作物選別装置は、作物の姿勢を揃えて整列搬送する整列送出装置による整列工程部と、作物を形質区分に仕分けする選別搬送装置による選別工程部とを直列に連結して構成される。その基本構成例を以下に示す。
図1〜図5に示すとおり、実施例の一つとして示す人参等の作物を整列させる整列送出装置は、投入した人参を貯留する貯留部Aと、貯留部Aから人参を汲上搬送する汲上搬送部Bと、汲上搬送部Bから排出される人参を受けて整列させながら搬送する整列搬送部Cとから構成される。以下、各部の詳細を具体的に記載する。
本願において選別対象となる人参は、圃場から掘取収穫したときの泥土が付着しているため、選別作業の前工程として洗浄機による洗浄作業が行うことが一般的である。このとき、人参に付着していた泥土や夾雑物、及び人参の表面を覆う白色の薄皮が除去される。除去された泥土や薄皮は洗浄水に混入するため、人参に付着した洗浄水は通常の水(水道水や河川の水等)よりも強い粘性を有するものとなる。よって、本願において「水」という場合には、上記の通り強い粘性を有するものを指し示すものとする。
(整列工程部)
まず、貯留部Aについて説明する。
図1及び図2で示すとおり、メインフレーム1の搬送方向上手側前部に人参を貯留するホッパ2を取り付け、該ホッパ2の搬送方向上手側の前端部に下り傾斜姿勢の傾斜板2aを取り付けると共に、ホッパ2の左右両側端部に夫々下り傾斜姿勢の左右傾斜板2b,2bを取り付けることによって、貯留部Aが構成される。
次に、汲上搬送部Bについて説明する。
図1及び図2で示すとおり、前記ホッパ2の内側下部に左右の側板3,3を取り付けると共に、該左右の側板3,3の後端部に左右の汲上側板4,4を後上り傾斜姿勢に取り付ける。また、該左右の汲上側板4,4の後端部左右間に駆動スプロケット5,5を左右両端に各々装着した駆動シャフト6を回転自在に取り付け、左右の側板3,3と左右の汲上側板4,4の境目に左右テンションスプロケット8,8を各々装着した左右中間シャフト9を回転自在に取り付けると共に、左右の側板3,3の前端部に左右の従動スプロケット10,10を各々装着した従動シャフト11を回転自在に取り付ける。
そして、該左右の駆動スプロケット5,5と左右のテンションスプロケット8,8と左右の従動スプロケット10,10とに左右の伝動チェーン12,12を無端状に巻回する。さらに、該左右の伝動チェーン12,12の左右間に人参を搬送方向下手側へ搬送する複数の搬送ローラ14…を回転自在に取り付け、該搬送ローラ14…同士の前後間隔を広い間隔部S1と狭い間隔部S2が交互に形成されるよう配置し、前記左右の汲上側板4,4の終端部に人参を排出する案内シュータ15を取り付けて、汲上搬送コンベア16を構成する。
なお、この案内シュータ15は金属、プラスチック等の硬質部材で構成すると排出位置が安定しやすく、塩化ビニルやスポンジ等の軟質部材で構成すると汲上搬送コンベア16の搬送終端部の直下の、左右第1整列搬送コンベア34,34の搬送始端部に乗せることができ、効率よく人参を整列搬送させることができると共に、案内シュータ15の端部に人参が接触して傷付くことが防止できるので、人参の商品価値が向上する。
そして、前記左右の汲上側板4,4の上側に汲上伝動ケース17を取り付け、該汲上伝動ケース17の上部に汲上搬送コンベア16に駆動力を供給する駆動モータ18を取り付ける。また、前記出力スプロケット20を前記駆動シャフト6の左右一側の端部に軸着して配置し、前記汲上伝動ケース17の内部で入力スプロケット21を駆動モータ18の出力軸に装着すると共に、該出力スプロケット20と入力スプロケット21との間に汲上伝動チェーン22を無端状に巻き掛けることによって、汲上搬送部Bが構成される。
上記構成によれば、搬送ローラ14…同士の前後方向の間隔を、広い間隔部S1と狭い間隔部S2とが交互に形成されるよう配置したことによって、広い間隔部S1ではS〜Lサイズの人参が混在して搬送されるか、あるいは2L、3Lサイズの人参が一本ずつ搬送されるとともに、狭い間隔部ではS〜Lサイズの人参が搬送され、2L、3Lサイズの人参はその後側の広い間隔部S1に移動させられるので、後述する左右第1整列搬送コンベア34,34の搬送始端部に2L、3Lの人参が一度に大量に投入されることを防止でき、人参の整列制度が向上するので、後述する選別搬送部Eでの選別精度も向上する。
なお、前記搬送ローラ14…同士の前後間隔のうち、広い間隔部S1の幅は2L、3Lサイズの人参の平均的な直径である80mm〜100mm前後とし、狭い間隔部の幅はS〜Lサイズの人参の平均的な直径である60〜80mm前後とすると、上記の効果がいっそう発揮されやすくなるので、整列送出装置の整列精度及び選別搬送部Eの選別精度をさらに向上させることができる。
次に、整列搬送部Cについて説明する。
図1〜図4で示すとおり、前記メインフレーム1の後側上部に整列搬送フレーム23を取り付け、該整列搬送フレーム23の上面の左右両側に左右の整列側板24,24を取り付ける。該左右の整列側板24,24の左右間隔は、前記汲上搬送部Bの汲上側板4,4の左右間隔と略同一とする。
そして、該左右の整列側板24,24に案内傾斜板25,25を、各々整列搬送フレーム23に向かって下り傾斜姿勢で配置し、該整列搬送フレーム23の搬送方向上手側に左右の主整列駆動プーリ26b,26bを、主駆動回転軸27bに装着して配置する。また、該主駆動回転軸27bよりも搬送方向下手側に加速駆動回転軸27aを設け、該加速駆動回転軸27aに前記左右の主整列駆動プーリ26b,26bよりも径の大きい加速整列駆動プーリ26aを装着する。なお、該加速整列駆動プーリ26aは、左右の主整列駆動プーリ26b,26bの左右間に配置する。
また、前記整列搬送フレーム23の搬送方向始端側にインバータ付の第1整列駆動モータ28aを設置し、該第1整列駆動モータ28aの出力軸に第1出力プーリ28cを装着すると共に、前記加速駆動回転軸27aの一側端部に第1入力プーリ27cを装着し、該第1出力プーリ28cと第1入力プーリ27dとに亘って第1伝動ベルト29aを無端状に巻回する。第1整列駆動モータ28aは、作業者が随時出力を変更し、加速駆動回転軸27aの回転数を変更し得るものとする。
一方、第1整列駆動モータ28aの近傍に第2整列駆動モータ28bを設置し、該第2整列駆動モータ28bの出力軸に第2出力プーリ28dを装着すると共に、前記副駆動回転軸27bの一側端部に第2入力プーリ27dを装着し、該第2出力プーリ28dと第2入力プーリ27dとに亘って第2伝動ベルト29bを無端状に巻回する。
さらに、前記整列搬送フレーム23の搬送方向後端部に従動軸30を設け、該従動軸30に、中央の加速整列従動プーリ31aと左右の主整列従動プーリ31b,31bとを、各々に設けるベアリング32を介して個別に回転自在に装着する。該加速整列従動プーリ31aは加速整列駆動プーリ26aと同径とし、左右の主整列従動プーリ31b,31bは左右の主整列駆動プーリ26b,26bと同径とする。
そして、前記加速整列駆動プーリ26aと加速整列従動プーリ31aに亘って加速整列搬送ベルト33を無端状に巻回すると共に、前記左右の主整列駆動プーリ26b,26bと左右の主整列従動プーリ31b,31bに亘って左右の主整列搬送ベルト34,34を無端状に巻回することによって、整列搬送コンベア35が構成される。
このとき、前記汲上搬送部Bの案内シュータ15の搬送方向下手側で且つ下面側には、該加速整列搬送ベルト33に接触して加速整列搬送ベルト33を下方に押し下げる押下げ接触体36を設ける。該押下げ接触体36と接触して押下げられた加速整列搬送ベルト33は、前記案内シュータ15の搬送方向後端部の下方から、整列搬送コンベア35の前後中央部の近傍に亘って左右の主整列搬送ベルト34,34よりも下方に位置し、整列搬送コンベア35の搬送方向後端部においては、左右の主整列搬送ベルト34,34と略同じ高さまで突出する、または左右の主整列搬送ベルト34,34よりも上方に突出する。この突出部を、加速搬送部33sとする。
