本発明の一実施形態について図1〜図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
尚、本実施の形態では、いわゆるスロットマシン等の遊技機に用いられるスイッチユニットについて説明するが、本発明はスロットマシンに限られるものではない。すなわち、スイッチユニットによりユーザの操作を受け付けて行う装置であれば、どのような装置であっても適用可能である。例えば、遊技機は、ポーカーゲーム等のトランプゲーム機や麻雀ゲーム機等にも適用できる。
まず、本実施の形態のスイッチユニットを備えた遊技機としてのスロットマシンについて、図2に基づいて説明する。図2は上記スイッチユニットを備えた遊技機としてのスロットマシンの構成を示す斜視図である。
図2に示すように、遊技機としてのスロットマシン1には、筐体4の上部における、遊技者の目線に当たる位置に表示モニター2が設けられていると共に、遊技者の手が置かれる筐体4における中央付近の位置に、操作部分が遊技者側に若干傾くようにスイッチユニット10が設けられている。このように、スロットマシン1の前面の中央下部にスイッチユニット10が備えられている。
表示モニター2には複数のリールが表示されている。これらリールは遊技者の操作によって回転することができ、停止したときのリールに示されているシンボルにより役が決定し、役に応じて賞が付与されるようになっている。尚、リールの表示は、液晶画面等の表示画面にリールに相当するものが表示されているものであってよく、又はリールそのものが設けられ、これが表示モニター2に配置されているものであってもよい。
スイッチユニット10は、遊技者からの操作を受け付けるものである。本実施の形態では、スイッチユニット10は、例えば、遊技者がスロットマシン1をプレイするときのベット数の指定操作、並びにリールの回転等の操作を受け付ける。尚、本実施の形態のスロットマシン1では、リールの回転開始は、スイッチユニット10の横に別途設けられたリール回転ボタン3によって行われるようになっている。
上記スイッチユニット10の詳細構成について、図3〜図9に基づいて説明する。図3はスイッチユニットの構成を示す斜視図であり、図4はスイッチユニットの構成を示す分解斜視図である。図5は、スイッチユニットにおけるボタンユニットの構成を示す分解斜視図である。図6は、上記ボタンユニットにおける操作ボタンの接点押圧部及び基板の接点を示す断面図である。図7は、上記ボタンユニットにおける基板上の光源及び接点の構成を示す要部斜視図である。図8は、上記ボタンユニットにおける導光枠体の構成を示す要部斜視図である。図9は、上記ボタンユニットにおける導光枠体の構成を示す断面図である。
スイッチユニット10は、図3に示すように、スロットマシン1から分離できるようになっている。本実施の形態のスイッチユニット10では、複数の操作ボタン23が一体構造にまとまったものからなっている。
このスイッチユニット10は、図4に示すように、下から順に、表示部としての表示ユニット11とブラケット12とボタンユニット20とから構成されており、ブラケット12を挟んで表示ユニット11とボタンユニット20とが一体化されるようになっている。したがって、本実施の形態のスイッチユニット10では、後述するように、ボタンユニット20に液体が滴下されても、表示ユニット11の上面を流れて排出されるようになっている。
上記表示ユニット11は、LCD(liquid crystal display)11a、このLCD11aを下側から保持するLCDケース11b、及びLCD11aの上面を保護すべくLCD11aの全面を覆う透光性を有する保護シート11cを有している。LCD11aは、液晶表示装置であり、後述する透明の操作ボタンから視認できる位置つまり入力領域に絵、文字等の所定画像を表示するようになっている。
ブラケット12は、上述したように、表示ユニット11とボタンユニット20とを一体化するための支持板であり、このブラケット12には、操作ボタンとの対応位置、つまりLCD11aの表示領域に対応する位置にブラケット開口部12aが設けられている。
