JP6009001B2 - 容器の充填密封装置 - Google Patents

Description

本発明は、容器内への内容物の充填と容器の密封を行う容器の充填密封装置に関するものである。

容器に飲料などの液状の内容物を充填し密封する装置は、従来、金属材料から成る缶体などの容器をコンベヤにより移動しながら、フィラーにより内容物を充填した後、シーマーにより蓋（金属蓋）を巻締めて密封し、更にＸ線液量検査装置などにより所定の液面高さまで液状の内容物が充填されているかを検査する一連のラインを備えている。また、このような液量検査装置を備えるラインにおいて、検査結果に不良が出た場合に、どのフィラーバルブに充填の不良があるかを判別することができるものも提案されている（特許文献１参照）。

特開２００２−３６２５１９号公報

従来の充填密封装置において、液量検査装置の検査結果が不良となる原因がフィラーの充填バルブにある場合には、そのままフィラーの稼働を続けると不良品が続けて出ることになるので、不良の原因となるバルブを特定して、特定したバルブに対して速やかに調整を加えることが必要になる。しかしながら、従来の装置は、フィラーとシーマーとの間などに直線状の中間搬送経路を設けているので、フィラーの搬出位置から液量検査装置までに至る容器の搬送状況を正確に追跡するのが困難な問題がある。

これに対して、前述した従来技術では、フィラーから液量検査装置までの搬送経路に、容器の通過を認識するための検出器を複数設けて、各所に設けた検出器の信号をもとに各所での容器の搬送状況を把握することがなされている。この従来技術によると、フィラー内のどのバルブにおいて充填の不良が起きているかを判別するために、多くの検出器を設置する必要があり、多大な設備コストを要する問題があった。また、充填不良が起きているバルブの判別がなされたとしても、充填不良を解消するには、一旦、フィラーの稼働を止めてバルブ調整を行うことになり、生産性の低下が避けられない問題があった。

本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、容器内への飲料など内容物の充填と、容器の口部の密封を行う容器の充填密封装置において、多大な設備コストを要すること無く、フィラー内で充填不良が起きている充填装置を特定し、その充填装置に対して速やかに充填量の調整を行うことで生産性の低下を抑制すること、などが本発明の目的である。

このような目的を達成するために、本発明による容器の充填密封装置は、以下の構成を具備するものである。複数の保持部を有する充填ターレットと、該保持部毎に設けられ容器内に液状の内容物を充填する充填装置とを備えるフィラーと、前記充填ターレットから移送された容器を保持してターレット搬送する転送ターレットと、前記転送ターレットから移送された容器を蓋により密封する密封装置と、前記容器を保持してターレット搬送する間に設けられ、容器内の充填量を検査する検査装置と、前記検査装置の検査結果に基づいて、充填不良が起きた前記充填装置を特定して、当該充填装置の充填量を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記充填ターレットの設定位置と前記検査装置の検査位置との間に設定された固有の搬送ピッチ数を認識し、前記検査位置で検査結果を得た時点で、前記充填ターレットにおける前記設定位置から一定の前記搬送ピッチ数だけ進んだ位置の前記保持部を特定し、特定された前記保持部に設けた前記充填装置の充填量を制御することを特徴とする容器の充填密封装置。

このような特徴を有する本発明の容器の充填密封装置は、フィラーから検査装置までを、予め搬送ピッチ数が特定されているターレット搬送にすることで、検査結果で充填不良が検出された場合に、容器の搬送状況を逐次把握すること無く、フィラーにおけるどの充填装置に不良があるかを特定することができる。そして、制御部によって、特定された充填装置の充填量を制御するので、フィラーを稼働停止すること無く、速やかにその後の充填不良を解消することができる。

本発明の実施形態に係る容器の充填密封装置の全体構成を示した説明図である。 本発明の実施形態に係る容器の充填密封装置のシステム構成を示した説明図である。

以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図１及び図２において、本発明の実施形態に係る容器の充填密封装置１は、容器Ｗ内に液状の内容物を充填する充填装置２１を備えるフィラー２と、容器Ｗを蓋により密封する密封装置３と、容器Ｗ内の充填量を検査する検査装置５０と、充填装置２１の充填量を制御する制御部６を備える。

ここで対象とする容器Ｗは、金属材料から成る缶体を対象とし、密封装置３として、缶体の開口端部に形成したフランジ部に、蓋（金属蓋）をロール加工による二重巻き締めにより装着するシーマーを例にして説明するが、容器Ｗの形態及び密封装置３の形態は、特にこれらに限定されるものではない。なお、図に示した容器Ｗは、Ｗ１が空缶、Ｗ２が飲料などの液状の内容物を充填中又は充填済みの缶体、Ｗ３が蓋を二重巻き締めした缶体を示している。

