JP6011426B2 - 杭の継手構造 - Google Patents
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Description
そして、内側柱部を外側管部に挿入する前に、予め外側管部の外周溝にキー部材を干渉しないように収納しておき、内側柱部を外側管部に挿入した後、内周溝に形成された貫通孔にボルト等を嵌入させ、キー部材を内側に押し込むことにより、キー部材を縮径させて外周溝と内周溝の間に跨がらせている。尚、キー部材は、複数配置した方が荷重分散できるため、有利となる。
また、施工に際しても、多数の貫通孔に対して、ボルト等を嵌入しなければならないので、施工手間がかかり、施工コストも高騰してしまうという問題がある。
また、操作部の数が少なくなるため、杭の継手構造の施工手間を少なくして施工コストを削減することができる。
この発明によれば、キー部材をCリング部材で構成することにより、現場施工時に、1つのキー部材で外周溝及び内周溝の略全周に亘ってキー部材を跨らせることができるので、施工性を向上させることができる。
また、キー部材をCリング部材で構成することにより、工場で継手構造を構成する部品を製造する時に、1つのキー部材を内周溝内に収納するだけでよいので、生産性が向上する。
ここで、キー部材を分割体として構成した場合、施工時に複数のキー部材を内周溝に収納した状態では、キー部材の間に隙間が形成されるようにしておく。
この発明によれば、操作部を操作してキー部材を縮径する際、キー部材を隙間がなくなる位置まで押し込むだけでよいので、Cリング部材のようにキー部材を撓ませる力が作用せず、より小さな力で操作部を操作することができ、施工性が向上する。
この発明によれば、外側管部の内周面及び内側柱部の外周面のそれぞれにテーパ面が形成されているので、内側柱部を外側管部に挿入する際、多少の位置ずれがあったとしても、テーパ面に沿って正確に杭の中心軸同士を合わせて連結することができる。
また、このようなテーパ面を有することにより、荷重負担の大きくなる根元部ほど、外側管部の内周溝を形成した部分の肉厚が厚くなるため、荷重伝達の点で有利である。
この発明によれば、継手構造により連結した杭のうち、連結した上部の杭を回転させてもキー部材の回転がこの不連続部で規制されるので、上部の杭が回転させれば、同時に下部の杭も回転させることができる。従って、土中等に一旦埋設した下部の杭を引き抜いたり、さらに深く埋設したりする際は、引き抜き力、押し込み力に加えて回転力を作用させることができるので、これらの作業が一層容易になる。
また、前述した特許文献では、回転を規制するために、別途回転抑制用のキーを別途取り付ける必要があったが、そのような必要もなく、部品点数の低減を図ることができる。
[第1実施形態]
図1及び図2には、本発明の第1実施形態に係る継手構造1が示されている。なお、図1は、継手構造1の水平方向の断面図であり、図2は、図1におけるB−B線における断面図である。
継手構造1は、下杭2及び上杭3を連結するための構造であり、地滑り杭、支持杭、及び摩擦杭等として土中に埋設された下杭2に、上杭3を連結し、さらに上杭3を土中に埋設していく。
この継手構造1は、内側柱部11と、外側管部12と、キー部材13とを備える。
外側管部12は、上杭3の下端部に溶接等により接合される。この外側管部12は、内周面が、内側柱部11の外周面よりも大径の円筒状に構成され、その内周面には、軸回りに円形リング状の内周溝15が軸方向に離間して3箇所形成されている。
外周溝14及び内周溝15は、外側管部12に内側柱部11を挿入し、外側管部12の端面を内側柱部11の基部に当接させて連結した状態で、互いに対向配置される位置に形成される。
このキー部材13の高さ寸法は、外周溝14及び内周溝15の幅寸法よりも若干小さくなっており、奥行き寸法は、内周溝15の深さ寸法よりも若干小さくなっている。
このキー部材13の裏面には、架設部材16が2つ取り付けられている。
架設部材16は、図4に示すように、キー部材13の外周面側に突出しているので、架設部材16が取り付けられる位置に応じて、内周溝15には、軸方向に延びる凹部15Aが軸回りに間欠的に複数形成され、取り付け時には、架設部材16は凹部15A内部に収納される。
