JP6018481B2 - 検知管 - Google Patents
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Description
このような事情から、反応剤として水銀化合物の替わりに酢酸鉛、硫酸銀、硫酸パラジウムとモリブデン酸アンモニウム、硫酸銅等の無機塩を用いたガス検出器が検討されてきた。
H2−X + 2CH3C6H4SO3Ag → Ag2−X + 2CH3C6H4SO3H
……(1)
本発明は上記着想に基づいて創作されたものであり、その目的は、水銀化合物を用いず、高感度かつ迅速・簡便に検知対象物質を検知することが可能な検知管を提供することである。
また、本発明は、前記検知剤は複数の担体粒子を有し、各前記担体粒子には、前記反応物質と、前記呈色剤と、前記アルカリ試薬とで構成される薬剤群の中から、少なくとも、前記反応物質がそれぞれ付着された、検知管である。
また、本発明は、前記検知剤は、微細な多孔質粒子を含み、各前記担体粒子表面には、複数の前記微細な多孔質粒子がそれぞれ配置され、
各前記微細な多孔質粒子には、前記薬剤群の中から、少なくとも、前記呈色剤と、前記アルカリ試薬とがそれぞれ付着された、検知管である。
p−トルエンスルホン酸銀と検知対象物質との反応によって、銀コロイドによる透過光の変化に比べて、格段に検出しやすい反射光の変化がもたらされており、本発明では、検知剤の変色した部分と変色していない部分の境界の位置が、目視により簡単に確認することができるようになっている。
また、検知剤に含有させる薬剤を担体粒子に配置することにより、担体粒子の粒径を適宜選択することによって通気性を持たせるとともに検知部に検知剤を安定に保持することができる。
また、検知剤表面に、薬剤を付着させた複数の微細な多孔質粒子を配置することで、薬剤が付着されている表面の面積が増大するので、担体粒子に直接試薬を付着させたものと比較して、検知対象物質と担体粒子の表面との反応性を向上させると共に、呈色剤の変色した部分と変色していない部分の境界の位置をより鮮明にすることが可能となる。
更に、検知管の検知管本体はガラスで形成され、両端が溶融されて封止されていることができる。この検知管は、検知管本体の内部に配置された検知剤を大気に触れさせない状態で保持することが可能であり、検知剤を長期に渡って安定して保持することができ、検知管の有効期限を長くすることができる。
検知管2を保管するときには、管体10の両端は封止され、大気と接触しないようにされており、ここでは、管体10の両端は、ガラスの溶融によって封止されている。
検知管2を使用する際には、先ず、管体10の両端の封止を解除する。ここでは、管体10の両端を切り欠いて検知管2の内部を両端で開放することで封止を解除する。
除湿部12は、管体10の一定範囲に、その吸湿性物質が充填された部分である。ここでは、除湿部12の充填長さは15mmとした。
保護部13は、無機材料で構成されており、ここでは、管体10の内径よりも小さい粒状のガラスが充填されている。ここでは、充填長さは7mmとした。
担体粒子36に、p−トルエンスルホン酸銀と、アルカリ試薬と、呈色剤とを配置する配置工程については、後述する。
p−トルエンスルホン酸銀(2CH3C6H4SO3Ag)は、試料ガス中の検知対象物質と接触して下記反応式(2)のように、検知対象物質H2−Xと反応し、p−トルエンスルホン酸を遊離させる。このとき、反応生成物である銀塩も発生する。
なお、p−トルエンスルホン酸銀の構造式を以下に示す。
アルカリ試薬は、検知剤のpHを、呈色剤の変色領域よりもアルカリ側に位置させる化合物である。ここではアルカリ試薬として水酸化ナトリウムを用いた。
発生したp−トルエンスルホン酸は、その周囲に位置するアルカリ試薬と反応し、検知剤の表面のpHを、アルカリ側から酸性方向に移動させる。検知剤の表面のpHが呈色剤の変色領域内に入ると、呈色剤の色は変化し、検知剤の色が変化する。
従って、変色した部分の長さを測定すると、反応した検知対象物質の量が分かり、吸引した試料ガスの量が分かれば、試料ガスに含有される検知対象物質の濃度が分かる。
吸引装置が一定量の試料ガスを吸引するので、試料ガス中に含まれる検知対象物質の濃度は、変色した部分の長さから求めることができる。目盛部22中の所定位置の印の近くには、その印に変色の境界が位置するときの検知対象物質の濃度の数値が設けられている。
従って、一定量の試料ガスが吸引された後、目盛部22を観察することで、変色した部分と変色していない部分との間の境界の位置と印との相対位置が観察でき、検知対象物質の濃度を求めて、測定作業を終了する。
以下、本発明の実施例に係る検知管に用いる検知剤粒子30の製造方法について、図面に基づいて詳細に説明する。図2(c)は、検知剤粒子30の内部の構造を説明するための截断断面図である。
これらの構成について説明するために、まず、第一の副粒子31と、第一の主粒子32の製造方法とその構成について説明する。
また、担体粒子36に微細な多孔質粒子34を付着させることにより、検知剤粒子30の表面積を広くし、硫化水素と単体表面の反応性を向上させている。
また、吸湿性物質は、検知を目的とする検知対象物質と反応も吸着もしない物質であれば良く、臭化リチウム以外の物質でも代用可能である。
