JP2023173491A - ナゲット径の推定方法 - Google Patents

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修平 小倉
Shuhei Ogura
智彦 関口
Tomohiko Sekiguchi
亨輔 泉野
Kyosuke Izuno
知子 小笠原
Tomoko Ogasawara
優樹 松木
Yuki Matsuki
翔太 江島
Shota Ejima
瑞希 兒玉
Mizuki Kodama
泰明 沖田
Yasuaki Okita
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Abstract

【課題】板厚が公称板厚からずれた場合であっても、推定精度の低下を抑制することができるナゲット径の推定方法を提供する。【解決手段】抵抗溶接におけるナゲット径の推定方法は、抵抗溶接における電極の初期位置から、被溶接物の板厚を推定する工程と、抵抗溶接における被溶接物の膨張量を、推定された板厚を用いて補正して補正膨張量を取得する工程と、取得された補正膨張量を用いて、ナゲット径を推定する工程と、を備える。【選択図】図2

Description

本開示は、ナゲット径の推定方法に関する。
抵抗溶接において、被溶接物の検査を行う技術が種々開示されている。例えば特許文献1は、被溶接物の板厚の異常を検知する技術を開示している。
特開2020-019039号公報
本願発明者らは、ナゲット径と、溶接時の被溶接物の膨張量とは相関があり、かかる膨張量を利用してナゲット径を推定できることを見出した。溶接時の被溶接物の膨張量は、被溶接物の板厚と相関がある。ここで、被溶接物の板厚は、プレス等の加工時の加工誤差により、設計時の公称板厚からずれる場合がある。特許文献1では、このような溶接前における被溶接物の板厚のばらつきについては考慮されていない。このような板厚のばらつきに起因して膨張量が設計時の想定から変動する場合、かかる膨張量を用いてナゲット径の推定を行うと、推定精度が低下するという問題がある。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
本開示の一形態によれば、抵抗溶接におけるナゲット径の推定方法が提供される。この方法は、前記抵抗溶接における電極の初期位置から、被溶接物の板厚を推定する工程と、前記抵抗溶接における前記被溶接物の膨張量を、推定された前記板厚を用いて補正して補正膨張量を取得する工程と、取得された前記補正膨張量を用いて、前記ナゲット径を推定する工程と、を備える。
この形態の方法によれば、被溶接物の板厚を推定し、推定された板厚から被溶接物の膨張量を推定し、推定された板厚を用いて抵抗溶接時の膨張量を補正しているので、板厚が設計時の公称板厚からずれた場合であっても、膨張量の変動分を補正してからナゲット径の推定を行うため、推定精度の低下を抑制することができる。
本開示は、ナゲット径の推定方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、ナゲット径の推定方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
本実施形態における抵抗溶接装置の概略構成を示す図である。 第1実施形態におけるナゲット径の推定方法を示す工程図である。 電極の初期位置と被溶接物との板厚の関係を示すグラフである。 被溶接物の板厚と膨張量との対応関係を示すグラフである。 比較例によるナゲット径の推定を行った場合のナゲット径の推定値と実測値とを示すグラフである。 実施形態の方法によりナゲット径の推定を行った場合の推定値と実測値とを示すグラフである。
A.第1実施形態:
A1:装置構成:
図1は、本実施形態における抵抗溶接装置100の概略構成を示す図である。抵抗溶接装置100は、重ね合わせた複数の被溶接物W1,W2に電流を流すことでジュール熱を発生させ、被溶接物W1,W2を接合させる装置である。抵抗溶接装置100は、溶接ガン10と、ロボット20と、抵抗測定装置30と、制御部40と、を備える。
被溶接物W1,W2は、例えばアルミまたは鋼などの金属材である。被溶接物W1,W2は、それぞれ同じ種類の金属材でもよいし、異なる種類の金属材でもよい。また、被溶接物W1,W2は、2枚に限らず、3枚以上であってもよい。
溶接ガン10は、ガン本体1と、一対の電極である上部電極2および下部電極3と、アクチュエータ4と、を備える。
