JP6017095B1 - オゾン発生装置 - Google Patents

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Abstract

断面が円形の金属製の接地電極管と、外壁と接地電極管の内壁とがスペーサによって間隙を有するように接地電極管内部に保持され、内部に金属電極を備えた断面が円形の誘電体管とを備え、スペーサが誘電体管の管軸方向に分散して複数配置されており、この複数配置されたそれぞれのスペーサは、誘電体管の外周に巻かれた金属製のベース部と、このベース部に固定され、ベース部よりも厚さが厚い金属製の複数の板バネ部とにより構成され、複数の板バネ部のそれぞれの板バネ部の誘電体管の周方向の両端部が接地電極管の内壁に接触するようにした。

Description

この発明は、無声放電により酸素を含む原料ガスからオゾンを生成するオゾン発生装置に関するものである。
従来、水処理などに用いられているオゾン発生装置は、無声放電を利用したものが多い。無声放電を利用したオゾン発生装置の基本構成は、内面に金属膜が形成された円筒状の誘電体管を円筒状の金属管内に、この金属管内壁と誘電体管外壁とが所定の間隙を有するよう挿入した構成になっている。この間隙に酸素を含む原料ガス(空気、酸素ガスなど)を流して、金属管と誘電体管内面の金属膜の間に高圧の交流電圧を印加し、誘電体管の誘電体を介して間隙に交流電界を発生させることにより原料ガスを放電させ、原料ガス中の酸素をオゾン化することでオゾンを発生させる。
一方、特に大量の水処理に用いられるようなオゾン発生装置においては、近年、処理量の増大化に伴い、装置を大型化せずに処理量を増大させることが求められている。金属管内壁と誘電体管外壁との所定の間隙を均一に構成することで、オゾン発生効率を上げることができるため、間隙を均一にするためのスペーサに様々な工夫が加えられており、(a)金属を折り曲げて形成するもの(特許文献1)、(b)金属板にくぼみを設けて構成するもの(特許文献2)、(c)誘電体管の両側に挟み込むもの(特許文献3)、テープを誘電体管に貼り付けて構成するもの(特許文献4)などが提案されている。また、金属の板状のばね部材を誘電体管の周囲に少なくとも3個、樹脂のテープや接着剤で固定して配置したものの開示もある(特許文献5)。
特開2000−203808号公報 特開2008−013404号公報 特開2005−179102号公報 特開2013−252985号公報 特開平4−214003号公報
スペーサとしての機能を果たすため、スペーサには以下の機能が望まれる。(1)誘電体管と金属管の間の間隙は、誘電体管の寸法公差の範囲内でばらつく。このばらつきを吸収し、間隙を適正な値に保つため、スペーサにはある程度の弾性が必要、(2)スペーサを誘電体管に固定する場合、スペーサを挿入しても、誘電体管と金属管の間に、十分な原料ガスを通す空間を確保する、(3)誘電体管に容易にスペーサを装着あるいは挿入できる構成とし、かつ、誘電体管を金属管内へ挿入するとき、挿入しやすく、スペーサが移動しない、(4)スペーサの材料には、耐オゾン性が必要となる。すなわち、絶縁物の場合は、ガラス繊維、もしくはフッ素樹脂が望ましく、導電体(金属)の場合は、ステンレス等を用いるのが望ましい。従来のスペーサについては、以上の要求を満たす上で、以下の課題があった。
特許文献1に記載のもののように、スペーサを構成する上で、金属板を折り曲げて板バネを構成する場合、金属板を折り曲げる際に金属板が加工硬化を起こし、屈曲部の強度が上がり、十分な弾性を得ることができない、特許文献2に記載のもののように、金属板にくぼみを設ける場合でも、同様の加工硬化が生じるため、十分な弾性を得ることができない、特許文献3に記載のもののように、誘電体管の両側に挟み込む構造は、誘電体管が短い場合には有効であるが、長くなると中央部の間隙を適正に保つことができない、特許文献4に記載のもののように、テープを誘電体管に貼り付ける構成は、テープの厚み方向の弾性分しか吸収できないため、十分な弾性を得ることができない、特許文献5に記載のものでは、弾性を得ることはできるが、誘電体管の装着時のスペーサ位置の保持が難しい、あるいは、耐オゾン性に難がある材質を使用しているという問題があった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、加工硬化が生じず、十分な弾性が得られるとともに、誘電体管の挿入が容易なオゾン発生装置を得ることを目的とする。
