JP6015153B2 - 印刷装置および印刷方法 - Google Patents

印刷装置および印刷方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6015153B2
JP6015153B2 JP2012132772A JP2012132772A JP6015153B2 JP 6015153 B2 JP6015153 B2 JP 6015153B2 JP 2012132772 A JP2012132772 A JP 2012132772A JP 2012132772 A JP2012132772 A JP 2012132772A JP 6015153 B2 JP6015153 B2 JP 6015153B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nozzle
printing
ink
print medium
print
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012132772A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013256044A (ja
Inventor
光平 宇都宮
光平 宇都宮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2012132772A priority Critical patent/JP6015153B2/ja
Priority to US13/849,406 priority patent/US8833892B2/en
Priority to CN201310228818.4A priority patent/CN103481664B/zh
Priority to CN201610211215.7A priority patent/CN105856867A/zh
Publication of JP2013256044A publication Critical patent/JP2013256044A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6015153B2 publication Critical patent/JP6015153B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

本発明は、多層のインク層からなる画像を印刷する技術に関する。
インクジェットプリンターの1つとして、印刷ヘッドを主走査方向および副走査方向に移動させながら、当該印刷ヘッドからインクを吐出して画像を形成するシリアル式のインクジェットプリンターが知られている。また、インクジェットプリンターを使用して、多層のインク層からなる画像を印刷する技術が知られている。
例えば、下記の特許文献1は、透明の印刷媒体に白色のインクを使用して下地層を形成し、形成された下地層の上にプロセスカラーのインクを使用して印刷を行う技術を開示している。また、特許文献1は、インクの種類別に印刷ヘッドに形成されたノズル列のうちの、上流側のノズル群を使用して、白色およびプロセスカラーのうちの一方のインクを吐出するとともに、下流側のノズル群を使用して、他方のインクを吐出する技術を開示している(以下、ノズル分割技術とも呼ぶ)。ノズル分割技術によれば、印刷媒体を当該印刷媒体の長さに亘って1回搬送する間に、2層のインク層を形成できる。
特開2006−247991号公報 特開2001−1560号公報 WO2005/105452 特開平5−64870号公報
これらの多層印刷技術を利用して、5層以上のインク層からなる印刷物を印刷する場合、種々の問題が生じ得る。5層以上のインク層からなる印刷物は、例えば、カラーインクによって形成される第1のカラー層と、特殊光沢インクによって形成される第1の特殊光沢層と、ホワイトインクなどによって形成される下地層と、特殊光沢インクによって形成される第2の特殊光沢層と、カラーインクによって形成される第2のカラー層と、を透明の印刷媒体に形成した印刷物とすることができる。特殊光沢インクとは、メタリック感などの特殊光沢を発現するインクである。かかる印刷物は、印刷媒体の両面から画像を視認可能な印刷物とすることができる。
しかしながら、印刷媒体の一方の面に5層を形成する場合、上述したノズル分割技術を利用して、ノズル列を5分割し、分割された各々のノズル群が1層ずつ形成することによって5層を形成する構成とすると、分割された1つのノズル群当たりのノズル数が少なくなる。その結果、1つのノズル群で印刷可能な範囲が小さくなり、印刷速度が極めて遅くなる。
一方、ノズル分割技術を使用しない場合、印刷媒体を当該印刷媒体の長さに亘って1回搬送する工程の間に、1層のインク層のみが形成されるため、5層のインク層を形成するためには、かかる工程を5回繰り返す必要がある。かかる印刷媒体の搬送工程の繰り返しは、印刷媒体の送り方向を自動的に反転させる方法と、手動操作によって、印刷媒体を初期位置に繰り返しセットする方法とが考えられる。いずれの方法によっても、複数の搬送工程の間で、印刷媒体の位置が若干ずれることを避けられない。つまり、印刷面における各層の相対位置が予定される本来の位置からずれることとなる。例えば、第1のカラー層と、第1の特殊光沢層との位置関係がずれると、発現する特殊光沢感が変動することになる。その結果、印刷画質の劣化を生じるおそれがある。
また、印刷媒体の一方の面に3層を形成し、他方の面に2層を形成する場合、印刷媒体の両方の面が印刷されていることに起因して問題を生じる場合がある。例えば、印刷された内容を店舗の内外のいずれからも視認可能とするために、店舗の窓などに両方の面が印刷された印刷物を貼り付ける場合、一方の印刷面が窓と直接的に接触することになる。この場合、窓にインクが付着するおそれが生じる。つまり、貼り付けた印刷物を剥がす際には、付着したインクを除去する必要が生じる。
以上のことから、5層以上のインク層からなる印刷物を好適に印刷できる新たな印刷技術が求められる。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]印刷媒体に画像を印刷する印刷装置であって、
印刷媒体に対して、主走査方向と、該主走査方向に交差する副走査方向と、に相対的に移動する印刷ヘッドからインクを吐出して、印刷を行う印刷機構と、
前記印刷機構の動作を制御する印刷制御部と
を備え、
前記印刷ヘッドには、前記インクを吐出する複数のノズルが前記副走査方向に所定の範囲に並んで配置されたノズル列が、前記インクの種類別に、前記主走査方向に複数並んで形成され、
前記印刷制御部は、
前記複数のノズル列のうちの第1のノズル列において、前記所定の範囲のうちの、前記印刷ヘッドに対して前記印刷媒体が移動する側である下流側と反対側の上流側に形成された第1のノズル群を使用範囲とし、かつ、前記第1のノズル列とは異なる第2のノズル列において、前記第1のノズル群よりも前記下流側に形成された第2のノズル群を使用範囲とした、第1のノズル使用設定と、