フィラー２は、充填ターレット２０を備え、充填ターレット２０の回転によって缶体Ｗを搬送しながら、缶体Ｗ内に液状の内容物を充填する。充填ターレット２０は、その円形外周部に複数の缶体Ｗを保持する保持部（ポケット）２Ｐを備え、保持部２Ｐは、円形搬送経路Ｌ１上に設定された搬送ピッチで並べて配置される。

各保持部２Ｐの上には、その保持部２Ｐと同期して移動する充填装置２１が配置される。充填装置２１は、充填ノズル２１Ａ、充填バルブ２１Ｂ、流量計２１Ｃなどを備え、充填タンク２Ａから充填流路２Ｂを介して液状の内容物を、充填ターレット２０の搬入位置２０Ａと搬出位置２０Ｂの間で缶体Ｗ内に充填する。

缶体Ｗ（空缶Ｗ１）は、缶体Ｗに洗浄処理を施すリンサーから適宜の搬入経路Ｌ_inを経てフィラー２に供給される。その際には、図示したように、充填ターレット２０の保持部２Ｐに缶体Ｗを受け渡す搬入ターレット２２を設けても良いし、搬入ターレット２２に対して缶体Ｗの洗浄処理を行うリンサーターレット（図示省略）を追加しても良い。

密封装置（シーマー）３は、蓋（金属蓋）が載せられた缶体Ｗが、搬入位置３Ａから搬出位置３Ｂまで円形搬送経路Ｌ２に沿って搬送される間に、缶体Ｗのフランジ部と蓋のカール部にロール加工による二重巻き締めを施し、缶体Ｗを密封する。この密封装置３の円形搬送経路Ｌ２においても、所定の搬送ピッチが適宜設定されている。

フィラー２と密封装置３との間には、充填ターレット２０から移送された缶体Ｗを保持してターレット搬送する二つの転送ターレット４Ａ，４Ｂが設けられる。充填ターレット２０から転送ターレット４Ａ，４Ｂに移送した缶体Ｗは、所定の搬送ピッチ毎に設けられた保持部（ポケット）４Ｐに保持される。この転送ターレット４は、充填ターレット２０の搬出位置２０Ｂと密封装置３への搬入位置３Ａとの間に設けられ、内容物が充填された缶体Ｗを円形搬送経路Ｌ３（Ｌ３Ａ，Ｌ３Ｂ）に沿ってターレット搬送する。

図示の例では、転送ターレット４Ｂの円形搬送経路Ｌ３Ｂ上に、蓋供給部４０が設けられる。蓋供給部４０は、蓋供給装置を円形搬送経路Ｌ３Ｂ上に直接設けたものであってもよいし、円形搬送経路Ｌ３Ｂ上の蓋供給部４０に蓋供給ターレットを追加したものであってもよい。また、図示の例では、転送ターレット４の円形搬送経路Ｌ３Ｂ上に、缶体Ｗ内に液体窒素を充填する液体窒素充填部４１が設けられる。
尚、図示しないが、前述した転送ターレット４は一つでも良く、転送ターレット４が一つの場合は、その円形搬送経路Ｌ３上に前述した蓋供給部４０、液体窒素充填部４１が設けられる。

検査装置５０は、密封装置３から移送された缶体Ｗを保持してターレット搬送する間に設けられ、缶体Ｗ内に充填された液状の内容物の充填量を検査する。図示の例では、密封装置３から搬出された缶体Ｗは、排出ターレット３０に保持され、次に検査ターレット５に保持されて、適宜の搬出経路Ｌ_outを経て機外に搬出される。そして、検査装置５０は、検査ターレット５の搬送経路上にある検査位置に配置されている。検査装置５０としては、缶体Ｗと内容物の重量を検出して検査結果として出力するもの、或いは、缶体Ｗ内の液面高さを検出して検査結果として出力するものなどを採用することができる。

また、検査装置５０は、前述した転送ターレット４の円形搬送経路上に配置しても良く、転送ターレット４が二つの場合は転送ターレット４Ａ，４Ｂの何れか一方の円形搬送経路上に配置される。

