JP6018728B2 - 超仕上加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、被加工物の表面の精密仕上加工やホーニング加工等、種々の加工物の表面研磨加工に用いられる、水溶性加工油剤を用いた超仕上加工方法、およびその超仕上加工方法に用いる超仕上砥石、およびそれを用いた超仕上加工方法に関する。
炭素鋼、特殊鋼などの被加工物の表面とそれに接触した超仕上砥石とを所定の研磨方向に相対移動させるとともに、その超仕上砥石をその研磨方向に交差する方向で振動(往復移動)させることにより、被加工物の表面に精密な研磨加工を行なう超仕上加工方法が知られている。たとえば、特許文献1に記載された超仕上加工方法がそれである。これによれば、被加工物の表面が粗い間は砥石から突き出された砥粒による切削作用が行なわれるが、被加工物の表面が平滑になってくると自動的に適度な目詰まりが生じて磨き作用が行なわれることにより鏡面に仕上げられるという特徴がある(「機械工学便覧」日本機械学会編 B2−149頁)。
上記超仕上加工方法では、一般に、#3000以細の細かな砥粒から成る超仕上砥石が用いられ、その超仕上砥石の研磨面に目詰まりが進行しても、次の被加工物の未研磨表面の突起により目詰まりが解消され、目変わりが行なわれて切削が行なわれるようになり、この目詰まりと目変わりの繰り返しによって適度の目詰まりが維持されて鏡面状態の研磨が得られると考えられる。この超仕上加工方法においては、水溶性クーラントが用いられると、例えば図5に示すように、例えば砥石の研磨面から切粉の排出性が低下して目詰まりが大きく発生して研削作用が低下する。このため、従来の超仕上加工方法では、切粉の排出性が得られて上記の適度な目詰まりを維持することを可能とする油性クーラントすなわち不水溶性加工油剤が用いられていた。
ところで、上記従来の超仕上加工方法では、不水溶性加工油剤が用いられていたため、超仕上加工を行なう工場内にオイルミストが充満して作業環境が低下するとともに、超仕上研磨加工中に発生する摩擦熱などによりその不水溶性加工油剤の使用許容温度範囲の上限値を超えるかもしれないというリスクが基本的に存在するという不都合があった。
これに対して、特許文献2では、水を含有する不水溶性加工油剤を用いることが提案され、特許文献3では、アルコールとアルキルエーテルを含有した水溶性加工油剤を用いることが提案されている。
特開2004−174641号公報 特開平09−151389号公報 特開平03−076781号公報
しかし、特許文献2において提案されている水を含有する不水溶性加工油剤を超仕上加工に用いる場合は、加工熱により不水溶性加工油剤に含まれる水分が蒸発するので、オイルミストの充満により作業環境低下や、摩擦熱が不水溶性加工油剤の使用許容温度範囲の上限値を超える可能性が好適に解消されるが、実加工ラインでは水分含有量の維持管理が煩雑であるため、管理不十分によって不水溶性加工油剤に含まれる水分量が低下すると、前記の不水溶性加工油剤を用いた場合の不都合が発生する。また、特許文献3に提案されているアルコールとアルキルエーテルを含有した水溶性加工油剤を超仕上加工に用いる場合は、切粉の排出性が十分に得られないため、十分な加工精度が得られない場合があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、水溶性加工油剤を用いて従来の超仕上げ研磨と同等の面粗さが得られる超仕上砥石、およびそれを用いた超仕上加工方法を提供することにある。
本発明者等は、以上の事情を背景として種々検討を重ねた結果、従来の超仕上方法では用いられていなかった#600以上#2000未満の粗い砥粒とRH−40程度の硬度とを備える超仕上砥石を用いて、従来の超仕上方法では用いられていなかった、たとえば1.0MPa以下の低い研磨圧力で超仕上げ研磨すると、目詰まりがなく、しかも被加工物の表面粗度がRa0.03μm以下という、従来の超仕上げと同様の鏡面が得られるという新たな事実を見いだした。本発明はかかる知見に基づいてなされたものである。
