以下、本発明の燃料充填システムの一実施形態である車両用の燃料充填システムを、図1〜図6を参照して説明する。
この燃料充填システムは、車両に搭載された燃料タンクに液化石油ガス(LPG)燃料を充填するシステムであり、利用者が自動充填操作を行うと燃料の充填を開始し、燃料タンク内の燃料の液量(即ち、内容量)が、予め定められた供給速度減速量Lsに到達すると当該燃料タンクへの燃料の供給速度を徐々に遅くして、燃料タンクの最大充填量Lmに到達した時点で供給速度を0にする、即ち、燃料の供給を停止する。最大充填量Lmと供給速度減速量Lsは、燃料の種類、燃料タンクの構成、システムの構成等に応じて適宜設定される。本実施形態において、最大充填量Lmは、燃料タンク容積の85%に設定されている。また、供給速度減速量Lsは、最大充填量Lmの70%に設定されている。
燃料充填システム1は、図1に示すように、車両に搭載された燃料タンク10に配設された内容量計測装置としての液量計測装置20と、燃料供給装置50と、燃料供給制御装置60と、を有している。この車両には、図3に示すように、イグニッションスイッチSWがオン操作されたとき電源を供給し(即ち、オン状態になる)、オフ操作されたとき電源を切断する(即ち、オフ状態になる)主電源部PS1と、主電源部PS1から電気的に断絶(隔離)された、常時電力を供給する待機電源部PS2と、が設けられている。
燃料供給装置50と燃料供給制御装置60とは、共に充填ホース71が設けられた筐体70に収容されている。充填ホース71は、その内側に燃料供給管72が収容されており、その先端に充填ノズル73が設けられている。
燃料タンク10は、略箱形に形成されており、その側壁部10aには燃料を内部に充填するための充填口11が設けられている。この充填口11には、クイックカップリング12が設けられており、上記筐体70からのびる充填ホース71の先端に設けられた充填ノズル73を容易に取り付けたり取り外したりすることができる。燃料タンク10は略箱形に形成されているので、燃料タンク10内の液量は液面高さに比例する。勿論、燃料タンク10の形状は任意であり、その場合でも燃料タンク10内の液量と液面高さとは関係を有しているので、液面高さから燃料タンク10内の液量を求めることができる。
また、燃料タンク10には、燃料充填管13が設けられている。燃料充填管13は、その一端が充填口11内に配置され、その他端が燃料タンク10内に配置されている。また、燃料充填管13の他端には、上述した従来の燃料充填システムと同様の図示しない過充填防止装置が設けられており、この装置によって最大充填量Lmを超える燃料の充填を防止している。燃料充填管13の一端は、充填口11に充填ノズル73が取り付けられると、燃料供給管72と接続されて互いに連通される。
液量計測装置20は、燃料タンク10内の液面高さ、即ち、液量(内容量)を計測する液量計測部21と、液量計測部21によって計測された液量に応じた液量信号(内容量信号)を出力する液量信号送信部41と、液量計測部21が備える第2液量計測センサ32及び液量信号送信部41に供給される電力を制御する電源制御部81と、を有している。
液量計測部21は、図2に示すように、燃料の液面に浮かぶフロート22と、フロート22の位置に応じて回動する第1回動軸23と、この第1回動軸23の上端に中心が固定して取り付けられた円板状の駆動マグネット24と、駆動マグネット24との間に燃料タンク10の上壁部10bを挟んで互いに磁気結合するように対向して配置され、駆動マグネット24の回動に伴い回動される円板状の受動マグネット25と、受動マグネット25の中心が一端に固定して取り付けられた第2回動軸26と、受動マグネット25と平行に配置されるように中央部分が第2回動軸26の他端に固定して取り付けられた帯板状の支持部材27と、支持部材27の両端に固定して取り付けられた検知用マグネット28と、第2回動軸26と検知用マグネット28の周回軌道との間に配置された、当該検知用マグネット28の磁力を検知するホール素子からなる第1液量計測センサ31、第2液量計測センサ32と、を有している。
第1液量計測センサ31は、検知用マグネット28の回動位置により示される燃料の液量に比例して電圧が変化する信号を出力するように構成されている。第1液量計測センサ31は、車両に搭載された図示しないコンビネーションメータに設けられた燃料計Mに接続されており、燃料計Mは、第1液量計測センサ31によって出力された信号によって示される燃料の液量を表示する。図3に示すように、第1液量計測センサ31は、第1回路C1に含まれている。そして、第1液量計測センサ31は、主電源部PS1の正極に接続された第1回路C1の電源端子V1と、主電源部PS1の負極に接続された車体と共通のグランド端子FGとの間に接続され、主電源部PS1から供給される電力によって動作する。
