JP6015161B2 - チャンネルデバイダおよびこれを含む音声再生システム - Google Patents

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本発明は、マルチウェイスピーカーシステムによる音声信号再生で使用するチャンネルデバイダおよびこれを含む音声再生システムであって、特に、チャンネルデバイダのフィルタの位相シフト特性、および、スピーカーシステムが含むネットワーク回路の位相シフト特性を略直線位相化して、マルチウェイスピーカーシステムの再生音質を適切に変更することが可能なチャンネルデバイダに関する。
低音域再生用のウーファー及び高音域再生用のツィーターを含むマルチウェイスピーカーシステムでは、各スピーカーユニットの再生周波数帯域に合わせてアンプで増幅された音声信号を帯域分割するネットワーク回路を含む場合が一般的である。近年では、ウーファーに対応するネットワーク回路とツィーターに対応するネットワーク回路をそれぞれに独立することができ、それぞれに接続する入力端子を備えるバイワイヤリング接続に対応するスピーカーシステムが普及している。バイワイヤリング接続では、ウーファーのネットワーク回路に接続するパワーアンプと、ツィーターのネットワーク回路に接続する他のパワーアンプと、を用いるバイアンプ駆動を採用することになる。
一方で、スピーカーシステムのネットワーク回路を使用せずにマルチアンプ(バイアンプ)駆動を実現する方法として、パワーアンプの前段にチャンネルデバイダを設けて、このチャンネルデバイダによって音声信号を帯域分割する場合がある。チャンネルデバイダは、上記のようなマルチアンプ−マルチウェイスピーカーシステムの音声再生システムにおいて、入力される音声信号を少なくとも低音域側出力信号と高音域側出力信号とに帯域分割して、マルチアンプに出力する。チャンネルデバイダを用いることで、スピーカーシステムのネットワークよりも急峻な過渡帯域を持つLPF(低域通過フィルタ)あるいはHPF(高域通過フィルタ)を設定できる、クロスオーバー周波数を比較的自由に設定できる、等の利点がある(例えば、特許文献1)。また、チャンネルデバイダを採用する場合には、低音域用のアンプ回路と高音域用のアンプ回路が独立するので、低音成分と高音成分とが重畳して発生する混変調歪が低減し、再生音質に優れるという利点があると言われている。
近年、DSPおよびマルチアンプを含むAVレシーバー等を利用してネットワーク回路を備えないスピーカーシステムを接続できるように、DSPにチャンネルデバイダの機能を持たせようとするものがある(特許文献2、特許文献3)。チャンネルデバイダをデジタルフィルタで実現する場合にはFIRフィルタまたはIIRフィルタによる場合がある。チャンネルデバイダを使用するには、マイクロホン等を用いてスピーカーシステムの各スピーカーユニットの再生帯域を測定して、クロスオーバー周波数を適切に設定する必要がある(特許文献4、特許文献5)。
従来のチャンネルデバイダでは、低音域側のLPFおよび高音域側のHPFは、幾つかの標準的なフィルタ特性の中から選択できるものが多く、非直線位相の位相シフト特性を有する巡回型フィルタ(無限長インパルスレスポンスフィルタ、IIRフィルタ)が用いられる場合がある。標準的なフィルタ特性の具体例としては、バターワースフィルタ、ベッセルフィルタ、Linkwitz−Rileyフィルタ、等の様々なフィルタが存在する。巡回型フィルタの次数を増やしてフィルタを設定する場合には、フィルタの通過域と、阻止域と、これらの間の遷移域の設定において、遷移域のゲイン特性を急峻にすることができる一方で、位相回転が増えて遅延が生じ、位相遅延特性および群遅延特性が周波数によって大きく異なるようになる場合がある。他方で、非巡回型フィルタ(有限長インパルスレスポンスフィルタ、FIRフィルタ)を用いる場合には、直線位相の位相シフト特性を有するフィルタが設定可能である。直線位相の位相シフト特性の場合は、遅延が周波数に対して一定であり、位相遅延特性および群遅延特性がフラットになる。
ただし、非直線位相の位相シフト特性を有するフィルタでは、入力された信号の波形が時間的に歪んで出力されることになる。したがって、チャンネルデバイダにおいて、例えば、96dB/Oct.〜192dB/Oct.と言った急峻なゲイン特性を有する高次の非直線位相のIIRフィルタを用いる場合には、出力信号の波形の歪みが大きくなり、再生音声の音色変化として現れてしまうという問題がある。また、スピーカーシステムのネットワーク回路のフィルタも非直線位相のパッシブフィルタであるので、急峻なゲイン特性を持たせているような場合には、同様の問題を有している。したがって、所望のゲイン特性をチャンネルデバイダおよびスピーカーシステムのネットワーク回路のフィルタに設定する場合であっても、非直線位相の位相シフト特性を直線位相化できるのが好ましい。
