図1において、X線撮影システム10は、X線発生装置11と、X線撮影装置12とからなる。X線発生装置11は、X線源13と、X線源13を制御する線源制御装置14と、照射スイッチ15とで構成される。X線源13は、X線を放射するX線管13aと、X線管13aが放射するX線の照射野を限定する照射野限定器(コリメータ)13bとを有する。
X線管13aは、熱電子を放出するフィラメントからなる陰極と、陰極から放出された熱電子が衝突してX線を放射する陽極(ターゲット)とを有している。照射野限定器13bは、例えば、X線を遮蔽する複数枚の鉛板を井桁状に配置し、X線を透過させる照射開口が中央に形成されたものであり、鉛板の位置を移動することで照射開口の大きさを変化させて、照射野を限定する。
線源制御装置14は、X線源13に対して高電圧を供給する高電圧発生器と、X線源13が照射するX線のエネルギースペクトルを決める管電圧、単位時間当たりの照射量を決める管電流、およびX線の照射時間を制御する制御部とからなる。高電圧発生器は、トランスによって入力電圧を昇圧して高圧の管電圧を発生し、高電圧ケーブルを通じてX線源13に駆動電力を供給する。管電圧、管電流、照射時間といった撮影条件は、線源制御装置14の操作パネルを通じて放射線技師などのオペレータにより手動で設定される他、X線撮影装置12から通信ケーブルを介して設定される。
照射スイッチ15は、放射線技師によって操作され、線源制御装置14に信号ケーブルで接続されている。照射スイッチ15は二段階押しのスイッチであり、一段階押しでX線源13のウォームアップを開始させるためのウォームアップ開始信号を発生し、二段階押しでX線源13に照射を開始させるための照射開始信号を発生する。これらの信号は信号ケーブルを通じて線源制御装置14に入力される。
線源制御装置14は、照射スイッチ15からの制御信号に基づいて、X線源13の動作を制御する。照射スイッチ15から照射開始信号を受けた場合、線源制御装置14は、X線源13への電力供給を開始するとともに、タイマを作動させてX線の照射時間の計測を開始する。そして、撮影条件で設定された照射時間が経過すると、X線の照射を停止させる。X線の照射時間は、撮影条件に応じて変化するが、静止画撮影の場合には、X線の最大照射時間が約500msec〜約2s程度の範囲に定められている場合が多く、照射時間はこの最大照射時間を上限として設定される。
X線撮影装置12は、電子カセッテ21、撮影制御装置23、およびコンソール24から構成される。電子カセッテ21は、FPD26と、FPD26を収容する可搬型の筐体27とからなり、X線源13から照射されて被検者(被写体)Hを透過したX線を受けて被検者HのX線画像を検出する、可搬型のX線画像検出装置である。
電子カセッテ21の筐体27には、コンソール24と通信する通信部29と、カセッテIDを記憶するメモリ28が設けられている。カセッテIDは、コンソール24が複数台の電子カセッテ21の中から通信相手の1台の電子カセッテ21を識別するための識別情報である。カセッテIDは、コンソール24との間で交換される通信データに付される。
電子カセッテ21の筐体27は、偏平な平板状の筐体を有し、平面形状が略矩形であり(図2参照)、平面サイズはフイルムカセッテやIPカセッテと略同様の半切りサイズである。具体的には、電子カセッテ21の筐体27のサイズは、国際規格ISO4090:2001に準拠したサイズである。
電子カセッテ21は、被検者Hを立位姿勢で撮影するための立位撮影台31や被検者Hを臥位姿勢で撮影するための臥位撮影台32に取り付けて使用することが可能である。立位撮影台31や臥位撮影台32は、電子カセッテ21を着脱自在に取り付け可能である。立位撮影台31や臥位撮影台32は、例えばフイルムカセッテやIPカセッテを取り付けることが可能な従来の撮影台であり、電子カセッテ21専用の撮影台ではない。電子カセッテ21は、フイルムカセッテやIPカセッテと同じサイズであるので、こうした立位撮影台31や臥位撮影台32に取り付けることで、FPDが取り外し不能に内蔵された据え置き型のX線画像検出装置の代用として使用することが可能である。
電子カセッテ21は、このように撮影台31、32に取り付けて使用される他、図2に示すように、被検者Hの手や足など、撮影台31、32に取り付けた状態では撮影困難な撮影部位の場合には、撮影台31、32から取り外されて単体で使用される。このように電子カセッテ21は、撮影台31、32に取り付けて使用される使用態様と、撮影台31、32から取り外して使用される使用態様が可能であり、使い勝手がよい。
電子カセッテ21の使われ方としては、1つの撮影室に複数台、例えば2台の電子カセッテ21を配備し、立位撮影台31と臥位撮影台32にそれぞれ取り付けておき、必要に応じて各撮影台31、32から取り外して使用するといった使われ方が多い。
電子カセッテ21は、フイルムカセッテやIPカセッテと異なり、撮影に使用する場合にはコンソール24との間で通信が必要であるため、被検者Hに対してポジショニングした電子カセッテ21と、コンソール24において選択されコンソール24が通信相手と認識している電子カセッテ21とが一致しているかどうかの確認作業が必要である。
筐体27の外観形状が完全に同一の同じ型番の複数台の電子カセッテ21は、筐体27の外観形状だけでは区別が付かない。また、型番が異なる複数台の電子カセッテ21であっても、フイルムカセッテやIPカセッテと同様のサイズの複数台の電子カセッテ21の場合には、筐体27の外観形状は酷似しているため区別が付きにくい。
そこで、複数台の電子カセッテ21を目視によって識別できるように、電子カセッテ21の筐体27には、識別標識が記録されたラベル33が貼付される。ラベル33は、シート状の支持体の表面に識別標識の記録面、裏面に粘着面が形成されたシール状のラベルである。
図3に示すように、識別標識は、例えば、色と、各医療施設における個々の電子カセッテ21の呼称であるカセッテ名である。ラベル33の記録面は、ほぼ半分の領域が色付けされる領域、残りの領域がカセッテ名を記録する領域になっている。
