想定する(試作例14参照)。従って、高濃度セシウムの吸着や長期間にわたる使用を想定する場合には、基材活性炭に対してより多くの疎水性プルシアンブルー微粒子の付着が検討される。また、低濃度のセシウムの吸着を想定する場合にはプルシアンブルーを多くする必要はない。すなわち、疎水性プルシアンブルー微粒子の付着量を調節することにより目的とする用途に簡単に応えることのできるセシウム吸着材を完成することができた。
〔セシウム吸着材を含有するフィルター体の作成〕
セシウム吸着材におけるセシウムの吸着性能を明らかにした発明者らは、セシウム吸着材を含有するフィルター体を実際に作成した。フィルター体の作成は、前掲の図3に開示の混合スラリー状物から吸引する作成方法に準じた。そこで、試作例1のセシウム吸着材100重量部と、繊維状活性炭(フタムラ化学株式会社製,商品名:フェノール系繊維状活性炭)を12重量部、アクリル樹脂繊維(東洋紡績株式会社製,商品名:ビィパル)を6重量部秤量した。これら3種類を水中に投入後、均一に混合して混合スラリー状物を調製した。
次に、外直径14mm、内直径10mm、全長110mmであり直径2mmの透過孔を有するポリプロピレン製の中空円筒形芯部材を用意した。中空円筒形芯部材内に、多孔形状のステンレス製の金型棒状部材を挿入して固定するとともに混合スラリー状物を溜めた液中に投入した。減圧吸引により混合スラリー状物内から固形分を引き寄せて中空円筒形芯部材の表面に約13mm被着させてスラリー被着部を形成した。中空円筒形芯部材から金型棒状部材を取り外し、スラリー被着部と中空円筒形芯部材の一体化物となる吸着被着物を得た。吸着被着物を乾燥機に入れて100℃、12時間かけて加熱、乾燥した。こうして、試作例1のセシウム吸着材を含有するフィルター体を作成した。フィルター体の寸法は、外直径40mm、内直径10mm、全高110mmであった。
〔フィルター体の性能確認〕
塩化セシウム(CsCl)を超純水に溶解し5mg/Lのセシウム溶液を調製した。前記作成により得たフィルター体をハウジング内に装填し、0.5L/min(SV:247.5hr-1)の流速で当該セシウム溶液を通液した。フィルター体を通過後のセシウム溶液を採取して液中に溶解しているセシウム量を測定した。そこで、当初のセシウム溶液からの差を求めセシウム除去率(%)を算出した。測定には前述のセシウム量を測定した原子吸光分析装置を用いた。
通液の結果、通液開始から30分経過時点でのセシウム除去率は100%であった。そして、60分経過時点でも97.5%であった。この結果から、セシウム吸着材をフィルター体に加工しても十分なセシウム吸着性能発揮を確認した。
本発明のセシウム吸着材及びセシウム吸着フィルター体は、活性炭に疎水性プルシアンブルー微粒子を担持、付着させているため、従前のプルシアンブルー微粒子単体の凝集性の問題を改善して取り扱いやすく、特に環境中の放射性セシウムの吸着作業に効率的である。さらに、フィルター体に加工することにより既存の濾過装置を活かしながら放射性セシウムの吸着作業の効率を高めることができる。
1 基材活性炭
2 プルシアンブルー微粒子の水分散液
6,21 セシウム吸着材
F,Fa フィルター体
10 フィルター本体
11 濾過部
12 中空円筒形芯部材
20 混合スラリー状物
22 繊維状構成材
25 吸着被着物
26 金型棒状部材
27 スラリー被着部

Claims (3)

  1. 基材活性炭に、粒径を10ないし20nmとする疎水性のプルシアンブルー微粒子を付着してなり、
    前記基材活性炭をMP法により測定した比表面積(S M )と前記基材活性炭をDH法により測定した比表面積(S D )との間に下記(i)式が成立し、
    前記基材活性炭をMP法により測定した細孔容積(V M )と前記基材活性炭をDH法により測定した細孔容積(V D )との間に下記(ii)式が成立する
    ことを特徴とするセシウム吸着材。
    Figure 0006023553
    Figure 0006023553
  2. 前記セシウム吸着材において、前記基材活性炭100重量部に対し前記プルシアンブルー微粒子は1ないし50重量部付着している請求項に記載のセシウム吸着材。
  3. 請求項1または2に記載のセシウム吸着材を含有してなることを特徴とするセシウム吸着フィルター体。
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