なお、前記押下げ接触体36は、加速整列搬送ベルト33の押下げ量を調節可能にすべく、案内シュータ15への取付位置を可変可能に構成したり、下方への突出量を調節可能に構成したりすると、押し下げた加速整列搬送ベルト33が左右の主整列搬送ベルト34,34と略同じ高さまで突出する、または左右の主整列搬送ベルト34,34よりも上方に突出する位置を調節することが可能となる。
上記構成において、加速整列搬送ベルト33の搬送速度V1は、第1整列駆動モータ28の出力を最低限まで下げても左右の主整列搬送ベルト34,34の搬送速度V2と同速度であり、出力を上げると20〜50%程度速くなる設定とする(V1≧V2)。なお、後述する選別搬送コンベア70の搬送速度V3は、第1整列駆動モータ28の出力を最大限まで上げた際の搬送速度よりも速く設定する(V1<V3)。
また、該整列搬送コンベア35の下方で、且つ前記整列搬送フレーム23の前後方向中央部から後端部に亘る箇所を開放し、この開放部の底部に整列搬送コンベア35から落下した人参を搬送方向に対して左右どちらか一側に案内する落下シュータ37を排出方向に向かって傾斜した姿勢で配置する。そして、前記整列搬送フレーム23のうち、該落下シュータ37から人参が排出される側の左右側部に、排出された人参を受けると共に貯留部Aに移動させるフィードバックシュータ38を、貯留部Aに向かって傾斜する前下がり傾斜姿勢で配置する。
なお、該フィードバックシュータ38の搬送始端側は整列搬送フレーム23に取り付けると共に、搬送終端側は前記ホッパ2内に人参が進入可能な位置に配置することにより、作業者がフィードバックシュータ38からホッパ2に人参を移動させる作業が不要となるので、作業能率の向上と共に作業者の労力の軽減が図られる。
また、前記落下シュータ37及びフィードバックシュータ38には、弾性を有すると共に摩擦係数の低い素材で構成するマット(図示省略)を敷設しておくと、落下の際に生じる衝撃により人参が割れたり潰れたりすることを防止できるので、人参の商品価値が向上すると共に、落下シュータ37やフィードバックシュータ38から人参が転がり落ちず、作業者が人参をホッパ2に移動させる作業が不要となるので、作業能率が向上すると共に、作業者の労力が軽減される。
そして、前記整列搬送コンベア35の左右両側で、且つ整列従動プーリ31より前側寄りの位置に、一本の人参を整列搬送コンベア35の搬送終端部から排出案内すると共に、複数本の人参が同時に接触すると余分な人参を落下シュータ37に案内すると共に、整列搬送コンベア35の搬送方向に人参の長手側が向く姿勢とする左右のガイドプレート39,39を、平面視で搬送方向始端側ほど左右幅が広くなると共に、基部側の左右間は整列搬送コンベア35の左右幅と略同じ幅となる姿勢で配置する。該左右のガイドプレート39,39は、塩化ビニル等の軟質な弾性素材で構成すると、人参と接触しても人参が傷付くことが無いので、人参の商品価値が向上する。
上記の構成とすることにより、整列搬送コンベア35で人参を搬送する際、複数の人参が重なり合っていても、遅くとも左右のガイドプレート39,39に接触したときに重なり合った人参を落下シュータ37に案内して貯留部Aのホッパ2に戻すことができるので、後述する選別搬送部Eに一本ずつ人参が送られ、複数の人参が同時に検知される誤選別の発生が防止される。
また、人参の搬送姿勢が、整列搬送コンベア35の搬送方向に対して長手方向を向く姿勢に矯正されることにより、選別搬送部Eで搬送される際に人参同士の前後間隔が略一定の距離となるので、選別のタイミングが略等間隔となり、複数本の人参が同時に収容容器に移動されることがなく、選別精度がいっそう向上する。
そして、整列搬送コンベア35の搬送始端側では加速整列搬送ベルト33を押下げ接触体36で上方から押し下げて左右の主整列搬送ベルト34,34よりも下方に位置させることにより、加速整列搬送ベルト33を押下げ接触体36による押下げ作用が弱まる整列搬送コンベア35の搬送終端部の近傍を加速搬送部33sとし、この加速搬送部33sに人参に接触させて人参の搬送速度を速くすることができるので、選別搬送部Eに搬送される人参同士の前後間隔が広くなり、人参が一本ずつ選別されるため、選別精度が向上する。
さらに、第1整列駆動モータ28aの操作により主駆動回転軸27aの回転数を変更可能に構成し、加速整列搬送ベルト33の搬送速度を変更可能としたことにより、選別する人参の本数の多少や品種、サイズ等の条件に合わせて整列搬送コンベア35の搬送終端部での人参の搬送速度を調節することができるので、人参同士の前後間隔が広がり過ぎ、あるいは狭まり過ぎて選別作業能率が低下することが防止される。
また、第1整列駆動モータ28aを操作して変更することができる加速整列搬送ベルト33の搬送速度V1は、最も速くしても選別搬送コンベア70の搬送速度V3よりも遅いことにより、整列搬送コンベア35から選別搬送コンベア70に引き継がれた人参はさらに高速で搬送方向下手側に搬送されるので、人参同士の前後間隔を確実に広げてられて誤選別が防止され、選別精度が向上する。
しかしながら、上記の構成では整列搬送コンベア35の左右両側には、人参の落下シュータ37への移動を規制するものは何も無いため、人参が整列搬送コンベア35に載る姿勢によっては、落下シュータ37の上方に差し掛かると同時に落下することがある。これが複数本の人参であれば特に問題は無いが、一本の人参が搬送されているときだと、選別作業の間が空いてしまい、作業時間が僅かながら伸びてしまう問題が生じる。特に、成長しやすく平均サイズが大型化しやすい初夏に収穫された人参や、大きくなりやすい品種の人参の選別作業を行うときは、この問題が生じやすい。
この問題の発生を低減すべく、図2〜図4で示すとおり、整列搬送コンベア35の左右どちらか一側、本例では、整列搬送コンベア35の搬送方向上手側を基準として左側に、固定シャッタ40を落下シュータ37の前後長さと略同じ範囲に亘って設けると共に、該固定シャッタ40を設けた側とは反対側、本例では右側に、所定範囲に亘って前後方向に摺動可能なスライドシャッタ41を設ける。
該固定シャッタ40は、上下方向に約20mm突出させて配置し、大型の人参が通過する際、その下側から3分の1乃至4分の1の領域と接触し得るものである。この約20mmという数値は、大型(2L〜3Lサイズ)の人参の平均的な径である60〜80mmを基準としている。そして、固定シャッタ40の搬送方向前端部から搬送方向前後中央部の近傍に亘り、複数の取付孔40a…を間隔を空けて形成し、該取付孔40a…には複数本重なり合った人参と接触し、整列搬送コンベア35の右側に押し出して重なりを崩す接触突起体42…を各々装着可能に構成している。接触突起体42は、図5で示している。
前記複数の取付孔40a…は、搬送方向上手側では取付孔40a同士の前後間隔を狭く形成し、搬送方向の前後中央部近傍では取付孔40a…同士の前後間隔を広く形成すると共に、搬送方向下手側には取付孔40a…を形成しない。
そして、前記接触突起体42は、図3で示すとおり、固定シャッタ40の外側部、即ち前記整列側壁24側から差し込み量を調節操作する操作体42aと、整列搬送コンベア35への突出量を所定量、例えば調節単位を1単位当たり1〜2mm調節可能とする球状の調節体42c…を複数連結して構成した接触体42bで構成する。これにより、操作体42aを押し引き操作すると、調節体42a同士の間に形成される谷部で接触体42bの位置を保持することができ、接触突起体42の突出量を容易に調節することができる。該調節体42c…は、弾性を有する芯部(図示省略)に取り付ける構成とすると、金属等の硬い物質で構成しても、人参と接触する際に屈曲でき、人参の傷付きが防止される。
なお、前記固定シャッタ40の上部は、重なり合いを崩された人参が接触しても傷つけることを防止すべく、曲げ加工を施すなどして、R形状とする。