前記第1のノズル列および前記第2のノズル列とは異なる第3のノズル列の全体を使用範囲とした第2のノズル使用設定と、
前記第2のノズル列において、前記第2のノズル群よりも前記上流側に形成された第3のノズル群を使用範囲とし、かつ、前記第1のノズル列において、前記第1のノズル群よりも前記下流側に形成された第4のノズル群を使用範囲とした、第3のノズル使用設定と
を、前記第1のノズル使用設定、前記第2のノズル使用設定、前記第3のノズル使用設定の順に使用して、前記印刷媒体の一方の面に前記印刷を実行可能に構成された
印刷装置。
かかる印刷装置によれば、印刷媒体の一方の面上に、印刷媒体から見て、第1のノズル列によって形成されるインク層、第2のノズル列によって形成されるインク層、第3のノズル列によって形成されるインク層、第2のノズル列によって形成されるインク層、第1のノズル列によって形成されるインク層の順に形成された5層のインク層を含む印刷物を印刷することができる。したがって、透明の印刷媒体に印刷を行えば、印刷媒体の対向する両面から印刷画像を視認可能な印刷物を得ることができる。また、この印刷装置によれば、印刷媒体を当該印刷媒体の長さ(副走査方向の長さ)に亘って1回搬送する搬送工程の間に、第1のノズル使用設定を使用して、2層のインク層を形成できる。また、別の1回の搬送工程の間に、第3のノズル使用設定を使用して、2層のインク層を形成することができる。つまり、1回の搬送工程で2層のインク層が形成されるので、1回の搬送工程につき、1層のインク層を形成する場合と比べて、当該2層間で相対位置関係のずれを生じにくい。したがって、印刷画質の劣化を抑制できる。また、第1から第3のノズル使用設定をそれぞれ使用した3回の搬送工程によって、5層分のインク層の印刷を行うことができる。したがって、ノズル列を5つのノズル群に分割して使用することによって5層分のインク層を1回の搬送工程で印刷する場合と比べて、印刷速度を高速化できる。しかも、印刷媒体の対向する2面のうちの、一方の面のみに、印刷を行うことができるので、他方の面を、窓などの透明部材に接触させて貼り付ければ、インクが透明部材に付着することがない。なお、第1ないし第3のノズル列は、それぞれ、単数であってもよいし、複数であってもよい。
[適用例2]請求項1記載の印刷装置であって、前記第1のノズル使用設定を使用した印刷時において、2層のインク層を形成し、前記第2のノズル使用設定を使用した印刷時において、1層のインク層を形成し、前記第3のノズル使用設定を使用した印刷時において、2層のインク層を形成することによって、5層のインク層からなる前記画像を印刷する
印刷装置。
かかる印刷装置によれば、5層のインク層からなる印刷物を好適に印刷することができる。
[適用例3]前記第2のノズル列は、メタリックインクを吐出するノズル列である適用例1または適用例2記載の印刷装置。
かかる印刷装置によれば、印刷媒体の対向する2面のいずれ側を見てもメタリック感を有する印刷画像を視認できる印刷物を好適に印刷することができる。
[適用例4]前記第3のノズル列は、ホワイトインクを吐出するノズル列である適用例1ないし適用例3のいずれか記載の印刷装置。
かかる印刷装置によれば、ホワイトインクによって下地層を形成できるので、印刷物の印刷面を光が透過しにくい。したがって、印刷媒体の両面のいずれ側から印刷媒体を見る場合にも、印刷画像の色の再現性を良好にできる。
[適用例5]適用例1ないし適用例4のいずれか記載の印刷装置であって、前記印刷機構は、前記第1のノズル使用設定を使用した印刷時において、前記副走査方向のうちの第1の方向に前記印刷媒体を搬送し、前記第2のノズル使用設定を使用した印刷時において、前記第1の方向と反対の第2の方向に前記印刷媒体を搬送し、前記第3のノズル使用設定を使用した印刷時において、前記第1の方向に前記印刷媒体を搬送する搬送部を備えた印刷装置。
かかる印刷装置によれば、印刷媒体の搬送方向を自動的に反転することができる。このため、ユーザーは、1つの方向への印刷媒体の搬送が終わるたびに、印刷媒体を予め定められた初期位置にセットし直す必要がない。したがって、ユーザーの利便性が向上する。また、その分、印刷速度を高速化できる。
本発明は、種々の形態で実現することが可能である。例えば、上述した印刷装置の他に、適用例6として以下に記載する印刷方法、印刷装置に用いるプログラム、当該プログラムをコンピューターで読み取り可能に記録した記憶媒体等の形態で実現することができる。
[適用例6]印刷媒体に対して、主走査方向と、該主走査方向に交差する副走査方向と、に相対的に移動する印刷ヘッドであって、前記インクを吐出する複数のノズルが前記副走査方向に所定の範囲に並んで配置されたノズル列が、前記インクの種類別に、前記主走査方向に複数並んで形成された印刷ヘッドからインクを吐出して、印刷装置が印刷を行う印刷方法において、前記複数のノズル列のうちの第1のノズル列において、前記所定の範囲のうちの、前記印刷ヘッドに対して前記印刷媒体が移動する側である下流側と反対側の上流側に形成された第1のノズル群を使用範囲とし、かつ、前記第1のノズル列とは異なる第2のノズル列において、前記第1のノズル群よりも前記下流側に形成された第2のノズル群を使用範囲とした、第1のノズル使用設定と、前記第1のノズル列および前記第2のノズル列とは異なる第3のノズル列の全体を使用範囲とした第2のノズル使用設定と、前記第2のノズル列において、前記第2のノズル群よりも前記上流側に形成された第3のノズル群を使用範囲とし、かつ、前記第1のノズル列において、前記第1のノズル群よりも前記下流側に形成された第4のノズル群を使用範囲とした、第3のノズル使用設定とを、前記第1のノズル使用設定、前記第2のノズル使用設定、前記第3のノズル使用設定の順に使用して、前記印刷媒体の一方の面に前記印刷を行う印刷方法。
本発明の実施例としてのプリンター10の主要な構成を示す概略斜視図である。 印刷媒体搬送機構40の構成を示す斜視図である。 印刷ヘッド36のノズル配置を示す説明図である。 プリンター10で印刷可能な印刷物100の断面構成を示す説明図である。 印刷物100を印刷するための印刷処理の流れを示すフローチャートである。 第1のノズル使用設定を示す説明図である。 第2のノズル使用設定を示す説明図である。 第3のノズル使用設定を示す説明図である。
A.実施例:
A−1.プリンターの構成:
図1は、本発明の印刷装置の実施例としてのプリンター10の主要な構成を示す概略斜視図である。プリンター10は、複数のノズルからインクを吐出することによって印刷媒体上にインクドットを形成し、これにより印刷媒体上に文字、図形、画像等を記録するインクジェット式の印刷装置である。このプリンター10は、いわゆるシリアル式のプリンターである。