上記ボタンユニット20は、複数の透明の操作ボタン23を有すると共に、その操作ボタン23の周囲には、光源としてのLCDからの表示を行う光拡散枠としての導光枠体22を有し、かつ操作ボタン23を押し下げすることによって、LCD11aにおける該操作ボタン23の下側の表示に対応した入力領域のスイッチとして機能するようになっている。尚、ボタンユニット20の上側には、操作ボタン23を露出させた状態で操作ボタンケース21を覆う図示しないカバーを設けることも可能である。
上記ボタンユニット20は、詳細には、図5に示すように、操作ボタンケース21、導光枠体22、操作ボタン23、弾性部材からなる光透過防滴シートとしてのラバーシート24、及び基板としてのPCB(printed circuit board:印刷回路基板)25から構成されている。
上記操作ボタンケース21は、黒色のプラスチック等により成形されている。また、操作ボタンケース21には、操作ボタン23の数と同じ数だけ、操作ボタン23の位置に合わせて、ボタンケース開口部21aが設けられている。このボタンケース開口部21aの位置は、LCD11aの入力領域に対応している。そして、これにより、操作ボタン23が、ボタンケース開口部21aを通して操作ボタンケース21の上側に突出すると共に、押し下げ自在に遊嵌されるようになっている。尚、本実施の形態では、操作ボタン23が例えば11個備えられている例について説明しているが、操作ボタン23の数はこれに限られない。11個よりも少なくても多くてもよいし、1個でもよい。
操作ボタン23は、透明プラスチック等の透光性を有する直方体状部材にてなっており、押しボタン23aと該押しボタン23aにおける下端の2隅から突出する接点押圧部23bと、該押しボタン23aにおける下端の他の2隅から突出する支持固定部23cとを有している。
上記直方体状部材からなる押しボタン23aの4つの側面壁は、下側に向かうにつれて外側に広がる傾斜面となっている。この傾斜面は、下方に鈍角になるように垂直面に対して例えば10〜20°の傾斜となっている。これにより、遊技者に対して奥となる側面壁WSの表示が反射光により見づらくなるのを防止するようになっている。尚、押しボタン23aの側面壁の傾斜は、必ずしも4つの側面壁に限らず、少なくとも遊技者に対して奥となる側面壁に傾斜が設けられていればよい。
上記ラバーシート24は、図5に示すように、操作ボタン23の下に配置されている。このラバーシート24には、上記操作ボタン23と対応する位置、つまりLCD11aの入力領域を臨む位置にシート開口部24aが設けられている。ラバーシート24は、例えばシリコンゴム等の弾性を有する部材からなっており、灰色を有している。
また、ラバーシート24には、操作ボタン23の接点押圧部23bと対応する位置に突起部24bが設けられている。この突起部24bの裏面側は、図6に示すように、空洞となっており、この空洞には、PCB25に設けられた接点としての電極端子25b・25bに対向するように、接点導通部としてのカーボン電極24dが設けられている。
上記操作ボタン23の接点押圧部23bとラバーシート24の突起部24bとは接触しており、操作ボタン23を押し下げると、操作ボタン23の接点押圧部23bがラバーシート24の突起部24bを押し込むことにより、この電極端子25b・25bに跨って当接する。この結果、電極端子25b・25b間が導通され、スイッチオンとして機能する。
このとき、ラバーシート24の突起部24bは弾性を有しているので、押し込まれた後、操作ボタン23の接点押圧部23bを押し返す。これにより、操作ボタン23の押圧感を出すことができ、操作ボタン23が押しボタンとして機能するようになっている。尚、上記の構成により、ラバーシート24は、突起部24bにて少なくともPCB25の電極端子25b・25bを覆っている。
また、前述したように、図5に示す操作ボタン23には、押しボタン23aにおける下端の他の2隅から突出する支持固定部23c・23cを有していると共に、ラバーシート24における該支持固定部23c・23cの対向位置には、支持突起24cが設けられている。
