JP6019531B2 - ガス遮蔽用材料 - Google Patents
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Description
そのため、耐熱衝撃性及び断熱性を備えるとともに、還元性ガス等のガスの透過を抑制することができる材料が求められているのが現状である。
[1]チタン酸アルミニウム系酸化物により構成されるガス遮蔽用材料であって、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物は、Al、Ti、Y及びOを含有しており、
前記YをY2Ti2O7換算し、Al2TiO5及びY2Ti2O7の合計を100モル%とした場合に、前記Y2Ti2O7の含有割合は20モル%以下であり、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物における粒子長径の平均サイズ(D max 50)は、2〜15μmであることを特徴とするガス遮蔽用材料。
[2]チタン酸アルミニウム系酸化物により構成されるガス遮蔽用材料であって、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物は、Al、Ti、Mg及びOを含有しており、
前記MgをMgTi2O5換算し、Al2TiO5及びMgTi2O5の合計を100モル%とした場合に、前記MgTi2O5の含有割合は20モル%以下であり、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物における粒子長径の平均サイズ(D max 50)は、2〜15μmであることを特徴とするガス遮蔽用材料。
[3]チタン酸アルミニウム系酸化物により構成されるガス遮蔽用材料であって、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物は、Al、Ti、Y、Mg及びOを含有しており、
前記YをY2Ti2O7換算し、前記MgをMgTi2O5換算し、Al2TiO5、Y2Ti2O7及びMgTi2O5の合計を100モル%とした場合に、
前記Y2Ti2O7の含有割合は20モル%以下であり、
且つ前記MgTi2O5の含有割合は20モル%以下であり、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物における粒子長径の平均サイズ(D max 50)は、2〜15μmであることを特徴とするガス遮蔽用材料。
[4]溶融金属に接触する物に用いられる前記[1]乃至[3]のいずれか一項に記載のガス遮蔽用材料。
また、本発明のガス遮蔽用材料は、Al、Ti、Mg及びOを含有する特定のチタン酸アルミニウム系酸化物により構成されており、Mgを特定量含有しているため、優れたガス遮蔽性を備える。
更に、本発明のガス遮蔽用材料は、Al、Ti、Y、Mg及びOを含有する特定のチタン酸アルミニウム系酸化物により構成されており、Y及びMgを特定量含有しているため、優れたガス遮蔽性を備える。
また、本発明のガス遮蔽用材料は、ガス遮蔽性に優れているため、溶融金属に接触する物に好適に用いることができる。
[1]ガス遮蔽用材料(I)
本発明のガス遮蔽用材料は、チタン酸アルミニウム系酸化物により構成されるものであって、このチタン酸アルミニウム系酸化物は、Al、Ti、Y及びOを含有する。具体的には、このチタン酸アルミニウム系酸化物は、チタン酸アルミニウム(Al2TiO5)にY2Ti2O7が添加された複合酸化物であり、Al2TiO5相及びY2Ti2O7相により構成される。
本発明においては、Y2Ti2O7の含有割合が、上記の範囲となっていることにより、複合酸化物(チタン酸アルミニウム系酸化物)における粒界き裂のき裂長さを、Y2Ti2O7による空隙のピン止め効果によって、Al2TiO5における粒界き裂のき裂長さよりも短くすることができる(図1を参照)。更には、複合酸化物における粒界き裂の開口幅を、Al2TiO5における粒界き裂の開口幅よりも狭くすることができる(図1参照)。そのため、耐熱衝撃性及び耐熱性を損なうことなく、優れたガス遮蔽性を得ることができる。尚、図1における「AT」はAl2TiO5を示し、「YT」はY2Ti2O7を示す。
