しかしながら、上記従来の特許文献1に記載されたテープ貼付装置では、引き出された粘着テープの先端縁を貼付ローラ40の外周面上に真空吸着によって保持するようにしているので、粘着テープがテープの先端縁の吸着態様に応じて位置ずれを生じやすくなり、その結果、粘着テープの貼付位置や貼付方向の精度を高めることが難しいという問題がある。特に、真空吸着力を弱めると粘着テープの保持力が不足して外力による位置ずれを生じやすくなり、逆に真空吸着力を強めすぎると粘着テープの吸引時において吸引力の作用のばらつきが大きくなるために保持位置のずれが生じやすくなる。また、広幅の粘着テープを使用する場合や、粘着テープのベース基材が伸展性に富むものである場合にはテープのよれや伸びにより、真空吸着力による貼付ローラの外周面上の粘着テープの保持姿勢や保持位置がさらにずれやすくなるため、貼付精度に問題が生ずる。このような問題は、上記特許文献2〜4に記載されている装置においても、真空吸着力を用いている点で同様に存在する。
一方、上記従来のテープ貼付装置では、いずれも、貼付ローラ以外に、テープカット時に用いる押えローラ、当初の貼付開始時に用いる初期接着棒、テープ吸着筒、サクションヘッド等といった、テープ先端部を保持したり一時的に被貼付物に押し付けたりするための特殊な機構が必要であり、この機構によりテープ貼付ユニットの構造が複雑になるという問題点がある。さらに、上述のような特殊な機構による貼付方法では、貼付手法の寸法的な制約から粘着テープの最小の貼付長さを短くすることが難しいといった問題点もある。
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、テープの材質や寸法に起因する物理的性質の相違(可撓性、弾性、伸展性や厚み、幅などの相違)による貼付精度の低下を抑制するとともに、テープ貼付機構を簡易に構成でき、しかも最小の貼付長さを短くすることができるテープ貼付装置を提供することにある。
斯かる実情に鑑み、本発明のテープ貼付ユニット(20)は、粘着テープ(T)を案内するテープ案内部(22,23,24)と、前記テープ案内部(22,23,24)から供給される前記粘着テープ(T)を保持位置(PP)で位置決め保持するテープ保持状態と前記粘着テープ(T)を移動可能に案内するテープ解放状態とが切替可能となるように構成されるとともに、テープ引出元の側の後退位置(P1)とテープ引出先の側の前進位置(P2)との間をテープ引出方向(PD)に沿って移動可能に構成されたテープ保持部(25)と、該テープ保持部(25)のテープ引出先の側において前記粘着テープ(T)の貼着対象である被貼付物(18)の被貼付面(18a)に対して進退可能に設けられたテープ貼付ローラ(28a)を備え、該テープ貼付ローラ(28a)を前記被貼付面(18a)へ進出させることにより、前記前進位置(P2)に配置された前記テープ保持部(25)からテープ引出先の側に突出し拘束されない自由端を有するテープ先端部(Ta)を貼付位置(TP)で前記被貼付面(18a)に貼付可能に構成されたテープ貼付機構(28)と、前記後退位置(P1)に配置された前記テープ保持部(25)による前記保持位置(PP)と前記テープ貼付ローラ(28a)による前記貼付位置(TP)との間の切断位置(CP)で前記粘着テープ(T)を切断可能に構成されたテープ切断手段(29)と、前記テープ保持部(25)、前記テープ貼付機構(28)及び前記テープ切断手段(29)を制御することにより、前記テープ先端部(Ta)をテープ引出先の側に突出させた態様の前記テープ保持状態の前記テープ保持部(25)を前記前進位置(P2)に配置し、前記テープ貼付ローラ(28a)を進出させて前記テープ先端部(Ta)を前記被貼付面(18a)に貼着するテープ貼付開始動作と、前記テープ保持部(25)を前記テープ解放状態として前記後退位置(P1)に配置し、前記被貼付面(18a)に沿った前記テープ貼付ローラ(28a)の相対移動により前記粘着テープ(T)を引き出しながら前記被貼付面(18a)に貼着可能な態様としたテープ貼付動作態様と、前記後退位置(P1)に配置された前記テープ保持部(25)を前記テープ保持状態とし、前記テープ切断手段(29)により前記粘着テープ(T)を切断して前記保持位置(PP)と前記切断位置(CP)の間の部分を前記テープ先端部(Ta)とするとともに、前記切断位置(CP)と前記貼付位置(TP)の間の部分をテープ端末部とするテープ切断動作と、前記被貼付面(18a)に沿った前記テープ貼付ローラ(28a)の相対移動により前記テープ端末部を前記被貼付面(18a)に貼付可能な態様としたテープ端末貼付態様と、を順次に実現する制御手段(31)と、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、テープ貼付開始動作において、上述のように拘束されない自由端を有するテープ先端部(Ta)をそのままテープ貼付ローラ(28a)により被貼付面(18a)に押し付けて貼り付けるようにしたので、テープ先端部(Ta)の先端縁を拘束する別部材を用いる必要がなくなることから、テープ貼付機構の簡易化を図ることができる。また、テープ貼付開始動作においてテープ保持部(25)が前進位置(P2)に配置されることにより、テープ保持部(25)とテープ貼付ローラ(28a)のテープ引出方向(PD)の間隔を小さくすることができるため、テープ先端部(Ta)の長さ(La)を短くすることができる。このテープ先端部(Ta)の長さ(La)の短縮は、粘着テープ(T)の先端縁の貼着位置の高精度化や再現性の向上をもたらす。これは、粘着テープ(T)の貼付開始動作に際しては、テープ先端部(Ta)の長さ(La)が短いと、テープ先端部(Ta)の垂れ下がり量や先端縁の位置のばらつきが少なくなるので、テープ貼付ローラ(28a)による貼付開始動作を確実かつ正確に行うことができるためである。特に、テープ材質に起因する上記のばらつきも低減できる上で効果的である。さらに、テープ貼付開始動作においてテープ保持部(25)がテープ保持状態にあることにより、テープ先端部(Ta)がテープ引出元の側に移動しにくいため、テープ貼付開始動作を確実に行うことができる。一方、テープ貼付動作態様では、テープ解放状態のテープ保持部(25)がテープ貼付ローラ(28a)から離れた後退位置(P1)に配置されることにより、テープ保持部(25)から貼付位置(TP)に至るテープの架設経路の屈折度を軽減することができるため、テープ貼付動作時におけるテープ引出抵抗を低減することができ、貼付前の粘着テープ(T)が受けるテンションの軽減と変動の抑制を図ることができる。また、テープ材質による貼付状態のばらつきを軽減することもできる。
本発明において、前記テープ貼付機構(28)は、前記テープ貼付ローラ(28a)を、前記被貼付面(18a)に接近するほど前記テープ保持部(25)の側に斜めに向かう傾斜方向に進退可能とするように構成されることが好ましい。これによれば、テープ貼付開始動作において、テープ貼付ローラ(28a)を被貼付面(18a)に向けて上記のように傾斜方向に進出させることでテープ先端部(Ta)の先端縁を被貼付面(18a)に貼着するように構成すると、テープ保持部(25)とテープ貼付機構(28)やテープ切断手段(29)との間の物理的な干渉を回避しつつ、テープ貼付ローラ(28a)の被貼付面(18a)上の貼付位置(TP)をテープ保持部(25)に近づけることができるため、テープ貼付開始動作を実施可能に構成しつつ、テープ先端部(Ta)の長さ(La)を短くすることが可能になる。
