JP6020967B2 - 多層傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体 - Google Patents

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本発明は超硬合金基体とダイヤモンド焼結体(以下PCDで示す)層の中間に、ダイヤモンド粒子、立方晶窒化ホウ素(以下cBNで示す)粒子、及び特定な組成の金属バインダーからなる複数の中間層を配置した傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体に関する。
本発明は旋盤用切削工具、フライス盤等を用いる加工工具あるいは、鉱山用掘削、石油掘削井戸の穿孔などに応用するハンマービット、ロータリービットなどに装着される円錐形PCDボタンチップに対する応用を想定している。掘削ビットには超硬合金(WC-Co合金)製ボタンチップも使用されているが、より優れた耐摩耗性を有するPCDを利用する方法が1970年代に開発された。削岩ビットは削岩孔の直径を一定に保つことが必要で、PCDの優れた耐摩耗性はその要求に対応している。しかし、最初に開発された素材は超硬合金基体との密着性や、チップ先端部分の靭性が不足してPCDチップが破損するなどの問題があった。
PCD ボタンチップの上記の問題点に対処するために、たとえば特許文献1では、上に向かって凸状の円錐形超硬合金基体に対して、2層の中間層を配置して、その上にPCD層を接合する方法を開示している。この文献では超硬合金基体と接した中間層にはたとえば47体積%のダイヤモンド粒子、3体積%の金属コバルト(Co)および50体積%の炭化タングステン粒子(WC)の混合物を380μm成層させ、その上にPCD側中間層として、70.5体積%のダイヤモンド粒子、4.5体積%のコバルト、25体積%の炭化タングステンの混合物を250μm成層させ、さらに最外層には6体積%のコバルトを混合したダイヤモンド粒子を成層している。
実際には、ジルコニウム及びモリブデン箔から製作した特殊形状容器にPCD層、PCD側中間層、超硬合金側中間層、超硬合金基体を順次成形装填して、容器を密閉したのちに、ベルト型装置、キュービックアンビル装置などダイヤモンド安定な温度圧力条件が実現できる超高圧発生装置で、約5−6GPa、約1300-1500℃の条件で上記PCD層、PCD側中間層、超硬合金側中間層、超硬合金基体が一体となっている複合焼結体を製作している。
特許文献2では、同様に超硬合金基体と接触している内部領域、内部領域と接触している第1中間領域、該第1中間領域と接している第2中間領域、及び第2中間領域と接している研磨性超硬粒子(ultra-hard abrasive particle、具体的にはダイヤモンド粒子又はcBN粒子でダイヤモンド粒子が好ましいと説明されている)からなる最外層を設計している。すなわち特許文献2においては、内部領域と称せられた層を含めて、3層が超硬合金基体と最外層の好ましくはダイヤモンド粒子からなる層の間に形成される。
内部領域は中間層よりも少ない研磨性超硬粒子と耐熱性粒子と金属結合剤からなるもので、ここでいう耐熱性粒子とは、ケイ素、ハフニウム、チタン、ジルコニウム、バナジウムおよびニオブ炭化物、酸化物、窒化物、アルミニウムの酸化物、窒化物、cBN、並びにタングステン、タンタル、およびモリブデンの炭化物から選ばれたものである。ちなみに、内部領域ではダイヤモンド粒子などの研磨性超硬粒子が20−30体積%、80−70体積%の耐熱性粒子及び8−10体積%の金属結合剤からなると記載されている。なお、ここでいうニッケル、コバルト、鉄又はこれら金属を1種以上含有する合金と記載されている。
特許文献2には、第1中間領域では研磨性超硬粒子が55−45体積%、耐熱性粒子が45−55体積%、それに加えて、5−12体積%の金属結合剤からなる層であると記述されている。
特許文献2には、第2中間領域では研磨性超硬粒子が70−80体積%、耐熱性粒子が30-20体積%、それに加えて、3−7体積%の金属結合剤からなる層であると記述されている。
また、特許文献2には、外部領域での研磨性超硬粒子は平均粒径が20−25μmの粒子を25−75重量%、平均粒径15−24μmの粒子を15−30重量%、平均粒径8−14μmの粒子を5−45重量%、平均粒径8μ以下の粒子を最小限度5重量%の割合で混合されたものを用いると記載されている。また、この領域での金属結合剤は約2体積%であると記載されている。
また、特許文献2では、耐熱性粒子の一例としてcBN粒子が記載されている。また、特許文献2ではcBNと金属バインダーの混合物から焼結体を製造する公知技術を引用しているが、この内容は1GPa以下のcBN粒子が熱力学的には不安定で、hBNが安定である温度で焼結体を合成するもので、本件特許に記載されている中間層がダイヤモンド粒子とcBN粒子で、約5GPa×1300−1500℃焼結体を製造するものとは全く異なることを指摘しておく。
