JP6011413B2 - 1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの製造方法 - Google Patents

1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを製造する方法に関し、特に、蒸留操作を必要とせずに透明でシス体比率の低下を抑制した1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを製造する方法に関する。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドは、合成樹脂用モノマー、樹脂添加剤原料、医薬中間体として使用される。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドには、シス体とトランス体の異性体が存在する。シス体は熱によって安定なトランス体へと異性化する。シス体はトランス体と比較して融点が低く、使用の際の取り扱いの良さからシス体比率が高い1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの製造方法が求められている。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの製造方法としては、1,4‐シクロヘキサンジカルボン酸にホスゲン、塩化オキサリル、三塩化リン、五塩化リン、塩化チオニル等の塩素化剤を用いて酸クロライド化させ、蒸留操作によって精製する方法が一般的である。
使用原料である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、一般的にテレフタル酸の核水素化によって製造される(例えば特許文献1参照)。このような方法で得られた1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、主たる異性体がシス体であるシス/トランスの混合物であり、還元されなかったテレフタル酸が不純物として微量残存している。
テレフタル酸は、一般的に極性有機溶媒や塩基性水溶液には可溶であるが、その他の溶媒への溶解度は低い。そのため、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド中にテレフタル酸が存在すると、浮遊物として濁りの原因となる。また、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドとテレフタル酸の混合物において、テレフタル酸の除去を濾過で試みた場合、その除去するテレフタル酸の粒子の大きさとフィルターの目の細かさの違いによって、フィルターを通過したり、フィルターが目詰まりを起こしたりする。また、たとえ濾過直後には透明な1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドが得られていても、僅かにテレフタル酸が溶解しているため暫く静置すると濁りとして析出してくる。そのためテレフタル酸を除去し、透明な1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを得るためには蒸留操作が必要であり、濾過操作での精製は困難であった。
しかしながら、蒸留操作または反応において熱を加えることは、シス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドをトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドへと異性化させる。例えば、公知の技術としては、同様に1位と4位に置換基を有するシクロヘキサンであるシス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を酸素許容濃度2容量%以下の窒素ガスの雰囲気中で加熱して、トランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に異性化させる方法(特許文献2参照)や、シス/トランス混合の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に塩化チオニルを加えて、強酸存在下で過熱することにより、トランス体比率が高い1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを製造する方法(特許文献3)などが知られている。
このような背景からテレフタル酸を含むシス/トランス混合の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸から、透明でシス体比率の低下を抑制した1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを製造することは困難であった。
特開昭和58−198439号公報 特開2003−128620号公報 特開2009−256313号公報
従来は、テレフタル酸を含むシス/トランス混合の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸から、透明でシス体比率の低下を抑制した1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを製造する方法は確立されておらず、その効率的な工業的製造法の創出が強く望まれていた。
本発明の目的は、テレフタル酸を含むシス/トランス混合の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸から、高温での反応や蒸留操作を必要としない、透明でシス体比率の低下を抑制した1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの製造方法を提供することにある。