そして、該スライドシャッタ41は、整列搬送コンベア35の左側に搬送方向に亘って摺動自在に設け、搬送方向上手側に向かって移動させるほど前記整列搬送コンベア35から落下シュータ37への人参の落下経路が開放されると共に、搬送方向下手側に向かって移動させるほど人参の落下経路が狭まる構成とする。該スライドシャッタ41は、上下方向に亘って大型(2L〜3Lサイズ)の人参の平均的な径と略同じである60〜80mmの幅を有し、該スライドシャッタ41を整列搬送コンベア35の側方に位置させた領域からは、一本で搬送されている人参は落下させないが、複数本重なり合って搬送されている人参はスライドシャッタ41の上方から落下シュータ37へ落下させる構成とする。さらに、該スライドシャッタ41を設けた側に、前記フィードバックシュータ38の基部側を配置する。
なお、前記スライドシャッタ41の上部も固定シャッタ40と同じく曲げ加工を施すなどしてR形状とすると、スライドシャッタ41の上方から落下シュータ37に落下する人参が傷付くことを防止できるので、人参の商品価値が維持される。
なお、前記左右の整列側板24,24やスライドシャッタ41は、人参に付着している洗浄水や、この洗浄水に溶け込んでいる人参の薄皮の成分による腐食を防止すべく、不銹鋼材で構成する。
これにより、整列搬送部Cが構成される。
上記構成としたことにより、スライドシャッタ41を搬送方向下手側に移動させた量に応じて整列搬送コンベア35から落下シュータ37への落下口を狭くすることができるので、人参が整列搬送コンベア35からはみ出しかけた状態で搬送されていても落下シュータ37に落下しにくくなり、選別搬送コンベア70での人参同士の前後間隔が広くなり過ぎることが防止され、選別作業の能率が向上する。
特に、L以上のサイズの人参が多いときは、整列搬送コンベア35からはみ出た状態で搬送されることが多いので、落下シュータ37に落下してホッパ2まで戻される人参が減少し、いっそう作業能率が向上する。
そして、固定シャッタ40の上下高さをスライドシャッタ41の上下高さの3分の1〜4分の1程度としたことにより、重なって搬送される複数の人参のうち、固定シャッタ40の上端部よりも上側に位置するものは、固定シャッタ40の上方を越えて落下シュータ37に落下することができるので、整列搬送コンベア35上で人参の搬送が停滞することや、選別搬送コンベア70に複数本の人参が同時に搬送されることが防止され、作業能率が向上するとともに、人参の誤選別が防止され、選別精度が向上する。
さらに、固定シャッタ40の取付孔40a…に接触突起体42…を設けたことにより、接触突起体42…に接触した人参をスライドシャッタ41側に押すことができるので、重なり合った複数本の人参の姿勢を崩して余分な人参を落下シュータ37に落下させることができ、複数本の人参が同時に選別搬送コンベア70に引き継がれることがなく、選別精度が向上する。
また、接触突起体42…の整列搬送コンベア35上への突出量を調節可能としたことにより、選別作業を行う人参のおおよそのサイズに合わせて突出量を調節することができるので、接触突起体42…が人参に届かず複数本の人参が選別搬送コンベア70に投入されて誤選別が発生することが防止され、選別精度が向上する。
加えて、接触突起体42…が人参をスライドシャッタ41側に移動させ過ぎて、一本だけで搬送されている人参を落下シュータ37に落下させることを防止できるので、人参同士の前後間隔が空き過ぎることが防止され、選別作業の能率が向上する。
そして、接触突起体42…を取り付ける取付孔40a…は、搬送方向上手側では短い前後間隔を空けて形成すると共に、搬送方向の前後中央部近傍では搬送方向上手側の前後間隔よりも広い前後間隔を空けて形成することにより、複数の人参が重なり合って搬送されてくる頻度の高い整列搬送コンベア35の搬送方向上手側位置で接触突起体42…に人参を連続して接触させて人参の重なりを崩すことができるので、整列搬送コンベア35の搬送方向下手側に複数の人参が重なり合って移動することが防止され、選別精度が向上する。
加えて、搬送方向の前後中央部近傍では、接触突起体42…に人参が接触する頻度を減らすことにより、一本だけで搬送されている人参を落下シュータ37に落下させにくくなるので、人参がホッパ2に戻ることが防止され、選別作業の能率が向上する。
上記の貯留部Aと汲上搬送部Bと整列搬送部Cとから、人参を後方に整列搬送する整列送出装置Dが構成される。
(詳細構成)
次に、整列搬送部Cの詳細構成について説明する。以下において、前記同様の部材はその符号を付すことにより説明を省略する。
作物選別装置の整列送出装置180は、その要部平面図(a)および側面図(b)を図18に、およびその正面図を図19に示すとおり、ホッパによる貯留部2と、汲上搬送コンベアによる汲上搬送装置16と、整列搬送コンベアによる整列搬送装置35と、その整列除外作物を側方に案内する案内路による落下シュータ181と、この落下シュータ181から受けた作物を整列搬送装置35の側方から貯留部2に動力搬送するコンベヤによる還流装置182とから構成され、汲上搬送装置16の側面部に操作盤付きの制御部16aを配置する。
落下シュータ181は、整列搬送装置35の下方を横断して側方配置の還流装置182の始端部に至る範囲を下降傾斜する案内路として構成する。
還流装置182は、その搬送終端側に電動式の駆動装置183を設けた巻掛ベルトによる還流搬送部材184によって構成するとともに、その搬送終端を前記貯留部2の上面より高く配置する。この還流装置182は、前記整列搬送装置35の左右の側方に互換配置可能に構成し、かつ、それぞれの側の配置における外側位置に駆動装置183を着脱可能に構成する。
還流装置182には、還流搬送部材184を両外側から支持する左右の還流フレーム185,185を設ける。これら左右の還流フレーム185,185の搬送端を支持するために、一端の搬送始端側の支持部材186を整列搬送装置35のフレーム23の左右の側方に互換配置可能に設け、他端側の搬送終端側の支持部材187を汲上搬送装置16のフレーム4の左右の側方に互換配置可能に設け、左右の還流フレーム185,185のそれぞれの端部に押しボルト等による高さ調節部材188…を設けて個々に高さ調節可能に左右のいずれの側にも配置可能に構成する。
上記構成の還流装置182を備えた整列送出装置180においては、貯留部2に投入した作物を汲上搬送装置16が取出し、これを受ける整列搬送装置35が作物を一本ずつ整列送出して選別搬送装置Eが選別し、この時、整列搬送装置35で整列されずに除外された作物は、落下シュータ37から還流装置182により滞留することなく貯留部2に動力搬送される。
このように、整列除外作物を貯留部2に動力搬送する還流装置182により、作物が還流装置上に滞留することを防止できるので、小型省スペースの貯留部2によって十分な貯留量を確保しつつ、作物が搬送経路に確実に戻るため、作業能率が向上する。また、滞留した作物を作業者が搬送経路に戻す作業が不要となるため、作業者の労力が軽減されると共に、作業者がいなくても選別作業が行え、作業の無人化が図られる。
この還流装置182においては、還流搬送部材184の搬送終端側を巻掛け駆動することにより、その搬送作用面に引張り方向の力がかかるので、巻掛部材である還流搬送部材184の駆動が乱れることが防止され、搬送作業の能率が向上するとともに、駆動の乱れによる作物の浮き上がりや地面への落下を防止できるので、落下の衝撃で作物が傷付くことが防止され、作物の商品価値が向上する。
また、還流装置182の還流出口側を貯留部2の上面よりも上側に設けたことにより、貯留部2から作物が入り込むことを防止できるので、貯留部2が満杯であるとき以外は貯留部2内の作物は少なくとも還流装置182の出口を塞ぐことがなく、確実に作物が搬送経路に戻るため、作業能率が向上する。
また、還流装置182は、整列搬送装置35の左右の側方のいずれでも互換配置可能なことから、作業形態に即して整列送出装置180を構成することが可能となり、作業能率の向上が図られる。また、駆動装置183を整列搬送装置35から離間する側に装着することにより、着脱やメンテナンスを容易に行えると共に、作物と共に貯留部に投入される水分や夾雑物泥、葉屑などが駆動装置に付着しにくくなり、駆動装置の耐久性が向上する。