特許文献3には、超硬合金基体と最外層のPCD層の間に1層の領域をはさむ例と2層の領域をはさむ例が記載されている。この場合、基体に接した中間層は連続した金属バインダーマトリックス中に分散した炭化タングステン、炭化タンタル、炭化チタニウム粒子のいずれかが存在し、それに加えて同様に連続した金属バインダー中にダイヤモンド粒子も混合されている。また、金属バインダーはコバルト又はコバルト基合金、ニッケル又はニッケル基合金、鉄又は鉄基合金であると記載されている。
特許文献3では、超硬合金基体と最外層のPCD層の間に2層の領域をはさむ例として、最外PCD層では75体積%のダイヤモンド粒子、最外層に近い中間領域では50体積%のダイヤモンド粒子、超硬合金基体に近い中間層では25体積%のダイヤモンド粒子を配合した例が記載されている。
特許文献4には超硬合金基体と最外層のPCD層の間に2層のダイヤモンド粒子と炭化タングステン粒子および金属バインダーからなる中間領域を配置する例が示され、各層の厚さ、各層のダイヤモンド粒子と炭化タングステン粒子の体積%が具体的に示されている。すなわち、最外層のPCD層の厚さが最大1000μm、最小400μmで、PCD層の厚さに応じて、最外層および中間層のダイヤモンドと炭化タングステン比率が異なり、該最外層中の炭化タングステンの体積%は前者で3−7体積%、後者で1体積%以下である。一般に、最外層の厚さが少なるときはPCD層の硬度が高く、靭性は相対的に低い。最外層の厚さが大なるときは、硬度が相対的に低く、靭性に富んでいる。
特許文献5には、ダイヤモンド粒子と炭化タングステン粒子および金属バインダーからなる中間領域を配置する例が示されている。また、最外層のPCD層のダイヤモンド粒子の粒径を2−3μmから20μmまでの範囲で、適当な配合を選択し、それに応じて中間層のダイヤモンド粒子及び炭化タングステン粒子の粒度及び添加する金属バインダー量も調節することが記述されており、一般に対象とする層のダイヤモンド粒子及び炭化タングステン粒子の粒径が小さいほどバインダー量を多くしている。たとえば、最外層PCD中の平均粒子径は5μm、バインダー添加量は7体積%、炭化タングステン量は8体積%であり、第2、第3、第4中間層の平均粒径は12μm、炭化タングステン体積%は外側から5,40、55体積%と内部の超硬合金基体に近いほうが炭化タングステンの割合が多く、中間各層のバインダー量は5−9体積%の間で調整することが開示されている。
米国特許第4694918号明細書 特許第4676700号公報 米国特許出願公開第2011/0017517号明細書 米国特許出願公開第2011/0031032号明細書 米国特許出願公開第2011/0031033号明細書
以上特許文献1−5において、円錐形のボタンチップの最外層のPCD層と超硬合金基体の間に複数の中間層を配置する例が開示されている。特許文献2では、最外層と中間層の具体的な組成等は開示されていないが、最外層PCD層は好ましくはダイヤモンド粒子と少量の炭化タングステン(あるいはタンタル、チタン、などの炭化物も含む)及びニッケル、コバルト、鉄あるいはこれらの合金からなるバインダーを添加することが示されている。また、中間層の組成もこれと変わらず、ダイヤモンド粒子と炭化タングステン粒子及びバインダーの割合を調節して、超硬合金基体とPCD層の結合を強化することを目的としている。
以上のように、円錐形のボタンチップの構造に関する先行技術でのPCD層と超硬合金基体との間の中間層は、ダイヤモンド粒子、炭化タングステン粒子、およびコバルトを中心とする金属バインダーで構成されている。その理由は、超硬合金が炭化タングステン粒子とコバルトからなる焼結体であり、一方、PCDはダイヤモンド粒子とコバルトからなる焼結体であるから、両者を接続するためには、中間層をダイヤモンド粒子と炭化タングステン粒子とコバルトで構成するのが最も自然な方策である。しかし、組成的な連続性は確保できていても、ダイヤモンドと炭化タングステンの持つ性質(例えば、硬さ、熱伝導率、熱膨張率など)は大きく異なっているため、これが傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体の弱点にもなっている。
本発明は超硬合金基体とPCD層の中間に、ダイヤモンド粒子、cBN粒子、及び特定な組成の金属バインダーからなる複数の中間層を配置した傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体に関する。円錐形のボタンチップの構造に関する特許文献などで示された従来技術は該中間層に、ダイヤモンド粒子、炭化タングステン(あるいは、タンタル、チタン、などの炭化物)粒子及びニッケル、コバルト、鉄あるいはそれらの合金からなるバインダー粒子の混合割合を調節して、各層を形成して、超高圧条件(約5GPa、1300−1500℃)で超硬合金基体、中間層、PCD層を一体焼結するものである。