本発明者らは前記課題を解決する方法について誠意検討した結果、透明でシス体比率の低下を抑制した1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの製造方法を見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)テレフタル酸を含む1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と塩化チオニルを反応させる工程、
(2)生成した酸性ガスを減圧下で除去してテレフタル酸を溶解させる工程、
(3)塩化チオニルを追加して反応させる工程、
(4)生成した酸性ガスと残存している塩化チオニルを減圧下で除去する工程
からなる1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの製造方法である。
本発明によれば、テレフタル酸を含むシス/トランス混合の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸から、蒸留操作を必要とせず、透明かつシス体比率の低下を抑制した1,4−シクロへキサンジカルボン酸ジクロリドを製造することができる。
本発明は、
(1)1〜0.01wt%のテレフタル酸を含む1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と、塩化チオニルを反応させる工程、
(2)生成した酸性ガスを減圧下で除去してテレフタル酸を溶解させる工程、
(3)塩化チオニルを追加して反応させる工程、
(4)生成した酸性ガスと残存している塩化チオニルを減圧下で除去する工程
からなる1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの製造方法である。
本発明を具体的に述べる。
本発明の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの製造方法では、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と、塩化チオニルを反応させる。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、テレフタル酸を含有し、テレフタル酸の含有率は1〜0.01wt%である。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、シス体比率が60%以上の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましく、シス体比率が65〜100%の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸がより好ましい。
本発明の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と塩化チオニルを反応させる工程において使用する塩化チオニルの量は、好ましくは、1.8〜2.5倍モル、より好ましくは2.0〜2.2倍モルである。この工程において、高温での反応はシス体をトランス体に異性化させることから、反応温度は80℃以下が好ましく、更に好ましくは55℃以下である。
本発明の生成した酸性ガスを除去してテレフタル酸を溶解させる工程は、80℃以下が好ましく、更に好ましくは70℃以下でおこなわれる。生成した酸性ガスを除去してテレフタル酸を溶解させる工程は、減圧下おこな、その圧力は、好ましくは、400Torr以下、より好ましくは100Torr以下、更に好ましくは50Torr以下である。
本発明の生成した酸性ガスを除去してテレフタル酸を溶解させる工程において、酸性ガスは、好ましくは、塩化水素と二酸化硫黄である。
本発明の生成した酸性ガスを除去してテレフタル酸を溶解させる工程において、テレフタル酸は、反応液に溶解させる。
本発明では、溶解したテレフタル酸を酸クロライド化させるために、更に塩化チオニルを添加して反応させる。ここで添加する塩化チオニルの量は、前の1段目の工程で加えた塩化チオニルとの合計が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に対して、好ましくは2.0〜2.7倍モル、より好ましくは2.2〜2.5倍モルである。高温ではシス体がトランス体に異性化しやすいことから、塩化チオニルを追加して反応させる工程では、反応温度は80℃以下が好ましい。
本発明の生成した酸性ガスと残存している塩化チオニルを除去する工程では、得られた1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの反応液に、酸性ガスと塩化チオニルが残存しているので、これらを取り除く。生成した酸性ガスと残存している塩化チオニルを除去する工程では、温度は80℃以下が好ましい。生成した酸性ガスと残存している塩化チオニルを除去する工程は、減圧下おこな、その圧力は400Torr以下が好ましくより好ましくは100Torr以下、更に好ましくは50Torr以下である。
本発明の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの製造方法では、透明な1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを得ることが可能であり、本発明の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの製造方法により得られる1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドは、好ましくは、水を対照とした波長450nmにおける光透過率が90%以上(セル長10mmを使用)である。
本発明において、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドのシス体比率は50%以上が好ましく、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドのシス体比率は、60〜100%がより好ましい。
かくして得られた1,4−シクロへキサンジカルボン酸ジクロリドは、例えば、合成樹脂用モノマー、樹脂添加剤原料、医薬中間体として使用される。
