以下本願発明について、(I)感光性樹脂組成物作製キット、(II)感光性樹脂組成物作製キットの使用方法の順に詳細に説明する。
(I)感光性樹脂組成物作製キット
本願発明の感光性樹脂組成物作製キットは、少なくともA剤およびB剤の少なくとも2剤以上含んでなる感光性樹脂組成物作製キットであって、当該A剤は(A)カルボキシル基を有する化合物、及び(C)オキシムエステル系光重合開始剤を含有し、A剤中の水分量が5000ppm以下であり、当該B剤は(B)カルボキシル基と反応する反応性基を有する化合物を含有していることを特徴とする感光性樹脂組成物作製キットであればよい。
なお、「感光性樹脂組成物作製キット」とは感光性樹脂組成物を作製するためのキットであって、当該キットに含まれる2剤以上の剤を混合することによって感光性樹脂組成物を作製することができるものを意味する。
ここで、一般的に、生産性が優れることから、光重合開始剤はA剤の成分として使用することが多いが、本発明に使用する(C)オキシムエステル系光重合開始剤をA剤の組成として使用した場合、保存安定性が大きく低下するため、一般的な組成では使用することが出来なかった。しかし、本願発明の感光性樹脂組成物作製キットは、(C)オキシムエステル系光重合開始剤を使用するにも関わらず、保存安定性が高く、さらには各種特性に優れる事を本発明者らは見出した。それは、(A)カルボキシル基を有する化合物と(C)オキシムエステル系光重合開始剤が共存した場合、カルボキシル基が存在する酸性雰囲気が触媒として作用し、オキシムエステルの加水分解が起こり、保存安定性が低下するが、水分量5000ppm以下に制御することにより加水分解を抑制することが出来たためと推測している。
また、(A)カルボキシル基を有する化合物と(B)カルボキシル基と反応する反応性基を有する化合物が共存した場合、カルボキシル基とカルボキシル基と反応する反応性基との反応が徐々に進行し、安定性が低下するため、(B)カルボキシル基と反応する反応性基を有する化合物を、上記(A)カルボキシル基を有する化合物を含有するA剤とは別のB剤に配合することで、さらに安定性は向上する。
なお、上述のごとく(A)カルボキシル基を有する化合物、及び(C)オキシムエステル系光重合開始剤を含有するA剤であって、水分量が5000ppm以下であるA剤と、(B)カルボキシル基と反応する反応性基を有する化合物を含有するB剤との2剤以上を調製しておき、A剤とB剤とを別個に保管することによって、感光性樹脂組成物作製キットとしての保存安定性を向上させることができる。つまり、感光性樹脂組成物を構成する、(A)カルボキシル基を有する化合物、(B)カルボキシル基と反応する反応性基を有する化合物、及び(C)オキシムエステル系光重合開始剤からなる化合物の安定的な保存方法を、本発明は提供することができるといえる。
以下本願発明について、感光性樹脂組成物について詳細に説明する。ここで、本願発明における(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートなども同様の意味である。
また、本明細書においては、(A)カルボキシル基を有する化合物を「(A)成分」、(B)カルボキシル基と反応する反応性基を有する化合物を「(B)成分」、(C)オキシムエステル系光重合開始剤を「(C)成分」、および(D)カルボキシル基を有さず感光性基を有する化合物を「(D)成分」と表記する場合がある。
<(A)カルボキシル基を有する化合物>
本願発明における(A)カルボキシル基を有する化合物とは、少なくとも分子内に少なくとも1つのカルボキシル基を有する化合物である。上記カルボキシル基は、二つのカルボキシル基が脱水したカルボン酸無水物であってもよい。
上記(A)成分は特に限定されないが、例えば、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系共重合体、カルボキシル基含有ビニル系共重合体、酸変性ポリウレタン、酸変性ポリエステル、酸変性ポリカーボネート、酸変性ポリアミド、酸変性ポリイミド等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。感光性樹脂組成物の現像性、得られる硬化膜の柔軟性、耐薬品性等の点で、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系共重合体、酸変性ポリウレタン、酸変性ポリアミド、酸変性ポリイミドが好ましい。
上記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系共重合体としては、具体的に、カルボキシル基及び共重合可能な二重結合を有する、(メタ)アクリル酸、プロピオル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、2−(メタ)アクリロイオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイオキシエチルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、アトロパ酸、けい皮酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−Y−リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ニシン酸、2,2,2−トリスアクリロイロキシメチルコハク酸、2−トリスアクリロイロキシメチルエチルフタル酸等の単独重合、又は共重合物、また、さらに、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ターシャリーブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド、アクリロニトリル及びビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン等共重合可能な二重結合を有する化合物を加えた共重合物がある。上記、単独重合、又は共重合は、例えば、ラジカル重合開始剤によりラジカルを発生させることにより進行させることができる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ系化合物、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過酸価水素等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
また、上記酸変性ポリイミドは、例えば、ジイソシアネート化合物とテトラカルボン酸二無水物との反応により得られる。テトラカルボン酸二無水物をジイソシアネート化合物の当量よりも過剰に加えることで、イミド結合を有し末端カルボン酸無水物の化合物が得られる。さらに、末端カルボン酸無水物の化合物に、水及び/又は1級アルコールを反応させることで末端カルボン酸化合物を得ることができる。なお、1級アルコールとしては特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等を好適に用いることができる。
