(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図1乃至図5を参照して説明する。図1は、本実施形態の路面清掃車1の構成を示す図である。図1に示すように、路面清掃車1は、車体2と、車体2に取付けられる車輪3と、を備える。また、車体2の前方方向側の部位には、運転室5が設けられている。また、運転室5の後方方向側には、外装カバー(ホッパー兼機関室カバー)6が設けられている。外装カバー6は、車体2に取付けられている。
また、車体2には、ケーシング10A,10Bが取付けられている。ケーシング10A,10Bは、車体2より鉛直下方向側に位置している。ケーシング10Aが左側方方向側の部位に位置し、ケーシング10Bが右側方方向側の部位に位置している。それぞれのケーシング10A,10Bには、路面に向かって開口する開口部11A,11Bが形成されている。
路面清掃車1には、路面の隙間に入込んだ土砂、粉塵等の目詰まり物を吸引する吸引ユニット15が、設けられている。吸引ユニット15は、車体2に取付けられる吸引ホース16A,16Bを備える。それぞれの吸引ホース16A,16Bの内部には、吸引通路17A,17Bが延設されている。それぞれの吸引通路17A,17Bの一端には、吸引口19A,19Bが形成されている。吸引口19Aはケーシング10Aの内部に位置し、吸引口19Bはケーシング10Bの内部に位置している。
外装カバー6の内部には、ホッパー21が設けられている。ホッパー21は、路面清掃車1の後方方向側の部位に、位置している。ホッパー21は、第1の空洞部22と、第1の空洞部22の鉛直上方向側に位置する第2の空洞部23と、を備える。吸引通路17A,17Bの他端(吸引口19A,19Bとは反対側の端)は、ホッパー21の第1の空洞部22と連通している。
また、ホッパー21には、水タンク(液体タンク)25及び汚水タンク(汚液タンク)26が設けられている。水タンク25及び汚水タンク26は、第1の空洞部22の鉛直下方向側に位置している。汚水タンク26の内部は、第1の空洞部22と連通している。水タンク25の内部は、第1の空洞部22及び汚水タンク26の内部と連通していない。第1の空洞部22は、第2の空洞部23と連通している。第1の空洞部22と第2の空洞部23との間には、スクリーン28が設けられている。
また、外装カバー6の内部には、機関室31が設けられている。機関室31は、ホッパー21の前方方向側に位置している。機関室31は、第3の空洞部32と、第3の空洞部32の鉛直下方向側に位置する第4の空洞部33と、を備える。機関室31の第3の空洞部32は、ブロワー30を介して、ホッパー21の第2の空洞部23と連通している。ブロワー30によって、ホッパー21の第2の空洞部23から機関室31の第3の空洞部32に空気が送気される。外装カバー6には、機関室31の第3の空洞部32と外装カバー6の外部との間を連通させる排気口35が設けられている。
機関室31の第4の空洞部33には、エンジン36が設けられている。そして、第4の空洞部33には、作動油タンク37と、エンジン36に駆動されることにより作動油タンク37からブロワー30に油を供給する油圧ポンプ38と、が設けられている。ブロワー30に油が供給されることにより、ブロワー30が作動される。また、第4の空洞部33には、エアコンプレッサ41が設けられている。そして、車体2には、エアタンク42が内蔵されている。
路面清掃車1は、路面に向かって液体である水を噴射する噴射ユニット40を備える。図2は、噴射ユニット40の構成を示す図である。図2に示すように、噴射ユニット40は、前述の水タンク25、エアコンプレッサ41及びエアタンク42を備える。水タンク25には、ドレインコック45及び圧力計46が取付けられている。エアタンク42には、ドレインコック48が取付けられている。噴射ユニット40は、エアリリーフ弁51を備える。水タンク25とエアリリーフ弁51との間は、空気連通通路49を介して接続されている。