そして、図6に示すように、操作ボタン23の支持固定部23cには、固定用穴23dが設けられている。このため、ラバーシート24の2箇所の支持突起24c・24cを操作ボタン23における支持固定部23cの固定用穴23d・23dにそれぞれ挿入することによって、操作ボタン23がラバーシート24から横方向に動かないように固定することができる。
次に、図5に示すように、上記PCB25は、必要な配線が施されたプリント基板であり、操作ボタン23の押し下げを検出して予め定められた処理を実行するものである。PCB25には、操作ボタン23の押しボタン23aと対応する位置、つまりLCD11aの入力領域に対応する位置に基板開口としてのPCB開口25aが設けられている。
上記PCB25には、上述したように、図5、及び図6に示す操作ボタン23の接点押圧部23bの真下に位置する箇所に接点としての電極端子25b・25bが設けられている。このため、操作ボタン23を押し下げると、操作ボタン23の接点押圧部23bがラバーシート24の突起部24bに押圧力を加える。これにより、突起部24bの裏側に設けられたカーボン電極24dが、隙間を有して離間して設けられた2つの電極端子25b・25bに跨って接触するので、PCB25は該位置の電極端子25b・25bに導通があったことを認識する。この結果、PCB25では、該位置の電極端子25b・25bの上側に存在する操作ボタン23が押し下げされたことを検出することができる。尚、本実施の形態では、PCB25におけるカーボン電極24dは、スイッチユニット10の上側からは見えないので、透明電極である必要はない。したがって、本実施の形態のスイッチユニット10は、この意味で、一般的なタッチパネルの入力装置は使用していない。
また、本実施の形態では、図7に示すように、PCB開口25aの周囲におけるPCB25の縁には、操作ボタン23の周囲に設けられた導光枠体22の下側に位置する箇所に、操作ボタン23の周囲を照明する光源としてのLED(light-emitting diode)25cが設けられている。このLED25cは、後述する図11に示すように、ラバーシート24の立ち下がり部24eによって、シールされている。
このLED25cは、操作ボタン23の周囲に該LED25cからの光を演出するものである。ここで、LED25cは点光源であり、長い線状には光を拡散することができない。
そこで、本実施の形態では、LED25cの上側に、図5に示す導光枠体22を設けている。この導光枠体22は、図8及び図9に示すように、LED25cに対向する部分に山状波型22aを有している。これにより、輝度の高いLED25cからの直行光がラバーシート24の光透過部24fを透過して、導光枠体22のV字の境界である山状波型22aに当ることによって、その光が拡散され、輝度が抑制される。このとき、LED25cからの側面光は導光枠体22の傾斜形状に沿って、放射状に広がり均一な光を供給する。したがって、直行光と側面光との輝度差が軽減される。ここで、LED25cからの光は、後述するように、ラバーシート24の後述する遮光仕切り24gにより、隣接する他方の操作ボタン23の周囲に光が漏れないよう抑制される。さらに、導光枠体22により分散された光は、操作ボタンケース21の仕切り21bにより、隣接する他方の操作ボタン23の周囲に光が漏れないよう抑制されるようになっている。
以上のように、上記スイッチユニット10の構成によれば、PCB25の上側には、電極端子25b・25bを覆い、LCD11aの入力領域に対応する位置にシート開口部24aを有するラバーシート24と、ラバーシート24の上側に設けられ、LCD11aの入力領域に対応する位置にボタンケース開口部21aを有する操作ボタンケース21と、透光性を有する押しボタン23aと該押しボタン23aの下端から側方に突出する少なくとも1個の接点押圧部23bとを有し、押しボタン23aがボタンケース開口部21a及びシート開口部24aに押し下げ自在に遊嵌して設けられ、かつ該押しボタン23aの入力領域に向けての押し下げ操作により接点押圧部23bにてカーボン電極24dをPCB25の電極端子25b・25bに当接して導通する操作ボタン23とが設けられている。