プリンター10は、印刷機構20と印刷制御部60とを備えている。印刷機構20は、印刷媒体に対して、主走査方向と、主走査方向に交差する副走査方向と、に相対的に移動する印刷ヘッド36(詳細は後述)からインクを吐出して、印刷を行う。副走査方向は、印刷媒体が搬送される方向である。印刷制御部60は、各種演算処理を実行するCPUと、プログラムやデータを一時的に格納・展開するRAMと、CPUが実行するプログラム等を格納するEEPROMと、を含んでいる。印刷制御部60は、印刷機構20の各部と信号のやり取りを行い、印刷機構20の動作全般を制御する。
印刷機構20は、用紙スタッカー22と、印刷媒体搬送機構40(図1では図示省略)によって駆動される紙送りローラー24と、プラテン26と、キャリッジ28と、キャリッジモーター30と、キャリッジモーター30によって駆動される牽引ベルト32と、キャリッジ28のためのガイドレール34とを備えている。紙送りローラー24は、後述する印刷媒体搬送機構40の一部を構成する。キャリッジ28には、多数のノズルを備えた印刷ヘッド36が搭載されている。
印刷媒体PMは、用紙スタッカー22から紙送りローラー24によって巻き取られてプラテン26の表面上を副走査方向へ送られる。キャリッジ28は、キャリッジモーター30により駆動される牽引ベルト32に牽引されて、ガイドレール34に沿って主走査方向に移動する。本実施例では、主走査方向は、副走査方向に垂直である。
図2は、印刷媒体搬送機構40の構成を示す斜視図である。印刷媒体搬送機構40は、紙送りローラー24、紙送りモーター31、ギアトレイン41、排紙ローラー42等を備えている。紙送りモーター31の動力は、ギアトレイン41を介して紙送りローラー24と排紙ローラー42とに伝達される。紙送りローラー24には従動ローラー25が設けられており、排紙ローラー42にもその従動ローラーとしてのギザローラー44が設けられている。印刷媒体PMは、これらのローラーによって挟持された状態で送られて、プラテン26上を移動する。
本実施例では、印刷媒体搬送機構40は、紙送りモーター31の正逆転制御を行うことによって、印刷媒体PMを第1の方向と、第2の方向とに搬送することができる(図1参照)。第2の方向は、第1の方向と反対の方向である。第1の方向は、印刷媒体PMを当該印刷媒体PMの長さ(副走査方向の長さ)に亘って1回搬送することによって、印刷を完了する場合の、印刷媒体PMの搬送方向である。このように、印刷媒体PMの搬送方向を自動的に逆転させることを、バックフィードとも呼ぶ。
紙送りローラー24の軸には、符号板46aとフォトセンサー46bとで構成されるロータリーエンコーダー46が設けられている。紙送り量(副走査送り量)は、このロータリーエンコーダー46からのパルス信号に応じて決定される。
図3は、印刷ヘッド36に形成されたノズルの配置を示す。図示するノズルは、印刷ヘッド36の下面、すなわち、印刷媒体PMと向かい合う面に形成されている。これらのノズルから吐出されるインクによって、印刷媒体PMに画像が形成される。本実施例では、印刷ヘッド36は、6種類のインク、具体的には、シアンインクC、マゼンタインクM、イエローインクY、ブラックインクK、メタリックインクMt、ホワイトインクWhを吐出する。これらのインクは、プリンター10に装着されたインクカートリッジ(図1では図示を省略)から供給される。
シアンインクC、マゼンタインクM、イエローインクY、ブラックインクKは、色相、明度および彩度を再現するために使用されるインクである。これらのインクを総称して、カラーインクColとも呼ぶ。本願においては、カラーインクColは、黒色インクを含む概念であり、シアン、マゼンタ、イエローに限らず、レッド、オレンジ、グリーン、ブルーなどの色相の1以上のインクを意味する。カラーインクは、画像層を形成するインクであると捉えることができる。メタリックインクMtは、特定の質感を発現する特殊光沢インクの1種である。メタリックインクMtは、金属顔料を含有することで、メタリック感を発現する。ホワイトインクWhは、下地層を形成するためのインクである。かかる下地層を形成するインクは、ホワイトインクWhに限らず、白色が若干の色相を帯びた白色系インクであってもよいし、任意の色相を再現するインクであってもよい。
図3に示すように、印刷ヘッド36には、複数のノズルが副走査方向に所定の範囲で並んで配置された複数のノズル列71〜76が形成される。これらのノズル列は、インクの種類毎に主走査方向に並んで形成される。ホワイトインクWhを吐出するノズル列71をホワイトノズル列71とも呼ぶ。メタリックインクMtを吐出するノズル列72をメタリックノズル列72とも呼ぶ。また、C,M,Y,Kのインクを吐出するノズル列73〜76をカラーノズル列77とも呼ぶ。
カラーノズル列77を副走査方向に均等に2分割した場合の、一方側のノズル群を第1のノズル群NZs1ともいい、他方のノズル群を第4のノズル群NZs4とも呼ぶ。また、メタリックノズル列72を副走査方向に均等に2分割した場合の、一方(第4のノズル群NZs4側)のノズル群を第2のノズル群NZs2ともいい、他方(第1のノズル群NZs1側)のノズル群を第3のノズル群NZs3とも呼ぶ。
かかる印刷ヘッド36を使用して印刷を行うプリンター10では、印刷制御部60は、第1〜第3のノズル使用設定による印刷制御が可能に構成される。第1〜第3のノズル使用設定では、使用するノズル列の種類とノズル群の位置とが、それぞれ異なる。第1〜第3のノズル使用設定の詳細については後述する。
図4は、上述したプリンター10で印刷可能な印刷物100の断面構成を示す。この印刷物100には、透明な印刷媒体PMが使用される。印刷媒体PMの一方の面には、プリンター10によって、5層のインク層が形成される。この5層は、印刷媒体PM側から見て、第1のカラーインク層110、第1のメタリック層120、ホワイト層130、第2のメタリック層140、第2のカラー層150の順に形成されている。第1のカラーインク層110および第2のカラー層150は、カラーノズル列77によって形成される。第1のメタリック層120および第2のメタリック層140は、メタリックノズル列72によって形成される。ホワイト層130は、ホワイトノズル列71によって形成される。なお、ホワイト層130を第1の下地層と捉え、第1のメタリック層120および第2のメタリック層140を第2の下地層と捉えることもできる。
かかる5層構成は、各層を形成する順序に基づく概念的なものである。したがって、必ずしも、印刷媒体PMの印刷面に垂直な方向に、色の種類の異なるインクドットが5重に重なって形成されていなくてもよい。例えば、第2のカラー層150に、カラーインクColのドットが形成されていない領域があってもよい。あるいは、第2のメタリック層140のうちのメタリックインクMtのドットが形成された領域に、第2のカラー層150としてのカラーインクColのドットが形成されず、第2のメタリック層140のうちのメタリックインクMtのドットが形成されない領域に、第2のカラー層150としてのカラーインクColのドットが形成されてもよい。かかる場合には、第2のメタリック層140と第2のカラー層150とは、印刷媒体PMの面に垂直な方向において、ほぼ同一の位置に形成される態様も生じ得る。本願では、このような態様も5層構成のインク層に含まれる。
