JP6023504B2 - 変速機 - Google Patents
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Description
図1は、本実施形態における自動車用の変速機1の概略を示す図である。エンジンEの駆動力を駆動輪に伝達する本実施形態の変速機1は、ミッションケースに保持されたベアリングbに回転自在に軸支され、互いに平行に配されたメインシャフト2およびカウンタシャフト3を備えている。メインシャフト2は、発進クラッチ4を介してエンジンEのクランクシャフトに接続されており、発進クラッチ4を介して伝達されるエンジンEの駆動力によって回転する入力シャフトとして機能する。
図2は、セレクタ機構50を部分的に示す斜視図であり、図3は、図2のIII−III線断面図である。セレクタ機構50は、メインシャフト2またはカウンタシャフト3に固定され、図2および図3に示すように、これらメインシャフト2またはカウンタシャフト3と一体回転する略円筒状のハブ51を備えている。このハブ51の外周面には、キー溝、より詳細には、第1キー溝51aおよび第2キー溝51bが当該ハブ51の周方向に、交互に、かつ、等間隔で複数形成されている。ここでは、第1キー溝51aおよび第2キー溝51bがそれぞれ6つずつ形成されているが、これら第1キー溝51aおよび第2キー溝51bの数は特に限定されるものではない。
図14は、ギヤ緩衝機構100の概略断面図である。本実施形態のギヤ緩衝機構100は、隣り合う2つのメインギヤ10それぞれに備えられるギヤ緩衝機構100が一体的に構成されている。ここでは、メインシャフト2に装着された1速メインギヤ11および2速メインギヤ12に設けられたギヤ緩衝機構100について説明するが、3速メインギヤ13および4速メインギヤ14に設けられるギヤ緩衝機構100も同様の構成となっている。
図15は、駆動緩衝機構300の概略断面図である。本実施形態の駆動緩衝機構300は、所謂、摩擦クラッチタイプの緩衝機構で構成されており、カウンタシャフト3と、第1アウトプットシャフト5との間に設けられている。図15に示すように、駆動緩衝機構300は、カウンタシャフト3の端部にスプライン係合されるハブ301と、このハブ301の外周に固定された薄板円形状のインナープレート302と、を備えている。インナープレート302は、カウンタシャフト3の軸方向に複数、間隔を維持して配置されている。
図16は、変速機1の制御系統を説明するブロック図である。この図に示すように、本実施形態の変速機1は、動力伝達経路の切り換え制御を行う電子制御ユニットECUを備えている。この電子制御ユニットECUには、エンジンEのトルクや回転数等、エンジンEの状態を検出するエンジン検出部46が接続されており、電子制御ユニットECUにエンジンEの状態が入力されている。また、電子制御ユニットECUには、運転席に設けられたシフトレバーSLのシフト操作を検出するセンサが接続されており、シフトレバーSLによる動力伝達経路の切り換え信号が電子制御ユニットECUに入力される。
図17は、1速から2速への加速時アップシフト制御を説明するフローチャートであり、図18は、加速時アップシフトによるセレクタ機構50aの状態を説明する第1の図であり、図19は、加速時アップシフトによるセレクタ機構50aの状態を説明する第2の図である。電子制御ユニットECUは、シフトレバーSLより1速から2速への切り換え信号が入力されると、トルクセンサ45から入力される検出信号等に基づき、車両の走行状態を確認し、加速状態であると判定した場合に、図17に示す加速時アップシフト制御を実行する。
電子制御ユニットECUは、シフトレバーSLから切り換え信号が入力されると、その時点においてトルクセンサ45によって検出されている伝達トルクtを特定する。
次に、電子制御ユニットECUは、駆動緩衝機構300のリミットトルクLtが、ステップS1で特定した伝達トルクtに、予め設定されたトルク値t1を加算したトルクとなるようにアクチュエータを制御する。なお、このトルク値t1は、変速時における伝達トルクの変動を生じさせ、車両の振動等の要因となる。そのため、トルク値t1は、極力小さく設定することが好ましいが、一方では、スリップが発生することがないように配慮しなければならない。そのため、トルク値t1は、変速機1の制御精度等を考慮したうえで、車両試験等により経験的に設定することが望ましい。