この発明に係るオゾン発生装置は、断面が円形の金属製の接地電極管と、外壁と接地電極管の内壁とがスペーサによって間隙を有するように接地電極管内部に保持され、内部に金属電極を備えた断面が円形の誘電体管と、間隙に、酸素を含む原料ガスを流し、接地電極管が接地電位、誘電体管内部の金属電極が高電位となる交流電圧を印加することにより、間隙を流れる原料ガスを放電させてオゾンを発生させるオゾン発生装置において、スペーサが誘電体管の管軸方向に分散して複数配置されており、この複数配置されたそれぞれのスペーサは、誘電体管の外周に巻かれた金属製のベース部と、このベース部に固定され、ベース部よりも厚さが厚い金属製の複数の板バネ部とにより構成され、複数の板バネ部のそれぞれの板バネ部は自由空間では平面であり、前記それぞれの板バネ部の前記誘電体管の周方向の両端部が前記接地電極管の内壁に接触することにより前記それぞれの板バネ部が曲がってバネ力を生じるものである。
この発明によれば、製造工程において曲げや変形の伴わない板をバネとして用いているため、板に加工硬化が生じず、挿入後も適度な弾性が保たれるとともに、誘電体管の挿入が容易なオゾン発生装置を得ることができる。
この発明の実施の形態1によるオゾン発生装置の要部の構成を示す断面図である。 この発明のオゾン発生装置を示す模式的な側面断面図である。 この発明の実施の形態1によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態1によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す展開図である。 この発明の実施の形態1によるオゾン発生装置のスペーサを装着した誘電体管を接地電極管に挿入するときの要部拡大側面断面図である。 この発明の実施の形態1によるオゾン発生装置のスペーサを装着した誘電体管を接地電極管に挿入するときの図5のB−B位置での断面図である。 この発明の実施の形態1によるオゾン発生装置の別のスペーサの構成を示す展開図である。 この発明の実施の形態1によるオゾン発生装置のさらに別のスペーサの構成を示す展開図である。 この発明の実施の形態2によるオゾン発生装置の要部の構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態2によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態2によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す展開図である。 この発明の実施の形態3によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す展開図である。 この発明の実施の形態4によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す展開図である。 この発明の実施の形態5によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す展開図である。 この発明の実施の形態6によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す展開図である。 この発明の実施の形態6によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態6によるオゾン発生装置のスペーサの別の構成を示す展開図である。 この発明の実施の形態7によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す展開図である。 この発明の実施の形態7によるオゾン発生装置のスペーサのスリット部の構成を示す拡大図である。 この発明の実施の形態8によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す展開図である。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1によるオゾン発生装置について図1から図4に基づいて説明する。図2はこの発明の各実施の形態に共通なオゾン発生装置の構成を模式的に示す側面断面図である。図1はこの発明の実施の形態1によるオゾン発生装置の図2のA−A位置での要部の構成を示す断面図である。図3は、この発明の実施の形態1によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す断面図である。図4は、この発明の実施の形態1によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す展開図であり、図4Aは平面図、図4Bは側面断面図である。