また、噴射ユニット40は、空気導入部50と、リリーフ弁52と、を備える。空気導入部50は、空気中継通路53、メイン空気供給通路55及びサブ空気供給通路57A〜57Cを備える。エアタンク42は、空気中継通路53を介して、エアコンプレッサ41及びリリーフ弁52に接続されている。空気中継通路53には、逆止弁58が設けられている。空気中継通路53では、エアタンク42の空気がエアコンプレッサ41によって圧縮される。
水タンク25は、メイン空気供給通路55を介して、空気中継通路53に接続されている。水タンク25へは、メイン空気供給通路55を通して、圧縮空気を供給可能である。メイン空気供給通路55には、コック61及び逆止弁62が設けられている。コック61によって、空気中継通路53からメイン空気供給通路55への圧縮空気の流出量が、調整される。このため、コック61によって、水タンク25への圧縮空気の供給量が調整される。
噴射ユニット40は、複数の噴射本体部65A1〜65A6,65B1〜65B6,65C1〜65C6を備える。噴射本体部65A1〜65A6は、サブ空気供給通路57Aを介して、メイン空気供給通路55に接続されている。サブ空気供給通路57Aには、コック66Aが設けられている。コック66Aによって、メイン空気供給通路55からサブ空気供給通路57Aへの空気の流出量が、調整される。したがって、コック61及びコック66Aによって、噴射本体部65A1〜65A6への空気(圧縮空気)の供給量が調整される。
同様に、噴射本体部65B1〜65B6はサブ空気供給通路57Bを介してメイン空気供給通路55に接続され、噴射本体部65C1〜65C6はサブ空気供給通路57Cを介してメイン空気供給通路55に接続されている。そして、サブ空気供給通路57Bにコック66Bが設けられ、サブ空気供給通路57Cにコック66Cが設けられている。なお、コック61,66A〜66Cの代わりに、通過する空気の流量を調整可能な電磁弁を設けてもよい。
噴射ユニット40は、液体導入部70を備える。液体導入部70は、メイン液体供給通路71及びサブ液体供給通路72A〜72Cを備える。メイン液体供給通路71の一端は、水タンク25に接続されている。水タンク25にメイン空気供給通路55を介して圧縮空気が供給されることにより、水タンク25からメイン液体供給通路71に水を流出可能となる。メイン液体供給通路71には、フィルタ73及びコック75が設けられている。フィルタ73によって、水タンク25から流出する水が浄化される。また、コック75によって、水タンク25からメイン液体供給通路71への水の流出量が、調整される。
噴射本体部65A1〜65A6は、サブ液体供給通路72Aを介して、メイン液体供給通路71に接続されている。サブ液体供給通路72Aには、コック76Aが設けられている。コック76Aによって、メイン液体供給通路71からサブ液体供給通路72Aへの水の流出量が、調整される。したがって、コック75及びコック76Aによって、噴射本体部65A1〜65A6への水(液体)の供給量が調整される。
同様に、噴射本体部65B1〜65B6はサブ液体供給通路72Bを介してメイン液体供給通路71に接続され、噴射本体部65C1〜65C6はサブ液体供給通路72Cを介してメイン液体供給通路71に接続されている。そして、サブ液体供給通路72Bにコック76Bが設けられ、サブ液体供給通路72Cにコック76Cが設けられている。なお、コック75,76A〜76Cの代わりに、通過する水の流量を調整可能な電磁弁を設けてもよい。
図3は、ある1つのケーシング10A(10B)の内部構成を示す図である。図4は、図3を矢印U1の方向から視た図である。図3及び図4に示すように、吸引ユニット15では、吸引通路17Aの吸引口19Aはケーシング10Aの内部に位置し、吸引通路17Bの吸引口19Bはケーシング10Bの内部に位置している。そして、吸引通路17Aは吸引軸VAに沿って延設され、吸引通路17Bは吸引軸VBに沿って延設されている。