還流搬送部材184については、搬送容量を確保して詰まりや滞留を避けるために、汲上搬送装置16の側面部に近づけて搬送幅を大きく形成し、例えば、3Lのニンジン4本以上の幅を確保する。その具体的な支持構成は、外側を左右の還流フレーム185,185によって支持し、その搬送始終端部をそれぞれ支持部材186,187によって整列搬送装置35のフレーム23と汲上搬送装置16のフレーム4に支持することにより、貯留部2や整列搬送装置35に作物が投入される際の振動、汲上搬送装置16や整列搬送装置35の駆動による振動、還流搬送部材184の撓み等による作物の浮き上がり等を防止できるので、作物を確実に貯留部2に戻すことができ、作業能率が向上する。
また、作物が還流装置182上に滞留することや、機外に落下することを防止できるので、作物を搬送経路に戻す作業が不要となり、作業者の労力が軽減されると共に、作業の無人化が図られる。
また、左右の還流フレーム185,185の始終端に設けた高さ調節機構188により、還流装置182の傾斜を抑えて搬送することができるので、搬送姿勢が下方傾斜しすぎて作物が貯留部に勢いよく転げ落ち、接触の衝撃で作物が傷付くことが防止され、作物の商品価値が向上する。また、搬送姿勢が上方傾斜しすぎて作物の貯留部2への搬送が滞ることを防止できるので、作業能率が向上する。
その他、左右の還流フレーム185,185の始終端は、高さ調節機構188とともに、巻掛したベルトがズレないように並行調節可能に構成する。
また、還流搬送部材184の張力調節機構としてその搬送始端側の従動側回転体184aを移動可能に支持し、この回転体184aの移動可能範囲は落下シュータ181から作物を受ける範囲の外に構成することにより、還流搬送部材184の撓み等による作物の搬送の乱れや浮き上がりを防止できるので、作物が能率よく貯留部2に還流される。したがって、機外への作物の落下が防止され、作物が傷付いて商品価値が低下することが防止されると共に、落下した作物を搬送経路に戻す作業が不要となり、作業者の労力の軽減や作業の無人化が図られる。
また、前記還流搬送部材184の下方を開放し、かつ、前記左右の還流フレーム185,185の間で前記還流搬送部材184の巻回域内に前記還流搬送部材184の上側の周回部分を接触支持する連結フレーム185aを設けることにより、還流装置182の下方が開放されて還流搬送部材184に付着した水分や夾雑物を地面に落下させることができるので、水分や夾雑物が還流搬送部材184とその巻掛け回転部との間に入り込む事態を防止でき、異物により還流搬送部材184が滑って脱落し、作業が停滞する事態を回避して作業能率が向上する。さらに、脱落した還流搬送部材184を装着し直す作業が不要となり、作業者の労力が軽減されると共に、作業の無人化が可能となる。
また、還流搬送部材184の濡れたベルトが連結フレーム185aに貼りつかないように、例えば、フッ素樹脂や敷居テープ等の貼りつき防止部材を連結フレーム185aの上面に設けて還流搬送部材184の巻回域内上部に接触することにより、還流搬送行程上の障害なしに左右の還流フレーム185,185を一体に構成できるとともに、還流搬送部材184が撓み過ぎることを防止できるので、搬送が停滞したり搬送中の作物が浮き上がることが防止され、作業能率が向上すると共に、作物の落下が防止される。
また、前記還流装置182の搬送終端位置には、前記還流搬送部材184の上方を跨いで前記左右の還流フレーム185,185を連結するコの字形状の連結アーム185bを設けることにより、両還流フレーム185,185の間隔を維持したまま安定作動させることができるので、還流フレーム185,185と還流搬送部材184との間からの作物の脱落を防止でき、落下損傷を回避して作物の商品価値が向上するとともに、落下した作物を拾う作業が不要となり、作業者の労力が軽減され、作業の無人化を図ることができる。また、連結アーム185bが還流装置182の補強材となるため、還流装置182の耐久性が向上する。
前記貯留部2には、前記汲上搬送装置16の左右両側に前記還流装置182から作物を受ける傾斜板189,189を左右共通に設け、前記汲上搬送装置16の汲上搬送角度と略同じ傾斜角度で前記汲上搬送装置16の搬送作用域と略同じ高さに両傾斜板189,189を配置し、それぞれの表面に軟質材のマット189a,189aを着脱自在に装着することにより、貯留作物を傾斜板189,189で溜めつつ、この傾斜板189,189をシュータとして貯留作物との落下衝突なしに還流作物を受け、貯留部2のうち汲上搬送装置16の両側に溜まった作物を汲上搬送装置16の搬送経路の途中から進入させることができるので、作物の汲上搬送がその搬送始端部以外からでも行われるため、作業能率が向上する。
また、両傾斜板189,189は、塗装が剥がれて作物に付着することがないように、ステンレス製または樹脂製とし、その表面にはクッション材として塩化ビニル等の軟質材によるマット189a,189aを設けることにより、貯留作物が減少して還流装置182から傾斜板189までの落差が大きいときでも、落下の衝撃を吸収することができるので、落下の衝撃で作物が傷付くことが防止され、作物の商品価値が維持される。
この場合、貯留部2の傾斜板2a,2bには、作物が引っ掛からないように一体形成したコの字型のクッション材2cを設け、還流装置182の側ではクッション材2cの上にマット189aを重ね、他側ではマット189aの上にクッション材2cを重ねることにより、還流作物の移動を容易に構成する。
また、傾斜板189を汲上搬送装置16の左右両側に設けることにより、還流装置182を整列搬送装置35の左右どちら側に設けても還流作物が汲上搬送装置16の搬送経路に合流できるので、作業の必要に応じたレイアウトが可能となる。
(別例)
次に、整列送出装置と選別搬送装置とを屈曲配置して作物選別装置をL字状に構成する例について説明する。
図21は、屈曲構成の作物選別装置に適用する整列送出装置200の平面図およびレバー動作図である。この整列送出装置200は、汲上搬送装置16の搬送終端位置からその搬送方向に対して直角に作物を送出するように整列搬送装置35を配置し、この整列搬送装置35と貯留部2との間に還流装置182を配置する。
整列搬送装置35の下部に還流装置182の搬送始端に及ぶ落下シュータ181を構成することにより、整列作物を整列搬送装置35の終端から選別搬送装置Eに送出するとともに、選別過程で除外された作物を落下シュータ181に受け、次いで還流装置182によって前記同様に貯留部2に作物を戻すことができる。このL字状構成の作物選別装置により、選別作業と並行して還流装置182の作動状況の確認や還流搬送部材184の調節操作が可能となる。
また、還流搬送部材184は、その駆動装置183を作物送出側に配置するとともに、汲上搬送装置16の同じ側の側面部に操作盤付きの制御部16aを配置することにより、駆動装置183のメンテナンスの容易化および、機器の集中管理が可能となり、加えて、メンテナンスの容易化のために還流装置182をユニット化し、さらに、還流搬送部材184の調節のために、還流装置182を貯留部2の側に引出し可能に支持し、ワンタッチで引出すためのロックレバー201を設ける。該ロックレバー201の下部は回動軸202を設け、該回動軸202の先端部には、還流装置182を整列搬送装置35の取付溝(図示省略)に取り付けるための取付突起202aを形成している。該取付突起202aは、還流装置182を停止させる位置にロックレバー201を操作していると取付溝に入り込むことができ、取付溝内に差し込んだ状態でロックレバー201を還流装置182の作動位置に操作すると取付溝から抜けなくなり、還流装置182を整列搬送装置35に固定して取り付けるものとする。
前記ロックレバー201を誤操作すると、前記還流装置182が整列搬送装置35から取り外し可能な状態となり、還流装置182が自重によって外れてしまい、搬送中の作物が機外に落下して傷付くと共に、落下した作物を作業者が拾い集めねばならず、労力が増大してしまうなどの問題がある。