まず図2を参照して、この発明を適用するオゾン発生装置の概要を説明する。断面が円形の金属管である接地電極管1の内部に、内面に金属電極となる導電膜3が形成された断面が円形の誘電体管2がスペーサ10により所定の間隙を保持して挿入されている。この間隙にはガス入口6からガス出口7に向けて、酸素あるいは空気といった酸素を含む原料ガスが流される。高電圧高周波電源4から導電膜3にコンタクト9を通じて高周波の交流電圧が印加されることにより、誘電体管2と接地電極管1の間の間隙で放電が生じる。すなわち、間隙は放電空間5を形成する。誘電体管2は材料が誘電体であればガラス管、セラミック管などを用いることができる。以降は、誘電体管2としてガラス管を用いた例で説明する。また、金属電極は、誘電体管2の内面に形成された導電膜3以外にも、誘電体管2の内部に金属棒を挿入したものなど、誘電体管2の内部に設けられた導電体であれば良い。
次に動作について説明する。ガラス管2内面の導電膜3と接地電極管1との間に、高周波の交流電圧を印加して放電空間5に高電界を発生させると、放電空間5のガスがプラズマを作る。ここにガス入口6から原料ガスを導入すると、プラズマ中で酸素がオゾン化し、ガス出口7ではオゾンを高濃度に含むガスとなる。この際、放電空間5を形成する間隙の寸法であるギャップ長、すなわち放電ギャップ長のばらつきが大きいと、局部に放電が集中し、オゾン化効率が低下してしまう。放電ギャップ長のばらつきを抑制するため、ガラス管2と接地電極管1の間にスペーサ10を挿入してギャップを均一化している。
このスペーサ10について、図1から図4を用いて詳述する。図3に示すように、スペーサ10は、ベース部11を構成するベース板(本実施の形態1ではベース部とベース板は同一部分を示すためいずれも符号11として示す。)に板バネ部12を構成する板バネ部材(本実施の形態1では板バネ部と板バネ部材は同一部分を示すためいずれも符号12として示す。)が板バネ部材溶接部13において例えばスポット溶接、レーザー溶接などで接合されており、ベース板11は両端部のベース板溶接部14において例えばスポット溶接などで接合されてベース板11が環状に形成されている。スペーサの展開図である図4Aに示すように、隣り合う板バネ部材12の間のベース板11には、スリット部15としてガラス管2の管軸方向に切られた複数のスリットが形成されており、両端部には位置決めピン穴16が開けられている。実施の形態1におけるスペーサは、図3および図4に示されるようにステンレス製のベース板11とステンレス製の6枚の板バネ部材12で構成され、板バネ部材12は、リング状のベース板11に、板バネ部材12の中央部のみで溶接されている。このため、自由空間では、図4A、図4Bに示されるように、板バネ部材12は平面になる。この板バネ部材12は、製造工程において板バネ部材溶接部13以外は曲げなどの加工がなく、また、厚みを自由に設定できるため、バネ係数の自由度が大きく、必要な押し力を発生させることができる。
このスペーサ10をガラス管2にはめ込んだあと、接地電極管1に挿入すると、図1の断面図に示すように、板バネ部材12が接地電極管1とガラス管2の間で曲げられ、板バネ部材12のガラス管2の周方向の両端部が接地電極管1の内壁に接触し、板バネとしてガラス管2を接地電極管1の中央に押し戻す力を生ずる。このため、図2に示すように、接地電極管1とガラス管2の間隙にスペーサ10をガラス管2の管軸方向に分散して複数配置することにより、ガラス管2をその全長に渡り、接地電極管1のほぼ中央に配置することができ、間隙を均一化してオゾン発生効率を上げることができる。
スペーサ10を接地電極管1に挿入する際、ベース板11をガラス管2に固定する必要がある。本実施の形態1では図4に示されるような帯状のベース板11の両端をスポット、もしくはレーザーなどで溶接することで、図3のように予めリング状に整形している。さらに、ベース板11には、スリット部15として図4Aに示されるような複数のスリットが切られており、ガラス管2の外径より若干小さくリングの径を調整して溶接することで、接地電極管1へのガラス管2の挿入時にスリット部15が広がり、バネの作用をするので、周方向の引っ張り力を発生させることができる。この引っ張り力により、ガラス管2の径がばらついている場合でも、スペーサ10のベース板11はガラス管2に巻かれた状態で密着する。リングの初期周長は、ベース板11をガラス管2に巻かれた状態で密着させる上で重要となるので、両端部に形成された位置決めピン穴16に位置決めピンを挿入してリングに整形することで周長を管理している。このように構成することで、スペーサ10を容易にガラス管2の所望の位置に設置することができ、設置時間を短縮し、設置コストを低減できる。
一方、スペーサ10には、間隙5のギャップ長、すなわち放電ギャップ長を均一に保つという機能の他に、間隙5に流れる原料ガスの流れを極力妨げないという機能も要求される。ガスの流れが悪くなると、必要な流量Qを流すのに必要な圧力差ΔPが大きくなり、圧力容器に必要とされる容器の厚みが大きくなるため、コストが上がる。さらに、原料ガスの供給圧力も上げる必要があり、能力の高い原料ガスの供給装置が必要となる。スペーサ10の管軸方向の両端に生ずる圧力差ΔPsは、ガラス管2と接地電極管1の間の空間に占めるスペーサ10の割合Aとスペーサの管軸方向の長さL(図4A参照)に依存する。圧力差を小さくするには、スペーサ10のベース板11の厚さは、間隙のギャップ長の1/4以下にすることが望ましい。
一方で、スペーサの曲がりによる反発力Fは、一般に、下記板バネのバネ力の式に従う。
F=(E・L・t/a)・δ
ここで、Eはヤング率、Lは板バネ部材12の管軸方向の長さ、tは図4Bに示すように板バネ部12の厚さ、aは板バネ部材12のガラス管2の周方向の半幅、δは板バネ部材12の曲げ量である。
この式に示されるように反発力は、板バネ部材12の長さLに比例し、板バネ部材12の厚さtの3乗に比例する。このため、圧力差ΔPsを小さくするため、スペーサの管軸方向の長さLを短くしたとしても、板バネ部材12の板厚tを大きくすることで、適当な押し力を確保できる。本発明におけるスペーサ10は、ベース板11と板バネ部材12の板厚を自由に設定できるため、ベース板11を薄くしてΔPsを小さくし、かつ、板バネ部材12の板厚をベース板11よりも厚くして十分な反発力によって、ガラス管2の位置補正が可能なスペーサを構成できる。従って、ベース板11の厚さに比べ板バネ部材12の厚さを厚くすると、圧力差ΔPsを小さくできるとともに、バネ力を強くでき、放電ギャップ長を均一に保持できるのでオゾン発生効率を向上させることができる。
また、本実施の形態1における板バネ部材12の形状は、長方形ではなく、片方向の角を落とした(面取りした)変形六角形状を有する。これは、スペーサ10の挿入時には、ガラス管2と接地電極管1の間のスペースに板バネ部材12の先端、すなわち、片方向を切り落とした側を挿入し、さらにガラス管2を押し込む際に、スムーズに板バネ部材12が曲り、ガラス管2の押し力を発生させるための形状である。
図5にスペーサ10が装着された部分のガラス管2が接地電極管1に挿入されるときの側面断面図を、図6に図5のB−B部分の断面図を示す。板バネ部材12の周方向の幅が、挿入される側の端部から最大幅まで連続して広くなっている。このため、スペーサ10が装着された部分が挿入されるとき、図6に示すように、板バネ部材12の端部を結ぶ外径c(破線の円で示している)が接地電極管1の内径よりも小さく、挿入が容易である。挿入するにしたがって板バネ部材12のガラス管2の周方向の両端部が接地電極管1の内壁に接触しながら板バネ部材12が曲がってゆく。このため、挿入時に板バネ部材12を別途曲げながらスペーサ10を挿入する必要が無く、挿入時の手間を省けるので組立工数を減らすことができ、コストを削減する効果がある。面取りは片方向だけでなく両方に施しても同様の効果を奏する。また角をなくす面取りではなく、角を円弧状にするR加工を施しても同様の効果を奏する。板バネ部材12の周方向の形状が、挿入される側、すなわちガラス管2の管軸方向の少なくとも一方の端部の幅が最大幅(例えば図4であれば2aで示す幅)よりも狭く、この一方の端部から最大幅まで連続して広くなる形状であれば、どのような形状でも良い。なお、図4Aにおいて、板バネ部材12の上側、すなわち、面取りがある側と反対側に小さな凸部があるが、これは、エッチング時に部材を保持するつなぎと呼ばれる部分の名残であり、効果に影響するものでは無い。
