以下、本発明に係る加熱調理器について、図面を用いて説明する。
なお、以下では、本発明に係る加熱調理器が、トッププレート上の左右手前及び中央奥に調理鍋載置部を三口備えたビルトイン型(組込み型)IHクッキングヒータである場合を説明するが、本発明に係る加熱調理器は、そのような場合に限定されない。
また、以下では、理解を容易にするために、方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」等)を適宜用いているが、本発明に係る加熱調理器は、これらの用語によって限定されない。
また、以下で説明する構成、動作等は、一例であり、本発明に係る加熱調理器は、そのような構成、動作等に限定されない。
また、各図において、同一の又は類似する部材又は部分には、同一の符号を付すか、又は、符号を付すことを省略している。
また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
また、重複又は類似する説明については、適宜簡略化又は省略している。
実施の形態1.
実施の形態1に係る加熱調理器について説明する。
<加熱調理器の構成>
実施の形態1に係る加熱調理器の構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の、全体を示す斜視図である。
図1に示されるように、加熱調理器の本体1の筐体2の上側に、筐体上面3が着脱自在に配置される。筐体上面3の背面側に、吸排気口カバー5が配置される。筐体上面3の中央に、トッププレート4が配置される。筐体上面3の前面側に、操作部6が設けられる。
トッププレート4には、前面側右、背面中央、前面左の3ヶ所に、載置部8が設けられる。載置部8には、被加熱物(図示せず)が載置される。また、トッププレート4には、表示部9が設けられる。表示部9には、本体1の動作状態を報知する内容、操作部6における操作の内容等が表示される。
筐体2の前面の左側に、調理室扉7が設けられる。調理室扉7は、後述する調理室11を開閉する扉である。調理室扉7は、スライド式であり、ユーザー等によって調理室扉7が手前側に引かれると、調理室11が開く。調理室扉7は、後述する調理室11内及び調理室扉7自身の清掃、メンテナンス等のために、着脱可能である。調理室扉7の右側にも、操作部6が設けられる。なお、調理室扉7及び後述する調理室11は、筐体2の中央、右側等に寄せて設けられてもよい。また、操作部6は、筐体2の左右両側に設けられてもよく、また、筐体2の左側に寄せて設けられてもよい。また、筐体2の前面側に、操作部6が設けられなくてもよい。
吸排気口カバー5は、通気性を有する。冷却風として吸気される気流、冷却風として排気される気流、後述する調理室11から排気される気流等が、吸排気口カバー5をスムースに通過する。
図2は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の、トッププレート4と吸排気口カバー5とが取り外された状態での、本体1の斜視図である。
図2に示されるように、筐体上面3の背面側の左側に、筐体排気口13が形成される。筐体上面3の背面側の右側に、筐体吸気口14が形成される。通常の使用状態においては、筐体排気口13及び筐体吸気口14は、吸排気口カバー5で覆われている。筐体排気口13は、冷却風排気風路15に接続される。筐体排気口13を介して冷却風が排気される。冷却風排気風路15内に、調理室排気風路10が形成され、後述する調理室11内の空気も、筐体排気口13を介して排気される。調理室排気風路10は、本発明の「第1排出風路」に相当する。
トッププレート4の前面側左右の載置部8の下方に、誘導加熱コイルユニット18が設けられる。トッププレート4の背面側中央の載置部8の下方にラジエントヒータ17が設けられる。誘導加熱コイルユニット18及びラジエントヒータ17は、トッププレート4の載置部8上に載置される被加熱物の加熱に使用される。誘導加熱コイルユニット18及びラジエントヒータ17は、本発明の「第3加熱手段」に相当する。
誘導加熱コイルユニット18及びラジエントヒータ17は、相互に置き換えられてもよい。
筐体2内の誘導加熱コイルユニット18及びラジエントヒータ17と比較して下側の左側には、調理室収納部19が配置される。調理室収納部19の内部には、後述する調理室11が配置される。調理室収納部19と調理室11との間には、通風可能な隙間が設けられ、空気層によって断熱が行われる。
調理室収納部19の右側に、コントロールユニット29が配置される。コントロールユニット29には、加熱調理器の本体1全体の動作を司る電子回路基板が実装される。コントロールユニット29の電子回路基板は、例えば、マイクロプロセッサユニット等で構成されてもよく、また、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、また、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。コントロールユニット29は、本発明の「制御手段」に相当する。
コントロールユニット29に、筐体吸気口14の下方に接続されるように、吸込口101が形成される。筐体2外の空気が、コントロールユニット29内の後述する冷却ファン37の吸引及び送出によって、冷却風として、筐体吸気口14から筐体2内に吸い込まれ、吸込口101を介してコントロールユニット29内に流入して、コントロールユニット29内の電子回路基板の部品等を冷却し、コントロールユニット29に形成された後述する複数のユニット排気口38を介してコントロールユニット29外に排出される。吸込口101からコントロールユニット29内に流入した冷却風が通過する風路は、本発明の「第2排出風路」に相当する。吸込口101からコントロールユニット29内に流入した冷却風が通過する風路、冷却ファン37等は、それぞれ、本発明の「第2送風手段」の一部に相当する。
コントロールユニット29外に排出された冷却風の多くは、コントロールユニット29の上方に設けられた右側の誘導加熱コイルユニット18を冷却した後、調理室収納部19の上方に形成された冷却風路31に導風され、調理室収納部19の上方に設けられた左側の誘導加熱コイルユニット18を冷却した後、調理室収納部19の上面に設けられた排気風路流入口16を介して冷却風排気風路15に流入し、筐体2外へ排出される。
図3は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の、筐体上面3とトッププレート4と吸排気口カバー5と誘導加熱コイルユニット18とラジエントヒータ17とが取り外された状態での、本体1の斜視図である。
図3に示されるように、コントロールユニット29の上面に、複数のユニット排気口38が形成される。後述するように、コントロールユニット29の側面にも、ユニット排気口38が形成される。冷却風路31は、コントロールユニット29の複数のユニット排気口38から排出された冷却風を導風するようにコントロールユニット29に接合される。冷却風路31を通過する冷却風は、誘導加熱コイルユニット18に実装される加熱コイル、フェライト等を冷却できるように、冷却風路31の上面に形成された開口から誘導加熱コイルユニット18の底面に向かって噴きつけられる。
図4は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の、筐体上面3とトッププレート4と吸排気口カバー5と誘導加熱コイルユニット18とラジエントヒータ17とコントロールユニット29と冷却風路31とが取り外された状態での、本体1の斜視図である。なお、図4は、本体1を後方右側斜め上方から斜視した状態を示している。
図4に示されるように、調理室収納部19の側面に、収納部通風口36が形成される。収納部通風口36は、コントロールユニット29の側面に形成されたユニット排気口38に通風可能に接続される。
図5は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の、コントロールユニット29の斜視図である。
図5に示されるように、コントロールユニット29の背面側の垂直部に、筐体吸気口14の下方に接続される吸込口101が形成される。コントロールユニット29の内部に、冷却ファン37が設けられ、吸込口101から吸引された空気を冷却風として送出する。冷却ファン37から送出された冷却風は、コントロールユニット29の上面及び側面に形成されたユニット排気口38から送出される。
図6は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の、コントロールユニット29の側面断面図である。
図6に示されるように、吸込口101から吸引され、冷却ファン37から送出された冷却風の一部は、直接上面のユニット排気口38から送出され、残りは、コントロールユニット29内の電子回路基板に実装された誘導加熱コイルの駆動回路等の回路部品、コントロールユニット29内の電子回路基板に実装された回路部品等の冷却効率を向上するための放熱フィン等を冷却した後、コントロールユニット29の上方及び側面に形成されたユニット排気口38から排出される。
図7は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の、調理室11全体の斜視図である。
図8は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の、調理室上外郭25とその付帯部品とを取り外した状態での、調理室11の斜視図である。なお、図8は、調理室11を後方左側斜め上方から斜視した状態を示している。
図7及び図8に示されるように、調理室11には調理室扉7の開閉を規制するロック機構102が設けられる。操作部6が操作されて、調理室11が加熱調理動作中になっている場合、及び、調理室11が加熱調理を終了又は停止した状態で且つ所定条件に該当する場合(調理室11内の温度が所定温度以上である場合、後述する遠心ファン22が慣性によって回転動作中である場合等)には、コントロールユニット29は、調理室扉7が開かれることをロック機構102によって規制する。
また、調理室11又は調理室扉7に、調理室扉7の開閉を検知する開閉検知手段103が設けられる。開閉検知手段103によって、調理室扉7が開いていることが検知されている状態で、操作部6の操作によって、調理室11の加熱調理開始が入力された場合には、コントロールユニット29は、調理室11の加熱調理開始を行わず、表示部9に、調理室扉7が開いているため、調理室11の加熱調理開始を行えないことを報知する表示、及び、調理室扉7を閉めることを促す表示を表示させる。
また、操作部6操作によって、調理室11が加熱調理動作中になっている状態で、開閉検知手段103によって、調理室扉7が開いていることが検知された場合には、コントロールユニット29は、調理室11の加熱調理を停止し、表示部9に、調理室扉7が開いたため、調理室11の加熱調理を停止したことを報知する表示を表示させる。