1台の電子カセッテ21には、ハッチングで示す領域がピンク色(pink)に色づけされ、「A」というカセッテ名が記録されラベル33Aが使用され、もう1台の電子カセッテ21には、青色(blue)に色づけされ、「B」というカセッテ名が付されたラベル33Bが使用される。
なお、ラベル33の符号に付したA、Bは、説明の便宜上付したもので、以下、色が異なるラベル33を区別する場合には、符号33A、33Bを使用する。また、各ラベル33A、33Bにおいて、ハッチングで示す領域内にはそれぞれ「pink」、「blue」という文字列が記載されているが、モノクロの図面から色の違いが明確になるように便宜上付したものであり、実際のラベルには記録されない。
このようなラベル33を筐体27に付すことで、筐体27の外観では見分けが付かない複数台の電子カセッテ21を識別することが可能になる。識別標識は、プリントされていてもよいし、手書きで記録されてもよい。
図4に示すように、筐体27には、ラベル33を貼付する貼付領域34が設けられている。貼付領域34は、筐体27の外周面に、ラベル33の大きさに合わせて形成された凹部である。図2に示すように、貼付領域34は、例えば筐体27の表面(X線入射面)、背面、4つの側面の合計6面に形成される。このように貼付領域34を筐体27に形成しておくことで、複数台の電子カセッテ21間でラベル33の貼付位置を統一することができる。貼付位置が統一されていれば、貼付位置がばらついている場合と比べて、ラベル33を見つけやすい。
また、貼付領域34を筐体27の表面や背面に加えて、側面に設けたことで、以下のようなメリットがある。電子カセッテ21は、非使用時には側面を背にした状態でラックに収容されて保管される場合もある。そのような場合には、筐体27の側面の貼付領域34にラベル33を貼り付けておけば、ラック収容時にも所望の電子カセッテ21を探しやすい。
また、図5に示すように、立位撮影台31や臥位撮影台32において、電子カセッテ21が取り付けられる取り付け部31a、32aは、電子カセッテ21を側面から挿入可能なスロット31b、32bを有するスロットタイプである場合が多い。こうした立位撮影台31や臥位撮影台32では、取り付け部31a、32aに電子カセッテ21を取り付けた状態では、電子カセッテ21の筐体27の1つの側面が各スロット31b、32bから外部に露呈する。このため、側面に形成された貼付領域34にラベル33を貼り付けておけば、電子カセッテ21を各撮影台31、32に取り付けた状態でもラベル33A、33Bを確認することができ、各電子カセッテ21を見分けることができる。
図1に戻って、電子カセッテ21はワイヤレスタイプであり、通信部29は、通信ケーブルを使用した有線通信部の他に、電波や光(赤外線など)によって通信する無線通信部を備えている。また、電源ケーブルを使用した商用電源による駆動の他に、バッテリ駆動が可能である。このようなワイヤレスタイプの電子カセッテ21は、ケーブルの取り回しが不要になるため、取り扱い性がよい。
撮影制御装置23は、有線方式や無線方式により電子カセッテ21と通信可能に接続されており、コンソール24からの指令に基づいて電子カセッテ21を制御する。具体的には、電子カセッテ21に対して撮影条件を送信して、FPD26の信号処理の処理条件(蓄積される信号電荷に応じた電圧を増幅するアンプのゲインなど)を設定させるとともに、X線源13の照射タイミングとFPD26の蓄積動作を同期させるための同期信号をX線発生装置11から受信して、これを電子カセッテ21に送信することにより、X線源13とFPD26の同期制御を行う。
また、撮影制御装置23は、電子カセッテ21が出力する画像データを受信して、コンソール24に送信する。また、電子カセッテ21の電源のオンオフ、省電力モードや撮影準備状態へのモード切り替えなどの制御も、コンソール24からの指令に基づいて撮影制御装置23が行う。
コンソール24は、撮影制御装置23を通じて電子カセッテ21と通信を行い、撮影制御装置23を通じて電子カセッテ21を制御する操作端末である。また、コンソール24は、X線検査の依頼元である診療科(内科、外科など)の医師から発行される検査オーダの入力を受け付ける検査オーダ受付機能を備えている。
図6に示すように、検査オーダは、患者単位で作成される。1件の検査オーダには、依頼元情報(医師ID、診療科名など)、患者情報(患者名、患者IDなど)、撮影オーダが含まれる。1件の検査オーダに対して、撮影オーダが1件だけの場合もあれば、複数件の撮影オーダが含まれる場合もある。1件の撮影オーダには、撮影部位、撮影方向、撮影体位などの術式を指定する術式指定情報が含まれている。撮影部位としては、頭部、胸部、腹部などが指定される。撮影方向としては、正面、側面、斜位などが指定される。正面撮影の場合には、X線を被検者の背面から照射するPA(後前)方向か、正面から照射するAP(前後)方向かといった前後方向、斜位撮影の場合には、右方向か左方向かといった左右方向が指定される。
図6において、患者IDが「001」の検査オーダには、術式として、胸部立位正面撮影(P−A)が指定された撮影オーダ1、腹部立位正面撮影(P−A)が指定された撮影オーダ2、腹部臥位正面撮影(A−P)が指定された撮影オーダ3の3件の撮影オーダが含まれている。
検査オーダは、HIS(病院情報システム)やRIS(放射線情報システム)といった患者情報やX線検査に係る検査情報を管理する外部システムから発行され、LANなどの通信ネットワークを介してコンソール24に入力される。あるいは、検査オーダの内容が用紙に記録された検査依頼票に基づいて、放射線技師などのオペレータによって手動でコンソール24に入力される場合もある。撮影を行う際には、放射線技師は、検査オーダに含まれる撮影オーダの内容に基づいてコンソール24において撮影条件を入力し、入力された撮影条件が撮影制御装置23を通じて電子カセッテ21に設定される。
