JP6022120B1 - 建具取付具、及び建具取付具を備える建具 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、下枠の建物躯体への固定を行わなければ風等の外力により窓枠にずれや変形が生じてしまい、最悪の場合には枠体が脱落するという危険性がある。
そこで、下枠の建物躯体への固定については、ネジ等の直接固定手段を用いない固定技術、具体的には、躯体開口部に躯体固定部材を固定するとともに、下枠に枠固定部材を配置して、枠固定部材を枠の長手方向にスライドさせることで両者を当接させて、ネジ等の固定手段で締結することにより枠体を固定する技術が公知となっている。(特許文献1)
本願の請求項2に係る発明は、躯体開口部に固定される躯体固定部材と、建具の枠材に 装着されるとともに、躯体固定部材に対して係合する一組の枠固定部材とを備え、躯体固 定部材は、躯体開口部に固定されるベース部と、ベース部に設けられる係合片を備え、一 組の枠固定部材は、それぞれが躯体固定部材の係合片に係合される被係合部を備えるとと もに、それぞれが建具の枠材に対して見付け方向にスライド可能であり、躯体固定部材を 間にして枠固定部材同士が連結されることにより、枠固定部材の被係合部と躯体固定部材 の係合片とが係合されることを特徴とする。
また、本願の請求項3に係る発明は、開口部に取り付けられる枠体と、枠体に支持されるパネル体と、請求項1又は2に係る建具取付具とを備え、建具の枠体の枠材外周面に、建具取付具の枠固定部材がスライド可能に装着される溝状部を有することを特徴とする。
本発明の建具取付具及び建具取付具を備える建具の実施形態を、図面を用いて説明する。
本発明の本実施形態の建具取付具は、図1に示すように、躯体開口部Wの下枠部分の内周面に取り付けられる躯体固定部材1と、建具の下枠5の下面に装着される一組の枠固定部材2,2とから構成されている。
なお、以下の説明において、取り付けられる躯体開口部Wの見付け方向x及び見込み方向yを、躯体もしくは枠体に固定される各部材(躯体固定部材1及び枠固定部材2等)においても見付け方向及び見込み方向といい、見込み方向yにおいて図面の一方側を室内側、他方側を室外側という。
以下、枠体を躯体開口部Wに配置するための建具取付具について、図面を示しながら、さらに詳細に説明する。
図3乃至8を用いて、本発明の第1の実施形態に係る建具取付具を説明する。
本実施形態に係る建具取付具を構成する躯体固定部材1は、例えばスチールやステンレス等の金属材料からなり、図3(a)に示すように、躯体開口部Wの下枠部分の上面に配置される平面視略矩形状のベース部11と、ベース部11の上面より上方に突出する一対の係合片12,12とから構成されている。そして、躯体固定部材1は、ベース部の長手方向を見付け方向、同短手方向を見込み方向として、躯体開口部Wの内周面に固定される。
そして、一対の係合片12,12は、図3(c)に示すように、略矩形状のベース部11の見込み方向(短手方向)に対して、例えば約20度の角度の斜線a上で係合部121,121同士が対向するように設けられており、係合部121の外方面が建具の見付け方向に対して約20度の角度で傾斜する係合面として形成されている。係合部121の係合面には、上下方向に延びるように外方に突出する係合凸部121a,121aが横に並んで設けられている。
なお、係合片12は、例えばベース部11の略中央位置を切起こすことにより形成することができ、係合凸部121aは切起こしまたは絞り等の加工法によって形成することができる。
そして、躯体固定部材1は、ベース部11の斜線aを挟んだ2カ所に、躯体固定部材1を躯体開口部Wに固定するためのネジ孔11a,11aが設けられており、図6に示すように、ビス等の固定手段b,bによって、躯体開口部Wの内周面に固定されている。
なお、図4(b)には、中央本体部21及びスライド部22,23が肉抜部212a,22a,23aを有する枠固定部材2を示している。このように枠固定部材2は、適宜肉抜き加工を施すことが可能である。
そして、中央本体部21は、一方側の上面に上方に隆起する隆起部212を有しており、隆起部212と被係合部211との間には、被係合部211に対して係合方向に弾性を持たせるためのスリット213が被係合部211に沿って形成されている。
一方、中央本体部21の上底21a側に形成されるスライド部22は、図4(b),(c),図5(c)に示すように、上縁部221と下縁部222とを有し、上縁部221と下縁部222とにより側方に開口する溝部223を形成している。上縁部221の他方側端部近傍の上面には凹部221aが形成されるとともに凹部221aの他方側端部の上面には被係合突起221bが上方に突設されている。
