JP5938067B2 - コネクタ - Google Patents
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Description
こうしたコネクタの中には、一方のコネクタの端子と相手コネクタの端子との間での接触を確実にするために、一つの端子に二つの接触部を形成したコネクタが知られている(特許文献1)。
またその基部から並列に伸長するフロント端子とリア端子は、平板面で相手端子に接触するフロント接触部とリア接触部とをそれぞれ有するため、相手端子との接触箇所が2箇所あり、相手端子との接触の確実性を高めることができる。そして平板面で相手端子に接触するため、破断面となるプレス面で接触する場合に比べてなめらかな面粗さをもった面で相手端子と接触させることができ、相手コネクタとの挿抜時の摩擦抵抗を低く抑えることができる。そして相手コネクタに対する挿抜時の操作感を良好にすることができる。
なお「平板面」とは端子の厚みとなる側面(端面)を除く端子の両表面のいずれかの面である。この「平板面」については湾曲するロール面としての形態、湾曲しない平坦面としての形態のいずれでも良い。
さらに平板面で相手端子と接触することから、接触部のたわみ方向は端子の板厚方向となるため、たわみ方向が端子の板厚に対する直行方向となる場合と比較して、接触部をたわませる圧力を軽くすることができる。そのため接圧の調整を行い易い。
フロントバネ部が基部よりも相手端子に近づく方向へ屈曲する1つの屈曲部を有しており、その屈曲部からフロント接触部までの端子片が直線形状又は湾曲形状であるコネクタを想定する。このコネクタでは、フロント端子が相手端子と接触し押圧を受けると、フロント接触部の先端側は、その1つの屈曲部を回動中心(変位支点)とする大きな回動半径で回動しながら倒れるように変位する。するとフロント接触部の接点位置も正規の接点位置からフロントバネ部側へ移動してずれてしまうことから、フロント接触部における接触信頼性が低下することがある。これを防止するには、フロントバネ部に所定のバネ長を確保しつつ、接点位置が移動してずれても所望の接触信頼性が得られるように、フロント端子の接点とする相手端子との接触範囲を長く設定すれば良いが、そうすると端子全長が長くなりコネクタのサイズも大型化してしまうことから、フロント接触部の接触範囲の長さに余裕を持たせることが難しい。
これに対して複数の屈曲部を有する本発明のフロントバネ部では、何れも相手端子に近づく方向へ屈曲する屈曲部が複数あることで、フロントバネ部に所定のバネ長を長く確保することができることから、フロント接触部の接触範囲をフロントバネ部側に拡大することができる。このように接点範囲に余裕があるため接点位置が移動しても所望の接触信頼性を得ることができる。
これに対して本発明のように、フロント端子のフロントバネ部を多段バネとすれば、端子としての全長を大きくすることなく、平板を打ち抜いた状態でのフロントバネ部のバネ長をより長くすることができる。したがって、基部からフロント接触部までの距離も延びるため、その分だけリアバネ部のバネ長も同様に長くすることができる。よって、フロントバネ部だけではなく、リアバネ部の長さも長くして柔軟に弾性変形させることができる。
なお、ここで「テーパーバネ」とはフロントバネ部では基部側からフロント接触部に向けて板幅が狭くなるテーパー状のバネを言い、リアバネ部では基部側からリア接触部に向けて板幅が狭くなるテーパー状のバネを言う。何れについても基端よりも先端が細幅となる形状であればよく、基端と先端との間の中間に板幅が一定の部分や若干板幅が広がる部分が存在しても構わない。
また、フロント接触部が相手端子と接触する位置と、リア接触部が相手端子と接触する位置との位置ずれを生じ難くすることができる。
フロント端子のフロントバネ部が、リア端子を中央に挟んで配置するための空間を形成するように基部の二箇所から伸長しフロント接触部の手前で結合するように形成するため、フロント端子とリア端子の2本の腕部を備え、かつ、フロント接触部とリア接触部を幅方向同一位置に配列させて、端子形状を線対称に形成することができる。したがって、幅方向に働く力に対して左右均等に変位させることができ、向かい合って配置される一対の同一形状端子を均等に変位させることができる。