電子カセッテ21で撮影されたX線画像のデータは、撮影制御装置23を介してコンソール24に送信される。コンソール24は、受信したX線画像のデータに対して画像処理を施す。処理済みのX線画像は、コンソール24のディスプレイに表示される他、X線画像のデータは、コンソール24内のハードディスク、コンソール24とネットワークで接続された画像蓄積サーバといったデータストレージデバイスに格納される。
図7に示すように、コンソール24は、パーソナルコンピュータやワークステーションといったコンピュータをベースに、オペレーティングシステムなどの制御プログラムや、コンピュータをコンソール24として機能させるためのアプリケーションプログラム(AP)50をインストールして構成される。
コンソール24は、CPU41、メモリ42、ストレージデバイス43、通信I/F44、ディスプレイ48、及び入力デバイス49を備えている。これらはデータバス47を介して接続されている。入力デバイス49は、キーボードやマウスなどである。また、ディスプレイ48と一体となったタッチパネル式の入力デバイスでもよい。
ストレージデバイス43は、例えば、ハードディスクドライブであり、コンソール24の本体に内蔵された内部ストレージ(内部格納手段)である。ストレージデバイス43は、制御プログラムや、コンソール用ソフトウエアなどのアプリケーションプログラム(AP)50が格納される。
メモリ42は、CPU41が処理を実行するためのワークメモリである。CPU41は、ストレージデバイス43に格納された制御プログラムをメモリ42へロードして、プログラムに従った処理を実行することにより、コンピュータの各部を統括的に制御する。通信I/F44は、LANなどのネットワーク51との間の伝送制御を行うネットワークインタフェースを有している。コンソール24は、ネットワーク51を通じて、画像蓄積サーバやRISやHISなどのサーバ52と通信する。また、通信I/F44は、撮影制御装置23を介して電子カセッテ21の通信部29と通信するためのインタフェースを備えている。
コンソール用ソフトウエアは、検査オーダや電子カセッテ21から送信されるX線画像をディスプレイ48に表示したり、X線画像に対して画像処理を施したり、撮影オーダに応じて撮影条件を設定するなどの機能をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
図8に示すように、コンソール用ソフトウエアが起動すると、CPU41は、メモリ42と協働して、GUI制御部41a、カセッテ制御部41b、画像処理部41c、ネットワーク通信部41dとして機能する。GUI制御部41aは、ディスプレイ48への出力情報と入力デバイス49から入力される入力情報を制御する入出力制御部であり、ディスプレイ48に、電子カセッテ21で撮影されたX線画像やGUI(Graphical User Interface)による操作画面を出力するとともに、操作画面との協働により入力デバイス49から入力される操作指示を受け付ける。
ストレージデバイス43には、操作画面情報56が格納されており、GUI制御部41aは、ストレージデバイス43にアクセスして操作画面情報56を読み出して、操作画面を生成する。操作画面情報56には、後述するボタン登録情報78や識別標識情報79が含まれる(図10参照)。
カセッテ制御部41bは、通信I/F44及び撮影制御装置23を介して電子カセッテ21と通信することにより、電子カセッテ21の制御を担う制御部である。カセッテ制御部41bは、電子カセッテ21の電源のオンオフの指令、省電力モード及び撮影準備状態へのモード切り替えの指令、撮影条件などGUI制御部41aが受け付けた各種制御情報を、電子カセッテ21に送信する。
コンソール24には、コンソール24が制御可能な複数台の電子カセッテ21が予め登録されており、その登録情報がカセッテ登録情報57としてストレージデバイス43に格納される。カセッテ登録情報57には、カセッテID、カセッテの撮像領域のサイズ、通信方式(無線、有線など)といった電子カセッテ21の仕様に関する情報が含まれる。本例では、カセッテIDが「DR001」と「DR002」の2台の電子カセッテ21が登録されている。
カセッテ制御部41bは、GUI制御部41aを通じて入力される、撮影に使用する電子カセッテ21の選択情報に基づいて1台の電子カセッテ21のカセッテIDを特定し、特定した電子カセッテ21との間で通信を行う。
また、カセッテ制御部41bは、電子カセッテ21からのX線画像のデータを受信し、画像処理部41cに引き渡す。画像処理部41cは、X線画像に対して、シャープネス補正、周波数処理などの各種の画像処理を施す。
ネットワーク通信部41dは、通信I/F44及びネットワーク51を介してサーバ52と通信し、RISやHISからの検査オーダの受信や画像蓄積サーバへの画像の送信を行う。ストレージデバイス43には、検査オーダ格納領域58が設けられており、ネットワーク通信部41dは、受信した検査オーダを検査オーダ格納領域58に格納する。
検査オーダ格納領域58には、検査オーダが格納されるとともに、検査オーダ毎の履歴情報が格納される。履歴情報は、撮影に使用された電子カセッテ21のカセッテID、電子カセッテ21に設定された撮影条件、電子カセッテ21の使用態様、撮影したX線画像のファイル名などであり、これらの履歴情報は検査オーダに含まれる各撮影オーダに関連付けて記録される。履歴情報は、GUI制御部41aやカセッテ制御部41bによって記録される。
図9に示す検査オーダ表示画面61は、GUI制御部41aによって生成される操作画面である。検査オーダ表示画面61は、受信済みの検査オーダの中から選択された1件の検査オーダの内容を表示する画面である。
検査オーダ表示画面61には、検査オーダのID、患者名、患者ID、性別、年齢といった患者情報を表示する患者情報表示領域62と、1件の検査オーダに含まれる撮影オーダを表示する撮影オーダ表示領域63と、撮影したX線画像を表示する画像表示領域64が設けられている。撮影オーダ表示領域63の下方には、予め登録された複数台の電子カセッテの中から撮影に使用する1台の電子カセッテを選択するカセッテ選択領域66が設けられている。符号67は、各種設定を行うための設定ボタンである。
