JP6015275B2 - 抵抗溶接装置および抵抗溶接方法 - Google Patents
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Description
一対の溶接電極と二つのワークのうち上側のワークaとが接触する箇所の接触抵抗であり、左接触抵抗R1_Lは、左電極Lとワークaとが接触している箇所の接触抵抗、右接触抵抗R1_Rは、右電極Rとワークaとが接触している箇所の接触抵抗である。
(2)通電経路抵抗R2
抵抗発熱が発生するワーク内の通電経路の抵抗であり、発熱を促し、二つのワーク間の溶融接合すなわちワークaとワークbとの間の溶融接合に寄与する抵抗である。
(3)全体抵抗RT
一対の溶接電極間の抵抗すなわち左電極Lと右電極Rとの間の抵抗であり、接触抵抗R1と通電経路抵抗R2とを加えた次の式(1)により与えられる。
[RT]=[R1_L]+[R1_R]+[R2]
本発明の目的は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、実際の溶接動作を実施することに先立って、事前に、溶接品質に問題があるか否かを判定し、溶接品質に問題があると判定した場合に、溶接不良の発生要因を正確に識別して、溶接品質の向上を図ることを可能にする抵抗溶接装置および抵抗溶接方法を提供することを、その目的としている。
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、二つのワーク間を溶接電極によって抵抗溶接する際に、抵抗溶接時の発熱に寄与する抵抗箇所(すなわち通電経路抵抗)と、ワークと接触する溶接電極の端面(先端)の酸化膜や不純物の付着さらには溶接電極とワークとの接触状態などのその他の変動要因になる接触抵抗とを切り分けて、溶接電極およびワークの状態を詳細にモニタし、そこから得られた情報を溶接行為にフィードバックすることにより、良好な溶接品質を確保することを主要な特徴としている。
従来技術として図7の等価回路に示した電極間電圧を測定して全体抵抗RTを算出する電極間電圧モニタ回路に加え、さらに、ワーク内の通電経路電圧を測定して通電経路抵抗R2を算出する通電経路電圧モニタ回路を第1のモニタ手段として備える。ここで、通電経路電圧の測定に使用する電流は、従来の溶接電極間電圧を測定する際の電流を用いるので、通電経路の電圧は4端子法による測定になり、ワークに接触するプローブの接触抵抗を排除した測定を行うことができる。
抵抗溶接を実施する前に、溶接電極端面(先端)の酸化膜による形状変化およびゴミの付着を検出するために、溶接電極端面(先端)の容量値を事前に測定する容量測定装置を第2のモニタ手段として備える。抵抗溶接を連続的に実施すると、溶接電極の端面(先端)に形成される酸化膜の状態(厚さや形状)が変化し、さらに、それに加え、溶接時に発生するすす等のゴミが溶接電極の端面(先端)に付着する可能性がある。二つのワーク間の抵抗溶接を実施する前に、ワークと溶接電極との間の容量値を測定して、イニシャル状態の基準容量値と比較することにより、前述のごとき溶接電極端面(先端)の状態変化を検出し、電極端面の状態変化の管理を行うことができる。
次に、本発明に係る抵抗溶接装置の一実施形態について詳細に説明する。まず、第1のモニタ手段として、事前に、一対の溶接電極間の電圧を測定して溶接事前判定部にて全体抵抗Rを算出することができる電極間電圧モニタ回路の他に、さらに、ワーク内の通電経路電圧を測定して溶接事前判定部にて通電経路抵抗Rを算出することができる通電経路電圧モニタ回路を備えている抵抗溶接装置の構成例について、図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る抵抗溶接装置の内部構成の一例を説明するための説明図であり、重ね合わせたワーク(金属)の一表面に平行な一対の溶接電極を平行に押圧させて、ワーク(金属)の平面方向に電流を流して溶接を行うというパラレルギャップ溶接装置の場合を例に採って示している。図1に示す抵抗溶接装置においては、電圧を測定するための第1のモニタ手段として、前述のように、一対の溶接電極間の電圧を測定して溶接事前判定部にて全体抵抗Rを算出することができる電極間電圧モニタ回路と、ワーク内の通電経路電圧を測定して溶接事前判定部にて通電経路抵抗Rを算出することができる通電経路電圧モニタ回路とを備えている場合を示している。