相手コネクタとの嵌合の際に、可動ハウジングを固定ハウジングに対して移動自在に支持する浮動構造を備えたコネクタ結合を実現するため、一方のコネクタに対する他方のコネクタの位置ずれや、斜め嵌合が生じるような場合であっても、両コネクタの嵌合を確実に行うことができる。また、両コネクタを嵌合させるまでの両者のずれ幅やずれ角度の許容範囲を広くすることができる。
また、本発明のコネクタによれば、相手コネクタに対する位置ずれや、斜め嵌合の発生などの不正規な嵌合が行われようとする場合であっても端子どうしの接触の確実性が高い。
コネクタ11を図1および図3〜図8に示す。図1は斜視図であり、図3は正面図、図4は右側面図、図5は平面図、そして図6は底面図である。また、図7、図8はコネクタ11の断面図である。このコネクタ11は、ハウジング12と図9で示す端子20とを有し、プリント基板等の接続対象部材(図示せず)に設置されて、別のプリント基板等に設置される例えば図2で示す相手コネクタ51と嵌合して、これらのプリント基板どうしを電気的に接続するものである。
ハウジング12の前面部12aの内壁側、および背面部12bの内壁側にはそれぞれ対向するように端子20の基部21の左右の板縁部21aを圧入して保持する溝状の保持部12eが設けられている。これにより板縁部21aは表面、裏面、及び左側面若しくは右側面が保持部12eにより保持される。
各端子20は、平板を打ち抜いて形成した打抜き端子であって、図9(a)および図9(b)で示すように、ハウジング12の保持部12eに保持される基部21と、その基部21の中央から伸長するリア端子23と、基部21の両端から伸長し先側で合流するフロント端子24と、基部21からこれらの両腕23,24とは反対側に伸長しプリント基板側の導体に接続される接続部22とを有している。
リア端子23は、プラグ型コネクタ51に設けた端子(プラグ端子)60と接触するリア接触部23aと、基部21からそのリア接触部23aに至るまで端子20の板厚方向、換言すればハウジング12の内側に向かって折り曲げられるリアバネ部23bとを有している。リア接触部23aには相手端子と接触するリア接点23a1が山型に屈曲して形成されている。リア端子23は基端側から先端にかけて板幅が狭くなるテーパーバネとして形成されていて、全長にわたって柔らかく弾性変形できるようにしている。
フロント接触部24aは細片状に形成されており、そのフロントバネ部24bの側には山状に屈曲するフロント接点24a1が形成されている。フロント接点24a1は、図9(a)(b)において矢印で示す範囲であり、ここが相手端子との接触領域となる。フロント接点24a1からは傾斜する先端部24a2が形成されており、コネクタ嵌合時にはその傾斜面がプラグ端子60と接触してその挿入をガイドする。
フロントバネ部24bは基部21からそのフロント接触部24aに至るまでの部位であって、板厚方向に折り曲げられ、かつ中央で合流するようにフロント接触部24aの手前で結合し、リア端子23を中央に配置するための空間hを形成する。フロントバネ部24bには、フロント端子24の中心軸と平行に基部21から伸長する長いバネ片部24b1と、長いバネ片部24b1の先端から当該中心軸に向けて斜めに伸長しフロント接触部24aの基端に繋がる短いバネ片部24b2と、を有している。フロントバネ部24bは、長いバネ片部24b1の基端側が幅広で、短いバネ片部24b2の先端にかけて幅が狭くなるテーパーバネとなっている。これにより基端側よりも先端側を柔軟にして2本のフロントバネ部24bを全長に亘ってそれぞれ柔軟に撓ませることができるようにして、細くても確実な接触力を発揮できるようにしている。長いバネ片部24b1の基端側には、相手端子60との接触方向へ屈曲する屈曲部24b3が形成されている。
接続部22は、プリント基板の所定の導体に、はんだ付け等で固着される。
前面部52aおよび背面部52bの下端側には、各端子60を保持する複数の端子孔59が互いに等間隔で設けられている(図10参照)。
また、前面部52aおよび背面部52bの両端には、相手コネクタ51をプリント基板(図示せず)等に取付けるための取付部55が設けられており取付具56が挿入されている。