このため、PCB25への押圧操作は物理的な操作ボタン23を介して行われるので、操作ボタン23を押し下げすることによって直感的な操作感、及びクリック感を得ることができる。
この結果、操作ボタン23を押し下げるという、物理的な動作によりスイッチのオン操作を行うことできるので、1回1回操作ができているか否かを目で確認する必要はなく、スピード感・クイック感のあるスイッチユニット10を提供することができる。
また、スイッチユニット10は、押しボタン方式のような操作感、クイック感を有しつつ、LED25cにて操作ボタン23の周囲を光らせると共に、操作ボタン23の上面に様々な情報(文字、絵等)を表示させることができるものとなっている。この結果、スイッチユニット10は、押しボタン方式の利点を有したまま、顧客吸引力を有するユーザインタフェースを提供することができるようになっている。
すなわち、本実施の形態のスイッチユニット10では、タッチパネル形式では提供できない操作感を遊技者に与えることができると共に、操作ボタン23にLCD11aの表示画像を表示させ、かつ操作ボタン23の周りを光らせることにより、遊技者に対し魅力あるスイッチユニット10を提供できるものとなっている。
また、本実施の形態のスイッチユニット10では、操作ボタンケース21のボタンケース開口部21aには、操作ボタン23の周囲に嵌合され、LED25cからの光を操作ボタン23の周囲に沿って照射させる導光枠体22が操作ボタン23の周囲に嵌合されている。これにより、LED25c等の点光源からの光を導光枠体22によって、操作ボタン23の辺に沿って光らせることができる。したがって、LED25c等の点光源においても線状光として演出することが可能となる。
ここで、本実施の形態では、操作ボタンケース21には、操作ボタン23を押し下げ自在に遊嵌させるボタンケース開口部21aがLCD11aの入力領域に対応する位置に設けられている。
このため、図1に示すように、コップ30に入った飲料水等の液体がスイッチユニット10にこぼれると、ボタンケース開口部21aにおける操作ボタン23との隙間に液体が流れる。この結果、操作ボタンケース21の下側に存在するPCB25の電極端子25b・25bに液体が浸入する虞がある。また、本実施の形態では、操作ボタン23の周囲を照らすLED25cがPCB25にさらに搭載されているので、LED25cの防滴構造も必要となる。
そこで、本実施の形態では、LCD11aと操作ボタン23との間には、弾性部材からなるラバーシート24が設けられている。そして、このラバーシート24は、操作ボタン23を押し下げ自在に遊嵌させるシート開口部24aと、操作ボタン23の押し下げにより上PCB25の電極端子25b・25bを導通させるべく該電極端子25b・25bに対向して当接可能に設けられたカーボン電極24dと、PCB25の周囲を覆う立ち下がり部24eと、LED25cからの光を透過すべく上面に形成された後述する光透過部24fとを有している。
この結果、電極端子25b・25b及びLED25cはPCB25に設けられており、そのPCB25は、ラバーシート24の表面、及びPCB25の周囲を覆う立ち下がり部24eによって、シールされている。このとき、ラバーシート24はシリコンゴム等の弾性部材からなっているので、ラバーシート24における立ち下がり部24eの下端をLCD11aに密着させることができる。
このため、ボタンケース開口部21aにおける操作ボタン23との隙間に液体が流れることがあっても、図1に示すように、その液体はラバーシート24に到達した後、立ち下がり部24eのラバー開口部側表面を伝ってLCD11aの上面に設けられた保護シート11cに落下する。そして、スイッチユニット10がスロットマシン1において傾斜して設けられていれば、液体Wが下方に向かって流れる。この結果、電極端子25b・25b及びカーボン電極24d並びにLED25cが濡れることはない。