上記ジイソシアネート化合物は、特に限定されないが、例えば、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−又は3,3’−又は4,2’−又は4,3’−又は5,2’−又は5,3’−又は6,2’−又は6,3’−ジメチルジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−又は3,3’−又は4,2’−又は4,3’−又は5,2’−又は5,3’−又は6,2’−又は6,3’−ジエチルジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3,2’−又は3,3’−又は4,2’−又は4,3’−又は5,2’−又は5,3’−又は6,2’−又は6,3’−ジメトキシジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−3,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−[2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン]ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート化合物、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物等が挙げられる。また、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応可能な官能基を二つ以上有する化合物との反応物であってもよく、例えば、ジオール化合物と反応し、ウレタン結合を有する末端イソシアネート基化合物であってもよい。これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
上記テトラカルボン酸二無水物は、特に限定されないが、芳香族であることが好ましく、さらには、無水カルボキシル基が芳香族に直接結合していることが好ましく、例えば、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4'−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記酸変性ポリアミドは、例えば、ジアミノ化合物とテトラカルボン酸二無水物との反応により得られ、アミド酸構造を有する化合物となる。
上記ジアミノ化合物は、特に限定されないが、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、(4−アミノフェノキシフェニル)(3−アミノフェノキシフェニル)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、(4−アミノフェノキシフェニル)(3−アミノフェノキシフェニル)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、(4−アミノフェノキシフェニル)(3−アミノフェノキシフェニル)フェニル]スルフィド、3,3’−ジアミノベンズアニリド、3,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、[4−(4−アミノフェノキシフェニル)][4−(3−アミノフェノキシフェニル)]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−[4−(4−アミノフェノキシフェニル)][4−(3−アミノフェノキシフェニル)]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−[4−(4−アミノフェノキシフェニル)][4−(3−アミノフェノキシフェニル)]エタン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−[4−(4−アミノフェノキシフェニル)][4−(3−アミノフェノキシフェニル)] プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−[4−(4−アミノフェノキシフェニル)][4−(3−アミノフェノキシフェニル)] −1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−P−アミノベンゾエート、ポリ(テトラメチレン/3−メチルテトラメチレンエーテル)グリコールビス(4−アミノベンゾエート)、トリメチレン−ビス(4−アミノベンゾエート)、p-フェニレン−ビス(4−アミノベンゾエート)、m−フェニレン−ビス(4−アミノベンゾエート)、ビスフェノールA−ビス(4−アミノベンゾエート)、2,4−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシビフェニル、[ビス(4-アミノ-2-カルボキシ)フェニル]メタン、[ビス(4-アミノ-3-カルボキシ)フェニル]メタン、[ビス(3-アミノ-4-カルボキシ)フェニル]メタン、 [ビス(3-アミノ-5-カルボキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−アミノ−3−カルボキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−アミノ−3−カルボキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4‘−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4‘−ジカルボキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジカルボキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジカルボキシジフェニルスルフォン、2,3−ジアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノフェノール等のジアミノフェノール類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’,5,5’−テトラヒドロキシビフェニル等のヒドロキシビフェニル化合物類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン等のジヒドロキシジフェニルメタン類、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル]プロパン等のビス[ヒドロキシフェニル]プロパン類、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン等のビス[ヒヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等のヒドロキシジフェニルエーテル類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン等のジヒドロキシジフェニルスルフォン類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジフェニルスルフィド類、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジフェニルスルホキシド類、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]プロパン等のビス[(ヒドロキシフェニル)フェニル]アルカン化合物類、4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドキシフェノキシ)ビフェニル等のビス(ヒドキシフェノキシ)ビフェニル化合物類、2,2−ビス[4−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルフォン等のビス[(ヒドロキシフェノキシ)フェニル]スルフォン化合物、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジハイドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジハイドロキシジフェニルメタン、2,2−ビス[3−アミノ−4−カルボキシフェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノ−3−ヒドキシフェノキシ)ビフェニル等のビス(ヒドキシフェノキシ)ビフェニル化合物類を用いることができる。これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記テトラカルボン酸二無水物は、酸変性ポリイミドの場合と同様の化合物を用いることができ、これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
また、(A)カルボキシル基を有する化合物は、感光性基を有していてもよい。特に限定はされないが、例えば、エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸とを反応させて得られるエステルに、飽和又は不飽和の多価カルボン酸無水物を付加して得られるエポキシアクリレートがある。上記飽和又は不飽和の多価塩基酸無水物としては、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸、トリメリット酸等の無水物が挙げられる。また、例えば、エチレン性不飽和基及び/又はカルボキシル基を有するジオール化合物と、ジイソシアネート化合物との重合物であるウレタンアクリレートがある。また、カルボキシル基及び共重合可能な二重結合を有する(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルエステル等で共重合物を得て、側鎖のカルボキシル基の一部をグリシジルメタクリレート等の(メタ)アクリル基とエポキシ基を有する化合物のエポキシ基と反応することで得られるアクリル化アクリレートがある。上記エポキシアクリレートは、例えば、日本化薬株式会社製のZFRシリーズ、ZARシリーズ、ZCRシリーズ、CCRシリーズ、PCRシリーズ等が挙げられ、ウレタンアクリレートは、例えば、日本化薬株式会社製のUXEシリーズ等が挙げられる。アクリル化アクリレートは、例えば、ダイセル・サイテック株式会社製のサイクロマーACAシリーズ等が挙げられる。
上記(A)カルボキシル基を有する化合物を得る際の反応は、無溶媒で反応させることもできるが、反応を制御する為には、有機溶媒系で反応させることが望ましく、例えば有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができる。さらに必要に応じて、これらの有機極性溶媒とキシレンあるいはトルエンなどの芳香族炭化水素とを組み合わせて用いることもできる。
更に、例えばメチルモノグライム(1,2-ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2-メトキシエテル)エーテル)、メチルトリグライム(1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン)、メチルテトラグライム(ビス[2-(2-メトキシエトキシエチル)]エーテル)、エチルモノグライム(1,2-ジエトキシエタン)、エチルジグライム(ビス(2-エトキシエチル)エーテル)、ブチルジグライム(ビス(2-ブトキシエチル)エーテル)等の対称グリコールジエーテル類、メチルアセテート、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、n―プロピルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名、カルビトールアセテート、酢酸2-(2-ブトキシエトキシ)エチル))、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、1,3―ブチレングリコールジアセテート等のアセテート類や、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、1,3―ジオキソラン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類の溶剤が挙げられる。
反応の際に用いられる溶剤量は、反応溶液中の溶質重量濃度すなわち溶液濃度が5重量%以上90重量%以下となるような量とすることが好ましく、20重量%以上70重量%以下とすることがより好ましい。溶液濃度が5%より少ない場合では重合反応が起こりにくく反応速度が低下すると共に、所望の構造物質が得られない場合があり、また、溶液濃度が90重量%より多い場合では反応溶液が高粘度となり反応が不均一となる場合がある。
また、(A)成分は、重量平均分子量は、ポリエチレングリコール換算で、1,000以上1,000,000以下の範囲であることが好ましく、2,000以上200,000以下の範囲であるとより好ましい。重量平均分子量が1,000以下の場合は、柔軟性や耐薬品性が低下する場合があるが、2,000以上の場合は、十分な柔軟性や耐薬品性が得られやすい。また、重量平均分子量が1,000,000以上の場合はアルカリ現像性が低下する場合や、感光性樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎて塗膜形成が困難になる場合があるが、200,000以下の場合は、十分なアルカリ現像性が得られやすく、また、感光性樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎず塗膜形成が容易になりやすい。
<(B)カルボキシル基と反応する反応性基を有する化合物>
本願発明で用いられる(B)カルボキシル基と反応する反応性基を有する化合物とは、分子内に少なくとも1つのカルボキシル基と反応する反応性基を有する化合物であれば特に限定されない。ここで、カルボキシル基と反応する反応性基は、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基等が挙げられ、モノマー、オリゴマー、ポリマーの何れを用いることができる。また、(B)カルボキシル基と反応する反応性基を有する化合物は、上記(A)カルボキシル基を有する化合物を含有するA剤とは別のB剤に配合されている。上記構成にすることで、(A)成分と(B)成分との長時間の接触による反応進行が抑制され、感光性樹脂組成物作製キットの保存安定性が向上する。