図7は、本発明の実施の形態1によるオゾン発生装置の別の構成のスペーサを示す展開図である。図7のスペーサにおいては、板バネ部材12の形状を、ガラス管2の周方向の幅が一定である角形としている。図4に示される、面取りされた変形六角形状のスペーサは、挿入しやすいという効果の反面、面取り部分の面積だけ板バネとしての面積が減少するため、バネ力が弱くなるという問題がある。図7に示すスペーサでは、板バネ部12のガラス管2の周方向の幅が一定であるため、板バネ部12の面積が減少せず、バネ力が弱くならないという効果がある。ただし、図4のスペーサを装着した誘電体管2では治具なしで接地電極管1への挿入が可能であるが、図7のスペーサでは、挿入を容易にするための治具を用意する必要がある。
図8は、本発明の実施の形態1によるオゾン発生装置のさらに別の構成のスペーサを示す展開図である。図8のスペーサは、スペーサを予めリング状に形成してガラス管2に挿入するのではなく、ガラス管2の所定位置にベース板11を直接巻き付けて接着することでスペーサをガラス管2に保持する。このため、図4のスペーサで設けていたスリット部15のような、周方向にバネ力を発生する構成は必要がない。また、ベース板11の両端を予めスポット溶接などで接合してリング状に構成しないため、スペーサを安価に製作できるという効果がある。
本実施の形態1のみならず、他の実施の形態を含めて、本発明によるスペーサは、いかなる放電ギャップ長の場合にも適用可能である。ただし、放電ギャップ長が例えば約0.6mm以上のような広い場合には、いろいろなスペーサ構成が可能であるのに対して、例えば、0.3mm以下の短ギャップ長の場合には、狭い空間で大きなばね力を生じさせる構成は非常に難しくなる。本実施の形態1を含め、本願その他の実施の形態によるオゾン発生装置のスペーサは、0.3mm以下の短ギャップにおいて、特に有効である。
本実施の形態1においては、板バネ部12が6個の場合を示したが、3個以上10個程度以下であれば、類似の効果が期待できる。ただし3、4個と少ない場合は、板バネ部の1個当たりの必要ばね力が大きくなるため設計が難しくなり、逆に、8個以上になると製造工程増加が顕著になるため、好ましくは5から7個が良く、さらに好ましくは、6個が最適である。また図2において、ガラス管1本当たりスペーサ10を6個配置した場合を示したが、ガラス管2の長さに応じて3から10個を配置すればよい。
実施の形態2.
図9から図11は本発明の実施の形態2によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す図である。図9はこの発明の実施の形態2によるオゾン発生装置の図2のA−A位置での断面図である。図10は、実施の形態2によるスペーサの詳細を示す模式的な断面図、図11は展開図であり、図11Aは平面図、図11Bは側面断面図である。本実施の形態2によるスペーサは、一枚の金属部材、例えばステンレス板を2段階でエッチングすることで、ベース部11と板バネ部12を形成する。ここで、板バネ部12の位置における厚さtbの部分も含めて、すなわち厚さtb全体にわたってベース部11と称することにする。この構成によれば、実施の形態1のスペーサのように、板バネ部材をベース板に溶接する工程が必要なく、スペーサの組立を簡易化することでコストを低減するという効果がある。また、放電ギャップが狭い場合、板バネ部材を厚くしすぎると、誘電体管2の接地電極管1への挿入が難しくなってくる。すなわち、板バネ部材の厚さには限界がある。このとき、本実施の形態においては、スペーサのバネ力は、実施の形態1の板バネ部材に相当する板厚tのみでなく、ベース部11の板厚tbを加えた値となる。このため、ベース部材と板バネ部材との合計厚さが同じ場合、実施の形態1よりもバネ力を増大でき、誘電体管2の偏心矯正力を向上できるという効果もある。
実施の形態1と同様、本実施の形態2によるスペーサにおいても、スリット部15として複数のスリットが切られており、ガラス管2の外径より若干小さくリングの径を調整して溶接することで、ガラス管2の挿入時にスリットが広がるときにバネの作用をするので、周方向の引っ張り力を発生させることができる。この引っ張り力により、ガラス管2の径にばらつきがある場合でも、スペーサはガラス管2に巻かれた状態で密着する。
また、実施の形態1で説明したのと同様、板バネ部12の形状を、角を落とした形状や、角部が丸みを有する形状にして、ガラス管2の管軸方向の少なくとも一方の端部から最大幅まで連続して広くなる形状とすることで、ガラス管2を接地電極管1に挿入する際にスムーズに作業を行うことができる。また、ベース部11の厚みを放電ギャップ長の1/4以下にすることが望ましいことは、実施の形態1と同様である。
実施の形態3.