本実施形態において、第1液量計測センサ31は、燃料タンク10内の液量が最大充填量Lmのときに主電源部PS1の正極と同レベルの電圧(例えば、12V)を出力し、そこから液量が少なくなるにしたがって出力する電圧が徐々に低くなり、そして、液量が0になると主電源部PS1の負極と同レベルの電圧(例えば、0V)を出力するように構成されている。
第2液量計測センサ32は、第1液量計測センサ31と同様に、検知用マグネット28の回動位置により示される燃料の液量に比例して電圧が変化する信号を出力するように構成されている。図3に示すように、第2液量計測センサ32は、第1液量計測センサ31を含む第1回路C1と電気的に断絶されている第2回路C2に含まれている。そして、第2液量計測センサ32は、後述する電源制御部81を介して待機電源部PS2の正極に接続された第2回路C2の電源配線V2aと待機電源部PS2の負極に接続されたグランド端子SGとの間に接続され、待機電源部PS2から供給される電力によって動作する。
本実施形態においては、燃料タンク10の満量に対する燃料タンク内の液量の割合をW1%としたとき、第2液量計測センサ32の出力信号が、[待機電源部PS2の正極電圧]×W1%の電圧となるように構成されている。つまり、第2液量計測センサ32は、燃料タンク10内の液量が最大充填量Lm(即ち、満量)のときに待機電源部PS2の正極と同レベルの電圧(以下、「正極電圧」という、例えば、12V)を出力し、そこから液量が少なくなるにしたがって出力する電圧が徐々に低くなりそして、液量が0になると待機電源部PS2の負極と同レベルの電圧(以下、「負極電圧」という、例えば、0V)を出力するように構成されている。
液量計測部21は、勿論、このような構成以外にも、燃料液面上に浮かぶフロートの位置に応じて抵抗体上を摺動する接点を有し、抵抗体の両端に印加した電圧を分圧した電圧を接点に出力するような構成のものなどを用いてもよい。
液量信号送信部41は、図3に示すように、パルス幅変調部42と、トランジスタ43と、電流制限抵抗器44と、発光手段としてのLED45と、を有している。液量信号送信部41は、第2液量計測センサ32とともに第2回路C2に含まれている。第2回路C2は、請求項中の内容量計測手段に相当する。
パルス幅変調部42は、入力された電圧に応じたデューティ比の一定周期パルス信号を出力するものであり、例えば、マイクロコンピュータやデジタルシグナルプロセッサなどで構成されている。ここで、パルス信号のデューティ比とは、その1周期とパルス幅(Hレベルの電圧を出力している時間)の比のことを指す。パルス幅変調部42は、電源配線V2aとグランド端子SGとの間に接続されており、待機電源部PS2から供給される電力によって動作する。パルス幅変調部42には、上述した第2液量計測センサ32からの信号が入力されるように接続されており、この第2液量計測センサ32からの信号(即ち、電圧)に応じたパルス幅の信号を出力する。なお、本明細書において、パルス信号とは、Hレベルの電圧とLレベルの電圧とを交互に繰り返す信号加えて、連続したHレベルの電圧及び連続したLレベルの電圧からなる信号を含むものとする。また、Hレベルの電圧とは、待機電源部PS2の正極電圧であり、Lレベルの電圧とは待機電源部PS2の負極電圧である。
本実施形態において、待機電源部PS2の正極電圧に対する第2液量計測センサ32の出力信号の電圧の割合をW2%としたとき、パルス幅変調部42が出力するパルス信号のデューティ比がW2%となるように構成されている。つまり、パルス幅変調部42は、第2液量計測センサ32の出力信号が待機電源部PS2の正極電圧(12V)だったとき、デューティ比が100%の信号(即ち、連続したHレベルの電圧からなる信号)を出力し、そこから電圧が低くなるにしたがって出力するデューティ比が徐々に低くなり、そして、待機電源部PS2の負極電圧(0V)になるとデューティ比0%の信号(即ち、連続したLレベル信号)を出力するように構成されている。このことから、パルス幅変調部42のパルス信号のデューティ比は、燃料タンク10の満量に対する燃料タンク10の液量の割合を示している。図4に、パルス幅変調部42への入力電圧と出力信号のデューティ比との関係の一例を模式的に示す。
トランジスタ43は、NPN型トランジスタであって、コレクタ端子Cが電流制限抵抗器44を介して電源端子V2に接続され、エミッタ端子Eがグランド端子SGに接続され、ベース端子Bが図示しない電流制限抵抗器を介して第2液量計測センサ32の出力端子に接続されている。トランジスタ43は、パルス幅変調部42の出力する信号に応じて、そのコレクタ端子C−エミッタ端子Eの間を遮断(OFF)又は通電(ON)する。具体的には、パルス幅変調部42の出力する信号がLレベルの電圧のときOFFし、Hレベルの電圧のときONする。
LED45は、電流が流れることにより発光する周知の電子部品であって、そのアノード端子Aがトランジスタ43のコレクタ端子Cに接続され、カソード端子Kがトランジスタ43のエミッタ端子Eに接続されている。つまり、LED45は、トランジスタ43のコレクタ端子C−エミッタ端子Eに並列に接続されている。