噴射本体部65A1〜65A6は、ケーシング10Aの内部に設けられている。そして、噴射本体部65A1〜65A6に、空気導入部50のサブ空気供給通路57A及び液体導入部70のサブ液体供給通路72Aが接続されている。噴射本体部65A1〜65A6は、吸引通路17Aの吸引軸VAを中心として同心状に、配置されている。吸引通路17Aの吸引口19Aは、噴射本体部65A1〜65A6によって、囲まれている。同様に、噴射本体部65B1〜65B6は、ケーシング10Bの内部に設けられ、吸引通路17Bの吸引軸VBを中心として同心状に配置されている。そして、吸引通路17Bの吸引口19Bは、噴射本体部65B1〜65B6によって、囲まれている。
なお、噴射本体部65C1〜65C6は、車体2の鉛直下方向側で、かつ、路面清掃車の前方方向側の部位に、設けられている(図1参照)。ここで、噴射本体部65C1〜65C6を収容するケーシングは、設けられていない。また、噴射本体部65C1〜65C6の近傍には吸引口は設けられていないため、噴射本体部65C1〜65C6の近傍では目詰まり物の吸引は行われない。
図5は、ケーシング10Aの内部に設けられるある1つの噴射本体部65A1の構成を示す図である。なお、以下の説明では、噴射本体部65A1についてのみ説明するが、噴射本体部65A2〜65A6,65B1〜65B6,65C1〜65C6においても、噴射本体部65A1と同様にして、路面に向かって水(液体)が噴射される。
図5に示すように、噴射本体部65A1は、通路軸Pに沿って延設される送液通路81を備える。通路軸Pは、噴射本体部65A1の中心軸と略同軸であり、鉛直方向に対して平行である。送液通路81の一端(鉛直下方向側の端)には、噴射口82が設けられている。噴射口82は、ケーシング10Aの内部に位置している。送液通路81の他端(鉛直上方向側の端)は、液体導入部70のサブ液体供給通路72Aと連通している。送液通路81には、サブ液体供給通路72Aを通して、水(液体)が導入される。そして、噴射口82に向かって、送液通路81において、水が送液される。したがって、噴射本体部65A1では、鉛直下方向が送液方向となり、噴射口82は、送液通路81の送液方向側の端に位置している。
また、送液通路81には、断面積減少部83が設けられている。断面積減少部83では、送液通路81の他の部分に比べて、通路軸Pに垂直な断面積が、部分的に小さくなる。このため、断面積減少部83では、ベンチュリー効果と同様の原理によって、送液される水の流速が大きくなり、液体導入部70及び送液通路81の他の部分に比べて、水の圧力が小さくなる。
噴射本体部65A1には、送気通路85が形成されている。送気通路85は、通路軸Pに対して略垂直に延設されている。送気通路85は、断面積減少部83で送液通路81と連通している。また、噴射本体部65A1には、中継空気通路86が形成されている。中継空気通路86は、通路軸Pに対して略平行に延設されている。中継空気通路86の一端(鉛直上方向側の端)は、空気導入部50のサブ空気供給通路57Aと連通している。中継空気通路86の他端(鉛直下方向側の端)は、送気通路85と連通している。送気通路85には、サブ空気供給通路57A及び中継空気通路86を通して、空気(圧縮空気)が導入される。すなわち、ケーシング10Aの外部のエアタンク42から空気が、送気通路85に導入される。
前述のように、断面積減少部83では、送液される水の圧力が小さくなる。このため、送気通路85に導入された空気は、送気通路85において、送液通路81の断面積減少部83に向かって吸引される。すなわち、送気通路85を通して、送液通路81の断面積減少部83に向かって、空気が送気される。断面積減少部83に空気が送気されることにより、送液通路81を通って送液される水(液体)に、気泡88が発生する。
前述のように、アスピレータにおいて送液される液体に空気を流入させる原理と同様にして、噴射本体部65A1では、送液通路81で送液される水に空気を送気している。断面積減少部83において気泡88が発生した水(液体)は、噴射本体部65A1の噴射口82から、路面に向かって噴射される。