すなわち、第1発明の要旨とするところは、(a)砥粒がビトリファイドボンドにより結合された多孔質の砥石組織から成り、被加工物に接触させられる研磨面を備える超仕上砥石を用いて、該研磨面と被加工物とが所定の研磨方向に相対移動させられると同時に該研磨面を該研磨方向に交差する方向で振動させることにより該被加工物の表面に研磨加工を行なう超仕上加工方法であって、(b)前記超仕上砥石の砥粒は、#600以上#2000未満であり、且つ前記超仕上砥石の硬度は、RH−40以軟であり、(c)前記超仕上砥石とそれに接触させられた前記被加工物とを、前記超仕上砥石の研磨面から前記被加工物の表面に対して0.1〜0.2MPaの加工圧力を加えた状態で、水溶性加工油剤の存在下で前記所定の研磨方向に相対移動させると同時に、該超仕上砥石を該研磨方向に交差する方向で振動させることにより、該被加工物の表面に研磨加工を行なうことにある。
このように構成された第1発明によれば、水溶性加工油剤を用いる超仕上加工において、#600以上#2000未満の砥粒とRH−40以軟の硬度とを有する超仕上砥石が用いられるので、被加工物の表面において、従来の不水溶性加工油剤を用いた超仕上加工と同様の鏡面が得られる。このため、不水溶性加工油剤を用いた場合の、超仕上加工を行なう工場内にオイルミストが充満して作業環境が低下するとともに、超仕上研磨加工中に発生する摩擦熱などによりその不水溶性加工油剤の使用許容温度範囲の上限値を超えるかもしれないというリスクが解消される。
また、前記超仕上砥石の研磨面の前記被加工物の表面に対する加工圧力は、0.1〜0.2MPaであることから、従来の超仕上加工方法に比較して大幅に加工圧力が低くされるので、砥石面に目詰まりが生じず被加工物の表面の面粗度が低く鏡面が得られるとともに、比較的硬度が低く設定されている超仕上砥石の耐久性が高められる。
また、前記超仕上砥石により研磨された前記被加工物の表面の面粗さは、Ra0.03μm以下であるので、従来の超仕上加工方法に比較して、被加工物の表面の面粗度が同等の鏡面が得られる。
また、好適には、前記被加工物は、ボールベアリングの内輪又は外輪であり、前記超仕上砥石は、該ボールベアリングの軌道面を研磨するものである。このようにすれば、ボールベアリングの内輪又は外輪に形成された、凹状溝の内壁面である軌道面が、鏡面に加工される。
また、好適には、前記超仕上砥石は、ホワイトアランダムを含む砥粒をビトリファイドボンドで結合することにより、連通した気孔を有する多気孔性のビトリファイド砥石である。また、その気孔内には、硫黄又はワックスが含浸させられているものである。このようにすれば、滑らかな鏡面の超仕上加工が得られる。
また、好適には、前記水溶性加工油剤は、その組成物の全量を基準として、1〜40質量%の塩と、60〜99質量%の水とを含有し、前記塩が、リン酸ナトリウム塩、リン酸カリウム塩、炭酸ナトリウム塩、炭酸カリウム塩、ケイ酸ナトリウム塩、ケイ酸カリウム塩、ホウ酸ナトリウム塩、ホウ酸カリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも2種から成る無機塩からなり、前記組成物の5%希釈液の25℃におけるpHが10〜14である。このようにすれば、超仕上加工において、水溶性加工油剤と、#600〜#2000好適には#1000〜#1500の砥粒とRH−40以軟の硬度とを有する超仕上砥石とを用いても、滑らかな鏡面の超仕上加工が得られる。ここで、上記無機塩は、正塩、酸性塩(水素塩)、又は塩基性塩でもよい。また、無機塩は、無水物でも、水和物でもよい。
また、好適には、前記水溶性加工油剤の組成物は、被加工物に錆が発生しやすくなるため、例えば塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩などの他の無機塩を含まない。また、前記水溶性加工油剤の組成物は、アミン塩又はアンモニウム塩等の有機塩も含まない。
また、好適には、前記水溶性加工油剤の組成物中の無機塩の含有量は、組成物の全量を基準として、1〜40質量%、好ましくは15〜40質量%がよい。40質量%を超えると、無機塩の全量が水に溶解しない場合がある。1質量%未満では、加工精度が低下する。また、希釈しない場合や、希釈倍率が低い場合(たとえば原液1に水1の割合)にも所定の加工精度が得られるように、1質量%以上がよい。また、一つの無機塩の含有量は0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がさらによい。一つの無機塩の含有量が0.1質量%以上であることにより、加工精度が向上し、被加工物表面を鏡面に仕上げることができる。