また、加熱調理動作中に、ロック機構102に損傷、故障等が生じて、調理室扉7が開いてしまった場合には、コントロールユニット29は、上方加熱手段23の加熱動作、循環風加熱手段49の加熱動作、及び、後述する遠心ファン22の回転動作を停止させ、調理室11の調理室扉7が開閉する開口から、熱が放射されること及び熱風が漏れることを抑制する。
開閉検知手段103は、磁石と磁気検知センサを利用して、調理室扉7の開閉を検知する。調理室扉7内に磁石が内蔵され、調理室扉7がスライドして閉じた時に、本体1側に設けられた磁気検知センサが、磁石の磁気を検知して、調理室扉7が閉まっていることを検知する。なお、開閉検知手段103は、光、超音波、電波等の反射、遮断等を検知する非接触式の他の検知手段であってもよく、また、メカニカルスイッチ等の接触式の検知手段であってもよい。
調理室11の後面と、調理室11の後面部に設けられた風路部材の内面と、で吹出風路20が形成される。吹出風路20には、調理室排気風路10が接続される。吹出風路20の背面には、電動機21が設けられ、電動機21の回転軸は、吹出風路20内の後述する遠心ファン22に接続される。電動機21は、調理室11の加熱調理動作時に、コントロールユニット29によって、回転の有無、回転数等が制御される。電動機21は、DCモーター、誘導モーター等である。電動機21は、その仕様と、その動作環境、その回転軸の軸受け寿命等と、の兼ね合いに応じて、冷却される。そのような場合には、電動機21の回転軸に、冷却用のファンが設けられるとよい。吹出風路20、電動機21、及び、遠心ファン22等は、それぞれ、本発明の「第1送風手段」の一部に相当する。
吹出風路20内の背面側に、循環風加熱手段49が設けられる。循環風加熱手段49の端子は、吹出風路20外に突出し、コントロールユニット29内の電子回路基板に接続され、コントロールユニット29によって、発熱の有無、発熱量等が制御される。循環風加熱手段49は、本発明の「第1加熱手段」に相当する。
また、調理室11内の上方に、上方加熱手段23が設けられる。上方加熱手段23の端子は、調理室11外に突出し、コントロールユニット29内の電子回路基板に接続され、コントロールユニット29によって、発熱の有無、発熱量等が制御される。上方加熱手段23は、本発明の「第2加熱手段」に相当する。
また、調理室11内に、後述するスライド機構30のカバー39が設けられる。カバー39は、後述するスライド機構30の調理室11外に突出する部分を覆う。カバー39内に、後述するスライド機構30の可動側を、カバー39側に付勢する磁石が収納される。
調理室天井面35は、調理室上外郭25の下方に位置する。調理室天井面35に、調理室吸込口12が形成される。また、調理室天井面35に、風路開口47が形成される。また、調理室天井面35の調理室吸込口12及び風路開口47の上方に、風路部材A45が設けられる。調理室天井面35と風路部材A45とによって、調理室吸込口12から吸い込まれた調理室11内の空気を、風路開口47に流入させる風路が形成される。調理室吸込口12は、本発明の「吸込口」に相当する。
調理室扉7の前面部の調理室11側に、気密部材33が設けられる。調理室扉7が閉められると、調理室11の前面開口の外周に気密部材33が接触して、調理室11の前面開口と調理室扉7との隙間から、調理室11内の空気が漏れることが抑制される。
図9は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の、調理室上外郭25と風路部材A45とカバー39と吹出風路20とそれらの付帯部品とを取り外した状態での、調理室11の斜視図である。なお、図9は、調理室11を後方左側斜め上方から斜視した状態を示している。
図9に示されるように、調理室吸込口12の上側近傍に、触媒体34が設けられる。触媒体34には、Pd、Pt、Mnのいずれかを含む酸化触媒が添着される。触媒体34が、上方加熱手段23の上方に設けられていない場合でも、触媒体34は、調理室吸込口12から流入する高温空気によって触媒活性を得ることができるため、調理室吸込口12から流入する高温空気が触媒体34を通過すると、触媒体34に油煙、臭気成分等の物質が吸着されて酸化分解され、その高温空気が浄化される。
触媒体34が、上方加熱手段23の上方に設けられることで、上方加熱手段23によって、調理室吸込口12から流入する高温空気が更に高温となり、触媒体34における汚染物の分解に係る化学反応速度が速まって、更に多くの汚染物質が除去され、調理室11外に排出される空気の清浄度が高まる。
また、触媒体34が、上方加熱手段23からの放射が直接到達する位置に設けられることで、触媒体34の温度が更に高温となり、触媒体34における汚染物の分解に係る化学反応速度が速まって、更に多くの汚染物質が除去され、調理室11外に排出される空気の清浄度が高まる。
また、触媒体34を通過した空気が、吹出風路20に流入し、再び調理室11内に吹き出されるため、触媒体34における汚染物の分解に伴って発生する反応熱で調理室11内に吹き出される空気を加熱することができ、循環風加熱手段49及び上方加熱手段23の入力が抑制され、エネルギー消費が低減され、また、加熱効率が向上される。
調理室11の後面部の前側に、風路部材B46が設けられる。風路部材B46によって風路開口47が形成される。調理室11の後面部に、送風手段吸込口42が形成される。風路開口47を介して風路部材B46内に流入した調理室11外の空気は、送風手段吸込口42を介して吹出風路20に流入する。
調理室11の後面部に、吹出口28が形成される。吹出口28は、複数の長方形の開口である。吹出口28は、円形の開口であってもよい。吹出口28は、1つの開口であってもよい。調理室11の後面部に、吹出口28を囲うように導風部材48が設けられる。吹出口28は、本発明の「吹出口」に相当する。導風部材48の上部及び下部は、本発明の「調理室外に向かって突出する突出部」に相当する。
導風部材48によって、主に、吹出口28に流入する気流の上下方向の角度が制御される。調理室11の壁面は、高温(例えば250℃以上)になるため、耐熱性のある金属、セラミックス等で形成される。また、導風部材48も、金属、セラミックス等で形成される。導風部材48は、通過する気流の直交方向における断面形状が、角部を有する形状とされることで、高温となる場合の熱応力によって生じる歪、変形等が軽減される。また、導風部材48の素材として、調理室11の壁面を構成する素材と線膨張係数が同一または近似する素材が用いられることで、接合時の熱応力によって生じる歪、変形等が軽減される。調理室11の壁面と導風部材48とは、スポット溶接等の溶接、カシメ等の、高温に耐え得る接合方法によって接合される。
また、スライド機構30の背面側端部が、調理室11の後面部に形成された開口から突出する。スライド機構30の固定側は、調理室11の左右の壁面に固定される。スライド機構30の可動側は、スライド機構30の固定側に直線移動自在に保持され、前面側端部は、調理室扉7を支持する。
スライド機構30の可動側と固定側の背面側端部には、それぞれ磁石が設けられる。磁石間の引力によって、調理室扉7が閉状態近傍において、調理室扉7が閉方向に付勢される。そのように構成されることで、調理室扉7が調理室11の壁面に密着され、調理室11の気密性が向上される。また、後述する流入口50と吹出口28とが近接又は当接され、吹出口28から吹き出された熱風を、流入口50に漏れ少なく流入させることができ、加熱効率が向上される。
なお、調理室扉7が、磁力によって閉方向に付勢されるのではなく、他の付勢手段によって付勢されてもよい。例えば、調理室扉7が、開かれた状態において、バネ等の弾性体を変形させ、閉じられる際に、その反力で閉方向に付勢されてもよい。
図10は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の、付帯部品と共に調理室11から引き出して取り外された状態での、調理室扉7の斜視図である。なお、図10は、調理室扉7を後方左側斜め上方から斜視した状態を示している。
図10に示されるように、調理室扉7の両側に、スライド機構30の可動側が設けられ、その背面端には調理室扉7の付勢手段として機能する磁石が設けられる。スライド機構30の可動側の間に、保持部41が設けられ、その保持部41によって概ね位置決めされた位置に受皿24が保持される。調理皿26は受皿24に係合され、保持される。
受皿24には、凹部104が形成される。受皿24は、凹部104の外側に形成された整流部51が吹出口28に近くなる向きで、調理室11内に配置される。調理皿26には、複数の凸部105が形成される。調理皿26は、複数の凸部105の配列方向における断面形状が波状である。調理皿26は、調理室11内に、複数の凸部105の配列方向が、吹出口28から吹き出される気流の方向に沿い、且つ、複数の凸部105の外側に形成された整流部51が吹出口28に近くなる向きで、調理室11内に配置される。
調理皿26と受皿24とが係合されると、調理皿26の整流部51の下面と、受皿24の整流部51の上面とで、背面側に向かって開口する流入口50が形成される。流入口50から流入した気流は、整流部51を通過して、調理皿26の下面と受皿24の凹部104の底面との隙間が形成する空間106に流入し、複数の調理皿開口27から吹き出される。調理皿開口27は、本発明の「開口」に相当する。
受皿24及び調理皿26は、耐熱性のある金属で構成され、プレス加工、ダイキャスト等で成形される。調理皿26がアルミ等の熱伝導率の高い金属素材である場合には、熱が拡散され、温度ムラが軽減される。受皿24及び調理皿26の表面が、シロキサン結合を持つ三次元架橋マトリックス構造のセラミックコーティング被膜によって被覆されることで、表面の非粘着が向上され、防汚性及び清掃性が向上される。また、汎用的に用いられるフッ素樹脂コーティング被膜(PTFE)によって被覆される場合には、耐熱性が低く、260℃以下に調理温度が制約されるが、セラミックコーティング被膜によって被覆される場合には、耐熱性が向上され、調理温度が450℃まで向上されるため、多様な被加熱物を加熱料理することが可能となる。260℃以下に調理温度が制約されてもよい場合には、受皿24及び調理皿26が、フッ素樹脂コーティング(PTFE)被膜によって被覆されてもよい。そのような場合でも、防汚性及び清掃性が向上される。
調理室扉7の前面部に、透過部が設けられ、調理室11内が目視できるようにされてもよい。また、調理室扉7又は透過部が断熱構造とされて、加熱効率が向上されてもよい。そのような場合には、ユーザーの安全性が向上される。
調理室扉7がスライド機構30と着脱自在に係合されてもよい。そのような場合には、調理室扉7を取り外して、洗浄することが可能となり、メンテナンス性が向上される。
図11は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の、調理室上外郭25と風路部材A45と調理室天井面35と調理室扉7とそれらの付帯部品とを取り外した状態での、調理室11の斜視図である。