次に、路面清掃車1の作用及び効果について、説明する。路面清掃車1により路面を清掃する場合は、運転室5で操作が行われる。まず、エアタンク42の空気がエアコンプレッサ41によって圧縮される。そして、メイン空気供給通路55を通して、圧縮空気が水タンク25へ供給される。そして、水タンク25から、液体導入部70(メイン液体供給通路71及びサブ液体供給通路72A〜72C)を通して、噴射本体部65A1〜65A6,65B1〜65B2,65C1〜65C6に水(液体)が導入される。それぞれの噴射本体部65A1〜65A6,65B1〜65B2,65C1〜65C6への水の供給状態は、コック75,76A〜76Cによって、調整される。
また、エアコンプレッサ41によって圧縮された空気(圧縮空気)は、空気導入部50(メイン空気供給通路55及びサブ空気供給通路57A〜57C)を通して、噴射本体部65A1〜65A6,65B1〜65B2,65C1〜65C6に導入される。それぞれの噴射本体部65A1〜65A6,65B1〜65B2,65C1〜65C6への空気の供給状態は、コック61,66A〜66Cによって、調整される。
それぞれの噴射本体部65A1〜65A6,65B1〜65B2,65C1〜65C6では、液体導入部70から送液通路81に水(液体)が導入される。そして、送液通路81において、噴射口82に向かって、水が送液される。ここで、断面積減少部83では、ベンチュリー効果と同様の原理によって、送液される水の流速が大きくなり、液体導入部70及び送液通路81の他の部分に比べて、水の圧力が小さくなる。
また、それぞれの噴射本体部65A1〜65A6,65B1〜65B2,65C1〜65C6では、空気導入部50から中継空気通路86を通して、送気通路85に空気が導入される。それぞれの噴射本体部65A1〜65A6,65B1〜65B2,65C1〜65C6には、ケーシング10A,10Bの外部のエアタンク42の空気が、導入される。
断面積減少部83では、送液される水の圧力が小さくなるため、送気通路85に導入された空気は、送気通路85において、送液通路81の断面積減少部83に向かって吸引される。すなわち、送気通路85を通して、送液通路81の断面積減少部83に向かって、空気が送気される。断面積減少部83に空気が送気されることにより、送液通路81を通って送液される水(液体)に、気泡88が発生する。そして、それぞれの噴射本体部65A1〜65A6,65B1〜65B2,65C1〜65C6では、断面積減少部83において気泡88が発生した水(液体)が、噴射口82から路面に向かって噴射される。
噴射された液体に含まれる気泡88は、路面又は路面の近傍で、崩壊する。気泡88が崩壊する際に生じるマイクロジェット、衝撃波等のエネルギーによって、路面の隙間に入込んだ土砂、粉塵等の目詰まり物を浮き上がらせる。そして、浮き上がった目詰まり物を、吸引ユニット15によって吸引する。この際、噴射ユニット40によって噴射された水も汚水(汚液)として吸引されるとともに、空気も吸引される。気泡88が崩壊する際に生じるエネルギーを用いることにより、効率的に目詰まり物を浮き上がらせることができ、目詰まり物が効率的に吸引される。
目詰まり物、汚水及び空気は、ケーシング10Aの内部の吸引口19Aから吸引通路17Aを通して、又は、ケーシング10Bの内部の吸引口19Bから吸引通路17Bを通して、吸引される。そして、吸引通路17A又は吸引通路17Bを通った空気は、ホッパー21の第1の空洞部22に導かれる。第1の空洞部22では、吸引通路17A,17Bに比べ体積が大きいため、第1の空洞部22では圧力が急激に低下する。このため、吸引された空気から、目詰まり物及び汚水が分離される。そして、第1の空洞部22に目詰まり物が堆積され、汚水タンク26に汚水が溜められる。
そして、吸引された空気は、スクリーン28によって浄化され、第2の空洞部23に送気される。第2の空洞部23では、吸引された空気は、スクリーン28によって浄化されるため、目詰まり物等がほとんど含まれない。そして、ブロワー30を通して、ホッパー21の第2の空洞部23から機関室31の第3の空洞部32に、浄化された空気が送気される。そして、第3の空洞部32から排気口35を通して、外装カバー6の外部に空気が送気される。