かかる印刷物100は、インク層が形成された側(図4のS1側)から見ると、第2のメタリック層によって発現されたメタリック感を帯びた第2のカラー層150の画像を視認できる。一方、印刷物100は、インク層が形成されていない側(図4のS2側)から見ると、印刷媒体PMが透明であることから、第1のメタリック層120によって発現されたメタリック感を帯びた第1のカラーインク層110の画像を視認できる。
図5は、プリンター10を使用して、印刷物100を印刷するための印刷処理の流れを示す。印刷指示を受け付けると、プリンター10の印刷制御部60は、まず、紙送り方向(印刷媒体PMの搬送方向)を第1の方向に設定する(ステップS210)。次に、印刷制御部60は、主走査を行いながら、第1のノズル使用設定によって、印刷ヘッド36からインクを吐出した後、第1の方向に所定量だけ副走査を行う処理を繰り返して、第1のカラーインク層110および第1のメタリック層120を印刷する(ステップS220)。ステップS220における印刷動作を第1の印刷モードとも呼ぶ。
図6は、第1のノズル使用設定の内容を示す。第1のノズル使用設定では、カラーノズル列77とメタリックノズル列72とが使用され、ホワイトノズル列71は使用されない。また、カラーノズル列77のうちの、第1のノズル群NZs1が使用され、第4のノズル群NZs4は使用されない。また、メタリックノズル列72のうちの、第2のノズル群NZs2が使用され、第3のノズル群NZs3は使用されない。第1のノズル群NZs1および第2のノズル群NZs2は、各主走査において使用される。
印刷媒体PMを第1の方向に搬送する場合、第1のノズル群NZs1および第3のノズル群NZs3は上流側に位置し、第4のノズル群NZs4および第2のノズル群NZs2は下流側に位置する。下流側とは、印刷ヘッド36と印刷媒体PMとが相対移動して印刷が行われる際に、印刷ヘッド36に対して印刷媒体PMが移動する側であり、上流側とは、下流側と反対の側である。換言すれば、上流側とは、搬送される印刷媒体PMの同一の領域に対して、相対的に先にインクを吐出する側であり、下流側とは、相対的に後でインクを吐出する側である。つまり、第1のノズル使用設定による印刷制御では、印刷媒体PMの任意の領域に対して、第1の主走査によってカラーインクColのドットが先に形成され、その後に、第2の主走査(第1の主走査よりも後に行われる主走査)によってメタリックインクMtのドットが形成される。
本実施例では、任意の印刷領域の第1のカラーインク層110および第1のメタリック層120は、2回の主走査(以下、主走査の回数をパス数とも呼ぶ)で形成される。具体的には、1回の主走査によって、上流側に、第1のノズル群NZs1に相当する副走査方向の幅の第1のカラーインク層110が形成され、それと同時に、下流側に、第4のノズル群NZs4に相当する副走査方向の幅の第1のメタリック層120が形成される。そして、第1のノズル群NZs1(第4のノズル群NZs4)分だけ副走査方向に印刷媒体PMが搬送された後、次の主走査によって、第1のノズル群NZs1に相当する副走査方向の幅の第1のカラーインク層110が形成され、それと同時に、下流側に、第4のノズル群NZs4に相当する副走査方向の幅の第1のメタリック層120が形成される。したがって、最初の主走査によって形成された第1のカラーインク層110の上に、次の主走査によって、第1のメタリック層120が形成されることとなる。
以上の説明からも明らかなように、本実施例においては、プリンター10は、1つのラスターを1回の主走査で形成する。ラスターとは、主走査方向のインクドットの並びである。また、プリンター10は、いわゆるバンド送り方式によって、インクドットを形成する。バンド送り方式とは、1回の主走査につき、副走査方向に連続するラスターを、インクを吐出するノズル群の幅分ずつ完成させる方式である。ただし、プリンター10は、複数回の主走査によって、1つのラスターを形成してもよい。また、プリンター10は、インターレース方式によって、インクドットを形成してもよい。インターレース方式とは、1回の主走査によって形成される、隣り合う2つのラスターの間に、少なくとも1回の別の主走査によって、別のラスターを形成する方式である。インターレース方式を採用する場合であっても、ノズル列を上流側と下流側とに分割して使用することによって、任意の印刷領域において、第1のカラーインク層110の上に第1のメタリック層120を好適に形成できる。以上の説明から明らかなように、ステップS220において、任意の印刷領域(主走査方向および副走査方向に2画素以上を有する印刷領域)の第1のカラーインク層110および第1のメタリック層120を形成するパス数は、2×M回(Mは、1以上の整数)として規定される。Mの値を大きくすると、1回の走査によって印刷される領域間のつなぎ目が横筋として認識される、いわゆるバンディングによって、印刷画質が低下することを抑制できる。
また、本実施例においては、印刷制御部60は、第1のカラーインク層110のドット形成位置と、第1のメタリック層120のドット形成位置とが、極力重畳しないように制御する。かかる制御を重畳抑制制御とも呼ぶ。重畳抑制制御は、種々の方法で行うことができる。かかる制御について、以下では、印刷対象の画像データから、各画素位置のドットのON/OFFを決定するハーフトーン処理を、組織的ディザ法によって行うものとして説明する。なお、重畳抑制制御は、求められる印刷品質に応じて、適宜採用すればよく、必須の制御ではない。
重畳抑制制御の第1の方法として、カラーインクColについてのハーフトーン処理と、メタリックインクMtについてのハーフトーン処理との間で、閾値の配置が異なるディザマスクを使用する方法を例示できる。ディザマスクの閾値の配置は、印刷階調値に応じて形成されるドットパターンを表すので、両者のハーフトーン処理に同一のディザマスクを使用すれば、カラーインクColのドットとメタリックインクMtのドットとが重畳することとなる。一方、閾値の配置が異なるディザマスクを使用すれば、かかるドットの重畳を抑制することができる。例えば、カラーインクColについてのハーフトーンに使用するディザマスクを構成する閾値群を、所定方向に所定画素分だけずらした閾値群によって構成されるディザマスクを、メタリックインクMtについてのハーフトーン処理に使用してもよい。こうすれば、2種類のディザマスクを作成する手間が省けるので、プリンター10を製造する際の工数を軽減できる。