上部電極2および下部電極3は、シャンク5a,5bと、チップ6a,6bと、ひずみセンサ7a,7bと、を備える。上部電極2は、ガン本体1の上部1aにアクチュエータ4を介して装着されている。下部電極3は、ガン本体1の下部1bに配置されている。本実施形態において、上部電極2は、移動電極であり、下部電極3は、固定電極である。チップ6a,6bは、それぞれシャンク5a,5bの先端に取り付けられている。チップ6a,6bは、抵抗溶接を行う際に、被溶接物W1,W2と接触する。ひずみセンサ7a,7bは、それぞれシャンク5a,5bの側面に取り付けられている。ひずみセンサ7a,7bは、抵抗溶接時の被溶接物W1,W2の両者を重ね合わせた状態からの膨張量および収縮量を計測する。ひずみセンサ7a,7bは、例えば被溶接物W1,W2の変位量を光学的に検知することができるセンサである。計測された膨張量および収縮量は、制御部40に伝達される。
アクチュエータ4は、ガン本体1の上部1aに取り付けられており、上部電極2を下部電極3に対して接触させる方向、または下部電極3から離間させる方向に移動させる。これにより、被溶接物W1,W2は、抵抗溶接を行う際に、上部電極2および下部電極3に加圧されて挟持される。アクチュエータ4は、例えば、電動式アクチュエータ、油圧式アクチュエータ、または空圧式アクチュエータである。
ロボット20は、例えば多関節ロボット等である。ロボット20は、溶接ガン10を水平方向及び鉛直方向に移動させ、溶接ガン10を任意の回転軸を中心に回転させるように作動し、溶接ガン10の位置および角度を変更する。
抵抗測定装置30は、抵抗溶接装置100における回路抵抗値を測定する。本実施形態において回路抵抗値とは、溶接ガン10とロボット20と抵抗測定装置30と制御部40とを含む系全体の抵抗値である。抵抗測定装置30で測定された回路抵抗値は、制御部40に伝達される。
制御部40は、溶接ガン10およびロボット20の動作を制御する。具体的には、制御部40は、上部電極2および下部電極3に流す電流値の調整と、アクチュエータ4の動作により被溶接物W1,W2に加えられる圧力の調整と、被溶接物W1,W2における上部電極2および下部電極3の打点位置の調整と、を実行する。また、制御部40は、被溶接物W1,W2が上部電極2および下部電極3に挟持されたときの、上部電極2および下部電極3の位置から、被溶接物W1,W2の板厚を推定することができる。制御部40は、例えば、プロセッサおよびメモリを有するコンピュータによって実現される。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)によって構成され、メモリは、例えばROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、ストレージと、によって構成される。
上述した抵抗溶接装置100により被溶接物W1,W2を溶接する場合、上部電極2および下部電極3は、被溶接物W1,W2を挟持し、加圧しながら通電する。通電による抵抗発熱により被溶接物W1,W2が溶融し、その後凝固することで、被溶接物W1,W2が接合される。接合された被溶接物W1,W2の接合界面には、ナゲットが形成される。ナゲットは、被溶接物W1,W2の溶融部が冷却凝固した部分である。ナゲットの形状は、接合界面を中心面とする碁石状の形状である。
A2.ナゲット径の推定方法:
図2は、第1実施形態におけるナゲット径の推定方法を示す工程図である。ナゲット径の推定方法は、抵抗溶接の信頼度を評価するために実行される。例えば、かかる推定方法によるナゲット径が正常範囲内の値であれば、抵抗溶接の信頼度は、高いと評価される。他方、ナゲット径が正常範囲から外れた値であれば、抵抗溶接の信頼度は、低いと評価される。
抵抗溶接時における被溶接物W1,W2の膨張量を特定する(ステップS105)。本実施形態において、膨張量とは、電極から被溶接物W1,W2への通電開始から通電終了までの被溶接物W1,W2の変位量である。膨張量は、被溶接物W1,W2を抵抗溶接する際にひずみセンサ7a,7bを用いて計測することで、特定できる。
抵抗溶接における電極の初期位置から、被溶接物W1,W2の板厚を推定する(ステップS110)。図3は、電極の初期位置と被溶接物W1,W2との板厚の関係を示すグラフである。横軸は、電極の初期位置を示し、縦軸は、被溶接物W1,W2の板厚を示す。本実施形態において、電極の初期位置とは、チップ6a,6bが、非通電状態で被溶接物W1,W2に接するときの、電極の高さのことをいう。電極の初期位置から、被溶接物W1,W2の厚さを推定することができる。なお、電極の初期位置の基準は、抵抗溶接装置100を始動させたときの電極の位置により定められる。図3中の「公称」は、公称図面で規定された板厚に対応する電極の初期位置を示す。「板厚減」は、板厚が公称図面で規定された板厚よりも薄い場合の電極の初期位置の一例を示す。