前述のように、本実施形態の路面清掃車1では、それぞれの噴射本体部65A1〜65A6,65B1〜65B2,65C1〜65C6において、送液通路81の断面積減少部83に、送気通路85を通して空気が送気される。すなわち、アスピレータにおいて送液される液体に空気を流入させる原理と同様にして、それぞれの噴射本体部65A1〜65A6,65B1〜65B2,65C1〜65C6において、送液通路81で送液される水に空気を送気している。したがって、高圧の水(液体)が送液通路81に導入されない場合でも、断面積減少部83で送液される水(液体)に気泡88が発生する。このため、本実施形態の路面清掃車1では、高圧の液体を生成する必要がなく、大型で、重量が大きい高出力のポンプを設ける必要はない。これにより、路面清掃車1の大型化及び重量化が有効に防止され、吸引した目詰まり物の積載量も大きくなる。また、高出力のポンプが設けられないため、騒音も有効に防止される。
また、空気導入部50は、ケーシング10A,10Bの外部のエアタンク42から、空気をそれぞれの噴射本体部65A1〜65A6,65B1〜65B2,65C1〜65C6の送気通路85に導入する。ケーシング10A,10Bの内部では空気に、目詰まり物が混在している。これに対し、エアタンク42は、ケーシング10A,10Bの外部に位置し、エアタンク42から空気には目詰まり物等が混在していない。したがって、エアタンク42から空気が送気通路85に導入されることにより、送液通路81の断面積減少部83に送気される空気には、目詰まり物等が混在されない。これにより、それぞれの噴射本体部65A1〜65A6,65B1〜65B2,65C1〜65C6において、送液通路の81での目詰まり物の滞留が有効に防止され、送液通路81を通って送液される水の汚染が有効に防止される。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図6乃至図12を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一の部分及び同一の機能を有する部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
図6は、本実施形態のある1つのケーシング10Aの内部構成を示す図である。図7は、図6を矢印U2の方向から視た図である。なお、以下の説明では、ケーシング10Aの内部構成についてのみ説明するが、ケーシング10Bの内部構成についても、ケーシング10Aの内部構成と同様である。図6及び図7に示すように、本実施形態でも第1の実施形態と同様に、噴射本体部65A1〜65A6は、吸引通路17Aの吸引軸VAを中心として同心状に、配置されている。吸引通路17Aの吸引口19Aは、噴射本体部65A1〜65A6によって、囲まれている。そして、噴射本体部65A1〜65A6に、空気導入部50のサブ空気供給通路57A及び液体導入部70のサブ液体供給通路72Aが接続されている。
本実施形態では、それぞれの噴射本体部65A1〜65A6の送液方向側(鉛直下方向側)に、対応する拡散筒状部91A1〜91A6が設けられている。それぞれの拡散筒状部91A1〜91A6の内部には、空洞部92A1〜92A6が形成されている。拡散筒状部91A1〜91A6は、駆動リング93Aを介して、互いに対して連結されている。駆動リング93Aは、吸引軸VAを中心として環状に延設されている。
なお、それぞれの噴射本体部65B1〜65B6の送液方向側にも、対応する拡散筒状部91B1〜91B6が設けられ、それぞれの拡散筒状部91B1〜91B6の内部には、空洞部92B1〜92B6が形成されている。そして、拡散筒状部91B1〜91B6は、駆動リング93Bを介して、互いに対して連結されている。