重畳抑制制御の第2の手法として、まず、メタリックインクMtについてのハーフトーン処理を行い、その結果を反映して、カラーインクColについてのハーフトーン処理を行う手法を例示できる。具体的には、印刷制御部60は、メタリックインクMtのドットがONに決定された画素位置では、カラーインクColのドットをOFFと決定してもよい。また、印刷制御部60は、メタリックインクMtのドットがOFFに決定された画素位置では、カラーインクColの階調値に、当該画素位置でのメタリックインクMtの階調値を加えた値と、ディザマスクの閾値とを比較して、ドットのON/OFFを決定してもよい。第2の手法によれば、ドットの重畳をいっそう抑制できる。
かかる重畳抑制制御を行えば、カラーインクColのドットが再現する彩度が、当該ドットに重畳するメタリックインクMtのドットによって低下することを抑制できる。重畳抑制制御は、メタリックインクMtと、全てのカラーインクColとの間で行われてもよいし、一部のカラーインクColとの間でのみ行われてもよい。例えば、一般的に彩度が低下しにくいブラックインクKに対しては、重畳抑制制御を行わず、その他のカラーインクColに対しては、重畳抑制制御を行ってもよい。こうすれば、ハーフトーン処理を簡素化できる。
ここで、説明を図5に戻す。第1のカラーインク層110および第1のメタリック層120を形成すると、印刷制御部60は、紙送り方向を第2の方向に設定する(ステップS230)。つまり、以後の印刷では、印刷制御部60は、バックフィードを行う。
次に、印刷制御部60は、主走査を行いながら、第2のノズル使用設定によって、印刷ヘッド36からインクを吐出した後、第2の方向に所定量だけ副走査を行う処理を繰り返して、ホワイト層130を印刷する(ステップS240)。ステップS220における印刷動作を第2の印刷モードとも呼ぶ。ステップS240では、第2の方向に印刷媒体PMが搬送されるため、上流側および下流側の方向は、上記のステップS220と反対になっている。
図7は、第2のノズル使用設定の内容を示す。第2のノズル使用設定では、ホワイトノズル列71のみが使用され、カラーノズル列77およびメタリックノズル列72は使用されない。また、ホワイトノズル列71を構成する全てのノズルが使用される。
本実施例では、任意の印刷領域のホワイト層130は、1回の主走査で形成される。ホワイトノズル列71の全範囲を使用し、かつ、少ないパス数で印刷を行うことによって、ホワイト層130の印刷を高速化できる。ホワイト層130は、下地層として機能するのであって、画像として視認されるものではないので、かかる構成としても、印刷画質に与える影響は小さい。ただし、ホワイト層130は、2以上のパス数で形成されてもよい。
ホワイト層130を形成すると、印刷制御部60は、紙送り方向を第1の方向に設定する(ステップS250)。つまり、以後の印刷では、印刷制御部60は、再度、バックフィードを行う。
次に、印刷制御部60は、主走査を行いながら、第3のノズル使用設定によって、印刷ヘッド36からインクを吐出した後、第1の方向に所定量だけ副走査を行う処理を繰り返して、第2のメタリック層140および第2のカラー層150を印刷し(ステップS260)、印刷処理を終了する。ステップS260における印刷動作を第3の印刷モードも呼ぶ。ステップS260では、第1の方向に印刷媒体PMが搬送されるため、上流側および下流側の方向は、上記のステップS220と同一になっている。
図8は、第3のノズル使用設定の内容を示す。第3のノズル使用設定では、カラーノズル列77とメタリックノズル列72とが使用され、ホワイトノズル列71は使用されない。また、カラーノズル列77のうちの、下流側に位置する第4のノズル群NZs4が使用され、上流側に位置する第1のノズル群NZs1は使用されない。また、メタリックノズル列72のうちの、上流側に位置する第3のノズル群NZs3が使用され、下流側に位置する第4のノズル群NZs4は使用されない。このため、第3のノズル使用設定による印刷制御では、印刷媒体PMの任意の領域に対して、第1の主走査によってメタリックインクMtのドットが先に形成され、その後に、第2の主走査によってカラーインクColのドットが形成される。
本実施例では、任意の印刷領域の第2のメタリック層140および第2のカラー層150は、第1のカラーインク層110および第1のメタリック層120と同様に、2回の主走査で形成される。ただし、ここでのパス数は、第1のカラーインク層110および第1のメタリック層120と同様に、2×N回(Nは、1以上の整数)としてもよい。
上述したプリンター10において、カラーノズル列77は、請求項の第1のノズル列に該当する。メタリックノズル列72は、第2のノズル列に該当する。ホワイトノズル列71は、第3のノズル列に該当する。
上述したプリンター10によれば、印刷媒体PMの一方の面上に、印刷媒体PMから見て、第1のカラーインク層110、第1のメタリック層120、ホワイト層130、第2のメタリック層140、第2のカラー層150の順に形成された5層のインク層からなる印刷物100を印刷することができる。したがって、透明の印刷媒体PMに印刷を行えば、両面から印刷画像を視認可能な印刷物100を得ることができる。プリンター10は、ホワイト層130よりも印刷媒体PM側に形成される画像と、それと反対の側に形成される画像とを鏡像印刷してもよい。こうすれば、印刷物100を両面のいずれから観察しても、同一の画像を視認可能とすることができる。また、印刷物100は、一方の面のみにインク層が形成されるので、インク層が形成されない面を、窓などの透明部材に接触させて貼り付ければ、インクが透明部材に付着することがない。
また、プリンター10によれば、印刷媒体PMを印刷媒体PMの長さに亘って第1の方向に搬送する1回の搬送工程の間に、第1のノズル使用設定を使用して、第1のカラーインク層110および第1のメタリック層120の2層を形成できる。したがって、第1のカラーインク層110と第1のメタリック層120とを別の搬送工程で印刷する場合と比べて、当該2層間における相対位置関係のずれを生じにくい。したがって、印刷画質の劣化を抑制できる。第2のメタリック層140および第2のカラー層150についても同様である。
また、プリンター10によれば、第1〜第3のノズル使用設定をそれぞれ使用した3回の搬送工程によって、5層分のインク層の印刷を行うことができる。したがって、ノズル列を5つのノズル群に分割して使用することによって5層分のインク層の印刷を1回の搬送工程で行う場合と比べて、印刷速度を高速化できる。なお、ノズル列を5つのノズル群に分割する構成では、各主走査において、当該5分割されたノズル群のうち、最も上流側のノズル群からカラーインクColが吐出され、2番目に上流側のノズル群からメタリックインクMtが吐出され、3番目に上流側のノズル群からホワイトインクWhが吐出され、4番目に上流側のノズル群からメタリックインクMtが吐出され、最も下流側のノズル群からカラーインクColが吐出される。