被溶接物W1,W2の板厚および膨張量の相関を示す情報と、基準板厚に対応する基準膨張量とを含むマスタ情報と、推定された板厚と、を用いて被溶接物W1,W2の膨張量を推定する(ステップS115)。本実施形態において、基準板厚とは、設計図面で規定された被溶接物W1,W2の板厚のことをいう。また、基準膨張量とは、基準板厚の被溶接物W1,W2を溶接した際に計測される膨張量のことをいう。図4は、被溶接物の板厚と膨張量との対応関係を示すグラフである。このようなグラフは、例えば膨張量を目的変数とし、板厚を説明変数とする単回帰分析を行うことで得られる。具体的には、様々な板厚の被溶接物W1,W2の抵抗溶接を行い、板厚と膨張量のデータを蓄積する。次いで、蓄積されたデータをプロットし、最小二乗法を実行することで、回帰式が得られる。このように得られた板厚および膨張量の対応関係と、ステップS110で推定した板厚と、を用いて、被溶接物W1,W2の膨張量を推定する。
ステップS115において推定された膨張量と、マスタ情報に含まれる基準膨張量と、を比較する(ステップS120)。図4に示すように、推定された膨張量と基準膨張量とを比較することで、板厚の変動による膨張量の変化を調べることができる。なお、図4中の「公称」は、公称図面で規定された板厚に対応する膨張量、即ち基準膨張量の一例を示す。「板厚減」は、板厚が公称図面で規定された板厚よりも薄い場合に推定された膨張量の一例を示す。ステップS120では、推定された膨張量を基準膨張量で除算することで、基準膨張量に対する推定された膨張量の比率(推定された膨張量/基準膨張量)が計算される。
ステップS120の比較の結果を用いて、抵抗溶接時における膨張量を補正する(ステップS125)。ステップS125では、抵抗溶接を行った際にひずみセンサ7a,7bにより計測される膨張量の補正を行う。具体的には、ステップS105において特定された膨張量に、ステップS120で計算された「基準膨張量に対する推定された膨張量の比率」の逆数(基準膨張量/推定された膨張量)を乗算する。なお、上述したステップS105,S115~S125は、抵抗溶接における被溶接物W1,W2の膨張量を、推定された板厚を用いて補正して補正膨張量を取得する工程ともいうことができる。
補正された膨張量を用いて、ナゲット径を推定する(ステップS130)。ナゲット径の推定は、ナゲット径を目的変数とし、抵抗溶接時の被溶接物W1,W2の膨張量と、収縮量と、回路抵抗値と、を説明変数とする重回帰式により算出される。ここで、膨張量と収縮量が大きいほどナゲット径は大きく推定され、抵抗値が大きいほどナゲット径は小さく推定される。かかる重回帰式は、抵抗溶接を行った際の膨張量と収縮量と回路抵抗値とを実験データとして集計し、重回帰分析を行うことで得られる。かかる重回帰式を用いてナゲット径の推定を行う場合、ひずみセンサ7a,7bにより計測された膨張量を使用すると板厚の変動に起因する膨張量の変動が考慮されていないため、ナゲット径の推定精度が低下するおそれがある。そこで、ステップS125で説明したように計測された膨張量を補正し、補正された膨張量を用いてナゲット径の推定を行う。
以上に説明した実施形態によるナゲット径の推定方法によれば、被溶接物W1,W2の板厚が図面の公称値からずれた場合に、板厚の変動に起因する膨張量の変化分を補正してナゲット径の推定を行っている。このため、板厚が公称図面の値からずれた場合であっても、ナゲット径の推定精度の低下を抑制することができる。
図5は、比較例によるナゲット径の推定を行った場合のナゲット径の推定値と実測値とを示すグラフである。比較例では、膨張量を補正せずにナゲット径の推定の重回帰式に用いている。図6は、実施形態の方法によりナゲット径の推定を行った場合の推定値と実測値とを示すグラフである。図5および図6において、横軸は、ナゲット径の推定値を示し、縦軸は、ナゲット径の実測値を示す。また、図5および図6において、実線L1は、推定値と実測値とが一致する直線、即ち推定精度が100%であることを示す直線である。破線L2は、推定値が実測値に対して10%不足していることを示す直線である。破線L3は、推定値が実測値に対して10%超過していることを示す直線である。ここで、推定精度は、実測値を基準とした推定値の割合をいう。推定精度は、-10%~+10%の範囲内であることが望ましい。図5に示すように、比較例の場合、推定精度は-19%~0%の範囲内であった。推定値が実測値よりも小さいデータが多い理由は、板厚が図面の公称値より薄い場合、膨張量が小さくなることで、推定値が実際よりも小さく見積もられるためである。図6に示すように、実施形態の方法によれば、公称板厚からの板厚のずれによる膨張量の変動分を補正してからナゲット径の推定を行うので、推定精度は、-14%~+3%の範囲内であった。これは、実施形態のナゲット径の推定方法により、推定精度の低下が抑制されていることを示している。