本来このような中間層を形成する目的は、超硬合金基体のヌープ硬さが約15GPaであるのに対して、PCD層の硬さが約40GPaと大きなギャップがあるのを平均化させようとするものである。また、ダイヤモンド粒子に混合する炭化タングステン粒子は耐熱性がダイヤモンドよりも優れているので、作業時に中間層が欠損する確率が少ないことも、選択の根拠となっていたと考えられる。
しかし、超硬合金基体に中間層を設けたPCDにおいて、構成する粒子の熱膨張率の均等化も欠くことができない重要な視点である。もしも、熱膨張率が大きく異なる粒子を同一層に配置すると、熱膨張の差による大きな応力で作業中に欠損を生じることになる。ちなみにダイヤモンド粒子の熱膨張率は約750℃において4.5×10−6/℃程度であり、同じ温度域での炭化タングステン粒子の熱膨張率は約6×10−6/℃である。
また、中間層における炭化タングステン粒子とダイヤモンド粒子の近傍の状況を考察すると、両者ともにコバルトなどの金属バインダーによって結合が保たれていて、ダイヤモンド粒子近傍ではPCDに近い硬さ、炭化タングステン粒子近傍では超硬合金に近い硬さとなり、同一層内において、硬さに分布が生じていると考えられる。
以上の観点から見て、中間層においてダイヤモンド粒子に対する理想的な添加粒子はダイヤモンド粒子よりも硬度はやや低いが、熱膨張率はほぼ同等な物質粒子が望ましい。この観点から、粒子の熱膨張率が750℃付近で約4.3×10−6/℃、金属バインダーを含む硬さが28−30GPaであるcBNが最適である。すなわち、本発明では、超硬合金基体とPCD層の間に複数の中間層を設けた多層傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体の中間層の粒子成分をダイヤモンドとcBN粒子に限ると限定する。
なお、本発明に係る多層傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体は、円錐形ボタンチップのみではなく、一般に多層PCD焼結体にも適用できる。すなわち、後述する本発明による実施例で説明するように、超硬合金基盤の上にダイヤモンド粒子とcBN粒子と金属バインダーからなる層を積層させ、その上にPCD層を重ねて、一体焼結した傾斜機能性ダイヤモンド焼結工具にも応用可能である。
多層傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体の最外層のPCD層と超硬合金基体との間の中間層の構成粒子をダイヤモンド粒子とcBN粒子としたときに、ダイヤモンド粒子間、cBN粒子間、ダイヤモンド粒子とcBN粒子間での結合のいずれにも同等な強さで作用する金属バインダーの選択が重要となる。ダイヤモンド粒子が結合するためには、焼結条件下でバインダーが液相になっていて、そこに炭素が若干溶解して再度ダイヤモンドとして結晶化する必要がある。すなわち、バインダーは炭素の溶媒であり、かつダイヤモンドを再析出するいわゆる触媒でなくてはならない。同様なことはcBN粒子の結合にも言える。すなわち、cBN粒子の結合にはBNの溶媒であり、cBNへの転換触媒である液相が必要である。ダイヤモンドとcBN粒子を結合させるためには、共通のダイヤモンド及びcBN転換触媒として作用するバインダーが必要である。
ダイヤモンドとバインダー液相が共存するときにダイヤモンドから炭素が溶解して、再びダイヤモンドとして再析出する触媒性溶媒として代表的なものは、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、マンガンなどの金属およびそれらの合金である。それゆえ、PCDを製造するためのバインダーの代表的なものがコバルトとなる。コバルトはダイヤモンドから炭素が溶解すると、約5.3GPa、1320℃で液相が生じる。例えば、5.8GPaでは約1320℃−1560℃の間で、溶解した炭素がダイヤモンドとして結晶化するので、PCD焼結体を合成するのに好適な条件である。
仮に、ダイヤモンド粒子とcBN粒子の混合物に液相のコバルトを作用させると、ダイヤモンド粒子同士の結合はある程度達成できるが、cBN粒子間、ダイヤモンドとcBN粒子間では強固な結合が生じない。コバルト量が多いと、cBNからホウ素成分のみがコバルトに溶解して、それが再析出する過程でhBNへの逆変換が生じやすく、cBN粒子間結合に有害な低圧相hBNが析出する可能性がある。また、逆変換が生じなくても、cBN粒子間を結合する液相成分には極めて少量の窒素しか存在しないために、cBN粒子の結合が弱いものとなる。
cBN粒子の焼結には若干のアルミニウムを含有するコバルトバインダーが有効であるという見解は当業者ならば公知の技術(例えば、特許文献6:米国特許第3918219号明細書参照)である。ちなみに、コバルトなどの遷移金属元素を中心とするバインダーの主成分に添加するアルミニウムは特許文献6では約1重量%から約33重量%であると記載されている。
