JP6008689B2 - レーザ光源装置およびレーザ光源装置を用いたレーザ・プロジェクタ - Google Patents

レーザ光源装置およびレーザ光源装置を用いたレーザ・プロジェクタ Download PDF

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Description

本発明は、波長変換素子を用いたレーザ光源装置、および、そのレーザ光源装置を用いたレーザ・プロジェクタに関する。
緑色、青色などの短波長レーザ光源は、レーザ・プロジェクタや高密度光記憶装置などの分野で幅広く開発が進められている。この短波長レーザ光源には、SHG(Second Harmonic Generation:第二高調波発生)と呼ばれる方式があり、半導体レーザが発振する基本波の赤外光を二次高調波に変換する波長変換素子を用いている。
このSHG方式のレーザ光源装置に用いられる波長変換素子は、強誘電体単結晶材料であるLN(ニオブ酸リチウム:LiNbO3)を主成分とした光導波路を有し、レーザ素子からの赤外光を入射して光導波路で二次高調波に変換して緑色光、または青色光の変換光を出射する。しかし、波長変換素子は温度依存性があり、周囲の温度変化によって、変換光の強度や波長が変動する問題がある。
このような問題を解決するために、基本光源として波長可変型レーザダイオードを用い、基本波の光量を検出する第1の検出手段と、波長変換素子からの変換波の光量を検出する第2の検出手段の二つの検出手段を設け、基本波の光量に応じてレーザ素子のパワーを制御し、変換波の光量に応じてレーザ素子の波長を制御する提案がある(例えば、特許文献1参照)。
また、別の提案として、基本光源として波長可変半導体レーザを用い、基本波を検出する第1検出手段と、変換波(2次高調波)を検出する第2検出手段を設け、第1検出手段によって基本波の強度を検出して基本波が常時一定の出力になるように制御し、第2検出手段は、変換波の出力を干渉フィルタで透過して入射し、第2検出手段の出力に応じて波長可変半導体レーザの位相制御領域への注入電流を制御して、波長のゆらぎを安定させる提案がある(例えば、特許文献2参照)。
特開平4−13118号公報(128頁、図1) 特開平6−175175号公報(5頁、図8)
しかし、従来のレーザ光源装置は、基本波がパルス状に出力するパルス波であると想定できるが、パルス波は波長分布が広いために高精度の検出が難しく、変動の少ない安定した発振を維持することが困難であった。
本発明の目的は上記課題を解決し、波長変換素子を用いたレーザ光源装置の出射光の安定性向上を実現するレーザ光源装置、および、そのレーザ光源装置を用いたレーザ・プロジェクタを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明のレーザ光源装置およびレーザ光源装置を用いたレ
ーザ・プロジェクタは、下記記載の構成を採用する。
本発明のレーザ光源装置は、レーザ素子と、レーザ素子からのレーザ光の波長を変換して出射する波長変換素子と、を有するレーザ光源装置において、レーザ素子の駆動を制御する制御手段と、波長変換素子からの出射光を検出する検出手段と、を備え、制御手段は、レーザ素子の発振状態を切り換える発振状態切り換え手段を含み、発振状態切り換え手段は、レーザ素子の発振状態をパルス発振と連続発振に切り換えるものであり、検出手段は、ひとつの検出素子によって、レーザ素子がパルス発振状態である場合には、レーザ光の変換波を検出し、レーザ素子が連続発振状態である場合には、レーザ光の基本波を検出し、制御手段は、検出手段からの基本波の検出情報および変換波の検出情報に基づいて、レーザ素子の駆動を制御する、ことを特徴とする。
本発明のレーザ・プロジェクタは、本発明のレーザ光源装置と、レーザ光源装置を制御する制御手段と、 レーザ光源装置からのレーザ光を水平または垂直に走査する走査手段と、 レーザ光のうち、走査手段による走査角の最大走査角に対する比が、所定の割合以上となる光を遮蔽する遮蔽部と、を備え、制御手段は、水平走査期間にレーザ光源装置からの変換波を検出し、垂直走査期間にレーザ光源装置からの基本波を検出するように制御することを特徴とする。