従来には、直線位相特性を有するIIR型デジタルフィルタの構成を有する時間軸反転型直線位相フィルタに関して、IIRフィルタのインパルス応答期間の2倍程度の時間単位で信号を反転させる時間軸反転回路及び時間軸反転された信号を処理するIIR型フィルタが2系統用意されている構成を、必要メモリ量を従来に比べて格段に少なくして実現しようとするものがある(特許文献6)。また、所望周波数振幅特性を与える巡回型デジタルフィルタのインパルス応答を測定し、インパルス応答を所定の応答時間に制限した制限インパルス応答を求め、制限インパルス応答と制限インパルス応答の時間軸を前後反転した反転インパルス応答をそれぞれインパルス応答係数とするように第1および第2の非巡回型デジタルフィルタの係数を設定する非巡回型デジタルフィルタの設計法がある(特許文献7)。また、アナログ入力信号を一連のデジタル値に変換するA/Dコンバータと、A/Dコンバータの出力側に接続されるフィルタユニットとを有するフィルタ処理されたECG信号のリンギングを除去する装置において、フィルタユニットは、巡回IIRフィルタと、IIRフィルタの2倍の位相シフトと等しい位相シフトを持つ後続のオールパスフィルタとを有し、オールパスフィルタ処理は、IIRフィルタ処理と関連して時間を反転して実行されることを特徴とするフィルタ処理されたECG信号のリンギングを除去する装置がある(特許文献8)。
特開2005−109969号公報 特開2002−111399号公報 特開2005−184149号公報 特許第4321315号公報 実開平5−39097号公報 特開平6−97777号公報 特公平7−107970号公報 特開平7−51236号公報
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、マルチウェイスピーカーシステムによる音声信号再生で使用するチャンネルデバイダおよび音響再生システムであって、特に、チャンネルデバイダのフィルタの位相シフト特性、および、スピーカーシステムが含むネットワーク回路の位相シフト特性を略直線位相化して、マルチウェイスピーカーシステムの再生音質を適切に変更することが可能なチャンネルデバイダおよび音響再生システムを提供することにある。
本発明のチャンネルデバイダは、入力される音声信号を、少なくとも低音域側の第1出力信号と第1出力信号よりも高音域側の第2出力信号とに帯域分割して、それぞれ第1出力端子および第2出力端子に出力する低域通過フィルタ部および高域通過フィルタ部と、を含むチャンネルデバイダであって、低域通過フィルタ部が、所定の低域通過特性を有する低域通過フィルタの位相シフト特性と略等しい位相シフト特性を有する全帯域通過フィルタの有限長インパルスレスポンスを時間軸反転させた係数を有するFIRフィルタである第1全帯域通過フィルタを含み、高域通過フィルタ部が、所定の高域通過特性を有する高域通過フィルタの位相シフト特性と略等しい位相シフト特性を有する全帯域通過フィルタの有限長インパルスレスポンスを時間軸反転させた係数を有するFIRフィルタである第2全帯域通過フィルタを含む。
好ましくは、本発明のチャンネルデバイダは、チャンネルデバイダの低域通過フィルタ部および高域通過フィルタ部がそれぞれ、第1全帯域通過フィルタに直列接続する第1低域通過フィルタと、第2全帯域通過フィルタに直列接続する第1高域通過フィルタと、を含む。
また、好ましくは、本発明のチャンネルデバイダは、第1出力信号または第2出力信号のレベル調整を行なうレベル調整回路と、第1出力信号または第2出力信号の位相反転を行なう位相反転回路と、第1出力信号または第2出力信号の遅延時間を調整する遅延回路と、をさらに含む。
また、本発明の音響再生システムは、上記のチャンネルデバイダと、チャンネルデバイダの第1出力端子および第2出力端子に対応する増幅回路を含む増幅器と、少なくともウーファーに対応する第2低域通過フィルタ及びツィーターに対応する第2高域通過フィルタを含むネットワーク回路を含み増幅器とバイワイヤリング接続が可能なスピーカーシステムと、を含む。
また、好ましくは、本発明の音響再生システムは、第1全帯域通過フィルタが、第1低域通過フィルタの位相シフト特性、または、第2低域通過フィルタの位相シフト特性、または、第1低域通過フィルタおよび第2低域通過フィルタの積の位相シフト特性、のいずれかと略等しい位相シフト特性を有する全帯域通過フィルタの有限長インパルスレスポンスを時間軸反転させた係数を有するFIRフィルタであり、第2全帯域通過フィルタが、第1高域通過フィルタの位相シフト特性、または、第2高域通過フィルタの位相シフト特性、または、第1高域通過フィルタおよび第2高域通過フィルタの積の位相シフト特性、のいずれかと略等しい位相シフト特性を有する全帯域通過フィルタの有限長インパルスレスポンスを時間軸反転させた係数を有するFIRフィルタである。
以下、本発明の作用について説明する。