このような、公知のcBN焼結体作製に有効なアルミニウムを含むコバルトバインダーをダイヤモンド、cBN粒子混合体に作用させると、アルミニウム量が少ない範囲では、ダイヤモンド粒子のみが結合し、cBN粒子間には強い結合が生じない。バインダー中のアルミニウム量が5−6重量%以上であると、cBN粒子間の結合は強化されるがダイヤモンド粒子には結合が生じにくい。これは、おそらく多量のアルミニウムが存在すると、溶解した炭素がアルミニウムと反応して、炭化アルミニウムなどが生成して、ダイヤモンドに再転換するのを妨げる触媒作用の低下が起こるためであると考えられる。
本発明は、ダイヤモンド粒子、cBN粒子及びその混合粒子系でもほぼ同等に粒子間の結合を確保する金属バインダーの組成として、コバルト、ニッケル、鉄のいずれか一種またはそれらの合金を第1群成分、クロム、バナジウム、モリブデンのいずれか一種またはそれらの合金を第2群成分、アルミニウム、マグネシウムのいずれか一種またはそれらの合金を第3群成分として選択する。特にダイヤモンド粒子の重量%がcBN粒子の重量%の約2倍以上であるときには、ダイヤモンド粒子間の結合を重視して、第1群成分の組成比を大とし、相対的に第2群成分及び第3群成分の組成比を少なくする必要がある。第1群成分に対して、第2群成分及び第3群成分の組成比が大になると、強硬なダイヤモンド粒子間の結合を持つ焼結体が得られず、cBN粒子の溶解・再析出反応が優先的に進み、ダイヤモンド粒子においてはアルミニウムと反応し、炭化アルミニウムとなる。
逆にcBN粒子間の結合を重視して、cBN粒子の質量%がダイヤモンド粒子の質量%の約2倍以上の場合は第1群成分に対して、第2、第3群成分の相対組成比を大とするものである。第2群成分及び第3群成分に対して、第1群成分の組成比が大になると、cBN粒子の再析出反応が進まず、hBNへの逆変換が生じやすく、cBN粒子間結合に有害な低圧相hBNが析出する可能性がある。また、逆変換が生じなくても、cBN粒子間を結合する液相成分には極めて少量の窒素しか存在しないために、cBN粒子の結合が弱いものとなる。
本発明は上記知見に基づきなされたものであって、超硬合金基体とPCD層の中間に、ダイヤモンド粒子、cBN粒子及び特定な組成の金属バインダーからなる一層または複数の中間層を配置した傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体に関するものであって、
(1)Co、Ni、Feのいずれか一種またはそれらの合金をバインダーとする多結晶ダイヤモンド焼結体層、一層以上からなる中間層及び該中間層に連続する超硬合金基体からなる傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体において、上記中間層はダイヤモンド粒子、cBN粒子及び金属バインダーからなり、中間層に含有される金属バインダーは、第1群成分として、Co、Ni、Feのいずれか一種またはそれらの合金、第2群成分としてCr、V、Moのいずれか一種またはそれらの合金、および、第3群成分としてAl、Mgのいずれか一種またはそれらの合金であり、さらに、中間層の金属バインダーには第1群成分、第2群成分、第3群成分の元素が必ず含まれていることを特徴とする傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体、
(2)上記中間層が複数層からなる傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体であって、上記多結晶ダイヤモンド焼結体層に近い層から順番に第1中間層、第2中間層、・・、第N中間層(但し、N≧2)とした場合、中間層の層数番号が増えるほど、各層内にあるダイヤモンド粒子のcBN粒子に対する含有比率が連続的に低下することを特徴とする前記(1)に記載の傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体、
(3)上記中間層に含有される金属バインダーにおける第1群成分、第2群成分および第3群成分のそれぞれの含有割合は、cBN粒子に対するダイヤモンド粒子の含有比率が高い中間層では、第1群成分の含有割合が、第2群成分および第3群成分の含有割合よりも相対的に高く、一方、cBN粒子のダイヤモンド粒子に対する含有比率が高い中間層では、第2群成分の含有割合が、第1群成分および第3群成分の含有割合よりも相対的に高いことを特徴とする前記(1)または(2)に記載の傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体、
(4)上記中間層の金属バインダーにおける第1群成分、第2群成分および第3群成分のそれぞれの含有割合は、第1群成分は40質量%以上90質量%未満、第2群成分は8質量%以上60質量%未満、第3成分は1質量%以上10質量%未満であることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体、
(5)上記中間層のダイヤモンド粒子とcBN粒子の合計含有量に対する金属バインダーの合計含有量の質量比は、100対3〜100対18の範囲であることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体、