本発明の一実施例である砥石の外観を例示する斜視図である。 図1の砥石による超仕上加工の一例であって、ボール軸受の内周輪の外周面にボール(鋼球)を受けるために形成された凹溝である軌道面を超仕上加工により研磨(研削)する状態を説明する図である。 図1および図2に示す超仕上砥石の製造工程の一例を示す工程図である。 表2に示す超仕上加工条件のうち、実施例法1、2にて超仕上げを行なったときの、実施例砥石1〜4の研磨面を示す顕微鏡写真を示す図である。 実施例砥石1〜4を用いて表2に示す超仕上加工条件のうち比較例法にて超仕上げを行なった場合、および、比較例砥石1、2を用いて実施例法1、2にて超仕上げを行なった場合の、超仕上砥石の研磨面を示す顕微鏡写真を示す図である。 クーラントが不水溶性加工油剤の場合における、従来仕上げ砥石の適度な目詰まり状態の研磨面を示す図である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例である超仕上砥石10の外観を例示する斜視図である。本実施例の超仕上砥石10は、#600以上#2000未満のホワイトアランダムから成る研磨砥粒と、その研磨砥粒を互いに結合する無機質結合剤(ビトリファイドボンド)と、それら研磨砥粒および無機質結合剤の間に形成された連通気孔と、その連通気孔内に含浸されたたとえば硫黄又は石蝋(石油系パラフィン)などの固体潤滑剤と、RH−40以軟の砥石硬度とを備えており、例えば玉軸受けの内輪の軌道面の鏡面仕上げ研磨加工や平面、円筒面、螺旋形状面、及びその他の形状面のホーニング加工乃至超仕上加工に専ら用いられる長手状の砥石である。例えば、図1に示す超仕上砥石10は、長手方向の一方の端面が部分円筒面状の研磨面12とされた直方体状(スティック状)に形成されたものであり、例えば、横方向寸法Bが5.5mm程度、縦方向寸法Cが5.5mm程度、長手方向寸法Lが25乃至30mmとなるように形成されている。
図2は、図示しない超仕上研磨装置(超仕上盤)における超仕上研磨を説明する図である。また、上記超仕上砥石10の研磨面12は、図2に示すように、玉軸受のボール(鋼球)を受けるために形成された被加工物である内輪20の外周面に周方向に連続して形成された凹溝状の軌道面22の形状に合わせて軌道面22と同じ曲率の凸面に形成されている。図示しない超仕上研磨装置(超仕上盤)における超仕上研磨に際しては、その研磨面12が軌道面22に当接させられた状態で、内輪20が軸心Cまわりに連続回転させられると同時に超仕上砥石10が研磨面12の曲率中心Kまわりに連続揺動させられる。これにより、軌道面22では、研磨面12が主研磨方向である周方向に摺接させられると同時に、その主研磨方向に交差する方向に往復移動させられて、軌道面22に超仕上加工(研磨加工)が行われる。
上記軌道面22の超仕上加工は、図2に示すように、内輪20の外周面に形成された軌道面22とそれに摺接させられる超仕上砥石10の研磨面12との間に、たとえばノズルNからの水溶性加工油剤Fが十分に供給された状態で、湿式で行なわれる。
上記水溶性加工油剤Fは、たとえば、その組成物の全量を基準として、1〜40質量%の塩と、60〜99質量%の水とを含有し、前記塩が、リン酸ナトリウム塩、リン酸カリウム塩、炭酸ナトリウム塩、炭酸カリウム塩、ケイ酸ナトリウム塩、ケイ酸カリウム塩、ホウ酸ナトリウム塩、ホウ酸カリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも2種から成る無機塩からなり、前記組成物の5%希釈液の25℃におけるpHが10〜14である。上記無機塩は、正塩、酸性塩(水素塩)、又は塩基性塩が用いられ、その無機塩は、無水物でも、水和物でもよい。被加工物である内輪20に錆が発生しやすくなることを防止するため、水溶性加工油剤Fは、例えば塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩などの他の無機塩を含まないし、アミン塩又はアンモニウム塩等の有機塩も含まない。