本発明のチャンネルデバイダは、入力される音声信号を、少なくとも低音域側の第1出力信号と第1出力信号よりも高音域側の第2出力信号とに帯域分割して、それぞれ第1出力端子および第2出力端子に出力する。チャンネルデバイダは、チャンネルデバイダのそれぞれの出力端子に対応する増幅回路を含む増幅器と、少なくともウーファー及びツィーターとを少なくとも含み、増幅器とバイワイヤリング接続が可能なスピーカーシステムと、を含む音響再生システムを構成する。したがって、ユーザーは、チャンネルデバイダを調整して、ウーファーとツィーターとが重複して再生する周波数帯域とその再生レベルを変更できるので、再生音質の調整が容易になるという利点がある。なお、一般的なスピーカーシステムのネットワーク回路は、±6〜18dB/Oct.の遷移域特性が一般的であるのに対して、チャンネルデバイダのLPF、BPF、およびHPFは、±24〜96dB/Oct.以上の遷移域特性も可能であり、チャンネルデバイダを導入することで遷移域および阻止域の減衰率を大きくすることができる。
本発明のチャンネルデバイダは、入力される音声信号を、少なくとも低音域側の第1出力信号と第1出力信号よりも高音域側の第2出力信号とに帯域分割して、それぞれ第1出力端子および第2出力端子に出力する低域通過フィルタ部および高域通過フィルタ部と、を含む。低域通過フィルタ部は、所定の低域通過特性を有する低域通過フィルタの位相シフト特性と略等しい位相シフト特性を有する全帯域通過フィルタの有限長インパルスレスポンスを時間軸反転させた係数を有するFIRフィルタである第1全帯域通過フィルタを含み、好ましくは、第1全帯域通過フィルタに直列接続する第1低域通過フィルタを含む。また、高域通過フィルタ部は、所定の高域通過特性を有する高域通過フィルタの位相シフト特性と略等しい位相シフト特性を有する全帯域通過フィルタの有限長インパルスレスポンスを時間軸反転させた係数を有するFIRフィルタである第2全帯域通過フィルタを含み、好ましくは、第2全帯域通過フィルタに直列接続する第1高域通過フィルタを含む。
つまり、本発明のチャンネルデバイダは、低域通過フィルタ部および高域通過フィルタ部がそれぞれ、所定の位相シフト特性を有する全帯域通過フィルタの有限長インパルスレスポンスを時間軸反転させた係数を有するFIRフィルタを含んでいる。このFIRフィルタは、全帯域通過フィルタ(オールパスフィルタ、APF)であってゲイン特性が周波数にかかわらず一定でフラットであり、巡回型フィルタでの位相遅延を伴う位相シフトを対象とする場合には、有限長インパルスレスポンスを時間軸反転させたFIRフィルタ係数を用いることで、所定の位相進みを含む位相特性を実現する。具体的には、第1全帯域通過フィルタは、低域通過フィルタ部の第1低域通過フィルタの位相シフト特性、または、スピーカーシステムのネットワーク回路の第2低域通過フィルタの位相シフト特性、または、第1低域通過フィルタおよび第2低域通過フィルタの積の位相シフト特性、のいずれかと略等しい位相シフト特性を有する全帯域通過フィルタの有限長インパルスレスポンスを時間軸反転させた係数を有する。また、第2全帯域通過フィルタは、高域通過フィルタ部の第1高域通過フィルタの位相シフト特性、または、スピーカーシステムのネットワーク回路の第2高域通過フィルタの位相シフト特性、または、第1高域通過フィルタおよび第2高域通過フィルタの積の位相シフト特性、のいずれかと略等しい位相シフト特性を有する全帯域通過フィルタの有限長インパルスレスポンスを時間軸反転させた係数を有する。
その結果、本発明のチャンネルデバイダまたは音声再生システムでは、チャンネルデバイダおよびスピーカーシステムのネットワーク回路のフィルタに関して、非直線位相の位相シフト特性を直線位相化できる。チャンネルデバイダならびにネットワーク回路を有するスピーカーシステムを含む音声再生システムにおいて、急峻なゲイン特性を有する高次の非直線位相のフィルタを用いても、位相遅延特性および群遅延特性が周波数によって大きく異なる位相シフトを補正して直線位相化するので、出力信号の波形が歪むのを防ぐことが出来る。第1全帯域通過フィルタおよび第2全帯域通過フィルタは、それぞれ対象とする巡回型の低域通過フィルタまたは高域通過フィルタの次数およびカットオフ周波数(クロスオーバー周波数)を規定できればそれらと略一致する位相シフト特性を想定できる。したがって、これらの巡回型の低域通過フィルタまたは高域通過フィルタのインパルス応答を求め、所定の長さの有限長インパルスレスポンスを得ることで、直線位相化するのに必要な時間軸反転させた全帯域通過フィルタのFIRフィルタ係数を得ることができる。
なお、チャンネルデバイダは、低域通過フィルタ部および高域通過フィルタ部が、第1出力信号または第2出力信号のレベル調整を行なうレベル調整回路と、第1出力信号または第2出力信号の位相反転を行なう位相反転回路と、第1出力信号または第2出力信号の遅延時間を調整する遅延回路と、をそれぞれ含むようにしてもよく、再生音質を調整する範囲が広がり、様々なマルチウェイスピーカーシステムにも対応できるようになる。
本発明のチャンネルデバイダおよび音響再生システムは、チャンネルデバイダのフィルタの位相シフト特性、および、スピーカーシステムが含むネットワーク回路の位相シフト特性を略直線位相化して、マルチウェイスピーカーシステムの再生音質を適切に変更することができる。
