JP6014829B2 - 気化器 - Google Patents

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Description

本発明は、気化器に関する。
DRAMの開発において問題となるのは、微細化にともなう記憶キヤパシタンスである。ソフトエラーなどの点からはキャバシタンスは前の世代と同程度が要求されるため何らかの対策を必要としている。この対策として1Mまでのセル構造はプレーナ構造であったものが、4Mからスタック構造、トレンチ構造と称される立体構造が取り入れられ、キヤパシタ面積の増加を図ってきた。また誘電膜も基板Siの熱酸化膜からポリSi上で熱酸化膜とCVD窒化膜を積層する膜(この積層された膜を―般にON膜という。)が採用された。l6MDRAMでは、さらに容量に寄与する面積を増加させるため、スタック型では側面を利用する厚膜型、プレートの裏面も利用するフィン型などが取り入れられた。
しかし、このような立体構造ではプロセスの複雑化による工程数の増加ならびに段差の増大による歩留りの低下が問題視され、256Mビット以降の実現は困難であるとされている。そのため現在のDRAMの構造を変えずに更に集積度を増加させるための1つの道として、キヤパシタンスの誘電体を誘電率の高い強誘電体のものに切り替えていく方法が考え出された。そして、誘電率の高い誘電体薄膜としてTa25、Y23、HfO2などが高誘電率単金属常誘電体酸化物の薄膜がまず注目された。それぞれの比誘電率はTa25が28、Y23が16、HfO2が24程度であり、SiO2の4〜7倍である。
しかし256MDRAM以降での適用には、立体キャバシタ構造が必要である。これらの酸化物よりさらに高い比誘電率をもち、DRAMへの適用が期待される材料として、(BaxSr1-x)TiO3、Pb(ZryTi1-y)O3、(Pba1-a)(ZrbTi1-b)O3の3種類が有力視されている。また、超電導材料と非常によく似た結晶構造を持つBi系の層状強誘電体材料も有望であり、特にYl材と称されるSrBi2TaO9が、低電圧駆動と疲労特性に優れている点から、近年大きく注目されている。
一般にSrBi2TaO9強誘電体薄膜形成は、実用的かつ将来性のあるMOCVD(有機金属気相成長)法で行われている。
強誘電体薄膜の原料は、一般的に3種類の有機金属錯体Sr(DPM)2、Bi(C653及びTa(OC255であり、それぞれTHF(テトラヒドロフラン)溶剤に溶かし、溶液として使用されている。なお、DPMはジビバイロイメタンの略である。
それぞれの材料特性を表1に示す。
表1
沸点(℃)/圧力(mmHg)
融点(℃)

Sr(DPM)2 242/14 78
Bi(C6H5)3 270〜280/1 201
Ta(OC2H5)5 146/0.15 22
THF 67 −109
MOCVD法に用いる装置は、SrBi2TaO9薄膜原料を気相反応及び表面反応させ成膜を行わせる反応部、SrBi2TaO9 薄膜原料並びに酸化剤を反応部へ供給する供給部、反応部での生成物を採取する回収部から構成される。
そして、供給部は薄膜原料を気化させるための気化器が設けられている。
従来、気化器に関する技術としては、図12に示すものが知られている。図12(a)に示すものはメタルフィルター式と称されるものであり、周囲に存在する気体とSrBi2TaO9 強誘電体薄膜原料溶液との接触面積を増加させる目的で用いられたメタルフィルターに、所定の温度に加熱された原料溶液を滴下することにより気化を行う方法である。
しかし、この技術においては、数回の気化でメタルフィルターが詰まり、長期使用に耐えられないという問題を有している。
図12(b)は原料溶液に30kgf/cm2の圧力をかけて10μmの細孔から原料溶液を放出させ膨張によって原料溶液を気化させる技術である。
しかし、この技術においては、数回の使用により細孔が詰まり、やはり長期の使用に耐えられないという問題を有している。
