JP2018079941A - 飲料充填装置およびその運転方法 - Google Patents

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和正 峰松
Kazumasa Minematsu
和正 峰松
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Abstract

【課題】生産ラインに異常が生じることで容器が搬送路上に待機したヘッドスペースに効率的に所定ガスを供給できる飲料充填装置を提供すること。【解決手段】本発明の飲料充填装置は、充填部2と、巻締部5と、充填部2と巻締部5との間に設けられる搬送部10と、を備える。搬送部10は、製品液が充填された複数の缶容器100を連続的に搬送する移送コンベア20と、移送コンベア20上の缶容器100のヘッドスペース101に向けて二酸化炭素を供給する複数のガス供給ノズル31と、を備える。複数のガス供給ノズル31は、缶容器100の搬送方向に沿って配列され、かつ、非常停止の要因が生じた後に、缶容器100とガス供給ノズル31とがそれぞれに対応する定位置に位置決めされてから、二酸化炭素を供給する。【選択図】図3

Description

本発明は、ビール、お茶などの製品液が充填された容器のヘッドスペースに、製品液の品質を低下させるガス、典型的には酸素が侵入して滞留するのを防止できる飲料充填装置に関する。
缶容器に炭酸飲料、例えばビールを充填して缶ビールを生産するには、充填機(フィラ;filler)において缶に必要な量のビールを充填した後に、巻締機(シーマ;seamer)に搬送されて缶の開口に缶蓋が巻き締められる。炭酸飲料は、飲料自体を含めた缶に含まれる酸素の合計量が、その品質にとって重要な要素となる。ここで、酸素の合計量(TO)は、缶の内部のヘッドスペースに含まれる酸素(HSO)と製品液に含まれる酸素(DO)の合計量として定義される。つまり、TO=HSO+DOである。
缶ビールは、充填機でビールが充填された缶のヘッドスペースに二酸化炭素(CO)が充填されており、巻締機に搬送され蓋が巻き締められるまでの間は、ヘッドスペースにおけるHSOは低い値に維持される。
ところが、充填機及び巻締機を含む缶飲料の生産ラインに異常が生じてラインが停止すると、ヘッドスペースが開放された缶が充填機と巻締機の間の搬送路上で待機する。待機の時間が長くなると、ヘッドスペースの二酸化炭素と空気との置換が進み、HSOが高くなる。
一方で、特許文献1〜特許文献4に記載されるように、容器のヘッドスペースにNや二酸化炭素などの不活性ガスを供給することで、ヘッドスペース内の空気を窒素や二酸化炭素などの不活性ガスで置換することが行われている。
特開2004−161350号公報 特開2005−41573号公報 特開2005−313976号公報 特開2007−69990号公報
ところが、ヘッドスペースを不活性ガスで置換するにしても、生産コストを抑えるために供給する不活性ガスの量を少なくすることが望まれる。そこで本発明は、生産ラインに異常が生じることで容器が搬送路上に待機したヘッドスペースに効率的に所定のガスを供給できる飲料充填装置を提供することを目的とする。
本発明の飲料充填装置は、ヘッドスペースを除いて容器に製品液を充填する充填部と、充填部で製品液が充填された容器に蓋をする蓋取付け部と、充填部と蓋取付け部との間に設けられ、充填部で製品液が充填された容器を蓋取付け部に搬送する搬送部と、を備える。
本発明における搬送部は、製品液が充填された複数の容器を連続的に搬送する移送コンベアと、移送コンベア上の容器のヘッドスペースに向けてガス供給源から供給される所定ガスを供給する複数の供給ノズルと、を備える。
また、本発明における複数の供給ノズルは、容器の搬送方向に沿って配列され、かつ、あらかじめ定められた非常停止の要因が生じたことを検知した場合に、容器と供給ノズルとが対応する定位置に位置決めされてから、所定ガスを供給する、ことを特徴とする。