本発明の好ましい実施形態によるアンプ装置1を含む音響再生システムについて説明する図である。(実施例1) スピーカーシステム7の音圧周波数特性、および、ネットワーク回路の低域通過フィルタLPF2または高域通過フィルタHPF2の周波数特性について説明するグラフである。(実施例1) アンプ装置1のチャンネルデバイダ12の低域通過フィルタLPF1および高域通過フィルタHPF1の周波数特性(ゲイン特性、位相特性)について説明するグラフである。(実施例1) アンプ装置1のチャンネルデバイダ12の全域通過フィルタAPF1および全域通過フィルタAPF2の周波数特性(ゲイン特性、位相特性)について説明するグラフである。(実施例1) アンプ装置1のチャンネルデバイダ12の出力特性(第1出力信号D1と第2出力信号D2)について説明するグラフである。(実施例1)
以下、本発明の好ましい実施形態によるチャンネルデバイダおよびこれを含む音声再生システムについて説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
図1は、本発明の好ましい実施形態による音響再生システムについて説明する図である。具体的には、音響再生システムは、チャンネルデバイダを含むアンプ装置1と、アンプ装置1に接続するスピーカーシステム7Lおよび7Rと、を含み、図1は、それぞれの内部構成を示すブロック図である。また、図2は、スピーカーシステム7の音圧周波数特性、および、ネットワーク回路の低域通過フィルタLPF2または高域通過フィルタHPF2の周波数特性について説明するグラフであり、図3は、アンプ装置1のチャンネルデバイダ12の低域通過フィルタLPF1および高域通過フィルタHPF1の周波数特性(ゲイン特性、位相特性)について説明するグラフである。図4は、全域通過フィルタAPF1および全域通過フィルタAPF2の周波数特性(ゲイン特性、位相特性)について説明するグラフである。また、図5は、アンプ装置1のチャンネルデバイダ12の出力特性(第1出力信号D1と第2出力信号D2)について説明するグラフである。なお、説明に不要な一部の構成や、内部構造等は、図示ならびに説明を省略する。
音響再生システムは、アンプ装置1と、アンプ装置1に接続するスピーカーシステム7Lおよび7Rと、を含み、アンプ装置1に入力されるデジタル信号データadataをステレオ音声信号LおよびRに変換し、アンプ装置1で増幅した後に2本のスピーカー7Lおよび7Rからなるスピーカーシステム7によってステレオ音声を再生する音声再生システムである。アンプ装置1は、DSPおよびマルチアンプを含み、チャンネルデバイダを動作させたマルチアンプ接続が可能である。また、スピーカーシステム7は、それぞれウーファーWOおよびツィーターTWを含む2wayのバイワイヤリングSSであり、アンプ装置1とは、スピーカーコードによってバイワイヤリング接続される。したがって、アンプ装置1を使用するユーザーは、チャンネルデバイダを調整して、ウーファーとツィーターとが重複して再生する周波数帯域とその再生レベルを変更して、スピーカーシステム7の再生音質の調整が可能になる。
アンプ装置1は、デジタル信号データadataを信号処理するDSP(デジタルシグナルプロセッサ)10と、DSP10の4チャンネル分の出力を受けてアナログ信号に変換するD/A変換器2、および、これらのアナログ信号をそれぞれ増幅してスピーカーシステム7へ出力するアンプ回路3と、を少なくとも含む。ステレオ音声信号LおよびRは、アナログで供給されるステレオ信号(左信号Lおよび右信号R)として(図示しない)A/D変換器を介してDSP10に供給されてもよい。アンプ装置1は、全体を制御する制御回路であるCPU4と、CPU4に接続してユーザーからの指示入力を受ける操作部5と、ディスプレイを含む表示回路6と、を含む。具体的には、アンプ装置1は、マルチチャンネル音声に対応したDSPおよびマルチチャンネルアンプ回路を内蔵するAVレシーバー等により構成し得る。操作部5は、スイッチ、ジョグダイヤル、あるいは、リモコン装置、等の入力デバイスを含む。表示回路6は、内蔵するFLディスプレイ、液晶ディスプレイ等でもよく、又は他に接続するディスプレイ装置であってもよい。もちろん、アンプ装置1は、DSP10と、D/A変換器2と、マルチチャンネルアンプ回路3と、マイコン等のCPU4と、を含む他の音響再生装置により構成してもよい。また、アンプ装置1が含むDSP10は、単独のチャンネルデバイダ装置として独立していても良い。
スピーカーシステム7は、ウーファーWOおよびツィーターTWを含む2wayのバイワイヤリングSSであり、それぞれのスピーカーユニットに対応するネットワーク回路と入力端子を含む。左スピーカー7Lおよび右スピーカー7Rの低音域再生用のウーファーWOは、入力端子tLおよびネットワーク回路LPF2に接続する。また、高音域再生用のツィーターTWは、入力端子tHおよびネットワーク回路HPF2に接続する。ネットワーク回路LPF2は、ウーファーWOとともに低音域を通過させる低域通過フィルタを構成する。また、ネットワーク回路HPF2は、ツィーターTWとともに高音域を通過させる高域通過フィルタを構成する。ネットワーク回路LPF2およびHPF2は、コイル、抵抗、コンデンサを含んで構成されるアナログフィルタである。