また、原料溶液が、複数の有機金属錯体の混合溶液、例えば、Sr(DPM)2/THFとBi(C653/THFとTa(OC255/THFの混合溶液であり、この混合溶液を加熱によって気化する場合、蒸気圧の最も高い溶剤(この場合THF)がいち速く気化し、加熱面上には有機金属錯体が析出付着するため反応部への安定な原料供給ができないという問題が生ずる。
さらに、MOCVDにおいて、均一性に優れた膜を得るためには原料溶液が均一に分散した気化ガスを得ることが要請される。しかし、上記従来技術では必ずしもかかる要請に応えきれていない。
本発明は、目詰まりなどを起こすことがなく長期使用が可能であり、かつ、反応部への安定的な原料供給が可能なMOCVD用気化器を提供することを目的とする。
本発明は、原料溶液が均一に分散した気化ガスを得ることができるMOCVD用気化器及び原料溶液の気化方法を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、分散部本体と、前記分散部本体の内部に開けられた孔の中心に位置するように埋め込まれた前記孔の内径よりも小さな外径を有するロッドとの間に形成された空間により形成されるガス通路に連通せしめた原料溶液供給孔から原料溶液を供給するとともに、
前記ガス通路に50〜300m/sの流速で、前記ガス通路の一端からキャリアガスを供給し、
前記供給により、
前記ガス通路で、前記原料溶液は前記キャリアガス中に剪断され、粒子化され、分散し、
次いで、前記分散部本体の下流側に接続された気化管において気化を行うことを特徴とするMOCVD用原料溶液の気化方法である。
請求項2に係る発明は、100〜200m/sの流速でキャリアガスを供給する請求項1記載のMOCVD用原料溶液の気化方法である。
請求項に係る発明は、前記原料溶液の供給は、0.01〜1cc/minで行う請求項1又は2に記載のMOCVD用原料溶液の気化方法である。
本発明によれば、目詰まりなどを起こすことがなく長期使用が可能であり、かつ、反応部への安定的な原料供給が可能なMOCVD用気化器を提供することができる。
本発明によれば、有機金属材料が微細分散された気化ガスを得ることができる。
(実施例1)
図1に実施例1に係るMOCVD用気化器を示す。
本例では、分散部を構成する分散部本体1の内部に形成されたガス通路2と、
ガス通路2に加圧されたキャリアガス3を導入するためのガス導入口4と、
ガス通路2を通過するキャリアガスに原料溶液5を供給するための手段(原料供給孔)
6と、
分散された原料溶液5を含むキャリアガスを気化部22に送るためのガス出口7と、
ガス通路2内を流れるキャリアガスを冷却するための手段(冷却水)18と、
を有する分散部8と、
一端がMOCVD装置の反応管に接続され、他端が分散部8のガス出口7に接続された気化管20と、
気化管20を加熱するための加熱手段(ヒータ)21と、
を有し、前記分散部8から送られてきた、原料溶液が分散されたキャリアガスを加熱して気化させるための気化部22と、
を有する。
以下、本実施例をより詳細に説明する。
本例では、分散部本体1の内部に4.50mm径の孔(円筒状中空部)をあけ、その孔の中心に位置するように、孔の内径よりも小さな外径を有する(4.48mm径)ロッド10を埋め込む。分散部本体とロッド10との間に形成された空間によりガス通路2が形成される。ロッド10はビス9a,9b,9c,9dにより固定されている。なお、ガス通路2の幅は0.01mmとなる。
なお、ガス通路の幅としては、0.005〜0.10mmが好ましい。0.005mm未満では加工が困難である。0.10mmを超えるとキャリアガスを高速化するために高圧のキャリアガスを用いる必要が生じてしまう。
このガス通路2の一端にはガス導入口4が設けられている。ガス導入口4にはキャリアガス(例えばN2,Ar)源(図示せず)が接続されている。
分散部本体1のほぼ中央の側部には、ガス通路2に連通せしめて原料供給孔6を設けてあり、原料溶液5をガス通路2に滴下して、原料溶液5をガス通路2を通過するキャリアガスに原料溶液5を分散させることができる。
ガス通路2の一端には、気化部22の気化管20に連通するガス出口7が設けられている。