次に、電子制御ユニットECUは、第1回転数検出センサ41および第2回転数検出センサ42によって、発進クラッチ4のスリップが検出されるまで、当該発進クラッチ4のクラッチトルクを低下させる。これは、スパイクトルクが生じた際に、フライホイールが設けられるエンジンEのクランクシャフトと、メインシャフト2およびカウンタシャフト3とを相対回転させるためである。これにより、動力伝達経路の切り換え時に、メインシャフト2およびカウンタシャフト3に対して、フライホイールに生じる極めて大きな慣性力が作用しなくなり、ギヤ緩衝機構100で吸収すべきエネルギーを小さくすることができる。
次に、電子制御ユニットECUは、セレクタ機構50aの第1シフトフォーク56および第2シフトフォーク57をニュートラル位置(中間位置)にシフトさせるように、アクチュエータを制御する。ただし、このとき、図18(a2)に示すように、第2キー53は、ドグ21aと非係合状態であるためニュートラル位置に移動可能であるが、第1キー52は、1速カウンタギヤ21のドグ21aに係合しているため、ニュートラル位置に移動することができない。したがって、ここでは、図18(b1)および図18(b2)に示すように、第1キー52とドグ21aとの係合状態が維持されたまま、すなわち、第1キー52と1速カウンタギヤ21との動力伝達状態が維持されたまま、第2キー53がニュートラル位置に移動することとなる。
次に、電子制御ユニットECUは、アップシフト可能な状態であるかを判定し、アップシフト可能であると判定した場合にはステップS7に処理を移し、アップシフト不可能であると判定した場合にはステップS6に処理を移す。なお、アップシフト可能な状態とは、第2キー53のリーディング爪53fが、2速カウンタギヤ22のドグ22aのリーディング面22afに係合可能な加速状態であり、アップシフト不可能な状態とは、例えば、急な下り坂や減速状態など、第2キー53のリーディング爪53fが、2速カウンタギヤ22のドグ22aのリーディング面22afに係合できない状態である。
ステップS5においてアップシフト不可能な状態であると判定した場合には、電子制御ユニットECUは、シフト中断処理を行い、当該加速時アップシフト制御を終了する。
ステップS5においてアップシフト可能な状態であると判定した場合には、電子制御ユニットECUは、第2シフトフォーク57を2速カウンタギヤ22側にシフトさせるように、アクチュエータを制御する。
次に、電子制御ユニットECUは、エンジン回転数が、次段(ここでは2速)における設定範囲内となるようにエンジンEを制御する。ここでは、エンジンEを制御して、エンジン回転数を引き下げることとなる。
次に、電子制御ユニットECUは、第1シフトフォーク56を2速カウンタギヤ22側にシフトさせるように、アクチュエータを制御する。なお、図19(a1)および図19(a2)に示すように、第2キー53と、2速カウンタギヤ22のドグ22aとが係合すると、メインシャフト2の回転数が低下する。これにより、第1キー52および第2キー53に対する1速カウンタギヤ21の相対回転方向が図とは逆方向となり、第1キー52と1速カウンタギヤ21のドグ21aとの係合が解除される。したがって、第1キー52は、図19(b1)および図19(b2)に示すように、2速カウンタギヤ22側に移動し、これによって1速から2速への加速時アップシフトが完了することとなる。
次に、電子制御ユニットECUは、第3回転数検出センサ43および第4回転数検出センサ44から入力される回転数が一致するか、すなわち、カウンタシャフト3と第1アウトプットシャフト5とが一体回転しているかを検出する。そして、カウンタシャフト3と第1アウトプットシャフト5との一体回転が検出されると、ステップS11に処理を移す。カウンタシャフト3と第1アウトプットシャフト5との一体回転が検出されない場合は、ステップS10を繰り返す。
次に、電子制御ユニットECUは、駆動緩衝機構300のリミットトルクLtを初期の締結状態に復帰させるようにアクチュエータを制御する。
次に、電子制御ユニットECUは、発進クラッチ4のクラッチトルクを初期の締結状態に復帰させるように制御し、当該加速時アップシフト制御が終了となる。