図8は、ある1つのケーシング10Aの内部に設けられる駆動リング93Aの構成を示す図である。また、図9乃至図12は、ケーシング10Aの内部に設けられるある1つの噴射本体部65A1及びある1つの拡散筒状部91A1の構成を示す図である。なお、以下の説明では、駆動リング93Aについてのみ説明するが、駆動リング93Bについても、駆動リング93Aと同様にして、駆動される。また、以下の説明では、噴射本体部65A1及び拡散筒状部91A1についてのみ説明するが、噴射本体部65A2〜65A6,65B1〜65B6及び拡散筒状部91A2〜92A6,92B1〜92B6においても、噴射本体部65A1及び拡散筒状部91A1と同様にして、駆動され、路面に向かって水(液体)が噴射される。
図8乃至図12に示すように、駆動リング93Aには、駆動リング93Aを貫通する6つの孔状部95が設けられている。拡散筒状部91A1は、連結ピン96を介して、駆動リング93Aに取付けられる。すなわち、連結ピン96が対応する孔状部95に挿通され、拡散筒状部91A1に固定されることにより、拡散筒状部91A1が駆動リング93Aに取付けられる。
また、拡散筒状部91A1には、拡散筒状部91A1を貫通する2つのスリット部101a,101bが設けられている。拡散筒状部91A1は、2つの連結ピン102a,102bを介して、噴射本体部65A1に取付けられる。すなわち、それぞれの連結ピン102a,102bが対応するスリット部101a,101bに挿通され、噴射本体部65A1に固定されることにより、拡散筒状部91A1が噴射本体部65A1に取付けられる。ここで、スリット部101a,101bは、送液通路81の通路軸Pに対して傾斜する斜方方向に沿って延設されている。すなわち、スリット部101a,101bは、通路軸Pを中心として螺旋状に延設されている。
また、駆動リング93Aには、シリンダー103Aが取付けられている。シリンダー103Aが伸縮することにより、駆動リング93Aは駆動され、吸引軸VAを中心として駆動リング93Aが回動する(図8の矢印R1)。これにより、駆動リング93Aから連結ピン96を介して、拡散筒状部91A1に駆動力が伝達される。駆動力が伝達されることにより、拡散筒状部91A1は、噴射本体部65A1に対して、スリット部101a,101bが延設される斜方方向に沿って移動する。すなわち、拡散筒状部91A1は、噴射本体部65A1に対して、通路軸Pを中心として回動するとともに(図8の矢印R2)、通路軸Pに沿って移動する(図8の矢印R3)。
拡散筒状部91A1は、噴射本体部65A1に対して、非拡散位置(図9及び図10に示す位置)と拡散位置(図11及び図12に示す位置)との間で、移動可能である。非拡散位置は拡散筒状部91A1の移動範囲において最も鉛直上方向側の位置であり、拡散位置は拡散筒状部91A1の移動範囲において最も鉛直下方向側の位置である。なお、図10は図9を矢印S1の方向から視た図であり、図12は図11を矢印S2の方向から視た図である。
本実施形態でも第1の実施形態と同様に、噴射本体部65A1には、送液通路81、送気通路85及び中継空気通路86が設けられている。そして、送液通路81には、噴射口82及び断面積減少部83が、設けられている。本実施形態では、拡散筒状部91A1の内部の空洞部92A1は、噴射口82で送液通路81と連通している。拡散筒状部91A1では、送液方向に向かうにつれて、通路軸Pに垂直な空洞部92A1の断面積が大きくなる。本実施形態では、拡散筒状部91A1は、スカート状に形成されている。
また、本実施形態では、中継空気通路86は、送気通路85と連通するとともに、拡散筒状部91A1の内部の空洞部92A1と連通している。中継空気通路86は、空気流出口105で、空洞部92A1と連通している。本実施形態でも第1の実施形態と同様に、送気通路85には、サブ空気供給通路57A及び中継空気通路86を通して、空気(圧縮空気)が導入される。すなわち、ケーシング10Aの外部のエアタンク42から空気が、送気通路85に導入される。また、本実施形態では、サブ空気供給通路57A及び中継空気通路86を通して、空気流出口105から空洞部92A1に空気が導入される。