本発明において、前記テープ保持部(25)は、前記テープ貼付開始動作に際して、前記テープ先端部(Ta)がテープ引出先の前記被貼付面(18a)の側に向けて斜めに突出するように前記粘着テープ(T)を保持していることが好ましい。これにより、テープ保持部(25)からテープ先端部(Ta)が水平に突出している場合に比べると、その垂れ下がり量(下方へ向けた湾曲度)を低減することができ、また、テープ先端部(Ta)が垂直下方へ突出している場合に比べると、その長さ(La)を確保しつつ、被貼付面(18a)への接触を回避することができる。特に、テープ貼付ローラ(28a)が上記傾斜方向に進退可能に構成されている場合には、テープ貼付開始動作において上記の斜めに突出するテープ先端部(Ta)に対してテープ貼付ローラ(28a)が上記傾斜方向に進出して被貼付面(18a)上にテープ先端部(Ta)の先端縁を貼り付けるため、テープ先端部(Ta)の突出方向とテープ貼付ローラ28aの進出する傾斜方向との交差角度が直角に近づくことから、テープ先端部(Ta)がテープ貼付ローラ(28a)から逃げにくくなるので、被貼付面(18a)に対するテープ先端部(Ta)の貼付開始動作を確実かつ正確に行うことが可能になる。なお、テープ貼付開始動作に際して、テープ先端部(Ta)は、テープ貼付ローラ(28a)の被貼付面(18a)上の貼付位置(TP)と一致する貼付開始位置SP、或いは、前記貼付位置(TP)を僅かに越えた貼付開始位置(SP)に達する長さ(La)を備えていればよい。
また、前記テープ切断手段(29)の前記切断位置(CP)は、前記保持位置(PP)よりも前記貼付位置(TP)に近いことが好ましい。これにより、被貼付物(18)の被貼付面(18a)上における粘着テープ(T)の最小貼付長さ(これは、貼付位置(TP)と切断位置(CP)の間のテープ端末部の長さに一致する。)を短くすることができる。
この場合において、前記後退位置(P1)は、前記テープ保持部(25)が前記テープ切断手段(29)による前記切断位置(CP)と干渉しない位置であり、前記前進位置(P2)は、前記テープ保持部(25)が前記テープ切断手段(29)による前記切断位置(CP)と干渉する位置であることが好ましい。このようにすると、テープ保持部(25)が後退位置(P1)にあるときにはテープ切断手段(29)により切断位置(CP)で粘着テープ(T)を切断できるようにテープ保持部(25)との干渉を回避しつつ、テープ先端部(Ta)の先端縁をテープ貼付ローラ(28a)により被貼付面(18a)に貼着するときにはテープ保持部(25)を前進位置(P2)に配置することで、テープ先端部(Ta)の長さ(La)を短くすることができる。
本発明において、前記テープ保持部(25)は、前記テープ案内部(22,23,24)から供給される前記粘着テープ(T)を前記被貼付物(18)の側から粘着面(t1)に当接した状態で支持する、回転自在に軸支されたテープ支持ローラ(25a)と、該テープ支持ローラ(25a)に対して前記被貼付物(18)とは反対側から前記保持位置(PP)において前記テープ支持ローラ(25a)の外周面上の前記粘着テープ(T)に当接して前記テープ支持ローラ(25a)の外周面との間で前記粘着テープ(T)を挟持するテープ保持部材(25b)とを有することが好ましい。
この場合に、前記テープ保持部(25)は、前記テープ先端部(Ta)を前記テープ支持ローラ(25a)の外周面の前記保持位置(PP)における接線方向に突出させた状態で、前記粘着テープ(T)を保持することが好ましい。これによれば、テープ支持ローラ(25a)の外周面の保持位置(PP)における接線方向にテープ先端部(Ta)が突出することにより、粘着テープ(T)が保持位置(PP)において過剰な応力を受けたり屈折したりすることがなくなるため、テープ材質によらずに適切なテープ状態で貼付を行うことが可能になる。
また、前記テープ保持部材(25b)は、前記保持位置(PP)において前記テープ支持ローラ(25a)の外周面上の前記粘着テープ(T)に当接する平坦面(25bx)を有することが望ましい。すなわち、この平坦面(25bx)は、前記粘着テープ(T)を前記保持位置(PP)において前記テープ支持ローラ(25a)の外周面との間で挟持することにより保持する。特に、前記平坦面(25bx)は、前記保持位置(PP)のテープ引出先の側(外周側)に、前記保持位置(PP)の接線方向に延在する面部分を有することが望ましい。このようにすると、保持位置(PP)においてテープ支持ローラ(25a)の外周面とテープ保持部材(25b)の平坦面(25bx)との間に挟持された粘着テープ(T)は、保持位置(PP)におけるテープ支持ローラ25aの外周面の接線方向に延在する面部分によりテープ引出先の側に向けて案内されるため、テープ先端部(Ta)を上記接線方向に向けて突出させることができる。
本発明において、前記テープ保持部材(25b)は、前記テープ支持ローラ(25a)に対して前記被貼付物(18)とは反対側に設けられた回転駆動軸(25d)と、該回転駆動軸(25d)と前記テープ支持ローラの外周面との間に配置される平坦面(25bx)とを備え、該平坦面(25bx)が前記テープ支持ローラ(25a)の外周面との間で前記粘着テープ(T)を挟持するテープ保持状態(ロック状態)と、前記粘着テープ(T)から離反するテープ解放状態(アンロック状態)とをその回動姿勢により切り替え可能に構成された回動ローラ(25b)により構成されることが望ましい。
この場合において、前記テープ保持部材(25b)には、前記平坦面(25bx)の外周側に隣接する外面(25by)上にガイド部材(25g)が取り付けられ、該ガイド部材(25g)は、前記平坦面(25bx)に沿って外周側に突出し、前記テープ先端部(Ta)の反り返りを防止する突出端部(25ga)を備えることが好ましい。
本発明において、前記テープ貼付ユニット(20)は、前記テープ引出方向(PD)が前記被貼付面(18a)に対してテープ引出元の側からテープ引出先の側へ向けて前記被貼付面(18a)に接近する態様で傾斜する姿勢に維持されることが好ましい。これによれば、テープ引出先の側にある、テープ貼付ローラ(28a)の被貼付面(18a)に対する貼付位置(TP)を基準とした場合に、これよりもテープ引出元の側にある、後退位置(P1)におけるテープ保持部(25)から突出したテープ先端部(Ta)の先端縁と対向する位置における被貼付面(18a)の高さ、及び、テープ切断手段(29)の切断位置(CP)に対向する位置における被貼付面(18a)の高さが上記貼付位置(TP)よりも低くなる。したがって、後退位置(P1)にあるテープ保持部(25)から突出するテープ先端部(Ta)の先端縁が被貼付面(18a)に接触することを回避しやすくなるとともに、テープ切断手段(29)のテープ切断刃(29a)の作動ストロークを十分に確保することができるので、確実な切断作用を実現することができる。
