本発明の第1実施形態である基板間コネクタ1は、図1に示すように、回路基板S1,S2を接続するための基板間コネクタである。基板間コネクタ1は、ヘッダ2とソケット3とから構成される。ヘッダ2は、金属製のヘッダコンタクト4と、絶縁性合成樹脂製のヘッダボディ5とを備えている。
ソケット3も同様に、金属製のソケットコンタクト6と、絶縁性合成樹脂製のソケットボディ7とを備えている。図1に示す状態では、ヘッダコンタクト4とソケットコンタクト6とが接触しており、回路基板S1,S2同士が電気的に接続されている。
図2Aは、ヘッダ2の平面図である。ヘッダコンタクト4は、ヘッダボディ5の長手方向に複数並列に配置されている。また、この複数のヘッダコンタクト4は、ヘッダボディ5の幅方向(図2Aにおいては上下方向)に2列に配置されている。
図2Eに示すように、ヘッダコンタクト4は、ヘッダボディ5に埋め込まれて固定されているヘッダ側本体4aと、ヘッダ側本体4aからソケット3側へ突出するヘッダ側接触部4bと、ヘッダ側本体4aからヘッダボディ5の側方へ突出するヘッダ側基板接続部4cとを有している。
ヘッダ側接触部4bは、図2Dに示すように、平面視で扁平楕円状に形成されている。また、図2Eに示すように、ヘッダコンタクト4の長手方向のヘッダ側基板接続部4c側に係合部4dが設けられている。
ヘッダ側本体4aは、図1及び図2Eに示すように、側面視で略クランク状に曲げ加工されている。このヘッダ側本体4aは、インサート成形でヘッダボディ5と一体に成形され、その大部分がヘッダボディ5に埋め込まれている。ヘッダ側基板接続部4cは、図3Bに示すように、回路基板S1に半田付けされる面に面取り4eが施され、回路基板S1に対向する面が台形状となっている。
図2Dに示すように、2列のヘッダコンタクト4は、ヘッダボディ5の幅方向(図2Dにおいて上下方向)に対称に配置されている。第1実施形態では、2列のヘッダコンタクト4の係合部4dが、ヘッダボディ5の幅方向の外側に向かって相反する方向に配置されている。また、ヘッダ側基板接続部4cがヘッダボディ5の両側から外側に突出している。
ヘッダボディ5は、略長方形状に成形された合成樹脂で形成されている。また、ヘッダボディ5には、ソケットボディ7が挿入される凹入部5aが形成され、その周囲にはソケットボディ7の外周面と当接する周壁5b、5cが形成されている。
ヘッダボディ5の長さ方向における周壁の両側の端部5cは、ソケット3のソケットボディ7(図4d参照)の厚さとほぼ同じ高さとなっている。周壁5bにおける長手方向両端部の間の部分は、高さが低くなっている。この周壁5bと凹入部5aとの境界部分は、ソケット3とヘッダ2との接続及び取り外しの際に、後述するソケットボディ7の側縁7bが当接する受け部5dとなっている。
また、ヘッダボディ5の長手方向両側には、本発明の両端係合部である係止爪5eが形成されている。この係止爪5eは、ヘッダ2がソケット3に装着された際に、ソケットボディ7に設けられた係止孔7aに係合して、両者の結合を強固にするものとなっている。この係止爪5eは、図2Eに示すように、幅方向の角部が円弧状の面取り5fが形成されている。
図4Aは、ソケット3の平面図である。ソケットコンタクト6は、ソケットボディ7の長手方向に複数並列に配置されている。この複数のソケットコンタクト6は、ソケットボディ7の幅方向に2列に配置されている。
図4Cは、図4BのC−C線断面図である。図4Cに示すように、ソケットコンタクト6は、ソケットボディ7に埋め込まれて固定されているソケット側本体6aと、ソケット側本体6aからソケットボディ7の幅方向に沿って伸びるソケット側接触部6bと、ソケット側本体6aからソケットボディ7の側方へ突出するソケット側基板接続部6cとを有している。
ソケット側接触部6bは、図4B及び図5Aに示すように、平面視で中央部分に貫通孔である長孔6dが設けられた長円環状に形成されている。また、ソケット側接触部6bの長孔6dは、図4C等に示すように、断面視でヘッダコンタクト4側に面取り6eが施されている。
図1に示すように、長孔6dの長さは、ヘッダコンタクト4のヘッダ側接触部4bの長さよりも長く形成されている。一方、長孔6dの幅は、ヘッダ側接触部4bの幅よりも若干狭い寸法となっている。第1実施形態では、両者の幅の差が約0.03[mm]となっている。
ソケット側基板接続部6cは、図5Cに示すように、ヘッダ側基板接続部4cと同様に回路基板S2に半田付けされる面に面取り6fが施され、回路基板S2に対向する面が台形状となっている。
ソケットボディ7は、略長方形状に成形された合成樹脂で形成されている。また、ソケットボディ7には、ヘッダボディ5の係止爪5eが係止される係止孔7aが形成されている。ソケットボディ7の幅は、ヘッダボディ5の凹入部5aの幅とほぼ同一の幅に形成されている。また、ソケットボディ7の側縁7bは、図4Cに示すように、円弧状に面取りされている。
ソケットボディ7には、図4Dに示すように、複数のソケットコンタクト6との間に断面視でV字状の溝7cが表裏に形成されている。このV字状の溝7cは、図4Bに示すように、ソケットコンタクト6の長孔6dの軸方向の長さとほぼ同一の長さとなっている。
次に、図6A及びBを参照して、第1実施形態の基板間コネクタ1の装着、及び取り外しについて説明する。
まず、ヘッダ2とソケット3とを対向させて、ヘッダ2をソケット3側に移動させる。その際、図6Aに示すように、ソケットボディ7の側縁7bにヘッダボディ5の受け部5dを当接させるように移動させる。この状態から、受け部5dを支点としてヘッダ2を回動させるようにソケット3に近づけると、まず図6Aの左側に位置するヘッダコンタクト4とソケットコンタクト6とが当接する。
このとき、ヘッダ側接触部4bの係合部4dの先端がソケット側接触部6bの長孔6dの軸方向端部6gに当接するが、当該先端は主にヘッダ側接触部4bの弾性によって長孔6dの軸方向端部6gを乗り越えて、ヘッダ側接触部4bに係合する。
この状態からさらに受け部5dを支点としてヘッダ2を回動させるようにソケット3に近づけると、図6Bに示すように、図の右側に位置するヘッダコンタクト4とソケットコンタクト6とが当接する。その後、ヘッダ側接触部4bの係合部4dの先端が弾性によって長孔6dの軸方向端部6gを乗り越えて、ヘッダ側接触部4bに係合する。
この状態からさらにヘッダ2をソケット3側に押しつけると、ヘッダ側接触部4bがソケット側接触部6bの長孔6d内に挿入される。このとき、ヘッダ側接触部4bの幅は、先端部は先細り形状となっているので長孔6dの幅よりも狭いが、図6Bにおける位置では、ヘッダ側接触部4bの幅が長孔6dよりも広くなっている。