図2は、スピーカーシステム7の音圧周波数特性について説明するグラフである。本実施例のスピーカーシステム7のウーファーWOおよびツィーターTWは、主に音声再生する周波数帯域を、ネットワーク回路LPF2およびHPF2により、クロスオーバー周波数fcを境にして分割されている。ネットワーク回路LPF2は、クロスオーバー周波数fcよりも高い周波数で−12dB/Oct.の遷移域特性を示す2次のLPFフィルタである。また、ネットワーク回路HPF2は、クロスオーバー周波数fcよりも低い周波数で12dB/Oct.の遷移域特性を示す2次のHPFフィルタである。したがって、低音域再生用のウーファーWOは、クロスオーバー周波数fc以下の周波数帯域を主に再生し、ツィーターTWは、クロスオーバー周波数fc以上の周波数帯域を主に再生する。スピーカーシステム7は、ネットワーク回路LPF2およびHPF2を用いて同一の信号を入力する場合(つまり、入力端子tLおよびtHを接続して入力する場合)に、比較的にフラットな合成音圧周波数特性(図示するWO+TW)を実現するように調整されている。なお、本実施例の場合には、クロスオーバー周波数fcは約2.0kHzである。スピーカーシステム7のネットワーク回路LPF2およびHPF2は、緩やかな遷移域特性を示す2次のフィルタであるので、図2に図示するように、クロスオーバー周波数fcの付近でのスピーカーシステム7の再生音は、ウーファーWOからの再生音とツィーターTWからの再生音とが、幅広く重複することになる。なお、2wayのスピーカーシステムの場合には、クロスオーバー周波数fcは約1〜8kHzの間に設定されるのが一般的である。
DSP10は、入力データadataをステレオ信号LおよびRに変換するデコーダ11と、デジタルフィルタを含むチャンネルデバイダ12と、を内部に含む。DSP10は、チャンネルデバイダ12の4チャンネル分の出力端子(DL1、DL2、DR1、DR2)をD/A変換器2へ出力する。チャンネルデバイダ12は、左信号Lおよび右信号Rにそれぞれ対応する低域通過フィルタ部13と、高域通過フィルタ部14と、第1出力調整回路15と、第2出力調整回路16と、を含む。DSP10のチャンネルデバイダ12の低域通過フィルタ部13および高域通過フィルタ部14のフィルタ設定等は、CPU4により制御される。
本実施例のチャンネルデバイダ12の低域通過フィルタ部13および高域通過フィル部14はそれぞれ、FIRフィルタである全帯域通過フィルタAPF1またはAPF2と、IIRフィルタにより構成される低域通過フィルタLPF1またはHPF1と、が直列接続されて構成されているデジタルフィルタである。低域通過フィルタ部13は、入力される音声信号を低音域側の第1出力信号に帯域分割し、第1出力端子D1に出力する。また、高域通過フィルタ部14は、入力される音声信号を高音域側の第2出力信号に帯域分割し、第2出力端子D2に出力する。低域通過フィルタLPF1および高域通過フィルタHPF1は、バターワースフィルタ、Linkwitz−Rileyフィルタ、等の非直線位相の位相シフト特性を有する巡回型フィルタであればよい。
低域通過フィルタ部13の出力は、第1出力調整回路15に入力されて、第1音声出力信号D1として、DSP10の出力端子(DL1、DR1)に出力される。また、高域通過フィルタ部11の出力は、第2出力調整回路16に入力されて、第2音声出力信号D2として、DSP10の出力端子(DL2、DR2)に出力される。なお、第1出力調整回路15および第2出力調整回路16は、再生音質を調整する範囲を広げて幅広いスピーカーシステム7にも対応できるように、第1音声出力信号D1と第2音声出力信号D2それぞれに、レベル調整を行なうレベル調整回路と、位相反転を行なう位相反転回路と、遅延時間を調整する遅延回路と、をそれぞれ含む。
本実施例のチャンネルデバイダ12では、例えば、図3(a)のグラフに図示するように、低域通過フィルタLPF1は、クロスオーバー周波数fcよりも高い周波数で−12dB/Oct.の遷移域特性を示す2次のLPFフィルタに設定することができる。したがって、低域通過フィルタLPF1の位相特性は、クロスオーバー周波数fc以下でほぼ正相であり、クロスオーバー周波数fcで位相遅れを生じて−90度になり、クロスオーバー周波数fcよりも高い周波数では低い周波数帯域に対して位相反転して逆相になるという位相シフト特性を有する。また、図3(b)のグラフに図示するように、高域通過フィルタHPF1は、クロスオーバー周波数fcよりも低い周波数で12dB/Oct.の遷移域特性を示す2次のHPFフィルタに設定できる。したがって、高域通過フィルタHPF1の位相特性は、クロスオーバー周波数fc以下でほぼ逆相であり、クロスオーバー周波数fcで位相遅れを生じて+90度になり、クロスオーバー周波数fcよりも高い周波数では低い周波数帯域に対して位相反転して正相になるという位相シフト特性を有する。