分散部本体1には、冷却水18を流すための空間11が形成されており、この空間内に冷却水8を流すことによりガス通路2内を流れるキャリアガスを冷却する。あるいはこの空間の代わりに例えばペルチェ素子等を設置し冷却してもよい。分散部8のガス通路2内は気化部22のヒータ21による熱影響を受けるためガス通路2内において原料溶液の溶剤と有機金属錯体との同時気化が生ずることなく、溶剤のみの気化が生じてしまう。そこで、ガス通路2内を流れれる原料溶液が分散したキャリアガスを冷却することにより溶剤のみの気化を防止する。特に、原料供給孔6より下流側の冷却が重要であり、少なくとも原料供給孔6の下流側の冷却を行う。冷却温度は、溶剤の沸点以下の温度である。例えば、THFの場合67℃以下である。特に、ガス出口7における温度が重要である。
また、分散部を冷却することにより、長期間にわる使用に対してもガス通路内(特にガス出口)における炭化物による閉塞を生ずることがない。
分散部本体1の下流側において、分散部本体1は気化管20に接続されている。分散部本体1と気化管20との接続は継手24により行われ、この部分が接続部23となる。
気化部22は気化管20と加熱手段(ヒータ)21とから構成される。ヒータ21は気化管20内を流れる原料溶液が分散したキャリアガスを加熱し気化させるためのヒータである。ヒータ21としては例えばペルチェ素子を気化管20の外周に貼り付けることにより構成すればよい。
気化管20としては、例えばSUS316Lなどのステンレス鋼を用いることが好ましい。気化管20の寸法は適宜決定すればよいが、例えば、外径3/4インチ、長さ100mmのものを用いればよい。
気化管20の下流側端はMOCVD装置の反応管に接続されるが、本例では気化管20に酸素供給手段として酸素供給口25を設けてあり、所定の温度に加熱された酸素をキャリアガスに混入せしめる得るようにしてある。
まず、気化器への原料溶液の供始について述べる。
図3に示すように、原料供給口6には、それぞれ、リザーブタンク32a,32b,32c,32dが、マスフローコントローラ30a,30b,30c,30d及びバルブ31a,31b,31c,31dを介して接続されている。
また、それぞれのリザーブタンク32a,32b,32c,32dにはキャリアガスボンベ33に接続されている。
リザーブタンクの詳細を図4に示す。
リザーブタンクには、原料溶液が充填されており、それぞれのリザーパータンク(内容積300cc、SUS製に3kgf/cm2のキャリアガスを送り込む。リザーブータンク内はキャリアガスにより加圧されるため、原料溶液は溶液と接している側の管内を押し上げられ液体用マスフローコントロ―ラ(STEC製、フルスケール流量0.2cc/min)まで圧送され、ここで流量が制御され、気化器の原料供給入口29から原料供給孔6に輸送される。
マスフローコントロ―ラ(STEC製、フルスケール流量2L/min)で一定流量に制御されたキャリアガスによって反応部へ輸送される。同時にマスフロ―コントロ―ラ(STEC製、フルスケール流量2L/minで―定流量に制御された酸素(酸化剤)も反応部へ輸送する。
原料溶液は、溶剤であるTHFに常温で液体または固体状の有機金属錯体を溶解しているため、そのまま放置しておくとTHF溶剤の蒸発によって有機金属錯体が析出し、最終的に固形状になる。したがって原液と接触した配管内が、これによって配管の閉塞などを生ずることが想定される。よって配管の閉塞を抑制するためには、成膜作業終了後の配管内および気化器内をTHFで洗浄すればよいと考え、洗浄ラインを設けてある。洗浄は、液体用マスフロ―コントローラの出口側から気化器までの区間とし、作業終了後にTHFで洗い流すものである。
バルブ31b,31c,31dを開とし、リザーブタンク32b,32c,32d内にキャリアガスを圧送した。原料溶液は、マスフローコントローラ(STEC製 フルスケール流量0.2cc/min)まで圧送され、ここで流量が制御され、溶液原料を気化器の原料供給孔6に輸送される。