図20は、2速から1速への減速時ダウンシフト制御を説明するフローチャートであり、図21は、減速時ダウンシフトによるセレクタ機構50aの状態を説明する第1の図であり、図22は、減速時ダウンシフトによるセレクタ機構50aの状態を説明する第2の図である。電子制御ユニットECUは、シフトレバーSLより2速から1速への切り換え信号が入力されると、トルクセンサ45から入力される検出信号等に基づき、車両の走行状態を確認し、減速状態であると判定した場合に、図20に示す減速時ダウンシフト制御を実行する。
電子制御ユニットECUは、シフトレバーSLから切り換え信号が入力されると、その時点においてトルクセンサ45によって検出されている伝達トルクtを特定する。
次に、電子制御ユニットECUは、駆動緩衝機構300のリミットトルクLtが、ステップS101で特定した伝達トルクtに、予め設定されたトルク値t1を加算したトルクとなるようにアクチュエータを制御する。
次に、電子制御ユニットECUは、第1回転数検出センサ41および第2回転数検出センサ42によって、発進クラッチ4のスリップが検出されるまで、当該発進クラッチ4のクラッチトルクを低下させる。
次に、電子制御ユニットECUは、セレクタ機構50aの第1シフトフォーク56および第2シフトフォーク57をニュートラル位置(中間位置)にシフトさせるように、アクチュエータを制御する。ただし、このとき、図21(a2)に示すように、第2キー53は、ドグ22aと非係合状態であるためニュートラル位置に移動可能であるが、第1キー52は、2速カウンタギヤ22のドグ22aに係合しているため、ニュートラル位置に移動することができない。したがって、ここでは、図21(b1)および図21(b2)に示すように、第1キー52とドグ22aとの係合状態が維持されたまま、すなわち、第1キー52と2速カウンタギヤ22との動力伝達状態が維持されたまま、第2キー53がニュートラル位置に移動することとなる。
次に、電子制御ユニットECUは、ダウンシフト可能な状態であるかを判定し、ダウンシフト可能であると判定した場合にはステップS107に処理を移し、ダウンシフト不可能であると判定した場合にはステップS106に処理を移す。なお、ダウンシフト可能な状態とは、第2キー53のトレーリング爪53rが、1速カウンタギヤ21のドグ21aのトレーリング面21arに係合可能な減速状態であり、ダウンシフト不可能な状態とは、例えば、急な上り坂や加速状態など、第2キー53のトレーリング爪53rが、1速カウンタギヤ21の21aのトレーリング面21arに係合できない状態である。
ステップS105においてダウンシフト不可能な状態であると判定した場合には、電子制御ユニットECUは、シフト中断処理を行い、当該減速時ダウンシフト制御を終了する。
ステップS105においてダウンシフト可能な状態であると判定した場合には、電子制御ユニットECUは、第2シフトフォーク57を1速カウンタギヤ21側にシフトさせるように、アクチュエータを制御する。
次に、電子制御ユニットECUは、エンジン回転数が、次段(ここでは1速)における設定範囲内となるようにエンジンEを制御する。ここでは、エンジンEを制御して、エンジン回転数を引き上げることとなる。
次に、電子制御ユニットECUは、第1シフトフォーク56を1速カウンタギヤ21側にシフトさせるように、アクチュエータを制御する。なお、図22(a1)および図22(a2)に示すように、第2キー53と、1速カウンタギヤ21のドグ21aとが係合すると、メインシャフト2の回転数が上昇する。これにより、第1キー52および第2キー53に対する2速カウンタギヤ22の相対回転方向が図とは逆方向となり、第1キー52と2速カウンタギヤ22のドグ22aとの係合が解除される。したがって、第1キー52は、図22(b1)および図22(b2)に示すように、1速カウンタギヤ21側に移動し、これによって2速から1速への減速時ダウンシフトが完了することとなる。
次に、電子制御ユニットECUは、第3回転数検出センサ43および第4回転数検出センサ44から入力される回転数が一致するか、すなわち、カウンタシャフト3と第1アウトプットシャフト5とが一体回転しているかを検出する。そして、カウンタシャフト3と第1アウトプットシャフト5との一体回転が検出されると、ステップS111に処理を移す。カウンタシャフト3と第1アウトプットシャフト5との一体回転が検出されない場合は、ステップS110を繰り返す。
次に、電子制御ユニットECUは、駆動緩衝機構300のリミットトルクLtを初期の締結状態に復帰させるようにアクチュエータを制御する。