螺合孔17は、架設部材16の上端及び下端に2箇所形成され、凹部15Aの底部で外側管部12の内外を貫通しており、継手構造1の鉛直方向断面において、3個の内周溝15よりも少なくなっている。この螺合孔17は、凹部15Aの底部に形成されるので、この部分での外側管部12の肉厚は、内周溝15よりも薄くなっているが、凹部15Aは、間欠的に設けられているため、他の部分の肉厚は外側管部12の本来の厚さと同じである。
なお、螺合孔17は、本実施形態では、外側管部12の軸回りに8箇所形成されているが、これに限らず、キー部材13の縮径に要する押圧力に応じて適宜の数に決めればよい。
まず、予め、工場において、杭2、3の一方の端部に内側柱部11を溶接し、他方の端部に外側管部12を溶接しておく。尚、最初に埋設する杭には、外側管部12は溶接せずに、先端方向に次第に縮径するテーパ面とし、この部分を土中に最初に埋設させる。
溶接された杭2、3を建設現場に搬入したら、最初の下杭2を土中に埋設し、図5及び図6に示されるように、キー部材13を、内周溝15内にキー部材13の先端部分が突出しないように収納する。尚、キー部材13を内周溝15に収納する際には、隣接するキー部材13の間の隙間Tが均等になるように配置するのが好ましい。
内側柱部11が外側管部12に挿入され、外周溝14と内周溝15が互いに対向したら、各螺合孔17にボルト18を螺合させ、キー部材13を内側に押し込む。キー部材13は、内側に押し込まれ、隙間Tがなくなり、それぞれのキー部材13が隣接するキー部材13に当接するまで、縮径させ、外周溝14と内周溝15の間に跨らせる。
架設部材16が設けられていることにより、操作部である螺合孔17を上下方向に2箇所形成するだけで、3つのキー部材13を縮径させることができるので、杭の継手構造1の部品の加工手間を少なくして、製造コストを削減することができる。
また、螺合孔17の数が少なくなるため、杭の継手構造の施工手間を少なくして、施工コストを削減することができる。
また、キー部材13を、円形を分割した分割体として構成することにより、螺合孔17にボルト18を螺合させてキー部材13を縮径する際、単純に径方向に押し込む力のみでキー部材13を縮径させることができるため、施工性が向上する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の説明では、すでに説明した部材又は部分と同一の部分等については、同一符号を付してその説明を省略する。
前述した第1実施形態では、内側柱部11は、外周面が円柱状に構成され、外側管部12の内周面も、内側柱部11の外周面に応じた円筒状に構成されていた。
これに対して、本実施形態に係る杭の継手構造20では、図8に示されるように、内側柱部21は、外周面が円錐台状に構成され、外側管部22も、内側柱部21の外周面に応じた漏斗状の内周面を有する点が相違する。つまり、内側柱部21の外周面は、先端方向に次第に縮径するテーパ面21Aを有し、外側管部22の内周面は、根元方向に次第に縮径するテーパ面22Aを有している点が相違する。尚、本実施形態では、テーパ面21A、22Aは、円錐台等の滑らかな面としているが、これに限らず、階段状に縮径していくテーパ面であってもよい。
これに対して、本実施形態では、内側柱部21の外周面及び外側管部22の内周面がテーパ面とされているので、外周溝24は、先端方向に次第に直径が小さくなっていき、内周溝25も奥行き方向に次第に直径が小さくなっている点が相違する。加えて、外側管部22の内周溝25は、それぞれ同じ深さ寸法に設定されており、内周溝25が形成された肉薄部分は、奥行き方向に次第に厚くなっている。
これに対して、本実施形態では、図9に示されるように、キー部材23は、平面視でC形状のCリング部材として構成されている点が相違する。
これに対して、本実施形態では、内側柱部21の外周溝24は、完全な円形のリング状に形成されているのではなく、外周溝24の始点と終点が連続していない不連続部26を有している点が相違する。
施工手順については、第1実施形態と略同様であるので、説明を省略する。なお、キー部材23は、縮径されていない状態では、不連続部26と隙間が形成される寸法に設定されており、縮径された状態で不連続部26と当接するようになっている。
すなわち、内側柱部21の外周面及び外側管部22の内周面がテーパ面を有しているので、内側柱部11を外側管部に挿入する際、多少の位置ずれがあったとしても、テーパ面に沿って正確に下杭2の中心軸上に上杭3の中心軸を合わせて連結することができる。