上記のようなノズル列を5つのノズル群に分割して使用する態様においては、一度の主走査において一つのインクで記録できる印刷媒体PMの副走査方向の幅が、本実施例に比べて小さくなる。このため、本実施例に比べて搬送距離が短い副走査を、多数回、行う必要がある。主走査の合間に副走査を行う場合には、前後の主走査による各印刷領域の間に隙間ができないように、前後の主走査による各印刷領域が一部重複するように、1回の印刷領域の幅よりも送り量が少ない副走査を行う。このため、本実施例よりも搬送距離が短い副走査を、多数回、行う場合には、本実施例に比べて印刷に要する時間が長くなる。本実施例は、上記態様に比べて副走査の回数が少ないため、印刷に要する時間が短い。
また、上記のようなノズル列を5つのノズル群に分割して使用する態様においては、本実施例に比べて短い距離の副走査を挟んで主走査が行われる。このため、副走査の直後に主走査を行って印刷を行うと、前回の主走査で印刷媒体PMに記録されたインクが乾燥するだけの時間を確保することができない場合がある。そのような場合には、各主走査の合間にインクを乾燥させるための待ち時間を設ける必要がある。このため、上記態様においては、1回の副走査の距離が短くなるのに比例して印刷に要する時間を短縮できるわけではない。本実施例においては、上記態様に比べて副走査の距離が大きく、副走査中に前回の主走査で記録されたインクが乾燥するだけの時間を確保することができる。このため、そのようなインクの乾燥のための待ち時間を設ける必要がない。よって、本実施例は、上記態様に比べて印刷に要する時間が短い。
なお、ノズル列を5つのノズル群に分割して使用する態様においては、本実施例に比べて搬送距離が短い副走査を多数回、行う必要があるため、搬送機構の機械的な作動誤差に起因した副走査の搬送距離の影響をより多く受ける。よって、印刷媒体PM上に形成されるドットの相互の位置ズレが大きくなり、印刷結果の品質も、本実施例に比べて低くなる。
また、印刷に要する時間について、より詳細には、以下のような要因もある。なお、ここでは、技術の理解を容易にするために、簡略化した説明を行う。たとえば、上記のようなノズル列を5つのノズル群に分割して使用する態様においては、本実施例に比べて多数回の副走査を行う必要があるため、副走査の開始時および終了時の加速と減速の回数が本実施例に比べて多くなる。また、加速開始後、一定速度(その副走査において想定される最高速度)に達する前に減速を開始する必要が生じる場合もある。その結果、印刷に要する時間が長くなる。本実施例においては、一組の加速と減速の間に一定速度(その副走査において想定される最高速度)で副走査を行う時間が長いため、上記態様に比べて印刷時間を短くすることができる。
また、上記のようなノズル列を5つのノズル群に分割して使用する態様においては、印刷媒体PMの印刷領域の下流端が印刷ヘッド36(ノズル列)の下流端に達する前に、印刷ヘッド36の上流側の一部分が印刷媒体PMの印刷領域の下流端部と向かい合う状態で、間に副走査を挟んで4回の主走査を行う必要がある。また、印刷媒体PMの印刷領域の上流端が印刷ヘッド36の上流端に達した後に、印刷ヘッド36の下流側の一部分が印刷媒体PMの印刷領域の上流端部と向かい合う状態で、間に副走査を挟んで4回の主走査を行う必要がある。すなわち、印刷ヘッド(ノズル列)が印刷媒体PMの印刷領域の上下端からはみ出した状態で、合計8回の主走査を間に副走査を挟んで行う必要がある。
これに対して、上記実施例においては、第1の印刷モードにおいて、印刷媒体PMの印刷領域の下流端が印刷ヘッド36(ノズル列)の下流端に達する前に、印刷ヘッド36のノズル列の上流側の半分が印刷媒体PMの印刷領域の下流端部と向かい合う状態で、1回の主走査を行う。また、印刷媒体PMの印刷領域の上流端が印刷ヘッド36の上流端に達した後に、印刷ヘッド36のノズル列の下流側の半分が印刷媒体PMの印刷領域の上流端部と向かい合う状態で、1回の主走査を行う。第3の印刷モードにおいても同様である。一方、第2の印刷モードにおいては、印刷ヘッドが印刷媒体PMの印刷領域の上下端からはみ出した状態で主走査を行う必要はない。すなわち、上記実施例においては、印刷ヘッド(ノズル列)が印刷媒体PMの印刷領域の上下端からはみ出した状態で、合計4回の主走査を行う。このため、本実施例によれば、ノズル列を5つのノズル群に分割して使用する上記態様に比べて、少なくとも必要となる主走査の回数が少ない分だけ印刷速度を高速化できる。
また、プリンター10によれば、第1のメタリック層120と第2のメタリック層140との間に、ホワイト層130を形成可能である。下地層としてのホワイト層130が形成されることによって、印刷物100の印刷面を光が透過しにくい。したがって、印刷物100の両面のいずれ側から印刷物100を見る場合にも、印刷画像の色の再現性を良好にできる。
また、プリンター10によれば、印刷媒体PMをバックフィードすることができる。このため、ユーザーは、1つの方向への印刷媒体PMの搬送が終わるたびに、印刷媒体PMをプリンター10の予め定められた初期位置にセットし直す必要がない。したがって、ユーザーの利便性が向上する。また、その分、印刷速度を高速化できる。また、プリンター10において、印刷媒体PMの搬送方向を反転するタイミングは、(1)第1のメタリック層120および第2のメタリック層140の印刷と、ホワイト層130の印刷との間と、(2)ホワイト層130の印刷と、第2のメタリック層140および第2のカラー層150の印刷との間である。上記(1)または(2)のタイミングで、インク層間のドットの形成位置がずれたとしても、下地層としてのホワイト層130と、その他のインク層との間でのずれは、印刷画質に大きな影響を与えない。したがって、印刷画質が大きく低下することもない。
B.変形例:
B−1.変形例1:
上述したメタリックインクMtに代えて、所定の質感を発現する顔料を含有する、種々の特殊光沢インクを使用してもよい。こうした特殊光沢インクとしては、印刷媒体表面への定着後に真珠光沢感を発現する顔料、例えば天然真珠のように真珠色を有する薄膜層を複数層重ねたような顔料を含有する真珠光沢インクや、印刷媒体表面への定着後に乱反射を起こして、いわゆるラメ感やなし地感を発現するよう微小凹凸を有する顔料を含有するラメインクやなし地インクなどを例示できる。特殊光沢インクとは、印刷媒体に印刷されたインクの光学的特性が反射角度依存性を有するインクであると捉えることもできる。
また、第1のメタリック層120と第2のメタリック層140との間で、異なる種類の特殊光沢インクを使用してもよい。この場合、印刷ヘッド36は、特殊光沢インクの種類毎に、異なるノズル列を備えていてもよい。あるいは、1つのノズル列において、上流側のノズル群と、下流側のノズル群とが、異なる特殊光沢インクを吐出するようにプリンター10が構成されてもよい。
B−2.変形例2:
プリンター10によって印刷される印刷物は、5層のインク層からなる印刷物に限らず、6層以上の印刷物であってもよい。例えば、印刷物100の第2のカラー層150の上に、クリアインクなどを使用して、被覆層を形成してもよい。かかる場合、上記ステップS260(図5参照)の後に、再度、第2の方向に印刷媒体PMを搬送しながら、被覆層を印刷してもよい。