図11に示されるように、調理室11の上方に、上方加熱手段23が設けられる。上方加熱手段23として抵抗発熱体であるシーズヒータが用いられる。シーズヒータに換えて、遠赤外線ヒータ、近赤外性ヒータ、カーボンヒータ等のガラス管ヒータ等が用いられてもよい。また、調理室11の天井にフラットヒータ、誘導加熱コイル等が埋設され、加熱された調理室11の天井からの発熱によって、被加熱物が加熱されてもよい。そのような場合には、上方加熱手段23が調理室11内に突出せず、調理室11内の調理に有効な高さ寸法を長くすることができる。つまり、上方加熱手段23は、調理室11内の被加熱物を、上方から、放射、空気を介した熱伝達等によって加熱できる手段であれば、これに限るものではない。
調理室11の両側面に、スライド機構30が配置される。調理室扉7の開閉に伴って、スライド機構30の可動側が調理室11外に引き出され、保持部41に支持される受皿24及び調理皿26と、調理皿26の複数の凸部105の頂部に載置される被加熱物と、が一体的にスライドして、調理室11外に取り出される。このように構成されることで、被加熱物の載置、搬出、搬入、受皿24及び調理皿26の着脱等が容易になり、調理の作業性、メンテナンス性、清掃性等が向上される。
調理室11内に、調理室11内の空気、その空気と接触する部材、被加熱物等の温度を検知する調理室温度検知手段32が設けられる。調理室温度検知手段32には、白金測温抵抗体、サーミスタ、熱電対等が用いられる。調理室温度検知手段32の検知結果は、コントロールユニット29内の電子回路基板に出力され、表示部9に表示される。また、コントロールユニット29は、調理室温度検知手段32の検知結果と、操作部6の操作等によって設定された調理メニュー、加熱条件等と、に応じて、上方加熱手段23、循環風加熱手段49、電動機21等の出力、動作等を制御する。コントロールユニット29は、調理ソフト等を用いてその制御を行う。このように構成されることで、調理室11及び調理皿26の温度が、調理皿26に載置される被加熱物、調理工程等に応じた適切な温度に制御される。調理室温度検知手段32は、本発明の「温度検知手段」に相当する。
調理室温度検知手段32は、必要に応じて複数設けられてもよい。また、調理室温度検知手段32は、調理室11の側面以外の天井、底面等に設けられてもよい。また、調理室温度検知手段32は、受皿24、調理皿26、調理室11内の空気と接触する他の部材等に設けられてもよく、それらの温度を直接検知してもよい。また、調理室温度検知手段32は、被加熱物から放射される赤外線量を検出して被加熱物の表面温度を検知するものであってもよい。
調理室11内の後方に、送風手段吸込口42が設けられる。調理室11内の背面と、風路部材B46の内面と、によって、吹出風路20に接続される風路が形成され、調理室天井面35に形成された風路開口47を介して調理室11内の空気が吸引される。
調理室11の側面には、断熱層40が形成される。調理室11の上面及び底面にも、断熱層40が形成される。断熱層40は、調理室11からの熱漏洩を抑制して、調理室11内の加熱効率を向上する。また、断熱層40は、熱漏洩によって周囲に配置される部品が温度上昇することを抑制して、調理室11の冷却効率を向上する。断熱層40には、空気が満たされる。また、断熱層40が、必要な量のグラスウール、真空断熱材等の断熱材が挿入された断熱層であってもよい。そのような場合には、調理室11の断熱性能が向上され、また、調理室11内の加熱効率、調理室11の冷却効率等が向上される。
図12は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の、吹出風路20とその付帯部品の斜視図である。
図12に示されるように、吹出風路20の内部に、遠心ファン22が設けられる。遠心ファン22は、吹出風路20の後方に配置された電動機21の回転軸に固定され、電動機21の動作によって回転する。遠心ファン22は、吸引した空気を回転中心から外周部に向かって送出するラジアルファンである。遠心ファン22が、ターボファン、シロッコファン等であってもよい。
吹出風路20の背面側に、調理室排気風路10が接続される開口部が形成される。調理室11外の空気の一部は、吹出風路20から調理室排気風路10に流入し、調理室排気風路10の背面側垂直部の上端開口から筐体2外へ排出される。筐体2外へ排出される風量は、調理室排気風路10の流路断面積等によって適切な風量となるように調整される。調理室11内の空気が適切な風量で筐体2外に排出されることで、調理室11内の加熱調理の良好な調理効果、調理仕上がり等が得られる。また、調理室11内の加熱効率が、不要に低下することが抑制される。
遠心ファン22の外側に、循環風加熱手段49が設けられる。循環風加熱手段49は、遠心ファン22から送出された空気を加熱する。循環風加熱手段49は、シーズヒータである。循環風加熱手段49として、セラミックヒータ、ニクロム線ヒータ、ハロゲンランプヒータ、カーボンヒータ等のガラス管ヒータが用いられてもよい。
吹出風路20を形成する風路部材に、吹出風路20内の空気、その空気と接触する部材等の温度を検知する送風手段温度検知手段44が設けられる。送風手段温度検知手段44は、熱電対、サーミスタ等の耐熱性を有する温度検知素子である。送風手段温度検知手段44の検知結果は、コントロールユニット29内の電子回路基板に出力される。コントロールユニット29は、送風手段温度検知手段44の検知結果と、操作部6の操作等によって設定された調理メニュー、加熱条件等と、に応じて、上方加熱手段23、循環風加熱手段49、電動機21等の出力、動作等を制御する。コントロールユニット29は、調理ソフト等を用いてその制御を行う。このように構成されることで、調理室11及び調理皿26の温度が、調理皿26に載置される被加熱物、調理工程等に応じた適切な温度に制御される。また、電動機21の故障等によって、遠心ファン22の送風が停止して、吹出風路20内の空気の温度が危険を伴う温度となった場に、上方加熱手段23及び循環風加熱手段49への通電を中止して、調理動作を停止させることができ、製品の安全性が向上される。送風手段温度検知手段44は、本発明の「温度検知手段」に相当する。
送風手段温度検知手段44は、必要に応じて複数設けられてもよい。また、送風手段温度検知手段44は、吹出風路20の側面以外の天井、底面等に設けられてもよい。また、送風手段温度検知手段44は、吹出風路20内の空気と接触する他の部材等に配置されてもよく、それらの温度を直接検知してもよい。
調理室温度検知手段32及び送風手段温度検知手段44のうちのいずれか一方のみが設けられていてもよい。調理室温度検知手段32のみが設けられる場合には、調理室温度検知手段32の検知温度と、電動機21の回転数の設定値又は測定値と、上方加熱手段23及び循環風加熱手段49の発熱量の設定値と、に基づいて、吹出風路20内の空気又はその空気と接触する部材の温度を推定すればよい。また、送風手段温度検知手段44のみが設けられる場合には、送風手段温度検知手段44の検知温度と、電動機21の回転数の設定値又は測定値と、上方加熱手段23及び循環風加熱手段49の発熱量の設定値と、に基づいて、調理室11内の空気又はその空気と接触する部材の温度を推定すればよい。被加熱物の種類、大きさ等の情報が自動で取得される、又は、ユーザーによって入力されるような構成とし、上述の推定がその情報によって高精度化されてもよい。
図13は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の、係合された状態での、受皿24及び調理皿26の斜視図及び断面図である。なお、図13(a)は、受皿24及び調理皿26を後方左側斜め上方から斜視した状態を示している。図13(b)は、図13(a)におけるA−A線での断面図である。図13(c)は、図13(a)におけるB−B線での断面図である。図13(d)は、図13(a)におけるC−C線での断面図である。
図13に示されるように、調理皿26には、流入口50と概ね平行な方向に延びる複数の凸部105が、概ね平行に形成される。複数の凸部105の頂部に、被加熱物が載置される。複数の凸部105間に、斜面、傾斜曲面等からなる複数のすり鉢状の凹部107が形成される。すり鉢状の凹部107の底部に調理皿開口27が形成される。そのように構成されることで、被加熱物が肉、魚等の食材である場合に、調理に伴って被加熱物から滴下する油分、汁気等が滞留されることなく、調理皿開口27に集められ、受皿24の凹部104へ排出されるため、煙、臭気等の発生が抑制される。また、被加熱物側に跳ねる等によって被加熱物に油分、汁気等が再付着することが抑制されるため、被加熱物表面のベタツキが抑制され、パリッとさせる調理効果、調理仕上がりを得ることができる。
調理皿開口27は、加熱ムラを軽減するために千鳥状に配置される。つまり、流入口50と概ね垂直な直線上において、その直線上に調理皿開口27が形成されるすり鉢状の凹部107と、その直線上に調理皿開口27が形成されないすり鉢状の凹部107と、が交互に形成される。
複数の凸部105の間隔は、5mm以上である。また、すり鉢状の凹部107を形成する平面又は曲面の接合部は、曲面で連結される。このように構成されることで、複数の凸部105間の隅々に、清掃用のスポンジ等が容易に挿入され、また、複数の凸部105間に汚れが溜まりにくくなるため、清掃性、メンテナンス性等が向上される。
複数の凸部105は、流入口50と概ね平行な方向に延びなくてもよく、流入口50と概ね垂直な方向又はそれ以外の方向に延びなくてもよい。
調理室11内に配置された状態において、受皿24の凹部104の底面は、流入口50に概ね沿う方向において、中央が高く、外側が低い、傾斜面である。傾斜部を有する受皿24が、調理室11内に水平に配置されてもよく、また、傾斜部を有しない受皿24が調理室11内に斜めに配置されてもよい。このように構成されることで、複数の調理皿開口27を介して回収された油分、汁気等が、重力によって受皿24の凹部104の外側に流れて、受皿24の凹部104の中央で加熱されることが抑制され、煙、臭気等の発生が抑制される。
また、調理室11内に配置された状態において、受皿24の凹部104の底面は、流入口50に近い側が高く、流入口50から遠い側が低い、傾斜面である。傾斜部を有する受皿24が、調理室11内に水平に配置されてもよく、また、傾斜部を有しない受皿24が調理室11内に斜めに配置されてもよい。このように構成されることで、複数の調理皿開口27を介して回収された油分、汁気等が、重力によって流れて、流入口50から遠い領域に滞留されることとなり、流入口50からの熱風によって油分、汁気等が加熱されることが抑制され、煙、臭気等の発生が抑制される。
流入口50と空間106との間に形成された整流部51は、流入口50からの熱風が、受皿24の凹部104の底面に直接到達しないように整流する。このように構成されることで、受皿24の凹部104の底面の温度が上昇することが抑制され、煙、臭気等が発生することが抑制される。
図14は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の、係合されていない状態での、受皿24及び調理皿26の斜視図である。なお、図14は、受皿24及び調理皿26を後方左側斜め上方から斜視した状態を示している。