次に、電子制御ユニットECUは、発進クラッチ4のクラッチトルクを初期の締結状態に復帰させるように制御し、当該減速時ダウンシフト制御が終了となる。
図23は、2速から1速への加速時ダウンシフト制御を説明するフローチャートであり、図24は、加速時ダウンシフトによるセレクタ機構50aの状態を説明する第1の図であり、図25は、加速時ダウンシフトによるセレクタ機構50aの状態を説明する第2の図である。電子制御ユニットECUは、シフトレバーSLより2速から1速への切り換え信号が入力されると、トルクセンサ45から入力される検出信号等に基づき、車両の走行状態を確認し、加速状態であると判定した場合に、図23に示す加速時ダウンシフト制御を実行する。
電子制御ユニットECUは、シフトレバーSLから切り換え信号が入力されると、その時点においてトルクセンサ45によって検出されている伝達トルクtを特定する。
次に、電子制御ユニットECUは、駆動緩衝機構300のリミットトルクLtが、ステップS201で特定した伝達トルクtに、予め設定されたトルク値t1を加算したトルクとなるようにアクチュエータを制御する。
次に、電子制御ユニットECUは、発進クラッチ4を完全解放させる。
次に、電子制御ユニットECUは、セレクタ機構50aの第1シフトフォーク56および第2シフトフォーク57をニュートラル位置(中間位置)にシフトさせるように、アクチュエータを制御する。
次に、電子制御ユニットECUは、第1回転数検出センサ41および第2回転数検出センサ42から入力される回転数を監視しながら、スリップが検出されるクラッチトルクに発進クラッチ4を制御する。
次に、電子制御ユニットECUは、エンジンEの回転数を上げ、図24(b1)および図24(b2)に示すように、第1キー52および第2キー53に対する1速カウンタギヤ21の相対回転方向が、矢印方向になるようにエンジンEを制御する。
次に、電子制御ユニットECUは、ダウンシフト可能な状態であるかを判定し、ダウンシフト可能であると判定した場合にはステップS209に処理を移し、ダウンシフト不可能であると判定した場合にはステップS208に処理を移す。なお、ダウンシフト可能な状態とは、第1キー52のリーディング爪52fが、1速カウンタギヤ21のドグ21aのリーディング面21afに係合可能な加速状態であり、ダウンシフト不可能な状態とは、例えば、タウンシフトを中止する操作がなされた状態である。
ステップS207においてダウンシフト不可能な状態であると判定した場合には、電子制御ユニットECUは、シフト中断処理を行い、当該加速時ダウンシフト制御を終了する。
ステップS207においてダウンシフト可能な状態であると判定した場合には、電子制御ユニットECUは、第1シフトフォーク56を1速カウンタギヤ21側にシフトさせるように、アクチュエータを制御する。
次に、電子制御ユニットECUは、エンジン回転数が、次段(ここでは1速)における設定範囲内となるようにエンジンEを制御する。ここでは、エンジンEを制御して、エンジン回転数を引き上げることとなる。
次に、電子制御ユニットECUは、第2シフトフォーク57を1速カウンタギヤ21側にシフトさせるように、アクチュエータを制御する。これにより、第2キー53は、図25(b1)および図25(b2)に示すように、1速カウンタギヤ21側に移動し、これによって2速から1速への加速時ダウンシフトが完了することとなる。
次に、電子制御ユニットECUは、第3回転数検出センサ43および第4回転数検出センサ44から入力される回転数が一致するか、すなわち、カウンタシャフト3と第1アウトプットシャフト5とが一体回転しているかを検出する。そして、カウンタシャフト3と第1アウトプットシャフト5との一体回転が検出されると、ステップS213に処理を移す。カウンタシャフト3と第1アウトプットシャフト5との一体回転が検出されない場合は、ステップS11を繰り返す。
次に、電子制御ユニットECUは、駆動緩衝機構300のリミットトルクLtを初期の締結状態に復帰させるようにアクチュエータを制御する。
次に、電子制御ユニットECUは、発進クラッチ4のクラッチトルクを初期の締結状態に復帰させるように制御し、当該加速時ダウンシフト制御が終了となる。