一方、キャリアガスを気化器のガス導入口から導入した。なお、キャリアガス側の圧力をかけすぎるとロッド10が飛び出すおそれがあるため、供給口側の最大圧力は3kgf/cm2以下とすることが好ましく、このとき通過可能な最大流量はおよそ1200cc/minであり、ガス通路2の通過流速は百数十m/sまで達する。
気化器のガス通路2を流れるキャリアガスに原料供給孔6から原料溶液が滴下すると原料溶液はキャリアガスの高速流により剪断され、超微粒子化される。その結果原料溶液はキャリアガス中に超微粒子状態で分散する。原料溶液が超微粒子状態で分散したキャリアガス(原料ガス)は高速のまま気化部22に放出される。
一定流量に制御された3種の原料溶液は、それぞれの原料供給入口29を介して原料供給孔6からガス通路2に流入し、高速気流となったキャリアガスとともにガス通路を移動した後、気化部22に放出される。分散部8においても、原料溶液は気化部22からの熱によって加熱されTHFの蒸発が促進されるため、原料供給入口29から原料供給孔6までの区間及びガス通路2の区間を水道水によって冷却する。
分散部8から放出された、キャリアガス中に微粒子状に分散した原料溶液は、ヒータ21によって所定の温度に加熱された気化管20内部を輸送中に気化が促進されMOCVDの反応管に到達する直前に設けられた酸素供給口25からの所定の温度に加熱された酸素の混入によって混合気体となり、反応管に流入する。
排気口42から真空ポンプ(図示せず)を接続し、約20分間の減圧操作により反応管44内の水分などの不純物を取り除き、排気口42下流のバルブ40を閉じた。
気化器に冷却水を約400cc/minで流した。一方、3kgf/cm2のキャリアガスを495cc/minで流し、反応管44内をキャリアガスで十分満たした後、バルブ40を開放した。ガス出口7における温度は67℃より低かった。
気化管20内を200℃、反応管44からガスパック46までの区間及びガスパックを100℃、反応管44内を300℃〜600℃に加熱した。
リザーブタンク内をキャリアガスで加圧し、マスフローコントローラで所定の液体を流した。
Sr(DPM)2、Bi(C653、Ta(OC255、THFをそれぞれ0.04cc/min、0.08cc/min、0.08cc/min、0.2cc/minの流量で流した。
20分後ガスパック46直前のバルブを開きガスパック46内に反応生成物を回収し、ガスクロマトグラフにて分析し、検出された生成物と反応理論に基づき検討した反応式中の生成物が一致するかどうかを調べた。その結果、本例においては、検出された生成物と反応理論に基づき検討した反応式中の生成物はよく一致した。
また、分散部本体1のガス出口7側の外面における炭化物の付着量を測定した。その結果、炭化物の付着量はごくわずかであった。
(比較例1)
本例では、図1に示す装置において、冷却手段を取り除いた装置を用いて実施例1と同様の実験を行った。
本例においては、検出された生成物と反応理論に基づき検討した反応式中の生成物は不十分であった。
また、分散部本体1のガス出口7側の外面における炭化物の付着量を測定した結果は、炭化物の付着量は実施例1の場合の約5倍であった。
(実施例2)
図5に実施例2に係るMOCVD用気化器を示す。
実施例1では接続部23についてもヒータ21による加熱を行っていたが、本例では、気化部22の外周にのみヒータを設けた。また、接続部23の外周には冷却手段50を設け、接続部23の冷却を行った。
他の点は実施例1と同様とした。
本例においては、検出された生成物と反応理論に基づき検討した反応式中の生成物は実施例1の場合よりも良好な一致が見られた。
また、分散部本体1のガス出口7側の外面における炭化物の付着量を測定した結果は、炭化物の付着量は実施例1の場合の約1/3倍であった。
(実施例3)
図6に実施例3に係るMOCVD用気化器を示す。
本例では、接続部23の内部は、分散部8から気化部22に向かい内径が大きくなるテーパー51をなしている。かかるテーパー51のためその部分のデッドゾーンが無くなり、原料の滞留を防止することができる。