超仕上砥石10は、鋳込み成形法によっても製造され得るが、プレス成形法によっても製造され得る。図3は、プレス成形法を用いた超仕上砥石10の製造工程の一例を示す工程図である。図3において、先ず、攪拌工程PB1では、予め用意された粒度#600以上#2000未満から選択されたたとえば粒度#1500のホワイトアランダム砥粒と、ビトリファイド結合剤(ボンド)と、成形助剤と、必要に応じて混入される気孔形成剤とが所定の割合で調合された後攪拌されることにより、混練或いは混合される。上記気孔形成剤は焼成後の砥石内に気孔を形成するためのスチロール、ポリエステル、エポキシ等の合成樹脂から成るレジンボールやクルミ粉等である。また、成形助剤は、混合性、成形性、保形性等を高めるためのものであり、デキストリン(合成澱粉)、水、フェノールレジン、ポリエチレングリコールなどが用いられる。
上記所定の割合は、超仕上砥石10の砥石硬度(ロックウエル硬度)RHが目的とする硬度となるように調節される。また、上記粒度#600〜2000は、JISR6001に規定されたもの(精密研磨用微粉/電気抵抗法)であり、#600は、最大粒子径が53μm以下、累積高さ50%の粒子径が20±1.5μmを示し、#1000は、最大粒子径が32μm以下、累積高さの50%の粒子径が11.5±1.0μmを示し、#1500は、最大粒子系が23μm以下、累積高さ50%の粒子径が8.0±0.6μm、#2000は、最大粒子径が19μm以下、累積高さ50%の粒子径が6.7±0.6μmを示す。
続く成形工程PB2では、上記攪拌工程PB1の攪拌により得られた混合材料から分割された予め設定された一定の分量に対して、プレス装置を用いて所定の密度となるように加圧成形され、所定の形状の成形品すなわち生砥石が作製される。この生砥石はブロック体である。次いで、乾燥工程PB3では、その成形品(生砥石)が所定の乾燥温度たとえば60℃で24時間乾燥された後、焼成工程PB4において、所定の焼成炉内においてビトリファイド結合剤が溶融させられる適当な温度で数時間保持する事によって成形品が焼成される。そして、仕上げ工程PB5において所定寸法に切り出されるとともに、例えば150℃程度にて液化させられた硫黄が砥石組織の連通気孔内に含浸させられ、且つ検査工程PB6において所定の検査項目の検査が行われることにより、最終製品である超仕上砥石が得られる。
[実験例]
続いて、本発明者等が本発明の効果を検証するために行った試験について説明する。本試験では、先ず表1に示す6種の試験品砥石すなわち実施例砥石1、実施例砥石2、実施例砥石3、実施例砥石4、比較例砥石1、比較例砥石2を、図3に示すものと同様の工程を用いて作成した。各試験品砥石の砥石硬度RHは、通常1/8インチ径の鋼球を使用する(Hスケール)が、マイナス硬度の場合では砥石が軟らか過ぎて測定中に破損が発生することがあるため、1/4インチ径の鋼球を使用してRL硬度を求め、予め求められた周知の換算式「RH=(RL−59)/0.59」から実際に測定されたRL硬度に基づいてRH硬度を算出した。
次いで、上記6種類の試験品砥石すなわち実施例砥石1、実施例砥石2、実施例砥石3、実施例砥石4、比較例砥石1、および比較例砥石2を用いて、表2に示される超仕上加工条件中の実施例法1、実施例法2、比較例法のそれぞれに従って、玉軸受の内輪の軌道面について図2に示すようにそれぞれ超仕上加工を行ない、その超仕上加工の結果を、表3および表4に示す。また、湿式加工液として、表3では前記水溶性加工油剤Fが、表4では、JISA2種に該当する市販品が用いられている。なお、砥石面圧は、試験品砥石の研磨面にかかる圧力を、その研磨面の面積当たりに換算した値である。また、湿式加工液としては、前記水溶性加工油剤Fが用いられている。