図14に示されるように、受皿24の凹部104の外側には、フランジ部108が形成される。調理皿26の複数の凸部105が形成される領域の外側には、フランジ部109が形成される。受皿24と調理皿26とが、受皿24のフランジ部108と調理皿26のフランジ部109とが重なるように係合される。
受皿24のフランジ部108の、吹出口28に近い側の一部が、他の領域と比較し低く、その低い領域は、整流部51となる。また、調理皿26のフランジ部109の、吹出口28に近い側の一部が、整流部51となる。
つまり、受皿24と調理皿26とが係合されると、受皿24の凹部104の底面と調理皿26の下面との隙間が形成する空間106は、その外周のうちの、吹出口28に近い側の少なくとも一部の領域が、整流部51及び流入口50を形成するように開かれ、他の領域が塞がれた状態になる。このように構成されることで、空間106の気密性が向上され、流入口50から空間106に流入する熱風が調理皿開口27から漏れ少なく吹き出されることとなり、被加熱物の加熱効率が向上される。
図15は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の、調理室11の正面断面図である。
図16は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の、本体1の側面断面図である。
図15及び図16に示されるように、吹出口28は、受皿24の凹部104の底面と調理皿26の下面との隙間が形成する空間106の外周部(側面)の一部と対向する。つまり、吹出口28は、調理室11内の、調理皿26の吹出口28に近い側の端部及び受皿24の吹出口28に近い側の端部と対向する側壁に形成され、その高さ方向の位置が、調理皿26の吹出口28に近い側の端部と受皿24の吹出口28に近い側の端部とで形成される隙間の上下端の範囲内である。
なお、吹出口28は、受皿24の凹部104の底面と調理皿26の下面との隙間が形成する空間106の外周部の一部と、重力方向と垂直な水平方向から対向してもよく、また、下方から対向してもよい。また、吹出口28は、受皿24の凹部104の底面と調理皿26の下面との隙間が形成する空間106の外周部の一部と、必ずしも平行に対向しなくてもよい。
吹出口28の上端は、調理皿26に形成された調理皿開口27と比較して下側にある。このように構成されることで、吹出口28から空間106に流入する熱風が、障害無く調理皿開口27に到達することができ、圧力損失が低減され、送風効率が向上される。
調理室11の側面と同様に、上面及び底面にも断熱層40が形成される。風路部材A45は、調理室天井面35と調理室上外郭25との間に形成された断熱層40に設けられる。このように構成されることで、風路部材A45内を通過する調理室11外の空気が、調理室11の上方に漏洩する熱を回収することとなり、調理室11内の加熱効率が向上される。
また、調理室11の外壁と調理室収納部19との間にも、断熱層40が形成される。調理室収納部19の壁面に収納部通風口36が形成されているため、調理室11から調理室収納部19内へ漏洩する熱によって加熱される断熱層40の空気は、収納部通風口36から断熱層40に流入する気流によって冷却風排気風路15から筐体2外に排気される。このように構成されることで、調理室収納部19外への熱漏洩が抑制されて、調理室収納部19の周囲に設けられる部品の温度上昇が抑制されるため、その部品の冷却効率が向上される。また、吹出口28から流入する気流の圧力が変動したり、加熱調理中に被加熱物で水蒸気爆発、揮発等が生じたりして、調理室11内の圧力が高まった場合に、調理室11の壁面の接合部等から油煙、炭化物等が漏れ、調理室収納部19内に油分、汚れ等が付着することとなって、故障、発煙等が生じる要因となるが、断熱層40の空気が換気されるため、油煙、炭化物等の汚染物の排気によって、調理室収納部19内の汚れの堆積が抑制されることとなり、故障、発煙等が生じることが抑制される。
調理室11の後面部に、吹出口28を囲うように導風部材48が設けられる。導風部材48は、その上部及び下部が、平行である。導風部材48は、重力方向と垂直な水平方向に向かって、又は、水平方向から30°以下の角度だけ下方傾斜する方向に向かって突出する。このように構成されることで、受皿24の凹部104の底面の加熱が抑制されて、臭気成分、煙等の発生が抑制されるとともに、調理皿26の加熱効率が向上される。導風部材48は、その上部の内面及び下部の内面が、吹出口28の上端及び下端と概ね面一になるように取り付けられる。導風部材48の下部の内面と受皿24に形成された整流部51の上面とが、概ね面一で、且つ、概ね同一の傾きである場合には、導風効果及び整流効果が更に向上される。
なお、導風部材48が、吹出口28から調理室11外に突出し、且つ、吹出口28から調理室11内に突出するものであってもよい。そのような場合には、受皿24及び調理皿26が、調理室11内に配置された状態において、導風部材48の調理室11内に突出する側の先端が、流入口50又は整流部51の内側に挿入されてもよい。
吹出口28の下端は、吹出風路20の下端と比較して上側に位置する。つまり、吹出風路20と吹出口28とは、段差を介して接続される。このように構成されることで、その段差が、上方に設けられた遠心ファン22によって生じる気流の乱れを軽減するチャンバとして機能することとなり、吹出口28から吹き出される気流の整流が更に促進される。
調理室吸込口12は、調理室11の調理室天井面35に形成される。そのように構成されることで、複数の調理皿開口27からの気流の吹き出し方向が、重力方向と垂直な鉛直方向に近づき、調理皿26上に載置される被加熱物に垂直に近い状態で衝突することとなって、衝突噴流熱伝達の効果を得ることができ、被加熱物の加熱効率が向上される。
また、調理室吸込口12は、調理室天井面35のうちの、調理室11内の背面と調理室扉7との間の寸法の1/5〜4/5だけ、吹出口28から前方に向かって離れた領域に形成される。そのように構成されることで、複数の調理皿開口27から吹き出される風量が均一化される。また、複数の調理皿開口27からの気流の吹き出し方向が、重力方向と垂直な鉛直方向に更に近づき、調理皿26上に載置される被加熱物に更に垂直に近い状態で衝突することとなって、衝突噴流熱伝達の効果を更に得ることができ、被加熱物の加熱効率が更に向上される。
図17は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の、システム構成の一例の概略図である。
図17に示されるように、コントロールユニット29に、調理室11における加熱動作を制御する調理室加熱制御部121と、トッププレート4の前方右側に位置する載置部8における加熱動作を制御する前方右側載置部加熱制御部122と、トッププレート4の前方左側に位置する載置部8における加熱動作を制御する前方左側載置部加熱制御部123と、トッププレート4の後方に位置する載置部8における加熱動作を制御する後方載置部加熱制御部124と、経過時間、時刻等を計時する計時部125と、加熱動作の制御に使用されるプログラム、閾値等の判定基準情報等を記憶する記憶部126と、が構成される。記憶部126は、プログラム、判定基準情報等を、加熱条件、調理モード、調理メニュー等と対応付けて記憶する。
調理室加熱制御部121に、記憶部126から、操作部6の操作によって設定された加熱条件、調理モード、調理メニュー等に応じたプログラムを呼び出し、そのプログラムに基づいて上方加熱手段23の発熱量、循環風加熱手段49の発熱量、電動機21の回転数等を制御する加熱動作制御部131と、記憶部126から、操作部6の操作によって設定された等に応じた判定基準情報を呼び出し、調理室温度検知手段32の検知温度、送風手段温度検知手段44の検知温度等が、判定基準情報と所定の条件を満たす関係となっているか否かを判定して、加熱動作制御部131に出力する温度判定部132と、記憶部126から、操作部6の操作によって設定された加熱条件、調理モード、調理メニュー等に応じた判定基準情報を呼び出し、電動機21の回転数等が、判定基準情報と所定の条件を満たす関係となっているか否かを判定して、加熱動作制御部131に出力する風量判定部133と、が構成される。
表示部9に、加熱条件、調理モード、調理メニュー等が表示され、ユーザーは、表示部9の表示を見ながら操作部6を操作して、加熱条件、調理モード、調理メニュー等を選択、入力等する。タッチパネル等のような、表示部9と操作部6とが一体化されたものが用いられてもよい。
<加熱調理器の動作>
実施の形態1に係る加熱調理器の動作について説明する。
なお、以下では、一例として、調理室11における加熱動作として、調理皿26に直接載置された魚、肉等の食材を加熱する調理モードが選択された場合を説明する。
図18は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の、制御フローを示す図である。
図18に示されるように、調理工程が開始されると、調理室加熱制御部121は、S101において、上方加熱手段23及び循環風加熱手段49の発熱量を最大にし、且つ、電動機21を停止して、S102に進む。電動機21が停止されることによって、調理室排気風路10からの排気が自然排気のみとなって最少になり、排気に伴う排熱が抑制されることとなる。そのため、調理室11内及び吹出風路20内の昇温速度が速まる。また、吹出口28から充分に加熱されていない空気が吹き出されることによって被加熱物が乾燥することが抑制される。
調理室加熱制御部121は、S102において、送風手段温度検知手段44によって検知される吹出風路20内の空気の温度が、第1閾値T1(例えば100℃)以上であるか否かを判定し、第1閾値以上である場合には、S103に進んで、電動機21の回転動作を開始させ、S104に進む。第1閾値以上ではない場合は、S102を繰り返す。送風手段温度検知手段44は、吹出風路20内の空気の温度を直接検知してもよく、また、その空気と接触する部材の温度を検知して、吹出風路20内の空気の温度を推定してもよい。また、送風手段温度検知手段44が、その空気と接触する部材の温度を検知し、その検知された温度が、その部材の温度に換算された第1閾値T1と比較されてもよい。
S103において、電動機21の回転動作が開始されると、吹出風路20内の空気は、導風部材48によって水平方向又はそれから30°以下だけ上方傾斜する方向に導風された後、吹出口28から熱風として吹き出される。吹き出された熱風は、流入口50から整流部51に流入して整流され、調理皿26の下面と受皿24の凹部104の底面との隙間が形成する空間106に流入する。空間106から調理皿開口27を介して吹き出された気流は、調理皿26の凸部105の頂部上に載置される被加熱物に当たる。被加熱物は、その際の衝突噴流熱伝達熱によって加熱される。
吹出口28から空間106に流入する熱風は、調理皿開口27を通過する前後において、上方加熱手段23からの放射とともに調理皿26を加熱する。そのため、被加熱物は、調理皿26からの熱伝導によっても加熱される。また、被加熱物の上面は、主に、上方加熱手段23からの放射によって加熱される。