本発明に係るテープ貼付方法では、テープ貼付ユニット(20)は以下のように動作する。まず、拘束されない自由端を有するテープ先端部(Ta)をテープ引出先の側に突出させた態様でテープ保持状態にある前記テープ保持部(25)を前記後退位置(P1)から移動させて前記前進位置(P2)に配置し(テープ引出工程)、前記テープ貼付ローラ(28a)を前記被貼付物(18)に向けて進出させることで前記テープ先端部(Ta)を被貼付面(18a)に貼着する(テープ貼付開始工程)。その後、前記テープ保持部(25)をテープ解放状態にして前記後退位置(P1)に戻し、テープ貼付長さがテープ切断動作時における前記切断位置(CP)と前記貼付位置(TP)の間のテープ端末部の長さよりも長い場合には前記テープ貼付ユニット(20)を前記被貼付物(18)に対して前記被貼付面(18a)に沿って相対移動させることでテープ貼付動作を実行し(テープ貼付動作工程)、そうでなければそのまま次の工程に移行する。その後、前記テープ貼付ユニット(20)を前記被貼付物(18)に対して停止させ、前記テープ保持部(25)をテープ保持状態としてから前記テープ切断手段(29)によりテープ切断動作を実施する(テープ切断工程)。最後に、前記テープ貼付ユニット(20)を前記被貼付物(18)に対して前記被貼付面(18a)に沿って相対移動させることで前記テープ端末部を前記被貼付面(18a)に貼着する(テープ端末貼着工程)。
本発明に係るテープ貼付装置(10)は、前記テープ貼付ユニット(20)と、前記被貼付物(18)を支持する支持テーブル(17)と、該支持テーブル(17)と前記テープ貼付ユニット(20)とを相対移動可能に構成する駆動手段(12,13,14,15,16,17)と、を具備する。この駆動手段としては、前記支持テーブル(17)と前記テープ貼付ユニット(20)とを前記支持テーブル(17)の支持面に沿って相対移動可能に駆動する平面駆動手段と、前記支持テーブル(17)と前記テープ貼付ユニット(20)との距離が可変となる方向に相対移動可能に駆動する垂直駆動手段と、前記支持テーブル(17)と前記テープ貼付ユニット(20)との垂直軸回りの相対姿勢が変更可能となるように駆動する軸回転駆動手段と、を具備することが好ましい。
本発明によれば、テープの材質や寸法に起因する物理的性質の相違による貼付精度の低下を抑制するとともに、テープ貼付機構を簡易に構成でき、最小貼付長さを短くすることのできるテープ貼付装置を実現できるという優れた効果を奏し得る。
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。最初に、図14及び図15を参照して、テープ貼付装置の全体構成の概略を説明する。
テープ貼付装置10は、前端部分に操作部11a及び表示部11bを備えた基台11と、この基台11の後部の左右端部に接続されるとともに、それぞれ上方へ向けて立設された支柱部12a,12bと、これらの支柱部12aと12bの間に架設された架橋部13とを有している。そして、架橋部13には、架橋部13に沿って左右方向(X軸方向)に移動可能に構成された可動支持体14が取り付けられている。可動支持体14の前方には支持駆動部15が設けられ、この支持駆動部15から下方に向けて駆動軸15aが伸びている。この駆動軸15aの下端はテープ貼付ユニット20に連結されている。なお、テープ貼付ユニット20には、図示二点鎖線で示すカバーケースが取り付けられる。
上記支持駆動部15は、駆動軸15aを上下方向(Z軸方向)に移動させるとともに、垂直な軸線周り(θ軸方向)に回転させることが可能となるように、図示しないボールねじ機構等を用いて駆動軸15aを上下方向及び回転方向に駆動する。
基台11上には前後方向(Y軸方向)の案内路を備えた支持ガイド16が取り付けられ、この支持ガイド16上には前後方向(Y軸方向)に移動可能に案内された移動テーブル(支持テーブル)17が設置されている。この移動テーブル17上には、必要に応じて、配線基板などの被貼付物18を保持固定するための吸引力による吸着保持手段やクランプなどの機械的固定手段などを設けることができる。
テープ貼付装置10には、テープ貼付ユニット20内の各機構部分の動作態様を制御するとともに、上記可動支持体14の左右方向の移動態様と、上記支持駆動部15の上下方向及び回転方向の駆動態様と、上記移動テーブル17の前後方向の移動態様を制御するための制御手段31が設けられる。この制御手段31は、プログラマブルコントローラやMPU(マイクロプロセッサユニット)などにより構成され、図示例では、基台11の内部に配置される。この制御手段31は、上記テープ貼付ユニット20の後述するテープ貼付機構の各部を、所定の手順で所定の動作や態様が実現されるように制御する。すなわち、後述するテープ貼付開始動作、テープ貼付態様、テープ切断動作、テープ端末貼付態様が順番に実現されるように制御する。また、この制御手段31は、テープ貼付ユニット20を移動テーブル17に対して、左右方向(X軸方向)、前後方向(Y軸方向)、上下方向(Z軸方向)及び回転方向(θ軸方向)についてそれぞれ任意に、或いは、相互に組み合わせて、相対移動させることができるようになっている。また、この制御手段31は、後述するように、テープ貼付ユニット20を上記操作部11aの手動操作によって任意の位置に配置でき、さらに、この位置で所定の追加操作を行うことにより、テープ貼付ユニット20の当該位置に対応するテープ貼付位置(TP)、或いは、これに対応する他の位置、例えば、貼付開始位置(SP)や貼付終了位置(EP)の位置情報を入力し、記憶することができる。そして、この機能により、上記制御手段31は、貼付開始位置(SP)及び貼付終了位置(EP)の位置情報をそれぞれ記憶し、これらの記憶した位置情報に基づいて、貼付開始位置(SP)から貼付終了位置(EP)までの領域に、実際に粘着テープTを被貼付物18に貼り付けることを可能にする。
次に、図1乃至図4を参照して、本発明に係るテープ貼付ユニット20の構造について詳細に説明する。まず、テープ貼付ユニット20には、テープ貼付装置10の上記駆動軸15aに接続されるユニット取付軸20aが設けられ、このユニット取付軸20aは、ブラケット20bを介してユニット支持体21に固定されている。ここで、ユニット支持体21はユニット取付軸20aと平行な垂直姿勢とされた板状体で構成される。このとき、ブラケット20bは、ユニット支持体21の上記垂直姿勢を維持したままで、ユニット取付軸20aとユニット支持体21の間の固定角度を調整可能とする固定構造(例えば長穴とボルトなど)を備えている。すなわち、テープ貼付ユニット20は、ユニット支持体21の板面に沿った垂直面上に設定された既定の方向(例えば、後述するテープ保持部25によるテープ引出方向PD)と、ユニット取付軸20aの軸線20xとの間の角度を調整、設定できるように構成されている。
ユニット支持体21の正面側の上方位置にはテープリール22が取り付けられ、このテープリール22には粘着テープTを巻回してなるテープロールRが装着されている。テープリール22の背面側には、テープリール22の回転軸を軸支する軸受体、当該回転軸に所定の回転抵抗を付与するトルクユニットを含む枢支部23が接続されている。
ユニット支持体21の正面側には、上記テープリール22に装着されたテープローラRから引き出された粘着テープTを案内する複数のガイドローラ24a〜24eが予め設定されたテープ供給経路に沿って設置されている。これらのガイドローラのうち、ガイドローラ24bは、粘着テープTにテンションを付与するように構成されたテンションローラである。ガイドローラ24bはユニット支持体21を貫通して回転可能に軸支された回転軸24baに接続され、この回転軸24baにはユニット支持体21の背面上において加圧棒24bbが取り付けられ、この加圧棒24bbに接続されたコイルばね等の弾性部材24bcによってテンションが付与される。また、最もテープ引出先の側に配置された二つのガイドローラ24d及び24eは、帯板状の共通のローラ支持体24fに搭載されている。ガイドローラ24d及び24eは、後述する位置決め枠24g、24hとともに、テープ保持部25に対する粘着テープTの供給方向を規定する。上記テープリール22、枢支部23、ガイドローラ24a〜24eは粘着テープTを案内するためのテープ案内部22,23,24を構成する。このテープ案内部22,23,24は、粘着テープTを一定のテンションを付加した状況で安定して引き出し可能な状態に維持し、粘着テープTの不均一な伸展状態の生成やたるみの発生を防止する。