本発明の飲料充填装置によれば、非常停止により容器が待機しても、ガス供給ノズルから容器のヘッドスペースに向けて所定ガスが吹き込まれるので、ヘッドスペースにおける製品液の品質を低下させるガスの量が増えるのを防止できる。しかも、本発明の飲料充填装置によれば、所定ガスが吹き込まれるのは、飲料充填装置が非常停止したときに限られ、さらに、それぞれのガス供給ノズルから対応する容器に向けていわばピンポイントで所定ガスが吹き込まれるので、供給する所定ガスの量を少なくできる。
本発明における移送コンベアは、非常停止の要因が生じると、容器を供給ノズルと対応する定位置まで搬送してから、搬送を停止する、ことができる。
容器と供給ノズルとをそれぞれに対応する定位置に位置決めさせるには、供給ノズルを移動させることもできるが、供給ノズルを移動させる機構を設ける必要がある。これに対して、移送コンベアを用いて位置決めを行うことにすれば、移動機構を新たに設ける必要がないので、装置のコストを抑えることができるとともに、飲料充填装置の全体としての構成を簡易にできる。
また、本発明において、移送コンベアが複数の容器を所定の間隔を保って搬送するものとすれば、複数の供給ノズルを、所定の間隔をあけて搬送方向に配列する、ことが好ましい。
こうすることにより、容器と供給ノズルとを容易に定位置に位置決めできる。
本発明における移送コンベアは、エンコーダを備えるサーボモータにより駆動され、エンコーダにより得られる位置情報に基づいて、サーボモータの動作により容器を供給ノズルと対応する定位置まで搬送してから、搬送を停止する、ことが好ましい。
サーボモータを用いることにより、位置決めを精度よく行うことができ、特に供給ノズルと容器の中心軸線が一致するように定位置への位置決めを行うことができる。そうすれば、供給ノズルからの所定ガスを余すことなくヘッドスペースに供給できる。
本発明における供給ノズルは、下記の第一パターン及び第二パターンのいずれかのパターンで、所定ガスを供給する、ことができる。
第一パターン:容器が定位置に位置決めされてから、非常停止要因が解除されるまでの間に、連続的又は断続的に所定ガスを供給する。
第二パターン:容器が定位置に位置決めされた後に所定時間が経過してから、非常停止要因が解除されるまでの間に、連続的に又は断続的に所定ガスを供給する。
本発明における複数の供給ノズルは、鉛直方向における第一位置と第一位置よりも低い第二位置の間を昇降可能であり、第二位置において、所定ガスを供給する、ことができる。
容器により近づく第二位置で所定ガスを供給することにより、所定ガスを効率よく容器のヘッドスペースに吹き込むことができる。
本発明の飲料充填装置は、複数の供給ノズルのそれぞれを取り囲むフードが、供給ノズルと一体的に設けられ、このフードの開口径は、容器の開口径よりも大きいことが好ましい。
フードが所定ガスをヘッドスペースに向けて案内するガイドの機能を果たすので、所定ガスを効率よく容器のヘッドスペースに吹き込むことができる。一方で、所定ガスの吹込みが必要ないときは、供給ノズルを第二位置に退避させることで、容器の搬送を阻害しないようにする。
本発明の飲料充填装置は、複数の供給ノズルが、充填部においてヘッドスペースに供給されたガスと同種のガスを供給できる。
つまり、本発明の飲料充填装置は、製品液の充填度にヘッドスペースに供給されたガスを他のガスに置換するのではなく、製品液の品質を低下させるガス、典型的には酸素がヘッドスペースに溜まる量を抑えることを目的とする。
本発明の飲料充填装置によれば、非常停止により容器が待機しても、ガス供給ノズルから容器のヘッドスペースに向けて所定ガスが吹き込まれるので、ヘッドスペースにおける製品液の品質を低下させるガスの量が増えるのを防止できる。しかも、本発明の飲料充填装置によれば、所定ガスが吹き込まれるのは、飲料充填装置が非常停止したときに限られ、さらに、それぞれのガス供給ノズルから対応する容器に向けていわばピンポイントで所定ガスが吹き込まれるので、供給する所定ガスの量を少なくできる。
本発明の実施形態に係る容器のガス置換装置が適用されるロータリー式の充填ラインの全体構成を簡略化して示す平面図である。 本実施形態に係る移送コンベアが正常な生産運転を行っている様子を示す側面図であり、(a)、(b)は経過時間に従っている。 本実施形態に係る移送コンベアが非常停止する様子を示す側面図であり、(a)、(b)、(c)は経過時間に従っている。 本実施形態に係る移送コンベアが正常な生産運転から非常停止する過程を示す平面図であり、(a)、(b)、(c)は経過時間に従っている。 本実施形態に係るガス供給システムにおける二酸化炭素の種々の供給パターンを示す図である。 本実施形態に係る飲料充填装置の制御手順を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
