JP6018481B2 - 検知管 - Google Patents

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Description

本発明は、水銀化合物を用いず、かつ高感度に試料ガス中の検知対象物質の濃度を測定できる検知管に関する。
ガス検出器のうち、硫化水素、ホスフィン、シアン化水素、ジボラン等の検知を目的とするガス検出器の中には、その反応剤として塩化第二水銀を使用し、塩化第二水銀とこれらの検知対象物質とが反応して塩化水素を発生することを原理としているものがある。
これらのガス検出器の重要な構成要素となる水銀は、水俣病をはじめ多くの健康被害を引き起こす原因となる有害物質であり、その使用は厳しく規制されつつある。現在、水銀汚染防止に向けた国際的な取り組みが強化されており、水銀を含む製品の流通規制を盛り込んだ水銀条約は、2013年の採択に向けて政府間交渉委員会で検討中である。条約締結後は水銀を含む製品の製造、販売は困難になることが予想される。
このような事情から、反応剤として水銀化合物の替わりに酢酸鉛、硫酸銀、硫酸パラジウムとモリブデン酸アンモニウム、硫酸銅等の無機塩を用いたガス検出器が検討されてきた。
図7から図11は酢酸鉛、硫酸銀、硫酸パラジウムとモリブデン酸アンモニウム、硫酸銅、塩化第二水銀を用いた従来製品による検知対象物質濃度と変色した部分の長さとの関係を示すグラフである。しかしながら、図7から図11に示すように、塩化第二水銀を用いた装置では1ppm以下の低濃度の硫化水素ガスを測定できるのに対し、これらの無機塩と検知対象物質との反応を用いた装置では、1ppm以上の濃度の硫化水素ガスでないと測定することができない。
この中で、反応剤としてp−トルエンスルホン酸銀を用いた装置では、低濃度の検知対象物質であっても比較的安定に反応することが知られている。[特許文献1乃至5]しかしながら、反応生成物である銀コロイドによる変色を測定に用いる方法では、銀コロイドの発色が僅かであることから、目視による確認は困難である。
そのため、p−トルエンスルホン酸銀を反応剤として用いるこれらの装置では、p−トルエンスルホン酸銀が検知対象物質によって、下記反応式(1)のように還元された際に生じる銀コロイドの反応痕を光電光度法により測定することによって、目的ガスの濃度を測定することを原理としている。
2−X + 2CH364SO3Ag → Ag2−X + 2CH364SO3
……(1)
光電光度法では、ある一定の波長の光を透過させ、その透過光を基準となる物質と比較することにより測定する。そのため、光電光度法を用いた測定では、電源が必要となり、電源が使用できない危険箇所での測定は困難である。さらに、災害時などバッテリー・電源が使用できない環境下での測定が不可能となるため、電源によらず測定可能である方法が望ましい。また、一定波長の光を発生し透過光を測定するための装置が必要となるため、装置は大きくなりがちであり、設置又は運用するために掛かる費用も増大しがちである。
特開平成06−018510号公報 特開平成06−186166号公報 特開2008−020285号公報 特開2008−139239号公報 特開平成10−239303号公報
検知管による測定では、目視によって濃度を確認するため、簡便に測定することが可能である。しかしながら、上述したように、p−トルエンスルホン酸銀と検知対象物質との反応生成物である銀コロイドの発色は僅かであるため、銀コロイドの発色は目視によって確認することは困難である。そのため、本発明の発明者らは、析出した銀コロイドではなく、残基であるp−トルエンスルホン酸に着目した。
本発明は上記着想に基づいて創作されたものであり、その目的は、水銀化合物を用いず、高感度かつ迅速・簡便に検知対象物質を検知することが可能な検知管を提供することである。
