JP6017892B2 - 汚水浄化槽 - Google Patents
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Description
これを契機に、新設される汚水浄化槽は、し尿と生活雑排水を合わせて処理する合併処理浄化槽になった訳であるが、既設の単独処理浄化槽のうち、新設されるものは少なく、既設単独処理浄化槽が依然として多く残っている状態である。合併処理浄化槽への入れ替えが進まない要因としては、費用が掛かること、使用者のメリットがないこと等が挙げられるが、それ以前に、単独処理浄化槽を設置してあるスペースに単独処理浄化槽よりも大きな合併処理浄化槽を収容できないことが大きな要因となっていた。
上記の技術的課題を解決すべく、鋭意研究がなされ、ようやく、平成22年に、以下の特許文献1に示されている、好気性消化による汚泥貯留方法の技術に基づいた、単独処理浄化槽の入れ替えが可能となる合併処理浄化槽が製品化された。
このような状態では、第一固液分離槽で分離した固形物または汚泥が好気消化槽に移送されないことになり、浄化槽法で定められている保守点検の頻度である4ヶ月に1回以上では、最悪の場合、4ヶ月間も汚泥消化が進まない状態に陥ってしまうことになる。さらに、浄化槽法において清掃頻度が1年に1回以上と定められていることから、合併処理浄化槽の汚泥貯留能力は1年間以上として設計されているが、4ヶ月間も汚泥消化が進まない状態では、1年未満で汚泥貯留能力が限界に達してしまい、所定の汚泥貯留能力を発揮できないことが懸念される。
(1)汚泥を含む被処理水から固形物を分離する固液分離槽と、固液分離槽で分離した汚泥を貯留する第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽からなる二分割の汚泥貯留槽を有する水処理装置であって、前記第一汚泥貯留槽は、固液分離槽の底部と連通し、前記第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽を連結口で接続し、前記連結口は、第一汚泥貯留槽と固液分離槽の連通開口の下方に配置し、前記第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽にはそれぞれに散気装置と、前記第二汚泥貯留槽の槽内液を前記第一汚泥貯留槽に移送する移送ポンプを配置した水処理装置と、該水処理装置の固液分離槽に形成された流出口に接続された嫌気処理槽と好気処理槽と消毒槽とを備えてなる汚水浄化槽。
(3)項(1)において、第二汚泥貯留槽の槽内液を第一汚泥貯留槽に移送する移送ポンプの吸込口より下方にフィルターを配置した汚水浄化槽。
(4)項(2)において、第一汚泥貯留槽の槽内液を第二汚泥貯留槽に移送する移送ポンプの吸込口より下方にフィルターを配置した汚水浄化槽。
(5)項(1)〜(4)のいずれか一項に記載の好気処理槽と前記消毒槽との間に第二固液分離槽が設けられた汚水浄化槽。
(6)項(5)に記載の嫌気処理槽と前記好気処理槽と前記第二固液分離槽の各々に各槽にて処理された汚水の一部を前記水処理装置の固液分離槽に戻す移送ポンプが設けられた汚水浄化槽。
濾床を有する場合には、板状、網様板状、網様円筒状を規則充填した濾材等、捕捉性の弱い濾材を好適に用いることができる。捕捉性が弱い濾材は、濾床上部に汚泥が溜まりにくく、汚泥がスカム化して次槽に流出することを防止できる。そして、濾材の設置位置(上面位置)は、濾床上部に汚泥が溜まりにくいことから、固液分離槽の上方の水面に近い位置とすることもできる。
また、濾材を有さない場合には、被処理水から固形物または汚泥の沈降・浮上による分離がなされるように、水面積負荷を考慮して固液分離槽の断面積を確保し、垂直方向でみて中間部に流入管と流出管を配置することが好ましい。
固液分離槽の形状は、特に制限されるものではないが、底部をホッパー構造にすることが好ましく、こうすることにより、集泥効率を向上させるとともに、底部で連通する第一汚泥貯留槽へ固形物または汚泥をスムーズに移流させることができる。