本願発明で用いられる(B)カルボキシル基と反応する反応性基を有する化合物が、(b1)エポキシ樹脂の場合、感光性樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化膜の耐熱性、電気絶縁信頼性が優れるため好ましい。前記エポキシ樹脂とは、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する樹脂であり、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER828、jER1001、jER1002、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−4100E、アデカレジンEP−4300E、日本化薬株式会社製の商品名RE−310S、RE−410S、DIC株式会社製の商品名エピクロン840S、エピクロン850S、エピクロン1050、エピクロン7050、東都化成株式会社製の商品名エポトートYD−115、エポトートYD−127、エポトートYD−128、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER806、jER807、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−4901E、アデカレジンEP−4930、アデカレジンEP−4950、日本化薬株式会社製の商品名RE−303S、RE−304S、RE−403S,RE−404S、DIC株式会社製の商品名エピクロン830、エピクロン835、東都化成株式会社製の商品名エポトートYDF−170、エポトートYDF−175S、エポトートYDF−2001、ビスフェノールS型エポキシ樹脂としては、DIC株式会社製の商品名エピクロンEXA−1514、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jERYX8000、jERYX8034,jERYL7170、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−4080E、DIC株式会社製の商品名エピクロンEXA−7015、東都化成株式会社製の商品名エポトートYD−3000、エポトートYD−4000D、ビフェニル型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jERYX4000、jERYL6121H、jERYL6640、jERYL6677、日本化薬株式会社製の商品名NC−3000、NC−3000H、フェノキシ型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER1256、jER4250、jER4275、ナフタレン型エポキシ樹脂としては、DIC株式会社製の商品名エピクロンHP−4032、エピクロンHP−4700、エピクロンHP−4200、日本化薬株式会社製の商品名NC−7000L、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER152、jER154、日本化薬株式会社製の商品名EPPN−201−L、DIC株式会社製の商品名エピクロンN−740、エピクロンN−770、東都化成株式会社製の商品名エポトートYDPN−638、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製の商品名EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、DIC株式会社製の商品名エピクロンN−660、エピクロンN−670、エピクロンN−680、エピクロンN−695、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製の商品名EPPN−501H、EPPN−501HY、EPPN−502H、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製の商品名XD−1000、DIC株式会社製の商品名エピクロンHP−7200、アミン型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER604、jER630、東都化成株式会社の商品名エポトートYH−434、エポトートYH−434L、三菱ガス化学株式会社製の商品名TETRAD−X、TETRAD−C、可とう性エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名jER871、jER872、jERYL7175、jERYL7217、DIC株式会社製の商品名エピクロンEXA−4850、ウレタン変性エポキシ樹脂としては、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEPU−6、アデカレジンEPU−73、アデカレジンEPU−78−11、ゴム変性エポキシ樹脂としては、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEPR−4023、アデカレジンEPR−4026、アデカレジンEPR−1309、キレート変性エポキシ樹脂としては、株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンEP−49−10、アデカレジンEP−49−20、複素環含有エポキシ樹脂としては、日産化学株式会社製の商品名TEPIC等が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
上記(B)カルボキシル基と反応する反応性基を有する化合物は、(A)カルボキシル基を有する化合物100重量部に対して、0.5〜200重量部となるように配合されていることが、感光性樹脂組成物を硬化させることにより得られる硬化膜の耐熱性、耐薬品性、電気絶縁信頼性を向上することができるので好ましい。
(B)カルボキシル基と反応する反応性基を有する化合物が上記範囲よりも少ない場合には、添加することによる効果が得られにくく、また、多すぎる場合には、感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、乾燥させることにより得られる塗膜のべたつきが大きくなるため生産性が低下し、また架橋密度が高くなりすぎることにより硬化膜が脆く割れやすくなる場合がある。
<(C)オキシムエステル系光重合開始剤>
本願発明における(C)オキシムエステル系光重合開始剤とは、分子内に少なくとも1つの下記一般式(1)
(式中、R1、R2はそれぞれ独立に、水素、アルキル基(水酸基で置換されていてもよく、アルキル鎖の中間に1個以上の酸素原子を有していてもよい)、シクロアルキル基、アルカノイル基、ベンゾイル基(アルキル基またはフェニル基で置換されていてもよい)、又はフェニル基(アルキル基、フェニル基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい)を示す。)