また、内側柱部21の外周面及び外側管部22の内周面がテーパ面を有していることにより、開口先端から根元方向に向かって、外側管部22の肉厚が次第に厚くなっていくので、内周溝25が形成された肉薄部分の肉厚も次第に厚くなり、引き抜き耐力、押し込み耐力、回転耐力上一層有利となる。
従って、内側柱部21及び外側管部22の最も上部が負担する引き抜き力が最も大きくなるが、この部分の外側管部22の内周溝25の直上部の外側管部22の板厚は、他の内周溝15の直上部の外側管部22の板厚よりも厚くなるため、引き抜き力に対する剪断抵抗が最も大きくなり、有利になる。
そして、キー部材23をCリング部材で構成することにより、内側柱部21を外側管部22に挿入する前は、Cリング部材の拡径する方向の付勢力を利用して、外側管部22の内周溝15内に収納保持することができ、内側柱部21を外側管部22に挿入する際に、キー部材23が内側柱部21と干渉することを確実に防止することができる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
前述した第1実施形態では、図1の鉛直方向断面図からわかるように、螺合孔17が架設部材16の上端及び下端に形成され、この部分にボルト18を螺合することにより、キー部材13を縮径させていた。
これに対して、本実施形態に係る杭の継手構造30では、螺合孔17の形成位置を、内周溝15を形成した位置としている点が相違する。
このような本実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態は前述した実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形をも含むものである。
前述した第1実施形態では、4つのキー部材13を組み合わせて円形を形成していたが、本発明はこれに限らず、杭の径に応じて、6つのキー部材や8つのキー部材で円形を形成するようにしてもよい。
そして、前記各実施形態では、外側管部12の内周溝15及び内側柱部11の外周溝14を軸方向に3箇所形成していたが、これに限らず、軸方向に4箇所形成してもよい。数を増やせば、引き抜き耐力を一層向上させることができるが、加工手間、施工手間はより多くかかるので、杭の太さ、必要強度に応じて適宜設定するのが好ましい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
Claims (5)
- 杭同士を連結する杭の継手構造であって、
連結される一方の杭の端部に設けられ、管の軸回りに内周溝が複数形成された外側管部と、
連結される他方の杭の端部に設けられ、前記外側管部に挿入され、挿入状態で前記複数の内周溝のそれぞれと対向する位置に、柱の軸回りに外周溝が複数形成された内側柱部と、
互いに対向する内周溝及び外周溝のそれぞれの間に跨って配置され、径方向に縮径可能な複数の環状のキー部材と、
前記複数のキー部材の外側に設けられ、少なくとも2以上のキー部材に架設される架設部材と、
前記外側管部の内外を貫通して設けられ、前記外側管部の外部から前記架設部材を介して前記キー部材を径方向に縮径させる操作部とを備え、
鉛直方向断面において、前記操作部は、前記架設部材を介して縮径させるキー部材の数よりも少ないことを特徴とする杭の継手構造。 - 請求項1に記載の杭の継手構造において、
前記キー部材は、Cリング部材であることを特徴とする杭の継手構造。 - 請求項1に記載の杭の継手構造において、
前記キー部材は、環状体を周方向に複数分割した分割体として構成されていることを特徴とする杭の継手構造。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の杭の継手構造において、
前記外側管部の内周面は、前記外側管部の根元方向に次第に縮径するテーパ面を有し、前記内側柱部の外周面は、柱の先端方向に次第に縮径するテーパ面を有していることを特徴とする杭の継手構造。 - 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の杭の継手構造において、
前記内周溝及び前記外周溝のいずれかには、環状に連続しない不連続部が設けられていることを特徴とする杭の継手構造。
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