撮影オーダ表示領域63には、複数件の撮影オーダがある場合には、複数件の撮影オーダがリスト形式で一覧表示される。本例では、図6で示した撮影オーダ1〜3の3件の撮影オーダが含まれている例を示している。撮影オーダ表示領域63内において、各撮影オーダの表示欄63aには、「胸部立位正面(P−A)」のように、各撮影オーダ1〜3の術式指定情報が表示される。
表示欄63aの1つが、入力デバイス49のマウスのポインタ49aでクリック操作されると、その表示欄63aに対応する1件の撮影オーダが指定される。指定された撮影オーダの表示欄63aはハイライト表示され、指定されていない他の撮影オーダと識別可能に表示される。本例では、撮影オーダ2が指定された状態を示している。
処理済み(撮影済み)の撮影オーダの表示欄63aには、左端に、撮影した画像の縮小画像であるサムネイル画像が表示されるサムネイル表示領域が設けられている。未処理の撮影オーダの表示欄63aでは、サムネイル表示領域には、立位撮影や臥位撮影など術式を表す模式図が表示される。本例においては、撮影オーダ1が処理済みで、その表示欄63aにはサムネイル画像が表示され、撮影オーダ2、3は未処理で、模式図が表示されている状態を示している。
画像表示領域64には、撮影済みのX線画像のうち最新の画像が表示される。本例では、撮影オーダ1に対応するX線画像が表示されている。もちろん、撮影済みの複数のX線画像の中から選択された画像を画像表示領域64に表示することも可能である。
カセッテ選択領域66には、複数の選択ボタン71〜75が設けられている。選択ボタン71〜74が電子カセッテ21用の選択ボタンであり、選択ボタン75は、IPカセッテ(CRカセッテとも呼ばれる)用の選択ボタンである。
電子カセッテ21で撮影を行う場合には、1件の撮影オーダ毎にその内容に応じて、複数の選択ボタン71〜74の中から1つの選択ボタンがポインタ49aのクリック操作により選択操作されて、撮影に使用する1台の電子カセッテ21が選択される。選択ボタン71〜74にはそれぞれ1つのカセッテIDが割り当てられている。
選択ボタン71〜74による電子カセッテ21の選択情報は、GUI制御部41aを介してカセッテ制御部41bに入力される。カセッテ制御部41bは、選択情報に基づいて、複数台の電子カセッテ21のうち、撮影に使用する1台の電子カセッテ21のカセッテIDを特定し、特定したカセッテIDの電子カセッテ21と通信する。また、GUI制御部41aは、検査オーダ格納領域58にアクセスして、電子カセッテ21の選択情報を、指定された撮影オーダと関連付けて履歴情報として記録する。
電子カセッテ21を用いずにIPカセッテで撮影する場合には選択ボタン75が選択される。IPカセッテは、電子カセッテ21と異なり、コンソール24と通信できないので、IPカセッテの選択情報はカセッテ制御部41bには入力されず、GUI制御部41aは、IPカセッテの選択情報を撮影オーダと関連付けて履歴情報として記録するのみである。
また、電子カセッテ21用の選択ボタン71〜74は、同じカセッテIDの電子カセッテ21であっても、使用態様が異なる場合には使用態様を区別して選択できるように、1台の電子カセッテ21に対して使用態様毎に複数個設けられている。図8で示したとおり、本例では、カセッテIDが「DR001」と「DR002」の2台の電子カセッテ21が登録されている。
ここで、カセッテIDが「DR001」の電子カセッテ21にはカセッテ名「A」が与えられており、図3で示したラベル33Aが貼付されているものとし、カセッテIDが「DR002」の電子カセッテ21には、カセッテ名「B」が与えられており、図3で示したラベル33Bが貼付されているものとする。以下、2台の電子カセッテ21を区別する場合には、電子カセッテ21の符号21に、それぞれカセッテ名のA、Bを付して電子カセッテ21A、21Bと呼び、両者の区別が不要な場合には単に電子カセッテ21と呼ぶ。
選択ボタン71と選択ボタン73には、同じ「DR001」のカセッテIDが割り当てられている。選択ボタン71は、電子カセッテ21Aを立位撮影台31に取り付けて使用する場合に選択され、選択ボタン73は、電子カセッテ21Aを撮影台から取り外して撮影台を使わずに単体で使用する場合に選択される。以下、撮影台を使わずに単体で使用する使用態様をフリー撮影という。
選択ボタン71が選択された場合には、GUI制御部41aは、選択情報をカセッテ制御部41bに入力するとともに、使用態様が立位撮影である旨の情報を、検査オーダ格納領域58に、撮影オーダと関連付けて履歴情報として記録する。選択ボタン73が選択された場合には、使用態様がフリー撮影である旨の情報を履歴情報として記録する。
同様に、選択ボタン72と選択ボタン74も、同じ「DR002」のカセッテIDが割り当てられており、選択ボタン72は、電子カセッテ21Bを臥位撮影台32に取り付けて使用する場合に選択され、電子カセッテ21Bをフリー撮影で使用する場合に選択される。選択ボタン72が選択された場合には、電子カセッテ21Bの使用態様が臥位撮影である旨の情報が履歴情報として記録され、選択ボタン74が選択された場合には、使用態様がフリー撮影である旨の情報が記録される。
撮影において、どの電子カセッテ21をどのような使用態様で使用したかという情報は、検査記録として重要であるので、使用態様毎に選択ボタンを設けることで、使用態様の記録忘れを防止することができる。
上述したように、電子カセッテ21の使われ方としては、1つの撮影室に2台の電子カセッテ21を配備し、立位撮影台31と臥位撮影台32にそれぞれ取り付けておき、必要に応じて各撮影台31、32から取り外してフリー撮影で使用するといった使われ方がされる。そして、電子カセッテ21A、21Bの取り違いを防止する対策として、立位撮影台31には電子カセッテ21Aを、臥位撮影台32には電子カセッテ21Bをそれぞれ取り付けるというように、各撮影台31、32と電子カセッテ21A、21Bの対応関係を固定化した運用を行っている医療施設が多い。
こうした使われ方を考慮して、電子カセッテ21Aを選択する選択ボタンとして、立位撮影用とフリー撮影用の2つの選択ボタン71、73が設けられ、電子カセッテ21Bを選択する選択ボタンとして、臥位撮影用とフリー撮影用の2つの選択ボタン72、74が設けられている。