[飲料充填装置1]
本実施形態は、図1に示すように、ロータリー式の飲料充填装置1に適用される。
飲料充填装置1は、缶容器100に製品液を充填する充填部2と、製品液が充填された缶容器100に缶蓋を巻締る巻締部5と、を備える。飲料充填装置1は、搬入コンベア6により連続的に搬送される缶容器100を、転送スターホイール7を介して充填部2が受け取る。充填部2は、スターホイールと、スターホイールの周囲に配置される複数の充填バルブと、を備える。充填部2は、転送スターホイール7から受け取った缶容器100が給缶地点Sから排缶地点Eまで円周上を移動する間に、一連の手順で充填バルブを介して製品液L、例えばビールの充填を行なう。製品液Lが充填された缶容器100は、製品液Lよりも上方がヘッドスペースとなる。ヘッドスペースには、製品液Lの充填に伴って、二酸化炭素が満たされている。この二酸化炭素は、製品液に酸素が取り込まれて製品液の品質が低下するのを避けるために供給される。
飲料充填が終了した缶容器100は、缶蓋の取り付け、缶蓋の巻締めを行う巻締部5に向けて搬送部10により搬送される。缶容器100は、巻締部5において缶蓋が巻き締められた後に、排出コンベヤ8により次工程へ搬送される。搬送部10は大気に開放されており、缶容器100はヘッドスペースが大気に開放されたままで搬送部10により搬送される。
飲料充填装置1は、充填バルブを含む充填部2、巻締部5及び搬送部10などの各要素の動作を制御する制御部9を備えている。
充填部2は、サーボモータ3により回転駆動され、サーボモータ3はエンコーダ4を備えており、エンコーダ4で検出される位置情報は制御部9に伝えられる。また、搬送部10のサーボモータ27が備えるエンコーダ28検出される位置情報も制御部9に伝えられる。したがって、制御部9は、充填部2及び搬送部10のそれぞれで搬送される缶容器100の位置を特定できる。
飲料充填装置1は、缶飲料の生産を行っている最中に非常停止がなされることがある。非常停止がなされると、充填部2及び巻締部5の動作が停止するのに加えて搬送部10の動作が停止するので、飲料が充填された缶容器100が搬送部10上に待機する。缶蓋が巻き締められていない缶容器100はその開口を通じてヘッドスペースが大気に開放された状態が続くので、ヘッドスペースの二酸化炭素が空気、特に酸素で置換されるおそれがある。搬送部10は、待機する缶容器100における二酸化炭素の酸素による置換を防止する機構を備えている。
[搬送部10]
搬送部10は、図2(a)に示すように、缶容器100を充填部2から巻締部5に移送する移送コンベア20と、待機する缶容器100のヘッドスペースに二酸化炭素を吹き込むガス供給システム30と、を備えている。ヘッドスペースに供給される二酸化炭素は気体である。
[移送コンベア20]
移送コンベア20は、主動スプロケット21及び従動スプロケット23と、主動スプロケット21と従動スプロケット23に掛け回されるコンベアベルト25と、主動スプロケット21を回転駆動させるサーボモータ27と、を備えている。サーボモータ27は、エンコーダ28を備えている。
移送コンベア20は、制御部9からの指示によりサーボモータ27が駆動されることにより、充填部2から連続的に受け取った複数の缶容器100を巻締部5に向けて搬送する。複数の缶容器100は、充填部2から受け取ったままの間隔を保ちながら搬送される。
サーボモータ27は、制御部9が飲料充填装置1に非常停止の要因が生じたことを検知すると、制御部9からの指示により動作を停止する。この動作停止の手順は追って説明する。
[ガス供給システム30]