上記課題を解決するために本発明は、検知対象物質を検知するための検知管であって、筒状の検知管本体と、前記検知管本体の内部の検知部の位置に配置された検知剤と、前記検知剤に含有され、前記検知剤をアルカリ性にするアルカリ性のアルカリ試薬と、前記検知剤に含有され、前記検知対象物質と反応しp−トルエンスルホン酸を生成する、p−トルエンスルホン酸銀と、p−トルエンスルホン酸亜鉛と、又はp−トルエンスルホン酸鉄とで構成される群の中から少なくとも一種以上の化合物を選択して成る反応物質と、前記検知剤に含有され、前記p−トルエンスルホン酸の生成によって前記検知部のpH値が減少すると変色する呈色剤を有し、前記検知管は少なくとも一部に透明な透明部を有し、前記検知部は前記透明部の内側に配置され、前記検知剤の色を視認できるようにされた検知管である。
また、本発明は、前記検知剤は複数の担体粒子を有し、各前記担体粒子には、前記反応物質と、前記呈色剤と、前記アルカリ試薬とで構成される薬剤群の中から、少なくとも、前記反応物質がそれぞれ付着された、検知管である。
また、本発明は、前記検知剤は、微細な多孔質粒子を含み、各前記担体粒子表面には、複数の前記微細な多孔質粒子がそれぞれ配置され、
各前記微細な多孔質粒子には、前記薬剤群の中から、少なくとも、前記呈色剤と、前記アルカリ試薬とがそれぞれ付着された、検知管である。
本発明の検知管は、上記のように構成されており、p−トルエンスルホン酸銀と検知対象物質との反応生成物である銀コロイドを呈色剤として用いるのではなく、反応によって遊離したp−トルエンスルホン酸が有する酸性の性質を用い、p−トルエンスルホン酸によるpH変化によって呈色剤を変色させ、銀コロイドによる透過光の変化ではなく、呈色剤の変色を検出できるようにされている。
p−トルエンスルホン酸銀と検知対象物質との反応によって、銀コロイドによる透過光の変化に比べて、格段に検出しやすい反射光の変化がもたらされており、本発明では、検知剤の変色した部分と変色していない部分の境界の位置が、目視により簡単に確認することができるようになっている。
また、検知剤に含有させる薬剤を担体粒子に配置することにより、担体粒子の粒径を適宜選択することによって通気性を持たせるとともに検知部に検知剤を安定に保持することができる。
また、検知剤表面に、薬剤を付着させた複数の微細な多孔質粒子を配置することで、薬剤が付着されている表面の面積が増大するので、担体粒子に直接試薬を付着させたものと比較して、検知対象物質と担体粒子の表面との反応性を向上させると共に、呈色剤の変色した部分と変色していない部分の境界の位置をより鮮明にすることが可能となる。
更に、検知管の検知管本体はガラスで形成され、両端が溶融されて封止されていることができる。この検知管は、検知管本体の内部に配置された検知剤を大気に触れさせない状態で保持することが可能であり、検知剤を長期に渡って安定して保持することができ、検知管の有効期限を長くすることができる。
本発明の検知管は、特定の場所の大気中に含有される検知対象物質の濃度を、水銀化合物を用いずに、短時間でより高感度かつ迅速・簡便に測定することを可能とする。
(a):本発明の検知管の外観を示した正面図 (b):その内部を説明するための截断断面図 (a):第一の副粒子の内部の構造を説明するための截断断面図 (b):第一の主粒子の内部の構造を説明するための截断断面図 (c):検知剤粒子の内部の構造を説明するための截断断面図 :本発明の実施例に係る検知管に対する検知対象物質濃度と変色域長さの関係を示したグラフ :除湿部を設けた場合と設けない場合とでの湿度による検知剤への影響を比較したグラフ :温度による検知管指示値への影響を示したグラフ :湿度による検知管指示値への影響を示したグラフ(0℃、20℃、40℃) :酢酸鉛を用いた従来製品による検知対象物質濃度と変色した部分の長さとの関係を示すグラフ :硫酸銀を用いた従来製品による検知対象物質濃度と変色した部分の長さとの関係を示すグラフ :硫酸パラジウムとモリブデン酸アンモニウムを用いた従来製品による検知対象物質濃度と変色した部分の長さとの関係を示すグラフ :硫酸銅を用いた従来製品による検知対象物質濃度と変色した部分の長さとの関係を示すグラフ :塩化第二水銀を用いた従来製品による検知対象物質濃度と変色した部分の長さとの関係を示すグラフ