選択ボタン71〜74には、それぞれの使用態様を模式的に表す模式図が表示される。立位撮影用の選択ボタン71には、立位撮影台とX線源の模式図が、臥位撮影用の選択ボタン72には、臥位撮影台とX線源の模式図が、フリー撮影用の選択ボタン73、74には、撮影台が描かれず、カセッテとX線源のみの模式図が表示される。選択ボタン73、74には、IPカセッテ(CRカセッテ)用の選択ボタン75と区別できるように、電子カセッテ21であることを表す「DR」の文字情報が表示される。
また、選択ボタン71〜74内の模式図に加えて、選択ボタン71〜74の上方には、「立位」、「臥位」、「フリー」というように、各選択ボタン71〜74によって選択される使用態様を示す文字情報が表示されている。なお、これらの文字情報を各選択ボタン71〜74内に表示してもよい。
こうした模式図や文字情報により、選択ボタン71〜74によって選択される使用態様が確認できるようになっている。放射線技師は、撮影オーダ表示領域63において指定した1件の撮影オーダの術式に応じて、各選択ボタン71〜74のいずれかを選択する。
また、コンソール24は、指定された撮影オーダの内容に基づいて選択ボタン71〜74を自動選択する機能を有している。GUI制御部41aは、撮影オーダ表示領域63内の複数の撮影オーダ1〜3の指定状態を監視する。1件の撮影オーダが指定された場合には、その撮影オーダ内の術式指定情報を参照して、立位撮影か、臥位撮影か、それ以外(フリー撮影)かといった指定された術式を判定する。そして、指定された術式に対応する選択ボタンを選択状態にして撮影に使用されるべき1台の電子カセッテ21を自動選択する。
例えば、撮影オーダ表示領域63において、ポインタ49aにより撮影オーダ2が指定された場合には、撮影オーダ2の術式指定情報を参照し、立位撮影と判定して、立位撮影用の選択ボタン71を自動的に選択状態にする。このように撮影オーダの内容に応じて撮影に使用する1台の電子カセッテ21とその使用態様が自動選択されるので、撮影オーダの確認ミスが防止され、撮影オーダに応じた使用態様と使用態様に対応する電子カセッテ21とを確実に選択することができる。
さらに、選択ボタン71〜74には、コンソール24で選択した電子カセッテ21と被検者Hを誘導して被検者Hの撮影部位にポジショニングした電子カセッテ21が一致しているか否かを確認する確認作業を、簡単確実に行うことができる工夫がなされている。選択ボタン71〜74には、それぞれに割り当てられた電子カセッテ21に付されたラベル33に記録された識別標識と同じ識別標識が表示される。
選択ボタン71、73には、電子カセッテ21Aが割り当てられているので、そのラベル33Aに記録された識別標識と同じ識別標識が表示される。ラベル33Aには、識別標識としてピンク色(pink)が色づけされ、カセッテ名「A」が記録されている(図3参照)。ラベル33Aの識別標識と対応するように、選択ボタン71、73は、ピンク色で表示されるとともに、カセッテ名「A」の文字情報が表示される。
同様に、選択ボタン72、74には、電子カセッテ21Bが割り当てられているので、そのラベル33Bに記録された識別標識と同じ識別標識が表示される。ラベル33Bには、識別標識として青色(blue)が色づけされ、カセッテ名「B」が記録されている(図3参照)。ラベル33Bの識別標識と対応するように、選択ボタン72、74は、青色で表示されるとともに、カセッテ名「B」の文字情報が表示される。
選択ボタン71〜74にラベル33と同じ識別標識を表示することで、選択ボタン71〜74の識別標識と電子カセッテ21に付されたラベル33に記録された識別標識を見比べることにより、コンソール24で選択した電子カセッテ21と、被検者Hを誘導して被検者Hの撮影部位にポジショニングした電子カセッテ21が一致しているか否かを確認する確認作業を、簡単確実に行うことができる。
各選択ボタン71〜74は、各選択ボタン71〜74に共通の基本色(第1色)と、識別標識に対応する色(第2色)の2色表示になっている。基本色は例えば黒色であり、選択ボタン71、73は黒色とピンク色の2色で、選択ボタン72、74は黒色と青色の2色で表示される。各選択ボタン71〜74において、ハッチングで示す領域が識別標識の色に対応する領域である。ハッチングで示す領域内の「pink」、「blue」という文字列は、図3におけるラベル33A、33Bと同様に、モノクロの図面から色の違いが明確になるように便宜上付したものであり、実際の選択ボタンには表示されない。
選択ボタン71を例に説明すると、上下方向に2分割された2つの領域71a、71bのうち、上部領域71aは選択されていない状態において識別標識の色が表示される領域であり、下部領域71bは選択された状態において識別標識の色が表示される領域である。一方の領域に識別標識の色が表示されている場合には他方の領域が基本色となり、選択されているか否かに応じて各領域の色が反転する。
図9においては、選択ボタン71は選択された状態で示されており、下部領域71bに識別標識の色であるピンク色が表示され、上部領域71aは基本色となる黒色で表示される。選択ボタン72〜74は、選択されていない状態で示されており、選択された状態の選択ボタン71と比較すると、各領域の表示が反転している。
このように、各選択ボタン71〜74の識別標識(色とカセッテ名)は、それらが選択されているか否かに関わらず、常時表示され、選択されているか否かは識別標識の色を2分割された領域で反転させることにより表示される。識別標識が常時表示されていれば、各選択ボタン71〜74の選択操作をする前に、被検者Hに対してポジショニングした電子カセッテ21の識別標識をラベル33で確認し、それと一致する識別標識が表示された選択ボタンを選択操作するといったことも可能となる。例えば選択ボタンを選択しないと識別標識が表示されないというように常時表示されない場合と比べると便利である。