上記テープ案内部22,23,24のテープ引出先(図示右側)には、粘着テープTを案内するとともに一時的に粘着テープTを位置決め保持することのできるテープ保持部25が設置されている。このテープ保持部25は、ユニット支持体21の下縁に設けられた切欠状の開口部21aを通して正面側と背面側に亘って配置されている。テープ保持部25は、粘着テープTを下方から支持するテープ支持ローラ25aと、このテープ支持ローラ25aの上方に配置されるテープ保持部材25bと、テープ支持ローラ25aとテープ保持部材25bを共に回転可能に軸支する支持枠体25cとを含む。ここで、テープ支持ローラ25aは支持枠体25cに対して転動自在に軸支され、粘着テープTがテープ支持ローラ25aからの回転抵抗を実質的に受けないように構成されている。テープ支持ローラ25aの外周面は粘着テープTの粘着面t1(図1(b)参照)を支持するため、当該粘着面t1との間の接着力を低下させるための非粘着処理コーティング(例えば、「トシカルSコーティング加工」)を施してある。
また、テープ保持部材25bは、支持枠体25cを背面側に貫通した駆動軸25dに固定されている。この駆動軸25dは、ユニット支持体21の背面上に設置された後述する駆動体26上に搭載されたエアシリンダ等の駆動部27により、駆動レバー25eを介して正逆の回動方向に駆動される。したがって、この駆動部27は、駆動軸25dを介してテープ保持部材25bを所定の角度範囲で正逆両方向に回動できるように構成される。さらに、支持枠体25cは、ユニット支持体21の背面側において図示左右方向に移動可能に案内されたエアスライドテーブル等で構成される上記駆動体26に搭載されることにより、図示左右方向(後述するテープ引出方向PD)に直線的に駆動される。駆動体26の移動範囲は、後述する後退位置P1と前進位置P2によって規定される。
テープ保持部材25bは、図11(a)に示すように、テープ支持ローラ25aの側(下側)に平坦面25bxを有し、上述のように駆動されて図示時計回りに回動したとき、この平坦面25bxの図示右側の外周側部分が粘着テープTの非粘着面t2(図1(b)参照)に当接し、粘着テープTをテープ支持ローラ25aの外周面に押し付けて固定する(テープ保持状態、或いは、ロック状態)。また、テープ保持部材25の平坦面25bx以外の部分に設けられた外周円筒面25byのうち、平坦面25bxの上記外周側部分に隣接する部分には固定ねじ25hなどによりガイド部材25gが取り付けられている。このガイド部材25gは、上記平坦面25bxの外周側部分に沿ってさらに外周へ向けて伸びる延長線に沿った方向に突出する突出端部25gaを備えている。この突出端部25gaは、粘着テープTが上記平坦面25bxとテープ支持ローラ25aの外周円筒面との間に挟まれたとき、そのテープ先端部Taがテープ支持ローラ25aの外周円筒面に対する接線方向に対して上方へ巻き上がることを防止する。このようなテープ先端部Taの上方への巻き上がりは、粘着テープTの伸展性とテープ案内部22,23,24により付与される張力との関係で、当該張力がテープ材質に適した値よりも大きすぎて粘着テープTが伸びすぎている場合に生じやすい。なお、テープ案内部22,23,24により付与される張力はテープ材質に応じて適切な値に調整されることが望ましいが、要求に応じてテープ材質が大きく伸展する程度の大きな張力を付与した状態で貼付することも可能である。
ここで、テープ保持部材25bは、電源OFF時には常にロック状態(粘着テープTを保持固定したテープ保持状態)となり、電源ONで制御信号(保持解除信号)が出力されたときにのみアンロック状態(粘着テープTが解放されたテープ解放状態)となるように上記の駆動部27が構成されている。これは、テープ案内部のテンションローラ24bにより粘着テープTは常にテープ引出元の側に既定のテンションで引っ張られているため、テープ貼付ローラ28aにより粘着テープTが被貼付面18a上に押圧されていないときには、テープ先端部Taがテープ引出元の側へ引き戻されてテープ保持部25から抜けないように、常に保持しておく必要があるからである。なお、粘着テープT(テープローラR)を交換する際には、上記保持解除信号を手動操作で生じさせることによりテープ保持部25のテープ保持状態を解除し、テープ解放状態に移行させればよい。
上記テープ保持部25のさらにテープ引出先(図示右側)には、テープ貼付機構28及びテープ切断機構(テープ切断手段)29が配置されている。テープ貼付機構28は、下端に設けられた軸支部において回転自在に軸支されたテープ貼付ローラ28aと、このテープ貼付ローラ28aを傾斜方向に進退可能に駆動する貼付シリンダ28bとを有する。また、テープ切断機構29は、下端に取り付けられたテープ切断刃29aと、このテープ切断刃29aを傾斜方向に進退可能に駆動する切断シリンダ29bとを備えている。なお、図示例では、テープ貼付機構28におけるテープ貼付ローラ28aの進退方向と、テープ切断機構29のテープ切断刃29aの進退方向とは相互に平行で、同一の傾斜方向となるように構成されている。
上記テープ案内部22,23,24のテープリール22、ガイドローラ24a〜24e、テープ支持ローラ25a及びテープ保持部材25b、テープ貼付ローラ28a、並びに、テープ切断刃29aは、いずれも図示の粘着テープTよりも広い幅を有するテープにも対応できるようにそれぞれ構成されている。図3に示すように、図示の粘着テープTの幅はWtであるが、上記各部材は、図示の最大幅Woを有する粘着テープにも対応可能である。ここで、図1(a)及び図4(a)に示すように、最終段のガイドローラ24d、24eには、粘着テープTの幅方向の位置決めを行う位置決め枠24g、24hが取り付けられている。この位置決め枠14g,14hの幅方向の取付位置は、粘着テープTの幅Wt〜Woの変化に合わせて任意に変更・調整できるように構成されている。
また、図1(a)に示すように、ユニット支持体21の正面側にはレーザポインタ等よりなる位置表示器30が搭載され、この位置表示器30から照射されるレーザ光等の参照光30a(図示二点鎖線)は、上記被貼付面18a上に光スポット30bを形成するように構成される。この光スポット30bは、被貼付物18の被貼付面18aに対してテープ貼付ユニット20が正規の作動高さに配置されているとき、図2(b)に示すように、テープ貼付ローラ28aによる被貼付面18a上の貼付位置TPと一致するか、或いは、図示のように当該貼付位置TPを僅かに越えた対応位置とされた貼付開始位置SP又は貼付終了位置EPを示す。図示例では、光スポット30bは、上記貼付開始位置SP又は上記貼付終了位置EPの最もユニット支持体21の側にある端縁角部を示すように構成されている。