C=ε0×ε×S/d …(1)
ここで、ε0:真空の誘電率
ε:誘電体の比誘電率
S:平行平板電極面積
d:平行平板間距離
次に、本発明に係る抵抗溶接装置の一実施形態として図1、図2に示した抵抗溶接装置の動作の一例について、図5A及び図5Bで示すフローチャートを用いて詳細に説明する。図5Aはそのフローチャートの前半部であり、図5Bはそのフローチャートの後半部である。図5A及び図5Bのフローチャートは、図1、図2に示した抵抗溶接装置の動作の一例を示している。このフローチャートは、図1に示した第1のモニタ手段と図2に示した第2のモニタ手段との双方を備えた構成において、二つのワーク(ワークa、ワークb)間の実際の溶接動作に先立って、溶接事前判定部30において、事前に、溶接電極すなわち左電極L、右電極Rの状態およびワーク内の通電経路の状態を検出して、溶接動作の可否を判定し、溶接品質が不良になると判定した場合には、溶接不良の発生要因を識別するという手順の一例を示している。
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては次のような効果が得られる。
2 通電経路電圧モニタ回路
3 容量測定装置
4 測定用平板
5 高さ検出装置
6 高さ調整機構
7 溶接ヘッド
8 誘電板
9a 酸化膜
9b 酸化膜
9c 酸化膜
9d ゴミ
10 抵抗溶接機
11 抵抗溶接回路
21L 左プローブ
21R 右プローブ
30 溶接事前判定部
a ワーク
b ワーク
d 平行平板間距離
I 電圧測定用電流
L 左電極
R 右電極
R1 接触抵抗
R1_L 左接触抵抗
R1_R 右接触抵抗
R2 通電経路抵抗
RT 全体抵抗
S 平行平板電極面積
SW スイッチ
V1 電極間電圧
V2 通電経路電圧
Claims (10)
- 重ね合わせた二つのワークに一対の溶接電極から溶接用の電流を流すことにより前記二つのワーク間の抵抗で発熱させ、前記二つのワークを溶接する抵抗溶接装置であって、前記一対の溶接電極間の電圧を電極間電圧として測定する電極間電圧モニタ部と、前記二つのワーク内の通電経路の電圧を通電経路電圧として測定する通電経路電圧モニタ部と、前記一対の溶接電極の端面それぞれの容量値を測定する容量測定部と、前記電極間電圧モニタ部、前記通電経路電圧モニタ部および前記容量測定部の測定結果に基づいて、良好な溶接品質が得られるか否かを溶接動作の実施に先立って事前に判定し、良好な溶接品質が得られないと判定した場合、前記二つのワーク間の溶接を抑止し、溶接が不良になる発生要因を判別する溶接事前判定部と、を少なくとも備えていることを特徴とする抵抗溶接装置。
- 重ね合わせた前記二つのワークの一方のワークの表面に、平行に配置した前記一対の溶接電極を平行に押圧して接触させ、前記二つのワークの平面方向に電流を流して溶接を行うパラレルギャップ溶接装置として構成していることを特徴とする請求項1に記載の抵抗溶接装置。
- 前記通電経路電圧モニタ部は、前記一対の溶接電極とは別に、前記二つのワークそれぞれに接触させた部位の電位を読み取ることが可能な一対のプローブを備え、前記一対のプローブが、前記一対の溶接電極を挟んで両側に配置され、前記二つのプローブのうち一方のプローブが前記二つのワークの一方のワークに、他方のプローブが前記二つのワークの他方のワークに接触させることが可能な状態に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の抵抗溶接装置。
- 前記容量測定部は、前記一対の溶接電極の端面それぞれの容量値の測定用に用いる測定用平板を備え、前記一対の溶接電極を前記測定用平板のあらかじめ定めた位置まで移動させ、前記一対の溶接電極の端面それぞれと前記測定用平板との距離をあらかじめ定めた距離に維持した状態、または、前記一対の溶接電極の端面それぞれと前記測定用平板との間にあらかじめ定めた厚さを有する誘電板を挟んだ状態に設定して、前記一対の溶接電極の端面それぞれと前記測定用平板間の容量値を測定し、測定した容量値とあらかじめ測定していた基準容量値との変化量が、あらかじめ設定した変化量閾値を超えているか否かを判定する機能を備えていることを特徴とする請求項2または3に記載の抵抗溶接装置。