以上の操作を80℃で実施した場合、反応及び濃縮操作の総時間は60時間以内にすることが好ましい。
このようにして得られた1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドには、テレフタル酸以外の浮遊物が僅かに含まれている場合は、必要に応じて濾過操作をおこなう。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例において、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの化学純度とシス/トランス比は、下記の条件に調整したGC(ガスクロマトグラフィー)で分析した。
<化学純度分析、シス/トランス比分析>
試料はイソプロパノールでエステル化してから分析した。
カラム:InertCap1 0.25mm*60m, 0.4μm
キャリアガス:ヘリウム
INJ:200℃
DET:310℃
昇温プログラム:100℃→(10℃/min)→300℃(10min)計30min
カラム流量:3.65ml/min
線速度:47.4cm/sec
パージ流量:5.0ml/min
スプリット比:20
打ち込み量:1μl
保持時間:シス体 13.1min
トランス体 13.5min 。
参考例
シス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドがトランス体へ異性化する温度と時間の関係を調べるために、シス体比率が78%の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを用いて、100℃、80℃、60℃での熱安定性試験を実施した。10mlのサンプル瓶に攪拌子を入れ、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド5gを仕込み、所定の温度で攪拌してシス体比率の変化を確認した。その結果、100℃では8時間でシス体比率が64%に低下、80℃では14時間でシス体比率が71%に低下、60℃ではシス体比率の低下はみられなかった。このように高温条件下であるほどシス体のトランス体への異性化が速かった。
実施例1
温度計、攪拌機、コンデンサーを装着した容量500mlの反応容器に、テレフタル酸を0.2wt%含むシス体比率が80%の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸250.3g(1.45モル)、塩化チオニル381.6g(3.21モル)を仕込み、33〜39℃を保って5時間攪拌、その後55〜60℃に昇温してさらに1時間攪拌し、濁りのある反応液を得た。次いで65〜70℃に保ったまま20Torrまで減圧して、6時間濃縮することで、反応液は透明になった。濃縮終了後、反応液を55〜60℃に降温し、塩化チオニル52.3g(0.44モル)を追加して6時間反応させ、さらに75〜80℃に昇温させて1時間熟成した。次に温度を75〜80℃に保ったまま20Torrまで減圧し、4時間濃縮した。得られた濃縮液を40℃で0.45μmのフィルターに通し、透明な1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを295.2g、収率97.2%で取得した。
化学純度(GC)99.5%、シス/トランス=73/27 。
実施例2
温度計、攪拌機、コンデンサーを装着した容量100mlの反応器に、テレフタル酸を0.2wt%含むシス体比率が80%の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸30.0g(0.17モル)、塩化チオニル37.5g(0.31モル)を仕込み、50〜55℃に保って5時間攪拌、その後55〜60℃に昇温してさらに1時間攪拌し、濁りのある反応液を得た。次いで65〜70℃に保ったまま20Torrまで減圧して、18時間濃縮することで反応液は透明になった。濃縮終了後、反応液を55〜60℃に降温し、塩化チオニル8.3g(0.07モル)を追加して6時間反応させ、さらに75〜80℃に昇温させて1時間熟成した。次に温度を75〜80℃に保ったまま、20Torrまで減圧し、4時間濃縮した。得られた濃縮液を40℃で0.45μmのフィルターに通し、透明な1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを34.5g、収率94.8%で取得した。
化学純度(GC)97.6%、シス/トランス=69/31 。
実施例3
温度計、攪拌機、コンデンサーを装着した容量100mlの反応容器に、シス体比率67.3%の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリド35.1g(0.17モル)とテレフタル酸を0.2wt%含むシス体比率が80%の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸43.2g(0.25モル)を仕込み、55℃に昇温してスラリー状にした。そこに塩化チオニル66.1g(0.56モル)を6時間かけて分割添加した。その後60℃に昇温してさらに1時間攪拌し、濁りのある反応液を得た。次いで65〜70℃に保ったまま、20Torrまで減圧し、6時間濃縮することで反応液は透明になった。濃縮終了後、反応液を55〜60℃に降温し、塩化チオニル20.9g(0.17モル)を追加して6時間反応させ、さらに75〜80℃に昇温させて1時間熟成した。次に温度を75〜80℃に保ったまま、20Torrまで減圧し、4時間濃縮した。得られた濃縮液を40℃で0.45μmのフィルターに通し、透明な1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを85.7g、収率96.5%で取得した。
化学純度(GC)99.0%、シス/トランス=70/30 。
比較例1