被加熱物を加熱した空気は、調理室天井面35の調理室吸込口12から調理室11外に吸い込まれ、触媒体34で煙、臭気成分等が吸着及び分解されてある程度浄化された状態で、風路部材A45、風路部材B46等で形成される循環風路に流入する。循環風路を通過する空気は、送風手段吸込口42を介して吹出風路20に吸い込まれる。吹出風路20の空気の一部は、調理室排気風路10から筐体2外へ排気され、他の一部は、再び吹出口28を介して調理室11内に吹き出される。筐体2外へ排気された空気を補うように、調理室11を構成する部品の継ぎ目、調理室扉7と調理室11の開口との隙間等から、調理室11外の空気が調理室11内に吸引される。
調理室加熱制御部121は、S104において、調理室温度検知手段32の検知温度、送風手段温度検知手段44の検知温度等の時間変化に基づいて、被加熱物の量、初期温度等を算出し、これ以降の調理工程に用いられるシーケンスのパラメーター(調理時間等)を設定し、S105に進む。
調理室加熱制御部121は、S105において、調理室温度検知手段32によって検知される調理室11内の空気の温度が、第2閾値T2(例えば250℃)以上であるか否かを判定し、第2閾値以上である場合には、S106に進んで、上方加熱手段23及び循環風加熱手段49の発熱量、電動機21の回転数等を所定量とし、S107に進む。第2閾値以上ではない場合は、S105を繰り返す。調理室温度検知手段32は、調理室11内の空気の温度を直接検知してもよく、また、その空気と接触する部材の温度を検知して、調理室11内の空気の温度を推定してもよい。また、調理室温度検知手段32が、その空気と接触する部材の温度を検知し、その検知された温度が、その部材の温度に換算された第2閾値T2と比較されてもよい。
調理室11内の空気の温度が第2閾値T2になるまで、上方加熱手段23と循環風加熱手段49とが最大発熱量で加熱するため、被加熱物を、短時間で70℃程度まで上昇させて表層部のタンパク質を凝固させることができ、また、内部の水分等が揮発することを抑制することができるため、被加熱物の内部のジューシーさが保持される。
また、調理室11内の空気の温度が第2閾値T2に達すると、上方加熱手段23及び循環風加熱手段49の発熱量、電動機21の回転数等が所定量とされるため、被加熱物の上面、下面、及び内部の焼き加減が適切になり、また、被加熱物に気流が接触することによって乾燥、発煙、臭気等の発生が抑制される。
例えば、調理室加熱制御部121は、S106において、調理室温度検知手段32の検知温度、送風手段温度検知手段44の検知温度等に基づいて、調理皿開口27から吹き出される気流の風速が、1m/s以上で、且つ、その気流の被加熱温度が200℃以上であることが、5分間以上継続されるように、循環風加熱手段49の出力、電動機21の回転有無、回転数等を制御する。このように制御されることで、被加熱物に熱風によって適切な(美味しそうな)焼色を着色することができる。
調理皿開口27から吹き出される気流自体の温度が検知されてもよく、また、受皿24の温度、調理皿26の温度、調理室11内の空気の温度等が検知されて、調理皿開口27から吹き出される気流の温度に換算されてもよい。また、受皿24の温度、調理皿26の温度、調理室11内の空気の温度等が検知され、その温度が、上述の200℃を受皿24の温度、調理皿26の温度、調理室11内の空気の温度等に換算した温度以上になるように、循環風加熱手段49の出力、電動機21の回転有無、回転数等が制御されてもよい。
また、例えば、調理室加熱制御部121は、S106において、調理室温度検知手段32の検知温度、送風手段温度検知手段44の検知温度等に基づいて、調理皿26の被加熱温度が200〜250℃の範囲であることが、5分間以上継続されるように、循環風加熱手段49の出力、電動機21の回転有無、回転数等を制御する。このように制御されることで、被加熱物の調理皿26との接触面に適切な(美味しそうな)焼色を着色することができる。
調理皿26自体の温度が検知されてもよく、また、受皿24の温度、調理室11内の空気の温度等が検知されて、調理皿26の温度に換算されてもよい。また、受皿24の温度、調理室11内の空気の温度等が検知され、その温度が、上述の200〜250℃を受皿24の温度、調理室11内の空気の温度等に換算した温度範囲内になるように、循環風加熱手段49の出力、電動機21の回転有無、回転数等が制御されてもよい。
また、例えば、調理室加熱制御部121は、S106において、調理室温度検知手段32の検知温度、送風手段温度検知手段44の検知温度等に基づいて、受皿24の被加熱温度と調理皿26の被加熱温度とが360℃以下になるように、循環風加熱手段49の出力、電動機21の回転有無、回転数等を制御する。被加熱物から滴下して受皿24及び調理皿26に付着する油分等は、360°を超えると発火しやすくなるため、このように制御されることで、被加熱物から滴下して受皿24及び調理皿26に付着する油分等に起因する、発火を抑制することができる。なお、発煙、臭気等も少なからず抑制される。
調理室加熱制御部121が、受皿24の被加熱温度と調理皿26の被加熱温度とが240℃以下になるように、循環風加熱手段49の出力、電動機21の回転有無、回転数等を制御してもよい。被加熱物から滴下して受皿24及び調理皿26に付着する油分等は、240°を超えると発煙が増加するため、このように制御されることで、被加熱物から滴下して受皿24及び調理皿26に付着する油分等に起因する、発火、発煙等を抑制することができる。なお、臭気等も少なからず抑制される。
受皿24自体の温度及び調理皿26自体の両方が検知されてもよく、また、受皿24自体の温度及び調理皿26自体の温度のうちのいずれか一方のみが検知され、他方の温度に換算されてもよく、また、調理室11内の空気の温度等が検知されて、受皿24の温度及び調理皿26の温度に換算されてもよい。また、調理室11内の空気の温度等が検知され、その温度が、上述の360℃又は240℃を調理室11内の空気の温度等に換算した温度以下になるように、循環風加熱手段49の出力、電動機21の回転有無、回転数等が制御されてもよい。
調理室加熱制御部121は、S107において、調理工程の終盤であるか否かを判定し、調理工程の終盤である場合には、S108に進む。調理工程の終盤ではない場合は、S107を繰り返す。
調理室加熱制御部121は、S108において、上方加熱手段23の発熱量を増加する。このように制御されることで、被加熱物の表面に適切な(美味しそうな)焼色をつけることができ、また、被加熱物の表面の水分を揮発させてパリッとさせることができ、見た目も食味も良好な調理効果、調理仕上がり等となる。
調理室加熱制御部121は、上方加熱手段23の発熱量を増加して所定時間が経過すると、調理室温度検知手段32の検知温度、送風手段温度検知手段44の検知温度等に基づいて、被加熱物の内部の被加熱温度が75℃程度であることが、1分以上継続され、且つ、被加熱物の表面の少なくとも一部の被加熱温度が150〜200℃になるように上方加熱手段23の出力、循環風加熱手段49の出力、電動機21の回転有無、回転数等を制御する。このように制御されることで、食材の安全性が向上されるとともに、被加熱物の表面を良好な焼き色として良好な調理効果が得られる。
被加熱物の内部及び表面自体の温度が検知されてもよく、また、受皿24の温度、調理皿26の温度、調理室11内の空気の温度等が検知され、その温度が、被加熱物の種類、大きさの情報等に基づいて被加熱物の内部及び表面の温度に換算されてもよい。また、受皿24の温度、調理皿26の温度、調理室11内の空気の温度等が検知され、その温度が、上述の75℃を受皿24の温度、調理皿26の温度、調理室11内の空気の温度等に換算した温度程度になるように、また、その温度が、上述の150〜200℃を受皿24の温度、調理皿26の温度、調理室11内の空気の温度等に換算した温度範囲内になるように、上方加熱手段23の出力、循環風加熱手段49の出力、電動機21の回転有無、回転数等が制御されてもよい。
調理室加熱制御部121は、S108のシーケンスが完了すると、調理室11の加熱動作を終了する。その際、調理室扉7のロック解除条件が満たされていることを確認した後、表示部9に調理完了を報知する表示を表示させるとともに、ブザー、音声等を発して、調理室扉7のロックを解除する。
<加熱調理器の作用>
実施の形態1に係る加熱調理器の作用について説明する。
実施の形態1に係る加熱調理器では、調理皿26の下面と受皿24の凹部104の底面との間に、隙間が形成され、調理室吸込口12が、調理皿26と比較して上側に形成され、吹出口28が、調理皿26と比較して下側で、且つ、隙間が形成する空間106の外周部の少なくとも一部と対向する位置に形成され、調理皿26が、被加熱物が頂部に載置される複数の凸部105を有し、複数の凸部105の頂部間に複数の調理皿開口27が形成される。
そのため、被加熱物が、吹出口28から流入する熱風によって加熱された調理皿26との接触部からの熱伝導によって加熱されるとともに、調理皿26の複数の調理皿開口27から吹き出される熱風が衝突することによって生じる衝突噴流熱伝達によって加熱されることとなり、加熱ムラが少ない調理を行うことができ、また、適切な焼色を被加熱物に着色でき、良好な調理効果、美味しそうな調理仕上がり等を得ることができる。
また、複数の凸部105の頂部に被加熱物が載置され、その頂部間に複数の調理皿開口27が形成される。そのため、被加熱物から滴下する油分、汁気等が、複数の凸部105間のすり鉢状の凹部107に流れ落ちるとともに、調理皿開口27から受皿24に回収されることとなって、被加熱物の下面が、炒められた状態、煮られた状態と近い調理仕上がりとなり、ベタついてしまうことが抑制されて、パリッとした調理仕上がりが得られ良好な調理効果が得られる。また、食材から滴下する油分、汁気等が、調理皿26に溜まらないため、油分、汁気等が加熱されることが抑制されて、発煙、臭気等の発生が抑制され、排気の清浄度が向上して調理作業空間の快適性が向上されるとともに、食材への臭い移り、不要な着色等が軽減されて調理効果、調理仕上がり等が良好になる。
また、受皿24の下方、及び、調理皿26と受皿24との間に、下方加熱手段が設けられなくてもよくなり、調理室11内の、上方加熱手段23と被加熱物が載置される空間を広くすることができるため、調理室11内の調理に有効な高さ寸法を長くして、多様な被加熱物に対応することができ、調理能力が向上される。更に、被加熱物から滴下する油脂分が下方加熱手段に接触すること、受皿24に溜まった油脂分が下方加熱手段によって加熱されること、等がなくなり、臭気、発煙等の発生を抑制することができる。また、それに伴って、排気の清浄度が高まって、調理作業空間の快適性が向上され、また、食材への臭い移り、不要な着色等が軽減されて、調理効果、調理仕上がり等が良好となる。また、油脂分が、下方加熱手段によって加熱されないため、安全性が向上する。
また、受皿24及び調理皿26が、調理室11外へ取り出し可能である。そのため、受皿24、調理皿26、及び調理室11内のメンテンス性、清掃性等が向上される。