この問題を防止すべく、前記ロックレバー201の還流装置182の作動側への操作を検知すると駆動モータ183を作動させると共に、ロックレバー201の停止側への操作を検知すると駆動モータ183を停止させて還流装置182を停止させる停止スイッチ203を設ける。そして、該停止スイッチ203がロックレバー201の停止側への操作を検知すると、連動して汲上搬送装置16および整列搬送装置35を停止する構成とすることにより、貯留部2からの作物供給を停止する作動制御を構成する。
また、異常停止が生じた場合については、電源の再投入を再起動のための条件とする作動制御を構成することにより、ロックレバー201の復帰による再起動の危険を回避することができ、起動スイッチによる整列搬送装置35の作動と連動するようにシーケンサを構成することにより、還流装置182の作動を安全に再開することができる。
また、還流装置182は、搬送始端の下方付近および還流搬送部材184のベルト近傍または下部に作物センサ204aを設け、該作物センサ204aが還流作物を検知すると還流装置182の駆動モータ183を作動させる構成とすると、駆動モータ183を常時作動させておく必要が無く、電力消費の低減を図ることができる。特に、還流装置182に移動してくる作物が少ないときは、駆動モータ183に余分な電力を供給しなくなるので、省エネ効果が向上する。なお、前記作物センサ204aが作物を検知した後は、所定時間(例:10秒)経過すると駆動モータ183を自動停止させる制御構成とする。
また、還流装置182の搬送終端付近にも作物センサ204bを設けることにより、搬送始端付近の作物センサ204aが作物を検知してから搬送終端付近の作物センサ204bが作物を検知するまでの間に限り還流装置182の駆動モータ183を作動させることにより、いっそう駆動モータ183が消費する電力量が抑えられる。
(選別工程部)
次に、選別搬送部Eについて説明する。
図6〜図12で示すとおり、整列搬送部Cの後方に選別フレーム55を配置し、該選別フレーム55の機体後下部で且つ左右一側に出力スプロケット57を出力軸に装着した駆動モータ56を設け、該駆動モータ56の上部にモータカバー58を設ける。そして、該駆動モータ56の上方で且つ選別フレーム55の左右幅に亘る長さのカウンターシャフト60の左右一側端部に入力スプロケット59を軸着し、該入力スプロケット59と出力スプロケット57とに第1伝動チェーン61を無端状に巻回する。
また、前記カウンターシャフト60に第2出力スプロケット62を軸着し、該第2出力スプロケット62の上方に駆動回転軸63を設け、該駆動回転軸63に第2入力スプロケット64を回転自在に装着する。さらに、該第2入力スプロケット64と第2出力スプロケット62とに第2伝動チェーン65を無端状に巻回して、選別搬送部Eの伝動経路を構成する。
そして、前記駆動回転軸63の端部にV字型の溝を円周上に形成した駆動ローラ66を設け、該駆動ローラ66と略同じ上下位置で且つ選別フレーム55の機体前側にV字型の溝を円周上に形成した従動ローラ67を回転自在に設ける。また、該駆動ローラ66と従動ローラ67とに外側端部で且つ裏面にV字型の溝に入り込む突起体68aを設けた左右の搬送ベルト68を無端状に巻回する。
さらに、図10や図13で示すように、該搬送ベルト68の非搬送作用側(巻回域下側)に前記選別フレーム55から機体左右方向中央部に向かって左右のシャフト97をそれぞれ配置し、該シャフト97に大径部99を形成した複数の分割ローラ98…を軸着する。そして、左右両外側端に位置する分割ローラ98,98の左右外側に、分割ローラ98が左右方向に移動することを防止する左右のクッションローラ100を設けることにより、前記搬送ベルト68に付着した水を拡散させることなく搬送ベルト68の下方への弛みを防止する回転自在なテンションローラ69が構成される。
上記分割ローラ98に形成する大径部99は、分割ローラ98本体の径よりも大径に構成し、分割ローラ98の左右幅よりも短く構成すると共に、分割ローラ98の左右どちらか一側の端部に構成するものである。これにより、作物を機体前側から後側に向けて搬送する搬送コンベア70が構成される。
なお、前記駆動ローラ66と従動ローラ67は搬送ベルト68のそれぞれ外側端部の巻回域内に配置されるため、搬送ベルト68上に重量物が載ると、搬送ベルト68は重量に合わせて柔軟に撓むことができる。
シャフトに搬送ベルトの左右幅と略同じ範囲に亘って接触するテンションローラを軸着する従来構成では、搬送ベルトに付着した水が毛細管現象により拡散してしまい、搬送ベルトの裏側に水が移動して、従動ローラに搬送ベルトが接触した際に搬送ベルトがスリップしてしまい、人参の搬送姿勢が乱れたり、重量検知位置で搬送ベルトが人参の重量で押し下げられず、選別精度が低下したりすることがあった。
しかしながら本件実施例では、分割ローラ98に形成する大径部99の左右幅を分割ローラ98の本体の左右幅よりも短くしたことにより、テンションローラ69と搬送ベルト68との接触面積が小さくなるので、毛細管現象による水の拡散が防止されるので、搬送ベルト68がスリップして人参の搬送姿勢が乱れることや、重量検知位置で人参が重量検知されなくなることを防止できるので、人参が重量に対応した適切な選別位置で選別されるため、人参の選別精度が向上する。
また、機体外側端に位置する分割ローラ98の左右外側に、分割ローラ98が左右方向に移動することを防止する左右のクッションローラ100,100を設けたことにより、搬送ベルト68に接触した際に分割ローラ98が左右方向に移動することを防止できるので、分割ローラ98が水を搬送ベルト68の裏側に移動させてしまうことが防止され、搬送ベルト68がスリップしてしまうことを防止できる。
また、図13で示すテンションローラ69…に変えて、図14で示すとおり、シャフト97に複数の凹部103…と、該凹部103…よりも大径で且つ左右幅の短い凸部104…を複数形成した、搬送ベルト68の左右幅と略同じ左右長さの凹凸ローラ105を回転自在に装着して、テンションローラ69…を構成してもよい。
上記構成では、凹凸ローラ105の左右幅が搬送ベルト68の左右幅と略同じ長さであることにより、左右のクッションローラ100,100が無くとも凹凸ローラ105が左右方向に勝手に移動することが無いので、水を搬送ベルト68の裏側に移動させてしまうことが防止され、搬送ベルト68がスリップしてしまうことを防止できる。
また、凹部103…と凸部104…を一体形成していることにより、メンテナンス等の際や部品交換の際に凹凸ローラ105を容易に着脱することができるので、メンテナンス性が向上する。
さらに、下記のような、図15(a)(b)で示す形態のテンションローラ69…を用いてもよい。
前記シャフト97に複数の溝部106a…を略等間隔に形成した、搬送ベルト68の左右幅と略同じ左右長さの溝付ローラ106を回転自在に装着し、該溝部106a…に夫々溝付ローラ106よりも大径のOリング等の環状部材107…を設けてテンションローラ69…を構成する。
上記構成では、溝付ローラ106の左右幅が搬送ベルト68の左右幅と略同じ長さであることにより、左右のクッションローラ100,100が無くとも溝付ローラ106が左右方向に勝手に移動することが無いので、水を搬送ベルト68の裏側に移動させてしまうことが防止され、搬送ベルト68がスリップしてしまうことを防止できる。
また、溝付ローラ106の溝部106a…に夫々環状部材107…を設けたことにより、搬送ベルト68には複数の環状部材107…が接触するので、溝付ローラ106が破損しにくく耐久性が向上すると共に、環状部材107を溝付ローラ106の溝部106aから容易に着脱することができるので、メンテナンス性が向上する。
搬送ベルト68に接触する大径部99、凸部104、環状部材107のいずれの部材を用いる場合でも、搬送ベルト68と接触する部分の左右幅は2〜3mmとする。