(6)上記中間層のダイヤモンド粒子とcBN粒子の合計含有量に対する金属バインダーの合計含有量の質量比は、100対5〜100対12の範囲であることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体、
に特徴を有するものである。
以下、本発明について説明する。
図1は、本発明の傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体の一つの形態である多層からなる円錐形ボタンチップの断面模式図である。図1において、1は外側のPCD層(第1層)、2は第1中間層、3は第2中間層、4は第3中間層を示す。5は超硬合金基体である。6はジルコニウム、タンタル、チタン、モリブデンなどの金属箔を用いた内側が円錐形状の試料容器である。
図2は、本発明の傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体の別の形態である多層PCD焼結体の概観図である。図2では、PCD層と超硬合金基板との間に1層の中間層を設けているが、中間層の層数をさらに増やし、複数層の中間層をもうけることも勿論可能である。
本発明では、図1のビット構造の多層傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体において、最外層のPCD層から、内部に向かい第1中間層、第2中間層、第3中間層、の3層の中間層を配置し、例えば、第1中間層の(ダイヤモンド+cBN)質量に対するcBN粒子の質量%(すなわち、100×cBN粒子の質量/(ダイヤモンド+cBN)質量)を8-20%、第2中間層を20-60%、第3中間層を70-90%とした時の、各中間層の金属バインダーの組成比は第1中間層では第1群成分80-90質量%、第2群成分8-20質量%、第3群成分1-2質量%程度であることが望ましい。
第2中間層では第1群成分60-70質量%、第2群成分26-36質量%、第3群成分2-4質量%、第3中間層では第1群成分40-50質量%、第2群成分40-60質量%、第3群成分2−5質量%程度とする。このように、ダイヤモンド粒子とcBN粒子の両方を含む粒子系の焼結を均等に進めるために、第1群成分、第2群成分、第3群成分の組成比を調整した金属バインダーを選択する。
第1群成分を40質量%未満にすると、ダイヤモンド粒子を焼結させるのに必要な量が足りず、全域に第1群成分触媒がいきわたらず、強硬なダイヤモンド粒子同士の結合組織が不均一になる可能性が高い。一方、第1群成分が90質量%を超えると、cBN中のホウ素成分のみ優先的に溶解し、cBN粒子同士の結合反応に必要な窒素成分が極めて少なくなるため、弱いcBNの結合しか得られない。
第2群成分が8質量%未満では、cBNの溶解・再析出反応が遅くなり、cBN粒子同士の結合組織が不均一となる。逆に、第2群成分が60質量%を超えると、触媒(バインダー)全体の融点が上がり、ダイヤモンド及びcBNが焼結しにくくなる。
第3成分が1質量%未満ではcBNの再析出は進まず、逆に、第3成分が5質量%を超えると、ダイヤモンドがアルミニウムと反応し、炭化アルミニウムとなる。その結果、ダイヤモンド粒子同士の結合に必要な反応が妨げられる。
また、ダイヤモンドおよびcBNの粒子成分の合計質量%(G)に対する金属バインダーの合計質量%(B)の比をG:Bとするとき、G:Bの値の範囲は100:3から100:18であり、好ましくは100:5−100:12の範囲にある。Bの比が3未満では焼結体全体を焼結させるのに必要なバインダー量が足りず、未焼結部分が発生し、不均一な組織を持つ弱い焼結体となる。一方、Bの比が18を超えるとバインダー量が多すぎるため、部分的に金属バインダーがダイヤモンド又はcBN粒子を完全に囲う形で存在し、ダイヤモンド及びcBN粒子同士の結合を妨げる。その結果、ダイヤモンド又はcBN粒子との結合力が弱く、硬さのない焼結体しか得られない。
金属バインダーは、5-10μm程度のサイズの各金属の粉末を用いて、これらを振動ボールミルなどの混合機で十分混合粉砕して、全体を5μm以下の混合粉末として使用することが望ましい。さらには、第1群及び第2群で複数の金属を用いる場合は、それらを溶融アトマイズした合金粉末として調整して、それらを同様に混合粉砕することがさらに望ましい。
該中間層において使用するダイヤモンド粉末、cBN粉末の平均粒度はおよそ0.5〜20μmの間で選択して、成形時の充填密度を向上することや、焼結体の粒度分布を調整するために、粗粒と細粒を混合することは有効である。なお、各中間層の厚さは最大でも約1000μm程度であり、薄い場合は150μm程度であるから、中間層の厚さが薄い場合はそれに応じて、ダイヤモンド粒子及びcBN粒子の平均粒度はおよそ0.5〜20μmにすべきである。
各中間層に応じた、ダイヤモンド粒子、cBN粒子、及び金属バインダー粉末はあらかじめ設定した組成になるよう秤量して、最適な混合器によって十分混合する、この場合、設計されたように薄い中間層を成形するために、パラフィン、樟脳系の成形後加熱除去できる成形バインダーを添加することができる。