実施の形態1に係る加熱調理器では、調理室11内に、上方加熱手段23が設けられる。そのため、被加熱物が、上方加熱手段23の放射によって加熱されるとともに、上方加熱手段23の放射によって加熱された調理皿26との接触部からの熱伝導によっても加熱されることとなり、更に加熱ムラが少ない調理を行うことができ、また、更に適切な焼色を被加熱物に着色でき、更に良好な調理効果、更に美味しそうな調理仕上がり等を得ることができる。
また、上方加熱手段23の発熱量と循環風加熱手段49の発熱量とを個別に制御することで、被加熱物の上面と下面との焼き加減を個別に調整できるため、適切な加熱調理が行え、良好な調理効果、調理仕上がり等を得ることができる。
実施の形態1に係る発明では、調理室吸込口12から調理室11外に排出された空気が、吹出風路20に導かれ、循環風加熱手段49が、吹出風路20を通過する空気を加熱する。そのため、調理室11内の加熱効率が向上され、エネルギー消費が低減される。
実施の形態1に係る発明では、調理皿26及び受皿24によって空間106の外周部の一部以外が塞がれて、流入口50が形成され、吹出口28が、流入口50と対向する位置に形成される。そのため、吹出口28から吹き出された熱風が、漏れ少なく、また、効率良く、調理皿開口27から吹き出されることとなって、加熱効率が高まってエネルギー消費が低減されるとともに、調理時間が短縮される。調理時間が短縮されることで、被加熱物の水分の蒸発が軽減され、ジューシーな調理仕上がりを得ることができ、また、良好な調理効果を得ることができる。また、吹出風路20の遠心ファン22の回転数を低くすることができ、遠心ファン22からの騒音が軽減されることとなるため、調理作業空間の静音性、快適性等が向上される。
実施の形態1に係る発明では、調理室11が、調理皿26及び受皿24と共にスライドする調理室扉7によって開閉され、流入口50が、調理室11が開かれると吹出口28から遠ざかり、調理室11が閉じられると吹出口28に近接又は当接する。そのため、受皿24及び調理皿26の調理室11からの着脱が容易となり、受皿24、調理皿26、及び調理室11内の清掃が容易となって、清掃性、メンテナンス性等が向上される。
また、吹出口28に対する流入口50の位置決め又は接続が確実化され、安定した加熱性能が得られるとともに、ユーザーの取付作業又は接続作業が簡素化され、調理の作業性が向上される。
また、流入口50と吹出口28とが、近接又は当接して配置されることで、単に、対向して配置される場合と比較して、吹出口28からの気流を漏れ少なく空間106に流入させることができ、更に、加熱効率が向上され、調理時間が短縮され、良好な調理効果が得られ、調理作業空間の静音性、快適性等が向上される。
実施の形態1に係る発明では、調理室扉7が、調理室11を閉じる方向に付勢される。そのため、吹出口28からの気流を更に漏れ少なく空間106に流入させることができ、加熱効率が向上され、調理時間が短縮され、良好な調理効果が得られ、調理作業空間の静音性、快適性等が向上される。また、吹出口28に対する流入口50の位置決め又は接続が更に確実化され、安定した加熱性能が得られるとともに、ユーザーの取付作業又は接続作業が簡素化され、調理の作業性が向上される。
実施の形態1に係る発明では、流入口50が、空間106の外周部から離れた位置に形成され、流入口50と空間106の外周部との間に、整流部51によって風路が形成される。吹出口28を通過する気流は、遠心ファン22から送出されることで旋回成分を含むため、遠心ファン22の回転方向に依存して左側面方向又は右側面方向に向かう風速成分を含む。その結果、複数の調理皿開口27のうちの遠心ファン22の右前又は左前に位置する調理皿開口27からの吹出風速が低くなって加熱ムラが生じてしまう。一方、整流部51が設けられている場合には、上述の風速成分を打ち消すような左右方向傾斜の風路等を形成することができるため、側面方向への気流の傾きを軽減して、複数の調理皿開口27の吹出風量のばらつきを均一化して、加熱ムラが少ない良好な調理仕上がりを得ることができる。
また、整流部51が設けられている場合には、吹出口28から空間106に向かって0〜30°で下方傾斜する上下方向傾斜の風路等を形成することができるため、吹出口28からの熱風が受皿24の底面に直接到達して、受皿24の凹部104の底面が加熱されることが抑制されることとなって、受皿24に回収された油分、汁気等の発煙、臭気等が抑制され、調理作業空間の快適性が向上され、調理効果、調理仕上がり等が良好となる。
また、整流部51が設けられている場合には、吹出口28から吹き出される気流が調理皿26に向かう上下方向傾斜の風路等を形成することができるため、調理皿26の温度が高まって被加熱物の加熱効率が高まることとなって、エネルギー消費が低減され、また、調理時間が短縮される。
実施の形態1に係る発明では、調理皿26が、複数の凸部105の配列方向における断面形状が波状であり、複数の凸部105の頂部間にすり鉢状の凹部107が形成され、複数の調理皿開口27は、すり鉢状の凹部107に形成される。そのため、被加熱物から滴下する油分、汁気等が、調理皿26から調理皿開口27を介して受皿24に、短時間で速やかに回収されて、調理皿26に滞留することが抑制されることとなり、油分、汁気等の加熱が抑制されて、発煙、臭気等の発生が軽減されることとなって、排気の清浄度が高められ、調理作業空間の快適性が向上される。また、被加熱物への臭い移り、不要な着色等が軽減されて、調理効果、調理仕上がり等が良好になる。
実施の形態1に係る発明では、複数の凸部105の頂部間は、5mm以上であり、且つ、曲面である。そのため、被加熱物から滴下する油分、汁気等が、調理皿26に滞留することが軽減されて、発煙、臭気等の発生が抑制されることとなり、調理作業空間の快適性が向上され、また、調理効果、調理仕上がり等が良好となる。また、複数の凸部105の頂部間に、スポンジ等が接触しにくい角部が無く、清掃時に容易に汚れを除去でき、また、汚れが溜まり難いため、清掃性、メンテナンス性等が向上される。
実施の形態1に係る発明では、吹出口28の上端が、調理皿開口27と比較して下側に位置する。そのため、吹出口28から調理皿開口27に至る風路における障害が減って圧力損失が低減されることとなって、遠心ファン22の回転数が低減されることとなり、騒音が低減され、また、エネルギー消費が低減される。また、吹出口28からの熱風が、調理皿26の下面のうちの、吹出口28と対向する領域に局部的に当たって、加熱ムラが生じることが抑制されて、良好は調理効果、調理仕上がり等が得られる。
実施の形態1に係る発明では、吹出風路20と吹出口28との接続部において、吹出口28の下端は、吹出風路20の下端と比較して上側に位置する。そのため、吹出口28の下端と吹出風路20の底面との間の空間が、チャンバとして機能することとなって、吹出口28から吹き出される気流が、吹出口28の垂直方向に向かって吹き出されるように整流されることとなり、受皿24の凹部104の底面の加熱が抑制されて、臭気成分、煙等の発生が抑制される。また、複数の調理皿開口27からの吹出風量が均一化されて、加熱ムラが軽減され、良好は調理仕上がりが得られる。
実施の形態1に係る発明では、吹出口28の上方及び下方から調理室11外に向かって突出する導風部材48が設けられ、導風部材48が、吹出口28と垂直に交差し且つ吹出口28に近い側から吹出口28に遠い側に向かう方向と、平行な方向に向かって、又は、吹出口28と垂直に交差し且つ吹出口28に近い側から吹出口28に遠い側に向かう方向から、30°以下だけ下方に回転した方向に向かって、突出する。そのため、吹出口28からの熱風が受皿24の凹部104の底面に向かうことが抑制され、受皿24の凹部104の底面が加熱されて温度上昇することが抑制されることとなって、受皿24に回収された油分、汁気等によって発煙、臭気等が発生することが抑制されることとなり、調理作業空間の快適性が向上され、また、調理効果、調理仕上がり等が良好になる。また、導風部材48によって、吹出口28からの気流を調理皿26に向かって吹き出すことができるため、被加熱物に衝突する気流を鉛直方向に近づけることができ、調理皿26の温度が高まって被加熱物の加熱効率が高まることとなって、エネルギー消費が低減され、また、調理時間が短縮される。
実施の形態1に係る発明では、受皿24が、調理室11内に、凹部104の底面のうちの、吹出口28に沿う方向の外側の領域が、その方向の中央の領域と比較して、低くなるように配置される。そのため、受皿24に回収された油分、汁気等が、受皿24の凹部104の底面の比較的低温になっている領域に流れることとなって、発煙、臭気等が発生することが抑制されることとなり、調理作業空間の快適性が向上され、また、調理効果、調理仕上がり等が良好になる。
実施の形態1に係る発明では、受皿24が、調理室11内に、凹部104の底面のうちの、吹出口28から遠い領域が、吹出口28に近い領域と比較して、低くなるように配置される。そのため、受皿24に回収された油分、汁気等が、受皿24の凹部104の底面の比較的低温になっている領域に流れることとなって、発煙、臭気等が発生することが抑制されることとなり、調理作業空間の快適性が向上され、また、調理効果、調理仕上がり等が良好になる。
実施の形態1に係る発明では、調理皿26及び受皿24のうちの少なくともいずれか一方に、シロキサン結合を持つ三次元架橋マトリックス構造のセラミックコーティング被膜、又は、PTFE被膜が形成される。そのため、非粘着性が付与され、加熱調理後の清掃性が良好となる。また、セラミックコーティング被膜が形成される場合には、PTFE被膜が形成される場合と比較して、高い耐熱性が得られるため、高火力の調理が実現され、また、調理時間が短縮される。また、調理皿26及び受皿24の両方にセラミックコーティング被膜又はPTFE被膜が形成される場合には、摩擦係数が低くなって、調理皿26と受皿24との係合、分解等が容易化され、調理の作業性、メンテナンス性等が向上される。
実施の形態1に係る発明では、調理室吸込口12が、調理室天井面35のうちの、調理室11内の吹出口28と垂直に交差する方向における寸法の1/5〜4/5だけ、吹出口28からその方向に沿って離れた領域に形成される。そのため、複数の調理皿開口27から吹き出される風量の不均一が軽減されて、加熱ムラが軽減されることとなり、良好な調理効果、調理仕上がりが得られる。また、調理室吸込口12が、調理皿開口27からの気流の吹出方向に沿って吸い込むため、衝突噴流熱伝達の効果が高まって加熱効率が向上されることとなって、エネルギー消費が低減され、また、調理時間が短縮される。
実施の形態1に係る発明では、調理室吸込口12が、調理室11が上面視された状態において、上方加熱手段23と重なり、調理室吸込口12に、触媒体34が設けられる。そのため、触媒体34に、上方加熱手段23で加熱された直後の高温の空気が流入及び接触することとなって、また、上方加熱手段23からの放射が触媒体34に当たることとなって、触媒体34の温度が高まって触媒活性が高まり、吸着及び分解が促進されることとなり、調理室11内の空気の清浄度が高まって、良好な調理効果、調理仕上がり等を得ることができ、また、快適な調理作業空間が得られる。また、調理室吸込口12から吹出口28に至る風路内における汚れの付着が抑制されることとなって、メンテナンス性が向上され、また、製品寿命が長くなる。また、触媒体34での酸化分解の反応熱によって循環風が加熱されるため、加熱効率が高まってエネルギー消費が低減され、また、調理時間が短縮される。