図12は、本発明の実施の形態3によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す展開図である。図12の左は平面図であり、右は平面図の右から見た側面図である。本実施の形態3によるスペーサは、実施の形態2と同様、一枚の金属部材、例えばステンレス板を部分的に厚さを変えたエッチングを行うことで、ベース部11と、ベース部11よりも厚い板バネ部12とを形成する。具体的には、ベース部11に、時間と液温管理のもとでのハーフエッチングを施して減肉することにより、容易に製造することが出来る。本実施の形態3では、板バネ部12はベース部11に対して、突出して設けられている。すなわち、ガラス管2に装着された場合、板バネ部12は、ベース部11に対してガラス管2の管軸方向に突出して配置されることになる。また、ベース部11は誘電体管2へ接着剤あるいは両面テープ等により接着する。両面テープをベース部11に取り付ける場合は、減肉した面に取り付けるようにすると、その反対面、すなわち、おもて側にベース部と板バネ部の段差が無くなるため、誘電体管2を容易に接地電極管1へ挿入することが可能である。
本実施の形態3によるスペーサも、実施の形態2によるスペーサと同様の効果がある。すなわち、スペーサ部材の厚さの制約が大きい狭いギャップの場合に、スペーサ部材厚さのすべてを板バネに使えるため、同じスペーサ厚さにおいては最大のバネ力が発揮でき、誘電体管2の偏心矯正力を向上できるという効果もある。また、実施の形態2と比較し、ベース部11を誘電体管2により密着でき、スペーサが移動しにくいという効果もある。
図12においては、ベース部11より厚さの厚い部分を略六角形の板バネ部12のみとしたが、ベース部11の付け根(細くなっている部分)を板バネ部12と同じ厚さとし、すなわち、段差をベース部の上端ラインに一致させてもよい。また、段差をベース部の付け根(細くなっている)の中央付近に設けても良く、また、明確な段差でなく、厚さが徐々に変わる構成でも良い。つまり、基本的に板バネ部12が厚く、ベース部11が薄ければよく、その境界部分の微細な構造は種々可能である。
また、実施の形態1で説明したのと同様、板バネ部12の形状を、角を落とした形状や、角部が丸みを有する形状にして、ガラス管2の管軸方向の少なくとも一方の端部からガラス管2の周方向の最大幅まで連続して広くなる形状とすることで、ガラス管2を接地電極管1に挿入する際にスムーズに作業を行うことができる。また、ベース部11の厚みを間隙のギャップ長の1/4以下にすることが望ましいことは、実施の形態1と同様である。
さらに、本実施の形態3においては、図8に示したスペーサと同様、ベース部11は誘電体管2へ接着剤あるいは両面テープ等により接着させる例を示したが、実施の形態1や実施の形態2で説明したのと同様、ベース部11にスリットを設けて、あらかじめリング状に構成しても良いことは言うまでもない。
実施の形態4.
図13は、本発明の実施の形態4によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す展開図である。本実施の形態4によるスペーサは、実施の形態1と同様、ベース板11に板バネ部材12を溶接により固定している。ただし、溶接部18は周方向に線状に溶接された溶接部となっている。本実施の形態4では、スポット溶接により点でベース板11に板バネ部材12を固定する実施の形態1と異なり、一枚の金属板によりベース部11と板バネ部12を構成する実施の形態2のスペーサと同様、スペーサのバネ力として板バネ部材の厚みにベース板の厚みを加えることができる。このため、スペーサの板厚を薄くでき、ガスの流通性を上げることが出来る。
2枚の板の接合により、スペーサのバネ力にベース板の厚みを加えることができる構成としては、図13で示す線状の溶接のみならず、板バネ部材12全体をベース板11に溶接する構成や、板バネ部材12をベース板11に接着する構成によっても実現できる。
実施の形態5.