但し、ここでいう「粒界き裂のき裂長さ」とは、1個のき裂(ひとつながりのき裂)の長さを意味する。
また、「粒界き裂の開口幅」とは、き裂の空間を形成している幅を意味する。
本発明のガス遮蔽用材料は、チタン酸アルミニウム系酸化物により構成されるものであって、このチタン酸アルミニウム系酸化物は、Al、Ti、Mg及びOを含有する。具体的には、このチタン酸アルミニウム系酸化物は、チタン酸アルミニウム(Al2TiO5)にMgTi2O5が添加された複合酸化物であり、MgxAl2(1−x)Ti(1+x)O5相(但し、xは0.1以下である。)により構成される。
本発明においては、MgTi2O5の含有割合が、上記の範囲となっていることにより、熱膨張異方性が低減し、複合酸化物(チタン酸アルミニウム系酸化物)における粒界き裂の開口幅を、Al2TiO5における粒界き裂の開口幅よりも大幅に狭くすることができる(図2参照)。そのため、耐熱衝撃性及び耐熱性を損なうことなく、優れたガス遮蔽性を得ることができる。尚、図2における「AT」はAl2TiO5を示す。
本発明のガス遮蔽用材料は、チタン酸アルミニウム系酸化物により構成されるものであって、このチタン酸アルミニウム系酸化物は、Al、Ti、Y、Mg及びOを含有する。具体的には、このチタン酸アルミニウム系酸化物は、チタン酸アルミニウム(Al2TiO5)にY2Ti2O7及びMgTi2O5が添加された複合酸化物であり、MgxAl2(1−x)Ti(1+x)O5相(但し、xは0.1以下である。)及びY2Ti2O7相により構成される。
Y2Ti2O7の含有割合は20モル%以下(通常、2モル%以上)であり、好ましくは5〜15モル%、更に好ましくは5〜10モル%である。
また、MgTi2O5の含有割合は20モル%以下(通常、2モル%以上)であり、好ましくは5〜15モル%、更に好ましくは5〜10モル%である。
本発明においては、Y2Ti2O7、MgTi2O5の各含有割合が、それぞれ、上記の範囲となっていることにより、複合酸化物(チタン酸アルミニウム系酸化物)における粒界き裂のき裂長さを、Y2Ti2O7による空隙のピン止め効果によって、Al2TiO5における粒界き裂のき裂長さよりも短くすることができる(図3参照)。更には、Mgの固溶による熱膨張異方性の低減によって、複合酸化物における粒界き裂の開口幅を、Al2TiO5における粒界き裂の開口幅よりも大幅に狭くすることができる(図3参照)。そのため、耐熱衝撃性及び耐熱性を損なうことなく、優れたガス遮蔽性を得ることができる。尚、図1における「AT」はAl2TiO5を示し、「YT」はY2Ti2O7を示す。
上述の各ガス遮蔽用材料を構成するチタン酸アルミニウム系酸化物の相対密度は、80〜98%であることが好ましく、より好ましくは85〜96%、更に好ましくは88〜94%である。
尚、上記平均クラスターサイズ(Dmax50)は、焼結体サンプルを表面研磨の上、走査型電子顕微鏡で組織を撮影し、撮像組織を構成している全ての粒子をスケッチして、粒径解析ソフトにて全粒子の長径データを取り組み、存在確率が50%に対応した長径から算出することができる。
また、上記原料粉末における酸化物粉末は、複合酸化物であってもよい。この複合酸化物を製造する方法は特に限定されず、例えば、錯体重合法、共沈法、ゾルゲル法及び固相法等の公知の合成法を用いて製造することができる。
尚、各チタン酸アルミニウム系酸化物の製造に用いられる粉末は、市販品であってもよい。
尚、焼結体の製造には、公知の焼結助剤等の添加剤を用いてもよい。
本発明のガス遮蔽用材料におけるガス遮蔽性能は、例えば、次のように評価することができる。