また、本実施形態の方法によれば、ナゲット径の推定精度の低下を抑制することができるため、一定の水準を保ちながら溶接の信頼度を算出することができる。これにより、溶接の信頼度を確認するために行われている検査員による超音波検査の工程を省略することができるので、製造コストの低下を実現することができる。
B.他の実施形態:
(B1)第1実施形態のステップS110において、電極の初期位置から被溶接物W1,W2の板厚を推定していたが、電極の初期位置に代えて、チップ6a,6bの初期位置から被溶接物W1,W2の板厚を推定してもよい。また、チップ6a,6b間の距離から被溶接物W1,W2の板厚を推定してもよい。
(B2)各実施形態のステップS120において、基準膨張量は、公称図面で規定されている板厚から推定される膨張量であったが、これに代えて、任意の板厚から推定される膨張量であってもよい。
(B3)各実施形態において、ナゲット径の推定は、制御部40により行われてもよい。かかる場合、制御部40は、メモリに記録されたプログラムを実行することで、ナゲット径の推定を行ってもよい。また、マスタ情報は、制御部40のメモリに記録されていてもよい。
(B4)各実施形態において、上部電極2が移動電極、下部電極3が固定電極である抵抗溶接装置100について説明したが、この構成に代えて、上部電極2が固定電極であり、下部電極3が移動電極である構成であってもよい。また、上部電極2および下部電極3の両方が移動電極であってもよい。
(B5)各実施形態において、膨張量および収縮量は、ひずみセンサ7a,7bにより計測されるが、これに代えて、移動電極の変位量を用いて膨張量および収縮量の計測が行われてもよい。
(B6)各実施形態において、ナゲット径の推定に用いる膨張量は、通電開始から通電終了までの時間範囲における被溶接物W1,W2の変位の最大値を用いてもよい。また、変位の最大値に代えて、変位の積分値または平均値を用いてもよい。また、通電開始から通電終了までの時間範囲に代えて、任意の時間範囲であってもよい。
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
本開示は、例えば以下の形態により実現してもよい。
[形態1]
抵抗溶接におけるナゲット径の推定方法であって、
前記抵抗溶接における被溶接物の膨張量を特定する工程と、
前記抵抗溶接における電極の初期位置から、前記被溶接物の板厚を推定する工程と、
前記被溶接物の板厚および膨張量の相関を示す情報と基準板厚に対応する基準膨張量とを含むマスタ情報と、推定された前記板厚と、を用いて前記被溶接物の膨張量を推定する工程と、
推定された前記膨張量と、前記基準膨張量と、を比較する工程と、
前記比較の結果を用いて、前記抵抗溶接において特定された膨張量を補正する工程と、
補正された前記膨張量を用いて、前記ナゲット径を推定する工程と、
を備え、
前記ナゲット径を推定する工程は、前記基準板厚において求めた重回帰式であって、少なくとも前記被溶接物の膨張量を説明変数とし、前記ナゲット径を目的変数とする重回帰式に対して、補正された前記膨張量を適用して算出する工程を含む、
ナゲット径の推定方法。
1…ガン本体、1a…上部、1b…下部、2…上部電極、3…下部電極、4…アクチュエータ、5a,5b…シャンク、6a,6b…チップ、7a,7b…センサ、10…溶接ガン、20…ロボット、30…抵抗測定装置、40…制御部、100…抵抗溶接装置、W1,W2…被溶接物

Claims (1)

  1. 抵抗溶接におけるナゲット径の推定方法であって、
    前記抵抗溶接における電極の初期位置から、被溶接物の板厚を推定する工程と、
    前記抵抗溶接における前記被溶接物の膨張量を、推定された前記板厚を用いて補正して補正膨張量を取得する工程と、
    取得された前記補正膨張量を用いて、前記ナゲット径を推定する工程と、
    を備える、ナゲット径の推定方法。
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