さらに、充填量を重量にて検査する場合は、缶体Ｗ内に充填された液状の内容物の充填量の検査精度を向上させるため、フィラー２の充填ターレット２０に缶体Ｗ１（空缶）を受け渡す前に、例えば、搬入ターレット２２上にて缶体Ｗ１の重量（Ｖ１）を測定し、前述した転送ターレット４の円形搬送路上の検査装置５０で充填後の缶体Ｗ２の重量（Ｖ２）を測定し、Ｖ２−Ｖ１の差から正味充填量（内容物の重量）を求めて検査結果として出力しても良い。

制御部６は、検査装置５０の検査結果に基づいて、充填不良が起きた充填装置２１を特定して、その充填装置２１の充填量を制御する。制御部６は、充填ターレット２０の設定位置（例えば、搬出位置２０Ｂ）と、検査装置５０の検査位置との間に設定された固有の搬送ピッチ数を予め認識している。充填密封装置１は、フィラー２から検査装置５０に至る搬送経路が、全て搬送ピッチが特定されたターレット搬送になっている。これによって、充填ターレット２０の設定位置（搬出位置２０Ｂ）と検査装置５０の検査位置との間は、設定された固有の搬送ピッチ数になっている。

制御部６は、この固有の搬送ピッチ数を認識していることで、缶体Ｗの搬送過程を逐次把握すること無く、低コストで充填不良を起こしている充填装置２１を特定することができる。すなわち、検査装置５０によって検査された缶体Ｗに充填不良が見つかった場合、検査位置でその検査結果を得た時点で、充填ターレット２０における設定位置（搬出位置２０Ｂ）から一定の搬送ピッチ数だけ進んだ位置の保持部２Ｐを特定すれば、その保持部２Ｐに対応する充填装置２１にて充填不良が起きていることが判る。

制御部６は、充填不良が起きている充填装置２１を特定すると、その充填装置２１の充填量を適正な値に制御する。この制御例の一例を示す。
充填装置２１では、流量計２１Ｃで充填流路２Ｂを流れる液状の内容物の流量を計測し、缶体Ｗ１に充填された全体量を積算する。流量積算値がある所定の値になった瞬間に、制御部６は充填バルブ２１Ｂのバルブ閉指令を送信する。充填バルブ２１Ｂではバルブ閉指令を受信した後、実際上避けられない動作遅れ時間を経過した後にバルブが閉じられ、缶体Ｗ１に対する充填が完了する。つまりバルブ閉指令を送信する所定の流量積算値は、缶体Ｗ１に充填したい目標とする充填量よりも小さく設定する。充填不良が起きた場合には、このバルブ閉指令を出す所定の流量積算値を調整することで、適正な充填量への修正を速やかに行うことができる。

次に、流量計２１Ｃを用いずに充填を行う場合の他の制御例を示す。充填装置２１では、缶体Ｗ１に充填される量を一定にするために充填バルブ２１Ｂの開時間を、予め経験によって求められたある一定の値に設定する。即ち制御部６がバルブ開指令を送信すると、充填バルブ２１Ｂが開き充填を開始する。そして所定の時間が経過した後に、バルブ閉指令が送信され充填バルブ２１Ｂが閉じられる。通常はこの方法によって、常に一定の量が容器に充填される。しかしながら、充填タンク２１Ａ内の液面高さやタンク内の圧力が変動したとき、若しくは充填バルブ２１Ｂの動作応答時間が変化したときなどは、充填される量が変わり、充填不良が生じる。このような充填不良が起きた場合には、充填バルブの開時間を適切な値に調整することで、適正な充填量への修正を速やかに行うことができる。

さらに他の制御例としては、充填装置２１において、缶体Ｗ１に充填する量を充填バルブ２１Ｂの充填時間（バルブ開時間）で制御し、一方、フィラー２に供給する缶体Ｗ１の重量（Ｖ１）を充填前に測定するとともに、転送ターレット４の円形搬送路上の検査装置５０で充填後の缶体Ｗ２の重量（Ｖ２）を測定し、Ｖ２−Ｖ１の差から実充填量を求める。次いで、この実充填量と充填時間から充填装置２１の単位時間当たりの流量（ｍｌ／ｓｅｃ）を求め、実充填量と予め設定した目標充填量の差に補正が必要な場合は、制御部６がこの差の値から補正充填時間を演算して充填時間にフィードバックし、充填装置２１の充填量を適正な値に制御することにより、適正な充填量への修正を速やかに行うことができる。本制御例によれば、前述した流量計が不要となり、充填装置２１の部品数を減らして簡便な構成とすることができる。
なお、充填不良が起きたときに充填量を適正な値に制御する方法としては、前述した制御例に限られるものではなく、既に知られている任意の手段によって行うことができる。