ジルコニウム、タンタル、チタン、モリブデンなどの金属箔を用いた内側が円錐形状の試料容器にPCD層(第1層)、第1中間層、第2中間層、第3中間層、・・第N中間層の順に各々の粉末を成形し、最終的に超硬合金基体を充填後、容器を密閉して、超高圧焼結装置に装填する。
上記中間層の層数番号が増えるほど、各層内にあるダイヤモンド粒子のcBN粒子に対する含有比率を連続的に低下させ、ダイヤモンド粒子間の結合を減らすことにより、中間層の硬さを超硬合金基体側に近いほど、連続的に低くする。このように、焼結体全体の熱膨張率の変化を最小限に抑えながら、各中間層の硬さ及び靭性の調整を行う。
各中間層におけるダイヤモンド粒子の含有率が固定、又は、超硬合金基体側に近いほどダイヤモンド粒子の含有率が増加すると、超硬合金基体側に近いほど、中間層の硬さが高くなり、作業中に欠損等が発生する。また、ダイヤモンド粒子同士の結合が増えることにより、焼結体中の残留応力が高くなり、各中間層の界面に沿った形でクラックが発生する可能性がある。
用いる超高圧焼結装置はベルト型装置、キュービックアンビル装置などダイヤモンド粉末合成用装置を用いることができる。超高圧焼結条件は約5GPa、1300−1500℃で図1に示す試料容器に充填された超硬合金基体、中間層、PCD層を一体焼結するものである。
本発明の特徴は、PCD層と超硬合金基体との中間層のダイヤモンド粒子に添加する粒子としてcBN粒子を選定したことである。これにより基体とPCD層との中間にダイヤモンド粒子とほぼ同じ熱膨張係数を有するcBN粒子が混合されていることにより、作業時に発生する熱応力の低減に有効である。また、PCD層が接した領域にcBN粒子を添加することによって、PCD層のダイヤモンド粒子の異常粒成長を防止する効果がある。
本発明の多層傾斜機能ダイヤモンド複合焼結体において、作業時に発生する熱応力の低減は本工具の欠損や工具表面の摩耗幅の低下に有効である。また、多層複合焼結体の各層の界面にダイヤモンド粒子などの異常粒成長が発生すると、著しい界面結合強度の低下を招き、界面のはく離など好ましくない工具の欠損が生じる。比較例に用いたダイヤモンド粒子と炭化タングステン粒子及び金属バインダーからなる多層傾斜機能ダイヤモンド複合焼結体では、本発明例よりもはるかに大きな熱応力の発生や界面付近のダイヤモンド粒子あるいは炭化タングステン粒子異常粒成長による界面強度劣化が生じやすいという欠点を有する。
図1は本発明の一つの形態として、PCDボタンチップの断面概略模式図を示す。
図2は本発明の別の形態として、多層PCD焼結体の断面概略模式図を示す。
図3は本発明例2の第2中間層の微細構造を示すSEM(BSE)像である。
図4は本発明例6の超硬合金基板とPCD層の間に挿入した、ダイヤモンド粒子とcBN粒子からなる中間層との境界付近のSEM(BSE)像である。
図5は比較例1の第2中間層の微細構造を示すSEM(BSE)像である。
図6は比較例2の多層PCD焼結体の超硬合金基板とダイヤモンド粒子とWC粒子およびCoバインダーからなる中間層の境界付近のSEM(BSE)像である。
以下に、多層PCD焼結工具やハンマービット、ロータリービットなどに好適な本発明の傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体、即ち、超硬合金基体とPCD層の間にダイヤモンド粒子とcBN粒子を主体とする中間層を設けた本発明の傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体について、実施例に基づいて具体的に説明する。
本発明例1:
超硬合金基体として、一端に円錐面を有する直径13mm長さ約8mmの超硬合金(JISV60)基体を使用し、表1に示すような条件で、ジルコニウム、タンタルを積層した試料容器中に粉末及び超硬合金基体を充填し、真空中で粉末容器を溶接密閉した。試料容器はベルト型装置により、5.8GPa 1450℃にて10分間保持して焼結することにより、PCD層、第1中間層、第2中間層、第3中間層、超硬合金基体からなる図1に示す一体の焼結体からなる多層PCDボタンチップを製造した。
表1に、該多層PCDボタンチップの、各層の平均厚さ、各層の粒子サイズと配合組成、金属バインダー組成及び混合割合等を示す。

本発明例2:
図1に示すように、PCD層、第1中間層、第2中間層、第3中間層、超硬合金基体からなる構成において、各層の平均厚さ、各層の粒子サイズと配合組成、金属バインダー組成及び混合割合等について表示する。
超硬合金基体として、直径13mm長さ約8mmの超硬合金(JISV60)基体を使用し、表2に示すような条件で、ジルコニウム、タンタルを積層した試料容器中に粉末及び超硬合金基体を充填し、真空中で粉末容器を溶接密閉した。試料容器はベルト型装置により、5.8GPa 1450℃にて10分間保持して
焼結することにより、PCD層、第1中間層、第2中間層、第3中間層、超硬合金基体からなる図1に示す一体の焼結体からなる多層PCDボタンチップを製造した。