したがって、操作ボタン23の周囲をLED25cにて光演出する場合に、カーボン電極24d及び電極端子25b・25b、並びにLCD11aの防滴構造を適切に行い得るスイッチユニット10を提供することができる。
尚、本実施の形態のスイッチユニット10では、図1に示すように、保護シート11cの一方の端部側に、貯液容器5を設けておくことが可能である。これにより、スイッチユニット10が傾斜して設けられている場合に、ボタンケース開口部21aにおける操作ボタン23との隙間、及びシート開口部24aに浸入し、かつPCB25のPCB開口25aを通り、LCD11aの表面を覆う透光性を有する保護シート11cの上面に到達した液体Wは、保護シート11cの一方の端部側、つまり液体Wの下流側に設けられた貯液容器5に貯液される。
したがって、スイッチユニット10にこぼれた液体Wが、保護シート11cの上面にいつまでも溜まるということがない。
また、本実施の形態では、貯液容器5には、スロットマシン1のスイッチユニット10を設置している筐体4の外側に通ずる廃液コック6を設けておくことが可能である。これにより、スロットマシン1の外側にて、貯液容器5に溜まった液体Wを容易に取り出すことができる。
さらに、本実施の形態のスイッチユニット10は、液体Wが内部に溜まっている場合においても容易に分解掃除できる構成となっている。すなわち、本実施の形態のスイッチユニット10は、滴下した液体WによりLCD11aの画像が見難くなっても、容易に拭き取ることができるメンテナンス容易なスイッチユニット10となっている。
ここで、本実施の形態では、複数の操作ボタン23の周囲には、導光枠体22が設けられ、その下側には、ラバーシート24を介してLED25cが設けられている。したがって、このような操作ボタン23の周囲をLED25cの発光により演出するスイッチユニット10においては、操作ボタン23の周囲の光が隣接する操作ボタン23に入り込むと、発光によるアピールが分かり難くなる。
以下では、本実施の形態のスイッチユニット10における分光構造について、図10〜図13に基づいて、詳細に説明する。図10は、上記ボタンユニットにおける操作ボタンの構成を示す要部斜視図である。図11は、上記ボタンユニットにおける光源とラバーシートの光透過部及び遮光仕切りを示す断面図である。図12は、媒質を透過する光の吸光度を示す模式図である。図13(a)はラバーシートの光透過部及び遮光仕切りの各厚さを0.3mm及び0.9mmに固定して吸光係数を変化させたときの、透過する光の変化を示すグラフであり、図13(b)はそのデータを示す図である。
まず、本実施の形態では、図10及び図11に示すように、操作ボタンケース21には、隣接する操作ボタン23の間から漏れる光を遮蔽する仕切り21bが設けられている。このため、仕切り21bにて、隣接する操作ボタン23における周囲のLED25cからの光が乱反射して互いの隣接する操作ボタン23における周囲の演出に入り込むのを防止することができる。
次に、ラバーシート24における分光構造について、以下に説明する。
本実施の形態のスイッチユニット10では、図11に示すように、上記LED25cは、ラバーシート24の下側に設けられている。したがって、ラバーシート24の上面によって、LED25cからの光が遮光されると、スイッチユニット10はLED25cによる光の演出ができない。
そこで、本実施の形態では、図11に示すように、ラバーシート24にはLED25cからの光を透過する光透過部24fがLED25cの直上面に設けられている。このため。LED25cからの光の演出は担保されるようになっている。
また、本実施の形態のスイッチユニット10では、図11に示すように、ラバーシート24は、コストを抑えるべく、一種類の例えば灰色等の有色からなる弾性部材にてなっていると共に、ラバーシート24における光透過部24f以外は、LED25cからの光を遮光する遮光部となっており、光透過部24fの厚さは、遮光部の厚さよりも薄くなっている。尚、本実施の形態では、ラバーシート24は、例えば灰色となっているが、必ずしもこれに限らず、他の有色つまり有彩色であってもよい。