で示されるオキシムエステル構造を有し、UVなどのエネルギーによって活性化し、ラジカル重合性基の反応を開始・促進させる化合物である。また、上記(C)オキシムエステル系光重合開始剤は、上記(A)カルボキシル基を有する化合物を含有するA剤に配合されている。上記構成にすることで、(A)成分を得る際の反応に使用した有機溶媒を利用し、(C)成分を溶解、分散することが容易となるため、保存安定性に優れる。
上記(C)オキシムエステル系光重合開始剤は、特に限定されないが、例えば、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)] 、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシオム)、(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オンなどが挙げられる。上記(C)オキシムエステル系光重合開始剤を使用することで、少量で高感度な感光性樹脂組成物を得ることができる。
上記(C)オキシムエステル系光重合開始剤は、(A)カルボキシル基を有する化合物100重量部対して、0.01〜50重量部となるように配合されていることが好ましい。上記配合割合にすることで感光性樹脂組成物の感光性が向上するので好ましい。(C)成分が上記範囲よりも少ない場合には、光照射時のラジカル重合性基の反応が起こりにくく、硬化が不十分となる場合がある。また、(C)成分が上記範囲よりも多い場合には、光照射量の調整が難しくなり、過露光状態となる場合がある。そのため、光硬化反応を効率良く進めるためには上記範囲内に調整することが好ましい。
<(D)カルボキシル基を有さず感光性基を有する化合物>
本願発明における(D)カルボキシル基を有さず感光性基を有する化合物とは、実質的にカルボキシル基を有さず、ラジカル重合開始剤により重合反応が進行するラジカル重合性基を分子内に含有する化合物である。また、上記(D)カルボキシル基を有さず感光性基を有する化合物は、A剤及び/又はB剤に含有することが好ましい。
上記(D)カルボキシル基を有さず感光性基を有する化合物は、分子内に不飽和二重結合を少なくとも1つ有する樹脂であることが好ましい。さらには、上記不飽和二重結合は、(メタ)アクリロイル基、もしくはビニル基であることが好ましい。
かかる(D)カルボキシル基を有さず感光性基を有する化合物としては、例えばビスフェノールF EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールS EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールF EO変性(n=2〜50)ジメタクリレート、ビスフェノールA EO変性(n=2〜50)ジメタクリレート、ビスフェノールS EO変性(n=2〜50)ジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ラウリルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、イソステアリルアクリレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルアクリレート、ノニルフェノキシエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,6−メキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールメタクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、2,2−水添ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル]プロパン、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、エトキシ化トチメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トチメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸トリ(エタンアクリレート)、ペンタスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタスリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、イソシアヌル酸トリアリル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジメタクリレート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジアクリレート等が好ましいが、これらに限定されない。
特に、ジアクリレートあるいはジメタクリレートの一分子中に含まれるEO(エチレンオキサイド)の繰り返し単位が、2〜50の範囲のものが好ましく、さらに好ましくは2〜40である。EOの繰り返し単位が2〜50の範囲の物を使用することにより、感光性樹脂組成物のアルカリ水溶液に代表される水系現像液への溶解性が向上して現像時間が短縮され、感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜中に応力が残りにくく、例えばプリント配線板の中でも、ポリイミド樹脂を基材とするフレキシブルプリント配線板上に積層した際に、プリント配線板のカールを抑えることができるなどの特徴を有する。
上記(D)カルボキシル基を有さず感光性基を有する化合物は、(A)成分100重量部に対して、10〜200重量部となるように配合されていることが、感光性樹脂組成物の感光性が向上する点で好ましい。
(D)成分が上記範囲よりも少ない場合には、感光性樹脂組成物を光硬化した後の硬化被膜の耐アルカリ性が低下すると共に、露光・現像したときのコントラストが付きにくくなる場合がある。また、(D)成分が上記範囲よりも多い場合には、感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、溶媒を乾燥させることにより得られる塗膜のべたつきが大きくなるため生産性が低下し、また架橋密度が高くなりすぎることにより硬化膜が脆く割れやすくなる場合がある。そのため、上記範囲内にすることで露光・現像時の解像度を最適な範囲にすることが可能となる。
<水分量>
本願発明におけるA剤およびB剤の少なくとも2剤以上含んでなる感光性樹脂組成物作製キットは、当該A剤に(A)カルボキシル基を有する化合物、及び(C)オキシムエステル系光重合開始剤を含有し、A剤中の水分量が5000ppm以下である。より好ましくは、3000ppm以下であり、特に、1000ppm以下にすることが好ましい。水分量を5000ppm以下にすることで、(A)カルボキシル基を有する化合物が存在する酸性雰囲気下で起こる(C)オキシムエステル系光重合開始剤の加水分解が抑制され、長期保存安定性に優れる。