これにより、LED45のアノード端子A−カソード端子Kの間に電圧が印加された場合に、トランジスタ43がON状態であると、トランジスタ43のコレクタ端子C−エミッタ端子Eの間に電流が流れて、LED45のアノード端子A−カソード端子Kの間に電流が流れず、そのため、LED45は消灯し、一方、トランジスタ43がOFF状態であると、トランジスタ43のコレクタ端子C−エミッタ端子Eの間には電流が流れず、LED45のアノード端子A−カソード端子Kの間に電流が流れて、そのため、LED45は点灯する。
LED45は、燃料タンク10の液量に応じたデューティ比となる光信号である液量信号(即ち、内容量信号)を出力する。ここで、液量信号のデューティ比とは、その1周期とパルス幅(LED45が消灯している時間)の比のことを指す。
電源制御部81は、図3に示すように、開閉器としてのFET82と、フォトカプラ83と、マイクロコンピュータ(第1MPU)84と、抵抗器85と、を有している。電源制御部81は、第3回路C3に含まれている。
FET82は、PチャネルMOSFETであって、ソース端子Sが待機電源部PS2の正極に接続された第3回路C3の電源端子V2に接続され、ドレイン端子Dが第2回路C2の電源配線V2aに接続され、ゲート端子Gが、第1MPU84の出力ポートP11に図示しない低抵抗値(例えば、100Ω程度)の抵抗器を介して接続されている。また、抵抗器85が、ソース端子Sとゲート端子Gとの間を接続するように設けられている。この抵抗器85は、第1MPU84の出力ポートP11がLレベルの電圧になったときに、その両端の電位差が、ソース端子S−ドレイン端子Dの間を通電させる程度の電位差になるように抵抗値が設定されている。
FET82は、第1MPU84の出力ポートP11から出力される信号に応じて、そのソース端子S−ドレイン端子Dの間を遮断(OFF)又は通電(ON)する。具体的には、第1MPU84の出力ポートP11から出力される信号がHレベルの電圧のときOFFし、Lレベルの電圧のときONする。
フォトカプラ83は、光を利用して互いに断絶された回路間で信号を伝達する周知の電子部品である。フォトカプラ83は、第1回路C1の電源端子V1と第1MPU84の入力ポートP12との間に設けられ、電源端子V1の状態、即ち、主電源部PS1の電源供給状態に応じた信号を第1MPU84に入力する。具体的には、フォトカプラ83は、電源端子V1が、主電源部PS1の負極と同レベルの電圧、即ち、主電源部PS1がオフ状態)のとき、入力ポートP12にHレベルの電圧を入力し、主電源部PS1の正極と同レベルの電圧、即ち、主電源部PS1がオン状態のとき、入力ポートP12にLレベルの電圧を入力する。
第1MPU84は、周知の組込用マイクロコンピュータであって、電源端子V2とグランド端子SGとの間に接続されており、待機電源部PS2から供給される電力によって動作する。第1MPU84は、予め定められたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)、CPUのための処理プログラムや各種情報等を格納した読み出し専用のメモリであるROM、各種のデータを格納するとともにCPUの処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM等を有して構成されている。また、第1MPU84は、タイマなどからなる継続時間計時手段としての計時カウンタをさらに有している。
第1MPU84の出力ポートP11には、FET82のゲート端子Gが接続されており、第1MPU84のCPUは、当該出力ポートP11から出力する信号によってFET82の開閉制御を行う。また、第1MPU84の入力ポートP12には、フォトカプラ83の出力が接続されており、第1MPU84のCPUは、この入力ポートP12の入力に基づいて、主電源部PS1の状態を検出する。また、第1MPU84の入力ポートP13には、液量信号送信部41のパルス幅変調部42の出力が接続されており、第1MPU84のCPUは、この入力ポートP13の入力(即ち、パルス信号のデューティ比)に基づいて、燃料タンク10の液量を検出する。
次に、上述した第1MPU84のCPUが実行する本発明に係る処理(電源制御処理1)の一例を、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
第1MPU84は、待機電源部PS2から常時電力供給を受けて動作している。そして、第1MPU84のCPUは、一定周期(例えば、1分)などの所定のタイミングで、図5のフローチャートに示すステップS110に進む。
ステップS110では、CPUは、第1MPU84の計時カウンタをリセットして、継続時間Tkの計時を開始する。そして、ステップS120に進む。