このため、図6Bの状態では、ソケット側接触部6bは長孔6dに挿入されたヘッダ側接触部4bによって幅方向(図4Bにおいて左右方向)に押し広げられている。このように、ソケット側接触部6bが幅方向に押し広げられると、一対のソケットコンタクト6に挟まれた部分のソケットボディ7が圧縮されることになる。
しかしながら、ソケットコンタクト6の間のソケットボディ7にはV字状の溝7cが形成されているので、このソケットコンタクト6による圧縮で生じるソケットボディ7のひずみがV字状の溝7cで吸収される。このため、ソケットボディ7全体としては、大きな変形は発生しない。
本発明の第1実施形態の基板間コネクタ1は、上記構成となっているため、ヘッダ2とソケット3とが接続されると、各ソケットコンタクト6の長孔6dにヘッダ側接触部4bが圧入された状態となり、両者の接続が強固なものとなる。
このように、第1実施形態では、ヘッダボディ5の受け部5d及びソケットボディ7の側縁7bを支点として、ヘッダ2をソケット3に対して回動させて接続することができる。これによれば、2列あるヘッダコンタクト4及びソケットコンタクト6のうち、まず一方が接続され、続いて他方が接続される。
このため、ヘッダボディ5及びソケットボディ7にかかる荷重は、2列のコンタクトを一度に接続する場合に比べて1/2になり、各ボディにかかる負荷が軽減される。よって、第1実施形態の基板間コネクタ1は、各ヘッダコンタクト4及びソケットコンタクト6の接続強度が高いが、ヘッダ2とソケット3との接続を円滑に行うことができる。
また、係止爪5eの幅方向の角部が円弧状の面取り5fが形成されているので、上記のようにヘッダ2又はソケット3を回動させて接続した場合であっても、係止爪5eが係止孔7aに干渉しないので、ヘッダ2とソケット3との円滑な接続が可能である。
第1実施形態においては、ヘッダ2とソケット3とが装着された状態では、2列のヘッダコンタクト4の係合部4dが、ヘッダボディ5の幅方向の外側に向かって相反する方向に配置されている。このため、2列の一対の係合部4dが、一組のソケット側接触部6bの長孔6dの軸方向の端部6gに係合される形となり、接続強度が高くなる。
次に、ソケット3からヘッダ2を取り外す際の作動について説明する。本発明の第1実施形態の基板間コネクタ1では、ソケット3からヘッダ2を取り外す際も、ソケットボディ7の一方の側縁7bを支点としてソケット3又はヘッダ2を回動させるように取り外す。
図6Bに示すように、第1実施形態の基板間コネクタ1では、ソケットボディ7の一方の側縁7bを支点として、ヘッダボディ5の図6Bにおける右側の部分が上方に移動するようにヘッダ2を回動させることができる。これにより、図6Bにおける左側のソケットボディ7がヘッダボディ5によって基板S2側に押しつけられ、ヘッダボディ5もその反力によって基板S1側に押しつけられる。これにより、ソケットコンタクト6及びヘッダコンタクト4の各基板からのはがれを防止することができる。
また、ヘッダ2を回動させて取り外す場合、2列の内の一方のヘッダコンタクト4及びソケットコンタクト6から取り外されるので、両方一度に取り外す場合に比べて取り外す際の力が少なくて済み、ソケット3及びヘッダ2に与える影響が少なくなる。よって、第1実施形態の基板間コネクタ1では、ソケット3及びヘッダ2の破損を防止することができる。
さらに、第1実施形態では、ヘッダ側接触部4bの係合部4dと、ソケット側接触部6bの長孔6dの軸方向端部6gと係合している。この軸方向端部6gは、ソケット側基板接続部6cに近い。ソケット側基板接続部6cは、回路基板S2に半田付けされているので、回路基板S2に対して強固に固定されている。よって、ヘッダ側接触部4bの係合部4dをソケット側接触部6bの軸方向端部6gから引き抜く際に、ソケットボディ7に加わる荷重を小さくすることができる。
また、第1実施形態では、ヘッダ側基板接続部4c及びソケット側基板接続部6cは、回路基板に半田付けされる面が台形状となっている。ヘッダ2及びソケット3は、回路基板S1及びS2にクリーム半田を用いてリフロー法で半田付けされる。
第1実施形態のソケット3を回路基板S2に実装する場合について説明すると、まず、回路基板S2の回路パターンPにクリーム半田Cが塗布される。クリーム半田Cは回路パターンPの表面に均一に塗布される。その状態で、ソケット3を回路基板S2の所定位置に載置すると、図7Aに示すように、ソケットコンタクト6のソケット側基板接続部6cがクリーム半田Cを押し出す形になる。
第1実施形態のソケット3では、ソケット側基板接続部6cの回路基板S2側の面が面取り6fにより台形状に形成されている。これにより、図7Aに示すように、ソケット側基板接続部6cにより押し出されるクリーム半田Cの量は面取り6fの量だけ少なくなる。この状態で、回路基板S2及びソケット3がリフロー炉(図示せず)内で加熱されると、図7Bのようにクリーム半田Cが熔解してC’となり、ソケット側基板接続部6cと回路パターンPとが接続される。
一方、従来のコネクタ103においては、図7Cに示すように、ソケット側基板接続部106の端面が長方形状であるため、ソケット側基板接続部106により押し出されるクリーム半田Cの量が多くなる。このため、回路基板S2及びソケット106がリフロー炉内で加熱されると、図7Dのように、隣接するクリーム半田C’同士がブリッジするおそれがある。
第1実施形態においては、回路基板S2上のクリーム半田Cの幅方向へのはみ出し量が少ないため、リフロー炉内で加熱された際に隣接するソケットコンタクト6のクリーム半田C’とブリッジすることが防止される。これは、ヘッダ側基板接続部4cにおいても同様である。
なお、上記第1実施形態では、ヘッダコンタクト4のヘッダ側接触部4bの形状を、図3Cに示すように平面視で扁平楕円状に形成しているが、これに限らず、図3Dのように、平面視で長円状のヘッダ側接触部4b’を有するヘッダコンタクト4’としてもよい。また、ヘッダ側接触部4bについて、後述する第2実施形態のように、ヘッダコンタクト4の軸方向に対して平面視で傾斜するように加工してもよい。
また、上記第1実施形態では、ソケットボディ7に設けられた溝7cは断面視でV字状に形成されているが、形状はこれに限らず、U字状や矩形状の溝でもよい。また、ソケットボディ7を貫通する貫通溝としてもよい。また、上記第1実施形態では、一対のヘッダ側接触部1bの係合部4dを、図2Dに示すようにヘッダボディ5の幅方向で外側に向くように配置しているが、これに限らず、内側に向くようにしてもよく、同じ方向を向くように配置してもよい。