以下、本発明の実施の形態の第一例に係る検知管を、硫化水素を検知対象物質として、図面に基づいて説明する。
図1(a)は、本発明の検知管2の外観図であり、同図(b)はそのA−A線截断断面図である。本発明の検知管2は、図1(a)、(b)に示すように、管体10を有しており、管体10の内部には、フィルタ11と、除湿部12と、保護部13と、検知部14と、栓部15とが設けられている。
管体10は、例えばガラス等の透明な部材の管であり、少なくとも検知部14を、長さ方向に観察できるように、一部が透明にされている。ここでは、内径の直径が2.9mm〜3.0mmのガラス管を用いた。
検知管2を保管するときには、管体10の両端は封止され、大気と接触しないようにされており、ここでは、管体10の両端は、ガラスの溶融によって封止されている。
管体10の表面の、検知部14上に位置する部分には、目盛部22が設けられている。目盛部22は、管体10が伸びる方向に沿って、所定規則に従った間隔を開けて、目視可能な印(しるし)が付されており、後述するように、検知部14が変色するときに、変色しない部分と変色した部分との間の境界の位置を、境界に隣接する印によって特定して、変色した部分の長さや、長さから求められる濃度等が分かるようになっている。
管体10は、両端の封止を解除されると、入口側から出口側に向けて試料ガスを流せるようになっており、管体10の内部には、入口側から出口側に向けて、フィルタ11と、除湿部12と、保護部13と、検知部14と、栓部15とが、この順序で配置されている。
検知管2を使用する際には、先ず、管体10の両端の封止を解除する。ここでは、管体10の両端を切り欠いて検知管2の内部を両端で開放することで封止を解除する。
フィルタ11は、繊維質であり、栓部15は、ポリエチレン焼結体であり、いずれも検知するガスである検知対象物質が反応せず、気体が透過可能であり、フィルタ11と栓部15によって、除湿部12内と検知部14内とに配置された後述する吸湿性物質及び検知剤が落下しないようにされている。
両端の封止を解除した後、管体10の出口側を吸引装置に取り付け、入口側を試料ガス中に挿入する。例えば、測定したい雰囲気中から一部取り出された試料ガスが、袋状の容器に収められており、検知管2の入口側の先端は、その容器内に挿入する。ここでは、吸引装置には、真空法ガス採取器を用いた。
除湿部12と、保護部13と、検知部14とも検知対象物質が反応せず、通気性を有しており、その状態で、吸引装置を動作させ、出口側の圧力を低下させると、試料ガスが管体10の入口側から管体10の内部に吸引される。吸引された試料ガスは、フィルタ11を通過して、先ず、除湿部12に到達する。
除湿部12は、試料ガス中の水分と反応し、又は、水分を吸着して、試料ガス中から水分を除去する吸湿性物質を有しており、その吸湿性物質は、本検知管2の検知対象の検知対象物質とは反応も吸着もしない粉体又は繊維状の物質である。
除湿部12は、管体10の一定範囲に、その吸湿性物質が充填された部分である。ここでは、除湿部12の充填長さは15mmとした。
本発明の検知管の検知対象物質は、p−トルエンスルホン酸銀と反応してp−トルエンスルホン酸を遊離する化合物であり、具体的には、硫化水素、ホスフィン、シアン化水素、ジボラン等の化合物、及び、その化合物で置換基を有する化合物である。この検知管2が検知する検知対象物質は硫化水素であり、吸湿性物質は、硫化水素と反応しない臭化リチウムが用いられている。
除湿部12よりも下流側には、保護部13を介して検知部14が配置されている。
保護部13は、無機材料で構成されており、ここでは、管体10の内径よりも小さい粒状のガラスが充填されている。ここでは、充填長さは7mmとした。