コネクタ11に用いられる別の端子(ソケット端子)30を図15(a)および図15(b)に示す。
端子30もまたハウジング12の保持部に保持される基部31と、その基部31から伸長するリア端子33とフロント端子34と、これらの両腕33,34とは反対側に基部31から伸長しプリント基板側の導体に接続される接続部32とを有している。
さらに他のコネクタ11と端子(ソケット端子)40の実施形態を図16〜図18に示す。この端子40も基部41、接続部42、リア端子43、フロント端子44を有している。そのうち第1実施形態の端子20と異なるのはリア端子43とフロント端子44の構成である。
このため例えば、端子の組み付け状態等によってコネクタ嵌合状態で相手端子60がフロント接触部24aの基端を超えてフロントバネ部24bの短いバネ片部24b2と接触してしまうと、接触幅が広くなることから接触圧力が低下して接触信頼性が得られなくなる。しかしながら本実施形態ではフロント接点44a1の接触範囲を広くとることができるので、そうした不具合が発生しないようにすることができる。また、第1実施形態では、曲面形状で相手端子60と線接触するフロント接点24a1の接触範囲が狭く、相手端子60が短いバネ片部24b2と接触してしまうと、短いバネ片部24b2の表面が平面形状であることから、接触形態が面接触となり接触圧力が低下してしまう。しかしながら本実施形態では、曲面形状で線接触できるフロント接点44a1の接触範囲が広いことから、組み付け状態等によって接触位置がずれても接触圧力が低下することなく接触信頼性の高い導電接続を実現することが可能である。
さらに、図17(a)で示すように、本実施形態では、第2傾斜バネ片部44b6、屈曲形状のフロント接点44a1、先端部44a2を、相手コネクタ51の挿入時の相手端子60の接触面や基部41の表面(またはその平行面)に対する傾斜角(屈曲角)が第1屈曲部44b3よりも鋭角で弾性変形しにくい第2屈曲部44b5で支持している。このため、相手端子60と接触した際、鋭角な第2屈曲部44b5を回動支点とする弾性変位をより小さくできることから、図17(b)で示す第1実施形態と比べて、プラグ端子60との接触前の接点位置CP1と接触後の接点位置CP2との位置ずれを端子40の長手方向で少なくすることができる。
すなわち第1実施形態のようにフロント接点24a1の変位支点をフロント端子24の屈曲部24b3だけとした場合、プラグ端子60との接触位置CP2はフロントバネ部24bが倒れるように変位するほど短いバネ片部24b2の側に移動してしまい、本来のフロント接点24aの接触範囲から外れて短いバネ片部24b2と接触してしまうと、接触圧力が低下するおそれがある。これに対して本実施形態のフロントバネ部44bであれば、前述の通り相手端子60との接触前後での接点位置CP1,CP2のずれを少なくできるので、そのような不都合がなく安定した接点接触を得ることができる。
第1実施形態の基部21には拘束部分L1の上側に非拘束部分L2が存在する。この場合、リア端子23とフロント端子24の各基端は非拘束部分L2に集約されるが、この非拘束部分L2はハウジング12の嵌合室の内部に1本の硬いバネ片として突出することになり、ハウジング12の嵌合室の内部に突出する端子部分の全長を柔軟性の高いバネとして有効活用することができなくなる。そこで本実施形態では、非拘束部分L2を実質的に無視できる程度に無くして、フロント端子44とリア端子43の基端を基部41における拘束部分L1との境界部分から伸長するように形成することで、ハウジング12の嵌合室の内部に3本の端子(フロント端子2本、リア端子1本)が直接突出するような端子構造としている。したがってバネとして有効活用できる端子部分に無駄が無く、コネクタの小型化にも寄与することができる。
上記実施形態は本発明の一実施形態に過ぎず上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での適宜の変更が可能である。例えば、第1実施形態の端子20のフロント接触部24aは、フロントバネ部24bよりも板幅を細くして、フロント端子24が基端から先端にかけてテーパーバネとなるように形成することができる。