次に、第1実施形態の変形例について図8及び図9を参照して説明する。第1変形例は、ソケット側接触部6bの形状と、ヘッダボディ5及びソケットボディ7の長手方向両端部の形状が上記第1実施形態と異なっている。
第1変形例のソケットコンタクト6’のソケット側接触部6b’は、図8Bに示すように側面視で山形に屈曲されている。この第1変形例では、ソケット側接触部6b’は側面視で二等辺三角形のように頂点を中心に左右に直線状に屈曲されている。
このように屈曲されることにより、ソケット側接触部6b’に設けられた長孔6d’の内周面の一部が屈曲による素材の変形で内部に突出する。このため、ヘッダ側接触部4bが長孔6d’に挿入された際に、この変形して突出した部分によってヘッダ側接触部4bが挟まれるので、ヘッダ2及びソケット3の接続強度が向上する。
また、第1変形例のヘッダボディ5の端部は、図8Cに示すように、左右の周壁5cにソケットボディ7の端部に設けられた係止溝7a’を係止する係止爪5e’が設けられている。この係止爪5e’には、ソケットボディ7と接続される際にソケットボディ7の端部が挿入しやすいように面取り部5f’が形成されている。
次に、図9A及びBを参照して、この第1変形例においてヘッダ2がソケット3に接続される際の作用について説明する。なお、図9A及びBは、ヘッダコンタクト4及びソケットコンタクト6’についてのみ図示しており、他のヘッダボディ5及びソケットボディ7等は記載を省略している。
図9Aに示すように、ヘッダコンタクト4とソケットコンタクト6’とが接近すると、ソケット側接触部6b’の長孔6d’にヘッダ側接触部4bの先端部が挿入される。この状態では、ヘッダ側接触部4bの先端部分のみがソケット側接触部6b’の頂部6hに接近している。
この状態から、さらにヘッダコンタクト4がソケットコンタクト6’に接近すると、ヘッダ側接触部4bの頂部と、ソケット側接触部6b’の長孔6d’に設けられた面取り部6eとが当接し、ヘッダ側接触部4bがソケット側接触部6b’を押し広げながらその内部に挿入される。
このとき、ソケット側接触部6b’は、図9Bに示すように、頂部6hが左右に押し広げられた状態となる。この状態では、ソケットボディ7に設けられたV字状の溝7cによってソケット側接触部6b’の変形によって生じたソケットボディ7の歪みを吸収する。
このように、第1変形例におけるソケットコンタクト6’は、ソケット側接触部6b’がヘッダ2側に向かって湾曲している。このため、ソケットコンタクト6’の軸方向から見ると、ヘッダ側接触部4bがソケット側接触部6b’の長孔6d’に挿入される際に、ソケット側接触部6b’の頂部6hが円弧状に広がる。これにより、平板状のソケット側接触部6bに比べて変形量が大きくなり、ヘッダ側接触部4bの挿入が容易になる。
なお、上記第1変形例では、ソケット側接触部6b’は側面視で二等辺三角形のように頂点を中心に左右に直線状に屈曲されている形状としたが、ヘッダ2側に向けて湾曲するものであれば、円弧状に屈曲していてもよい。
次に、図10A〜Cを参照して第1実施形態の第2変形例について説明する。第2変形例の基板間コネクタは、ソケットコンタクト6”のソケット側接触部6b”の形状が第1実施形態と異なっている。具体的には、図10Cに示すように、ソケット側接触部6b”がプレス加工により軸方向からみて扁平のV字状に曲げ加工されている。
この第2変形例では、ソケット側接触部6b”が上記形状に加工されており、長孔6d”の幅が平板の状態よりも狭くなっている。その他の部分は上記第1実施形態のソケットコンタクト6と同一である。
ここで、各コンタクトの狭ピッチ化の影響で、長孔を加工するためのパンチ(図示せず)の幅が非常に狭くなり、当該パンチの強度を保つことが難しい場合が生じることがある。しかしながら、この第2変形例であれば、幅の広いパンチを用いて長孔を加工しておき、これをV字状に加工することにより、所望の幅の長孔6d”を形成することができる。
この第2変形例では、平板状のソケット側接触部を加工して上記形状としているが、さらに側面視で山形に加工することにより、第1変形例のソケット側接触部6b’のような形状とすることもできる。
次に、本発明の第2実施形態の基板間コネクタ11について、図11〜図22を参照して説明する。
図11は、本発明の第2実施形態に係る基板間コネクタにより回路基板が接続された様子を示す。図11に示すように、基板間コネクタ11は、回路基板S1に実装されるヘッダ12と、他の回路基板S2に実装されるソケット13とを備える。ヘッダ12とソケット13との接続により、両回路基板S1及びS2が電気的に接続される。
図12Aは、ヘッダ12の平面図であり、図12Bはヘッダ12の側面図である。図12A及び図12Bに示すように、ヘッダ12は、長さ方向に垂直な方向に配列された導電性の複数の第1タイプのヘッダコンタクト14Aと、複数の第2タイプのヘッダコンタクト14Bと、これらのヘッダコンタクト14A及び14Bを支持する絶縁性のヘッダボディ15とを備える。
ここでは、ヘッダコンタクト14A及び14Bの配列は、ヘッダ12の長さ方向に延びた2つの列により構成される。各列は、ヘッダコンタクト14A及び14Bを交互に所定のピッチPで配置して構成される。ピッチPとしては、例えば、0.35[mm]が該当する。また、一方の列のヘッダコンタクト14A及び14Bに対して他方の列のヘッダコンタクト14A及び14Bがそれぞれ対峙するように構成される。各ヘッダコンタクト14A及び14Bは、所定部分を除き、ヘッダボディ15を構成する絶縁性の樹脂により覆われる。
ヘッダボディ15は、所定の長さ、幅及び厚さ(高さ)のほぼ板状の形状を有する。ヘッダボディ15の長さ方向及び幅方向は、ヘッダコンタクト14A及び14Bの各列の長さ方向及び各列間の間隔の方向にそれぞれ一致する。各ヘッダコンタクト14A及び14Bは、ヘッダボディ15の幅方向に沿って配置されている。
ヘッダボディ15のソケット13に対峙する側であるソケット側は、ヘッダ12とソケット13との接続時に、ソケット13に対向する凹入部15aと、凹入部15aの周囲を囲う周壁15b,15cとで構成される。ヘッダ12とソケット13との接続時には、周壁15b,15cとで形成される凹入部15aに、ソケット13が嵌合される。
ヘッダボディ15の長さ方向における両側の周壁15cは、ソケット13のソケットボディ17(図15B参照)の厚さと同じ高さを有する。周壁15bの中間部分は、高さが低くなっており、上記の凹部に嵌合したソケット13を取り外す際の便宜が図られている。