但し、第二例の検知管よりも、第一例の検知管2は、より変色部分の発色性が良く、変色した部分と変色していない部分との境界の認識がし易い。なお、第二例の検知管に用いた検知剤は、第一例で用いたアルカリ試薬が添加された親水性コロイダルシリカゾルに替えて、親水性コロイダルシリカゾルが添加されていない、同じpHのアルカリ試薬の水溶液を用いて製造した。
図1に示す検知管2に対して、一定濃度の硫化水素ガスを含む標準ガスを入口側から出口側に一定量通気させ、検知部14の色彩の変化を観察した。検知部14に充填された検知剤は、標準ガスを通気する前では薄い黄色であり、通気後は入口側の一定領域が桃色に変化した。通気前と通気後の色彩の変化は肉眼で容易に観察することができ、変色した部分と変色していない部分との間の境界の位置を鮮明に確認することができた。
図4は、図1に示す検知管2に対して、除湿部12を設けた場合と、除湿部12を設けない場合とで、湿度変化による変色した部分の長さへの影響を示したグラフである。除湿部12を設けることにより、相対湿度0%RH〜90%RHの範囲において安定に測定することが可能となる。
〈測定条件〉
検知管には、図1に示す検知管2を用いた。また、測定環境条件は、25℃、50%RHとした。
〈試料〉
パーミエーションチューブ法により種々の硫化水素濃度に較正した硫化水素ガスを標準ガスとして用いた。パーミエーションチューブ法は標準ガスを較正する方法のひとつであり、一定温度下においては一定量の液化ガスがパーミエーションチューブの管壁を浸透拡散する性質を用いて、一定濃度の較正ガスを得る方法である。パーミエーションチューブの重量減少量及び希釈ガス量の基礎的物理量により濃度決定するため、信頼性が高く、安定した濃度の較正ガスを得られることが知られている。
〈検知操作〉
両端を切り欠いた図1に示す検知管2の出口側をガス採取器に取り付け、入口側を標準ガス容器内に挿入する。ガス採取器を用いて50mL及び100mLの標準ガスを吸い込み、変色した部分の長さを測定する。
〈結果〉
硫化水素濃度と変色した部分の長さの関係を示す検量線を図3に示す。
通気量100mLでは、標準ガス中の硫化水素濃度が0.1ppm〜3.0ppm の範囲で精度の良い検知が可能であることが確認された。また、通気量50mLでは0.2ppm〜6.0ppmまで検知可能であることが確認された。100mL通気時の測定時間は1分間と短時間であった。
図1と同じ構造で異なる検知管を用いて、温度特性を調べた。測定環境の温度条件を0℃、20℃及び40℃にし、一定量、一定濃度の標準ガスを流した際の変色した部分の長さを測定、比較した。湿度は50%RHと一定にした。
図5は温度の影響を表したグラフである。図5より、低温ほど変色長さが長くなり、高温ほど変色長さが短くなる傾向が見られた。使用環境の温度に応じて目盛から読み取った濃度を示す値を適宜補正することにより、精度の良い測定を行うことが可能である。
同様に、図1と同じ構造で異なる検知管2を用いて、湿度特性を調べた。0℃、20℃及び40℃の、それぞれの温度条件下において、湿度条件を0%RH、50%RH、95%RHにし、一定量、一定濃度(2.45ppm及び0.21ppm)の標準ガスを流した際の目盛から読み取った濃度を示す値を比較した。なお、20℃の温度条件下において測定した値を基準とし、0℃及び40℃で測定した値は温度と変色した部分の長さとの関係から予め定めた方法によって補正して用いた。
図6は指示値に及ぼす湿度の影響を表したグラフである。各温度において、0〜90%RHの範囲内で安定した測定を行えることがわかった。本発明による検知管は、広範囲の湿度で使用可能である。
10……管体
11……フィルタ
12……除湿部
13……保護部
14……検知部
15……栓部
22……目盛部
30……検知剤粒子
31……第一の副粒子
32……第一の主粒子
31’……第二の副粒子
32’……第二の主粒子
33……第一の副付着物
33’……第二の副付着物
34……微細な多孔質粒子
35……第一の主付着物
35’……第二の主付着物
36……担体粒子
Claims (3)
- 検知対象物質を検知するための検知管であって、
筒状の検知管本体と、
前記検知管本体の内部の検知部の位置に配置された検知剤と、
前記検知剤に含有され、前記検知剤をアルカリ性にするアルカリ性のアルカリ試薬と、
前記検知剤に含有され、前記検知対象物質と反応しp−トルエンスルホン酸を生成する、p−トルエンスルホン酸銀と、p−トルエンスルホン酸亜鉛と、又はp−トルエンスルホン酸鉄とで構成される群の中から少なくとも一種以上の化合物を選択して成る反応物質と、
前記検知剤に含有され、前記p−トルエンスルホン酸の生成によって前記検知部のpH値が減少すると変色する呈色剤を有し、
前記検知管は少なくとも一部に透明な透明部を有し、
前記検知部は前記透明部の内側に配置され、前記検知剤の色を視認できるようにされた検知管。 - 前記検知剤は複数の担体粒子を有し、
各前記担体粒子には、前記反応物質と、前記呈色剤と、前記アルカリ試薬とで構成される薬剤群の中から、少なくとも、前記反応物質がそれぞれ付着された、請求項1記載の検知管。 - 前記検知剤は、微細な多孔質粒子を含み、
各前記担体粒子表面には、複数の前記微細な多孔質粒子がそれぞれ配置され、
各前記微細な多孔質粒子には、前記薬剤群の中から、少なくとも、前記呈色剤と、前記アルカリ試薬とがそれぞれ付着された、請求項2記載の検知管。
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