図26は、1速から2速への減速時アップシフト制御を説明するフローチャートであり、図27は、減速時アップシフトによるセレクタ機構50aの状態を説明する第1の図であり、図28は、減速時アップシフトによるセレクタ機構50aの状態を説明する第2の図である。電子制御ユニットECUは、シフトレバーSLより1速から2速への切り換え信号が入力されると、トルクセンサ45から入力される検出信号等に基づき、車両の走行状態を確認し、減速状態であると判定した場合に、図26に示す減速時アップシフト制御を実行する。
電子制御ユニットECUは、シフトレバーSLから切り換え信号が入力されると、その時点においてトルクセンサ45によって検出されている伝達トルクtを特定する。
次に、電子制御ユニットECUは、駆動緩衝機構300のリミットトルクLtが、ステップS301で特定した伝達トルクtに、予め設定されたトルク値t1を加算したトルクとなるようにアクチュエータを制御する。
次に、電子制御ユニットECUは、第1回転数検出センサ41および第2回転数検出センサ42によって、発進クラッチ4のスリップが検出されるまで、当該発進クラッチ4のクラッチトルクを低下させる。
次に、電子制御ユニットECUは、スリップ検出時のクラッチトルクstを記憶する。
次に、電子制御ユニットECUは、発進クラッチ4を完全解放させる。
次に、電子制御ユニットECUは、セレクタ機構50aの第1シフトフォーク56および第2シフトフォーク57をニュートラル位置(中間位置)にシフトさせるように、アクチュエータを制御する。
次に、電子制御ユニットECUは、発進クラッチ4を制御し、クラッチトルクをステップS304で記憶したクラッチトルクstにする。
次に、電子制御ユニットECUは、エンジンEの回転数を下げ、図27(b1)および図27(b2)に示すように、第1キー52および第2キー53に対する2速カウンタギヤ22の相対回転方向が、矢印方向になるようにエンジンEを制御する。
次に、電子制御ユニットECUは、アップシフト可能な状態であるかを判定し、アップシフト可能であると判定した場合にはステップS311に処理を移し、アップシフト不可能であると判定した場合にはステップS310に処理を移す。なお、アップシフト可能な状態とは、第1キー52のトレーリング爪52rが、2速カウンタギヤ22のドグ22aのトレーリング面22arに係合可能な減速状態であり、アップシフト不可能な状態とは、例えば、下り坂でエンジンブレーキ中にアクセルの踏み増しがなされた状態や、アップシフト操作が中断された状態である。
ステップS309においてアップシフト不可能な状態であると判定した場合には、電子制御ユニットECUは、シフト中断処理を行い、当該減速時アップシフト制御を終了する。
ステップS309においてアップシフト可能な状態であると判定した場合には、電子制御ユニットECUは、第1シフトフォーク56を2速カウンタギヤ22側にシフトさせるように、アクチュエータを制御する。
次に、電子制御ユニットECUは、エンジン回転数が、次段(ここでは2速)における設定範囲内となるようにエンジンEを制御する。ここでは、エンジンEを制御して、エンジン回転数を引き下げることとなる。
次に、電子制御ユニットECUは、第2シフトフォーク57を2速カウンタギヤ22側にシフトさせるように、アクチュエータを制御する。これにより、第2キー53は、図28(b1)および図28(b2)に示すように、2速カウンタギヤ22側に移動し、これによって1速から2速への減速時アップシフトが完了することとなる。
次に、電子制御ユニットECUは、第3回転数検出センサ43および第4回転数検出センサ44から入力される回転数が一致するか、すなわち、カウンタシャフト3と第1アウトプットシャフト5とが一体回転しているかを検出する。そして、カウンタシャフト3と第1アウトプットシャフト5との一体回転が検出されると、ステップS315に処理を移す。カウンタシャフト3と第1アウトプットシャフト5との一体回転が検出されない場合は、ステップS11を繰り返す。
次に、電子制御ユニットECUは、駆動緩衝機構300のリミットトルクLtを初期の締結状態に復帰させるようにアクチュエータを制御する。
次に、電子制御ユニットECUは、発進クラッチ4のクラッチトルクを初期の締結状態に復帰させるように制御し、当該減速時アップシフト制御が終了となる。
2 …メインシャフト
3 …カウンタシャフト
10 …メインギヤ
11 …1速メインギヤ
12 …2速メインギヤ
13 …3速メインギヤ
14 …4速メインギヤ
15 …5速メインギヤ