そして、スライド部22,23に設けられた係合突起234a及び被係合突起221bにより、枠固定部材2,2同士を連結する連結手段が構成されている。
溝状部51は、下枠5の底面5bの室内側端に沿って下方に垂下する室内側壁部511と、下枠5の底面5bの室外側端部に沿って下方に垂下する室外側壁部512とにより形成されている。室内側壁部511と室外側壁部512の下端は、溝状部51の開口を狭めるように略直角に屈曲されて、下枠5の長手方向に延びる室内側水平レール部511a及び室外側水平レール部512aが形成されている。
このとき、室内側、室外側水平レール部511a,512aに係止された溝部223,233の下縁部(操作片)222,232は、室内側、室外側水平レール部511a,512aの下方、即ち下枠5の下方に突出している。
そして、下枠5の底面5bに形成された見込み方向2カ所のビスホール5a,5a間に、枠固定部材2の中央本体部21の隆起部212が配置されており、見込み方向のがたつきが少ない状態でスライド自在に装着することができる。
本実施形態に係る建具取付具を用いた建具の施工方法について、説明する。
1.躯体固定部材の取付
レンガやコンクリート等で構成された躯体開口部Wの下枠部分の内周面に、躯体固定部材1をネジ等の固定手段b,bにより固定する。躯体固定部材1の設置数は、施工する建具の幅寸法により適宜設定すればよい。なお、躯体固定部材1を固定する位置は、一つであれば躯体開口部Wの略中央位置に固定すればよく、複数個であれば、例えば障子の召合せ部の下方位置等障子の荷重がかかる位置に配置することが好ましい。
建具の下枠5の底面5bに形成された溝状部51に、躯体固定部材1の設置数に応じた組数の枠固定部材2を装着する。一組の枠固定部材2,2は、図7(a)に示すように、他方側同士、すなわち被係合部211同士が対向するように、下枠5の底面5bに設けられた溝状部51にスライド自在に装着する。
枠固定部材2は、下枠5の両側端部より溝状部51に挿入して装着することができる。溝状部51に挿入された枠固定部材2は、溝部223,233が室内側、室外側水平レール部511a,512aに案内され、隆起部212が下枠5の底面5bのビスホール5a,5a間に案内されることで、溝状部51に対してスムーズにスライドさせることができる。
下面に枠固定部材2が装着された枠体を、躯体固定部材1が固定された躯体開口部Wの内周に配置する。このとき、下枠5の底面5bに装着された一組の枠固定部材2,2の間に、躯体開口部Wに固定された躯体固定部材1が配置されるように、下枠5を躯体開口部Wに配置する。そして、躯体開口部Wに配置された下枠5が水平となるように、躯体開口部Wと下枠5との間にくさび(スペーサ)を挿入する。
本実施形態の建具においては、躯体開口部Wの内周面と枠体外周面との間隔は、窓枠の全周にわたって約5mm程度となるように設定されている。
下枠を除く縦枠と上枠については、枠の内周側からネジ等の固定手段で躯体開口部の内周面に固定する。そして、躯体開口部Wの内周面と枠体外周面との隙間には、充填材を充填して、隙間を閉塞する。なお、必要に応じて、ネジ等の固定手段による固定に先立って、隙間の適宜箇所にスペーサ等を挿入して隙間間隔の調整を行う。
躯体開口部の内周面と下枠の外周面との隙間s(図7)に、例えばマイナスドライバー等を差し込んで枠固定部材2の下縁部222,232を操作して、一組の枠固定部材2,2同士が近接するようにスライドさせる。
一組の枠固定部材2,2をスライドさせることにより、図7(a)で左側に記載された枠固定部材2(左側枠固定部材2)の被係合突起221bに対して、同右側に記載された枠固定部材2(右側枠固定部材2)の係合突起234aが上方より係合し、右側枠固定部材2の被係合突起221bに対して左側枠固定部材2の係合突起234aが上方より係合して、躯体固定部材1を挟んで一組の枠固定部材2,2を連結することができる。
なお、マイナスドライバー等によって操作する部位は、枠固定部材2の一部分であればよく、下枠と躯体開口部との隙間から操作が可能な部位(操作片)であれば、さらに言えば枠体を設置後に操作することができれば、枠固定部材2のいずれの部分であってもよく、枠固定部材2の溝部223,233を形成する下縁部222,232に限るものではない。
以上のように、一組の枠固定部材2,2の間に躯体固定部材1が配置された状態で枠固定部材2,2同士が連結されることにより、一組の枠固定部材2,2は躯体固定部材1に対して見込み方向、見付け方向及び上下方向の三方向において移動が規制されて係合することとなり、枠体の躯体に対する位置決めを行うことができる。