表2に、該多層PCDボタンチップの、各層の平均厚さ、各層の粒子サイズと配合組成、金属バインダー組成及び混合割合等を示す。

図3は、本発明例2による試料の第2中間層(ダイヤモンド粒子重量/cBN粒子重量=65/35)の研磨面のSEM(BSE)像(2次反射電子像)である。BSE像において、黒色部分はダイヤモンドとcBN粒子であり、白色部分は金属バインダーである。金属バインダーがダイヤモンド粒子とcBN粒子の間隙にほぼ均等に分布しており、良好な中間層が形成されていることが分かる。
本発明例3:
超硬合金基体として、直径13mm長さ約8mmの超硬合金(JISV60)基体を使用し、表3に示すような条件で、ジルコニウム、タンタルを積層した試料容器中に粉末及び超硬合金基体を充填し、真空中で粉末容器を溶接密閉した。試料容器はベルト型装置により、5.8GPa 1450℃にて10分間保持して
焼結することにより、PCD層、第1中間層、第2中間層、第3中間層、超硬合金基体からなる図1に示す一体の焼結体からなる多層PCDボタンチップを製造した。
表3に、該多層PCDボタンチップの、各層の平均厚さ、各層の粒子サイズと配合組成、金属バインダー組成及び混合割合等を示す。

本発明例4:
超硬合金基体として、直径13mm長さ約8mmの超硬合金(JISV60)基体を使用し、表4に示すような条件で、ジルコニウム、タンタルを積層した試料容器中に粉末及び超硬合金基体を充填し、真空中で粉末容器を溶接密閉した。試料容器はベルト型装置により、5.8GPa 1450℃にて10分間保持して焼結することにより、PCD層、第1中間層、第2中間層、第3中間層、超硬合金基体からなる図1に示す一体の焼結体からなる多層PCDボタンチップを製造した。
表4に、該多層PCDボタンチップの、各層の平均厚さ、各層の粒子サイズと配合組成、金属バインダー組成及び混合割合等を示す。
本発明例4では、cBN粒子サイズを微細化すること、および第3中間層のcBN粒子の割合を増加したことにより、第3中間層と超硬合金基体の境界付近に観察されるWC粒子の異常粒成長は見られなくなった。

本発明例5:
超硬合金基体として、直径13mm長さ約8mmの超硬合金(JISV60)基体を使用し、表5に示すような条件で、ジルコニウム、タンタルを積層した試料容器中に粉末及び超硬合金基体を充填し、真空中で粉末容器を溶接密閉した。試料容器はベルト型装置により、5.8GPa 1450℃にて10分間保持して
焼結することにより、PCD層、第1中間層、第2中間層、第3中間層、超硬合金基体からなる図1に示す一体の焼結体からなる多層PCDボタンチップを製造した。
表5に、該多層PCDボタンチップの、各層の平均厚さ、各層の粒子サイズと配合組成、金属バインダー組成及び混合割合等を示す。
本発明例5では、第2群成分として、クロムと共にモリブデンを添加したこと、cBN粒子のサイズを10〜20μmと比較的粗粒を選択したことによって、靭性が向上した中間層を形成することができた。

本発明例6:
多層PCD焼結工具の一例として、図2のように、中間層がダイヤモンド粒子65重量%、cBN粒子35重量%の中間層粒子成分に対して、粒子総重量(G):バインダー総重量(B)の比が100対5である条件を選択した中間層の層数が1層である焼結工具素材を、5.8GPa 1450℃にて10分間保持して焼結することにより、PCD層、(第1)中間層、超硬合金基体からなる図2に示す一体の焼結体からなる多層PCD焼結体を製造した。
表6に、該PCD焼結体の、各層の平均厚さ、各層の粒子サイズと配合組成、金属バインダー組成及び混合割合等を示す。


図4に、本発明例6の超硬合金基板とPCD層の間に挿入した、ダイヤモンド粒子とcBN粒子からなる中間層との境界付近のSEM(BSE)像を示す。図で白色部分は主に超硬合金及び金属バインダー部分である。また、黒色部分はダイヤモンド及びcBN粒子である。本発明例6における超硬合金基板とダイヤモンド粒子とcBN粒子からなる中間層の境界は非常に平坦で、境界付近には中間層中に異常粒成長したダイヤモンド粒子は見られない。これは中間層成分をダイヤモンド粒子と炭化タングステン粒子にした場合と大きく異なる点である。cBN粒子はダイヤモンド粒子の異常粒成長を抑制して界面強度の向上に有効に作用していることがわかる。
比較例1:
円錐形状構造試料において、本発明例と比較するために、cBN粒子の代わりにWC粒子を用いた。
超硬合金基体として、直径13mm長さ約8mmの超硬合金(JISV60)基体を使用し、表7に示すような条件で、ジルコニウム、タンタルを積層した試料容器中に粉末及び超硬合金基体を充填し、真空中で粉末容器を溶接密閉した。試料容器はベルト型装置により、5.8GPa 1450℃にて10分間保持して焼結することにより、PCD層、第1中間層、第2中間層、第3中間層、超硬合金基体からなる図1に示す一体の焼結体からなる多層PCDボタンチップを製造した。
表7に、該多層PCDボタンチップの、各層の平均厚さ、各層の粒子サイズと配合組成、金属バインダー組成及び混合割合等を示す。