ステップS120では、入力ポートP12の入力に基づいて、主電源部PS1がオフ状態であるか否かを判定する。具体的には、入力ポートP12にHレベルの電圧が入力されていたとき、CPUは、主電源部PS1がオフ状態であると判定してステップS130に進み(S120でY)、入力ポートP12にLレベルの電圧が入力されていたとき、主電源部PS1がオン状態であると判定してステップS150に進む(S120でN)。
ステップS130では、CPUは、継続時間Tkが所定の切断判定時間Ts(例えば、10分)を経過したか否かを判定して、経過していればステップS140に進み(S130でY)、経過していなければステップS120に戻る。
ステップS140では、CPUは、出力ポートP11にHレベルの電圧を出力して、FET82を開路する。これにより、FET82がOFFされて、第2回路C2(即ち、第2液量計測センサ32及び液量信号送信部41)への電力が切断される。そして、本フローチャートを終了する。
ステップS150では、CPUは、出力ポートP11にLレベルの電圧を出力して、FET82を閉路する。これにより、FET82がONされて、第2回路C2(即ち、第2液量計測センサ32及び液量信号送信部41)に電力が供給される。そして、本フローチャートを終了する。
上述したステップS120が、請求項中の主電源部状態検出手段に相当し、ステップS140、S150が、請求項中の開閉器制御手段に相当する。
上述した液量計測部21の第1液量計測センサ31及び第2液量計測センサ32、液量信号送信部41のパルス幅変調部42、トランジスタ43及び電流制限抵抗器44、並びに、電源制御部81のFET82、フォトカプラ83、第1MPU84及び抵抗器85は、燃料タンク10の上壁部10bの外面に取り付けられたケース20a内に収容されている。そして、液量信号送信部41のLED45は、燃料タンク10の充填口11に設けられたコネクタソケットハウジング46内に収容されており、トランジスタ43などとの間を配線47によって接続されている。
燃料供給装置50は、例えば、液体を吸い上げるポンプなどで構成され、地中に設けられた図示しない燃料貯蔵タンクから燃料を吸い上げるとともに燃料タンク10に供給する装置である。燃料供給装置50は、充填ホース71の燃料供給管72に接続されており、燃料貯蔵タンクから吸い上げた燃料を指定された供給速度で燃料供給管72に流し込む。燃料供給装置50は、後述する燃料供給制御装置60に電気的に接続されており、燃料供給制御装置60からの制御信号によって燃料の供給速度が制御される。
燃料供給制御装置60は、液量計測装置20からの液量信号を受信する液量信号受信部61と、液量信号受信部61で受信された液量信号に基づいて燃料供給装置50における燃料の供給速度を制御する供給速度制御部64と、を有している。この燃料供給制御装置60を含む回路C4の電源端子V3には、図示しない制御装置電源部の正極が接続され、そのアース(接地)されたグランド端子Gには、当該制御装置電源部の負極が接続されている。
液量信号受信部61は、受光手段としてのフォトトランジスタ62と、プルアップ抵抗器63と、を有している。
フォトトランジスタ62は、NPN型フォトトランジスタであって、コレクタ端子Cがプルアップ抵抗器63を介して電源端子V3に接続され、エミッタ端子Eがグランド端子Gに接続されている。フォトトランジスタ62は、その受光部62aへの光の照射の有無に応じて、そのコレクタ端子C−エミッタ端子E間を遮断(OFF)又は通電(ON)する。具体的には、受光部62aに光が照射されていないときOFFし、光が照射されているときONする。
フォトトランジスタ62の受光部62aには、上述したLED45が対向配置される。そのため、フォトトランジスタ62には、LED45によって出力された燃料タンク10の液量に応じたデューティ比となる光信号である液量信号が入力される。つまり、LED45とフォトトランジスタ62との間では、光信号によって情報の伝達が行われる。
上述した液量信号受信部61のプルアップ抵抗器63、及び、後述する供給速度制御部64の第2MPU65は、筐体70内に収容されている。そして、液量信号受信部61のフォトトランジスタ62は、充填ホース71の充填ノズル73に設けられたコネクタプラグハウジング66内に収容されており、第2MPU65などとの間を配線67によって接続されている。このコネクタプラグハウジング66は、燃料タンク10の充填口11に充填ホース71の充填ノズル73が取り付けられたときに、充填口11に設けられた上記コネクタソケットハウジング46と嵌合される。そして、コネクタプラグハウジング66とコネクタソケットハウジング46とが嵌合すると、フォトトランジスタ62の受光部62aとLED45の発光部45aとが、間隔をあけて対向配置される。
供給速度制御部64は、マイクロコンピュータ(第2MPU)65を有している。