図10に示すように、ストレージデバイス43に格納された操作画面情報56には、ボタン登録情報78が含まれている。ボタン登録情報78は、上述した各選択ボタン71〜75(選択ボタン1〜5に対応)への割り当て情報を定義した情報であり、設定により予め登録される。ボタン登録情報78は、電子カセッテ21用の選択ボタン71〜74の割り当て情報としてカセッテIDと使用態様が定義されている。ボタン登録情報78は、選択ボタン71〜74と使用態様との対応関係を表す情報(第2対応情報)である。
IPカセッテ用の選択ボタン75(選択ボタン5)に対しては、IPカセッテ用のボタンであることを定義する情報(「CR」)のみが規定され、カセッテIDや使用態様は規定されない。GUI制御部41aは、指定された撮影オーダの術式指定情報と、ボタン登録情報78を参照することにより、上述した撮影オーダに応じた選択ボタンの自動選択を行う。
また、操作画面情報56には、識別標識情報79が含まれている。識別標識情報79は、電子カセッテ21のカセッテIDと識別標識との対応関係を表す情報(第1対応情報)である。識別標識情報79には、色(識別標識1)とカセッテ名(識別標識2)の2種類の識別標識が定義されている。
GUI制御部41aは、検査オーダ表示画面61の基本フォームを規定する画面データを読み出し、基本フォームの各選択ボタン71〜74に対して、ボタン登録情報78を参照してカセッテIDと使用態様の割り当てを行う。そして、カセッテIDに対応する識別標識を識別標識情報79から読み出して、各選択ボタン71〜74に表示する。
図11に示す識別標識設定画面81は、識別標識情報79の設定を変更する画面である。識別標識設定画面81には、カセッテID毎に、色(識別標識1)とカセッテ名(識別標識2)の2種類の識別標識のそれぞれを変更するための設定ボックス82、83が設けられている。設定ボックス82、83は、ポインタ49aにより端部の矢印がクリック操作されると、下方にプルダウンメニュー82a、83aが表示される。プルダウンメニュー82aには、設定可能な色の選択候補が表示される。色の設定を無しにすることも可能である。プルダウンメニュー83aには、設定可能なカセッテ名の選択候補が表示される。カセッテ名の設定を無しにすることや、任意の文字列を入力することも可能である。
GUI制御部41aは、識別標識設定画面81を通じて識別標識の変更操作を受け付けて、ストレージデバイス43内の識別標識情報79を変更する。このような識別標識情報79をマニュアルで変更可能にすることで、医療施設に応じて柔軟な運用が可能となる。
以下、上記構成による作用について、図12〜図15を参照して説明する。X線検査を行う場合には、放射線技師によってコンソール24が操作されて1件の検査オーダが選択される。検査オーダが選択されると、GUI制御部41aによって図9に示す検査オーダ表示画面61が生成されて、ディスプレイ48に表示される。
選択ボタン71〜75には、ボタン登録情報78や識別標識情報79で定義された、電子カセッテ21A、21Bに対応する識別標識が表示される。撮影オーダ表示領域63において1件の撮影オーダが指定されると、GUI制御部41aによって撮影オーダで指定された術式に対応する選択ボタンが自動選択される。
選択ボタンの選択情報は、カセッテ制御部41bに入力され、カセッテ制御部41bは、選択された選択ボタンに対応するカセッテIDの電子カセッテ21を特定し、特定された電子カセッテ21と通信を開始する。カセッテ制御部41bは、選択された電子カセッテ21に対して撮影準備状態へ移行することを指令する他、撮影条件が入力された場合には、入力された撮影条件を選択された電子カセッテ21に送信する。
図12に示すように、立位撮影用の選択ボタン71が自動選択された場合には、選択ボタン71の2色表示が反転し、選択された状態であることが表示される。放射線技師は、指定した撮影オーダの表示欄63aにおいて、術式として立位撮影が指定されていることを確認し、それに対応する立位撮影用の選択ボタン71が選択された状態であることを確認する。
そして、被検者Hを立位撮影台31に誘導し、電子カセッテ21Aが取り付けられた立位撮影台31を操作して、被検者Hの撮影部位に対して電子カセッテ21Aをポジショニングする。ここで、電子カセッテ21Aに付されたラベル33Aを見て、識別標識の色がピンク色であり、カセッテ名が「A」であることを確認する。
放射線技師はコンソール24の場所に戻って、選択ボタン71の識別標識を見て、選択ボタン71の識別標識と電子カセッテ21Aの識別標識とが一致していることを確認する。このように電子カセッテ21に付したラベル33と選択ボタンの識別標識を見比べることにより、コンソール24で選択した電子カセッテ21と被検者Hに対してポジショニングした電子カセッテ21とが一致しているか否かの確認作業が行われる。
このため、外観形状を模式的に表した装置アイコンをコンソールに表示する従来の特許文献1と異なり、本発明は、電子カセッテ21A、21Bのように外観形状が同じ場合でも、上記確認作業を簡単確実に行うことができる。電子カセッテ21A、21Bのように、フイルムカセッテやIPカセッテと同じサイズのカセッテの場合には、型番が違っても外観が酷似するため、本発明は特に有効である。また、電子カセッテ21A、21Bのように、ワイヤレスタイプの場合には、ケーブルを辿ってコンソール24との接続状態を確認することもできないため、本発明は特に有効である。
しかも、識別標識には、文字で表記されるカセッテ名の他に色が含まれているので、文字だけの場合と比べて直感的に分かりやすい。これにより、複数台の電子カセッテ21の取り違えやコンソール24上の選択ミスによる撮影ミスが防止される。
また、電子カセッテ21は、従来のフイルムカセッテやIPカセッテと異なりコンソール24に対して無線や有線により画像を送信する画像送信機能を備えているため、次に示すようにフイルムカセッテやIPカセッテと異なる運用がなされる。