なお、本実施例のチャンネルデバイダ12では、低域通過フィルタLPF1のカットオフ周波数を、スピーカーシステム7のネットワーク回路のクロスオーバー周波数fcと等しく設定し、高域通過フィルタHPF1のカットオフ周波数をクロスオーバー周波数fcと等しく設定する。低域通過フィルタLPF1および高域通過フィルタHPF1の出力レベルは、クロスオーバー周波数fcにおいて通過域の0dBよりも−6dB低下する。また、低域通過フィルタLPF1および高域通過フィルタHPF1の位相シフト特性は、逆相の関係にあるだけで位相特性の変化としては等しい関係にある。したがって、上記の低域通過フィルタLPF1および高域通過フィルタHPF1の組み合わせの場合では、第1出力調整回路15および第2出力調整回路16のいずれか一方において位相反転させることで、これらの出力信号の加算特性をフラットにすることができる。
チャンネルデバイダ12は、CPU4が、低域通過フィルタLPF1および高域通過フィルタHPF1を、±96dB/Oct.〜±192dB/Oct.というような急峻なゲイン特性を有する高次の非直線位相のIIRフィルタを用いるように設定可能である。高次の非直線位相のIIRフィルタは、図3に図示するような位相シフト特性が、複数段直列接続されて位相回転が大きくなる位相シフト特性に略等しくなる。したがって、非直線位相の位相シフト特性を有するIIRフィルタを低域通過フィルタLPF1および高域通過フィルタHPF1に設定する場合では、全帯域通過フィルタAPF1またはAPF2を設けることで、位相シフト特性を直線位相化でき、入力された信号の波形の歪が大きくなるのを防止できる。
図4は、低域通過フィルタ部13の全域通過フィルタAPF1、および、高域通過フィルタ部14の全域通過フィルタAPF2の周波数特性(ゲイン特性、位相特性)について説明するグラフである。全域通過フィルタAPF1およびAPF2はそれぞれ、例えば、サンプリング周波数48kHzにおいて4096tapのtap長を有するFIRフィルタであり、ゲイン特性が周波数にかかわらず一定でフラットな全帯域通過フィルタ(オールパスフィルタ、APF)である。また、全域通過フィルタAPF1およびAPF2の位相特性は、クロスオーバー周波数fc以下でほぼ正相であり、クロスオーバー周波数fcで位相進みを生じて+90度になり、クロスオーバー周波数fcよりも高い周波数では低い周波数帯域に対して位相反転して逆相になるという位相進みを含む位相シフト特性を有し、本実施例の場合にはこれらは同一になる。なお、図4および図5に示す位相特性は、時間反転の遅延による一定の位相回転を除くように基準化して表示している。
つまり、全域通過フィルタAPF1およびAPF2は、低域通過フィルタLPF1または高域通過フィルタHPF1の位相シフト特性を時間軸で反転させたのに略等しい位相シフト特性を有する。全域通過フィルタAPF1およびAPF2のFIRフィルタの係数は、低域通過フィルタLPF1および高域通過フィルタHPF1の位相シフト特性に略等しい全帯域通過フィルタのインパルス応答を求めて、それらを有限長(本実施例では4098tap)に制限して、これらを時間軸で反転させることで得られる。所定のフィルタ特性の中から選択するような非直線位相の位相シフト特性を有する巡回型フィルタでは、低域通過または高域通過の場合にかかわらず、カットオフ周波数および巡回型フィルタの次数が定まると、その位相特性は一意に定まる。したがって、巡回型フィルタである全域通過フィルタを、同一のカットオフ周波数および同一の巡回型フィルタの次数に設定すれば、全帯域通過フィルタのインパルス応答を求めることができるからである。
本実施例では、低域通過フィルタLPF1または高域通過フィルタHPF1が2次の巡回型フィルタである場合であるが、高次の巡回型フィルタである場合には、本実施例の全域通過フィルタを多段接続するように構成すればよい。また、インパルス応答の長さ及びFIRフィルタのtap長は、カットオフ周波数および巡回型フィルタの次数に応じて、対象のフィルタのインパルス応答が十分に収束する範囲の長さがあればよく、任意に設定可能である。カットオフ周波数および巡回型フィルタの次数、ならびに、FIRフィルタのtap長は、操作部5へのユーザー操作に基づいてCPU4が設定すればよく、また、他の自動計測により求めてもよい。また、図1に示すチャンネルデバイダ12の構成においては、全域通過フィルタAPF1とAPF2とをそれぞれ別に構成しているが、本実施例のようにこれらが同一のフィルタ特性を有する場合には、共通化して利用するシグナルフローに変更してもよい。
図5は、アンプ装置1のチャンネルデバイダ12の出力特性(第1出力信号D1と第2出力信号D2)について説明するグラフである。低域通過フィルタ部13の出力である第1出力信号D1は、低域通過フィルタLPF1と同じゲイン特性を有し、位相特性が直線位相化されている。また、高域通過フィルタ部14の出力である第2出力信号D2は、高域通過フィルタHPF1と同じゲイン特性を有し、位相特性が直線位相化されている。したがって、本実施例の場合よりも急峻なゲイン特性を有する高次の非直線位相のフィルタをチャンネルデバイダ12の低域通過フィルタ部13および高域通過フィルタ部14に用いても、位相遅延特性および群遅延特性が周波数によって大きく異なる位相シフトを補正して直線位相化するので、出力信号の波形が歪むのを防ぐことが出来る。もちろん、第1出力信号D1および第2出力信号D2の加算特性をフラットにすることができる。