第2MPU65は、周知の組込用マイクロコンピュータであって、電源端子V3とグランド端子Gとの間に接続されており、充填装置電源部から供給される電力によって動作する。第2MPU65は、予め定められたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置(CPU)、CPUのための処理プログラムや各種情報等を格納した読み出し専用のメモリであるROM、各種のデータを格納するとともにCPUの処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAM等を有して構成されている。
第2MPU65の入力ポートPIには、フォトトランジスタ62のコレクタ端子Cが接続されている。入力ポートPIには、フォトトランジスタ62の受光部62aに光が照射されていないとき、フォトトランジスタ62のコレクタ端子C−エミッタ端子E間が遮断されて、Hレベルの電圧(充填装置電源部の正極電圧(例えば、5V))が入力される。また、入力ポートPIには、フォトトランジスタ62の受光部62aに光が照射されているとき、フォトトランジスタ62のコレクタ端子C−エミッタ端子E間が導通して、Lレベルの電圧(充填装置電源部の負極電圧(例えば、0V))が入力される。
第2MPU65は、入力ポートPIに入力される電圧を一定周期のパルス信号とみなして監視する。そして、第2MPU65は、出力ポートPOに燃料供給装置50が接続されており、このパルス信号のデューティ比に応じた供給速度で燃料を供給するように燃料供給装置50を制御する。
本実施形態において、入力ポートPIに入力された信号のデューティ比をD[%]、最大供給速度Sm[L/s]、減速開始デューティ比をDk[%]、燃料タンクの最大充填量をLm[L]、供給速度減速量をLs[L]としたとき、第2MPU65は、以下の(1)、(2)式で算出される供給速度Sで燃料の供給を行うように、出力ポートPOに接続された燃料供給装置50に制御信号を送信する。
Dk=(Ls/Lm)×100
0%≦D≦Dk%のとき:
S=Sm ・・・ (1)
Dk%<D≦100%のとき:
S=Sm×(100−D)×(100/(100−Dk)) ・・・ (2)
次に、上述した液量計測装置20の本発明に係る電源制御処理1における動作(作用)について説明する。
主電源部PS1がオフ状態において、車両のイグニッションスイッチSWがオン操作されると、主電源部PS1がオン状態となり、電源制御部81はFET82を閉路して、第2回路C2に待機電源部PS2の電力を供給する(S110、S120でN、S150)。
そして、車両が停車などされて、イグニッションスイッチSWがオフ操作されると、主電源部PS1がオフ状態となるが、計時中の継続時間Tkが切断判定時間Ts(例えば、30分)を経過するまでは、FET82は閉路されたまま、第2回路C2への待機電源部PS2の電力供給が継続される(S120でY、S130でN)。
そして、上記継続時間Tkの計時が進み切断判定時間Tsを経過すると、FET82は開路され、第2回路C2への待機電源部PS2の電力供給が切断される(S130でY、S140)。
次に、上述した燃料充填システム1の燃料供給動作について説明する。
車両の燃料タンク10に燃料を給油するために、燃料タンク10の充填口11に充填ホース71の充填ノズル73が取り付けられると、LED45を収容したコネクタソケットハウジング46と、フォトトランジスタ62を収容したコネクタプラグハウジング66とが嵌合して、LED45とフォトトランジスタ62とが、互いに間隔をあけて対向配置される。
そして、燃料供給装置50によって燃料タンク10への燃料供給が開始されると、燃料タンク10の液面高さに応じて液量計測部21のフロート22が移動されて、それに伴って検知用マグネット28が回動移動されて、第2液量計測センサ32が検知用マグネット28の回動位置、即ち、液量に応じた電圧の信号をパルス幅変調部42に出力する。
パルス幅変調部42では、第2液量計測センサ32が出力した信号に基づいて、液量に応じたデューティ比となるパルス信号を生成してこのパルス信号によってトランジスタ43をON/OFF駆動して、LED45を点灯、消灯する。つまり、LED45は上記パルス信号のデューティ比で点灯、消灯される。そして、LED45の点灯、消灯に応じて、フォトトランジスタ62がON/OFF駆動される。つまり、LED45(液量信号送信部41)とフォトトランジスタ62(液量信号受信部61)との間は光信号によって情報伝達が行われる。
そして、フォトトランジスタ62がON/OFF駆動されると、第2MPU65の入力ポートPIに上記パルス信号と同一の信号が入力される。つまり、入力ポートPIに入力された信号におけるデューティ比は、燃料タンク10の液量の割合を示している。
そして、第2MPU65は、入力ポートPIに入力された信号のデューティ比に基づいて、上記(1)、(2)式より供給速度を算出して、当該供給速度で燃料の供給を行うための制御信号を出力ポートPOから燃料供給装置50に出力する。燃料供給装置50は、制御信号で示される供給速度で燃料の供給を行う。