表3に示されるように、実施例砥石1、2、3、4を用いて表2の実施例法1、2の超仕上加工条件で加工した場合、その研磨面に目詰まりが生じず、Ra0.03μm以下、より正確には#1000においては0.027μm以下、#1500においてはRa0.024μm以下の面粗さの鏡面が得られた。このことは、適度の目詰まりを発生させて面粗さを小さくするという従来の超仕上加工の原理とは全く異なるメカニズムにより、被加工物の表面である玉軸受の内輪の軌道面が鏡面研磨されていることを示している。これは、不水溶性加工油剤から水溶性加工油剤となったことで、切粉の大きさが異なり、従来使用されてきた粒度#3000以細の砥粒よりも大きい粒度#1500の砥粒によっても細かな切粉が創生され、内輪の軌道面の面粗さが好適に小さくされて鏡面が得られたものと考えられる。
表3に示すように、実施例砥石1、2、3、4を用いて比較例法1での加工条件で超仕上加工を行なった場合はRa0.05μm以上の面粗さしか得られなかった。これに対して、実施例砥石1、2、3、4を用いて実施例法1、2での加工条件で超仕上加工を行なった場合には、Ra0.02乃至0.03μm程度の面粗さで好適な鏡面が得られたので、砥石硬度RHは、RH−40以軟の範囲、好適にはRH−40乃至RH−80の範囲内、砥石面圧は1.0MPa以下の範囲、好適には0.2MPaの範囲、さらに好適には0.1乃至0.2MPaの範囲内が好適な結果が得られる。図4の写真は、このような範囲における超仕上げ研磨後の実施例砥石1、2、3、4の表面の目詰まりのない状態を示している。
また、表3に示すように、実施例砥石1、2、3、4を用いて比較例法1での加工条件で超仕上加工を行なった場合、および、比較例砥石1、2を用いて実施例法1、2および比較例法1での加工条件で超仕上加工を行なった場合は、たとえば図5の拡大写真に示すように、研磨面に目詰まりが不均一に発生して研削量が少なくなり、面粗さ(Ra)も小さくならなかった。
表4に示されるように、JISA2種に該当する市販品を湿式加工液として用いた場合は、面粗さは若干粗くなる傾向があるものの、砥石面は目詰まりが見られず、削除量は水溶液加工油剤Fを用いた場合と比較しても遜色のない加工が可能であった。
上述のように、本実施例の超仕上砥石10およびそれを用いた超仕上加工方法によれば、水溶性加工油剤Fを用いる超仕上加工において、#600以上#2000の未満の範囲内の砥粒とRH−40以軟の硬度とを有する超仕上砥石が用いられることにより、玉軸受の内輪20の軌道面(被加工物の表面)22において、従来の不水溶性加工油剤を用いた超仕上加工と同様の鏡面が得られる。このため、不水溶性加工油剤を用いた場合の、超仕上加工を行なう工場内にオイルミストが充満して作業環境が低下するとともに、超仕上研磨加工中に発生する摩擦熱などによりその不水溶性加工油剤の使用許容温度範囲の上限値を超えるかもしれないというリスクが解消される。
また、本実施例によれば、超仕上砥石10の研磨面12と玉軸受の内輪20の軌道面(被加工物の表面)22との間における超仕上加工中の加工圧力は、1.0MPa以下である。また、好適には、前記超仕上砥石の研磨面の前記被加工物の表面に対する加工圧力は0.2MPa以下、さらに好適には0.1〜0.2MPaである。このように、従来の超仕上加工方法に比較して大幅に加工圧力が低くされるので、砥石面に目詰まりが生じず玉軸受の内輪20の軌道面(被加工物の表面)22の面粗度が低く鏡面が得られるとともに、RH−40以軟と比較的低硬度とされている超仕上砥石10の耐久性が高められる。
また、本実施例によれば、超仕上砥石10により研磨された玉軸受の内輪20の軌道面(被加工物の表面)22の面粗さは、Ra0.03μm以下であるので、従来の超仕上加工方法に比較して、玉軸受の内輪20の軌道面(被加工物の表面)22の面粗度が同等の鏡面が得られる。
また、本実施例によれば、被加工物は、玉軸受(ボールベアリング)の内輪20であり、超仕上砥石10は、その玉軸受の内輪20の軌道面22を研磨するものであるので、玉軸受の内輪20に形成された、凹状溝の内壁面すなわち軌道面22が、鏡面に加工される。
また、本実施例では、超仕上砥石10は、ホワイトアランダム砥粒をビトリファイドボンドで結合することにより、連通した気孔を有する多気孔性のビトリファイド砥石であり、その気孔内には、硫黄又はワックスが含浸させられているものであるので、滑らかな鏡面で仕上げられた超仕上加工が得られる。