他の点は実施例1と同様とした。
本例においては、検出された生成物と反応理論に基づき検討した反応式中の生成物は実施例2の場合よりも良好な一致が見られた。
また、分散部本体1のガス出口7側の外面における炭化物の付着量を測定した結果は、炭化物の付着量は皆無に近かった。
(実施例4)
図7にガス通路の変形実施例を示す。
図7(a)ではロッド10の表面に溝70を形成してあり、ロッド10の外径を分散部本体1の内部にあけた孔の内径とほぼ同一としてある。従って、ロッド10を孔にはめ込むだけで、偏心することなく孔内にロッド10を配置することができる。また、ビスなどを用いる必要もない。この溝70がガス通路となる。
なお、溝70はロッド10の長手方向中心軸と平行に複数本形成してもよいが、ロッド10の表面に螺旋状に形成してもよい。螺旋状の場合にはより均一性に優れた原料ガスを得ることができる。
図7(b)はロッド10に突部を設けた例である。突部の最も大きな径を分散部本体1の内部にあけた孔の内径とほぼ同一としてある。突部と突部との間と孔の内面とで形成される空間がガス通路となる。
なお、(a),(b)に示した例は、ロッド10の表面に加工を施してた例であるが、ロッドとして断面円形のものを用い、孔の方に凹部を設けてガス通路としてもよいことはいうまでもない。
(実施例5)
図8に基づき実施例5を説明する。
本例のMOCVD用気化器は、
内部に形成されたガス通路と、
ガス通路に加圧されたキャリアガス3を導入するためのガス導入口4と、
ガス通路に原料溶液5a,5bを供給するための手段と、
原料溶液5a、5bを含むキャリアガスを気化部22に送るためのガス出口7と、
を有する分散部8と、
一端がMOCVD装置の反応管に接続され、他端が前ガス出口7に接続された気化管20と、
気化管20を加熱するための加熱手段と、
を有し、
分散部8から送られてきた、原料溶液を含むキャリアガスを加熱して気化させるための気化部22と、
を有し、
分散部8は、円筒状中空部を有する分散部本体1と、円筒状中空部の内径より小さな外径を有するロッド10とを有し、
ロッド10の外周の気化器22側に1又は2以上の螺旋状の溝60を有し、
ロッド10は該円筒状中空部に挿入されている。
高速のキャリアガス3が流れるガス通路に原料溶液5が供給されると、原料溶液は剪断・霧化される。すなわち、液体である原料溶液は、キャリアガスの高速流により剪断され、粒子化される。粒子化した原料溶液は粒子状態でキャリアガス中に分散しする。この点は、実施例1と同様である。
なお、剪断・霧化を最適に行うためには、次ぎの条件が好ましい。
原料溶液5の供給は、0.01〜1cc/minで行うことが好ましく、0.05〜0.5c/minで行うことがより好ましく、0.1〜0.3cc/minで行うことがさらに好ましい。複数の原料溶液(溶剤を含む)を同時に供給する場合には、そのトータル量である。
また、キャリアガスは50〜300m/secの速度で供給することが好ましく、100〜200m/secの速度で供給することがより好ましい。
本例では、ロッド10の外周には、螺旋状の溝60が形成してあり、かつ、分散部本体1とロッド10との間には隙間空間が存在するため、霧化状態となった原料溶液を含むキャリアガスはこの隙間空間を直進流として直進するとともに、螺旋状の溝60に沿って旋回流を形成する。
このように、直進流と旋回流とが併存する状態において霧化した原料溶液はキャリアガス中に一様に分散することを本発明者は見いだしたのである。直進流と旋回流とが併存すると何故に一様の分散が得られるのかの理由は必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。旋回流の存在により、流れに遠心力が働き、二次の流れが生じる。この二次の流れにより、原料及びキャリアガスの混合が促進される。すなわち、旋回流の遠心効果により流れに対して直角方向に2次的な派生流が生じ、これによって霧化した原料溶液がキャリアガス中により一様に分散するものと思われる。
以下、本実施例をより詳細に説明する。