ここでは、平均粒径150μm〜250μmのガラス粒が充填されており、検知部14の上流域に保護部13を設けることにより、検知部14を安定に保持し、後述する目盛部22による濃度測定が正確にできるようにされている。
少なくとも検知部14を取り囲む部分の管体10は、内径が一定値にされ、その表面に目盛部22が設けられており、その内径が一定値の部分には、複数の粒子状の検知剤が均一な密度で充填されて検知部14が構成されている。ここでは、検知部14の充填長さは65mmとした。
検知剤の一粒子は、図2(c)に示すように、担体粒子36と、各担体粒子36に配置された薬剤とを有している。薬剤には、p−トルエンスルホン酸銀と、アルカリ試薬と、呈色剤とが含有されており、検知剤の粒子が、管体10の内部に充填されると、検知剤の粒子間に隙間が形成されて、検知部14の通気性が発現される。ここでは、担体粒子36は、平均粒径250μm〜350μmである。
担体粒子36に、p−トルエンスルホン酸銀と、アルカリ試薬と、呈色剤とを配置する配置工程については、後述する。
吸引された試料ガスは、除湿部12を通過する際に除湿され、保護部13を通過して、検知部14に到達する。
p−トルエンスルホン酸銀(2CH364SO3Ag)は、試料ガス中の検知対象物質と接触して下記反応式(2)のように、検知対象物質H2−Xと反応し、p−トルエンスルホン酸を遊離させる。このとき、反応生成物である銀塩も発生する。
2−X + 2CH364SO3Ag → Ag2−X + 2CH364SO3H ……(2)
なお、p−トルエンスルホン酸銀の構造式を以下に示す。
Figure 0006018481
呈色剤は、酸性領域に、一定のpH範囲である変色領域を有し、呈色剤が接触する雰囲気のpHが変色領域よりアルカリ性側にあるときの色と、pHが変色領域内に移動したときの色とは異なっており、変色を観察できる化合物である。ここではクレゾールレッドが用いられている。クレゾールレッドは、pH0.4からpH2.2に変色領域があり、pH0.4からpH2.2の変色領域においては赤色を呈し、pH2.2以上のアルカリ性側領域では黄色を呈する。
アルカリ試薬は、検知剤のpHを、呈色剤の変色領域よりもアルカリ側に位置させる化合物である。ここではアルカリ試薬として水酸化ナトリウムを用いた。
試料ガスが保護部13を通過して検知部14内の検知剤に接触すると、検知部14の内部に配置されたp−トルエンスルホン酸銀が試料ガス中の硫化水素と反応し、p−トルエンスルホン酸を発生させる。
発生したp−トルエンスルホン酸は、その周囲に位置するアルカリ試薬と反応し、検知剤の表面のpHを、アルカリ側から酸性方向に移動させる。検知剤の表面のpHが呈色剤の変色領域内に入ると、呈色剤の色は変化し、検知剤の色が変化する。
試料ガス中の検知対象物質とp−トルエンスルホン酸銀との反応によって、p−トルエンスルホン酸銀は消費されるから、変色が生じた後更に試料ガスが吸引されると、呈色剤の変色が生じる位置は、出口方向に移動する。
検知部14のうち、変色した部分の長さと、入口側から検知部14内に導入された検知対象物質の量との間には、一定の関係があり、その関係は、予め実験によって求められている。
従って、変色した部分の長さを測定すると、反応した検知対象物質の量が分かり、吸引した試料ガスの量が分かれば、試料ガスに含有される検知対象物質の濃度が分かる。
この検知管2では、吸引する試料ガスの量は予め決められており、吸引装置がその量の試料ガスを吸引すると、吸引を停止する。
吸引装置が一定量の試料ガスを吸引するので、試料ガス中に含まれる検知対象物質の濃度は、変色した部分の長さから求めることができる。目盛部22中の所定位置の印の近くには、その印に変色の境界が位置するときの検知対象物質の濃度の数値が設けられている。
従って、一定量の試料ガスが吸引された後、目盛部22を観察することで、変色した部分と変色していない部分との間の境界の位置と印との相対位置が観察でき、検知対象物質の濃度を求めて、測定作業を終了する。