なお、チャンネルデバイダ12は、上記実施例のようなウーファーWOおよびツィーターTWを含む2wayのバイワイヤリングSSに適用するものに限られない。チャンネルデバイダ12は、サブウーファーおよび/またはミッドレンジおよび/またはスーパーツィーターを含む3〜5wayのマルチウェイスピーカーである(図示しない)バイワイヤリングSSに対応するように、3〜5way用の3〜5に帯域分割した出力を含む構成にしてもよい。また、帯域通過フィルタBPFは、低域通過フィルタLPFおよび高域通過フィルタHPFに、それぞれ他の高域通過フィルタHPFまたは他の低域通過フィルタLPFを直列接続して構成してもよい。
もちろん、ネットワーク回路を含まないウーファーおよびツィーターを含むマルチウェイスピーカーの場合にも、本実施例のチャンネルデバイダ12は有効である。また、スピーカーシステム7がフルレンジスピーカーを含む場合にも、同様にチャンネルデバイダ12は有効である。フルレンジスピーカー、あるいは、ウーファー、ツィーター等のスピーカーの再生音圧周波数特性の限界に起因するレベル低下に対応して、他のスピーカーとの実質的なクロスオーバー周波数fcが設定されている場合にも、これに合わせたチャンネルデバイダ12の低域通過フィルタLPFまたは高域通過フィルタHPFを設定することができる。
上記実施例では、アンプ装置1のチャンネルデバイダ12が含む全域通過フィルタAPF1およびAPF2は、非巡回型の低域通過フィルタLPF1または高域通過フィルタHPF1の非直線の位相シフト特性を直線位相化している場合であるが、本実施例の場合には、全域通過フィルタAPF1およびAPF2は、スピーカーシステム7のネットワーク回路のフィルタLPF2およびHPF2に関して、非直線位相の位相シフト特性を直線位相化する。したがって、共通する説明および図示を省略する。
つまり、FIRフィルタである第1全帯域通過フィルタAPF1は、スピーカーシステム7のネットワーク回路の低域通過フィルタLPF2の位相シフト特性と略等しい位相シフト特性を有する全帯域通過フィルタの有限長インパルスレスポンスを時間軸反転させた係数を有するように設定する。また、FIRフィルタである第2全帯域通過フィルタAPF2は、スピーカーシステム7のネットワーク回路の高域通過フィルタHPF2の位相シフト特性と略等しい位相シフト特性を有する全帯域通過フィルタの有限長インパルスレスポンスを時間軸反転させた係数を有するように設定する。
スピーカーシステム7のネットワーク回路のクロスオーバー周波数および次数は、回路構成から容易に知ることが出来る。例えば、スピーカーシステム7のネットワーク回路のクロスオーバー周波数と、チャンネルデバイダ12のクロスオーバー周波数を略等しく設定して、スピーカーシステム7のネットワーク回路が、±24dB/Oct.の4次のフィルタで構成されている場合には、全域通過フィルタAPF1およびAPF2は、4次の巡回型フィルタの位相シフト特性と略等しい位相シフト特性を時間反転させたような位相特性を有すればよい。たとえ、チャンネルデバイダ12で設定する低域通過フィルタLPF1および高域通過フィルタHPF1のクロスオーバー周波数が、実際のスピーカーシステム7のクロスオーバー周波数と若干ずれていても、ネットワーク回路のフィルタの次数が同一であれば、周波数が変わっても基準化した位相特性がほぼ0度付近に収束するように、直線位相化できる。
上記2つの実施例では、アンプ装置1のチャンネルデバイダ12が含む全域通過フィルタAPF1およびAPF2は、非巡回型の低域通過フィルタLPF1または高域通過フィルタHPF1、あるいは、スピーカーシステム7のネットワーク回路のフィルタLPF2およびHPF2の非直線の位相シフト特性を直線位相化している場合であるが、本実施例の場合には、全域通過フィルタAPF1およびAPF2は、チャンネルデバイダ12が含む全域通過フィルタAPF1およびAPF2と、スピーカーシステム7のネットワーク回路のフィルタLPF2およびHPF2との合成特性に関して、非直線位相の位相シフト特性を直線位相化する。したがって、共通する説明および図示を省略する。
つまり、FIRフィルタである第1全帯域通過フィルタAPF1は、チャンネルデバイダ12の低域通過フィルタLPF1およびスピーカーシステム7のネットワーク回路の低域通過フィルタLPF2の積の位相シフト特性と略等しい位相シフト特性を有する全帯域通過フィルタの有限長インパルスレスポンスを時間軸反転させた係数を有するように設定する。また、FIRフィルタである第2全帯域通過フィルタAPF2は、チャンネルデバイダ12の高域通過フィルタHPF1およびスピーカーシステム7のネットワーク回路の高域通過フィルタHPF2の積の位相シフト特性と略等しい位相シフト特性を有する全帯域通過フィルタの有限長インパルスレスポンスを時間軸反転させた係数を有するように設定する。