2mm未満では搬送ベルト68との接触面積が小さくなり過ぎ、接触時にかかる圧力が高くなり過ぎ、搬送ベルト68が早期に摩耗して破損してしまう可能性があり、3mm以上とすると接触面積が大きくなり過ぎ、毛細管現象により水が拡散し、選別ベルト68の裏側に入り込んでしまう可能性がある。
また、分割ローラ98と凹部103の左右幅、及び環状部材107,107の左右間隔は、25〜30mmとする。25mm未満とすると部材数が多くなり過ぎ、交換作業の工数が増えてメンテナンス性が低下すると共に、部品コストが向上してしまう。逆に、30mm以上にすると搬送ベルト68が垂れて分割ローラ98、凹部103、溝付ローラ106に接触してしまい、水を拡散させて搬送ベルト68の裏側に付着させてしまう可能性がある。
図6〜図8(a)(b)(c)で示すように、前記搬送コンベア70の搬送始端部の上方位置で且つ選別フレーム55の上部に、前記整列送出装置Dから排出される人参を受けて搬送コンベア70に移動させる後下り傾斜姿勢の引継シュータ71を備える側面視L字型の取付フレーム72をボルト・ナット等の固定部材で選別フレーム55に着脱自在に設ける。
引継シュータ71
該引継シュータ71は、図8(a)(b)(c)で示すように、左右方向中央部の前後長さを2Sサイズの人参約1本分(約60〜80mm)と同じ長さ、又は短い長さに形成し、左右両端部に向かうにつれて前後幅を長く形成して、左右両端部では3Lサイズの人参の全長の40%〜60%程度を支持可能な長さ(約100〜150mm)で形成している。これにより、前記引継シュータ71の後部側は平面視でV字型(ハの字型)に形成される。また、引継シュータ71の人参との接触面(表面)に樹脂材でコーティング層71aを形成し、該コーティング層71aの後側端部を引継シュータ71の後側端部よりも5mm前後後方に延出させる。
そして、図6〜図8(a)(b)(c)で示すとおり、該引継シュータ71の後下側で且つ搬送ベルト68の巻回域内に前記搬送ベルト68の弛みを防止すると共に移動を促進する左右の前側スライダ板72を設け、該前側スライダ板72の上部に引継シュータ71または整列送出装置Dの終端部から搬送ベルト68に飛び出した人参が落下の衝撃でバウンドすることを防止するクッションプレート73を取り付ける。前側スライダ板72は滑りやすい樹脂材でコーティング処理しており、クッションプレート73はゴム等の弾性体やゲルクッション等の軟質材で構成する。
また、図7、図9で示すように、前記搬送ベルト68の機体後端側の巻回域内に後側スライダ板74を設け、該後側スライダ板74の前後端部を下方傾斜方向に折り曲げて屈曲部を形成する。さらに、該前側スライダ板72と後側スライダ板74との間に、搬送コンベア70で搬送される人参の重量を検知する複数の重量検知装置75…と搬送ベルト68の弛みを防止すると共に移動を促進する複数の選別スライダ板76…を交互に配置する。
図7、図9で示すとおり、該選別スライダ板76の機体前側に前側下方に向かい傾斜する前側屈曲部76aを形成し、選別スライダ板76の機体後側に屈曲面がR形状となるように下方に向かって略直角に折り曲げた後側屈曲部76bを形成する。そして、該前側屈曲部76aに前側支持アーム77aの基部側を設け、後側屈曲部76bに後側支持アーム77bの基部側を設け、該前側支持アーム77aと後側支持アーム77bの端部側を選別フレーム55に取り付けて、複数の選別スライダ板76…を固定する。
なお、前側屈曲部76aをR形状となるように屈曲させると、選別スライダ板76に搬送ベルト68がいっそう引っ掛かりにくくなるので、選別搬送の能率が向上する。
上記前側スライダ板72と後側スライダ板74と前後間の複数の選別スライダ板76…の左右両側上部には、搬送ベルト68の移動を促進する左右のリブ82,82(突起体)を前後方向に亘って貼り付けてもよい。
該左右のリブ82,82は断面形状を凸部と凹部が連続する鋸刃状に形成すると、搬送ベルト68との接触密度が低下して搬送ベルト68の移動をより円滑にすることができると共に、搬送ベルト68に付着した水が入り込んでもスリップしにくいため、作業能率が向上する。
また、前記重量検知装置75は、搬送ベルト68の巻回域内に配置する上下回動自在なリンクアーム77と、該リンクアーム77の上側で且つ機体内側端部に設ける搬送コンベア70で搬送中の人参が通過する重量検知板78と、該重量検知板78が一定距離以上回動すると後述する跳出装置84を作動させる信号を発する検知センサ79と、前記リンクアーム77の機体外側端部に設ける内側に重り80aを入れて重量検知装置75が判別する人参の重量を調節する調節皿80と、微細な検知重量を調節するバランスウェイト81とで構成する。
図8(b)で示すとおり、該重量検知板78の機体内側端部を下方に向けて直角に屈曲させ、直角部78aを形成する。
本実施例では、重量検知装置75を3L,2L,L,M,Sに対応する五基設け、五つの等級に人参を選別可能に構成している。検知する等級は調節皿80に入れる重り81aの数を増減させることにより、容易に変更が可能である。検知する重量を機体前側ほど重いもの、機体後側ほど軽いものと設定すると、全ての重量検知装置75は検知を開始する下限値だけを設定すればよく、検知する重量の設定が容易となる。
そして、図10〜図12で示すとおり、前記選別フレーム55の機体左右両外側で且つ前記重量検知板78の前後方向略中央部から機体後側の複数の選別スライダ板76…の前後方向略中央部に亘って搬送ベルト68で搬送中の人参を側方から打撃して後述する回収シュータ93に送り出す跳出装置84…を配置する。そして、該跳出装置84…の前後間に人参が機体外側に移動することを防止する中間板85…を夫々固定して設け、選別フレーム55の前端部から最前列の重量検知装置75の前端部に亘って前部側壁86を固定して設けると共に、最後列の重量検知装置75の後端部から選別フレーム55の後端部に亘って後部側壁87を固定して設ける。
前記跳出装置84は、機体左右方向に回動自在な跳出板88と、前記検知センサ79から信号を受けると作動するソレノイド89と、該ソレノイド89が作動すると跳出板88を機体外側から搬送コンベア70の搬送経路上に押し出す押出アーム90で構成する。該跳出板88の打撃作用面にはゴム等の弾性体を貼り付けることにより、打撃の衝撃で人参が傷付くことを防止している。
そして、図7、図11で示すように、前記複数の中間板85…を前端部が後端部よりも機体外側に位置するように配置する。なお、中間板85…の前端部はボルト等の固定部材で選別フレーム55に固着し、固定部材を取り除くと後端側を回動中心として回動可能に構成する。回動可能な範囲は、前後方向略直線位置(0度)から約30度までとするとよい。
さらに、図6、図7で示すように、前記搬送コンベア70の左右間で且つ選別フレーム55の前端部から最前列の重量検知装置75の前後方向略中央部に亘って正面視又は背面視で山型の分離板91を設け、該分離板91の後側に人参をサイズ毎に落下させてコンテナ等の収容容器92に移動させる複数の回収シュータ93…を前後方向に亘って設け、該複数の回収シュータ93…を連結すると共に作業者が手で掴んで回収シュータ93…を持ち上げることのできる連結取手94を回収シュータ93…の前後間に亘って上方に配置する。そして、該連結取手94の下部から回収シュータ93の内側に亘って左右一側の搬送コンベア70から跳出装置84で送り出された人参を受け止めて下方に落下させるガイドカーテン95を取り付ける。
このガイドカーテン95は、ゴムや塩化ビニル等の軟質部材で構成すると人参がぶつかっても傷付きにくく、人参の商品価値が維持される。
そして、図6、図7、図16(a)(b)及び図17(a)(b)(c)で示すとおり、前記搬送コンベア70の搬送終端部に、大き過ぎる(4L以上)、あるいは小さ過ぎる(2S以下)ため選別されなかった規格外の人参を回収する箱形状のコンテナや袋体等の収容容器92を載置する載置台96を機体前後方向に回動自在に配置する。そして、前記搬送コンベア70と載置台96との間で且つ選別フレーム55の機体後端部側に側面視で「へ」の字形状の支持ブラケット108を取り付け、機体後方に向かって下方傾斜する該支持ブラケット108の上部に前側端部が前記搬送ベルト68に夫々接触して水や夾雑物を擦り取るスクレーパプレート109を載置台96に載置した収容容器92に向けて後下り傾斜姿勢で取り付ける。これにより、選別搬送部Eが構成される。