図5は比較例1の第2中間層(ダイヤモンド粒子重量/WC粒子重量=75/25)の研磨面のSEM(BSE)像(2次反射電子像)であるが、BSE像において、黒色部分はダイヤモンド粒子であり、白色部分は主に炭化タングステン粒子で、一部はコバルトバインダーである。ダイヤモンド粒子よりも疎粒であるWCは部分的には添加した金属バインダーをとりこんで、ダイヤモンド粒子と結合している。ただし、溶融状態のコバルトの作用は複雑で、ダイヤモンド粒子間及びWC粒子間あるいはダイヤモンドとWC粒子の間隙に均等に分布して、偏りのない結合を形成しているとはいえない。
比較例2
本発明例6と比較するために、多層PCD焼結工具の中間層がダイヤモンド粒子75重量%、炭化タングステン粒子25重量%の中間層粒子成分に対して、粒子総重量(G):バインダー総重量(B)の比が100対5である条件を選択した中間層の層数が1層である焼結工具素材を、5.8GPa 1450℃にて10分間保持して
焼結することにより、PCD層、(第1)中間層、超硬合金基体からなる図2に示す一体の焼結体からなる多層PCD焼結体を製造した。
表8に、該PCD焼結体の、各層の平均厚さ、各層の粒子サイズと配合組成、金属バインダー組成及び混合割合等を示す。

図6は、比較例2の多層PCD焼結体の超硬合金基板とダイヤモンド粒子とWC粒子およびCoバインダーからなる中間層の境界付近のSEM(BSE)像であるが、BSE像において、超硬合金基板と中間層の境界は複雑で、境界層のダイヤモンド粒子(BSE像では白色部分)と炭化タングステン粒子(BSE像では黒色部分)の分布が不規則で異常粒成長したWC粒子が見られる。したがって、境界層のダイヤモンド粒子と炭化タングステン粒子の結合はそれほどの効果をもたらしていないことがわかる。


Claims (6)

  1. Co、Ni、Feのいずれか一種またはそれらの合金をバインダーとする多結晶ダイヤモンド焼結体層、一層以上からなる中間層及び中間層に連続する超硬合金基体からなる傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体において、上記中間層はダイヤモンド粒子、cBN粒子及び金属バインダーからなり、中間層に含有される金属バインダーは、第1群成分として、Co、Ni、Feのいずれか一種またはそれらの合金、第2群成分としてCr、V、Moのいずれか一種またはそれらの合金、および、第3群成分としてAl、Mgのいずれか一種またはそれらの合金であり、さらに、中間層の金属バインダーには第1群成分、第2群成分、第3群成分の元素が必ず含まれていることを特徴とする傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体。
  2. 上記中間層が複数層からなる傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体であって、上記多結晶ダイヤモンド焼結体層に近い層から順番に第1中間層、第2中間層、・・、第N中間層(但し、N≧2)とした場合、中間層の層数番号が増えるほど、各層内にあるダイヤモンド粒子のcBN粒子に対する含有比率が連続的に低下することを特徴とする請求項1に記載の傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体。
  3. 上記中間層に含有される金属バインダーにおける第1群成分、第2群成分、第3群成分、それぞれの含有割合は、cBN粒子に対するダイヤモンド粒子の含有比率が高い中間層では、第1群成分の含有割合が、第2群成分および第3群成分の含有割合よりも相対的に高く、一方、cBN粒子のダイヤモンド粒子に対する含有比率が高い中間層では、第2群成分の含有割合が、第1群成分および第3群成分の含有割合よりも相対的に高いことを特徴とする請求項1または2に記載の傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体。
  4. 上記中間層の金属バインダーにおける第1群成分、第2群成分および第3群成分それぞれの割合は、第1群成分は40質量%以上90質量%未満、第2群成分は8質量%以上60質量%未満、第3群成分は1質量%以上10質量%未満であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体。
  5. 上記中間層のダイヤモンド粒子とcBN粒子の合計含有量に対する金属バインダーの合計含有量の質量比は、100対3〜100対18の範囲であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体。
  6. 上記中間層のダイヤモンド粒子とcBN粒子の合計含有量に対する金属バインダーの合計含有量の質量比は、100対5〜100対12の範囲であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の傾斜機能性ダイヤモンド複合焼結体。
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