凹入部15aの長さ方向両端部には、ヘッダ12とソケット13との接続に際し、ソケット13をヘッダ12に固定するためのヘッダ側係合部15dが設けられる。ヘッダ側係合部15dは、ヘッダボディ15の幅方向に垂直な断面が、ヘッダボディ15の凹入部15aからL字状に突出した形状を有し、後述するソケット側係合部17d(図15参照)と係合してソケット13をヘッダ12に固定する機能を有する。
図12Cは、図12AのC−C線断面図である。図12Cに示すように、ヘッダコンタクト14A及び14Bは、いずれも回路基板S1(図11参照)の回路パターンに接続されるヘッダ側基板接続部14cと、ソケット側に突出したヘッダ側接触部14bとを備える。ヘッダコンタクト14A及び14Bは、ヘッダ側基板接続部14c及びこれに隣接する部分と、ヘッダ側接触部14bの先端側の主要部分とを除き、ヘッダボディ15の樹脂で被覆される。
ヘッダボディ15は、ヘッダコンタクト14A及び14Bをインサート材料としたインサート成形で形成される。ヘッダ側接触部14bと、ヘッダ側基板接続部14cは、ヘッダボディ15の形成後に施される金メッキで被覆される。ヘッダ側基板接続部14cは、回路基板S1側の面が、回路基板S1の回路パターンに接続し得るように、ヘッダボディ15の回路基板S1側の面よりもやや回路基板S1側に張り出している。
図13Aはヘッダコンタクト14Aの平面図、図13Bはその側面図、図13Cはそのヘッダ側基板接続部14c側から見た正面図である。図13Aに示すように、ヘッダ側接触部14bは、横断面がほぼ長方形状であり、その先端側における該長方形状の長辺側の両側面がソケットコンタクトと接触する面となる。ヘッダ側接触部14bの先端側は、ヘッダ側接触部14bが、後述するソケット側接触部16b(図16A参照)の内側に挿入されるのを補助するために挿入方向に対して傾いた面取り部14fを形成している。
ヘッダ側接触部14bは、対応するソケット側接触部16bに挿入されるとき、ソケット側接触部16bから突出する(図17C参照)先端部14gを有する。ヘッダ側接触部14bは、上記のインサート成形によりヘッダボディ15を形成する際に、ヘッダコンタクト14のうちのヘッダボディ15から露出した部分として構成される。
ヘッダ側接触部14bは、先端部14gに対応する部分の基端側に隣接して、幅が狭くなった狭小部分としてのくびれ部分14hを有する。くびれ部分14hは、先端部14gがソケット側接触部16bから突出するとき、後述するヘッダ側接触部14bの弾性変形を部分的に解消させる。
また、ヘッダ側接触部14bは、ヘッダボディ15の幅方向に沿ってヘッダコンタクト14Aのヘッダ側基板接続部14c側から先端側へ向かう方向に対し、ヘッダボディ15の厚さ方向に沿った軸を中心として、反時計回りに所定の鋭角θだけ傾いている。鋭角θの値や、上述の面取り部14fの傾きは、ヘッダ側接触部14bが、適切な上記弾性変形を生じながらソケット側接触部16bの内側に適切に挿入されるように決定される。
図14Aは、ヘッダコンタクト14Bの平面図、図14Bはその側面図、図14Cはそのヘッダ側基板接続部14c側から見た正面図である。図14A〜Cにおいて、図13A〜C中の要素と同様の要素には、同じ符号が付されている。ヘッダコンタクト14Bのヘッダ側接触部14bも、ヘッダコンタクト14のヘッダ側接触部14bと同様の構成を有する。
ただし、ヘッダコンタクト14Bのヘッダ側接触部14bは、ヘッダコンタクト14Aのヘッダ側接触部14bと傾きの方向が異なる。すなわち、ヘッダコンタクト14Bのヘッダ側接触部14bは、ヘッダボディ15の幅方向に沿ってヘッダコンタクト14Bのヘッダ側基板接続部14c側から先端側へ向かう方向に対し、ヘッダボディ15の厚さ方向に沿った軸を中心として、時計回りに所定の鋭角θだけ傾いている。
図15は、ソケット13の平面図であり、図15Bは、そのB−B線断面図である。図15A及び図15Bに示すように、ソケット13は、その長さ方向にヘッダコンタクト14A及び14Bの場合と同じピッチPで配列された導電性の複数のソケットコンタクト16と、これらのソケットコンタクト16を支持する絶縁性のソケットボディ17とを備える。
ソケットコンタクト16は、ヘッダコンタクト14A及び14Bの双方に対応する形状を有しており、20個で1列を構成し、2列がソケットボディ17に設けられる。各列のソケットコンタクト16の向きは対称である。各ソケットコンタクト16は、所定部分を除き、ソケットボディ17を構成する絶縁性の樹脂により覆われる。
ソケットボディ17は、所定の長さ、幅及び厚さ(高さ)のほぼ板状の形状を有しており、上述の凹入部15aに嵌合し得るように形成される。ソケットボディ17の長さ方向及び幅方向は、ソケットコンタクト16の配列の列方向及び各列の離間方向にそれぞれ一致する。ソケットコンタクト16は、ソケットボディ17の幅方向に沿って延在する。
ソケットボディ17の両端部には、ヘッダ12とソケット13との接続に際してソケット13をヘッダ12に固定するために、ヘッダ12のヘッダ側係合部15dと係合するソケット側係合部17dが設けられる。各ソケット側係合部17dは、ヘッダ12とソケット13が相互に接続方向に押圧されるときに、対応するヘッダ側係合部15dと係合し得るように、ヘッダ側係合部15dとは向きが逆のL字型の断面形状を有する。
ソケットボディ17には、その厚さ方向に貫通し、断面形状がほぼ長方形の複数の開口17eが設けられる。各開口17eは、それぞれ各ソケットコンタクト16の後述するメッキ部16f(図16A参照)に対応する位置に設けられる。
図15Cは、図15AのC−C線断面図である。図15Cに示すように、ソケットコンタクト16は、所定部分を除き、ソケットボディ17の樹脂で被覆される。ソケットボディ17は、ソケットコンタクト16をインサート材料としたインサート成形で形成される。
図16Aはソケットコンタクト16の平面図であり、図16Bは、その側面図である。図6Aに示すように、ソケットコンタクト16は、その長さ方向に延在し、かつソケットボディ17の板面に平行な平板状で環状のソケット側接触部16bと、回路基板S2(図11参照)の回路パターンに接続されるソケット側基板接続部16cとを備える。
ソケット側接触部16bは、ヘッダコンタクト14A又は14Bのヘッダ側接触部14bの各ヘッダ側接触部14bに対応するソケット側接触面16eを内側に有する。すなわち、環状のソケット側接触部16bの中央部には、その長さ方向に延びた長孔16dが設けられており、その長さ方向に沿った両側の内壁が、ソケット側接触面16eを構成する。