以上のことを鑑みると、第一汚泥貯留槽に残った固形物は、固液分離槽の底部開口の直下から押し出されて、第一汚泥貯留槽内の散気装置により生じた撹拌流に乗り、第一汚泥貯留槽の槽内液とともに好気的生物処理を受けながら、細かい汚泥となり、第一汚泥貯留槽から第二汚泥貯留槽、第二汚泥貯留槽から第一汚泥貯留槽への移流を繰り返しながら、各汚泥貯留槽で好気的生物処理を受ける。
第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽には、槽内を好気状態に保つこと、撹拌流を生じさせて汚泥を堆積させないこと、トイレットペーパー等の大きい固形物を細かくすることを目的として、それぞれに散気装置が配置されている。固形物が細かくなれば、移送ポンプの詰まりを抑制することができる。
図1は、本発明の第一実施例に係る水処理装置の概略断面図を示したものである。図1に示すように、第一の実施例による水処理装置1は、周壁1Aと底壁1Bからなる槽の内側を仕切壁2A、4Aにより区画してなる固液分離槽2、第一汚泥貯留槽3、第二汚泥貯留槽4を有している。
固液分離槽2はその底部2a側に下窄まり状の底壁2Bを設けたホッパー形状になっており、その底部2aが第一汚泥貯留槽3の底部3aと連通し、固液分離槽2の底部開口の下方に、第一汚泥貯留槽3と第二汚泥貯留槽4の連結口5が設けられている。また、第二汚泥貯留槽4の槽内液を第一汚泥貯留槽3に移送する移送ポンプ6が第二汚泥貯留槽4の上部側に配置されており、第一汚泥貯留槽3と第二汚泥貯留槽4の底部に散気装置7、8が設けられている。この実施例では、固液分離槽2と第二汚泥貯留槽4とを仕切る仕切壁4Aの底部に連結口5が設けられ、この実施例では連結口5の最低位置とほぼ同じ高さに散気装置7、8が設けられている。なお、連結口5の開口寸法は、固液分離槽2の底部2aの開口を第一汚泥貯留槽3と第二汚泥貯留槽4との仕切壁4Aに対して投影した場合の開口寸法よりも小さくすることが望ましい。
まず、被処理水は流入部9を通って、その先端部9aから水処理装置1内部の固液分離槽2に流入する。固液分離槽2では、重力による沈殿分離作用を受け、被処理水中の固形物が分離される。固形物が除去された被処理水は、流出部10を通って排出口10aから流出される。
一方、沈殿分離した固形物は、固液分離槽2の底部2aが第一汚泥貯留槽3に連通しているので、そのまま沈降して第一汚泥貯留槽3に移行する。固液分離槽2の底部2aは、ホッパー形状になっているため、沈殿汚泥を集積しやすい構造になっている。
第二汚泥貯留槽4に移流した固形物は、第二汚泥貯留槽4の底部に配置してある散気装置7からの気泡により生じた撹拌流に乗りながら、気泡との衝突を繰り返し、徐々に小さくなる。小さくなった固形物は、槽内液に貯留されている汚泥とともに、散気装置7からの酸素供給により好気的消化作用を受けながら貯留され、さらに細かい汚泥となる。これらの汚泥は、槽内の撹拌流に乗りながら、その一部が移送ポンプ6によって第一汚泥貯留槽3に移送されることになる。
固液分離槽2から沈殿分離された固形物は、第二汚泥貯留槽4に移流しても、第一汚泥貯留槽3に残存しても、いずれの場合も気泡による衝突と好気的消化作用を継続的に受けながら、細かくなり、第一汚泥貯留槽3から第二汚泥貯留槽4、第二汚泥貯留槽4から第一汚泥貯留槽3への移流を繰り返しながら貯留される。
図2に示す第二実施例の水処理装置21において、先の第一実施例の水処理装置1と同等の構成要素には同一符号を付し、同一要素の説明は省略する。
第二実施例において、第一実施例との相違点は、移送ポンプ6Bにより第一汚泥貯留槽3の槽内液を第二汚泥貯留槽4に移送できる構成としたことである。そのため、固液分離槽2で沈殿分離された固形物は、第二汚泥貯留槽4から連結口5を介して第一汚泥貯留槽3に流れる水流に乗り、第一汚泥貯留部3の撹拌流に乗ることになる。固液分離槽2の底部から下方に向かう水流が第一汚泥貯留槽3側に向かう流れを生成する。散気装置7、8により生成される気泡による好気的消化作用と攪拌流の作用効果についても先の実施例と同様に得ることができる。
この第二実施例の水処理装置21においても先の第一実施例の水処理装置1と同様に、気泡との衝突によって固形物が小さくなり、移送ポンプ6Bで第二汚泥貯留槽4に移送され、第一汚泥貯留槽3と第二汚泥貯留槽4での処理を繰り返し受けながら貯留されることになる。