図14は、本発明の実施の形態5によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す展開図である。本実施の形態5によるスペーサは、板バネ部材の板厚を変更することでバネ力を調整するのではなく、ガラス管2の管軸方向における板バネ部材12の長さLを変えることで、バネ力を調整している。放電ギャップが狭い場合、板バネ部材の厚さに限界があるため、板バネ部材のばね力にも限界がある。一方、管軸方向のベース部材の幅を広くすることは、放電面積を狭くすることになるという欠点がある。本実施の形態5では、ベース部11の幅を広げることなく、かつ、板バネ部材12の板厚を増加させることもなく、板バネ部材のばね力を向上できるという大きな効果がある。また、規格に準じた値の板厚の金属板しか入手可能ではないため、板厚を自由に変化できず、板厚によりバネ力を調整する場合、連続したバネ力の変化を得ることができない。一方、板バネ部材12の長さLの変更ではバネ力を連続的に変化させることが出来、バネ力を精度良く調整できるという効果がある。実施の形態2および実施の形態3、すなわち図11および図12においても、板バネ部12のガラス管2の管軸方向の長さを長くすることで、同様の効果が得られるのは言うまでもない。
実施の形態6.
図15は、本発明の実施の形態6によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す展開図である。図15に示すスペーサは、ベース板11をガラス管2に固定するためのノッチ部22、およびノッチ部22を固定する固定スリット23を設けている。図16は、スペーサ10がガラス管2に巻き付いた状況での組立状況を示す断面図である。また、図17は、本発明の実施の形態6によるオゾン発生装置の別のスペーサの構成を示す展開図である。図17に示すスペーサは、ベース板11をガラス管2に固定するためのフック部25、およびフック部25を引掛けるフック引掛けスリット26を設けている。
実施の形態1において、図8に、ベース板をガラス板に巻き付て接着して固定する巻き付け型のスペーサを示した。本実施の形態6によるスペーサは、図8で示したスペーサと同様、予めスペーサをリング状に形成せずにガラス管2に直接巻き付けてスペーサを設置する巻き付け型である。ただし、ノッチ部22を固定スリット23に通し、あるいはフック部25をフック引掛けスリット26に通して引っ張るだけでスペーサがガラス管2に固定される。このため、図8の構成のスペーサでは必要であった接着作業がいらず、工程が簡略化されるために、組立てコストが低下するという効果がある。
実施の形態7.
図18は、本発明の実施の形態7によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す展開図である。本実施の形態7によるスペーサでは、スリットの端部に、スリット端部に発生する応力を緩和する応力緩和部28を設けている。ガラス管2の挿入前にスペーサを取付け、その後ガラス管2を接地電極管1の中に挿入するので、スペーサがガラス管2に固定されていないとスペーサがガラス管2上で滑り所定の位置にスペーサを組立てることができない。従って、スペーサ周方向に十分な引っ張り力を発生させるようにスリットの形状、個数を設計する必要がある。一方、ベース板は、原料ガスの通過空間を確保し圧力差ΔPsを小さくするためベース板厚を薄くする必要があるため、スペーサ周方向に十分な引っ張り力を発生させようとするとガラス管2の挿入時などに、複数配置されているスペーサの各ベース板間に異なる力が働いた場合、スリット端部に剪断応力を生じる。これが、破断応力を越えると、ベース板が破断し、不良となる。スリット端部にかかる応力は、端部のRが大きいほど小さくなる。このため、スリットの端部の形状を曲率半径を有する円弧状としこの円弧状の部分を応力緩和部28とした。この構造を用いることで、ガラス管2の挿入時のスペーサ不良発生率を減らし、歩留まりを上げることができ、コストを削減できるという効果がある。
ベース部11のスリット部15の構成を示す拡大図である図19における、応力緩和部28の曲率半径Rおよびスリット切れ込み長Hの寸法を変えて実験した結果、H/R=20以下で破損しにくくなり、H/R=6以下でほとんど破損しなくなった。
実施の形態8.