ソケットコンタクト16は、ソケット側基板接続部16c及びこれに隣接する部分と、長孔16dの周囲のメッキ部16fとを除きソケットボディ17の樹脂で被覆される。ソケット側基板接続部16c及びメッキ部16fは、ソケットコンタクト16をインサート材料としたインサート成形でソケットボディ17を形成した後、金メッキで被覆される。
ソケット側基板接続部16cは、図11のように、回路基板S2側の面が、回路基板S2の回路パターンに接続し得るように、ソケットボディ17の回路基板S2側の面よりもやや回路基板S2側に張り出している。ソケット側接触部16bは、ソケットボディ17の両板面の間に位置する。ソケットコンタクト16は、ソケット側接触部16bがこの位置に配置されるように、ソケット側接触部16bとソケット側基板接続部16cとの間においてクランク状に曲げられている。
上述のように、ヘッダ側接触部14bは、ヘッダボディ15の幅方向に対して所定の鋭角θだけ傾いている。このため、ソケット13をヘッダ12に接続方向に押圧して接続する直前の姿勢状態では、各ヘッダ側接触部14bは、対応するソケット側接触部16bのソケット側接触面16eに対して接続方向に沿った軸線の周りに鋭角θだけ傾いた状態となる。
各ヘッダ側接触部14bは、ソケット13をヘッダ12に接続方向に押圧するとき、その面取り部14fにより鋭角θの傾きが小さくなるように弾性変形して、対応するソケット側接触部16bに挿入されるように構成される。この弾性変形は、ヘッダ側接触部14bが該接続方向に沿った軸線の周りに捩じれる弾性変形である。この弾性変形を伴う挿入により、ヘッダ側接触部14bがソケット側接触部16bのソケット側接触面16eに接触し、ヘッダ12とソケット13との電気的接続が確立される。
このときのヘッダ側接触部14bのソケット側接触部16bへの挿入によりソケットボディ17に生じる歪を吸収するために、ソケットボディ17の両板面における各隣り合うソケットコンタクト16の間の部分には、図15B及び図18Aに示すように、ソケットボディ17の幅方向に長いV字状の溝17cが設けられる。
溝17cは、上述のヘッダ側接触部14bのソケット側接触部16bへの挿入後に、各隣り合うソケットコンタクト16の間におけるソケットボディ17部分が盛り上がるのを防止する。なお、溝17cの代わりに、ソケットボディ17を貫通した貫通溝としてのスリットを設け、このスリットにより溝17cと同様の機能を果たすようにしてもよい。
図18Aは、図15Bの一部を拡大して示す。図18Aに示すように、ソケットコンタクト16のソケット側接触部16bの側面とソケットボディ17との間には、隙間17fが設けられる。隙間17fは、ヘッダコンタクト14A又は14Bのヘッダ側接触部14b(図13、図14参照)をソケット側接触部16bのソケット側接触面16e間に挿入する際のソケット側接触部16bの変形を吸収し、ソケットボディ17に歪が生じるのを防止する機能を有する。隙間17fの幅は、例えば0.01[mm]とすることができる。
また、ソケット側接触部16bの両側におけるソケットボディ17と接触する厚さ方向両側の部分には、傾斜面16gが設けられる。傾斜面16gとしては、断面視円弧状のものや、直線状のものが該当する。また、傾斜面16gは、ソケットコンタクト16を、両面にバリが生じない抜き加工であるいわゆる平押し法により形成する際に生じる「だれ」であってもよい。
隙間17fは、ソケットコンタクト16をインサートして、ソケットボディ17を射出成形するときに形成することができる。すなわち、射出成形に際し、図18Bに示すように、入れ子21をソケットコンタクト16のソケット側接触面16e間に挿入してソケット側接触部16bを両側の隙間17fの分だけ拡げながら成形材料を射出する。
そして、成形材料が固化した後、入れ子21を引き抜く。このとき、ソケットコンタクト16の弾性によって、ソケット側接触部16bが、両側の隙間17fの分だけ幅方向に収縮する。これにより、隙間17fが形成される。また、隙間17fに対してソケットボディ17の厚さ方向に隣接するソケットボディ17の内壁と、対応する傾斜面16gとの間には、微小な隙間が形成される。
次に、ヘッダ12とソケット13とを着脱する際の作動について説明する。まず、ヘッダ12の図12Aで表示された側の面に対し、ソケット13の図15Aで表示された側の面を対向させ、ヘッダボディ15における周壁15b,15cに対して、ソケットボディ17の両端部を嵌合させる。これにより、各ヘッダコンタクト14A及び14Bのヘッダ側接触部14bの先端が、対応するソケットコンタクト16のソケット側接触部16bに接触し、その長孔16dに対峙した状態となる。
図17A及び図17Bは、このときのソケット側接触部16bに対するヘッダ側接触部14bの位置関係を示す。図17Aでは、ソケットコンタクト16のソケット側基板接続部16c側から見た位置関係が示されており、図17Bではヘッダ側接触部14b側から見た位置関係が示されている。
図17Aのように、ヘッダ側接触部14bは、ソケット側接触面16eに対して所定の鋭角θだけ傾いているため、ヘッダ側接触部14b側から見た位置関係では、ヘッダ側接触部14bの先端部14gの角部が、ソケット側接触面16eの長孔16dからはみ出している。すなわち、このままの位置関係が維持される場合には、ヘッダ側接触部14bを長孔16dに挿入することができない状態にある。
次に、ヘッダ12及びソケット13を、相互に厚さ方向、すなわち接続方向に押圧する。このとき、各ヘッダコンタクト14A及び14Bのヘッダ側接触部14bの各面取り部14fが、長孔16dのヘッダ側接触部14b側の端縁(ソケット側接触面16eのヘッダ側接触部14b側の端縁)と接触して摺動する。これにより、ヘッダ側接触部14bの先端部には、上記の所定角度θが小さくなる方向に捩じる力が作用するので、ヘッダ側接触部14bは、接続方向に沿った軸線の周りに捩じれる弾性変形を生じる。
これにより、ヘッダ側接触部14bの先端部14gが、長孔16dに挿入可能な姿勢状態となり、長孔16dに挿入され、ヘッダ側接触部14bの各ヘッダ側接触部14bにおける面取り部14f以外の部分も、対応するソケット側接触面16eと摺動する状態となる。