水分量を測定する方法は特に限定されないが、たとえば、カール・フィッシャー滴定法、常圧や減圧下での乾燥法、赤外線を利用した測定法等がある。
<その他の成分>
本願発明の感光性樹脂組成物には、さらに必要に応じて難燃剤を使用することができる。上記難燃剤としては、例えば、リン系難燃剤、含ハロゲン系化合物、金属水酸化物、メラミン系化合物等がある。中でも、環境負荷の観点や難燃効果の点でリン系難燃剤が好ましく、例えば、赤リン、縮合リン酸エステル系化合物、環状有機リン系化合物、ホスファゼン系化合物、リン含有(メタ)アクリレート系化合物、リン含有エポキシ系化合物、リン含有ポリオール系化合物、リン含有アミン系化合物、ポリリン酸アンモニウム、メラミンリン酸塩、ホスフィン酸塩等が挙げられる。特にホスフィン酸塩を用いることが、絶縁膜に対して優れた難燃性を付与できると共に、絶縁膜からの難燃剤のブリードアウトが少ないため、接点障害や工程汚染を抑制することができるため好ましい。上記難燃剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本願発明の感光性樹脂組成物には、さらに必要に応じて充填剤、接着助剤、消泡剤、レベリング剤、着色剤、重合禁止剤等の各種添加剤を加えることができる。上記各種添加剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用できる。また、それぞれの含有量は適宜選定することが望ましい。上記充填剤としては、シリカ、マイカ、タルク、硫酸バリウム、ワラストナイト、炭酸カルシウムなどの微細な無機充填剤、微細な有機ポリマー充填剤を含有させてもよい。また、上記消泡剤としては、例えば、シリコン系化合物、アクリル系化合物等を含有させることができる。また、上記レベリング剤としては、例えば、シリコン系化合物、アクリル系化合物等を含有させることができる。また、上記着色剤としては、例えば、フタロシアニン系化合物、アゾ系化合物、カーボンブラック、酸化チタン等を含有させることができる。また、上記接着助剤(密着性付与剤ともいう。)としては、シランカップリング剤、トリアゾール系化合物、テトラゾール系化合物、トリアジン系化合物等を含有させることができる。また、上記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等を含有させることができる。
<A剤、B剤の混合方法>
本願発明におけるA剤は、例えば上記(A)カルボキシル基を有する化合物、(C)オキシムエステル系光重合開始剤、必要に応じて(D)カルボキシル基を有さず感光性基を有する化合物、その他成分及び有機溶媒を粉砕および分散させて混合し、得られることができる。粉砕および分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えばビーズミル、ボールミル、3本ロール等の一般的な混練装置を用いて行われる方法が挙げられる。
A剤中に含まれる粒子の粒子径は、JIS K 5600−2−5で規定されたゲージを用いる方法で測定することができる。また粒度分布測定装置を使用すれば、平均粒子径、粒子径、粒度分布を測定することができる。
一方、本願発明におけるB剤は、上記(B)カルボキシル基と反応する反応性基を有する化合物、必要に応じて(D)カルボキシル基を有さず感光性基を有する化合物、その他成分及び有機溶媒を粉砕および分散させて混合し、得ることができる。粉砕および分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えばビーズミル、ボールミル、3本ロール等の一般的な混練装置を用いて行われる方法が挙げられる。B剤中に含まれる粒子の粒子径はJIS K 5600−2−5で規定されたゲージを用いる方法で測定することができる。また粒度分布測定装置を使用すれば、平均粒子径、粒子径、粒度分布を測定することができる。
(II)感光性樹脂組成物作製キットの使用方法
本願発明の感光性樹脂組成物作製キットは、少なくともA剤と、A剤とは別の組成物であるB剤とから構成されており、A剤とB剤を混合することにより得られる感光性樹脂組成物を直接用い、以下のようにして硬化膜又はレリーフパターンを形成することができる。また当該感光性樹脂組成物を有機溶媒で希釈した感光性樹脂組成物溶液を調製した後に、以下のようにして硬化膜又はレリーフパターンを形成することもできる。
先ず、A剤とB剤を混合することにより得られた上記感光性樹脂組成物、又は上記感光性樹脂組成物溶液を基板に塗布し、これを乾燥して有機溶媒を除去する。基板への塗布はスクリ−ン印刷、カーテンロール、リバースロール、スプレーコーティング、スピンナーを利用した回転塗布等により行うことができる。塗布膜(好ましくは厚み:5〜100μm、特に好ましくは厚み10〜100μm)の乾燥は120℃以下、好ましくは40〜100℃で行う。
次いで、乾燥後、乾燥塗布膜にネガ型のフォトマスクを置き、紫外線、可視光線、電子線などの活性光線を照射する。次いで、未露光部分をシャワー、パドル、浸漬または超音波等の各種方式を用い、現像液で洗い出すことによりレリーフパターンを得ることができる。なお、現像装置の噴霧圧力や流速、エッチング液の温度によりパターンが露出するまでの時間が異なる為、適宜最適な装置条件を見出すことが望ましい。
上記現像液としては、アルカリ水溶液を使用することが好ましく、この現像液には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、N−メチル−2−ピロリドン等の水溶性有機溶媒が含有されていてもよい。上記のアルカリ水溶液を与えるアルカリ性化合物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムイオンの、水酸化物または炭酸塩や炭酸水素塩、アミン化合物などが挙げられ、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリイソプロピルアミンなどを挙げることができ、水溶液が塩基性を呈するものであればこれ以外の化合物も当然使用することができる。本願発明における感光性樹脂組成物の現像工程に好適に用いることのできる、アルカリ性化合物の濃度は、0.01〜20重量%、特に好ましくは、0.02〜10重量%とすることが好ましい。また、現像液の温度は感光性樹脂組成物の組成や、アルカリ現像液の組成に依存しており、一般的には0℃以上80℃以下、より一般的には、10℃以上60℃以下で使用することが好ましい。
上記現像工程によって形成したレリーフパターンは、リンスして不用な残分を除去する。リンス液としては、水、酸性水溶液などが挙げられる。
次いで、上記得られたレリーフパターンの加熱処理を行う。加熱処理を行って、分子構造中に残存する反応性基を反応させることにより、耐熱性に富む硬化膜を得ることができる。硬化膜の厚みは、配線厚み等を考慮して決定されるが、2〜50μm程度であることが好ましい。このときの最終硬化温度は配線等の酸化を防ぎ、配線と基材との密着性を低下させないことを目的として低温で加熱して硬化できることが望まれている。