[検知剤粒子の製造方法]
以下、本発明の実施例に係る検知管に用いる検知剤粒子30の製造方法について、図面に基づいて詳細に説明する。図2(c)は、検知剤粒子30の内部の構造を説明するための截断断面図である。
図2(c)に示すように、検知剤粒子30は、第二の主粒子32’の粒子表面に、第二の副粒子31’が配置されている。
これらの構成について説明するために、まず、第一の副粒子31と、第一の主粒子32の製造方法とその構成について説明する。
微細な多孔質粒子34の水分散液であり、アルカリ試薬が添加された、アルカリ性の親水性コロイダルシリカゾル(pH9.5〜pH10.0)に、呈色剤を添加し、攪拌、混合し、微細な多孔質粒子34の表面に、アルカリ試薬と呈色剤とを付着させる。図2(a)の第一の副粒子31を得た。同図の符号33は微細な多孔質粒子34の表面に付着したアルカリ試薬と呈色剤とから成る付着物(第一の副付着物)である。第一の副粒子31は、後述する工程により、第二の副粒子31’に変換される。ここでは、微細な多孔質粒子34は、粒子径10nm〜20nmのシリカ微粒子である。
それとは別に、p−トルエンスルホン酸銀を水溶液にした後、担体粒子36と混合し、図2(b)の第一の主粒子32を得た。同図(b)の符号35は、担体粒子36の表面に付着したp−トルエンスルホン酸銀を有する付着物(第一の主付着物)である。第一の主粒子32は、後述する工程により、第二の主粒子32’に変換される。担体粒子36には平均粒径250μm〜350μmのケイ砂を用いた。
第一の副粒子31の水分散液と、第一の主粒子32の水分散液とを混合すると、水を媒体として、アルカリ試薬と、呈色剤と、p−トルエンスルホン酸銀とが混合され、また担体粒子36に、微細な多孔質粒子34が付着し、さらに担体粒子36の表面と、微細な多孔質粒子34の表面に、アルカリ試薬と、呈色剤と、p−トルエンスルホン酸銀からなる第二の主付着物35’及び第二の副付着物33’が形成される。これを乾燥させることにより、図2(c)の検知剤粒子30を得た。
アルカリ試薬が添加された親水性コロイダルシリカゾルの添加量は、担体100gあたり0.12mL〜0.13mLが好ましく、クレゾールレッドの添加量は担体100gあたり1.2〜1.8mgの添加量が好ましい。また、例えば0.1ppmの硫化水素ガスを検知対象の最少濃度とした場合、p−トルエンスルホン酸銀の添加量は担体100gあたり2.4mgの添加量が最適である。
担体粒子36にケイ砂を用いることにより通気性を確保し、反応物質であるp−トルエンスルホン酸銀と、アルカリ試薬と呈色剤とを安定に保持することが可能となる。
また、担体粒子36に微細な多孔質粒子34を付着させることにより、検知剤粒子30の表面積を広くし、硫化水素と単体表面の反応性を向上させている。
また、反応物質としてp−トルエンスルホン酸銀を用いることにより、無機塩を用いた場合と比較して、微量の検知対象物質に対し安定した反応を得ることができる。p−トルエンスルホン酸銀の添加量は本発明に係る検知管の感度に大きく影響するため、検知対象となる試料ガスに含まれる検知対象物質の濃度、種類又は量に応じて適宜添加量を定める必要がある。
なお、ここではアルカリ試薬として水酸化ナトリウムを添加した親水性コロイダルシリカゾルを用いたが、アルカリ試薬には水酸化ナトリウムに替えて水酸化カリウムを用いても良い。また、アルカリ試薬としてアンモニアを用いると、検知剤が検知対象物質と反応した際に、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いた場合と比べて、変色の状態が異なることが分かっている。なお、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いた場合の方が、より鮮明に変色するため、変色した部分の確認がし易い。