フイルムカセッテやIPカセッテを撮影に使用する場合には、検査(撮影)に先立って、1回の検査で必要な数だけフイルムカセッテやIPカセッテを保管庫から撮影室に技師が運び入れ、検査が終了すると撮影室から持ち出される。フイルムカセッテの場合には現像処理が、IPカセッテの場合にも読み取り装置による画像読み取り処理がそれぞれ必要になるからである。このようにフイルムカセッテやIPカセッテの場合には、検査するタイミングで技師がカセッテを撮影室に運び入れて、検査終了後には撮影室から持ち出されるため、検査でどのカセッテを使用するかはカセッテを撮影室に運び入れる時点で決まり、カセッテの取り違いがおきようがなかった。
これに対して、電子カセッテの場合は、画像送信機能を備えているため、フイルムカセッテやIPカセッテのように、検査の度に技師によって撮影室に運び入れられて、検査後に撮影室から持ち出されることはなく、撮影室内に置かれたまま、複数の検査で繰り返し使用されることになる。そして、上述の通り、撮影室内において、電子カセッテは、撮影台に装着したまま複数の検査に使用されたり、撮影台から取り外されたり、再び撮影台へ取り付けたりという使い方がされる。それ故に、電子カセッテの取り違いが生じる危険性が生じる。つまり、カセッテの取り違えという問題は、フイルムカセッテやIPカセッテでは生じにくく、画像通信機能を備えたことにより、撮影室への運び込みや持ち出しが不要となった電子カセッテに特有な問題と言える。
上述のとおり、複数台の電子カセッテ21は、コンソール24などのコンピュータシステム上ではカセッテIDによって識別可能ではあるが、外観は同一あるいはほぼ同様であるため、撮影台に現在装着されている電子カセッテ21がどのカセッテIDのものであるかについて、技師が分からなくなってしまうという事態は容易に起こりうる。コンソール24で選択された電子カセッテ21のカセッテIDと、技師が被検者Hにポジショニングした電子カセッテ21のカセッテIDが一致しない状態で、X線が照射されて撮影が行われると、X線画像が取得できないという撮影ミスが生じる。撮影ミスは、被検者Hに対しては無駄な被曝を与えてしまう結果となる。
本発明は、画像通信機能を備えたことによる利便性を得た電子カセッテに新たに発生する上述した問題を解決するために非常に有効である。
また、上記例のように電子カセッテ21A、21Bが2台しか無い場合には、被検者Hに対してポジショニングされていない電子カセッテ21のラベル33の識別標識を確認することで、上記確認作業を行うこともできる。例えば電子カセッテ21Aが取り付けられた立位撮影台31よりも、電子カセッテ21Bが取り付けられた臥位撮影台32がコンソール24の近くにあり、コンソール24においては、立位撮影用の選択ボタン71が選択され、被検者Hは立位撮影台31に取り付けられた電子カセッテ21Aにポジショニングされているとする。
この場合、放射線技師は、コンソール24に表示される立位撮影用の選択ボタン71の識別標識と、近くにある臥位撮影台32内の電子カセッテ21Bのラベル33Bの識別標識とが一致していないことを確認すれば、コンソール24で選択されている電子カセッテ21Aと被検者Hがポジショニングされている電子カセッテ21Aが一致していることを確認することができる。電子カセッテ21Bが臥位撮影台32から取り外された状態で、コンソール24の近くにある場合も同様である。
ラベル33は電子カセッテ21の入射面、背面、及び側面の複数箇所に貼付されているので、各撮影台31、32に取り付けられた状態でも、撮影台31、32から取り外された状態でも、ラベル33の識別標識を確認しやすい。
また、選択ボタン71〜74には、電子カセッテ21の使用態様も表示されるので、図12に示す立位撮影と臥位撮影と、図13に示すように撮影台を使用しないフリー撮影の区別も簡単確実に行うことができる。図13に示すように、電子カセッテ21Bをフリー撮影で使用する場合には、電子カセッテ21Bのラベル33Bの識別標識(青色でカセッテ名が「B」)を確認し、フリー撮影用の選択ボタン73の識別標識が一致しているかを確認する。
また、撮影オーダで指定された術式で撮影できない場合もある。例えば撮影オーダにおいては術式として立位撮影が指定されているが、図14に示すように、立位姿勢を保つことが困難な被検者Hがストレッチャー86で撮影室に運ばれてきたような場合である。このような場合には、技師の判断により、例えば臥位撮影台32から電子カセッテ21Bが取り外され、電子カセッテ21Bがストレッチャー86と被検者Hの間に挿入されて撮影が行われる。
この場合、図15(A)に示すように、撮影オーダにおいて術式として立位撮影が指定されているので、コンソール24においては自動選択機能により立位撮影用の選択ボタン71が自動選択される。電子カセッテ21Bは臥位撮影台32から取り外されるので、使用態様はフリー撮影となる。放射線技師は、電子カセッテ21Bのラベル33Bの識別標識(青色でカセッテ名「A」)を確認し、フリー撮影用の選択ボタン73、74のうち、青色でカセッテ名「A」が表示されている選択ボタン74を選択する。
選択ボタン71〜74には、選択されているか否かに関わらず識別標識が常時表示されているので、本例のように被検者Hに対してポジショニングした電子カセッテ21のラベル33の識別標識を確認してから、選択ボタン71〜74の中から選択すべきボタンを探すことができる。
選択ボタン74が選択されると、図15(B)に示すように、選択ボタン74が選択された状態になる。放射線技師は、選択ボタン74の識別標識とラベル33Bの識別標識とが一致していることを再確認して撮影を行う。選択ボタン74が選択されたことにより術式が変更された旨の情報は、GUI制御部41aによって撮影オーダの履歴情報として記録される。
選択ボタン71〜74には、識別標識とともに使用態様が表示されているので、電子カセッテ21やその使用態様に変更が生じる場合でも、選択ミスが生じにくい。本発明は、多様な使われ方がされる電子カセッテ21に好適である。
また、ボタン登録情報78の変更機能は、図16に示すように複数の撮影室において複数台の電子カセッテ21A〜21Dを使い回すような場合に特に有効である。第1〜第3の3つの撮影室は隣接して配置されており、各撮影室には、被検者Hが入室する表の入口と、放射線技師が出入りする裏の入口が設けられており、裏の入口を出ると、放射線技師が各撮影室を行き来するための通路になっている。