そして、上記光スポット30bにより上記粘着テープTの貼付開始位置SP又は貼付終了位置EPを設定しようとする場合には、操作部11aを手動操作することにより作動高さにあるテープ貼付ユニット20の平面位置を移動させ、所望の貼付開始位置SPに光スポット30bを合わせた状態で操作部11aを追加操作して位置情報を入力することにより、その時点のテープ貼付ユニット20の平面座標を貼付開始位置SPの位置情報として記録することができるようになっている。同様に、貼付終了位置EPに光スポット30bを合わせた状態で操作部11aを追加操作することにより、その時点のテープ貼付ユニット20の平面座標を貼付終了位置EPの位置情報として記録することができるようになっている。上記制御手段31は、このように設定された貼付開始位置SPと貼付終了位置EPの位置情報を読み出すことにより、テープ貼付ユニット20を貼付開始位置SPに対応する位置に配置してテープ貼付ローラ28aによる粘着テープTの貼付を開始し、そのまま直線的に移動させてテープ貼付終了位置EPに対応する位置でテープ貼付ローラ28aによる粘着テープTの貼付を終了させることができる。なお、貼付開始位置SPと貼付終了位置EPの設定方法としては、上記の光スポット30bを用いる入力方法に限らず、例えば、上記操作部11aで平面座標を直接入力する方法など、他の方法を用いることも可能である。
ここで、上記光スポット30bにより示される位置は、テープ貼付ユニット20に対して一定の位置であればよい。ただし、光スポット30bにより示される位置を上述のユニット取付軸20aと同軸に設定することが好ましい。すなわち、テープ貼付ユニット20が作動高さにあるとき、被貼付面18a上の光スポット30bに軸線20xが通過するように設定することが好ましい。このようにすると、ユニット取付軸20aに接続される駆動軸15aを回転させることによりテープ貼付ユニット20を旋回させた場合でも、上記光スポット30bの位置は常にユニット取付軸20aの軸線20x上に配置される。このため、テープ貼付ユニット20の貼付姿勢や粘着テープTの貼付方向を用いた計算処理を実行しなくても、また、光スポット30bを用いた貼付開始位置SP及び貼付終了位置EPの入力作業時においてテープ貼付ユニット20の姿勢を粘着テープTの貼付方向に合致させなくても、光スポット30bと貼付開始位置SP及び貼付終了位置EPとの間に位置ずれが生じないように構成できる。なお、上記のように光スポット30bの指示位置を軸線20xに一致させる場合には、当該光スポット30bの指示位置に貼付開始位置SP及び貼付終了位置EPが対応するように、軸線20xに対して所定の態様となるようにテープ貼付機構を配置、構成する必要があることは言うまでもない。
なお、図1(a)及び(b)では、テープ貼付ユニット20が上記被貼付面18aに対する正規の作動高さよりもさらに高い待機高さにあるときの様子を示している。このため、テープ貼付ユニット20が正規の作動高さとしたときにレーザ光30aが到達する上記被貼付面18aの仮想位置を点線で示してある。例えば、上記作動高さは、後述する後退位置P1にあるテープ保持部25のテープ支持ローラ25aの下端と被貼付面18aとの間の距離が5mmとなる高さであるのに対し、上記待機高さは、同距離が8mmとなる高さである。
次に、図5〜図13を参照して、上記テープ貼付ユニット20のテープ保持部25、テープ貼付機構28及びテープ切断機構29のより詳細な構造、相互配置及び動作態様について説明する。図5には、上記テープ貼付ユニット20のうち、テープ切断後の原点復帰時(所定の平面座標に設定された原点位置)におけるテープ貼付機構、すなわち、テープ支持ローラ25a、テープ固定部材25b、テープ貼付ローラ28a及びテープ切断刃29aのそれぞれの位置関係を示す。このようにテープ貼付ユニット20が原点位置にあるとき、テープ保持部25は図示左側の後退位置P1にあり、テープ貼付ローラ28a及びテープ切断刃29aは斜め上方の退避位置にある。この時のテープ貼付機構の実際の様子は図11(a)に示されている。なお、テープ貼付ユニット20が原点位置にあるときには、上述のように、図1(a)及び図2(a)に示す、被貼付面18aに対して図11(a)に示す作動高さよりもやや高い待機高さに配置される。これは、後述するように、ユニット20全体やテープ保持部25の移動時の何らかの理由により、自由端を有するテープ先端部Taが垂直下方へ折り曲げられ、その先端縁が被貼付面18aに接触してしまうことを防止するためである。その後、上記原点位置から、設定された貼付開始位置SPに移動する過程で、テープ貼付動作の前に、テープ貼付ユニット20は、図1(a)の点線で示す被貼付面18aに対応する高さ、すなわち、図11(a)に示す作動高さまで降下する。
上記のような動作態様の一例としては、例えば、テープ貼付ユニット20が原点位置から待機高さで貼付開始位置SPまで平面移動した後に、後述するようにテープ保持部25がテープ引出方向PDに移動して前進位置Pまで粘着テープTを引き出し、その後、テープ貼付ユニット20が作動高さまで降下し、しかる後に、テープ貼付ローラ28aが降下し、粘着テープTを被貼付面18aに押し付ける。すなわち、貼付開始位置SPまで移動した後にテープ保持部25によるテープ引出動作を実施するまで待機高さとし、その後、作動高さまで降下してから貼付を開始する。このようにすると、テープ貼付ユニット20の移動中やテープ保持部25によるテープ引出中にはテープ先端部Taが垂れ下がりやすくなるが、このときにはテープ貼付ユニット20は待機高さに維持されるため、テープ先端部Taが被貼付面18aへ接触する事態は回避される。また、一つのテープ貼付作業が終了した後に、次のテープ貼付作業を行う場合には、次の貼付開始位置SPへ移動する際には再びテープ貼付ユニット20は上昇して待機高さに配置され、次の貼付開始位置SPへの移動やテープ引出動作が完了した後に降下し、作動高さに設定される。
上記の粘着テープTがテープ保持部25により保持固定されたテープ保持状態では、テープ保持部材25bが保持位置PPにおいて粘着テープTをテープ支持ローラ25aの外周円筒面上に押し付けている。ここで、粘着テープTのテープ先端部Taは上記保持位置PPからテープ引出先の側(図示右側)にある部分である。このテープ先端部Taは、テープ支持ローラ25aの外周円筒面の上記保持位置PPにおける接線方向に沿って斜め下方へ向けて伸び、その先端縁は何物にも拘束されない自由端となっている。なお、上記テープ先端部Taの長さLa(図5参照)は、後述するテープ切断動作時(テープ切断工程)において切断位置CPが保持位置PPから一定の距離となるように定められていることにより、常に一定の長さとされる。
本実施形態において、テープ保持部材25bは、その中心Obよりもテープ支持ローラ25aの近くに位置するように設けられた平坦面25bxを有するとともに、上記中心Obの周りに形成された外周円筒面25byを備えている。図5乃至図10では簡単に示すために平坦面25bxが断面上に弦として表れる輪郭を有する断面D字状に表してある。ただし、図1〜図4及び図11〜図13に示すように外周の一部にテープ支持ローラ25aの外周円筒面に当接可能な平坦面25bxを有したものであれば、上記断面D字状以外の如何なる断面形状を有するものであっても構わない。図示例では、テープ支持ローラ25aの中心Oaとテープ保持部材25bの中心Obとの距離Loは、テープ支持ローラ25aの半径Raとテープ保持部材25bの半径Rbの和よりも小さい(Lo<Ra+Rb)。また、テープ保持部材25bの中心Obと平坦面25bxとの距離Lbは半径Rb未満であればよい。さらに、テープ支持ローラ25aの外周面に対するテープ保持部材25bの当接態様を好適にするため、半径RaをRbより小さくすることが好ましい。