例えば、チャンネルデバイダ12の低域通過フィルタLPF1および高域通過フィルタHPF1が、4次のIIRフィルタで構成されており、スピーカーシステム7のネットワーク回路が2次のフィルタ構成であるとすると、全域通過フィルタAPF1およびAPF2は、6次の巡回型フィルタの位相シフト特性と略等しい位相シフト特性を時間反転させたような位相特性を有すればよい。もちろん、全域通過フィルタAPF1およびAPF2は、チャンネルデバイダ12とスピーカーシステム7のネットワーク回路とにそれぞれ対応する全域通過フィルタを積算して構成する全域通過フィルタを対象にして、この位相シフト特性と略等しい位相シフト特性を時間反転させたような位相特性を有するようにすればよい。本実施例のアンプ装置1およびスピーカーシステム7を含む音声再生システムの全体において、相遅延特性および群遅延特性が周波数によって大きく異なる位相シフトを補正して直線位相化するので、出力信号の波形が歪むのを防ぐことが出来て、良好な音声再生が可能になる。
また、チャンネルデバイダ12の全域通過フィルタAPF1およびAPF2が直線位相化を図る対象は、上記実施例で説明および図示する構成に限られない。つまり、スピーカーシステム7のウーファーWOおよびツィーターTWにおいて非直線位相の位相シフト特性が含まれていれば、これを含んで直線位相化するものであってもよい。上記実施例のアンプ装置1およびスピーカーシステム7を含む音声再生システムでは、位相シフト特性を略直線位相化できるので、ユーザーは容易にクロスオーバー周波数付近でのウーファー及びツィーターからの再生音の重なりあわせを変えて、マルチウェイスピーカーシステムの再生音質を変更することができる。
本発明のチャンネルデバイダは、ステレオ音声信号を再生するステレオ装置のみならず、マルチチャンネルサラウンド音声再生装置を含む音響再生システムにも適用が可能である。
1 アンプ装置
2 D/A変換器
3 アンプ回路
4 CPU
5 操作部
6 表示回路
7 スピーカーシステム
10 DSP
11 デコーダ
12 チャンネルデバイダ
13 低域通過フィルタ部
14 高域通過フィルタ部
15 第1出力調整回路
16 第2出力調整回路

Claims (5)

  1. 入力される音声信号を、少なくとも低音域側の第1出力信号と該第1出力信号よりも高音域側の第2出力信号とに帯域分割して、それぞれ第1出力端子および第2出力端子に出力する低域通過フィルタ部および高域通過フィルタ部と、を含むチャンネルデバイダであって、
    該低域通過フィルタ部が、所定の低域通過特性を有する低域通過フィルタの位相シフト特性と略等しい位相シフト特性を有する全帯域通過フィルタの有限長インパルスレスポンスを時間軸反転させた係数を有するFIRフィルタである第1全帯域通過フィルタを含み、
    該高域通過フィルタ部が、所定の高域通過特性を有する高域通過フィルタの位相シフト特性と略等しい位相シフト特性を有する全帯域通過フィルタの有限長インパルスレスポンスを時間軸反転させた係数を有するFIRフィルタである第2全帯域通過フィルタを含む、
    チャンネルデバイダ。
  2. 前記チャンネルデバイダの前記低域通過フィルタ部および前記高域通過フィルタ部がそれぞれ、前記第1全帯域通過フィルタに直列接続する第1低域通過フィルタと、前記第2全帯域通過フィルタに直列接続する第1高域通過フィルタと、を含む、
    請求項1に記載のチャンネルデバイダ。
  3. 前記第1出力信号または前記第2出力信号のレベル調整を行なうレベル調整回路と、該第1出力信号または該第2出力信号の位相反転を行なう位相反転回路と、該第1出力信号または該第2出力信号の遅延時間を調整する遅延回路と、をさらに含む、
    請求項2に記載のチャンネルデバイダ。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のチャンネルデバイダと、該チャンネルデバイダの前記第1出力端子および前記第2出力端子に対応する増幅回路を含む増幅器と、少なくともウーファーに対応する第2低域通過フィルタ及びツィーターに対応する第2高域通過フィルタを含むネットワーク回路を含み該増幅器とバイワイヤリング接続が可能なスピーカーシステムと、を含む音声再生システム。
  5. 前記第1全帯域通過フィルタが、前記第1低域通過フィルタの位相シフト特性、または、前記第2低域通過フィルタの位相シフト特性、または、該第1低域通過フィルタおよび該第2低域通過フィルタの積の位相シフト特性、のいずれかと略等しい位相シフト特性を有する全帯域通過フィルタの有限長インパルスレスポンスを時間軸反転させた係数を有するFIRフィルタであり、
    前記第2全帯域通過フィルタが、前記第1高域通過フィルタの位相シフト特性、または、前記第2高域通過フィルタの位相シフト特性、または、該第1高域通過フィルタおよび該第2高域通過フィルタの積の位相シフト特性、のいずれかと略等しい位相シフト特性を有する全帯域通過フィルタの有限長インパルスレスポンスを時間軸反転させた係数を有するFIRフィルタである、
    請求項4に記載の音声再生システム。




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