また、端子20や端子30をソケット型ハウジング11に設けずに、プラグ型ハウジング51に設けることができる。換言すれば、リア端子23,33やフロント端子24,34の特徴を持った端子をプラグ型ハウジング51に設けることも可能である。但し、接続部22,32の長さを伸長したり、基部21,31を保持する保持部を嵌合突起57に設けたりし、またソケット型ハウジング11には帯状端子を設ける等の適宜の変更が必要となる。
12 ハウジング
12a 前面部
12b 背面部
12c 側面部
12d 受入口
12e 保持部
12f 外側面取り面
12g 内側面取り面
14 取付部
20,30,40 端子(ソケット端子)
21,31,41 基部
21a,41a 板縁部
21b,41b 圧入突起
22,32,42 接続部
23,33,43 リア端子
23a,33a,43a リア接触部
23b,33b,43b リアバネ部
23c,33c リア接触部の幅
24,34,44 フロント端子
24a,34a,44a フロント接触部
24a1,44a1 フロント接点
24a2,44a2 先端部
24b,34b,44b フロントバネ部
24b1,44b1 長いバネ片部
24b2,44b2 短いバネ片部
24b3,44b3 屈曲部、第1屈曲部
44b4 第1傾斜バネ片部
44b5 第2屈曲部
44b6 第2傾斜バネ片部
24c,34c フロント接触部の幅
51 コネクタ(プラグ型コネクタ)
52 固定ハウジング
52a 前面部
52b 背面部
52c 側面部
53 可動ハウジング
53a 前面部
53b 背面部
53c 側面部
53d 底面部
53e 傾斜面
53f 下り端
55 取付部
56 取付具
57 嵌合突起
58,59 端子孔
60 端子(プラグ端子)
61 接続部
62 第1端子片部
63 屈曲部
64 第2端子片部
65 第3端子片部
66 接触部
67 第4端子片部
h 空間
P1,P2 プリント基板
Claims (8)
- 互いに幅方向に間隔をおいてハウジングに保持される複数の端子を有し、相手コネクタの相手端子と接触して電気的に接続するコネクタにおいて、
前記端子は、ハウジングに保持される基部と、その基部から並列に伸長するフロント端子とリア端子とを備え、
フロント端子には、該端子の平板面で相手端子に接触するフロント接触部と、基部からそのフロント接触部に至るフロントバネ部とを設け、
リア端子には、該端子の平板面で相手端子に接触するリア接触部と、基部からそのリア接触部に至るリアバネ部とを設け、
フロント接触部とリア接触部は幅方向同一位置に配列されており、
フロントバネ部は、リア端子を中央に挟んで配置する空間を形成するように基部から複数のバネ片部が伸長してフロント接触部の手前で結合する形状であり、且つ、各バネ片部は、基部に対して相手端子に近づく方向へ屈曲する第1屈曲部と、第1屈曲部よりもフロント接触部側に位置しており相手端子に近づく方向へ屈曲する第2屈曲部と、第2屈曲部から伸長してフロント接触部に繋がる傾斜バネ片部とを有しており、
第2屈曲部は、第1屈曲部よりも基部の表面に対する屈曲角が大きく、且つ、フロント接触部における傾斜バネ片側の接触範囲の限界位置は、傾斜バネ片部に到達しないフロント接触部の基端であることを特徴とするコネクタ。
- フロント端子のフロントバネ部とリア端子のリアバネ部が、基部に対するハウジングの拘束部分との境界部分から伸長する
請求項1記載のコネクタ。
- フロントバネ部とリアバネ部の少なくとも何れか一方が基端側よりも先端側の方が細いテーパーバネである
請求項1または請求項2記載のコネクタ。
- 相手コネクタとの嵌合時に、フロント端子が相手端子に付着している異物をワイピングし、リア端子がフロント端子に追従して相手端子と接触する
請求項1〜請求項3何れか1項記載のコネクタ。
- フロント端子の接圧がリア端子の接圧よりも小さい
請求項1〜請求項4何れか1項記載のコネクタ。
- フロント接触部がリア接触部よりも相手端子側に突出している
請求項1〜請求項5何れか1項記載のコネクタ。
- フロント接触部の幅がリア接触部の幅と同幅である
請求項1〜請求項6何れか1項記載のコネクタ。
- フロント接触部の幅がリア接触部の幅よりも幅広である
請求項1〜請求項7何れか1項記載のコネクタ。
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