図6は、図5に示すテープ支持ローラ25aとテープ保持部材25bの接触領域VIを拡大して示す部分拡大図である。テープ支持ローラ25aの外周円筒面上において、テープ保持部材25bが粘着テープTに当接し、この粘着テープTをテープ支持ローラ25aの外周円筒面上に押し付けるとき、テープ保持部材25bの平坦面25bxによる保持位置PPは実質的に線状(図示の断面上では点状)である。このとき、平坦面25bxは、上記保持位置PPを越えてテープ引出先の側(図示右側)に延在するとともに、当該保持位置PPにおけるテープ支持ローラ25aの外周円筒面の接線方向に伸びるように構成されることが好ましい。図示例では、平坦面25bxと外周円筒面25byとの交線(図示の断面上では交点)KPが保持位置PPよりもテープ引出先の側(外周側)にあることが好ましい。これは粘着テープTが上記保持位置PPにおいて上向きに屈折し、そのテープ先端部Taが上方へ跳ね上がることを防止するためである。例えば、平坦面25bxと外周円筒面25byとの交線KPが粘着テープTに当接して上記保持位置PPに一致する場合には、凸状の交線KPが粘着テープTに当接することにより、テープ先端部Taが保持位置PPにおいて上方へ屈折しやすくなる。しかし、図6に示すように交線KPが保持位置PPよりもテープ引出先の側(図示右側、外周側)にあると、粘着テープTは最も強い挟圧力を受ける保持位置PPから平坦面25bxに沿って接線方向に案内されるため、テープ先端部Taも当該接線方向に延在しやすくなる。なお、この効果は、上述のようにテープ保持部材25bのテープ引出先の側にガイド部材25gを取り付け、その突出端部25gaによってテープ先端部Taを上記接線方向に案内することでさらに高められる。
テープ保持部25からのテープ先端部Taの突出方向は、テープ保持状態におけるテープ保持部材25bの保持位置PPのテープ支持ローラ25aの外周面上の対応位置と、テープ保持部材25bの平坦面25bxの傾斜角度によりほぼ定まる。上述の突出方向が実質的に保持位置PPにおけるテープ支持ローラ25aの外周円筒面の接線方向となる場合には、当該突出方向は、テープ支持ローラ25aの外周面上の保持位置PPの対応位置によって決まる。このとき、テープ先端部Taの突出方向が水平方向に近くなると、テープ先端部Taが下方へ垂れ下がり易くなるため、後述するテープ貼付ローラ28aの降下時における被貼付面18aへの適正な貼付動作が実現されにくくなる。一方、上記突出方向が垂直方向に近くなると、テープ支持ローラ25aの直径(2×Ra)とテープ先端部Taの長さLaとの関係により、テープ先端部Taの先端縁が被貼付面18aに接触したり、或いは、接触しないようにするとテープ先端部Taの長さLaを短くする必要が生じたりするため、やはり、テープ貼付ローラ28aによる適正な貼付動作が実現されにくくなる。したがって、上記突出方向は、図示例のように、テープ引出先の側に斜め下方(被貼付面18aの側)に向けた方向であることが好ましい。特に、テープ先端部Taの貼付位置の精度を確保しつつ、テープ貼付ローラ28aによるテープ先端部Taの被貼付面18aに対する貼付動作を容易にするためには、上記突出方向は、水平方向を基準とした場合、20〜45度の角度範囲内であることが好ましく、25〜35度の角度範囲内であることが望ましい。
テープ貼付装置10において、テープ貼付ユニット20は、初期状態において上述のように基台11上の既定の原点位置に配置される。この原点位置に配置されたテープ貼付機構では、上記のようにテープ保持部25が後退位置P1に配置され、テープ貼付ローラ28a及びテープ切断刃29aが退避位置にある。この初期状態では、上記参照光30aは妨げられずに被貼付物18の被貼付面18aに到達し、被貼付面18a上に光スポット30bを形成することができる。この光スポット30bは、上述のように、テープ貼付ユニット20の現在位置における粘着テープTの貼付開始位置SPや貼付終了位置EPを示す目印となる。なお、テープ貼付ユニット20は、原点位置にあるときには上記待機高さに設定されているが、テープ貼付ユニット20の操作部11aに対する手動操作で光スポット30bの位置を合わせることにより貼付開始位置SPや貼付終了位置EPの位置情報を入力する動作モードにおいては、テープ貼付ユニット20は待機高さから上記の作動高さに降下するように構成されているので、被貼付面18a上の光スポット30bは貼付開始位置SP又は貼付終了位置EPに対応する位置を正確に示す。
ここで、テープ保持部25は後退位置P1と前進位置P2の間を移動可能に構成される。このテープ保持部25の移動方向は、図5において水平方向と一致したテープ引出方向PDとして描かれている。装置が粘着テープTを貼り付けようとするとき、テープ保持部25は、上述のように、非拘束状態の自由端を有するテープ先端部Taを斜め下方に向けて突出させるように保持位置PPにおいて粘着テープTを保持固定しており、この状態で、テープ保持部25が駆動体26により図示右側へ移動し、図5に点線で示す前進位置P2において停止する(図示点線)。これによって、粘着テープTはテープ保持部25により図示右側へ向けて後退位置P1と前進位置P2の間隔に相当する長さ分だけ引き出されたことになる(テープ引出工程)。この様子は図11(b)に示されている。
テープ貼付ユニット20は、基本的には上記テープ引出方向PDが被貼付面18aに沿った方向となる姿勢で粘着テープTを貼り付けることができる。ただし、テープ先端部Taの被貼付面18aに対する接触を防止したり、テープ切断刃29aの切断ストロークを十分に確保したりすることができるなどの種々の理由から、図5に示すように、テープ引出方向PDが被貼付面18aに対してテープ引出元の側(図示左側)からテープ引出先の側(図示右側)へ向けて斜め下方に傾斜するように傾斜角φを設けることが好ましい。この傾斜角φは、0〜15度の範囲内であることが好ましく、特に、5〜10度の範囲内であることが望ましい。このように傾斜角φを設けることにより、テープ貼付ローラ28aの貼付位置TPの高さに対して、テープ保持部25が後退位置P1に配置されているときにテープ先端部Taが配置される領域に対向する位置における被貼付面18aの高さや、テープ切断刃29aが降下する領域に対向する位置における被貼付面18aの高さが相対的に低くなるので、テープ先端部Taの先端縁が被貼付面18aに接触しにくくなり、また、テープ切断刃29aの刃先が被貼付面18aに抵触しない範囲で設定されるテープ切断刃29aの作動ストロークを長く確保することが可能になる。
テープ保持状態のテープ保持部25が図5に点線で示す前進位置P2に移動すると、貼付シリンダ28bの作動によりテープ貼付ローラ28aが降下し、図7に示すように、テープ先端部Taの自由端である先端縁を被貼付面18aに押し付けた状態となる(テープ貼付開始動作、或いは、テープ貼付開始工程)。このテープ貼付ローラ28aが被貼付面18aに押し付けられた位置が貼付位置TPである。この実施形態において、テープ貼付ローラ28aは、貼付シリンダ28bの作動圧により常に既定の圧力(空圧力)で下方(被貼付面18a)に押し付けられた状態とされる。このとき、テープ貼付ローラ28aの被貼付面18aに対する貼付位置TPよりも、粘着テープTの貼付開始位置SPが僅か(一般的には1mm程度)にテープ引出先の側(図示右側)に配置されるようにすることで、テープ貼付ローラ28aの降下時における粘着テープTの貼付ミス(テープ貼付ローラ28aによってテープ先端部Taの先端縁が被貼付面18a上に接着、保持されずに貼付できない事態)の発生を防止できる。なお、このときのテープ貼付機構の様子は図11(c)に示されている。