ガス遮蔽用材料の一面側と他面側に、分圧の異なる腐食ガスを供給する。この際の、ガス遮蔽用材料の厚さ方向における腐食ガスの透過量の計測において、温度を変化させた場合の、その変化に対する透過量の依存性を評価する。そして、各々の温度における腐食ガスの透過係数を算出し、温度と単位粒界密度当たりの透過係数との相関を求め、その相関に基づいて、ガス遮蔽用材料のガス遮蔽性能を評価することができる。
尚、高腐食ガス分圧領域では、低分圧側には、Arガス等の不活性ガスが供給され、高分圧側には不活性ガスと微量の酸素ガスとの混合ガスを供給するが、不活性ガス及び混合ガスのいずれにも微量の腐食ガスが含有されているため、「分圧の異なる腐食ガスを供給する」と表現する。
PL/Sgb=Cp・Q・L/Vst・S・Sgb (1)
(PL;透過係数、Sgb;粒界密度、Cp;透過した腐食ガスの濃度、Q;腐食ガスの流量、Vst;理想気体モル体積、S;試験片の面積、L;試験片の厚さ)
尚、上記粒界密度(Sgb)は、試験後の試験片表面の総粒界長をSEMで測定することで算出することができる。
このようにして、温度と、単位粒界密度当たりの透過係数との相関を求め、絶対温度の逆数を横軸、単位粒界密度当たりの透過係数を縦軸とした両対数グラフを作成し、温度の変化に対する、単位粒界密度当たりの透過係数の依存性を評価し、単位粒界密度当たりの透過係数の絶対値によりガス遮蔽用材料のガス遮蔽性能を評価する。
本発明の各ガス遮蔽用材料は、上述のようにガス遮蔽性に優れているため、溶融金属に接触する物(溶融金属接触材)に用いられるものとすることができる。
上記溶融金属接触材の形状は特に限定されず、溶融金属に接触する物全体を構成していてもよいし、その物の一部を構成する部材であってもよい。具体的な溶融金属接触材としては、例えば、ストーク、樋、管路、溶湯搬送容器、ラドル、湯だまり等の鋳造用治工具等が挙げられる。
上記アルミニウム合金の種類は特に限定されず、一般的に、アルミニウム合金の鋳造プロセスにおいて用いられているものを挙げることができる。例えば、主成分であるアルミニウム(Al)と、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)及びスズ(Sn)等から選ばれる少なくも1種の金属との合金が挙げられる。
具体的には、一般用アルミニウム合金ダイカスト、特殊用アルミニウム合金ダイカスト等が挙げられる。一般用アルミニウム合金ダイカスト(JIS記号)としては、ADC10、ADC10Z、ADC12、ADC12Zが挙げられる。特殊用アルミニウム合金ダイカスト(JIS記号)としては、ADC1、ADC3、ADC5、ADC6、ADC14が挙げられる。
具体的には、一般用マグネシウム合金ダイカスト、特殊用マグネシウム合金ダイカスト等が挙げられる。一般用マグネシウム合金ダイカスト(JIS記号)としては、MDC1B、MDC1Dが挙げられる。特殊用マグネシウム合金ダイカスト(JIS記号)としては、MDC2B、MDC3B、MDC4が挙げられる。
このガス遮蔽用材料を過熱水蒸気システムにおける配管として用いた場合には、優れたガス遮蔽性により、管外表面からの大気の吸い込みを抑制することができ、過熱水蒸気中の酸素分圧の上昇を抑制することができる。
(1−1)原料粉末の調製(Al2TiO5粉末の調製)
Al2O3粉末(大明化学工業社製、商品名「タイミクロン」、純度:99.99%、平均粒径:1.6μm)と、TiO2粉末(石原産業社製、商品名「PT−401M」、純度:99.99%、平均粒径:0.07μm)とを、Al2O3及びTiO2の合計を100モル%とした場合に、TiO2が50モル%となる配合割合で、エタノールを加えてボールミル混合を24時間行った。次いで、75℃で乾燥した後、粉砕し、目開き100μmの篩いを通すことにより、混合粉末を調製した。
その後、混合粉末を、大気中において、5℃/分で1550℃まで昇温し、その温度を2時間保持することによって仮焼した。次いで、粉砕し、目開き100μmの篩いを通すことにより、Al2TiO5粉末を得た。