B−3.変形例3:
印刷媒体PMをバックフィードする構成に代えて、1つの方向に印刷媒体PMを搬送するたびに、ユーザーが手動操作によって、プリンター10の予め定められた初期位置に印刷媒体PMをセットし直してもよい。この場合、プリンター10は、常に同一の方向に印刷媒体PMを搬送させて、印刷を行うことになる。
B−4.変形例4:
プリンター10が使用する複数種類のインクのうちの少なくとも一部は、紫外線硬化インクであってもよい。かかる場合、プリンター10は、印刷媒体PMに向かって紫外線を照射する紫外線照射部を備えていてもよい。紫外線照射部は、印刷ヘッド36よりも上流側と下流側とに、主走査方向の全体に亘って設けられてもよい。あるいは、印刷ヘッド36に紫外線照射部が設けられてもよい。これらの構成とすれば、種類の異なるインク同士が、印刷媒体PM上で定着する前に混ざり合うことを抑制できる。
B−5.変形例5:
ノズル列は、上流側と下流側とに2分割する構成に限られない。例えば、プリンター10は、ノズルをP(Pは2以上整数)分割して使用して、(2P+1)層構成のインク層を含む印刷物を印刷してもよい。かかる場合、第p(pは1からPの整数)のノズル列において、上流側からp番目のノズル分割群を使用範囲とする第1のノズル使用設定と、第(P+1)のノズル列の全体を使用範囲とする第2のノズル使用設定と、第pのノズル列において、下流側からp番目のノズル分割群を使用範囲とする第3のノズル使用設定とを、第1,第2,第3のノズル使用設定の順に使用して、印刷を行ってもよい。こうすれば、(2P+1)層のインク層を含む印刷物を、上述した実施例と同様に、好適に印刷できる。
なお、本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるい、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…プリンター
20…印刷機構
22…用紙スタッカー
24…紙送りローラー
25…従動ローラー
26…プラテン
28…キャリッジ
30…キャリッジモーター
31…紙送りモーター
32…牽引ベルト
34…ガイドレール
36…印刷ヘッド
40…印刷媒体搬送機構
41…ギアトレイン
42…排紙ローラー
44…ギザローラー
46…ロータリーエンコーダー
46a…符号板
46b…フォトセンサー
60…印刷制御部
71…ノズル列(ホワイトノズル列)
72…ノズル列(メタリックノズル列)
73〜76…ノズル列
77…カラーノズル列
100…印刷物
110…第1のカラーインク層
120…第1のメタリック層
130…ホワイト層
140…第2のメタリック層
150…第2のカラー層
NZs1…第1のノズル群
NZs2…第2のノズル群
NZs3…第3のノズル群
NZs4…第4のノズル群
PM…印刷媒体

Claims (5)

  1. 印刷媒体に画像を印刷する印刷装置であって、
    印刷媒体に対して、主走査方向と、該主走査方向に交差する副走査方向と、に相対的に移動する印刷ヘッドからインクを吐出して、印刷を行う印刷機構と、
    前記印刷機構の動作を制御する印刷制御部と
    を備え、
    前記印刷ヘッドには、前記インクを吐出する複数のノズルが前記副走査方向に所定の範囲に並んで配置されたノズル列が、前記インクの種類別に、前記主走査方向に複数並んで形成され、
    前記印刷制御部は、
    前記複数のノズル列のうちの第1のノズル列において、前記所定の範囲のうちの、前記印刷ヘッドに対して前記印刷媒体が移動する側である下流側と反対側の上流側に形成された第1のノズル群を使用範囲とし、かつ、前記第1のノズル列とは異なる第2のノズル列において、前記第1のノズル群よりも前記下流側に形成された第2のノズル群を使用範囲とした、第1のノズル使用設定と、
    前記第1のノズル列および前記第2のノズル列とは異なる第3のノズル列の全体を使用範囲とした第2のノズル使用設定と、
    前記第2のノズル列において、前記第2のノズル群よりも前記上流側に形成された第3のノズル群を使用範囲とし、かつ、前記第1のノズル列において、前記第1のノズル群よりも前記下流側に形成された第4のノズル群を使用範囲とした、第3のノズル使用設定と
    を、前記第1のノズル使用設定、前記第2のノズル使用設定、前記第3のノズル使用設定の順に使用して、前記印刷媒体の一方の面に前記印刷を実行可能に構成され
    前記印刷機構は、前記第1のノズル使用設定を使用した印刷時において、前記副走査方向のうちの第1の方向に前記印刷媒体を搬送し、前記第2のノズル使用設定を使用した印刷時において、前記第1の方向と反対の第2の方向に前記印刷媒体を搬送し、前記第3のノズル使用設定を使用した印刷時において、前記第1の方向に前記印刷媒体を搬送する搬送部を備えた
    印刷装置。
  2. 請求項1記載の印刷装置であって、
    前記第1のノズル使用設定を使用した印刷時において、2層のインク層を形成し、
    前記第2のノズル使用設定を使用した印刷時において、1層のインク層を形成し、
    前記第3のノズル使用設定を使用した印刷時において、2層のインク層を形成することによって、
    5層のインク層からなる前記画像を印刷する
    印刷装置。
  3. 前記第2のノズル列は、メタリックインクを吐出するノズル列である請求項1または請求項2記載の印刷装置。
  4. 前記第3のノズル列は、ホワイトインクを吐出するノズル列である請求項1ないし請求項3のいずれか記載の印刷装置。
  5. 印刷媒体に対して、主走査方向と、該主走査方向に交差する副走査方向と、に相対的に移動する印刷ヘッドであってインクを吐出する複数のノズルが前記副走査方向に所定の範囲に並んで配置されたノズル列が、前記インクの種類別に、前記主走査方向に複数並んで形成された印刷ヘッドからインクを吐出して、印刷装置が印刷を行う印刷方法において、
    前記複数のノズル列のうちの第1のノズル列において、前記所定の範囲のうちの、前記印刷ヘッドに対して前記印刷媒体が移動する側である下流側と反対側の上流側に形成された第1のノズル群を使用範囲とし、かつ、前記第1のノズル列とは異なる第2のノズル列において、前記第1のノズル群よりも前記下流側に形成された第2のノズル群を使用範囲とした、第1のノズル使用設定と、
    前記第1のノズル列および前記第2のノズル列とは異なる第3のノズル列の全体を使用範囲とした第2のノズル使用設定と、
    前記第2のノズル列において、前記第2のノズル群よりも前記上流側に形成された第3のノズル群を使用範囲とし、かつ、前記第1のノズル列において、前記第1のノズル群よりも前記下流側に形成された第4のノズル群を使用範囲とした、第3のノズル使用設定と
    を、前記第1のノズル使用設定、前記第2のノズル使用設定、前記第3のノズル使用設定の順に使用して、前記印刷媒体の一方の面に前記印刷を行い、