その他の作用効果について、第三実施例においては第一実施例と同様の作用効果を得ることができ、第四実施例においては第二実施例と同様の作用効果を得ることができる。
本実施例の汚水浄化槽12は、周壁12Aと底壁12Bと天井壁12Cにより構成された槽構造の内部に、第一固液分離槽13、第一汚泥貯留槽14、第二汚泥貯留槽15、嫌気処理槽16、好気処理槽17、第二固液分離槽18、消毒槽19を有している。
汚水浄化槽12においてその入口側の一端に流入口20が出口側の一端に流出口36が形成され、流入口20側から流出口36側にかけて順次間隔をあけて仕切壁16A、17A、18Aが形成され、仕切壁16A、17Aの間に嫌気処理槽16が形成され、仕切壁17A、18Aの間に好気処理槽17が形成されている。汚水浄化槽12において、入口側の周壁12Aと仕切壁16Aとに囲まれた領域の中央側に第一固液分離槽13が形成され、その両側に第一汚泥貯留槽14、第二汚泥貯留槽15が形成されている。
また、第二汚泥貯留槽15の槽内液を第一汚泥貯留槽14に移送する移送ポンプ25が第二汚泥貯留槽15の上部側に配置されており、第一汚泥貯留槽14と第二汚泥貯留槽15の底部に散気装置22、23が設けられている。この実施例では、第一固液分離槽13と第二汚泥貯留槽15とを仕切る仕切壁15Aの底部に連結口21が設けられ、この実施例では連結口21の最低位置とほぼ同じ高さに散気装置22、23が配置されている。
第二汚泥貯留槽15に移送された固形物は、底部に設置された散気装置22から供給される気泡により生じた撹拌流に乗り、気泡に衝突し、網様円筒濾材を充填した濾床(フィルター)24に衝突しながら、徐々に小さくなる。このように第二汚泥貯留槽15に移送された固形物は、槽内で気泡撹拌されて好気的消化作用を受けながら貯留されることになる。また、第二汚泥貯留槽15には、濾床24よりも上方に移送ポンプ25の吸込口が設置してあり、濾床24を通過した固形物(汚泥)が第一汚泥貯留槽14の上部に移送ポンプ25により移送され、第一汚泥貯留槽14で好気的消化作用を受けて貯留される。
このように第一汚泥貯留槽14に移送された固形物は、槽内で気泡撹拌されて好気的消化作用を受けながら貯留されることになり、細かく汚泥となったものは、前述した第一汚泥貯留槽14から第二汚泥貯留槽15への水流に乗り、第二汚泥貯留槽15へ移送され、第二汚泥貯留槽15で好気的消化作用を受けて貯留される。第一固液分離槽13から移流してきた固形物は、最終的に細かい汚泥になり、第一汚泥貯留槽14から第二汚泥貯留槽15へ、第二汚泥貯留槽15から第一汚泥貯留槽14への移送を繰り返し、各汚泥貯留槽14、15で好気的消化作用を受けて貯留されることになる。
各汚泥貯留槽14、15では、処理が進むと、汚泥濃度が上昇するので、連通している第一固液分離槽13の汚泥界面が上昇してくるが、連結口21を介して第一汚泥貯留槽14から第二汚泥貯留槽15への水流によって汚泥が引き込まれるため、汚泥界面の上昇を抑制することができる。
なお、本実施例では、嫌気処理槽16の濾床27に骨格様球状濾材を充填しているが、網様円筒状濾材、ヘチマ様板状濾材等を充填することもできる。
浴槽排水等のピーク流入があった場合に貯留しておくスペースとして、第一固液分離槽13、第一汚泥貯留槽14、第二汚泥貯留槽15、嫌気処理槽16の上部に流量調整部37を設けている。嫌気処理槽16にて嫌気処理された汚水は、流量調整ポンプ29により好気処理槽17へ移送される。この流量調整ポンプ29により汚水の移送量を調節することにより、第一固液分離槽13と第一汚泥貯留槽14と第二汚泥貯留槽15の内部に収容される汚水量を図5(B)に示すL.W.L(低水位)からH.W.L(高水位)の間に調整しながら汚水処理を行うことができる。
ここでは、本実施例として、好気処理槽17の濾床30に粒状の担体を充填した担体流動方式を採用しているが、波板状濾材、ヘチマ様板状濾材、骨格様球状濾材等を充填した接触ばっ気方式を採用することもでき、粒状担体を充填し、担体が流動しないように直接ばっ気せず、ばっ気液を濾床に通過させる生物濾過方式を採用することもできる。好気処理槽17の一部には濾床30の側方を通過して好気処理槽17の上部まで延在し、後述の第二固液分離槽18の近傍に達する流出路17aが形成され、この流出路17aの底部に前記第一固液分離槽13に配管接続された移送ポンプ32が設置されている。流出路17aの上部側には流出口17bが形成され、好気処理された汚水はこの流出口17bから第二固液分離槽18に流出される。