チタニウムテトラ−iso−プロポキシド[Ti(O−iPr)4]と、エチレングリコールと、無水クエン酸とを混合した。更に、無色透明になるまでビーカー内で混合して(50℃×1時間)、硝酸イットリウム・6水和物[Y(NO3)3・6H2O]をビーカー内に追加し、無色透明になるまで混合した(50℃×1時間)。尚、各成分の配合割合はモル比[チタニウムテトラ−iso−プロポキシド:硝酸イットリウム・6水和物:エチレングリコール:無水クエン酸]で、0.2:0.2:4:1である。
その後、130℃×10時間の条件にて、エステル化反応させた後、マントルヒーターを用いて、350℃×5時間の条件にて熱分解した。次いで、得られた熱分解物をアルミナ鞘に移し、大気中(0.3L/分の酸素気流中)において、5℃/分で1300℃まで昇温し、その温度を1時間保持することによって焼成した。その後、粉砕し、目開き100μmの篩いを通すことにより、チタン酸イットリウム(Y2Ti2O7)粉末を得た。
上記Al2TiO5粉末及び上記Y2Ti2O7粉末にエタノールを加えてボールミルにて96時間湿式混合してスラリーを得た[Al2TiO5:Y2Ti2O7=95:5(モル比)]。次いで、得られたスラリーを乾燥した後、得られた混合粉末を目開き48μmの篩いに通した。
次いで、得られた混合粉末を、金型[寸法;φ36(mm)]を用いて40MPa(室温)の圧力で一軸加圧成形した後、冷間等方圧プレス(圧力:250MPa)を行い、成形体を得た。その後、大気炉を用いて大気中において、5℃/分で1500℃まで昇温し、その温度を4時間保持することによって焼成した。焼成後、25℃まで降温させることによって、実施例1のガス遮蔽用材料を得た。
そして、X線回折の結果、この焼結体は、Al2TiO5相とY2Ti2O7相により構成されていることが確認できた。
また、この焼結体におけるYの含有割合は、Y2Ti2O7換算で、Al2TiO5及びY2Ti2O7の合計を100モル%とした場合に、5モル%である。更に、この焼結体の相対密度は96%であった。また、この焼結体における平均粒径(Dmax50)は5.6μmであった。尚、この焼結体(実施例1)における粒度分布(長径)を図4に示す。
上記(1−1)で得られたAl2TiO5粉末、及び上記(1−2)で得られたY2Ti2O7粉末にエタノールを加えてボールミルにて96時間湿式混合してスラリーを得た[Al2TiO5:Y2Ti2O7=95:5(モル比)]。次いで、得られたスラリーを乾燥した後、得られた混合粉末を目開き48μmの篩いに通した。
次いで、得られた混合粉末を、金型[寸法;φ36(mm)]を用いて40MPa(室温)の圧力で一軸加圧成形した後、冷間等方圧プレス(圧力:250MPa)を行い、成形体を得た。その後、大気炉を用いて大気中において、5℃/分で1500℃まで昇温し、その温度を2時間保持することによって焼成した。焼成後、25℃まで降温させることによって、実施例2のガス遮蔽用材料を得た。
そして、X線回折の結果、この焼結体は、Al2TiO5相とY2Ti2O7相により構成されていることが確認できた。
また、この焼結体におけるYの含有割合は、Y2Ti2O7換算で、Al2TiO5及びY2Ti2O7の合計を100モル%とした場合に、5モル%である。更に、この焼結体の相対密度は96%であった。また、この焼結体における平均粒径(Dmax50)は4.1μmであった。尚、この焼結体(実施例2)の粒度分布(長径)を図5に示す。
(3−1)原料粉末の調製(MgxAl2(1−x)Ti(1+x)O5粉末の調製)
Al2O3粉末(大明化学工業社製、商品名「タイミクロン」、純度:99.99%、平均粒径:1.6μm)と、TiO2粉末(石原産業社製、商品名「PT−401M」、純度:99.99%、平均粒径:0.07μm)と、Mg化合物粉末[4MgCO3・Mg(OH)2・5H2O粉末(関東化学社製)]を、Al2O3、TiO2及びMg化合物(MgTi2O5換算)の合計を100モル%とした場合に、TiO2が52.38モル%、MgTi2O5が4.76モル%となる配合割合で、エタノールを加えてボールミル混合を24時間行った。次いで、75℃で乾燥した後、粉砕し、目開き100μmの篩いを通すことにより、混合粉末を調製した。