そのため、図8(b)のように、躯体固定部材が躯体開口部の見込み方向略中央位置からずれて固定されている場合であっても、躯体固定部材1の係合片12,12の係合部121,121に一組の枠固定部材2の被係合部211,211を対向させることができるので、枠体を見込み方向の中央に配置させた状態で固定することができる。
なお、充填材としては、コーキング材や発泡性の硬質ポリウレタンフォームなどが挙げられるが、開口部と下枠とを強固に固定できればどのような充填材を用いることも可能である。
下枠5の固定は、上枠及び縦枠の固定の前に行うこともできるし、同時に行うこともできる。
図9乃至14に、本発明の第2の実施形態に係る建具取付具を示す。第2の実施形態に係る建具取付具は、躯体固定部材6と、一組の枠固定部材7と、一組の枠固定部材7を連結する連結部材8により構成されている。
第2の実施形態に係る建具取付具を構成する躯体固定部材6は、例えばスチール等の金属材料からなり、図9(a)に示すように、躯体開口部Wの下枠部分の内周面(上面)に配置される平面視略矩形状のベース部61と、ベース部61の上面より上方に突出する一対の係合片62,62とから構成されている。
一対の係合片62,62は、図9(b)に示すように、室内側に配置される係合片62Aと室外側に配置される係合片62Bとが、矩形状のベース部61の見付け方向に位置をずらして見込み方向に対向するように設けられている。
室内側の係合片62の係合部621は、ベース部61から立ち上がり見付け方向に平行な見付け面を形成する見付け壁621aと、見付け壁621aの見付け方向外周側が室外側に屈曲されて延びる傾斜壁621bとから形成されている。上壁部622は、見付け壁621aの上端が外方に直角に屈曲されて水平な壁部として形成されている。
中央本体部21は、図10(a)に示すように、見込み方向の両側の線71a,71bを台形の底辺(上底71a,下底71b)とし、一方側の線71cを両底辺(上底71a,下底71b)と垂直な台形の脚71cとし、他方側の線71dを建具の見付け方向に対して傾斜する台形の他方側の脚71dとする略台形状をなしている。そして、他方側の脚71dである傾斜辺71dの側面には広い範囲に亘って見付け方向に平行な見付け面と見付け面同士を結ぶ傾斜面とからなる複数の段部711a,711a・・・が傾斜辺71dに沿って配置される被係合部711が形成されている。
そして、中央本体部71は、一方側の上面には上方に隆起する隆起部712を有している。
同様に、中央本体部71の下底71b側に形成されるスライド部73は、中央本体部の下底71bに沿って上縁部731と下縁部732とにより形成される側方に開口する溝部733を有している。
そして、中央本体部71の一方側側面には、図10(c),(d)に示すように、スライド部72,73の側方に開口する溝部723,733を連絡する溝部713が形成されている。
溝部723,733を構成する上縁部721,731の下面にはスライド段部721a,731aが形成されている。
そして、第1の実施形態と同様に、枠固定部材7の下縁部(操作片)722,732は、室内側、室外側水平レール部511a,512aの下方、即ち下枠5の下方に突出している。
そして、枠固定部材2,2に設けられた溝部723,733、溝部713及び連結部材8により、枠固定部材2,2同士を連結する連結手段が構成されている。
第2の実施形態に係る建具取付具を用いた建具の施工方法について、説明する。なお、第1の実施形態に係る建具の施工方法と異なる工程は、「5.下枠の固定」のみであり、その他の工程については、同様であるので、「5.下枠の固定」の工程のみ説明し、他の説明は省略する。
図11(a),(b)に示すように、枠固定部材7,7が装着された枠体を躯体固定部材6が固定された躯体開口部Wに配置した後、躯体開口部の内周面と下枠の外周面との隙間sに、例えばマイナスドライバー等を差し込んで、下縁部(操作片)732,722を操作して、一組の枠固定部材7,7同士が近接するようにスライドさせる。
一組の枠固定部材7,7をスライドさせることにより、図12(a),(b)に示すように、躯体固定部材6の係合片62の見付け壁621aと傾斜壁621bとによって形成される係合部621に対して、枠固定部材7に階段状に設けられた被係合部711の段部711a・・のいずれかを当接させる。
そして、躯体固定部材6の係合部621,621に枠固定部材7,7の被係合部711,711を当接させた状態で、一組の枠固定部材7,7の溝部713,723,733に対して、見込み方向から連結部材8を差し込む。
そして、枠固定部材7,7の被係合部711,711が躯体固定部材6の係合部621に対して見込み方向に重複するとともに、上壁部622に対して下方に位置することで、被係合部711,711は、係合片62,62の係合部621,621及び上壁部622,622によって、見込み方向及び上方への移動が規制されることにより、躯体固定部材6に一組の枠固定部材7,7を固定することができる。