温度計、攪拌機、コンデンサーを装着した容量200mlの反応容器に、テレフタル酸を0.2wt%含むシス体比率が80%の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸100.3g(0.58モル)、塩化チオニル152.5g(1.28モル)を仕込み、33〜39℃を保って5時間攪拌し、さらに55〜60℃に昇温して1時間攪拌した。その後、塩化チオニル20.9g(0.17モル)を追加して55〜60℃で1時間反応させ、さらに65〜70℃に昇温させて2時間熟成し、濁りのある反応液を得た。次に温度を75〜80℃、20Torrまで減圧し、4時間濃縮した。得られた濃縮液を40℃で0.45μmのフィルターに通し、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを118.5g、収率97.4%で取得した。
化学純度(GC)99.1%、シス/トランス=72/28 。
比較例1の方法は実施例1〜3と比較して、生成した酸性ガスを除去してテレフタル酸を溶解させる工程を省略した。その結果、濾過前の反応液が遊離しているテレフタル酸の影響で白く濁ってしまった。そのため濾過時に目詰まりをおこしてしまい、濾過速度が非常に遅いため工業的な製法としては問題があった。またテレフタル酸は濾過した1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドにも一部溶け込んでおり、そのため濾過後しばらく静置するとテレフタル酸が析出し、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドは再び白く濁ってしまった。
比較例2
温度計、攪拌機、コンデンサーを装着した容量100mlの反応容器に、テレフタル酸を0.2wt%含むシス体比率が80%の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸50.0g(0.29モル)、塩化チオニル76.3g(0.64モル)を仕込み、45〜55℃で1時間攪拌、さらに70〜80℃に昇温して1時間攪拌し、濁りのある反応液を得た。その後、120℃に昇温して1時間攪拌することで反応液は透明になった。60℃まで降温した後に塩化チオニルを10.4g(0.09モル)追加して、115〜120℃まで昇温し3時間攪拌した。次に温度を75〜80℃に降温し、20Torrまで減圧しながら4時間濃縮した。得られた濃縮液を80℃で0.45μmのフィルターに通し、透明な1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを58.5g、収率96.5%で取得した。取得した1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドは約20℃で完全に固化した。
化学純度(GC)99.3%、シス/トランス=38/62 。
比較例2の方法は実施例1〜3と比較して、高い温度で反応をおこなった。その結果、テレフタル酸は濃縮操作なしで溶解することができた。しかしながら、トランス体への異性化が著しく、目的とするシス体比率の低下を抑制した1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの製造方法としては適当ではなかった。
比較例3
温度計、攪拌機、コンデンサーを装着した容量100mlの反応容器に、テレフタル酸を0.2wt%含むシス体比率が80%の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸50.2g(0.29モル)、塩化チオニル76.4g(0.64モル)を仕込み、35〜40℃で5時間攪拌し、さらに75〜80℃に昇温し9時間攪拌した。その後、塩化チオニルを10.6g(0.09モル)追加して、75〜80℃で12時間攪拌し、濁りのある反応液を得た。次に75〜80℃で20Torrまで減圧しながら4時間濃縮した。得られた濃縮液を45℃で0.45μmのフィルターに通し、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドを58.7g、収率96.3%で取得した。
化学純度(GC)99.1%、シス/トランス=65/35 。
比較例3の方法は実施例1〜3と比較して、75〜80℃での反応時間を長くし、常圧下で反応液へのテレフタル酸の溶解を試みた。しかしながら、テレフタル酸は完全に溶解するに至らなかった。すなわち、比較例1と同様に濾過時に目詰まりをおこしてしまい、濾過速度が非常に遅いため工業的な製法としては問題があった。またテレフタル酸は濾過した1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドにも一部溶け込んでおり、そのため濾過後しばらく静置するとテレフタル酸が析出し、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドは再び白く濁ってしまった。

Claims (3)

  1. (1)1〜0.01wt%のテレフタル酸を含む1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と、塩化チオニルを反応させる工程、
    (2)生成した酸性ガスを減圧下で除去してテレフタル酸を溶解させる工程、
    (3)塩化チオニルを追加して反応させる工程、
    (4)生成した酸性ガスと残存している塩化チオニルを減圧下で除去する工程
    からなる1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの製造方法。
  2. (1)、(2)、(3)、(4)の工程の温度が、いずれも80℃以下である請求項1記載の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの製造方法。
  3. 1, 4−シクロヘキサンジカルボン酸のシス体比率が60%以上であり、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドのシス体比率が50%以上である請求項1または2に記載の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロリドの製造方法。
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