また、ここでは呈色剤としてクレゾールレッドを用いたが、上述したように酸性領域に、一定のpH範囲である変色領域を有し、呈色剤が接触する雰囲気のpHが変色領域内にあるときよりも、アルカリ性側にあるときの色と、pHがアルカリ性側から、変色領域内に移動したときの色とは異なっており、変色を観察できる化合物であれば良く、他のpH指示薬を呈色剤として用いることも可能である。
また、反応物質として、ここではp−トルエンスルホン酸銀を用いたが、p−トルエンスルホン酸銀ではなく、p−トルエンスルホン酸亜鉛又はp−トルエンスルホン酸鉄であっても良いと予想される。即ち、p−トルエンスルホン酸銀と、p−トルエンスルホン酸亜鉛と、又はp−トルエンスルホン酸鉄とで構成される群の中から少なくとも一種以上の化合物を選択して成る反応物質を用いることが可能であると予想される。
また、吸湿性物質は、検知を目的とする検知対象物質と反応も吸着もしない物質であれば良く、臭化リチウム以外の物質でも代用可能である。
また、第一例の検知管2に用いた検知剤粒子30は、微細な多孔質粒子34を含有していたが、検知剤粒子30に替えて、微細な多孔質粒子34を含有せず、担体粒子36と、各担体粒子36に配置された、アルカリ試薬と、呈色剤と、p−トルエンスルホン酸銀とを含有する薬剤とを有する検知剤粒子を用いて、第二例の検知管を作成しても良い。
第二例の検知管を用いると、検知剤が検知対象物質と反応した際に変色した。変色した部分と変色していない部分との境界は、認識することができた。
但し、第二例の検知管よりも、第一例の検知管2は、より変色部分の発色性が良く、変色した部分と変色していない部分との境界の認識がし易い。なお、第二例の検知管に用いた検知剤は、第一例で用いたアルカリ試薬が添加された親水性コロイダルシリカゾルに替えて、親水性コロイダルシリカゾルが添加されていない、同じpHのアルカリ試薬の水溶液を用いて製造した。
[変色の確認実験]
図1に示す検知管2に対して、一定濃度の硫化水素ガスを含む標準ガスを入口側から出口側に一定量通気させ、検知部14の色彩の変化を観察した。検知部14に充填された検知剤は、標準ガスを通気する前では薄い黄色であり、通気後は入口側の一定領域が桃色に変化した。通気前と通気後の色彩の変化は肉眼で容易に観察することができ、変色した部分と変色していない部分との間の境界の位置を鮮明に確認することができた。
また、図1に示す検知管2に対して、検知部14に充填する検知剤を、担体粒子にアルカリ試薬と呈色剤を付着させずにp−トルエンスルホン酸銀のみを付着させたものに変更した比較対照用検知管を作成した。この比較対照用検知管に、一定量、一定濃度の標準ガスを通気させ、p−トルエンスルホン酸銀に硫化水素を反応させた。標準ガスを通気した後、担体粒子にp−トルエンスルホン酸銀を付着させた比較対象用検知管は、極めて薄い茶色に呈色したが、通気前と通気後との色彩の変化はごく僅かであり、肉眼で観察することは非常に困難であった。そのため、変色した部分と変色していない部分との間の境界の位置を確認することはできなかった。
[除湿剤の効果]
図4は、図1に示す検知管2に対して、除湿部12を設けた場合と、除湿部12を設けない場合とで、湿度変化による変色した部分の長さへの影響を示したグラフである。除湿部12を設けることにより、相対湿度0%RH〜90%RHの範囲において安定に測定することが可能となる。
[検量線]
〈測定条件〉
検知管には、図1に示す検知管2を用いた。また、測定環境条件は、25℃、50%RHとした。
〈試料〉
パーミエーションチューブ法により種々の硫化水素濃度に較正した硫化水素ガスを標準ガスとして用いた。パーミエーションチューブ法は標準ガスを較正する方法のひとつであり、一定温度下においては一定量の液化ガスがパーミエーションチューブの管壁を浸透拡散する性質を用いて、一定濃度の較正ガスを得る方法である。パーミエーションチューブの重量減少量及び希釈ガス量の基礎的物理量により濃度決定するため、信頼性が高く、安定した濃度の較正ガスを得られることが知られている。