これと並行して、ソケット側接触部16bが変形して幅方向に広がる。その際、その変形は、隙間17fにより吸収されるので、この変形によるソケットボディ17の歪みは抑制される。また、その際に、ソケット側接触部16bの傾斜面16gと、ソケットボディ17の内壁との間に隙間17fが存在するので、ソケット側接触部16bの角部が内壁に引っ掛かってソケット側接触部16bの広がりが妨げられることはない。
ヘッダ側接触部14bの長孔16dへの挿入が進行し、ヘッダボディ15の凹入部15aに対してソケットボディ17のヘッダ12側の板面が接触すると、ヘッダ側接触部14bの先端部14gがソケット側接触部16bから突出した状態となる。すなわち、ヘッダ側接触部14bのくびれ部分14hが、長孔16dの接続方向側の端縁(ソケット側接触面16eの接続方向側の端縁)に到り、各くびれ部分14hの一方の側の端縁が、長孔16dのソケット側接触面16eと接触するようになる。
図17C及び図17Dは、このくびれ部分14hがソケット側接触面16eと接触している状態を示す。図17C及び図17Dに示すように、この状態に至ると、上記の弾性変形が若干もとに戻り、捩れが若干解消する。これにより、各ヘッダ側接触部14bが、対応するソケット側接触部16bの長孔16dから抜け難くなって、ソケット側接触部16bに確実に固定される。
また、この状態に至ると同時に、ヘッダボディ15の各ヘッダ側係合部15dに、ソケットボディ17の各ソケット側係合部17dが係合し、ヘッダボディ15にソケットボディ17が固定される。
これにより、ヘッダ12とソケット13との電気的接続が完了する。この接続を解除する場合には、ヘッダボディ15の周壁15bの高さが低くなった部分に対応するソケットボディ17の側面に力を加えて、ソケットボディ17をヘッダボディ15から引き離すことにより、容易にヘッダ12からソケット13を分離し、接続を解除することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、ソケットコンタクト16は、内側にソケット側接触面16eを有する環状のソケット側接触部16b及びソケット側基板接続部16cを設けただけの簡単な構成を有する。また、ヘッダコンタクト14A及び14Bも、ヘッダ側接触部14b及び面取り部14fを有するヘッダ側接触部14b並びにヘッダ側基板接続部14cを設けただけの簡単な構成で足りる。したがって、基板間コネクタ11のさらなる低背化及び狭ピッチ化を容易に達成することができる。
また、ヘッダコンタクト14A,14B及びソケットコンタクト16は、主要な部分を除きヘッダボディ15又はソケットボディ17の樹脂で被覆される。これにより、ヘッダコンタクト14A及び14Bのヘッダボディ15による支持強度及びソケットコンタクト16のソケットボディ17による支持強度を高めるとともに、隣接するヘッダコンタクト14A及び14B間並びにソケットコンタクト16間の絶縁性を良好に維持できる。したがって、さらなる低背化及び狭ピッチ化をより容易に達成することができる。
また、ヘッダコンタクト14A及び14B並びにソケットコンタクト16は、必要な部分を除いて樹脂で被覆されているので、ヘッダ12又はソケット13がそれぞれ回路基板S1及びS2に実装された状態でヘッダ12とソケット13との間に塵埃が侵入しても、絶縁性が損なわれることはない。
また、隣り合うソケット側接触部16bの間のソケットボディ17の部分には、ヘッダコンタクト14A及び14Bのヘッダ側接触部14bがソケットコンタクト16のソケット側接触部16bへ挿入されることによるソケットボディ17の部分の歪を吸収する溝17cが設けられる。これにより、当該ソケットボディ17の部分の膨出を防止し、かつ当該挿入をスムーズに行うことができる。したがって、狭ピッチ化をより一層促進することができる。
また、ソケットボディ17は、ソケットコンタクト16をインサート材料としたインサート成形で形成した後、ソケットコンタクト16のメッキ部16fをメッキで被覆するようにしたので、メッキ部16fのみに対してメッキ被膜を容易に形成し、メッキ材料のコストを大幅に削減することができる。
ヘッダボディ15についても、同様に、ヘッダコンタクト14A及び14Bをインサート材料としたインサート成形で形成した後、ヘッダ側接触部14b及びヘッダ側基板接続部14cにメッキが施されるので、同様の効果を得ることができる。
また、ヘッダ側接触部14b及びこれに対応するソケット側接触部16bの各ソケット側接触面16eは、ヘッダ12及びソケット13の接続方向へ押圧時に、相互に摺動してヘッダ側接触部14bに対してこれを捩じる弾性変形を生じさせながら、ソケット側接触部16bのソケット側接触面16e部分の間にヘッダ側接触部14b部分が挿入されるように構成される。この挿入により、ソケット側接触面16eにヘッダ側接触部14bが対向して電気的に接触する。したがって、ヘッダ12及びソケット13を接続方向へ相互に押圧するだけで相互間の接続を確立することができる。そして、これを極めて簡単な構成で、低背化及び狭ピッチ化を実現しながら、達成することができる。
また、ヘッダ側接触部14bは、そのヘッダ側接触部14bの先端部14gがソケット側接触部16bから突出するとき、上述の弾性変形を部分的に解消させるくびれ部分14hを有するので、ヘッダ側接触部14bをソケット側接触部16bに確実に固定することができる。したがって、外部からの振動や衝撃に拘わらず、ヘッダコンタクト14A及び14Bとソケットコンタクト16との電気的接続を確実に維持することができる。
また、ヘッダ側接触部14bの弾性変形による軸線周りの捩れの方向は、隣り合うヘッダコンタクト14A及び14B間で相互に逆方向である。これによれば、各ヘッダ側接触部14bに弾性変形を生じさせる力に起因して各ヘッダコンタクト14A及び14Bの周囲に生じる歪の方向が、隣り合うヘッダコンタクト14A及び14Bにおいて逆方向となる。したがって、かかる歪が局所的に相殺されるので、ヘッダ12に大きな歪やずれが生じるのを防止することができる。また、各ソケットコンタクト16の周囲に生じる歪についても同様に局所的に相殺されるので、ソケット13に大きな歪やずれが生じるのを防止することができる。
また、ソケット側接触部16bの側面とソケットボディ17との間に隙間17fを設けたので、ソケット側接触部16bの拡がりによりソケットボディ17が歪むのを抑制することができる。また、ソケット側接触部16bに傾斜面16gを設けたので、ソケット側接触部16bの拡がりを円滑化し、ヘッダ12とソケット13との接続をスムーズに行うことができる。