図20は、本発明の実施の形態8によるオゾン発生装置のスペーサの構成を示す展開図である。本実施の形態8によるスペーサでは、スリット部15の伸びを大きくする伸び拡大部29を設けている。ベース板11は、スリット部15が伸びることでガラス管2の径にフィットし、安定に固定される。本実施の形態8では、図20に示すように、スリットの端部をガラス管2の管軸方向に対して傾け、、傾けた部分を伸び拡大部29とした。スリットに伸び拡大部29を設けると、スリットをガラス管2に巻き付ける際にスリット部15がガラス管2から若干離れ、立体的に変形することで、スリット部15の立体変形を助長し、スリット部15の伸びを大きくする。このように構成すると、ベース板11の伸び代が大きくなるので、ガラス管2の製作誤差による外径のばらつきに対応できる範囲が広がり、ガラス管2の外径誤差に対応して異なる寸法のベース板11を用意する必要がなくなる。この結果、ベース板11の種類を減らすことができ、ベース板の製作コストを小さくできるという効果がある。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を組み合わせたり、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 接地電極管、2 ガラス管(誘電体管)、3 導電膜、4 高電圧高周波電源、5 放電空間、6 ガス入口、7 ガス出口、8 冷却水、9 コンタクト、10 スペーサ、11 ベース部(ベース板)、12 板バネ部(板バネ部材)、13 板バネ部材溶接部、14 ベース板溶接部、15 スリット、28 応力緩和部、29 伸び拡大部

Claims (9)

  1. 断面が円形の金属製の接地電極管と、
    外壁と前記接地電極管の内壁とがスペーサによって間隙を有するように前記接地電極管内部に保持され、内部に金属電極を備えた断面が円形の誘電体管と、
    前記間隙に、酸素を含む原料ガスを流し、前記接地電極管が接地電位、前記誘電体管内部の金属電極が高電位となる交流電圧を印加することにより、前記間隙を流れる原料ガスを放電させてオゾンを発生させるオゾン発生装置において、
    前記スペーサが前記誘電体管の管軸方向に分散して複数配置されており、この複数配置されたそれぞれのスペーサは、前記誘電体管の外周に巻かれた金属製のベース部と、このベース部に固定され、前記ベース部よりも厚さが厚い金属製の複数の板バネ部とにより構成され、前記複数の板バネ部のそれぞれの板バネ部は自由空間では平面であり、前記それぞれの板バネ部の前記誘電体管の周方向の両端部が前記接地電極管の内壁に接触することにより前記それぞれの板バネ部が曲がってバネ力を生じることを特徴とするオゾン発生装置。
  2. 前記それぞれの板バネ部は、前記誘電体管の周方向の幅が、前記誘電体管の管軸方向の少なくとも一方の端部から最大幅まで連続して広くなる部分を有する形状であることを特徴とする請求項1に記載のオゾン発生装置。
  3. 前記それぞれの板バネ部と前記ベース部が別部材で構成され、前記板バネ部が前記ベース部に接合されていることを特徴とする請求項1または2に記載のオゾン発生装置。
  4. 前記複数の板バネ部と前記ベース部とは一枚の金属板で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のオゾン発生装置。
  5. 前記それぞれの板バネ部が、前記ベース部に対し前記誘電体管の管軸方向に突出して配置されていることを特徴とする請求項4に記載のオゾン発生装置。
  6. 前記ベース部の厚みは前記間隙のギャップ長の1/4以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
  7. 前記複数の板バネ部のうち隣り合う板バネ部の間の前記ベース部に前記誘電体管の管軸方向に切られた複数のスリットを有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のオゾン発生装置。
  8. 前記スリットの端部の形状を円弧状としたことを特徴とする請求項7に記載のオゾン発生装置。
  9. 前記スリットの端部を前記誘電体管の管軸方向に対して傾けたことを特徴とする請求項7または8に記載のオゾン発生装置。
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