その後、混合粉末を、大気中において、5℃/分で1550℃まで昇温し、その温度を2時間保持することによって仮焼した。次いで、粉砕し、目開き100μmの篩いを通すことにより、MgxAl2(1−x)Ti(1+x)O5粉末を得た(尚、x;0.1)。
上記MgxAl2(1−x)Ti(1+x)O5粉末にエタノールを加えてボールミルにて96時間湿式混合してスラリーを得た。次いで、得られたスラリーを乾燥した後、得られた粉末を目開き48μmの篩いに通した。
次いで、得られた粉末を、金型[寸法;φ36(mm)]を用いて40MPa(室温)の圧力で一軸加圧成形した後、冷間等方圧プレス(圧力:250MPa)を行い、成形体を得た。その後、大気炉を用いて大気中において、5℃/分で1500℃まで昇温することによって焼成した。焼成後、25℃まで降温させることによって、実施例3のガス遮蔽用材料を得た。
そして、X線回折の結果、この焼結体は、MgxAl2(1−x)Ti(1+x)O5相により構成されていることが確認できた。
また、この焼結体におけるMgの含有割合は、MgTi2O5換算で、Al2TiO5及びMgTi2O5の合計を100モル%とした場合に、10モル%である。更に、この焼結体の相対密度は93%であった。また、この焼結体における平均粒径(Dmax50)は6.8μmであった。尚、この焼結体(実施例3)の粒度分布(長径)を図6に示す。
上記(3−1)で得られたMgxAl2(1−x)Ti(1+x)O5粉末、及び上記(1−2)で得られたY2Ti2O7粉末にエタノールを加えてボールミルにて96時間湿式混合してスラリーを得た[MgxAl2(1−x)Ti(1+x)O5:Y2Ti2O7=95:5(モル比)]。次いで、得られたスラリーを乾燥した後、得られた混合粉末を目開き48μmの篩いに通した。
次いで、得られた混合粉末を、金型[寸法;φ36(mm)]を用いて40MPa(室温)の圧力で一軸加圧成形した後、冷間等方圧プレス(圧力:250MPa)を行い、成形体を得た。その後、大気炉を用いて大気中において、5℃/分で1500℃まで昇温し、その温度を1時間保持することによって焼成した。焼成後、25℃まで降温させることによって、実施例4のガス遮蔽用材料を得た。
そして、X線回折の結果、この焼結体は、MgxAl2(1−x)Ti(1+x)O5相とY2Ti2O7相により構成されていることが確認できた。
また、この焼結体におけるMg及びYの含有割合は、それぞれ、MgTi2O5換算、Y2Ti2O7換算で、Al2TiO5、Y2Ti2O7及びMgTi2O5の合計を100モル%とした場合に、それぞれ、10モル%である。更に、この焼結体の相対密度は97%であった。また、この焼結体における平均粒径(Dmax50)は4.7μmであった。尚、この焼結体(実施例4)の粒度分布(長径)を図7に示す。
上記(1−1)で得られたAl2TiO5粉末にエタノールを加えてボールミルにて96時間湿式混合してスラリーを得た。次いで、得られたスラリーを乾燥した後、得られた粉末を目開き48μmの篩いに通した。
次いで、得られた粉末を、金型[寸法;φ36(mm)]を用いて40MPa(室温)の圧力で一軸加圧成形した後、冷間等方圧プレス(圧力:250MPa)を行い、成形体を得た。その後、大気炉を用いて大気中において、5℃/分で1500℃まで昇温し、その温度を3時間保持することによって焼成した。焼成後、25℃まで降温させることによって、比較例1のガス遮蔽用材料を得た。
そして、この焼結体の相対密度は90%であった。また、この焼結体における平均粒径(Dmax50)は5.0μmであった。尚、この焼結体(比較例1)の粒度分布(長径)を図8に示す。