また、本実施の形態のスイッチユニット10では、図11に示すように、ラバーシート24には、隣接するLED25c・25cの間を遮光すべく遮光部からなる遮光仕切り24gが設けられている。そして、この遮光部からなる遮光仕切り24gにて、ラバーシート24の内部を通して、隣接する操作ボタン23における周囲のLED25cからの光が互いに隣接する操作ボタン23における周囲の演出に入り込むのを防止することができる。
したがって、隣接した操作ボタン23の光が近隣の他方の操作ボタン23に漏れない分光構造を有するスイッチユニット10を提供することができる。
ここで、図11に示すように、本実施の形態では、同一面積にできるだけ大きな操作ボタン23を配置するため、LED25c・25cの間の間隔、及び遮光仕切り24gの厚さΔWをできるだけ薄くしている。したがって、遮光仕切り24gは、LED25c・25cの間の光の漏れを防止する遮光部として機能するものであるが、該遮光仕切り24gの厚さΔWをできるだけ薄い0.9mmに抑えている。
また、ラバーシート24の光透過部24fの厚さΔtを0.3mmとしている。このように、本実施の形態では、LED25cの上面の防滴兼演出光透過機能を実現すると共に、LED25c・25cの間の光の漏れを防止する機能とを実現するために、光透過部24fの厚さと、遮光仕切り24gの厚さとを変えている。
本実施の形態のスイッチユニット10について、上記構成とした原理について、図12に基づいて説明する。図12は、媒質を透過する光の吸光度を示す模式図である。
図12に示すように、吸光係数α、モル濃度c、長さl、光路長さLの媒質に光が入射する場合、媒質に入射する前の光の強度をI0とし、媒質の通過後の光の強度をI1 としたとき、媒質における光の吸光度Aλは、ランベルト・ベールの法則により以下のようになる。
Aλ=−log(I1 /I0 )=αcl≒0.434αL
ここで、例えば、媒質が乳白色のシリコンゴムであるとした、吸光係数αは1.4である。この場合、シリコンゴムの厚さを例えば0.3mmとすると、光路長さLは0.3mmとなるので、吸光度Aλ(0.3)は、
Aλ(0.3)=0.434×1.4×0.3
であり、透過率T(0.3)は、
T(0.3)=exp(−Aλ(0.3))
=0.8326=83.3%
となる。
一方、乳白色シリコンゴムの厚さを例えば0.9mmとすると、光路長さLは0.9mmとなるので、透過率T(0.9)は、
T(0.9)=exp(−Aλ(0.9))
=0.5772=57.7%
したがって、
透過率T(0.3):透過率T(0.9)=83.3:57.7=1.4:1 (式1)
これに対して、媒質が灰色のシリコンゴムであるとした、吸光係数αは7.0である。この場合、灰色シリコンゴムの厚さを例えば0.3mmとすると、光路長さLは0.3mmとなるので、吸光度Aλ(0.3)は、
Aλ(0.3)=0.434×7.0×0.3
であり、透過率T(0.3)は、
T(0.3)=exp(−Aλ(0.3))
=0.4001=40.0%
となる。
また、灰色シリコンゴムの厚さを例えば0.9mmとすると、光路長さLは0.9mmとなるので、透過率T(0.9)は、
T(0.9)=exp(−Aλ(0.9))
=0.0641=6.4%
したがって、
透過率T(0.3):透過率T(0.9)=40.0:6.4=6.3:1 (式2)
となる。
この結果、(式1)から判断すると、乳白色シリコンゴムにおいて、厚さを0.3mmから0.9mm変化させることにより、透過率T(0.3)と透過率T(0.9)とは、1.4倍の透過率の差を生じることがわかる。
そして、さらに、シリコンゴムを灰色にすることにより、(式2)から判断できるように、厚さを0.3mmから0.9mm変化させると、透過率T(0.3)と透過率T(0.9)とを6.3倍にまで拡大できることが判明した。
このことから、シリコンゴムからなるラバーシート24を用いる場合、灰色シリコンゴムを用いる方が乳白色シリコンゴムを用いるよりも、透過と遮光との変化をつけ易いことが判る。