- 前記溶接事前判定部は、前記電極間電圧モニタ部が測定した前記電極間電圧から前記一対の溶接電極間の抵抗を全体抵抗として算出し、前記通電経路電圧モニタ部が測定した前記通電経路電圧から前記二つのワーク内の通電経路における抵抗を通電経路抵抗として算出し、前記容量測定部が測定した前記容量値とあらかじめ測定していた基準容量値との変化量を容量値変化量として算出し、算出した前記全体抵抗と前記通電経路抵抗と前記容量値変化量とに基づいて、良好な溶接品質が得られるか否かを判定するとともに、溶接が不良になる発生要因を判別することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の抵抗溶接装置。
- 前記溶接事前判定部は、前記全体抵抗があらかじめ設定した第1の規定値以下であった場合には、良好な溶接品質が得られるものと判定して、前記二つのワークの溶接動作の実施を許可し、一方、前記全体抵抗が前記第1の規定値よりも大きく、かつ、前記通電経路抵抗があらかじめ設定した第2の規定値よりも大きい場合には、前記二つのワーク間に接触不良であるものと判定することを特徴とする請求項5に記載の抵抗溶接装置。
- 前記溶接事前判定部は、前記全体抵抗が前記第1の規定値よりも大きく、かつ、前記通電経路抵抗があらかじめ設定した第2の規定値以下であり、かつ、前記容量値変化量があらかじめ設定した変化量閾値よりも大きい場合には、前記一対の溶接電極のうち該当する溶接電極の端面に形成された酸化膜の異常または該当する当該溶接電極の端面に付着したゴミがあるものと判定することを特徴とする請求項6に記載の抵抗溶接装置。
- 前記溶接事前判定部は、前記全体抵抗が前記第1の規定値よりも大きく、かつ、前記通電経路抵抗があらかじめ設定した第2の規定値以下であり、かつ、前記容量値変化量があらかじめ設定した変化量閾値以下であった場合には、前記一対の溶接電極と前記二つのワークの一方のワークとの間の接触不良、または、前記一対の溶接電極のうち該当する溶接電極が接触する前記一方のワークの表面に形成された酸化膜の異常または当該一方のワークの表面に付着したゴミがあるものと判定することを特徴とする請求項6または7に記載の抵抗溶接装置。
- 重ね合わせた二つのワークに一対の溶接電極から溶接用の電流を流すことにより前記二つのワーク間の抵抗で発熱させ、前記二つのワークを溶接する抵抗溶接装置による抵抗溶接方法であって、前記一対の溶接電極間の電圧を電極間電圧として測定する電極間電圧モニタステップと、前記二つのワーク内の通電経路の電圧を通電経路電圧として測定する通電経路電圧モニタステップと、前記一対の溶接電極の端面それぞれの容量値を測定する容量測定ステップと、前記電極間電圧モニタステップ、前記通電経路電圧モニタステップおよび前記容量測定ステップにおける測定結果に基づいて、良好な溶接品質が得られるか否かを溶接動作の実施に先立って事前に判定し、良好な溶接品質が得られないと判定した場合、前記二つのワーク間の溶接を抑止し、溶接が不良になる発生要因を判別する溶接事前判定ステップと、を少なくとも有していることを特徴とする抵抗溶接方法。
- 前記溶接事前判定ステップは、前記電極間電圧モニタステップにて測定した前記電極間電圧から前記一対の溶接電極間の抵抗を全体抵抗として算出し、前記通電経路電圧モニタステップにて測定した前記通電経路電圧から前記二つのワーク内の通電経路における抵抗を通電経路抵抗として算出し、前記容量測定ステップにて測定した前記容量値とあらかじめ測定していた基準容量値との変化量を容量値変化量として算出し、算出した前記全体抵抗と前記通電経路抵抗と前記容量値変化量とに基づいて、良好な溶接品質が得られるか否かを判定するとともに、溶接が不良になる発生要因を判別することを特徴とする請求項9に記載の抵抗溶接方法。
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