    前記第1のノズル使用設定を使用した印刷時において、前記副走査方向のうちの第1の方向に前記印刷媒体を搬送し、
    前記第2のノズル使用設定を使用した印刷時において、前記第1の方向と反対の第2の方向に前記印刷媒体を搬送し、
    前記第3のノズル使用設定を使用した印刷時において、前記第1の方向に前記印刷媒体を搬送する、
    印刷方法。
JP2012132772A 2012-06-12 2012-06-12 印刷装置および印刷方法 Active JP6015153B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012132772A JP6015153B2 (ja) 2012-06-12 2012-06-12 印刷装置および印刷方法
US13/849,406 US8833892B2 (en) 2012-06-12 2013-03-22 Printing apparatus and printing method
CN201310228818.4A CN103481664B (zh) 2012-06-12 2013-06-08 印刷装置以及印刷方法
CN201610211215.7A CN105856867A (zh) 2012-06-12 2013-06-08 印刷装置以及印刷方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012132772A JP6015153B2 (ja) 2012-06-12 2012-06-12 印刷装置および印刷方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013256044A JP2013256044A (ja) 2013-12-26
JP6015153B2 true JP6015153B2 (ja) 2016-10-26

Family

ID=49952914

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012132772A Active JP6015153B2 (ja) 2012-06-12 2012-06-12 印刷装置および印刷方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6015153B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6051604B2 (ja) * 2012-06-12 2016-12-27 セイコーエプソン株式会社 印刷装置および印刷方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011164379A (ja) * 2010-02-10 2011-08-25 Mimaki Engineering Co Ltd インクジェット記録装置、両面表示部材、及び両面表示部材の製造方法
JP5742154B2 (ja) * 2010-09-30 2015-07-01 セイコーエプソン株式会社 印刷装置
JP5716355B2 (ja) * 2010-11-02 2015-05-13 セイコーエプソン株式会社 印刷装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013256044A (ja) 2013-12-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8833892B2 (en) Printing apparatus and printing method
JP5347300B2 (ja) 印刷装置
JP6051604B2 (ja) 印刷装置および印刷方法
JP6079015B2 (ja) 印刷装置および印刷方法
JP2010076102A (ja) 印字装置及び印字方法
JP2013252640A (ja) 印刷装置および印刷方法
JP4765455B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法、データ生成装置、データ生成方法、及びプログラム
JP5487552B2 (ja) 液体吐出装置、液体吐出方法
JP2002137421A (ja) プリント装置及びプリント方法
US8550587B2 (en) Liquid ejecting apparatus and liquid ejecting method
US8259344B2 (en) Ink jet recording apparatus and ink jet printing method
JP2008068613A (ja) タイル印刷品を製造する方法
JP2002166534A (ja) インクジェット記録装置、及びインクジェット記録方法
JP2006256009A (ja) インクジェット記録方法
JP2001096770A (ja) プリント装置及びプリント方法
JP6015153B2 (ja) 印刷装置および印刷方法
JP2018176611A (ja) インクジェットプリンタ及び印刷方法
JP5748522B2 (ja) インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
JP3497455B2 (ja) インクジェット画像形成装置及びインクジェット画像形成方法
JP2011104788A (ja) 印刷装置、及び、印刷方法
JP6308729B2 (ja) インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
JP2016013645A (ja) インクジェット印刷装置
JP2004106392A (ja) インクジェットプリンタ
JP4655854B2 (ja) 印刷装置
JP2006224616A (ja) 記録方法および記録システム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150416

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160223

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160420

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160830

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160912

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6015153

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150