ここで、シリコンゴムを灰色にする場合、灰色には、白色よりも濃く、かつ黒色よりも薄い種々のレベルがある。そこで、灰色のレベルについて、光透過部24fの厚さを0.3mmとし、遮光部の厚さを0.9mmに固定した状態で、薄灰色、灰色、濃灰色について検討を行った。つまり、吸光係数を変化させた。
その結果、図13(a)(b)に示すように、直行する光(透過光)の透過光と遮蔽する光(漏れ光)の透過光との差が、透過率係数3〜5の場合に大きくなる。すなわち、色を濃くして、吸光係数を増加させると、光透過部24fを通過する透過光と、遮光部を通過する遮蔽光の差が大きくなるが、吸光係数7を超えると、差が小さくなる。
そのため、光透過部24fと遮光部との板厚差を3倍とした場合、吸光係数は4〜7が好ましく、7前後がより最適な値となる。つまり、シリコンゴムにおいて灰色とは、透過率係数3の薄灰色から透過率係数5の灰色の範囲が好ましい。
次に、光透過部24fの厚さと遮光部の厚さについて、図14(a)(b)に基づいて説明する。図14(a)は遮蔽光を目視で認識され難い20lm以下とし、光透過部の厚さを部材の限度として0.3mmに固定しての遮光仕切りの厚さを変化させたときの、吸光係数、透過光及び遮蔽光の関係を示すグラフであり、図14(b)はそのデータを示す図である。
図14(a)(b)に示すように、光透過部24fの厚さと遮光部の厚さとの板厚差が2倍以下の場合は、吸光係数を調整しても透過光が100lmを超えない。しかし、光透過部24fの厚さと遮光部の厚さとの板厚差を3倍以上にすることによって、透過光が100lm以上、かつ遮蔽光が20lm以下の条件を組み合わせることが可能となることが判る。この条件は、例えば、ボタンレイアウトやボタンサイズの制約にもよるが、寸法に余裕がある場合は、板厚差が3倍を超えた条件でも成立する。
一方、板厚差が7倍を越えると、吸光係数の変化が小さくなる。このため、光透過部24fの厚さと遮光部の厚さとの板厚差の範囲は、3〜7倍が妥当な範囲と言え、板厚に合わせた吸光係数を選択することによって、レイアウトと発光との最適な組合せを選択することが可能である。
このように、本実施の形態のスイッチユニット10は、少なくとも1個の入力領域の画像を表示する表示ユニット11と、電極端子25b・25bを有しかつ表示ユニット11の入力領域の画像が上方から見えるようにPCB開口25aを有して表示ユニット11の上側に設けられたPCB25と、少なくとも1個のボタンケース開口部21aを有してPCB25を覆うように設けられた操作ボタンケース21と、操作ボタンケース21のボタンケース開口部21aを通して押し下げ自在に設けられ、かつ押し下げにより電極端子25b・25bを導通させる少なくとも1個の透光性を有する操作ボタン23とを備えている。そして、PCB25には、操作ボタン23の周囲を照らすLED25cがさらに搭載されていると共に、表示ユニット11と操作ボタン23との間には、PCB25を覆うべく入力領域を臨む位置にシート開口部24aを形成した弾性部材からなるラバーシート24が設けられており、ラバーシート24は、操作ボタン23の押し下げによりPCB25の電極端子25b・25bを導通させるべく該電極端子25b・25bに対向して当接可能に設けられたカーボン電極24dと、PCB25の周囲を覆う立ち下がり部24eと、LED25cからの光を透過すべく上面に形成された光透過部24fとを備えている。
この結果、電極端子25b・25b及びLCD11aはPCB25に設けられており、そのPCB25は、ラバーシート24の表面及びPCB25の周囲を覆う立ち下がり部24eによって、シールされている。このとき、ラバーシート24は弾性部材からなっているので、ラバーシート24における立ち下がり部24eの下端を表示ユニット11に密着させることができる。
このため、ボタンケース開口部21aにおける操作ボタン23との隙間に液体が流れることがあっても、その液体はラバーシート24に到達した後、立ち下がり部24eのシート開口部24a側表面を伝って表示ユニット11の保護シート11cに落下する。この結果、電極端子25b・25b及びLCD11aが濡れることはない。