次に、ガス供給システム30は、複数のガス供給ノズル31と、ガス供給ノズル31に供給する二酸化炭素を蓄えるガス供給源35と、ガス供給源35からそれぞれのガス供給ノズル31に二酸化炭素を供給するガス供給配管37と、を備えている。それぞれのガス供給ノズル31又はガス供給配管37には図示を省略する開閉弁が設けられている。開閉弁は制御部9からの指示により開又は閉の状態が選択され、開のときにそれぞれのガス供給ノズル31から二酸化炭素が吐出される。
ガス供給ノズル31は、移送コンベア20のコンベアベルト25の上方に配置される。ガス供給ノズル31は、コンベアベルト25を搬送される缶容器100の前後の間隔と同じ間隔で配列され、かつ、缶容器100の搬送方向Xのそれぞれの位置は固定されている。
また、ガス供給ノズル31は、図示を省略するアクチュエータにより第一位置P1(図2(a))と、第一位置P1よりも低い第二位置P2(図3(a))との間を鉛直方向Yに昇降可能とされている。図2におけるガス供給ノズル31の位置が第一位置P1であり、図3におけるガス供給ノズル31の位置が第二位置P2である。
飲料充填装置1が正常に生産運転をしている間は、ガス供給ノズル31は第二位置P2よりも高い第一位置P1に置かれ、飲料充填装置1が非常停止すると、ガス供給ノズル31は第二位置P2に移動する。ガス供給ノズル31が第一位置P1に置かれている間は、二酸化炭素の供給が停止されているが、ガス供給ノズル31が第二位置P2に移動すると、二酸化炭素が供給される。
ガス供給ノズル31は、図2(a)に示すように、短尺な円筒形状を有するフード33を備える。フード33は、缶容器100の開口よりも大きな開口径有し、フード33と缶容器100の中心軸線が一致するように配置されると、缶容器100はフード33の投影面内に収まる。
[飲料充填装置1の動作]
次に、飲料充填装置1の移送コンベア20における特徴的な動作を説明する。この特徴的な動作は、正常に缶容器100に製品液Lであるビールを充填、缶蓋の巻締めを行う生産運転を行っている最中に、飲料充填装置1に非常停止する要因が生じたときに行われる。
飲料充填装置1において生産運転が開始されると、充填部2で給缶地点Sから排缶地点Eに移動する間に、缶容器100には所定量の製品液Lが充填される。製品液Lよりも上方には、図2(a)に示すようにヘッドスペース101が存在する。ヘッドスペース101には、製品液Lの充填に伴って、二酸化炭素が満たされる。
飲料充填が終了した缶容器100は、図2(a),(b)に示すように、移送コンベア20により巻締部5に向けて搬送される。移送コンベア20は、上流側の充填部2と下流側の巻締部5の処理速度と同期するように、サーボモータ27によるコンベアベルト25の搬送速度が制御される。ここで、制御部9は、サーボモータ27のエンコーダ4で得られる位置情報を継続し取得するので、コンベアベルト25を搬送されるそれぞれの缶容器100の位置を特定できる。
制御部9は、生産運転が開始すると、飲料充填装置1が非常停止すべき要因が生ずるか否かを監視する(図6 S103)。非常停止すべき要因が生じない限り、生産運転は継続される(図6 S103 N)。一方で、制御部9は、非常停止すべき要因が生じると(図6 S103 Y)、非常停止の制御(図6 S105)を行う。この非常停止の制御は、移送コンベア20において、缶容器100を最寄りのガス供給ノズル31の直下まで搬送する位置決めをしてから搬送を停止する(図6 S107)というものである。この搬送停止のことを定位置停止と称する。
定位置停止について、図2及び図3を参照して説明する。なお、図2及び図3において、大文字のアルファベットは缶容器100を区別する記号であり、同じA,B,C…のアルファベットが付けられた缶容器100は、同じ缶容器100であることを示している。
飲料充填装置1が図2(a),(b)及び図4(a),(b)に示すように、正常な生産運転を行っているときに、制御部9が非常停止の要因が生じたことを検知したものとする。制御部9は、サーボモータ27のエンコーダ28からの位置情報を取得しているので、コンベアベルト25を搬送されるそれぞれの缶容器100の位置を特定できる。一方で、制御部9は、ガス供給ノズル31の位置情報を保持しているので、図3(a)及び図4(c)に示すように、それぞれの缶容器100が最寄りのガス供給ノズル31の直下まで搬送して停止するように、サーボモータ27に指示する。これで定位置停止が実現される。定位置停止がなされると、ガス供給ノズル31と缶容器100の中心軸線が一致する。