本実施例では、一例として4種類の原料溶液5a,5b,5c,5d(5a,5b,5cは有機金属原料、5dはTHFなどの溶剤原料)をガス通路に供給するように構成されている。
それぞれ霧化し、超微粒子状となった原料溶液を含むキャリアガス(「原料ガス」という)を混合するために、本例では、ロッド10の原料供給孔6に対応する部分の下流部分に螺旋状の溝のない部分を設けてある。この部分はプレミキシング部65となる。プレミキシング部65において、3種類の有機金属の原料ガスはある程度混合され、さらに、下流の螺旋構造の領域において完全な混合原料ガスとなる。均一な混合原料ガスを得るためには、このミキシング部65の長さは、5〜20mmが好ましく、8〜15mmがより好ましい。この範囲外の場合、3種類の有機金属の原料ガスのうち1種類のみの濃度が高い混合原料ガスが気化部22に送られてしまうことがある。
本例では、ロッド10の上流側の端部66には、平行部67とテーパ部58とを設けてある。分散部本体1の円筒中空部にも平行部67とテーパー部58に対応した、ロッド10の平行部67の外径と同じ内径の平行部と、ロッド10のテーパーと同じテーパのテーパ部とを設けてある。従って、ロッド10を図面上左側から挿入すれば、ロッド10は分散部本体1の中空部内に保持される。
本例では、実施例1の場合とは異なり、ロッド10にテーパを設けて保持しているため、3kgf/cm2よりも高圧のキャリアガスを用いてもロッド10の移動を防止することができる。すなわち、図8に示す保持技術を採用すれば、3kg/cm2以上の圧力でキャリアガスを流すことができる。その結果、より高速のキャリアガスの供給が可能となる。すなわち、50〜300mm/sの高速のキャリアガスの供給も可能となる。前記した他の実施例においてもこの保持技術を採用すれば同様である。
なお、ロッド10の原料供給孔6に対応する部分には、図9(b)に示すように、キャリアガスの通路として溝67a,67b,67c,67dを形成しておく。各溝67a,67b,67c,67の深さとしては、0.005〜0.1mmが好ましい。0.005mm未満では溝の成形加工が困難となる。また、0.01〜0.05がより好ましい。この範囲とすることにより目詰まりなどの発生がなくなる。また、高速流が得られやすい。
ロッド10の保持、ガス通路の形成については、実施例1における図1に示す構成その他の構成を採用してもかまわない。
螺旋状の溝60は、図9(a)に示すように、1本でもよいが、図10に示すように複数本でもよい。また、螺旋状の溝を複数本形成する場合には、クロスさせてもよい。クロスさせた場合には、より均一に分散した原料ガスが得られる。
螺旋状の溝60の寸法・形状には特に限定されず、図9(c)に示した寸法・形状が一例としてあげられる。
なお、本例では、図8に示すとおり、ガス通路は、冷却水18により冷却している。
また、本例では、分散部22の入口手前において、拡張部69を独立して設けてある。この拡張部69は実施例3において、述べた原料ガスの滞留を防止するための部分である。もちろん、拡張部69を独立して設ける必要はなく、図6に示したように一体化した構成としてもよい。
拡張部69における拡張角度θとしては、5〜10度が好ましい。θがこの範囲内の場合、旋回流を壊すことなく原料ガスを分散部に供給することができる。また、θがこの範囲内の場合、拡大による流体抵抗が最小となり、また、デッドの存在が最小となり、デッドゾーンの存在による渦流の存在を最小にすることができる。なお、θとしては、6〜7度がより好ましい。なお、図6に示した実施例の場合においても好ましいθの範囲は同様である。
(実施例6)
図8に示す装置を用い、次ぎなる条件で原料溶液及びキャリアガスの供給を行い、原料ガスにおける均一性を調べた。
原料溶液滴下量:Sr(DPM)2 0.04cc/min
Bi(C653 0.08cc/min
Ta(OC255 0.08cc/min
THF 0.2cc/min
キャリアガス:窒素ガス
10〜350m/s