〈検知操作〉
両端を切り欠いた図1に示す検知管2の出口側をガス採取器に取り付け、入口側を標準ガス容器内に挿入する。ガス採取器を用いて50mL及び100mLの標準ガスを吸い込み、変色した部分の長さを測定する。
〈結果〉
硫化水素濃度と変色した部分の長さの関係を示す検量線を図3に示す。
通気量100mLでは、標準ガス中の硫化水素濃度が0.1ppm〜3.0ppm の範囲で精度の良い検知が可能であることが確認された。また、通気量50mLでは0.2ppm〜6.0ppmまで検知可能であることが確認された。100mL通気時の測定時間は1分間と短時間であった。
[温度の影響]
図1と同じ構造で異なる検知管を用いて、温度特性を調べた。測定環境の温度条件を0℃、20℃及び40℃にし、一定量、一定濃度の標準ガスを流した際の変色した部分の長さを測定、比較した。湿度は50%RHと一定にした。
図5は温度の影響を表したグラフである。図5より、低温ほど変色長さが長くなり、高温ほど変色長さが短くなる傾向が見られた。使用環境の温度に応じて目盛から読み取った濃度を示す値を適宜補正することにより、精度の良い測定を行うことが可能である。
[湿度の影響]
同様に、図1と同じ構造で異なる検知管2を用いて、湿度特性を調べた。0℃、20℃及び40℃の、それぞれの温度条件下において、湿度条件を0%RH、50%RH、95%RHにし、一定量、一定濃度(2.45ppm及び0.21ppm)の標準ガスを流した際の目盛から読み取った濃度を示す値を比較した。なお、20℃の温度条件下において測定した値を基準とし、0℃及び40℃で測定した値は温度と変色した部分の長さとの関係から予め定めた方法によって補正して用いた。
図6は指示値に及ぼす湿度の影響を表したグラフである。各温度において、0〜90%RHの範囲内で安定した測定を行えることがわかった。本発明による検知管は、広範囲の湿度で使用可能である。
2……検知管
10……管体
11……フィルタ
12……除湿部
13……保護部
14……検知部
15……栓部
22……目盛部
30……検知剤粒子
31……第一の副粒子
32……第一の主粒子
31’……第二の副粒子
32’……第二の主粒子
33……第一の副付着物
33’……第二の副付着物
34……微細な多孔質粒子
35……第一の主付着物
35’……第二の主付着物
36……担体粒子

Claims (3)

  1. 検知対象物質を検知するための検知管であって、
    筒状の検知管本体と、
    前記検知管本体の内部の検知部の位置に配置された検知剤と、
    前記検知剤に含有され、前記検知剤をアルカリ性にするアルカリ性のアルカリ試薬と、
    前記検知剤に含有され、前記検知対象物質と反応しp−トルエンスルホン酸を生成する、p−トルエンスルホン酸銀と、p−トルエンスルホン酸亜鉛と、又はp−トルエンスルホン酸鉄とで構成される群の中から少なくとも一種以上の化合物を選択して成る反応物質と、
    前記検知剤に含有され、前記p−トルエンスルホン酸の生成によって前記検知部のpH値が減少すると変色する呈色剤を有し、
    前記検知管は少なくとも一部に透明な透明部を有し、
    前記検知部は前記透明部の内側に配置され、前記検知剤の色を視認できるようにされた検知管。
  2. 前記検知剤は複数の担体粒子を有し、
    各前記担体粒子には、前記反応物質と、前記呈色剤と、前記アルカリ試薬とで構成される薬剤群の中から、少なくとも、前記反応物質がそれぞれ付着された、請求項1記載の検知管。
  3. 前記検知剤は、微細な多孔質粒子を含み、
    各前記担体粒子表面には、複数の前記微細な多孔質粒子がそれぞれ配置され、
    各前記微細な多孔質粒子には、前記薬剤群の中から、少なくとも、前記呈色剤と、前記アルカリ試薬とがそれぞれ付着された、請求項2記載の検知管。
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