ガス供給ノズル31は、コンベアベルト25を搬送される缶容器100の前後の間隔と同じ間隔で配列されている。したがって、搬送される複数の缶容器100の中の一つの位置を特定して定位置停止を行えば、他の缶容器100についてもガス供給ノズル31と容易に定位置に位置決めできる。
缶容器100の定位置停止がなされると、次いで、制御部9は、図3(b)に示すように、それまで第一位置P1に置かれていたガス供給ノズル31を第二位置P2まで降下するように、図示を省略するアクチュエータに指示する。フード33と缶容器100とはわずかな隙間を隔てて対峙する。
このガス供給ノズル31の降下は、缶容器100の定位置停止の過程で行うこともできる。
ガス供給ノズル31が第二位置P2まで降下すると、制御部9は図示を省略する開閉弁が開くように指示をする。そうすると、図3(c)に示すように、それぞれの缶容器100のヘッドスペース101に向けた二酸化炭素Gの吹込みが開始される。
制御部9は、継続して飲料充填装置1の非常停止要因が継続しているか又は解除しているかを監視している(図6 S111)。制御部9は、非常停止要因が解除されたことを検知すると(図6 S111 Y)、二酸化炭素の吹込みを停止することを指示する(図6 S113)。制御部9は、併せて、ガス供給ノズル31を第一位置P1に復帰するように指示する。
次に、制御部9は、缶容器100の払い出し動作を指示する(図6 S111)。
払い出しは、飲料充填装置1が非常停止した際に、生産運転を再開する前に行われる動作であり、充填部2、搬送部10及び巻締部5のそれぞれで待機していた缶容器100について、以後の処理を進めることをいう。例えば、充填部2で待機していた缶容器100は、所定量の製品液Lの充填を終えていなければ製品液Lを充填してから、また、所定量の製品液Lが充填されていればそのままで、搬送部10に受け渡される。また、搬送部10で待機していた缶容器100は、巻締部5に搬送され、缶蓋の巻締が行われる。さらに、巻締部5で待機していた缶容器100は、缶蓋の巻締を終えていなければ巻締を行ってから、また、缶蓋の巻締を終えていればそのままで、排出コンベヤ8に送られる。
払い出し動作が終了すると、充填部2、搬送部10及び巻締部5に待機していた缶容器100は全て排出コンベヤ8よりも下流側に移動する。
制御部9は、払い出し動作が終了すると、生産運転を再開するように充填部2、移送コンベア20及び巻締部5に指示する(図6 S117)。
[飲料充填装置1の効果]
以下、飲料充填装置1が奏する効果を説明する。
飲料充填装置1は、非常停止により缶容器100が移送コンベア20に待機しても、ガス供給システム30から缶容器100のヘッドスペースに向けて二酸化炭素が吹き込まれるので、ヘッドスペースの酸素量、つまりDOが増えるのを防止できる。
しかも、二酸化炭素が吹き込まれるのは、飲料充填装置1が非常停止したときに限られ、さらに、それぞれのガス供給ノズル31から対応する缶容器100に向けていわばピンポイントで二酸化炭素が吹き込まれるので、供給する二酸化炭素を最小限に抑えることができる。
また、飲料充填装置1は、ガス供給ノズル31の周囲にフード33が設けられているために、ガス供給ノズル31から吐出される二酸化炭素はフード33がガイドとなり、周囲への分散が抑えられるので、二酸化炭素を効率よく缶容器100のヘッドスペースに吹き込むことができる。特に、飲料充填装置1は、缶容器100よりも径の大きなフード33を缶容器100の近傍まで降下させるので、ヘッドスペースに吹き込まれなかった二酸化炭素は、缶容器100の周囲を下向きに流れる。この二酸化炭素の流れは、ヘッドスペースを外部からシールすることになるので、ヘッドスペースに入る酸素を著しく抑えることができる。なお、ここではフード33の下端が缶容器100の上端から離れる例を示しているが、缶容器100の上端を取り囲む第二位置P2までフード33を降下させてもよい。
また、飲料充填装置1は、エンコーダ28を備えるサーボモータ27を用いており、缶容器100をガス供給ノズル31に定位置停止する精度が極めて高いので、二酸化炭素を効率よく缶容器100のヘッドスペースに吹き込むことができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