15a …ドグ
15af …リーディング面
15ar …トレーリング面
16 …6速メインギヤ
16a …ドグ
16af …リーディング面
16ar …トレーリング面
20 …カウンタギヤ
21 …1速カウンタギヤ
21a …ドグ
21af …リーディング面
21ar …トレーリング面
22 …2速カウンタギヤ
22a …ドグ
22af …リーディング面
22ar …トレーリング面
23 …3速カウンタギヤ
24 …4速カウンタギヤ
25 …5速カウンタギヤ
26 …6速カウンタギヤ
31 …第1歯車列
32 …第2歯車列
33 …第3歯車列
34 …第4歯車列
35 …第5歯車列
36 …第6歯車列
50、50a、50b、50c …セレクタ機構
51 …ハブ
51a …第1キー溝
51b …第2キー溝
52 …第1キー
53 …第2キー
100 …ギヤ緩衝機構
Claims (4)
- エンジンの駆動力を駆動輪に伝達する変速機であって、
前記エンジンに接続されるメインシャフトと、
前記メインシャフトと平行に配され、前記駆動輪に接続されるカウンタシャフトと、
前記メインシャフトに装着されたメインギヤ、および、前記カウンタシャフトに回転自在に装着され前記メインギヤに噛合するカウンタギヤを有し、前記メインシャフトおよび前記カウンタシャフト間で動力伝達を行う複数の歯車列と、
前記カウンタシャフトに設けられ、当該カウンタシャフトに対して前記カウンタギヤを一体回転させる動力伝達状態、もしくは、当該カウンタシャフトに対して前記カウンタギヤが相対回転可能となる切り離し状態のいずれかを選択可能であって、前記メインシャフトおよび前記カウンタシャフト間の動力伝達経路を切り換えるセレクタ機構と、
前記メインシャフトの軸方向に隣り合って位置する一対の前記メインギヤの間に設けられ、当該メインシャフトに生じるトルクが予め設定された設定トルク未満である場合に、当該メインシャフトとメインギヤとを一体回転させ、当該メインシャフトに生じるトルクが前記設定トルク以上になると、当該メインシャフトとメインギヤとを相対回転させる緩衝機構と、を備え、
前記緩衝機構は、
前記一対のメインギヤの一方を前記メインシャフトに対して相対回転または一体回転させる第1緩衝部と、該一対のメインギヤの他方を該メインシャフトに対して相対回転または一体回転させる第2緩衝部と、を含み、
前記第1緩衝部、前記第2緩衝部および前記セレクタ機構は、
前記メインシャフトおよび前記カウンタシャフトの軸方向に隣り合う一対の歯車列であって、同一の歯車列の間に配されていることを特徴とする変速機。 - エンジンの駆動力を駆動輪に伝達する変速機であって、
前記エンジンに接続されるメインシャフトと、
前記メインシャフトと平行に配され、前記駆動輪に接続されるカウンタシャフトと、
前記メインシャフトに装着されたメインギヤ、および、前記カウンタシャフトに回転自在に装着され前記メインギヤに噛合するカウンタギヤを有し、前記メインシャフトおよび前記カウンタシャフト間で動力伝達を行う複数の歯車列と、
前記カウンタシャフトに設けられ、当該カウンタシャフトに対して前記カウンタギヤを一体回転させる動力伝達状態、もしくは、当該カウンタシャフトに対して前記カウンタギヤが相対回転可能となる切り離し状態のいずれかを選択可能であって、前記メインシャフトおよび前記カウンタシャフト間の動力伝達経路を切り換えるセレクタ機構と、
前記メインシャフトの軸方向に隣り合って位置する一対の前記メインギヤの間に設けられ、当該メインシャフトに生じるトルクが予め設定された設定トルク未満である場合に、当該メインシャフトとメインギヤとを一体回転させ、当該メインシャフトに生じるトルクが前記設定トルク以上になると、当該メインシャフトとメインギヤとを相対回転させる緩衝機構と、を備え、
前記緩衝機構および前記セレクタ機構は、
前記メインシャフトおよび前記カウンタシャフトの軸方向に隣り合う一対の歯車列であって、同一の歯車列の間に配され、
前記セレクタ機構は、
複数ある前記カウンタギヤのうち、前記カウンタシャフトの軸方向に隣り合う低速段ギヤおよび高速段ギヤの両対向面にそれぞれ突設されたドグと、
前記カウンタシャフトに固定され前記低速段ギヤおよび高速段ギヤの対向面間に配されたハブと、
前記カウンタシャフトの軸方向に移動自在に前記ハブに保持され、一端が前記低速段ギヤのドグのリーディング面と係合可能であり、他端が前記高速段ギヤのトレーリング面と係合可能である第1キーと、