該スクレーパプレート109の機体前側端部、即ち選別ベルト68に接触する側の端部は表面、裏面共に刃面形状としているため、片面が摩耗して十分な水や夾雑物の掻き取りができなくなった場合、スクレーパプレート109を裏返せば殆ど摩耗していない刃面が搬送ベルト68に接触するため、反対側の面が摩耗し切るまではスクレーパプレート109を使うことができるので、耐久性が向上する。
また、機体後方に向けて下方傾斜姿勢のスクレーパプレート109を選別コンベア70の搬送終端部よりも後方に設け、該スクレーパプレート109の上部を平坦且つ3S以下の人参が上方を通過可能な形状、例えば板体や左右間隔が10mm未満のスノコ形状の案内部109bとすることにより、選別コンベア70から排出される選別対象外の人参(2S以下の極小人参)を載置台96に載置した収容容器92に案内するシュータとすることができるので、人参を確実に機外に排出することができ、作業能率が向上する。
なお、図17(a)(b)(c)で示すとおり、該スクレーパプレート109には前後方向に長い長孔109aを左右方向に等間隔を開けて形成し、下方傾斜姿勢の支持ブラケット108の上部には螺子溝を刻んだ螺子穴108aを長孔109aと同じ左右間隔で形成する。
長孔109aの左右間隔は、2S以下の人参の長辺と同じ、または若干長く構成すると、スクレーパプレート109をボルト・ナット等の固定部材で支持ブラケット108に取り付けても、人参が固定部材に接触して傷付くことが防止されるので、人参が接触の衝撃で削られ、商品価値が低下することを防止できる。
なお、2S以下の小玉過ぎる人参や、4L以上の大玉過ぎる人参、二又や極端な屈曲等の奇形、収穫時に割れた人参は、一般的にジュースや冷凍食品等の材料となる加工用として出荷されるため、多少の傷があっても商品価値は低下しないが、身が削れる等重量が減少するとその分価値が低下するので、固定部材等との接触による破損を防止することには相応の意義がある。
上記の意義を実現すべく、スクレーパプレート109を支持ブラケット108に固定するボルト・ナット等の固定部材の上端部を、スクレーパプレート109の上端部からはみ出さない構成(図示省略)とすると、4L以上の大きな人参も傷付きにくくなる。
また、支持ブラケット108を選別フレーム55に取り付けるために、支持ブラケット108の機体内側にボルト等の固定部材を取り付ける丸孔108aを形成し、機体外側には支持ブラケット108の左右方向の傾斜角度を変更可能にする円弧状の長孔108bを形成する。
なお、上記構成の場合、長孔108bの上端位置は丸孔108aを形成した位置と略水平位置とすると、支持ブラケット108の左右方向への傾斜姿勢を搬送コンベア70に対して水平状態から、搬送コンベア70に対して機体外側方向に下方傾斜姿勢となるまでの範囲で調節が可能となり、不要な範囲への回動を規制することができる。
逆に、機体外側に丸孔108aを形成し、機体内側に長孔108bを形成する場合は、長孔108bの下端位置を丸孔108aを形成した位置と略水平位置とすることにより、支持ブラケット108の左右方向への傾斜姿勢を搬送コンベア70に対して水平状態から、搬送コンベア70に対して機体外側方向に下方傾斜姿勢となるまでの範囲で調節が可能となり、不要な範囲への回動を規制することができる。
そして、引継シュータ71の中央部の前後幅を最も短くしたことにより、2Sサイズ以下の小さな人参は引継シュータ71上に滞留する前に搬送コンベア70に落下移動させられるため、引継シュータ71で二本以上の人参が合流してしまい、二本以上の人参が同時に重量検知装置75で重量検知することを防止できるので、重量検知装置75が二本の小さな人参を一本の大きな人参と誤認して跳出装置84…を作動させてしまうことがなく、人参の選別精度が向上する。
さらに、引継シュータ71の左右両側の長さを、3Lサイズの人参を支持可能な長さとしたことにより、大きな人参が引継シュータ71から左右方向にはみ出し、搬送コンベア70に移動せず機外に落下することを防止できるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が維持されると共に、落下した人参を拾い直す作業が省略され、作業者の労力が軽減される。
また、引継シュータ71の作用面に樹脂材でコーティング層71aを形成し、コーティング層71aの後端部を引継シュータ71の後端部よりも後方に突出させたことにより、引継シュータ71の後端部の尖ったエッジに人参が接触することを防止できるので、人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
これにより、引継シュータ71を金属板のような頑丈な素材で構成することができ、引継シュータ71の取り付けが容易になるとともに、耐久性が向上する。
そして、引継シュータ71の後下側で且つ搬送ベルト68の巻回域内に設ける前側スライド板72にクッションプレート73を設けたことにより、整列送出装置Dから引き継いだ人参が選別コンベア70に落下する衝撃をクッションプレート73が吸収するため、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が向上する。
さらに、クッションプレート73が人参の落下の衝撃を吸収することにより、人参がバウンドして重量検知装置75に飛び乗り、落下の衝撃で重量検知装置75を誤検知させて跳出装置84…を作動させてしまうことを防止できるので、人参の選別精度が向上する。
なお、該クッションプレート73は前側スライダ板72の前端部から前後方向略中央位置に亘って配置し、重量選別装置75に近接する後端部側には設けないことにより、3Lサイズのような長くて重い人参の一部がクッションプレート73上に載ったまま重量検知されることを防止でき、選別精度が向上する。
また、後側スライダ板74の前側及び複数の選別スライダ板76…の機体前側を隣接する重量検知装置75に向かうほど下方傾斜となる屈曲部74a及び前側屈曲部76aを形成したことにより、重量検知装置75の重量検知板78を人参が下降させながら通過する際、人参を載置した搬送ベルト68は下降した重量検知板78の後端部から屈曲部74a及び前側屈曲部76aに沿って移動することができるので、搬送ベルト68が後側スライダ板74及び選別スライダ板76…の前側端部に引っ掛かり回転駆動に乱れが生じることが防止され、人参の搬送ペースが安定し、選別精度が向上する。
さらに、人参が搬送ベルト68から落下することが防止されるので、落下の衝撃で人参が傷付くことが防止されて人参の商品価値が向上すると共に、落下した人参を拾い集める必要が無く、作業者の労力が軽減される。
従来構成では、重量検知板の後端部とスライダ板の前端部とを略直線状に配置されているため、人参の重量で重量検知板が押し下げられた際に搬送ベルトがスライダ板の前端部に接触し、あるいは重量検知板とスライダ板との間に挟まれてしまうことがあり、搬送コンベアの搬送速度に乱れが生じたり、停止したりしてしまう問題がある。
そして、選別スライダ板76…の機体後側に屈曲面がR形状となる後側屈曲部76bを形成したことにより、選別スライダ板76…から重量検知板78に人参を載置して移動させる際に搬送ベルト68が揺らぐことがなく、人参の搬送ペースが安定し、選別精度が向上する。
なお、前側屈曲部76aの前後長さは、選別スライダ板76の前側に設ける重量検知装置75の検出重量に応じて変更してもよい。重量検知装置75が検知する重量が重いほど前側屈曲部76aの長さを長くし、検知する重量が軽いほど長さを短くすると、重量検知装置75の重量検知板78が上下移動する際に押し上げられるのは前側下方に傾斜した人参の端部だけとなるので、次の重量検知装置75まで人参がジャンプしてしまうことを防止でき、人参が落下の衝撃で重量検知装置75を誤検知させてしまうことを防止できるので、選別精度が向上する。