拡散筒状部91A1は、空洞部92A1を規定する内周部107と、路面に向かって開口する開口部108と、を備える。図9及び図10に示すように、拡散筒状部91A1が非拡散位置に位置する場合は、拡散筒状部91A1の内周部107は、空気流出口105から拡散筒状部91A1の径方向に離れて位置している。このため、空気流出口105から空洞部92A1に空気が導入されても、空気は拡散筒状部91A1の内周部107に沿って移動せず、拡散筒状部91A1の径方向について内周部107から離れた位置を通って路面に向かう。このため、拡散筒状部91A1が非拡散位置に位置する場合には、噴射本体部65A1の噴射口82から噴射された水(液体)が、空洞部92A1で拡散されない。すなわち、気泡88が発生した水(液体)は、噴射口82から噴射された後に拡散されることなく、路面に向かう。
一方、図11及び図12に示すように、拡散筒状部91A1が拡散位置に位置する場合は、拡散筒状部91A1の径方向について、拡散筒状部91A1の内周部107は空気流出口105の近傍に、位置している。このため、空気流出口105から空洞部92A1に空気が導入されることにより、空気は拡散筒状部91A1の内周部107に沿って移動する。このため、空洞部92A1において、拡散筒状部91A1の内周部107に沿って路面に向かう空気の流れf1が発生する。前述のように、拡散筒状部91A1では、送液方向(路面)に向かうにつれて、通路軸Pに垂直な空洞部92A1の断面積が大きくなる。このため、拡散筒状部91A1の内周部107に沿った空気の流れf1が発生することにより、噴射本体部65A1の噴射口82から噴射された水(液体)が、空洞部92A1で拡散される。すなわち、拡散筒状部91A1が拡散位置に位置する場合には、気泡88が発生した水(液体)は、噴射口82から噴射された後に拡散筒状部91A1の内周部107に沿った空気の流れf1によって拡散され、路面に向かう。
噴射口82から噴射された水が拡散筒状部91A1の内部の空洞部92A2で拡散されることにより、気泡88が発生した水が広範囲に散布される。したがって、拡散筒状部91A1が拡散位置に位置する場合には、1つの噴射口82から噴射される水(液体)によって、広範囲の目詰まり物を浮き上がらせることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について図13及び図14を参照して説明する。なお、第2の実施形態と同一の部分及び同一の機能を有する部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
図13及び図14は、ケーシング10Aの内部に設けられるある1つの噴射本体部65A1及びある1つの拡散筒状部91A1の構成を示す図である。なお、以下の説明では、噴射本体部65A1及び拡散筒状部91A1についてのみ説明するが、噴射本体部65A2〜65A6,65B1〜65B6及び拡散筒状部91A2〜92A6,92B1〜92B6においても、噴射本体部65A1及び拡散筒状部91A1と同様にして、路面に向かって水(液体)が噴射される。
図13及び図14に示すように、本実施形態では第2の実施形態とは異なり、ケーシング10A(10B)の内部に駆動リング93A(93B)は、設けられていない。したがって、拡散筒状部91A1は、噴射本体部65A1に対して通路軸Pに沿って移動不可能であり、噴射本体部65A1に対して固定されている。本実施形態では、第2の実施形態において拡散筒状部91A1が拡散位置に位置する場合と同様に、拡散筒状部91A1の径方向について、拡散筒状部91A1の内周部107は空気流出口105の近傍に、位置している。このため、空気流出口105から空洞部92A1に空気が導入されることにより、空気は拡散筒状部91A1の内周部107に沿って移動する。
本実施形態では、拡散筒状部91A1に、内周部107から通路軸Pに向かって突出する突起部111が設けられている。突起部111は、通路軸Pを中心として螺旋状に延設されている。突起部111が設けられることにより、空気流出口105から空洞部92A1に導入された空気は、通路軸Pを中心として螺旋状に移動し、路面に向かう。したがって、本実施形態では、空洞部92A1において、拡散筒状部91A1の内周部107に沿って、かつ、通路軸Pを中心として螺旋状に路面に向かう空気の流れf2が発生する。なお、拡散筒状部91A1には、内周部107に対する突起部111の角度を調整する突起角度調整レバー112が、取付けられている。