一例として、最大供給速度Smを10[L/s]、燃料タンク10の最大充填量Lmを100[L]、供給速度減速量Lsを70[L]、待機電源部PS2の正極電圧を12V、待機電源部PS2の負極電圧を0V、とした場合について動作を説明する。この場合、減速開始デューティ比Dkは70[%]となる。
燃料タンク10の液量が満量時の0%のとき、第2液量計測センサ32は、待機電源部PS2の正極電圧の0%の電圧である0Vの出力信号を出力し、この出力信号に基づいて、パルス幅変調部42は、デューティ比が0%のパルス信号(即ち、連続して0Vとなる信号)を出力する。このパルス信号は、LED45からフォトトランジスタ62に伝達されて第2MPU65に入力される。第2MPU65は、入力された信号のデューティ比が0%であることを検出して、(1)式より、最大供給速度10L/sで燃料の供給を行う。
また、同様にして、燃料タンク10の液量が満量時の70%のとき、第2液量計測センサ32は、待機電源部PS2の正極電圧の70%の電圧である8.4Vの出力信号を出力し、この出力信号に基づいて、パルス幅変調部42は、デューティ比が70%のパルス信号を出力する。このパルス信号は、LED45(連続消灯)からフォトトランジスタ62に伝達されて第2MPU65に入力される。第2MPU65は、入力された信号のデューティ比が70%であることを検出して、(1)式より、最大供給速度10L/sで燃料の供給を行う。つまり、燃料タンク10の液量が満量時の0〜70%のとき、最大供給速度10L/sで燃料の供給を行う。
また、燃料タンク10の液量が満量時の71%のとき、第2液量計測センサ32は、待機電源部PS2の正極電圧の71%の電圧である8.52Vの出力信号を出力し、この出力信号に基づいて、パルス幅変調部42は、デューティ比が71%のパルス信号を出力する。このパルス信号は、LED45からフォトトランジスタ62に伝達されて第2MPU65に入力される。第2MPU65は、入力された信号のデューティ比が71%であることを検出して、(2)式より、供給速度9.67L/sで燃料の供給を行う。以降、液量が1%増える毎に供給速度が、0.33L/sずつ遅くなる。
また、燃料タンク10の液量が満量(100%)のとき、第2液量計測センサ32は、待機電源部PS2の正極電圧の100%の電圧である12Vの出力信号を出力し、この出力信号に基づいて、パルス幅変調部42は、デューティ比が100%のパルス信号(即ち、連続して12Vとなる信号)を出力する。このパルス信号は、LED45からフォトトランジスタ62に伝達されて第2MPU65に入力される。第2MPU65は、入力された信号のデューティ比が100%であることを検出して、(2)式より、供給速度が0L/sとなって、燃料の供給を停止する。なお、このとき、LED45は連続して消灯された状態となる。
上述のように、本実施形態の燃料充填システム1の液量計測装置20は、車両の待機電源部PS2から供給される電力により動作し、車両の燃料タンク10の液量を計測して当該液量を示す液量信号を車両の外部に送信する第2回路C2(詳しくは、第2液量計測センサ32及び液量信号送信部41)と、待機電源部PS2と第2回路C2との間に設けられ、閉路によりこれらを接続し、開路によりこれらを切断するFET82と、車両の主電源部PS1のオン状態及びオフ状態を検出する主電源部状態検出手段としての第1MPU84(CPU)と、第1MPUによって主電源部PS1のオフ状態が検出されている状態の継続時間Tkを計時する継続時間計時手段としての第1MPU84(計時カウンタ)と、第1MPU84によって主電源部PS1のオン状態が検出されたとき、FET82を閉路し、かつ、第1MPU84によって計時された継続時間Tkが所定の切断判定時間Tsを経過したとき、FET82を開路する開閉器制御手段としての第1MPU84(CPU)と、を有している。
また、燃料充填システム1が、上記液量計測装置20を有している。
以上より、本実施形態によれば、車両の主電源部PS1がオン状態のとき、待機電源部PS2と第2回路C2との間のFET82を閉路してこれらを接続し、かつ、主電源部PS1のオフ状態の継続時間Tkが所定の切断判定時間Tsを経過したとき、FET82を開路してこれらを切断するので、燃料供給時に主電源部PS1がオフ状態になっても、このオフ状態の継続時間Tkが所定の切断判定時間Tsを経過するまでは燃料タンク10の液量の計測が可能になるとともに、当該切断判定時間Tsを経過した後は待機電源部PS2からの電力供給を切断することができ、そのため、不要な電力消費を抑制できる。
また、燃料充填システム1が、上記液量計測装置20を有しているので、燃料供給時に主電源部PS1がオフ状態になっても、所定の切断判定時間Tsを経過するまでは燃料タンク10の液量の計測が可能になるとともに、当該切断判定時間Tsを経過した後は待機電源部PS2からの電力供給を切断することができ、そのため、不要な電力消費を抑制できる。