以上説明したように、本実施形態の充填密封装置１は、フィラー２から検査装置５０までを、予め搬送ピッチ数が特定されているターレット搬送を行うことで、検査結果で充填不良が検出された場合に、フィラー２における充填装置２１の不良を容易に特定することができる。そして、制御部６によって、特定された充填装置２１の充填量を制御するので、フィラー２を稼働停止すること無く、速やかにその後の充填不良を解消することができる。

また、充填密封装置１は、フィラー２と密封装置３との間を転送ターレット４Ａ，４Ｂで連結することで、転送ターレット４Ａ，４Ｂを介してフィラー２と密封装置３を一体化したコンパクトな配置が可能になる。これによって、フィラー２と密封装置３と転送ターレット４Ａ，４Ｂを、共通フレーム１０上に載せて設置することができる。共通フレーム１０で充填密封装置１を製作した場合には、設置状態での組立配線工事や試運転調整を事前に済ませることができるので、設置工事期間の短縮化が可能になる。

そして、フィラー２から検査装置５０に至る缶体Ｗの搬送を、全ての搬送ピッチが正確に定められたターレット搬送によって行うことで、直線搬送時に用いるチェーンの伸びによる経時変化の影響が無くなり、フィラー２から転送ターレット４への移送、転送ターレット４から密封装置３への移送の際の位置調整及びタイミング調整を省くことができる。

以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。

１：充填密封装置，
２：フィラー，２０：充填ターレット，
２０Ａ：搬入位置，２０Ｂ：搬出位置（設定位置），
２１：充填装置，２１Ａ：充填ノズル，２１Ｂ：充填バルブ，２１Ｃ：流量計，２Ａ：充填タンク，２Ｂ：充填流路，２２：搬入ターレット，
３：密封装置（シーマー），３Ａ：搬入位置，３Ｂ：搬出位置，
３０：排出ターレット，
４：転送ターレット，４０：蓋供給部，４１：液体窒素充填部，
５：検査ターレット，５０：検査装置，６：制御部，１０：共通フレーム，
Ｗ：容器（缶体），Ｌ１，Ｌ２，Ｌ３（Ｌ３Ａ，Ｌ３Ｂ）：円形搬送経路，
Ｌ_in：搬入経路，Ｌ_out：搬出経路，
２Ｐ，４Ｐ：保持部（ポケット）

Claims (7)

1. 複数の保持部を有する充填ターレットと、該保持部毎に設けられ容器内に液状の内容物を充填する充填装置とを備えるフィラーと、
   前記充填ターレットから移送された容器を保持してターレット搬送する転送ターレットと、
   前記転送ターレットから移送された容器を蓋により密封する密封装置と、
   前記容器を保持してターレット搬送する間に設けられ、容器内の充填量を検査する検査装置と、
   前記検査装置の検査結果に基づいて、充填不良が起きた前記充填装置を特定して、当該充填装置の充填量を制御する制御部を備え、
   前記制御部は、前記充填ターレットの設定位置と前記検査装置の検査位置との間に設定された固有の搬送ピッチ数を認識し、前記検査位置で検査結果を得た時点で、前記充填ターレットにおける前記設定位置から一定の前記搬送ピッチ数だけ進んだ位置の前記保持部を特定し、特定された前記保持部に設けた前記充填装置の充填量を制御することを特徴とする容器の充填密封装置。
2. 前記検査装置が、密封装置から移送された容器を保持してターレット搬送する検査ターレットに設けられていることを特徴とする請求項１に記載された容器の充填密封装置。
3. 前記検査装置が、充填ターレットから移送された容器を保持してターレット搬送する転送ターレットに設けられていることを特徴とする請求項１に記載された容器の充填密封装置。
4. 前記制御部は、前記充填装置のバルブ開時間を調整することで充填量を制御することを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載された容器の充填密封装置。
5. 前記制御部は、実充填量と予め設定した目標充填量の差の値から補正充填時間を演算して充填時間にフィードバックすることで充填量を制御することを特徴とする請求項１〜３のいずれか１項に記載された容器の充填密封装置。
6. 前記検査装置の検査結果は、容器と内容物の重量、内容物の重量又は容器内の液面高さの検査に基づいて出力されることを特徴とする請求項１〜５のいずれか１項に記載された容器の充填密封装置。
7. 前記密封装置は、容器である缶体のフランジ部に、蓋をロール加工による二重巻き締めにより装着するシーマーであることを特徴とする請求項１〜６のいずれか１項に記載された容器の充填密封装置。

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