実施の形態1に係る発明では、コントロールユニット29が、被加熱物を調理する際に、複数の調理皿開口27を通過する気流の風速が、1m/s以上であり、且つ、その気流の被加熱温度が、200℃以上であることが、5分間以上継続されるように制御する。そのため、調理皿開口27からの熱風によって、被加熱物にきつね色の適切な焼色を着色することができ、良好な調理効果、調理仕上がり等が得られる。
実施の形態1に係る発明では、コントロールユニット29が、被加熱物を調理する際に、調理皿26の被加熱温度が、200〜250℃以上であることが、5分間以上継続されるように制御する。そのため、被加熱物の調理皿26と接触する部分にきつね色の適切な焼色を着色することができ、良好な調理効果、調理仕上がり等が得られる。
実施の形態1に係る発明では、コントロールユニット29が、被加熱物を調理する際に、調理皿26及び受皿24の被加熱温度が、360℃以下になるように制御する。そのため、発煙、臭気成分の発生が軽減されて、良好な調理効果と快適な調理作業空間を得ることができる。また、調理皿26及び受皿24の温度が、油分の発火点温度を超えて上昇することが抑制され、安全性が向上される。
実施の形態1に係る発明では、調理室11内の空気、遠心ファン22によって調理室11内に流入される空気、それらの空気と接触する部品、及び被加熱物、のうちの少なくともいずれか1つの温度を検知する調理室温度検知手段32、送風手段温度検知手段44等を備え、コントロールユニット29が、それらの検知温度に基づいて上述の被加熱温度を制御する。そのため、良好な調理効果、調理仕上がり等を得ることを、簡易な構成で実現することができる。
実施の形態1に係る発明では、筐体2内に設けられ、筐体2内の空気を筐体2外に排出させる冷却風排気風路15と、筐体2内に設けられ、調理室11の外壁の少なくとも一部を覆う調理室収納部19と、を備え、調理室収納部19に、冷却風排気風路15に連通する収納部通風口36が形成される。そのため、吹出口28から熱風が吹き出されること起因して調理室11の隙間等から漏れた調理室11内の熱気、油煙等が排気されることとなって、調理室収納部19の周辺の部品の温度上昇が抑制されるとともに、調理室収納部19内の油分、炭化物等が排気されて汚れの堆積が抑制されることとなり、信頼性が向上され、また、耐久性が向上される。
実施の形態1に係る発明では、操作部6と、表示部9と、調理室11の開閉を検知する開閉検知手段103と、を備え、コントロールユニット29が、操作部6に指令が入力されると、開閉検知手段103の検知結果を取得し、調理室11が開状態であれば、加熱動作を行わないように、上方加熱手段23、循環風加熱手段49、電動機21等の動作を制御し、且つ、調理室11を閉めることを促す表示を表示部9に表示させる。そのため、吹出口28から吹き出される熱風が、本体1外に吹き出されることが抑制されて、ユーザーが火傷する等の危険のリスクが軽減されることとなって、安全性が向上される。
実施の形態1に係る発明では、表示部9と、調理室11の開閉を検知する開閉検知手段103と、を備え、コントロールユニット29が、加熱動作中に、開閉検知手段103の検知結果を取得し、調理室11が開状態であれば、加熱動作を停止するように、上方加熱手段23、循環風加熱手段49、電動機21等の動作を制御し、且つ、調理室11が開状態であるために加熱動作が停止されたことを報知する表示を表示部9に表示させる。そのため、吹出口28から吹き出される熱風が、本体1外に吹き出されることが抑制されて、ユーザーが火傷する等の危険のリスクが軽減されることとなって、安全性が向上される。
実施の形態1に係る発明では、筐体2の上面が、トッププレート4によって覆われ、筐体2内に設けられ、トッププレート4上に載置された被加熱物を加熱する誘導加熱コイルユニット18、ラジエントヒータ17等を備える。そのため、鍋、フライパン等の調理容器を用いた加熱調理と、グリル調理、ロースター調理、オーブン調理、スチーム調理等と、を一台の加熱調理器で行え、また、それらの調理を同時に行えることとなり、省スペースで多機能な加熱調理器が実現される。
実施の形態2.
実施の形態2に係る加熱調理器について説明する。
なお、以下では、実施の形態1と重複又は類似する説明については、適宜簡略化又は省略している。
<加熱調理器の構成>
実施の形態2に係る加熱調理器の構成について説明する。
図19及び図20は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の、調理室11全体の斜視図である。なお、図20は、調理室11を後方左側斜め上方から斜視した状態を示している。また、図20では、ロック機構102及び開閉検知手段103の図示が省略されている。
図19及び図20に示されるように、実施の形態2では、調理室排気風路10の形状が、実施の形態1と異なる。また、調理室排気風路10の風路断面が、実施の形態1と比較して広い。また、循環風加熱手段49の端子が、実施の形態1と異なる位置から実施の形態1と異なる方向に向かって突出する。
図21は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の、カバー39と吹出風路20とそれらの付帯部品とを取り外した状態での、調理室11の斜視図である。なお、図21は、調理室11を後方左側斜め下方から斜視した状態を示している。
図21に示されるように、調理室11の後面部に、調理室吸込口12が形成される。調理室吸込口12は、実施の形態1の送風手段吸込口42を兼ねる。実施の形態1では、調理室吸込口12が調理室天井面35に形成され、調理室吸込口12から吸い込まれた空気は、風路部材A45、風路部材B46等によって形成される風路を通過して、調理室11の後面部に形成された送風手段吸込口42を介して吹出風路20に流入する。一方、実施の形態2では、調理室吸込口12が調理室11の後面部に形成されて、調理室吸込口12から吸い込まれた空気が、吹出風路20に直接流入するため、圧力損失が低減されて、送風手段の負荷が低減されることとなって、電動機21の消費電力が低減され、また、騒音が低減される。また、風路部材A45、風路部材B46等が不要であるため、部品コスト、組立コスト等が低減される。
また、調理室11の後面部に設けられる導風部材48が、実施の形態1では、吹出口28を囲う形状であるが、実施の形態2では、吹出口28の上部を覆う庇状の形状である。導風部材48は、略L字の部品であり、調理室11の後面部に、溶接、カシメ、ネジ留めのいずれかで固定される。略L字の形状であることで、熱応力によって変形することが抑制される。導風部材48の、吹出口28の上部を覆う領域は、本発明の「調理室外に向かって突出する突出部」に相当する。
導風部材48の、吹出口28の上部を覆う領域は、吹出口28の上端から、重力方向と垂直な水平方向に向かって、又は、水平方向から30°以下の角度だけ下方傾斜する方向に向かって突出する。導風部材48は、その下面が、吹出口28の上端と概ね面一になるように取り付けられる。このように構成されることで、受皿24の凹部104の底面の加熱が抑制されて、臭気成分、煙等の発生が抑制されるとともに、調理皿26の加熱効率が向上される。また、受皿24の凹部104の底面の加熱を抑制することが、略L字の単純な形状で実現されるため、部品コスト、組立コスト等が安価である。
図22は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の、調理室上外郭25と調理室天井面35と調理室扉7とそれらの付帯部品とを取り外した状態での、調理室11の斜視図である。
図22に示されるように、調理皿26の形状、及び、調理皿開口27が形成される位置が、実施の形態1と異なる。
図23は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の、吹出風路20とその付帯部品の斜視図である。なお、図23は、吹出風路20とその付帯部品を前方左側斜め下方から斜視した状態を示している。
図23に示されるように、実施の形態1と同様に、吹出風路20の背面側に、調理室排気風路10が接続される開口部が形成される。循環風加熱手段49は、調理室排気風路10が接続される開口部と対向する位置に設けられる。実施の形態1と異なり、触媒体34が、調理室排気風路10が接続される開口部に設けられる。このように構成されることで、循環風加熱手段49で加熱された空気が、触媒体34に流入するとともに、循環風加熱手段49の放射が触媒体34に直接到達することとなって、触媒体34の加熱が促進され、触媒の浄化性能が向上されることとなり、清浄度の高い空気が筐体2外に排出される。
図24は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の、付帯部品と共に調理室11から引き出して取り外された状態での、調理室扉7の斜視図である。なお、図24は、調理室扉7を後方左側斜め上方から斜視した状態を示している。
図24に示されるように、流入口50は、受皿24の背面側壁面に形成される。つまり、整流部51が設けられない。このように構成されることで、単純な抜き加工で流入口50を形成することができ、製造コストが安価となる。
また、流入口50が、調理室扉7が閉じられた状態で吹出口28と対向する位置に形成される。調理室扉7が閉じられた状態で、吹出口28が形成された面と、流入口50が形成された面と、が当接し、更に、スライド機構30の付勢によって、それらの面が密着されることで、吹出口28からの熱風を漏れ少なく流入口50に流入させることができ、送風効率、加熱効率等が向上される。
図25は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の、係合されていない状態での、受皿24及び調理皿26の斜視図である。なお、図25は、受皿24及び調理皿26を後方左側斜め上方から斜視した状態を示している。
図25に示されるように、調理皿26は、前後方向に凸部105と凹部107とが交互に繰り返されるような単純な波板形状である。つまり、凹部107は、すり鉢状ではない。また、調理皿26の複数の凸部105が形成される領域の外側のうちの、複数の凸部105の配列方向と平行な辺に沿う領域に、フランジ部109が形成されない。このように構成されることで、アルミ等の材料の押出成型によって波板形状を成型し、外形及び調理皿開口27を抜き加工して製造することでき、または、絞り加工を伴わない単純な曲げ加工及び抜き加工のみのプレス加工によって製造することができるため、製造設備コスト、加工コスト等が安価となる。また、清掃が容易となり、清掃性、メンテナンス性が向上される。