上述した実施形態において、電源制御部81の第1MPU84は、図5のフローチャートに示す電源制御処理1を実行するものであったが、この電源制御処理1に代えて、図6のフローチャートに示す電源制御処理2を実行するようにしてもよい。以下に、この電源制御処理2について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
第1MPU84は、待機電源部PS2から常時電力供給を受けて動作している。そして、第1MPU84のCPUは、一定周期(例えば、1分)などの所定のタイミングで、図6のフローチャートに示すステップT110に進む。
ステップT110では、CPUは、第1MPU84の計時カウンタをリセットして、継続時間Tk’の計時を開始する。そして、ステップT120に進む。
ステップT120では、入力ポートP12の入力に基づいて、主電源部PS1がオフ状態であるか否かを判定する。具体的には、入力ポートP12にHレベルの電圧が入力されていたとき、CPUは、主電源部PS1がオフ状態であると判定してステップT130に進み(T120でY)、入力ポートP12にLレベルの電圧が入力されていたとき、主電源部PS1がオン状態であると判定してステップT170に進む(T120でN)。
ステップT130では、入力ポートP13の入力に基づいて、燃料タンク10の液量を検出する。具体的には、CPUは、入力ポートP13に入力されているパルス信号のデューティ比を、燃料タンク10の満量に対する液量の割合(液量割合)として検出する。そして、検出した液量割合をRAMに記憶して、ステップT140に進む。
ステップT140では、燃料タンク10の液量が一定であるか否かを判定する。具体的には、CPUは、ステップT130で検出した液量割合と、RAMに記憶されているその直前に検出した液量割合と、を比較して、これらが一致していれば燃料タンクの液量が一定であるとしてステップT150に進み(T140でY)、これらが一致していなければ燃料タンクの液量が変動したものとして計時カウンタをリセットして再度計時を開始するためにステップT110に戻る(T140でN)。
ステップT150では、CPUは、継続時間Tk’が所定の切断判定時間Ts’(例えば、10分)を経過したか否かを判定して、経過していればステップT160に進み(T150でY)、経過していなければステップT120に戻る。
ステップT160では、CPUは、出力ポートP11にLレベルの電圧を出力して、FET82を開路する。これにより、FET82がOFFされて、第2回路C2(即ち、第2液量計測センサ32及び液量信号送信部41)への電力が切断される。そして、本フローチャートを終了する。
ステップT170では、CPUは、出力ポートP11にHレベルの電圧を出力して、FET82を閉路する。これにより、FET82がONされて、第2回路C2(即ち、第2液量計測センサ32及び液量信号送信部41)に電力が供給される。そして、本フローチャートを終了する。
上述したステップT120が、請求項中の主電源部状態検出手段に相当し、ステップT140が、請求項中の内容量状態検出手段に相当し、ステップT160、T170が、請求項中の開閉器制御手段に相当する。
この電源制御処理2における動作(作用)について説明する。
主電源部PS1がオフ状態において、車両のイグニッションスイッチSWがオン操作されると、主電源部PS1がオン状態となり、電源制御部81はFET82を閉路して、第2回路C2に待機電源部PS2の電力を供給する(T110、T120でN、T170)。
そして、車両が停車などされて、イグニッションスイッチSWがオフ操作されると、主電源部PS1がオフ状態となるが、オフ操作直後は計時中の継続時間Tk’が切断判定時間Ts’(例えば、10分)を経過していないので、FET82は閉路されたまま、第2回路C2への待機電源部PS2の電力供給が継続される(T120でY、T130、T140でY、T150でN)。
主電源部PS1がオフ状態において、上記継続時間Tk’が切断判定時間Ts’を経過するまでに燃料タンク10への燃料供給が行われないと、燃料タンク10内の液量は一定のままとなって(T140でY)、上記継続時間Tk’の計時が進み、切断判定時間Ts’を経過した時点でFET82は開路され、第2回路C2への待機電源部PS2の電力供給が切断される(T150でY、T160)。
または、主電源部PS1がオフ状態において、上記継続時間Tk’が切断判定時間Ts’を経過する前に燃料タンク10への燃料供給が行われると、燃料タンク10内の液量が変化して(T140でN)、これにより上記継続時間Tk’がリセットされて(T110)、第2回路C2への待機電源部PS2の電力供給が延長される。そのあと、燃料タンク10への燃料供給が終了し、主電源部PS1がオフ状態において燃料タンク10内の液量は一定のままとなると(T140でY)、上記継続時間Tk’の計時が進み、切断判定時間Ts’を経過した時点でFET82は開路され、第2回路C2への待機電源部PS2の電力供給が切断される(T150でY、T160)。