はじめに、定位置停止した後の二酸化炭素の吹込みは、上述したパターン、つまり定位置停止した直後から非常停止の要因が解除されることを検知するまでの間に継続するパターン以外で行うことができる。
つまり、図5のパターンIIに示すように、定位置停止した直後に二酸化炭素の吹込みを開始するが、非常停止の要因が解除されるまでの間に、二酸化炭素を断続的に吹き込むことができる。パターンIIによれば、使用する二酸化炭素の量を減らすことができる。
また、図5のパターンIIIに示すように、定位置停止してから所定時間だけ経過した後に二酸化炭素の吹込みを開始し、非常停止の要因が解除されるのを検知するまでの間に継続して二酸化炭素を吹き込むことができる。パターンIIIにおいても、使用する二酸化炭素の量を減らすことができる。
また、最も極端には、パターンIVに示すように、非常停止の要因が解除されるのを待って二酸化炭素を吹き込むことができる。パターンIVによれば、使用する二酸化炭素の量をさらに減らすことができる。
要は、どのような吹込みのパターンであれ、非常停止の間にヘッドスペースに酸素が侵入し、溜まることによってTO(=HSO+DO)を所定量以下に抑えることができればよい。
なお、図5のパターンIは、定位置停止した直後から非常停止の要因が解除されることを検知するまでの間に二酸化炭素を継続して吹き込む上述した実施形態に対応する。また、図5において、パターンI及びパターンIIが本発明における第一パターンに該当し、パターンIII及びパターンIVが本発明における第二パターンに該当する。
また、上述した実施形態は、製品液として炭酸飲料の例を示したが、本発明の適用はこれに限らない。
例えば、ヘッドスペースには窒素が充填されるお茶を製品液とする飲料に、本発明を適用できる。この適用例においては、非常停止してから容器のヘッドスペースに所定ガスとして窒素が吹き込まれる。お茶の充填の際にはヘッドスペースに窒素が供給されるので、非常停止してから同種のガスである窒素がヘッドスペースに供給される。製品液がお茶の飲料は、プラスチック容器のこともあれば、缶容器の場合もある。プラスチック容器の場合、充填機の後工程は蓋取付け部としてのキャッパによるキャッピングが行われる。
また、缶コーヒーは充填機を経た缶容器100のヘッドスペースには水蒸気が満たされるが、缶コーヒーにも本発明を適用できる。つまり、缶コーヒーの生産過程で非常停止すると、本発明にしたがって容器のヘッドスペースに所定ガスとして水蒸気を吹き込むことができる。
ただし、本発明は製品液の充填時にヘッドスペースに供給されたのとは異なるガスを供給することを否定するものではない。
また、上述した飲料充填装置1はエンコーダ28が生成する位置情報に基づいてサーボモータ27が定位置停止を実現するが、本発明はサーボモータ以外のモータを用いることができ。例えば光学式、リニア近接式、超音波式などのセンサを用いてコンベアベルト25上の缶容器100の位置情報を取得し、この位置情報に基づいてモータを制御して缶容器100を最寄りのガス供給ノズル31に定位置停止することもできる。
また、上述した飲料充填装置1は、缶容器100とガス供給ノズル31の中心軸線が一致するように定位置停止するが、本発明はこれに限らない。本発明は、ガス供給ノズル31から吐出される二酸化炭素が缶容器100のヘッドスペースに吹き込まれる限り、両者の中心軸線がずれることを許容する。ガス供給ノズル31の吐出端が缶容器100の投影面から外れると、ヘッドスペースへの二酸化炭素の吹込みは困難になる。
上述した飲料充填装置1は好ましい実施形態としてフード33を備えるが、本発明はこれに限らずに、フード33を備えずに剥き出しとなったガス供給ノズル31を適用できる。
1 飲料充填装置
2 充填部
3 サーボモータ
4 エンコーダ
5 巻締部
6 搬入コンベア
7 転送スターホイール
8 排出コンベヤ
9 制御部
10 搬送部
20 移送コンベア
21 主動スプロケット
23 従動スプロケット
25 コンベアベルト
27 サーボモータ
28 エンコーダ
30 ガス供給システム
31 ガス供給ノズル