また、ヘッダコンタクト14A又は14Bのヘッダ側接触部14bがソケット側接触部16bのソケット側接触面16e間に挿入されるとき、ヘッダ側接触部14bは捩れるように弾性変形し、ソケット側接触部16bは広がるように弾性変形する。このため、ヘッダ側接触部14bのソケット側接触面16e間への挿入を、ヘッダ側接触部14bが弾性的に捩れる角度を少なくしながら、スムーズに行うことができる。
また、ヘッダコンタクト14A、14Bのヘッダ側基板接続部14c及びソケットコンタクト16のソケット側基板接続部16cの回路パターンP側における横断面が8角形であるため、横断面が矩形の場合と比較して、基板接続部からはみ出るクリーム半田Cの量を減少させることができる。したがって、リフロー工程で、隣り合う基板接続部の溶融半田C’が繋がって短絡が生じるのを防止することができる。
次に、図19乃至図22を参照して、第2実施形態の変形例を示す。図19A〜Cは、図13A〜Cのヘッダコンタクト14Aに代えて使用できるヘッダコンタクト14A’を示す。図20A〜Cは、図14A〜Cのヘッダコンタクト14Bに代えて使用できるヘッダコンタクト14B’を示す。図19及び図20において、図13及び図14中の要素と同様の要素には、図13及び図14の場合と同じ符号が付されている。また、図21は当該変形例の主要部であるヘッダコンタクトの形状を示す図である。
図19に示すように、ヘッダコンタクト14A’におけるヘッダ側接触部14b’は、ヘッダ側接触面として、図13Bのヘッダコンタクト14におけるくびれ部分14hのようなくびれが存在しないヘッダ側接触部14b’を有する。すなわち、ヘッダ側接触部14b’は、図19Bのように、ヘッダ側接触部14bの幅は、その先端部14gでは、その基端側で狭くなっているが、その部分から、瓢箪状のくびれを形成することなく、直線的に広がっている。
図20のヘッダコンタクト14B’の場合も、そのヘッダ側接触部14b’は、ヘッダコンタクト14A’と同様に構成される。ヘッダコンタクト14A’及び14B’の他の点については、図13及び図14のヘッダコンタクト14A及び14Bの場合と同様である。ヘッダコンタクト14A’及び14B’の場合も、ヘッダコンタクト14A及び14Bの場合と同様にして、ソケットコンタクト16に接続される。
ヘッダコンタクト14A’及び14B’によれば、ヘッダコンタクト14A及び14Bが有するくびれ部分14hが存在しないので、図17A〜Dを用いて上述した弾性変形の戻り量は、ヘッダコンタクト14A及び14Bの場合よりも少ない。しかし、くびれ部分14hが存在しないので、ソケットコンタクト16のソケット側接触面16e間に挿入される際の捩れに対するヘッダ側接触部14bの耐性は、ヘッダコンタクト14A及び14Bの場合よりも高い。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、ヘッダコンタクト14A及び14B又はソケットコンタクト16の所定部分への金メッキは、ヘッダボディ15又はソケットボディ17の成形前に行ってもよい。
また、ヘッダ側基板接続部14c及びソケット側基板接続部16cの横断面形状は、8角形状に限らず、図22Aのような略V字形状、図22Bのような菱形形状、図22Cのようなハート形状であってもよい。また、図22Dのような6角形状その他の多角形状であってもよい。すなわち、ヘッダ側基板接続部14c又はソケット側基板接続部16cの回路パターンP側に、クリーム半田Cを保持し、留めておけるような凹凸形状が形成されるような形状であればよい。
ヘッダ側基板接続部14c又はソケット側基板接続部16cの横断面形状がV字形状やハート形状である場合には、ヘッダ側基板接続部14c又はソケット側基板接続部16cに対応する部材部分をV字状の金型でプレス加工することにより、容易にこれらの形状に加工できる。
また、ヘッダ側基板接続部14c又はソケット側基板接続部16cと回路パターンPとの接続は、半田ごてを用い、手作業で行うものであってもよい。この場合も、ヘッダ側基板接続部14c又はソケット側基板接続部16cの横断面形状が上記のように半田を保持し、留めておけるような凹凸形状を有していれば、上記のリフロー法で接続を行う場合と同様の短絡防止効果を得ることができる。
また、ヘッダ側接触部14bをヘッダボディ15の幅方向に平行となるように構成し、ソケット側接触部16bのソケット側接触面16eをソケットボディ17の幅方向に対して傾けるようにしてもよい。
すなわち、ヘッダ側接触部14b及び対応するソケット側接触面16eは、ヘッダ12及びソケット13を接続方向に押圧したとき、相互に摺動することによって、ヘッダ側接触部14bに接続方向に沿った軸線の周りに捩じれる弾性的変形を生じさせながら、相互に対向して電気的に接触するように構成されていればよい。
次に、本発明の第3実施形態の基板間コネクタについて、図23〜図26を参照して説明する。なお、上記実施形態と同様の構成については、上記実施形態と同様の符号を付して、詳細な説明は省略する。第3実施形態におけるヘッダコンタクト24は、図23Aに示すように、ヘッダボディ5(図1参照)に埋め込まれて固定されるヘッダ側本体24aと、ヘッダ側本体24aからソケット3側へ突出するヘッダ側接触部24bと、ヘッダ側本体24aからヘッダボディ5の側方へ突出するヘッダ側基板接続部24cとを有している。
ヘッダ側接触部24bは、図23Cに示すように、平面視でその幅方向に向けて湾曲されている。この湾曲形状は、ヘッダコンタクト24を材料から打ち抜く際にプレスにより形成される。また、図23Aに示すように、ヘッダコンタクト24の長手方向(図23Aにおいて左右方向)のヘッダ側基板接続部24c側に係合部24dが設けられている。
ヘッダ側基板接続部24cは、図23Eに示すように、回路基板S1(図1参照)に半田付けされる面に凹凸加工が施されている。この第3の実施形態においては、ヘッダ側基板接続部24cの軸方向に複数のくさび状の溝24eが形成され、さらにクリーム半田の収容量が多くなっている。また、このくさび状の溝24eは、図23Fに示すように、ヘッダ側基板接続部24cの表面を横切るように形成してもよい。
ここで、図23Dのヘッダコンタクト24’は、ヘッダ側接触部24b’の円弧状部分の曲率が、図23Cに示すヘッダコンタクト24よりも大きく形成されている変形例である。ヘッダコンタクト24,24’のその他の構成は、上記第1実施形態のヘッダコンタクト4と同様の構成となっている。
第3実施形態のソケットコンタクト26は、図24A〜Dに示すように、ソケットボディ7(図1参照)に埋め込まれて固定されているソケット側本体26aと、ソケット側本体26aからソケットボディ7の幅方向に沿って伸びるソケット側接触部26bと、ソケット側本体26aからソケットボディ7の側方へ突出するソケット側基板接続部26cとを有している。