本実施形態でも、拡散筒状部91A1では、送液方向(路面)に向かうにつれて、通路軸Pに垂直な空洞部92A1の断面積が大きくなる。このため、拡散筒状部91A1の内周部107に沿った空気の流れf2が発生することにより、噴射本体部65A1の噴射口82から噴射された水(液体)が、空洞部92A1で拡散される。また、本実施形態では、
空気の流れf2は通路軸Pを中心として螺旋状に路面に向かうため、通路軸Pから離れる方向に遠心力Fが発生する。遠心力Fが作用することにより、噴射本体部65A1の噴射口82から噴射された水が、さらに拡散される。すなわち、気泡88が発生した水(液体)は、噴射口82から噴射された後に拡散筒状部91A1の内周部107に沿った空気の流れf2及び遠心力Fによって拡散され、路面に向かう。
噴射口82から噴射された水が拡散筒状部91A1の内部の空洞部92A2で遠心力Fによってさらに拡散されることにより、気泡88が発生した水がさらに広範囲に散布される。したがって、1つの噴射口82から噴射される水(液体)によって、さらに広範囲において目詰まり物を浮き上がらせることができる。
(変形例)
なお、前述の実施形態では、2つのケーシング10A,10Bが設けられ、それぞれのケーシング(10A,10B)の内部に1つの吸引口(19A,19B)及び6つの噴射本体部(65A1〜65A6,65B1〜65B6)が設けられているが、これに限るものではない。すなわち、ケーシング(10A,10B)の数、及び、それぞれのケーシング(10A,10B)の内部に位置する吸引口(19A,19B)の数及び噴射本体部(65A1〜65A6,65B1〜65B6)の数は、前述の実施形態に限るものではない。
また、前述の実施形態では、送気通路85には、エアタンク42から空気導入部50を通して、空気(圧縮空気)が導入されるが、これに限るものではない。例えば、ケーシング10A,10Bの外部の大気(地上の空気)が、空気導入部50を通して送気通路85に導入されてもよい。すなわち、ケーシング10A,10Bの外部から、空気導入部50によって、空気が送気通路85に導入されればよい。
したがって、路面清掃車1は、路面に向かって開口する開口部(11A,11B)が形成されるケーシング(10A,10B)と、ケーシング(10A,10B)の内部に位置する吸引口(19A,19B)から吸引通路(17A,17B)を通して吸引を行う吸引ユニット(15)と、ケーシング(10A,10B)の内部に設けられる噴射本体部(65A1〜65A6,65B1〜65B6)を備え、ケーシング(10A,10B)の内部に位置する噴射口(82)から気泡(88)が発生した液体を路面に向かって噴射する噴射ユニット(40)と、を備えればよい。そして、噴射ユニット(40)の噴射本体部(65A1〜65A6,65B1〜65B6)は、通路軸(P)に沿って延設され、送液方向側の端に位置する噴射口(82)に向かって液体が送液される送液通路(81)を備え、送液通路(81)の断面積減少部(83)で、送液通路(81)の他の部分に比べて、通路軸(P)に垂直な断面積が部分的に小さくなればよい。そして、噴射本体部(65A1〜65A6,65B1〜65B6)は、断面積減少部(83)で送液通路(81)に連通し、送液通路(81)の断面積減少部(83)に向かって空気を送気することにより、液体に気泡(88)を発生させる送気通路(85)を備えればよい。そして、噴射ユニット(40)は、送液通路(81)に液体を導入する液体導入部(70)と、ケーシング(10A,10B)の外部から空気を送気通路(85)に導入する空気導入部(50)と、 を備えればよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形ができることは勿論である。