33 フード
35 ガス供給源
37 ガス供給配管
100 缶容器
101 ヘッドスペース
S 給缶地点
E 排缶地点
P1 第一位置
P2 第二位置

Claims (10)

  1. ヘッドスペースを除いて容器に製品液を充填する充填部と、
    前記充填部で前記製品液が充填された前記容器に蓋をする蓋取付け部と、
    前記充填部と前記蓋取付け部との間に設けられ、前記充填部で前記製品液が充填された前記容器を前記蓋取付け部に搬送する搬送部と、を備え、
    前記搬送部は、
    前記製品液が充填された複数の前記容器を連続的に搬送する移送コンベアと、
    前記移送コンベア上の前記容器の前記ヘッドスペースに向けてガス供給源から供給される所定ガスを供給する複数の供給ノズルと、を備え、
    複数の前記供給ノズルは、
    前記容器の搬送方向に沿って配列され、かつ、
    あらかじめ定められた非常停止の要因が生じたことを検知した場合に、前記容器と前記供給ノズルとが対応する定位置に位置決めされてから、前記所定ガスを供給する、
    ことを特徴とする飲料充填装置。
  2. 前記移送コンベアは、
    前記非常停止の要因が生じると、前記容器を前記供給ノズルと対応する前記定位置まで搬送してから、搬送を停止する、
    請求項1に記載の飲料充填装置。
  3. 前記移送コンベアは、
    複数の前記容器を所定の間隔を保って搬送し、
    複数の前記供給ノズルは、
    前記所定の間隔をあけて前記搬送方向に配列される、
    請求項1又は請求項2に記載の飲料充填装置。
  4. 前記移送コンベアは、
    エンコーダを備えるサーボモータにより駆動され、
    前記エンコーダにより得られる位置情報に基づいて、前記サーボモータの動作により前記容器を前記供給ノズルと対応する前記定位置まで搬送してから、搬送を停止する、
    請求項2又は請求項3に記載の飲料充填装置。
  5. 前記定位置において、
    前記供給ノズルと前記容器の中心軸線が一致する、
    請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の飲料充填装置。
  6. 前記供給ノズルは、下記の第一パターン及び第二パターンのいずれかのパターンで、前記所定ガスを供給する、
    請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の飲料充填装置。
    第一パターン:前記容器が前記定位置に位置決めされてから、前記非常の停止要因が解除されるまでの間に、連続的又は断続的に前記所定ガスを供給する。
    第二パターン:前記容器が前記定位置に位置決めされた後に所定時間が経過してから、前記非常停止の要因が解除されるまでの間に、連続的に又は断続的に前記所定ガスを供給する。
  7. 複数の前記供給ノズルは、
    鉛直方向における第一位置と前記第一位置よりも低い第二位置の間を昇降可能であり、
    前記第二位置において、前記所定ガスを供給する、
    請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の飲料充填装置。
  8. 複数の前記供給ノズルのそれぞれを取り囲むフードが、前記供給ノズルと一体的に設けられ、
    前記フードの開口径は、前記容器の開口径よりも大きい、
    請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の飲料充填装置。
  9. 複数の前記供給ノズルは、
    前記充填部において前記ヘッドスペースに供給されたガスと同種のガスを供給する
    請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の飲料充填装置。
  10. 請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の飲料充填装置を用いて飲料の充填を行う、
    ことを特徴とする飲料充填装置の運転方法。
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