ソケット側接触部26bは、図24Aに示すように、平面視で中央部分に長孔26dが設けられた長円環状であって、幅方向に向けて湾曲した形状となっている。本実施形態では湾曲部分の中心26iは円弧状であるが、ソケット側接触部26bは全体として直線状に屈曲した形状となっている。これにより、ソケット側接触部26bの長孔26dも、中央部分を除いて直線状に屈曲した形状となっている。
ソケット側基板接続部26cは、図24Bに示すように、ヘッダ側基板接続部24cと同様に回路基板S2(図1参照)に半田付けされる面に複数のくさび状の溝26fが形成されている。また、ソケット側接触部26bの長孔26dは、図24A等に示すように、面取り26eが施されている。
ここで、図24Cのソケットコンタクト26’は、ソケット側接触部26b’及び長孔26d’の湾曲形状が、図24Aのような屈曲形状ではなく、円弧状に湾曲した形状に形成された変形例である。ソケットコンタクト26,26’のその他の構成は、上記第1実施形態のソケットコンタクト6と同様の構成となっている。
次に、第3実施形態の基板間コネクタにおいて、ヘッダコンタクト24,24’とソケットコンタクト26,26’との接続状態について、図25を参照して説明する。図25Aは、図23Cに示すヘッダコンタクト24と、図24Aに示すソケットコンタクト26とが接続されている状態を示している。
図25Aに示す例では、ヘッダ側接触部24bの円弧状部分の曲率が、ソケット側接触部26bの長孔26dの曲率よりも小さくなっている。これにより、図25Aにおいてヘッダ側接触部24bの左側の部分がソケットコンタクト26の長孔26dの屈曲部分と接触し、図25Aにおいてヘッダ側接触部24bの右側の部分がソケットコンタクト26の長孔26dの内周面の2カ所に接触している。
図25Bは、図23Dに示すヘッダコンタクト24’と、図24Cに示すソケットコンタクト26’とが接続されている状態を示している。図25Bに示す例では、ヘッダ側接触部24b’の円弧状部分の曲率が、ソケット側接触部26b’の長孔26d’の曲率よりも大きくなっている。
これにより、図25Bにおいてヘッダ側接触部24b’の左側の部分がソケットコンタクト26’の長孔26d’の内周面の2カ所に接触し、図25Bにおいてヘッダ側接触部24b’の右側の部分がソケットコンタクト26’の長孔26d’の内周面の2カ所に接触している。
このように、第3実施形態及びその変形例では、ヘッダ側接触部24b,24b’及びソケット側接触部26b,26b’が共に幅方向に湾曲しているため、両者は多点接触となり、導通の信頼性が向上し、接続強度も向上させることができる。
なお、第3実施形態においては、ヘッダコンタクト24とソケットコンタクト26’とを組み合わせてもよく、ヘッダコンタクト24’とソケットコンタクト26とを組み合わせてもよい。また、この第3実施形態のヘッダコンタクト24及び24’は、第1実施形態のソケットコンタクト6,6’,6”と組み合わせることも可能であり、第2実施形態のソケットコンタクト16と組み合わせることも可能である。また、第3実施形態のソケットコンタクト26及び26’についても、第1実施形態のヘッダコンタクト4や第2実施形態のヘッダコンタクト14と組み合わせることも可能である。
また、第3の実施形態においても、図10A〜Cに示したように、ソケットコンタクト26,26’のソケット側接触部26b,26b’をその軸方向から見てV字状又はU字状に湾曲させてもよい。
次に、電子デバイスとしてのコネクタの基板接続部の変形例について、図26を参照して説明する。図26Aは、第1の実施形態におけるヘッダコンタクト4のヘッダ側基板接続部の変形例34cである。このヘッダ側基板接続部34cは、板状に形成されており、且つ、軸方向視で浅いU字状にプレス加工されている。また、ヘッダ側基板接続部34cには、その表裏を連通する連通孔34dが形成されている。
このヘッダ側基板接続部34cによれば、回路基板の回路パターンに塗布されたクリーム半田(図示省略)上に載置された場合、ヘッダ側基板接続部34cが軸方向視で浅いU字状に形成されているので、ヘッダ側基板接続部34cの幅方向に押し出されるクリーム半田の量が少なくなる。さらに、連通孔34dの部分のクリーム半田は、連通孔34dからヘッダ側基板接続部34cの表面側に押し出される。これにより、ヘッダ側基板接続部34cの幅方向に押し出されるクリーム半田の量を少なくすることができるので、狭ピッチのコネクタであっても、コンタクト間の半田のブリッジを防止することができる。
図26Bは、第1の実施形態におけるソケットコンタクト6のソケット側基板接続部の変形例36cである。このソケット側基板接続部36cは、板状に形成されており、且つ、軸方向視で浅いV字状にプレス加工されている。また、ソケット側基板接続部36cには、その表裏を連通する連通孔36dが形成されている。このソケット側基板接続部36cについても、上記ヘッダ側基板接続部34cと同様に、コンタクト間の半田のブリッジを防止することができる。
図26Cは、第1の実施形態におけるヘッダコンタクト4のヘッダ側基板接続部の変形例44cである。このヘッダ側基板接続部44cは、板状に形成されており、且つ、軸方向視で逆U字状にプレス加工されている。図26Dは、第1の実施形態におけるソケットコンタクト6のソケット側基板接続部の変形例46cである。このソケット側基板接続部46cは、板状に形成されており、且つ、軸方向視で逆V字状にプレス加工されている。
上記形状のヘッダ側基板接続部44c及びソケット側基板接続部46cによれば、回路基板の回路パターンに塗布されたクリーム半田上に載置された場合、回路基板に対向する面が逆U字状又は逆V字状に窪んでいるので、クリーム半田がその窪みの内部に押し込まれ、それぞれの接続部の幅方向からはみ出す量が少なくなる。よって、当該構成によっても、コンタクト間の半田のブリッジを防止することができる。
なお、上記変形例における各形状は、ヘッダコンタクト又はソケットコンタクトに限られず、プリント基板上に半田付けされる電子デバイスのコンタクトであれば、どの形状を適用してもよい。また、U字状やV字状の形状についても、多少の曲げ量や角度の変更を加えてもよい。さらに、連通孔34d,36dを有する形状の場合、ヘッダ側基板接続部34c及びソケット側基板接続部36cは平板状であってもよく、曲げ加工の向きが図26Cや図26Dのように逆向きになっていてもよい。