この時の硬化温度は100℃以上250℃以下であることが好ましく、更に好ましくは120℃以上200℃以下であり、特に好ましくは130℃以上180℃以下である。最終加熱温度が高くなると配線の酸化劣化が進むので望ましくない。
本願発明の感光性樹脂組成物から形成した硬化膜は、難燃性、耐熱性、耐薬品性、電気的及び機械的性質に優れており、また、柔軟性にも優れている。
また、例えば、感光性樹脂組成物から得られる絶縁膜は、好適には厚さ2〜50μm程度の膜厚で光硬化後少なくとも10μmまでの解像力、特に10〜1000μm程度の解像力のものである。このため感光性樹脂組成物から得られる絶縁膜は、高密度フレキシブル基板の絶縁材料として特に適しているのである。また更には、光硬化型の各種配線被覆保護剤、感光性の耐熱性接着剤、電線・ケーブル絶縁被膜、等に用いられる。
尚、本願発明は上記感光性樹脂組成物、又は、感光性樹脂組成物溶液を基材表面に塗布し乾燥して得られた樹脂フィルムを用いても同様の絶縁材料を提供することができる。
本発明にかかる感光性樹脂組成物作製キットにおける、A剤およびB剤の少なくとも2剤の混合することによって感光性樹脂組成物を調製することができる。そして当該感光性樹脂組成物を基材表面に塗布した後、当該混合物を乾燥することによって樹脂フィルムの作製することができる。さらに、当該樹脂フィルムに光を照射することによって、樹脂フィルムを硬化させ、絶縁膜を製造することができる。プリント配線板上に感光性樹脂組成物を塗布、乾燥、および光硬化させることによって、絶縁膜付きのプリント配線板を作製することができる。本発明は、このようにして得られた、感光性樹脂組成物、樹脂フィルム、絶縁膜、絶縁膜付きプリント配線板をも提供することができる。
以下本発明を実施例により具体的に説明するが本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(合成例1)
<(A)カルボキシル基を有する化合物の合成>
攪拌機、温度計、滴下漏斗、および窒素導入管を備えた反応容器に、重合用溶媒としてメチルトリグライム(=1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)100.0gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら80℃まで昇温した。これに、室温で予め混合しておいた、メタクリル酸14.0g、アクリル酸エチル38.0g、メタクリル酸メチル38.0g、スチレン10.0g、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.4gを80℃に保温した状態で3時間かけて滴下漏斗から滴下した。滴下終了後、反応溶液を攪拌しながら90℃まで昇温し、反応溶液の温度を90℃に保ちながら更に2時間攪拌し、本願発明のカルボキシル基を有する化合物溶液を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は50%、重量平均分子量は71,000、固形分の酸価は90mgKOH/gであった。尚、固形分濃度、重量平均分子量、酸価は下記の方法で測定した。
<固形分濃度>
JIS K 5601−1−2に従って測定を行った。尚、乾燥条件は170℃×1時間の条件を選択した。
<重量平均分子量>
重量平均分子量の測定は、下記条件で実施した。
使用装置:東ソーHLC−8220GPC相当品
カラム :東ソー TSK gel Super AWM−H(6.0mmI.D.×15cm)×2本
ガードカラム:東ソー TSK guard column Super AW−H
溶離液:30mM LiBr+20mM H3PO4 in DMF
流速:0.6mL/min
カラム温度:40℃
検出条件:RI:ポラリティ(+)、レスポンス(0.5sec)
試料濃度:約5mg/mL
標準品:PEG(ポリエチレングリコール)。
<酸価>
JIS K 5601−2−1に従って測定を行った。
(実施例1〜5)
(A)カルボキシル基を有する化合物、(B)カルボキシル基と反応する反応性基を有する化合物、(C)オキシムエステル系光重合開始剤、(D)カルボキシル基を有さず感光性基を有する化合物、その他の成分、及び有機溶媒である1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタンを添加してA剤、B剤からなる感光性樹脂組成物を作製した。それぞれの構成原料の樹脂固形分での配合量及び原料の種類を表1に記載する。この際、A剤、B剤のそれぞれは、3本ロールで2パスすることにより、混合、分散を行った。また、実施例1〜3は分散後、すぐに梱包したのに対し、実施例4では2日間、実施例5では4日間、25℃、50RHの環境下に放置してから梱包した。A剤とB剤の混合物を得るための混合比は表の配合通りの比率であり、例えば、実施例1では、A剤(樹脂固形分換算)91gとB剤(樹脂固形分換算)20gとを混合した。また、A剤の水分量測定は、カールフィッシャー水分計(三菱化学製CA−100、VA−100)を使用して測定した。
<1>カルボキシル基及び感光性基含有樹脂(日本化薬株式会社製酸変性エポキシアクリレートの製品名)
<2>カルボキシル基及び感光性基含有樹脂(日本化薬株式会社製酸変性エポキシアクリレートの製品名)
<3>BASFジャパン社製オキシムエステル系光重合開始剤の製品名
<4>日立化成工業社製ビスフェノールA型ジメタクリレートの商品名
<5>大塚化学株式会社製ホスファゼン化合物(リン系難燃剤)の製品名
<6>三菱化学製液状エポキシ樹脂の製品名。
<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>
上記、A剤、B剤からなる感光性樹脂組成物を混合し、ベーカー式アプリケーターを用いて、25μmのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製:商品名アピカル25NPI)に最終乾燥厚みが20μmになるように100mm×100mmの面積に流延・塗布し、80℃で20分乾燥した。必要に応じてネガ型フォトマスクを置いた後、300mJ/cm2の積算露光量の紫外線を照射して露光した。次いで、1.0重量%の炭酸ナトリウム水溶液を30℃に加熱した溶液を用いて、1.0kgf/mm2の吐出圧で60秒スプレー現像を行った。現像後、純水で十分洗浄した後、150℃のオーブン中で60分加熱硬化させてポリイミドフィルム上に感光性樹脂組成物の硬化膜を作製した。
<評価>
感光性樹脂組成物を用いて、上記方法により塗膜を作製し、以下の項目につき評価を行った。評価結果を表2に記載する。
(i)感光性の保存安定性
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で、25μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製:アピカル25NPI)表面に20μm厚みの感光性樹脂組成物の硬化膜積層フィルムを作製した。露光の際、21段ステップタブレットフォトマスク(Stouffer社製T2115)を用いた。この硬化膜のステップタブレット段数を基準値とした。