また、本実施の形態では、ラバーシート24にはLED25cからの光を透過すべく上面に形成された光透過部24fが設けられているので、LED25cからの光の演出は担保されるようになっている。
したがって、操作ボタン23の周囲をLED25cにて光演出する場合に、電極端子25b・25b及びLED25cの防滴構造を適切に行い得るスイッチユニット10を提供することができる。
また、本実施の形態のスイッチユニット10では、ラバーシート24は、一種類の灰色等の有色からなる弾性部材にてなっていると共に、ラバーシート24における光透過部24f以外は、LED25cからの光を遮光する遮光部となっており、光透過部24fの厚さは、遮光部の厚さよりも薄い。
ところで、ラバーシート24には、光の演出に必要な部分は光が透過する一方、それ以外は遮光することが望ましい。
そこで、本実施の形態のスイッチユニット10では、ラバーシート24は、一種類の灰色等の有色からなる弾性部材にてなっていると共に、ラバーシート24における光透過部24f以外は、LED25cからの光を遮光する遮光部となっており、光透過部24fの厚さは、遮光部の厚さよりも薄い。
これにより、一種類のラバーシート24の厚さ及び色によって、光の演出に必要な部分を薄い厚さの光透過部24fにて担保し、それ以外はそれよりも厚い遮光部により遮光を適切に担保するものとなっている。
すなわち、ラバーシート24は例えばゴム等の弾性部材からなっているが、このような弾性部材において、光の吸収度は、弾性部材の厚さと色とに比例する。そこで、本実施の形態では、ラバーシート24における光透過部24fの厚さを遮光部の厚さよりも薄くすると共に、ラバーシート24の色を灰色等の有色にしている。
これにより、一種類のラバーシート24の厚さ及び色によって、光の演出に必要な部分を薄い厚さの光透過部にて担保し、それ以外はそれよりも厚い遮光部により遮光を適切に担保するものとなっている。
また、本実施の形態のスイッチユニット10では、ラバーシート24は、吸光係数が4〜7の灰色等の有色からなるシリコンゴムにてなっている。これにより、入手し易い一種類のシリコンゴムの厚さ及び吸光係数が4〜7の灰色によって、光の演出に必要な部分を薄い厚さの光透過部24fにて担保し、それ以外はそれよりも厚い遮光部により遮光を適切に担保するものとすることができる。
また、本実施の形態のスイッチユニット10では、ラバーシート24には、隣接するLED25cの間を遮光すべく遮光部からなる遮光仕切り24gが設けられている。すなわち、本実施の形態のような、操作ボタン23の周囲をLED25cの発光により演出するスイッチユニット10においては、操作ボタン23の周囲の光が隣接する操作ボタン23に入り込むと、発光によるアピールが分かり難くなる。
そこで、本実施の形態では、ラバーシート24には、隣接するLED25cの間を遮光すべく遮光部からなる遮光仕切り24gが設けられているので、この遮光部からなる遮光仕切り24gにて、ラバーシート24の内部を通して、隣接する操作ボタン23における周囲のLED25cからの光が互いに隣接する操作ボタン23における周囲の演出に入り込むのを防止することができる。
したがって、隣接した操作ボタン23の光が近隣の他方の操作ボタン23に漏れない分光構造を有するスイッチユニット10を提供することができる。
また、遮光仕切り24gは遮光部からなっており、ラバーシート24の表面に形成された薄い厚さの光透過部24fの略中央に設けられているので、厚いリブとしての機能を有するものとなっている。このため、膜厚の薄い光透過部24fが撓むのを防止することによって滴下した液体が滞留することを防止することができるようになっている。
また、本実施の形態のスロットマシン1は、本実施の形態のスイッチユニット10を備えている。
したがって、操作ボタン23の周囲をLED25cにて光演出する場合に、電極端子25b・25b及びLED25cの防滴構造を適切に行い得るスイッチユニット10を備えたスロットマシン1を提供することができる。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。