前記カウンタシャフトの軸方向に移動自在に前記ハブに保持され、一端が前記低速段ギヤのドグのトレーリング面と係合可能であり、他端が前記高速段ギヤのリーディング面と係合可能である第2キーと、
前記第1キーおよび第2キーを前記カウンタシャフトの軸方向に移動させるアクチュエータと、を備えることを特徴とする変速機。 - エンジンの駆動力を駆動輪に伝達する変速機であって、
前記エンジンに接続されるメインシャフトと、
前記メインシャフトと平行に配され、前記駆動輪に接続されるカウンタシャフトと、
前記メインシャフトに回転自在に装着されたメインギヤ、および、前記カウンタシャフトに装着され前記メインギヤに噛合するカウンタギヤを有し、前記メインシャフトおよび前記カウンタシャフト間で動力伝達を行う複数の歯車列と、
前記メインシャフトに設けられ、当該メインシャフトに対して前記メインギヤを一体回転させる動力伝達状態、もしくは、当該メインシャフトに対して前記メインギヤが相対回転可能となる切り離し状態のいずれかを選択可能であって、前記メインシャフトおよび前記カウンタシャフト間の動力伝達経路を切り換えるセレクタ機構と、
前記カウンタシャフトの軸方向に隣り合って位置する一対の前記カウンタギヤの間に設けられ、当該カウンタシャフトに生じるトルクが予め設定された設定トルク未満である場合に、当該カウンタシャフトとカウンタギヤとを一体回転させ、当該カウンタシャフトに生じるトルクが前記設定トルク以上になると、当該カウンタシャフトとカウンタギヤとを相対回転させる緩衝機構と、を備え、
前記一対のカウンタギヤの一方を前記カウンタシャフトに対して相対回転または一体回転させる第1緩衝部と、該一対のカウンタギヤの他方を該カウンタシャフトに対して相対回転または一体回転させる第2緩衝部と、を含み、
前記第1緩衝部、前記第2緩衝部および前記セレクタ機構は、
前記メインシャフトおよび前記カウンタシャフトの軸方向に隣り合う一対の歯車列であって、同一の歯車列の間に配されていることを特徴とする変速機。 - エンジンの駆動力を駆動輪に伝達する変速機であって、
前記エンジンに接続されるメインシャフトと、
前記メインシャフトと平行に配され、前記駆動輪に接続されるカウンタシャフトと、
前記メインシャフトに回転自在に装着されたメインギヤ、および、前記カウンタシャフトに装着され前記メインギヤに噛合するカウンタギヤを有し、前記メインシャフトおよび前記カウンタシャフト間で動力伝達を行う複数の歯車列と、
前記メインシャフトに設けられ、当該メインシャフトに対して前記メインギヤを一体回転させる動力伝達状態、もしくは、当該メインシャフトに対して前記メインギヤが相対回転可能となる切り離し状態のいずれかを選択可能であって、前記メインシャフトおよび前記カウンタシャフト間の動力伝達経路を切り換えるセレクタ機構と、
前記カウンタシャフトの軸方向に隣り合って位置する一対の前記カウンタギヤの間に設けられ、当該カウンタシャフトに生じるトルクが予め設定された設定トルク未満である場合に、当該カウンタシャフトとカウンタギヤとを一体回転させ、当該カウンタシャフトに生じるトルクが前記設定トルク以上になると、当該カウンタシャフトとカウンタギヤとを相対回転させる緩衝機構と、を備え、
前記緩衝機構および前記セレクタ機構は、
前記メインシャフトおよび前記カウンタシャフトの軸方向に隣り合う一対の歯車列であって、同一の歯車列の間に配され、
前記セレクタ機構は、
複数ある前記メインギヤのうち、前記メインシャフトの軸方向に隣り合う低速段ギヤおよび高速段ギヤの両対向面にそれぞれ突設されたドグと、
前記メインシャフトに固定され前記低速段ギヤおよび高速段ギヤの対向面間に配されたハブと、
前記メインシャフトの軸方向に移動自在に前記ハブに保持され、一端が前記低速段ギヤのドグのリーディング面と係合可能であり、他端が前記高速段ギヤのトレーリング面と係合可能である第1キーと、
前記メインシャフトの軸方向に移動自在に前記ハブに保持され、一端が前記低速段ギヤのドグのトレーリング面と係合可能であり、他端が前記高速段ギヤのリーディング面と係合可能である第2キーと、
前記第1キーおよび第2キーを前記メインシャフトの軸方向に移動させるアクチュエータと、を備えることを特徴とする変速機。
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