気化装置としては図8に示す装置を用いた。ただ、ロッドとしては、図9に示すロッドにおいて螺旋溝が形成されていないロッドを用いた。
原料溶液を原料供給孔6から供給するとともにキャリアガスをその速度を各種変化させた。なお、原料供給孔からは、溝67aにはSr(DPM)2、溝67bにはBi(C653、溝67cにはTa(OC255、溝67dにはTHFをそれぞれ供給した。
気化部における加熱を行わず、ガス出口7において原料ガスを採取し、採取した原料ガスにおける原料溶液の粒子径の測定を行った。
その結果を相対値(図12(a)に示す従来例に係る装置を用いた場合を1とする)として図11に示す。図11からわかるように、流速を50m/s以上とすることにより分散粒子径は小さくなり、100m/s以上とすることにより分散粒子径はさらに小さくなる。ただ、200m/s以上としても分散粒子径は飽和する。従って、100〜200m/sがより好ましい範囲である。
(実施例7)
本例では、ロッドとして螺旋溝を形成したロッドを使用した。
他の点は実施例6と同様とした。
実施例6では、溝の延長部において、溝に供給された原料溶液の濃度が濃かった。すなわち、すなわち、溝67aの延長部では、Sr(DPM)2が、溝67bの延長部ではBi(C653が、溝67cの延長部ではTa(OC255がそれぞれ他の濃度が高かった。
しかし、本例では、螺旋溝の端において得られた混合原料ガスはどの部分においても各有機金属原料が均一であった。
実施例1に係るMOCVD用気化器の要部を示す断面図である。 実施例1に係るMOCVD用気化器の全体断面図である。 MOCVDのシステム図である。 リザーブタンクの正面図である。 実施例2に係るMOCVD用気化器の要部を示す断面図である。 実施例3に係るMOCVD用気化器の要部を示す断面図である。 (a),(b)ともに、実施例4に係り、MOCVD用気化器のガス通路の変形例を示す断面図である。 実施例5に係るMOCVD用気化器を示す断面図である。 実施例5に係るMOCVD用気化器に使用するロッドを示し、(a)は側面図、(b)はX−X断面図、(c)はY−Y断面図である。 図9(a)の変形例を示す側面図である。 実施例6における実験結果を示すグラフである。 (a),(b)ともに従来のMOCVD用気化器を示す断面図である。
1 分散部本体、
2 ガス通路、
3 キャリアガス、
4 ガス導入口、
5 原料溶液、
6 原料供給孔、
7 ガス出口、
8 分散部、
9a,9b,9c,9d ビス、
10 ロッド、
18 冷却するための手段(冷却水)、
20 気化管、
21 加熱手段(ヒータ)、
22 気化部、
23 接続部、
24 継手、
25 酸素導入手段(酸素供給口)、
29 原料供給入口、
30a,30b,30c,30d マスフローコントローラ、
31a,31b,31c,31d バルブ、
32a,32b,32c,32d リザーブタンク、
33 キャリアガスボンベ、
42 排気口、
40 バルブ、
44 反応管、
46 ガスパック、
51 テーパー、
70 溝。

Claims (3)

  1. 分散部本体と、前記分散部本体の内部に開けられた孔の中心に位置するように埋め込まれた前記孔の内径よりも小さな外径を有するロッドとの間に形成された空間により形成されるガス通路に連通せしめた原料溶液供給孔から原料溶液を供給するとともに、
    前記ガス通路に50〜300m/sの流速で、前記ガス通路の一端からキャリアガスを供給し、
    前記供給により、
    前記ガス通路で、前記原料溶液は前記キャリアガス中に剪断され、粒子化され、分散し、
    次いで、前記分散部本体の下流側に接続された気化管において気化を行うことを特徴とするMOCVD用原料溶液の気化方法。
  2. 100〜200m/sの流速でキャリアガスを供給する請求項1記載のMOCVD用原料溶液の気化方法。
  3. 前記原料溶液の供給は、0.01〜1cc/minで行う請求項1又は2に記載のMOCVD用原料溶液の気化方法。
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