(6−1)試験片の作製
実施例1〜4及び比較例1のガス遮蔽用材料を切削加工することにより、直径23.5mm、厚さ0.25mmの各試験片を作製した。尚、各試験片の表面は、両面ともに鏡面仕上げとした。
図9に示すガス透過係数測定装置100を用いて、酸素透過特性の評価を行った。尚、図9における矢印はガスの流れを示す。
この際、酸素分圧差の条件として、PO2(I)=1Pa、PO2(II)=105Paにおいて酸素透過特性を評価した。
具体的には、2本のアルミナ保護管の間にガラスシール2を介して試験片3を配置した。その後、試験片3の両側に100cc/分の流速で高純度Arガスを供給した。ここで、ガラスシール2と試験片3との間のガスリークの影響を防止するため、上下のアルミナ保護管11、12の外側に、更にアルミナ保護管(外側アルミナ保護管13)を配置し、外側と内側の保護管の間にも同一流速にて高純度Arガスを供給した。
その後、電気炉8により温度を変化させ、各々の温度における下側チャンバーの平衡酸素分圧を計測し、バックグラウンド値との差から、前記式(1)に基づいて、それぞれの酸素ガスに係る単位粒界密度当たりの透過係数PL/Sgbを算出した。
また、Y2Ti2O7及びMgTi2O5の少なくとも一方が添加された焼結体からなる試験片(実施例1〜4)のなかでは、MgTi2O5が添加された焼結体からなる試験片(実施例3)、Y2Ti2O7が添加された焼結体からなる試験片(実施例1〜2)、Y2Ti2O7及びMgTi2O5の両者が添加された焼結体からなる試験片(実施例4)の順に、単位粒界密度当たりの透過係数が低くなっており、実施例4が最もガス遮蔽性に優れていることが分かった。
Claims (4)
- チタン酸アルミニウム系酸化物により構成されるガス遮蔽用材料であって、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物は、Al、Ti、Y及びOを含有しており、
前記YをY2Ti2O7換算し、Al2TiO5及びY2Ti2O7の合計を100モル%とした場合に、前記Y2Ti2O7の含有割合は20モル%以下であり、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物における粒子長径の平均サイズ(D max 50)は、2〜15μmであることを特徴とするガス遮蔽用材料。 - チタン酸アルミニウム系酸化物により構成されるガス遮蔽用材料であって、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物は、Al、Ti、Mg及びOを含有しており、
前記MgをMgTi2O5換算し、Al2TiO5及びMgTi2O5の合計を100モル%とした場合に、前記MgTi2O5の含有割合は20モル%以下であり、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物における粒子長径の平均サイズ(D max 50)は、2〜15μmであることを特徴とするガス遮蔽用材料。 - チタン酸アルミニウム系酸化物により構成されるガス遮蔽用材料であって、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物は、Al、Ti、Y、Mg及びOを含有しており、
前記YをY2Ti2O7換算し、前記MgをMgTi2O5換算し、Al2TiO5、Y2Ti2O7及びMgTi2O5の合計を100モル%とした場合に、
前記Y2Ti2O7の含有割合は20モル%以下であり、
且つ前記MgTi2O5の含有割合は20モル%以下であり、
前記チタン酸アルミニウム系酸化物における粒子長径の平均サイズ(D max 50)は、2〜15μmであることを特徴とするガス遮蔽用材料。 - 溶融金属に接触する物に用いられる請求項1乃至3のいずれか一項に記載のガス遮蔽用材料。
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