また、本実施例では、水溶性加工油剤Fは、その組成物の全量を基準として、1〜40質量%の塩と、60〜99質量%の水とを含有し、前記塩が、リン酸ナトリウム塩、リン酸カリウム塩、炭酸ナトリウム塩、炭酸カリウム塩、ケイ酸ナトリウム塩、ケイ酸カリウム塩、ホウ酸ナトリウム塩、ホウ酸カリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも2種から成る無機塩からなり、前記組成物の5%希釈液の25℃におけるpHが10〜14である。このようにすれば、超仕上加工において、水溶性加工油剤と、#600以上#2000未満の砥粒とRH−40以軟の硬度とを有する超仕上砥石とを用いても、滑らかな鏡面の超仕上加工が得られる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例において、超仕上砥石10の砥粒にはホワイトアランダムが用いられていたが、その砥粒材質としては、ホワイトアルミナに加えて、又は替えて溶融アルミナ(Al)、炭化珪素(SiC)、窒化硼素(BN)、或いはそれらのうち2種類以上の砥粒の何れかが用いられても差し支えない。
また、超仕上砥石10の砥石組織内には、気孔形成剤を用いて、平均径が10μm乃至100μmの人工気孔が意図的に形成されてもよい。
また、前述の実施例においては、長手直方体状の超仕上砥石10について説明したが、砥石10は、円盤状や円筒状やブロック状等のその他の形状であっても差し支えない。
また、前述の実施例において、超仕上砥石10はその砥石組織の連通気孔内に蝋(ワックス)又は硫黄が含浸させられているが、それらの含浸処理が必須というわけではない。
また、前述の実施例では、特に玉軸受の内輪20の軌道面22の鏡面仕上げに本実施例の超仕上砥石10が用いられる例を説明したが、本発明の砥石は、多種のワークの研磨加工乃至は研削加工に広く用いられ得るものである。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
10:超仕上砥石
12:研磨面
20:玉軸受の内輪
22:軌道面(被加工物の表面)
F:水溶性加工性油剤

Claims (4)

  1. 砥粒がビトリファイドボンドにより結合された多孔質の砥石組織から成り、被加工物に接触させられる研磨面を備える超仕上砥石を用いて、該研磨面と被加工物とが所定の研磨方向に相対移動させると同時に該研磨面を該研磨方向に交差する方向で振動させることにより該被加工物の表面にRa0.03μm以下の面粗さの研磨加工を行なう超仕上加工方法であって、
    前記超仕上砥石の砥粒は、#600以上#2000未満であり、且つ前記超仕上砥石の硬度は、RH−40以軟であり、
    前記超仕上砥石とそれに接触させられた前記被加工物とを、前記超仕上砥石の研磨面から前記被加工物の表面に対して0.1〜0.2MPaの加工圧力を加えた状態で、水溶性加工油剤の存在下で前記所定の研磨方向に相対移動させると同時に、該超仕上砥石を該研磨方向に交差する方向で振動させることにより、該被加工物の表面に研磨加工を行なう
    ことを特徴とする超仕上加工方法
  2. 前記被加工物は、ボールベアリングの内輪又は外輪であり、
    前記超仕上砥石は、該ボールベアリングの軌道面を研磨するものであることを特徴とする請求項の超仕上加工方法。
  3. 前記超仕上砥石の砥粒は、ホワイトアランダムを含むことを特徴とする請求項1または2の超仕上加工方法。
  4. 前記水溶性加工油剤は、その組成物の全量を基準として、1〜40質量%の塩と、60〜99質量%の水とを含有し、
    前記塩が、リン酸、炭酸、ケイ酸、およびホウ酸のナトリウム塩またはカリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも2種から成る無機塩からなり、
    前記組成物の5%希釈液の25℃におけるpHが10〜14であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1の超仕上加工方法。
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