その後、躯体開口部Wの内周と下枠外周間の隙間sから、充填後に固化する充填材を充填することで、枠固定部材2の下縁部(操作片)232を移動不能に被服して、下枠の施工が完了する。
このため枠の内周からネジ等を貫通させて枠を躯体に締め込む必要が無く、枠内周の雨水が、ネジ穴などから流入して、躯体に漏水することを防止することができる。
また、躯体内周と窓枠外周間の隙間を小さくできるので、隙間からコーキングや、硬質ポリウレタンフォームなどの、充填後に固化する充填材を充填するだけで隙間を閉塞することができ、別途隙間に塞ぎカバーなどを設置しなくても、意匠の低下を防止することができるため、部材点数を削減して、製造コストを抑えることができる。
また、第2の実施形態の建具取付具によれば、枠固定部材は弾性的な変形を伴わずに、単純に当接しているだけであるため、当接作業をより軽い力で行うことができる。そして、弾性変形部を有していないことから、枠固定部材の強度を向上することができ、窓枠を強固に固定することができる。
なお、連結手段としては、特にその形状や構成が限定されるものではなく、一組の枠固定部材同士を連結することができれば、どのようなものでもよい。
なお、実施形態においては、躯体固定部材に設けられる係合部はベース部を切起こすことによって形成されているが、本発明の躯体固定部材の係合部及び枠固定部材の被係合部の構成は、実施形態の構成に限定されるものではなく、枠固定部材同士が連結されることにより躯体固定部材と枠固定部材とが係合できるものであれば、躯体固定部材の係合部及び枠固定部材の被係合部の構成はどのようなものであってもよい。
11 :ベース部
12 :係合片
121 :係合部
121a :係合凸部
122 :上壁部
2 :枠固定部材
21 :中央本体部
211 :被係合部
211a :爪
212 :隆起部
213 :スリット
22 :スライド部
221 :上縁部
221a :凹部
221b :被係合突起
222 :下縁部
223 :溝部
23 :スライド部
231 :上縁部
232 :下縁部
233 :溝部
234 :係合腕部
234a :係合突起
5 :下枠
51 :溝状部
511 :室内側壁部
511a :室内側水平レール部
512 :室外側壁部
512a :室外側水平レール部
6 :躯体固定部材
61 :ベース部
62 :係合片
621 :係合部
621a :見付け壁
621b :傾斜壁
622 :上壁部
7 :枠固定部材
71 :中央本体部
711 :被係合部
711a :段部
712 :隆起部
713 :溝部
72 :スライド部
721 :上縁部
721a :スライド段部
722 :下縁部
723 :溝部
73 :スライド部
731 :上縁部
731a :スライド段部
732 :下縁部
733 :溝部
8 :連結部材
81 :一辺部
82 :辺部
Claims (3)
- 躯体開口部に固定される躯体固定部材と、
建具の枠材の外周面に設けられた溝状部に装着されるとともに、躯体固定部材に対して係合する一組の枠固定部材とを備え、
躯体固定部材は、躯体開口部に固定されるベース部と、ベース部に設けられる係合片を備え、
枠固定部材は、躯体固定部材の係合片に係合される被係合部と、枠固定部材同士を連結する連結手段とを備えるとともに、建具の枠材の溝状部に対して見付け方向にスライド可能であり、
躯体固定部材を間にして枠固定部材同士が連結されることにより、枠固定部材の被係合部と躯体固定部材の係合片とが係合して、溝状部の内側に位置される
ことを特徴とする建具取付具。 - 躯体開口部に固定される躯体固定部材と、
建具の枠材に装着されるとともに、躯体固定部材に対して係合する一組の枠固定部材と を備え、
躯体固定部材は、躯体開口部に固定されるベース部と、ベース部に設けられる係合片を 備え、
一組の枠固定部材は、それぞれが躯体固定部材の係合片に係合される被係合部を備える とともに、それぞれが建具の枠材に対して見付け方向にスライド可能であり、
躯体固定部材を間にして枠固定部材同士が連結されることにより、枠固定部材の被係合 部と躯体固定部材の係合片とが係合される
ことを特徴とする建具取付具。 - 開口部に取り付けられる枠体と、枠体に支持されるパネル体と、請求項1又は2に係る建具取付具とを備え、
建具の枠体の枠材外周面に、建具取付具の枠固定部材がスライド可能に装着される溝状部を有する
ことを特徴とする建具。
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