本実施例を例に挙げると、3Lサイズの重量検知装置75の後側では約30〜40mm、2Lサイズでは約25〜35mm、Lサイズでは約20〜30mm、Mサイズでは約10〜20mmとしている。Sサイズの部分では前側屈曲部76aを屈曲させていないが、本実施例ではSサイズが最後の重量検知位置であるので、誤検知となり得ないためにこのような構成としている。2S,3Sなどより小さな人参を選別する場合は、人参のジャンプによる誤検知を防止すべく、Sサイズの部分にも前側屈曲部76aを形成する。
上記の長さに幅があるのは、前後に長く径が小さいもの、前後に短く径が大きいもの、果肉の密度が高いもの等、人参に様々な種類があるために、若干の余裕を持たせるためである。
また、調節皿80に重り80aを出し入れして重量検知装置75の検知重量を変更することができるので、人参の品種や生育状況等の選別条件の違いがあっても人参の選別精度を向上させられる。
さらに、バランスウェイト81を調節して検知重量を微細に調節することができるので、僅かな重量の差により跳ね出されない人参の発生が防止され、選別精度が向上すると共に、手作業で人参を選別し直す必要が無く、作業者の労力が軽減される。
また、重量検知板78の機体内側を下方に向けて直角に屈曲させ、屈曲部78aを形成したことにより、搬送ベルト68が回収シュータ93側に傾きにくくなるので、人参が跳出装置84に打撃されること無く搬送コンベア70上から回収シュータ93に移動してしまうことを防止でき、選別精度が向上すると共に、作業者が選別し直す必要が無く、作業者の労力が軽減される。
なお、搬送コンベア70を、機体外側から内側に向けて0.5〜1度程度上方傾斜させると、人参は搬送コンベア70の機体外側に寄って移動することができるので、人参が跳出装置84に打撃されること無く搬送コンベア70上から回収シュータ93に移動してしまうことを防止でき、選別精度が向上すると共に、作業者が選別し直す必要が無く、作業者の労力が軽減される。
そして、中間板85…の前端部が跳出板88の後端部よりも機体外側に位置するので、人参が跳出板88の後端部側に接触する際に中間板85…の先端部側に引っ掛かり、次の人参が来て重量検知装置75が二本を一本の人参と誤認してしまうことを防止でき、人参の選別精度が向上する。
さらに、中間板85…の先端部に引っ掛からずとも、衝突の衝撃で跳ね返され、重量検知装置75に強い衝撃と共に載ってしまい、重量検知装置75を誤動作させてしまうことが防止できるので、選別精度が向上する。
なお、跳出板88の回動軸88aを跳出板88よりも機体外側に配置し、跳出板88の機体前側が機体後側よりも機体外側に位置する構成としてもよい。
上記構成により、跳出板88と中間板85…とは平面視で鋸刃形状に配置され、跳出板88の後側端部と中間板85…の前側端部との間に空間部が生じるので、人参がいっそう中間板85…の先端部側に接触しにくくなり、重量検知装置75は人参の重量を一本ずつ確実に検知でき、選別精度がいっそう向上する。
また、選別コンベア70の左右間に回収シュータ93…を重量検知装置75及び跳出装置84と同数設けたことにより、重量検知装置75で検知した重量の人参を跳出装置84で対応する等級の回収シュータ93…に送り出し、コンテナ等の収容容器92で人参を等級ごとに回収することができる。
そして、回収シュータ93…を連結取手94で上方から連結したことにより、作業者は複数の回収シュータ93…を同時に取り外すことができるので、メンテナンス作業のスペースが容易に確保される。
さらに、連結取手94の下部に跳出装置84で打撃されて送り出された人参を受けて下方の回収シュータ93…に落下案内するガイドカーテン95を設けたことにより、跳出装置84に送り出された人参が隣の列の搬送コンベア70まで移動してしまい、人参が同じ箇所に二本乗りして、あるいは落下の衝撃で隣の列の重量検知装置75を誤作動させてしまうことが防止できるので、選別精度が向上する。
また、隣の列の搬送コンベア70で搬送中の人参にぶつかることを防止できるので、衝突の衝撃で人参が傷付くことが防止され、人参の商品価値が維持される。
そして、搬送コンベア70の搬送終端部に、規格外の人参を回収する収容容器92を載置する載置台95を設けたことにより、選別条件の設定が難しい規格外の人参をただ搬送するだけで回収することができるので、選別作業の能率が向上する。
また、載置台95を前後方向に回動自在に設けたことにより、選別搬送部Eを収納するときには載置台95を機体に近接させて前後幅を短くすることができるので、収納スペースが狭くても容易に収納することができる。
そして、スクレーパプレート109に長孔109aを形成していることにより、支持ブラケット108にスクレーパプレート109を取り付ける位置を前後方向に調節することができるので、水や夾雑物が多いときにはスクレーパプレート109の前側端部と搬送ベルト68を接近させると水や夾雑物がスクレーパプレート109によって取り除かれるため、水や夾雑物が搬送ベルト68の裏側に入り込んでスリップすることが防止される。
これにより、重量検知位置で搬送ベルト68が撓まずに、人参が下位の等級で誤って選別されることや、搬送ベルト68が停止した反動で異なる等級の回収シュータ93に移動してしまうことが防止でき、人参の選別精度が向上する。
一方、搬送ベルト68の水や夾雑物が少ないときには、スクレーパプレート109の前側端部と搬送ベルト68を若干離間させて接触量を小さくすることにより、選別ベルト68に不要な摩擦がかかることを防止できるので、摩擦により選別ベルト68が破損することが防止され、耐久性が向上する。
さらに、支持ブラケット108の機体内側又は機体外側に取付用の長孔108bを形成し、支持ブラケット108を丸孔108aを回動支点として、支持ブラケット108を水平姿勢から機体外側に向かう下り傾斜姿勢まで姿勢変更可能に構成したことにより、スクレーパプレート109が搬送ベルト68から擦り取った水や夾雑物を機体外側に排出することができるので、搬送ベルト68の裏側に水や夾雑物が入り込むことが防止され、重量検知位置で搬送ベルト68が撓まずに人参が下位の等級で誤って選別されることや、搬送ベルト68が停止した反動で人参が異なる等級の回収シュータ93に移動してしまうことがなく、人参の選別精度が向上する。
なお、スクレーパプレート109の機体後方への下り傾斜角度は、機体前端部を基準として45〜60度の範囲で設定すると、スクレーパプレート109が搬送ベルト68の回転に巻き込まれにくくなるので、スクレーパプレート109が作業中に折れたり曲がったりすることがなく、スクレーパプレート109の耐久性が向上する。
また、作業中に破損した、あるいは外れたスクレーパプレート109を交換したり組み付け直したりする必要が無いので、作業能率が向上する。
さらに、支持ブラケット108の機体外側方向に下り傾斜姿勢となる角度を2〜5度の範囲に設定すると、スクレーパプレート109が選別コンベア70から排出される人参を収容容器92に送り出すシュータとしての機能を損なうことが無いまま、搬送ベルト68から擦り取った水や夾雑物を機体外側に移動させて排出することができる。
(全体構成)
上記構成の整列送出装置180によって整列工程部を形成した作物選別装置は、図20の平面図(a)および側面図(b)に示すように、整列送出装置180と選別搬送装置Eとを直線状に直列連結して構成され、整列送出装置180の還流装置182により、貯留部2に投入した作物を整列搬送装置35で姿勢を揃え、途切れることなく、一定間隔で1本ずつ順次送出し、これを受ける選別搬送装置Eで作物を形質区分に仕分けして効率よく箱詰めすることができる。
また、上記構成の整列送出装置180は、還流装置182を整列ラインについて左右いずれにも配置することができ、図例のごとく、還流装置182を逆側に配置して構成することができる。