なお、好気処理された汚水の一部は、好気処理槽17の移送ポンプ32によって第一固液分離槽13へ移送され、再度処理を受ける。
前記第二固液分離槽18は、濾床33を有しており、粒状担体を充填している。好気処理槽17から移流した汚水に含まれるSSは、この濾床33にて捕捉され固液分離される。第二固液分離槽18の一部にはその底部から濾床33の側方を通過して第二固液分離槽18の上部に至る流出路18aが形成され、その底部に前記第一固液分離槽13の上部側に配管接続された移送ポンプ34が設置されている。
なお、本実施例では、第二固液分離槽18の濾床33に粒状担体を充填して生物濾過方式を採用しているが、濾材を充填せず、沈殿槽にすることもできるが、その際には、十分な沈殿分離に要する時間を設ける必要がある。
第二固液分離槽18から移流した処理水は、仕切壁18Bの上部に形成された排出口18bから消毒槽19に移送され、滅菌消毒された後に、流出口36から系外に排出される。
移送ポンプ25は、エアリフトポンプであり、第一固液分離槽13、第一汚泥貯留槽14、第二汚泥貯留槽15、嫌気処理槽16の上部が流量調整部37になっていることから、移送水量が流量調整部37の水位変動(L.W.L〜H.W.L)に影響を受ける。
Claims (6)
- 汚泥を含む被処理水から固形物を分離する固液分離槽と、固液分離槽で分離した汚泥を貯留する第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽からなる二分割の汚泥貯留槽を有する水処理装置であって、前記第一汚泥貯留槽は、固液分離槽の底部と連通し、前記第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽を連結口で接続し、前記連結口は、前記第一汚泥貯留槽と固液分離槽の連通開口の下方に配置し、前記第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽にはそれぞれに散気装置と、前記第二汚泥貯留槽の槽内液を前記第一汚泥貯留槽に移送する移送ポンプを配置した水処理装置と、
該水処理装置の固液分離槽に形成された流出口に接続された嫌気処理槽と好気処理槽と消毒槽とを備えてなる汚水浄化槽。 - 汚泥を含む被処理水から固形物を分離する固液分離槽と、固液分離槽で分離した汚泥を貯留する第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽からなる二分割の汚泥貯留槽を有する水処理装置であって、前記第一汚泥貯留槽は、固液分離槽の底部と連通し、前記第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽を連結口で接続し、前記連結口は、前記第一汚泥貯留槽と固液分離槽の連通開口の下方に配置し、前記第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽にはそれぞれに散気装置と、前記第一汚泥貯留槽の槽内液を前記第二汚泥貯留槽に移送する移送ポンプを配置した水処理装置と、
該水処理装置の固液分離槽に形成された流出口に接続された嫌気処理槽と好気処理槽と消毒槽とを備えてなる汚水浄化槽。 - 請求項1において、第二汚泥貯留槽の槽内液を第一汚泥貯留槽に移送する移送ポンプの吸込口より下方にフィルターを配置した汚水浄化槽。
- 請求項2において、第一汚泥貯留槽の槽内液を第二汚泥貯留槽に移送する移送ポンプの吸込口より下方にフィルターを配置した汚水浄化槽。
- 前記好気処理槽と前記消毒槽との間に第二固液分離槽が設けられた請求項1〜4のいずれか一項に記載の汚水浄化槽。
- 前記嫌気処理槽と前記好気処理槽と前記第二固液分離槽の各々に各槽にて処理された汚水の一部を前記水処理装置の固液分離槽に戻す移送ポンプが設けられた請求項5に記載の汚水浄化槽。
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