テープ貼付機構28では、テープ貼付ローラ28aの進退駆動の方向が、テープ引出方向PDや被貼付面18aに沿った方向と直交する垂直方向ではなく、下方(被貼付面18a)に近づくに従ってテープ保持部25に近づく向きに斜めに向かう、傾斜方向になるように構成されている。特に、図示のように、テープ引出先の側へ斜め下方へ突出するテープ先端部Taに対して、テープ貼付ローラ28aの進退方向がほぼ直交する方向となるように傾斜していることが好ましい。これにより、非拘束状態のテープ先端部Taにテープ貼付ローラ28aが接触し、テープ先端部Taを下方へ押しやりながら被貼付面18aに近づけていく過程で、テープ先端部Taをテープ支持ローラ25aの側に逃げないように押え付け、より確実かつ正確に、粘着テープTを被貼付面18a上に貼り付けることができる。また、テープ貼付ローラ28aは上記の傾斜方向に進出していく過程で徐々にテープ支持ローラ25aの側に近づくため、最終的に図7に示すようにテープ貼付ローラ28aが粘着テープTを被貼付面18aに貼り付けたときの被貼付面18a上の貼付位置TPをテープ保持部25に近い位置に設定することができる。このため、このテープ貼付動作に必要な、テープ保持部25から突出したテープ先端部Taの長さLaを短縮することが可能になるので、テープ先端部Taの垂れ下がりを低減してテープ貼付ローラ28aによるテープ貼付開始動作を容易かつ確実に実施することができ、また、テープ貼付ローラ28aによる貼付開始動作を実施する前にテープ先端部Taの先端縁が被貼付面18aに接触してしまうといった事態の発生を回避することもできる。
なお、テープ貼付ローラ28aが被貼付面18aに対して所定の圧力で押し付けられた状態とされることと、テープ貼付ローラ28aが粘着テープTの貼付進行方向(図示左側)に向けて斜め下方に傾斜した姿勢で押しつけられることとは、粘着テープTの貼付動作の進行過程において、被貼付面18aに多少の凹凸が存在しても当該凹凸にテープ貼付ローラ28aが追従性よく進退し、粘着テープTを容易かつ確実に被貼付面18aに貼着することができるという効果をもたらす。
上記のように粘着テープTの先端縁がテープ貼付ローラ28aにより被貼付面18aに貼り付けられると、次に、図12(a)に示すように、テープ保持部25においてテープ保持部材25bが反時計回りに回動し、粘着テープT及びテープ支持ローラ25aから離間して(図示点線)、テープ解放状態に移行する。その後、図12(b)に示すように、テープ保持部25が前進位置P2から後退位置P1へ戻る。このとき、粘着テープTの先端縁はテープ貼付ローラ28aにより被貼付物18に対して固定されているので、図8に示すように、粘着テープTの粘着面に当接しているテープ支持ローラ25aは図示時計回りに転動しながら後退位置P1に移動する。この状態(テープ貼付動作態様)で、テープ貼付ユニット20を被貼付物18に対して図示左方向へ移動させると、テープ貼付ローラ28aが被貼付面18a上に粘着テープTを貼着していく(テープ貼付工程)。なお、このときのテープ貼付機構の様子を図12(c)に示すが、この図12(c)において、被貼付面18a上の▽印は粘着テープTの貼付開始位置SPを示している。この▽印については図13(a)〜図13(c)も同様である。
このとき、テープ貼付長さから後述するテープ端末部の長さを引いた長さ分だけテープ貼付ユニット20が相対移動した時点で被貼付物18とテープ貼付ユニット20の相対移動を停止し、図9に示すようにテープ保持部材25bを図示時計回りに回動させて、図10に示すようにテープ支持ローラ25aの外周円筒面上の粘着テープTを挟圧固定してテープ保持状態とする。この状態では、粘着テープTは、テープ支持ローラ25aとテープ保持部材25bにより挟圧される保持位置PPと、テープ貼付ローラ28aによる貼付位置TPとにおいてそれぞれ保持固定される。なお、このときのテープ貼付機構の様子を図13(a)に示す。
最後に、図10に示すようにテープ切断刃29aを降下させて保持位置PPと貼付位置TPの間の切断位置CPで粘着テープTを切断する(テープ切断動作、或いは、テープ切断工程)。このとき、粘着テープTは保持位置PPと貼付位置TPの間で斜めに架設された状態になっているが、テープ切断機構29はテープ切断刃29aを斜めに降下させるように構成されているため、粘着テープTに対して垂直に近い角度でテープ切断刃29aを移動させることが可能になり、テープ切断刃29aの作動ストロークも大きくとれることから、粘着テープTを容易かつ確実に切断できる。図示例では、保持位置PPと貼付位置TPの間に架設された粘着テープTに対して垂直方向にテープ切断刃29aが進退するように構成されている。このときの様子は図13(b)に示されている。
また、テープ切断刃29aにより粘着テープTが切断されると、切断位置(CT)から貼付位置TPまでの間のテープ部分であるテープ端末部は、そのままの状態(テープ端末貼付態様)において、図13(c)に示すように、テープ貼付ユニット20と被貼付物18とを当該テープ端末部の長さに応じた距離(例えば10mm)だけ相対移動させることにより、被貼付面18a上に貼付される(テープ端末貼付工程)。これによって粘着テープTは貼付開始位置SPから貼付終了位置EPに至るまでの全体が被貼付面18aに貼着されたことになる。以上のように、テープ貼付ユニット20の相対移動の制御態様については、切断位置CPと貼付位置TPの距離に相当するテープ端末部の長さを勘案し、テープ貼付ユニット20が貼付終了位置EPに到達するよりも上記テープ端末部の長さ分だけ手前の位置で被貼付物18とテープ貼付ユニット20の相対移動を停止し、ここで上記テープ切断動作を実施し、その後、上記テープ端末部をテープ貼付ローラ28aにより貼着するように制御すればよい。したがって、要求されるテープ貼付長さが上記テープ端末部の長さと一致する場合には、上記の被貼付物18とテープ貼付ユニット20との間の相対移動を行う必要はない。
一方、テープ切断刃29aによる切断位置CPから保持位置PPまでの間のテープ部分は次回の貼付動作に用いられる長さLaのテープ先端部Taとなる。このとき、テープ先端部Taとなるべき部分の保持位置PPから先に突出する向きを安定させるためには、図9に示す時点で、保持位置PPと貼付位置TPの間の粘着テープTの延在方向が保持位置PPの接線方向になるようにすること、すなわち、直線Oa−PPと、直線PP−TPとが直交するように構成することが好ましい。このようにすると、テープ切断刃29aによる切断動作の前後でテープ先端部Taの保持位置PPからの突出方向が変化しなくなるため、テープ先端部Taの突出方向や突出形状を安定させることができる。
図10に示す位置関係において、切断位置CPは保持位置PPと貼付位置TPの間に配置されるが、図示のように、切断位置CPが保持位置PPよりも貼付位置TPに近い位置であることが好ましい。特に、図示例のようにテープ切断刃29aをテープ貼付ローラ28aに干渉しない範囲でなるべく貼付位置TPに近づけることが望ましい。これにより、テープ切断時における貼付位置TPと切断位置CPの間のテープ端末部の長さが短くなり、本装置において被貼付面18a上に貼着することのできる粘着テープTの最小貼付長さを短くすることができる。
また、上記位置関係においては、テープ切断手段29によるテープ切断動作を可能にするために、テープ保持部25が後退位置P1に配置されるときに、テープ保持部25がテープ切断刃29aの動作範囲と干渉しない必要がある。一方、テープ切断動作後の次のテープ貼付開始動作に際しては、テープ先端部Taをテープ貼付ローラ28aになるべく接近させ、テープ先端部Taの長さLaが短くてもテープ先端部Taの先端縁を被貼付面18a上に貼着可能になるようにするために、テープ保持部25を前進位置P2に移動させる。このとき、テープ保持部25が配置される前進位置P2を、テープ保持部25が切断位置CP(テープ切断刃29aのテープ切断動作時の作動範囲)と干渉する位置に設定することにより、テープ先端部Taの長さLaを十分に短くすることが可能になる。