通路上には電子カセッテ21A〜21Dを収容するラック88が配置されている。電子カセッテ21A〜21Dにはそれぞれ異なる識別標識が記録されたラベル33が貼付されている。各撮影室には、コンソール24、X線源13、立位撮影台31、臥位撮影台32が配備されており、電子カセッテ21A〜21Dは、必要に応じて各撮影室に持ち出されて使用される。
このような場合、コンソール24に、ボタン登録情報78の変更機能があれば、持ち出して使用する電子カセッテ21A〜21Dのラベル33の識別標識に応じて、ボタン登録情報78を変更することができる。例えば日によって持ち出す電子カセッテ21が違う場合には、その都度ボタン登録情報78を変更して、持ち出した電子カセッテ21の識別標識に、コンソール24の選択ボタン71〜74の識別標識を対応させるというように柔軟な運用が可能となる。
電子カセッテ21は高価であるため、撮影室や撮影台31、32と同じ台数だけ用意するのは医療施設にとって経済的な負担が大きい。撮影室や撮影台31、32の数に対して電子カセッテ21の台数が少ない場合でも、ボタン登録情報78の変更機能により、図16に示す運用方法が取れるので、医療施設に与える経済的なメリットが大きい。
上記実施形態のコンソール24の機能や操作画面の形態は1例であり種々の変更が可能である。例えば、コンソール24の機能としては、撮影オーダに応じた自動選択機能やボタン登録情報78の変更機能は無くてもよい。もちろん、それぞれの機能には上述した効果があるので設けられていることが好ましい。
また、選択ボタンの数や使用態様の割り当て方法は適宜変更することができる。例えば、立位撮影用や臥位撮影用の各選択ボタン71、72を、フリー撮影用の選択ボタン73、74と同様に、電子カセッテ21A、21Bの台数に応じてそれぞれ2つ設けてもよい。また、使用態様の割り当てをせずに、各選択ボタンにカセッテIDのみを割り当ててもよい。カセッテIDのみを割り当てる場合は、各選択ボタンはカセッテIDの数(電子カセッテ21の台数分)だけあれば足りる。
また、上記実施形態では、識別標識に色が含まれる例で説明したが、図17に示すラベル91A、91Bのように色の代わりに模様を用いてもよい。また、上記実施形態では、色の他に、カセッテ名を表す文字を例に説明したが、文字には記号や数字も含まれる。ラベル91A、91Bは、文字として、菱形、星形などの記号を記録した例である。選択ボタン71〜74には、こうした識別標識と同じ識別標識が表示される。
また、識別標識として、色と文字、模様と文字というように複数種類の識別標識を組み合わせた例を説明したが、識別標識は、色、文字、模様のうち少なくとも1種類が使用されていればよい。ただし、識別標識としては色が含まれていることが最も好ましい。色は、文字や模様と比べて、最も直感的に認識しやすい識別標識だからである。
上記実施形態では、選択ボタン71〜74に識別標識を常時表示し、識別標識の色を反転表示する方法で識別標識の表示形態を変化させることにより、選択ボタン71〜74が選択されているか否かを表示する例で説明したが、識別標識の位置、形状、大きさなどを変化させる方法により識別標識の表示形態を変化させて、選択ボタン71〜74が選択されているか否かを表示してもよい。
また、識別標識は常時表示されていなくてもよく、選択ボタン71〜74のうち1つが選択されたときに、選択された1つのボタンに識別標識が表示されればよい。もちろん、常時表示させると上述のメリットがあるので、常時表示させることが好ましい。なお、識別標識を常時表示しない場合には、操作画面内において、識別標識を表示する領域は選択ボタンでなくてもよい。例えば、選択ボタンとは別の場所に、複数色の識別標識を表示可能な領域を設け、いずれかの選択ボタンが選択されたときに、そのボタンに割り当てられた色の識別標識を表示する。
また、カセッテIDと識別標識の対応関係を表す識別標識情報79は、コンソール24のストレージデバイス43に格納されていなくてもよく、図18に示すように、コンソール24とネットワーク51を介して通信可能に接続されるサーバ52などの外部ストレージデバイス(外部格納手段)に格納してもよい。コンソール24は、操作画面を表示する際に、ネットワーク51を介してサーバ52にアクセスして、識別標識情報79を取得する。こうすれば、識別標識情報79を1箇所で管理することが可能となり、識別標識情報79に更新があった場合に各コンソール24に反映しやすい。
また、識別標識情報79をサーバ52に格納する場合には、複数のコンソール24や複数の撮影室で使用されるすべての電子カセッテ21のカセッテIDと識別標識の対応関係を識別標識情報79に記録しておいてもよい。この場合には、各コンソール24は識別標識情報79の中から必要な分だけ識別標識情報を読み出す。また、ボタン登録情報78をサーバ52に格納してもよい。ボタン登録情報78と識別標識情報79は、一方がストレージデバイス43で他方がサーバ52というように格納場所が異なっていてもよい。
また、図19に示すように、識別標識情報79を、各電子カセッテ21のメモリ28に記憶させてもよい。コンソール24は、各電子カセッテ21のメモリ28にアクセスして、識別標識情報79を取得する。この場合、各電子カセッテ21のメモリ28に記憶される識別標識情報79には、各電子カセッテ21の1つのカセッテIDと、そのカセッテIDに対応する識別標識の少なくとも1組の情報が含まれていればよい。
また、上記実施形態では、撮影制御装置23が、電子カセッテ21及びコンソール24から独立した装置の例で説明したが、撮影制御装置23は独立した装置である必要はなく、電子カセッテ21あるいはコンソール24に撮影制御装置23の機能を備えてもよい。
また、本発明は、X線に限らず、γ線等の他の放射線を使用する電子カセッテのバッテリの充電器にも適用することができる。本発明は、上記実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の構成を採り得ることはもちろんである。