このように、図6のフローチャートに示される電源制御処理2を実行するように構成された本実施形態の燃料充填システム1の液量計測装置20は、車両の待機電源部PS2から供給される電力により動作し、車両の燃料タンク10の液量を計測して当該液量を示す液量信号を車両の外部に送信する第2回路C2(詳しくは、第2液量計測センサ32及び液量信号送信部41)と、待機電源部PS2と第2回路C2との間に設けられ、閉路によりこれらを接続し、開路によりこれらを切断するFET82と、車両の主電源部PS1のオン状態及びオフ状態を検出する主電源部状態検出手段としての第1MPU84(CPU)と、燃料タンク10液量が一定か否かを検出する内容量状態検出手段としての第1MPU84(CPU)と、第1MPU84によって主電源部PS1のオフ状態が検出されているとともに第1MPU84によって燃料タンク10の液量が一定であることが検出されている状態の継続時間Tk’を計時する継続時間計時手段としての第1MPU84(計時カウンタ)と、第1MPU84によって主電源部PS1のオン状態が検出されたとき、FET82を閉路し、かつ、第1MPU84よって計時された継続時間Tk’が所定の切断判定時間Ts’を経過したとき、FET82を開路する開閉器制御手段としての第1MPU84(CPU)と、を有している。
このように、車両の主電源部PS1がオン状態のとき、待機電源部PS2と第2回路C2との間のFET82を閉路してこれらを接続し、かつ、主電源部PS1がオフ状態であるとともに燃料タンク10の液量が一定である状態の継続時間Tk’が所定の切断判定時間Ts’を経過したとき、FET82を開路してこれらを切断するので、このオフ状態であるとともに液量が一定である状態の継続時間Tk’が所定の切断判定時間Ts’を経過するまでは燃料タンク10の液量の計測が可能になるとともに、当該切断判定時間Ts’を経過した後は待機電源部PS2からの電力供給を切断することができる。また、燃料供給時は上記継続時間Tk’の計時を行わず、燃料供給が終了した後に上記継続時間Tk’を計時するので、燃料供給にかかる時間を切断判定時間Ts’から除いて当該切断判定時間Ts’をより短く設定することができ、そのため、不要な電力消費をさらに抑制できる。
また、上述した実施形態では、液量信号をパルス信号として液量に応じてデューティ比を変化させることにより、燃料タンク10の液量について3つ以上の状態を伝達するものであったが、これに限定されるものではなく、液量信号を、LEDの点灯、消灯の2値とした簡易な構成として、燃料タンク10の液量について2つの状態(例えば、液量が供給速度減速量Lsを超えた状態、供給速度減速量Ls以下の状態)を伝達するようにしてもよい。
この場合、燃料充填システムは、利用者が自動充填操作を行うと燃料の充填を開始し、燃料タンク内の燃料の液量が、予め定められた供給速度減速量Lsに到達すると当該燃料タンクへの燃料の供給速度を徐々に遅くして、燃料タンクの最大充填量Lmに到達する前に供給速度を0にする、即ち、燃料の供給を停止する。その後は、利用者が手動充填操作により燃料を供給して最大充填量Lmまで充填を行う。
また、本実施形態では、パルス信号のデューティ比として、0%〜100%の範囲を用いるものであったが、これに限定されるものではない。例えば、パルス信号のデューティ比として、20%〜80%の範囲を用いて、このデューティ比の範囲を燃料タンク10の満量に対する燃料タンク内の液量の割合の範囲(満量時の0%〜100%)に割り当てて、デューティ比が20%〜70%(液量が満量時の0%〜83.5%)のときに、供給速度を最大供給速度Smとして燃料供給を行い、デューティ比が70%〜80%(液量が満量時の83.5%〜100%)のときに、デューティ比が1%増える毎に供給速度を最大供給速度Smから10%ずつ小さくした速度とするなど、してもよく、本発明の目的に反しない限り、パルス信号のデューティ比の範囲は任意である。
また、上述した実施形態では、液量計測装置20と燃料供給制御装置60との間で光信号を用いて情報を伝達するものであったが、これに限定されるものではなく、これら装置間を電気的に接続して、電気信号を用いて情報を伝達するようにしてもよい。
上述した各実施形態は、充填対象となる燃料を液化石油ガス(LPG)とする者であったが、これに限定されるものではなく、例えば、ジメチルエーテル(DME)、液体水素、液化メタンなどの液化ガス、常温常圧で液状となる燃料(灯油、ガソリン等)、又は、気体燃料など、本発明の目的に反しない限り、その種類は任意である。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。