また、受皿24の凹部104の側壁に、流入口50が形成される。流入口50の肉厚分だけ、吹出口28から吹き出された気流は、整流される。受皿24の凹部104の側壁のうちの、少なくとも流入口50が形成される側壁には、フランジ部108が形成されない。このように構成されることで、吹出口28が形成された面と、流入口50が形成された面と、を当接させることを、単純な形状で実現することができる。
図26は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の、調理室11の正面断面図である。
図27は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の、調理室11と吹出風路20とその付帯部品との側面断面図である。
図26及び図27に示されるように、調理室11内に配置された状態において、受皿24の凹部104の底面は、左側が高く、右側が低い、傾斜面である。また、調理室11内に配置された状態において、調理皿26の凹部107の底面は、左側が高く、右側が低い、傾斜面である。傾斜部を有する受皿24及び調理皿26が、調理室11内に水平に配置されてもよく、また、傾斜部を有しない受皿24及び調理皿26が調理室11内に斜めに配置されてもよい。このように構成されることで、被加熱物から滴下する油分、汁気等が、複数の凸部105間の凹部107に流れ落ちた後、右側が下がる傾斜によって右側に流れ、途中にある調理皿開口27から受皿24に滴下して回収され、また、右側端に流れた油分、汁気等は、受皿24と調理皿26との隙間から受皿24に流れ落ちて回収されることとなり、調理皿26に油分、汁気等が滞留することが抑制される。
受皿24が、凹部104の底面に、流入口50に沿う方向の外側の領域が、その方向の中央の領域と比較して、低くなる傾斜部が形成されているものであってもよく、そのような場合でも、受皿24が、調理室11内に大きく傾けて配置されることで、上述の受皿24の凹部104の底面が、左側が高く、右側が低い状態が実現される。
また、実施の形態1と同様に、調理室11内に配置された状態において、受皿24の凹部104の底面は、流入口50に近い側が高く、流入口50から遠い側が低い、傾斜面である。傾斜部を有する受皿24が、調理室11内に水平に配置されてもよく、また、傾斜部を有しない受皿24が調理室11内に斜めに配置されてもよい。このように構成されることで、複数の調理皿開口27及び受皿24と調理皿26との隙間を介して回収された油分、汁気等が、重力によって流れて、流入口50から遠い領域に滞留されることとなり、流入口50からの熱風によって油分、汁気等が加熱されることが抑制され、煙、臭気等の発生が抑制される。
複数の凸部105の配列方向は、吹出口28と垂直に交差する方向に沿う。また、調理皿開口27の中心は、複数の凸部105の頂部間の最下部と比較して吹出口28に近い側に位置する。つまり、複数の凸部105の頂部間に、吹出口28に近い側から複数の凸部105の頂部間の最下部に向かって下方傾斜する斜面又は傾斜曲面(以下、「下方傾斜する斜面又は傾斜曲面」と記載する。)と、複数の凸部105の頂部間の最下部から吹出口28に遠い側に向かって上方傾斜する斜面又は傾斜曲面(以下、「上方傾斜する斜面又は傾斜曲面」と記載する。)と、が形成され、調理皿開口27は、吹出口28に近い側の端部が、吹出口28に遠い側の端部と比較して高くなるように形成され、且つ、下方傾斜する斜面又は傾斜曲面における開口面積が、上方傾斜する斜面又は傾斜曲面における開口面積と比較して大きくなるように、又は、全領域が下方傾斜する斜面又は傾斜曲面に位置するように、形成される。このように構成されることで、吹出口28から吹き出される熱風の動圧成分によって、調理皿開口27から吹き出される風速が高まり、送風効率が向上される。また、被加熱物への熱風の衝突速度が高まり、加熱効率が向上される。下方傾斜する斜面又は傾斜曲面は、本発明の「第1の斜面又は傾斜曲面」に相当する。また、上方傾斜する斜面又は傾斜曲面は、本発明の「第2の斜面又は傾斜曲面」に相当する。
また、下方傾斜する斜面又は傾斜曲面は、水平方向から15〜60°の範囲で傾斜する斜面又は傾斜曲面である。このように構成されることで、吹出口28から吹き出される熱風の動圧成分によって、衝突速度の増加が促進され、また、被加熱物への熱風の衝突角度が熱伝達に好ましい範囲となり、加熱効率が更に向上される。
また、下方傾斜する斜面と、それと対向する上方傾斜する斜面又は傾斜曲面と、の相対角度は、90±30°の範囲である。このように構成されることで、調理皿開口27から吹き出された気流が、対向する斜面及び傾斜曲面で導風されて、熱伝達に好ましい角度で被加熱物に衝突することとなり、加熱効率が更に向上させる。
<加熱調理器の作用>
実施の形態2に係る加熱調理器の作用について説明する。
実施の形態2に係る加熱調理器では、複数の凸部105の配列方向が、吹出口28と垂直に交差する方向に沿い、複数の凸部105の頂部間に、下方傾斜する斜面又は傾斜曲面と、上方傾斜する斜面又は傾斜曲面と、が形成され、調理皿開口27が、吹出口28に近い側の端部が、吹出口28に遠い側の端部と比較して高くなるように形成され、且つ、下方傾斜する斜面又は傾斜曲面における開口面積が、上方傾斜する斜面又は傾斜曲面における開口面積と比較して大きくなるように、又は、全領域が下方傾斜する斜面又は傾斜曲面に位置するように、形成される。そのため、被加熱物への熱風の衝突速度が高まって加熱効率が向上されることとなって、エネルギー消費が低減され、また、調理時間が短縮される。また、下方傾斜する斜面又は傾斜曲面と上方傾斜する斜面又は傾斜曲面とによって、複数の凸部105間流れた油分、汁気等が、滞留少なく受皿24に滴下することとなって、臭気成分、煙の発生が抑制されるため、良好な調理効果と快適な調理環境を得ることができる。
実施の形態2に係る加熱調理器では、下方傾斜する斜面又は傾斜曲面が、複数の凸部105の配列方向と平行で且つ吹出口28に近い側から吹出口28に遠い側に向かう方向から、15〜60°の範囲で下方傾斜する斜面又は傾斜曲面である。そのため、被加熱物への熱風の衝突速度及び衝突角度が良好となり、加熱効率が向上されることとなって、エネルギー消費が低減され、また、調理時間が短縮される。
実施の形態2に係る加熱調理器では、下方傾斜する斜面又は傾斜曲面と上方傾斜する斜面又は傾斜曲面とが、60〜120°の範囲の相対角度で形成される。そのため、被加熱物への熱風の衝突角度が良好となるように導風され、加熱効率が向上されることとなって、エネルギー消費が低減され、また、調理時間が短縮される。
実施の形態2に係る加熱調理器では、調理皿26が、複数の凸部105間の底面が、重力方向と直交する水平面から傾斜する状態になるように配置される。そのため、複数の凸部105間の凹部107に流れた油分、汁気等が、滞留少なく調理皿開口27から受皿24に滴下することとなって、臭気成分、煙等の発生が抑制されて、良好な調理効果と快適な調理環境を得ることができる。
実施の形態2に係る発明では、複数の凸部105の頂部間が、5mm以上であり、且つ、曲面である。そのため、被加熱物から滴下する油分、汁気等が、調理皿26に滞留することが軽減されて、発煙、臭気等の発生が抑制されることとなり、調理作業空間の快適性が向上され、また、調理効果、調理仕上がり等が良好となる。また、複数の凸部105の頂部間に、スポンジ等が接触しにくい角部が無く、清掃時に容易に汚れを除去でき、また、汚れが溜まり難いため、清掃性、メンテナンス性等が向上される。
実施の形態2に係る発明では、吹出口28の上方から調理室11外に向かって突出する導風部材48が設けられ、導風部材48が、吹出口28と垂直に交差し且つ吹出口28に近い側から吹出口28に遠い側に向かう方向と、平行な方向に向かって、又は、吹出口28と垂直に交差し且つ吹出口28に近い側から吹出口28に遠い側に向かう方向から、30°以下だけ下方に回転した方向に向かって、突出する。そのため、吹出口28からの熱風が受皿24の凹部104の底面に向かうことが抑制され、受皿24の凹部104の底面が加熱されて温度上昇することが抑制されることとなって、受皿24に回収された油分、汁気等によって発煙、臭気等が発生することが抑制されることとなり、調理作業空間の快適性が向上され、また、調理効果、調理仕上がり等が良好になる。また、導風部材48によって、吹出口28からの気流を調理皿26に向かって吹き出すことができるため、被加熱物に衝突する気流を鉛直方向に近づけることができ、調理皿26の温度が高まって被加熱物の加熱効率が高まることとなって、エネルギー消費が低減され、また、調理時間が短縮される。
実施の形態2に係る発明では、吹出口28の上端が、調理皿開口27と比較して下側に位置する。そのため、吹出口28から調理皿開口27に至る風路における障害が減って圧力損失が低減されることとなって、遠心ファン22の回転数が低減されることとなり、騒音が低減され、また、エネルギー消費が低減される。また、吹出口28からの熱風が、調理皿26の下面のうちの、吹出口28と対向する領域に局部的に当たって、加熱ムラが生じることが抑制されて、良好は調理効果、調理仕上がり等が得られる。
また、調理皿開口27が、吹出口28に近い側の端部が、吹出口28に遠い側の端部と比較して高くなるように形成され、且つ、下方傾斜する斜面又は傾斜曲面における開口面積が、上方傾斜する斜面又は傾斜曲面における開口面積と比較して大きくなるように、又は、全領域が下方傾斜する斜面又は傾斜曲面に位置するように、形成される場合には、更に、加熱効率が向上されることとなって、エネルギー消費が低減され、また、調理時間が短縮される。
実施の形態2に係る発明では、吹出風路20と吹出口28との接続部において、吹出口28の下端は、吹出風路20の下端と比較して上側に位置する。そのため、吹出口28の下端と吹出風路20の底面との間の空間が、チャンバとして機能することとなって、吹出口28から吹き出される気流が、吹出口28の垂直方向に向かって吹き出されるように整流されることとなる。そのため、吹出口28の上部のみから突出する導風部材48によっても、充分な整流効果を得ることができ、受皿24の凹部104の底面の加熱が抑制されて、臭気成分、煙等の発生が抑制される。
調理皿開口27が、吹出口28に近い側の端部が、吹出口28に遠い側の端部と比較して高くなるように形成され、且つ、下方傾斜する斜面又は傾斜曲面における開口面積が、上方傾斜する斜面又は傾斜曲面における開口面積と比較して大きくなるように、又は、全領域が下方傾斜する斜面又は傾斜曲面に位置するように、形成される場合には、更に、加熱効率が向上されることとなって、エネルギー消費が低減され、また、調理時間が短縮される。
実施の形態2に係る加熱調理器では、吹出風路20に、吹出口28から調理室11外に排出された空気の一部を筐体2外に排出する調理室排気風路10が接続され、調理室排気風路10の循環風加熱手段49からの放射を直接受ける領域に、触媒体34が設けられる。そのため、触媒体34が高温となって触媒活性が高まることとなり、排気の清浄度が向上されて、良好な調理作業空間を得ることができる。
以上、実施の形態1及び実施の形態2について説明したが、本発明は各実施の形態の説明に限定されない。例えば、各実施の形態の全て又は一部を組み合わせることも可能である。