さらに、テープ先端部Taの先端縁が上述のように貼付開始位置SPに貼り付けられた後には、テープ保持部25は前進位置P2から後退位置P1に戻る。これは、テープ貼付開始動作時(テープ貼付開始工程)においては、上述のようにテープ先端部Taの長さLaを短くても先端縁の貼付を開始できるようにするためにテープ保持部25を前進位置P2へ移動させるのであるが、テープ貼付動作態様(テープ貼付工程)に際しては、粘着テープTのテープ支持ローラ25aとテープ貼付ローラ28aに係る架設経路の屈折度を低減し、テープの引出抵抗を軽減して、粘着テープTに加わるテンションとその変動を抑制するために、テープ支持ローラ25aとテープ貼付ローラ28aのテープ引出方向PDの間隔を大きくする必要があるからである。つまり、テープ保持部25が前進位置P2に配置されているときには、上述のようにテープ支持ローラ25aとテープ貼付ローラ28aの間隔が短いために、テープ支持ローラ25aからテープ貼付ローラ28aに亘るテープの架設経路は、図7に示されるように大きく屈折したものとなる。したがって、テープ保持部25を前進位置P2に配置したままで、テープ貼付ユニット20を被貼付物18に対して被貼付面18aに沿って相対移動させるテープ貼付動作を実施した場合、テープ貼付ユニット20の被貼付物18に対する相対移動に起因して粘着テープTが屈折した架設経路に沿って引き出されていくことにより、粘着テープTに加わるテンションは、テープ案内部22,23,24により付与される既定のテンションよりも増大し、また、屈折した架設経路上の位置に応じて粘着テープTに加わるテンションが大きく変動する。これは、粘着テープTのテープ材質が伸展性の高いものである場合に特に問題を生じる。すなわち、均一かつ安定したテンションでの貼付動作を実現できないだけでなく、次の貼付開始動作時においてテープ先端部Taが上向きの反り返りを生ずることも想定される。したがって、図8及び図9に示すようにテープ支持ローラ25aとテープ貼付ローラ28aの間隔を増大させるためにテープ保持部25を後退位置P1に戻して上記架設経路の屈折度を低減した状態でテープ貼付動作(テープ貼付工程)を実施する。
また、貼付終了位置EPの手前でテープ貼付ユニット20を停止させ、粘着テープTをテープ切断機構29により切断するテープ切断動作時においては、テープ保持部25を後退位置P1に配置することにより、テープ切断刃29aの作動ストロークを確保するとともに、テープ切断刃29aの作動方向と切断位置CPにおける粘着テープTの架設方向との直交性を高めることにより、切断動作を容易かつ確実に実行できるようにしている。なお、このテープ切断動作時における保持位置PPと貼付位置TPの間のテープ架設方向が次のテープ貼付開始時におけるテープ保持部25からテープ引出先の側へのテープ先端部Taの突出方向とほぼ一致するように構成することが望ましい点は前述のとおりである。このためには、後退位置P1(或いは、後退位置P1と前進位置P2の間の移動量)をテープ先端部Taの突出方向に整合する値となるように予め設定したり、或いは、テープ切断動作時の後退位置P1をテープ貼付動作時の後退位置P1とは異なる最適位置に設定したりすることも考えられる。
以上のように構成され、動作する本実施形態のテープ貼付装置10及びテープ貼付ユニット20においては、テープ保持部25は、非拘束状態の自由端を有するテープ先端部Taをテープ引出先の側に向けて斜め下方に突出させた状態で粘着テープTを保持するとともに、このテープ保持部25を後退位置P1からテープ引出先の側へ移動させて前進位置P2に配置し、しかる後にテープ貼付ローラ28aを被貼付面18aに近づくほどテープ保持部25の側に配置される傾斜方向に沿って斜め下方へ進出させることにより、テープ先端部Taの先端縁をテープ貼付ローラ28aにより被貼付面18aに貼付する。これにより、従来技術において必要とされていた、テープ先端部Taの先端縁を拘束し位置決めするための部材が不要となるため、テープ貼付機構を簡易に構成することができる。また、テープ保持部25をテープ引出方向PDに移動可能に構成し、貼付開始動作時においてテープ保持部25を前進させてからテープ先端部Taを被貼付面18aに貼り付けることにより、テープ先端部Taの長さLaを短縮できるとともにテープ貼付ローラ28aによる貼付動作を確実に実施することができる。さらに、テープ貼付ローラ28aをテープ保持部25に接近する傾斜方向に沿って斜め下方へ降下させることで、テープ貼付機構の各部の干渉を回避しつつ、被貼付面18a上の貼付位置TPをテープ保持部25に近づけることができるため、テープ先端部Taの長さLaが短くてもその先端縁を確実かつ正確に被貼付面18aに貼り付けることができる。テープ先端部Taの長さLaの短縮は、テープ先端部Taの垂れ下がり態様や先端縁の位置のばらつきが抑制されることにより、テープ貼付不良の発生や貼付精度の低下を回避でき、種々のテープ材質への対応性を高めることができるという利点をもたらす。
また、本実施形態では、テープ保持部25は、前記テープ案内部22,23,24から供給される前記粘着テープTを前記被貼付物18の側から支持し、前記粘着テープTの粘着面t1に当接し、回転自在に軸支されたテープ支持ローラ25aと、該テープ支持ローラ25aに対して前記被貼付物18とは反対側から前記保持位置PPにおいて前記テープ支持ローラ25aの外周面上の前記粘着テープTに当接して前記テープ支持ローラ25aの外周面との間で前記粘着テープTを挟持するテープ保持部材25bとを有する。このようにテープ保持部25はクランプ作用により機械的に粘着テープTを位置決め保持するので、吸着作用により粘着テープを吸引保持する構造に比べて、粘着テープTの伸展性などの材質・特性に拘わらず、粘着テープT(特に、その先端縁)の位置決め精度を高めることができるため、粘着テープTの貼付精度を向上させることができる。また、このような保持構造は、既定の長さLaのテープ先端部Taがテープ引出先の側に向けて斜め下方に非拘束状態の自由端を有する状態で突出するように保持する場合に、吸着作用により吸引保持する構造に比べて、保持位置PPの位置精度と再現性、テープ先端部Taの突出方向の精度と再現性、及び、テープ保持力の安定性がいずれも良好となるため、貼付開始動作時のテープ先端部Taの貼付開始位置SPの高精度化を図ることができる点で著しく有利である。
尚、本発明のテープ貼付ユニット20及びテープ貼付装置10は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、駆動体26によりテープ引出方向PDに移動可能に構成された支持枠体25cに対して回転可能に軸支された、粘着テープを被貼付面18aの側から支持するテープ支持ローラ25aと、このテープ支持ローラ25aの外周面上の粘着テープTに当接し、保持位置PPにおいてテープ支持ローラ25aの外周面との間で挟持する回動ローラ状のテープ保持部材25bとを有するが、テープ保持部材25bとしては、テープ支持ローラ25aの外周面上で粘着テープTに当接し、粘着テープTを挟持することにより保持可能なものであればよいので、テープ支持ローラ25aの外周面に対して接離可能に構成された爪状部材、顎状部材などにより構成することもできるなど、特に限定されない。