この21段ステップタブレットフォトマスクは、光透過率が0〜100%の範囲で段階的に異なる1段から21段の領域に分かれている。これを感光性樹脂組成物上にかぶせて露光を行い、どの段数まで硬化するかを調べることによって、感光性樹脂組成物の感光性を評価することができる。
本実施例においては、40℃で保管する前のA剤およびB剤を混合して得られた感光性樹脂組成物を評価して得られたステップタブレット段数を基準値とした。
さらに、混合前のA剤、B剤を40℃で保管し、各経過日数後に同様の評価を行った。その後、以下の基準に基づき判定を行った。
◎300日経過後、ステップタブレット段数が基準値に対し±1の範囲にある。
○50日経過後、ステップタブレット段数が基準値に対し±1の範囲にある。
△10日経過後、ステップタブレット段数が基準値に対し±1の範囲にある。
×10日経過後、ステップタブレット段数が基準値に対し±1の範囲にない。
(ii)難燃性
プラスチック材料の燃焼性試験規格UL94VTM法に従い、以下のように燃焼性試験を行った。上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で、25μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製:商品名アピカル12.5NPI)両面に20μm厚みの感光性樹脂組成物硬化膜積層フィルムを作製した。上記作製したサンプルを寸法:50mm幅×200mm長さ×75μm 厚み(ポリイミドフィルムの厚みを含む)に切り出し、125mmの部分に標線を入れ、直径約13mmの筒状に丸め、標線よりも上の重ね合わせ部分(75mmの箇所)、及び、上部に隙間がないようにPIテープを貼り、難燃性試験用の筒を20本用意した。そのうち10本は(1)23℃/50%相対湿度/48時間で処理し、残りの10本は(2)70℃で168時間処理後無水塩化カルシウム入りデシケーターで4時間以上冷却した。これらのサンプルの上部をクランプで止めて垂直に固定し、サンプル下部にバーナーの炎を3秒間近づけて着火する。3秒間経過したらバーナーの炎を遠ざけて、サンプルの炎や燃焼が何秒後に消えるか測定する。
○:各条件((1)、(2))につき、サンプルからバーナーの炎を遠ざけてから平均(10本の平均)で10秒以内、最高で10秒以内に炎や燃焼が停止し自己消火し、かつ、評線まで燃焼が達していないもの。
×:サンプルの1本でも、10秒以内に消火しないものや、炎が評線以上のところまで上昇して燃焼するもの。
(iii)半田耐熱性
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目と同様の方法で、75μm厚みのポリイミドフィルム(株式会社カネカ製アピカル75NPI)表面に20μm厚みの感光性樹脂組成物の硬化膜積層フィルムを作製した。
上記塗工膜を260℃で完全に溶解してある半田浴に感光性樹脂組成物の硬化膜が塗工してある面が接する様に浮かべて10秒後に引き上げた。その操作を3回行い、フィルム表面の状態を観察した。
○:塗膜に異常がない。
×:塗膜に膨れや剥がれなどの異常が発生する。
(iv)耐溶剤性
上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>の項目で得られた硬化膜の耐溶剤性の評価を行った。評価方法は25℃のメチルエチルケトン中に15分間浸漬した後風乾し、フィルム表面の状態を観察した。
○:塗膜に異常がない。
×:塗膜に膨れや剥がれなどの異常が発生する。
(v)電気絶縁信頼性
フレキシブル銅張積層版(電解銅箔の厚み12μm、ポリイミドフィルムは株式会社カネカ製アピカル25NPI、ポリイミド系接着剤で銅箔を接着している)上にライン幅/スペース幅=100μm/100μmの櫛形パターンを作製し、10容量%の硫酸水溶液中に1分間浸漬した後、純水で洗浄し銅箔の表面処理を行った。その後、上記<ポリイミドフィルム上への塗膜の作製>方法と同様の方法で櫛形パターン上に20μm厚みの感光性樹脂組成物の硬化膜を作製し試験片の調整を行った。85℃、85%RHの環境試験機中で試験片の両端子部分に100Vの直流電流を印加し、絶縁抵抗値の変化やマイグレーションの発生などを観察した。
○:試験開始後、1000時間で10の8乗以上の抵抗値を示し、マイグレーション、デンドライトなどの発生が無いもの。
×:試験開始後、1000時間でマイグレーション、デンドライトなどの発生があるもの。
(比較例1〜2)
実施例同様、A剤、B剤からなる感光性樹脂組成物を作製した。また、分散後、比較例1では6日間、比較例2では8日間、25℃、50RHの環境下に放置してから梱包した。それぞれの構成原料の樹脂固形分での配合量及び原料の種類を表1に記載する。得られた感光性樹脂組成物を用いて、実施例と同様の方法で評価を行った。評価結果を表2に記載する。
(比較例3)
攪拌機、温度計、滴下漏斗、および空気導入管を備えた反応容器に、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量217)217.0g、重合禁止剤としてハイドロキノン0.2g、触媒としてトリフェニルホスフィン1.0g、重合用溶媒としてカルビトールアセテート204.8gを仕込み、空気気流下で攪拌しながら80℃まで昇温した。次いで、アクリル酸72.0gを徐々に加えながら85〜105℃に保温した状態で、攪拌しながら16時間反応させた。更に、テトラヒドロフタル酸無水物91.2gを付加反応させて(A)カルボキシル基を有する化合物溶液を得た。得られた(A)カルボキシル基を有する化合物溶液の固形分濃度は65%、固形分の酸価は65mgKOH/gであった。尚、固形分濃度、酸価は合成例と同様の方法で測定した。
A剤は、上記で得られた(A)カルボキシル基を有する化合物溶液100.0g、(D)成分としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10.0g、消泡剤(共栄社化学株式会社製の製品名フローレンAC−300)1.0g、硫酸バリウム80.0g、及びフタロシアニングリーン0.5gを配合して調製された。またB剤は、(B)成分としてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製の製品名EOCN1020)20.0g、及びビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製の製品名jER828)10.0g、(C)成分として(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オン(BASFジャパン株式会社製、オキシムエステル系光重合開始剤の製品名CGI−325)5.0g、ジエチルチオキサントン(日本化薬株式会社製の製品名KAYACURE DETX−S)1.0g、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル(日本化薬株式会社製の製品名KAYACURE EPA)2.5gを配合して調製された。A剤およびB剤を混合し、感光性樹脂組成物を作製した。上記配合のA剤191.5gとB剤38.5gを混合し、得られた感光性樹脂組成物を用いて、実施例と同様の方法で評価を行った。評価結果を表2に記載する。