また、制御手段は、水平走査期間の中で、レーザ光が遮蔽部で遮蔽されている間に変換波の検出を行うことを特徴とする。
本発明のレーザ光源装置は、基本波の検出を波長分布が狭く、且つ、ピーク波長の出力が検出に十分な大きさの連続波で行うことが出来るので、基本波の検出が容易となり、出射光の変動を高精度に補正するレーザ光源装置を実現できる。また、レーザ素子のパルス発振と連続発振を切り換えることで、一つの検出素子でレーザ光の変換波と基本波の検出が可能となり、周辺部品を含めて最小構成でレーザ光源装置を提供できる。
また、変換波と基本波の検出を分離して実施することで、レーザ素子単体の経時変化による劣化特性を把握でき、レーザ素子の駆動をきめ細かく制御して変動の少ない安定した発振を維持するレーザ光源装置を提供できる。
また、本発明のレーザ・プロジェクタは、レーザ光の水平走査によって遮蔽部で遮蔽されている期間に変換波の検出を行い、また、レーザ光の垂直走査期間に基本波の検出を行う。これにより、変換波と基本波の検出時に表示画像に悪影響を与えることがない。また、変換波と基本波を個別に検出して、レーザ素子の経時変化や温度特性による変動を補正するので、常に安定した美しい映像を表示するレーザ・プロジェクタを提供することが出来る。
第1の実施形態に係わるレーザ光源装置の概略構成図である。 第1の実施形態の可飽和吸収体を含んだレーザ素子の構成と動作を説明する模式的な断面図である。 第1の実施形態に係わるレーザ光源装置の基本波と変換波の切り換え動作を説明する模式的なレーザ光のスペクトル図である。 第1の実施形態に係わるレーザ光源装置の基本波補正動作を説明するフローチャートとルックアップテーブルである。 第1の実施形態に係わるレーザ光源装置の変換波補正動作を説明するフローチャートである。 第1の実施形態の変形例のレーザ光源装置の部分構成図である。 第2の実施形態に係わるレーザ・プロジェクタの概略構成図である。 第2の実施形態に係わるレーザ・プロジェクタのMEMSミラーにより投影されるレーザ光の軌跡を説明する説明図である。 第2の実施形態に係わるレーザ・プロジェクタのレーザ光の変換波と基本波の検出動作を説明するタイミングチャートである。
以下図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
[各実施形態の特徴]
第1の実施形態の特徴は、可飽和吸収体を含むレーザ素子と、波長変換素子と反射素子、および一つまたは二つの検出素子を備えたレーザ光源装置である。また、第2の実施形態の特徴は、第1の実施形態のレーザ光源装置を用いたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー方式のレーザ・プロジェクタである。
[第1の実施形態のレーザ光源装置の構成説明:図1]
第1の実施形態のレーザ光源装置の構成を図1を用いて説明する。図1において、レーザ光源装置1は、レーザ素子10と、波長変換素子(以下、SHG素子と略す)20と、反射素子であるFBG(Fiber Bragg Grating)型の反射素子(以下、FBG素子と略す)30と、検出手段としての検出素子(以下、PDと略す)40と、制御手段としての制御回路50とを含んでいる。
レーザ素子10は、レーザダイオード(以下、LDと略す)11と共に、可飽和吸収体(以下、SAと略す)12を含んでいる。LD11とSA12の共通電極はカソード電極10aであり、0Vに接続されている。LD11の端子であるLD電極11aは、後述する制御回路50の駆動電流制御回路に接続されて、駆動電流Idが供給される。また、SA12の端子であるSA電極12aは、後述する制御回路50の発振切換回路に接続されて、バイアス電圧Vbが印加される。
レーザ素子10は、バイアス電圧Vbが切り換えられることによって、連続波である基本波レーザ光LS1(以下、基本波LS1と略す)を出射する基本波モードと、パルス状に発振するパルス波LS2を出射するパルス波モードとの二つのモードを有している。なお、レーザ素子10の動作説明は後述する。
SHG素子20は、前述したように、特定の波長のレーザ光を二次高調波に変換する光学素子であり、レーザ素子10の基本波モードにおいて、SHG素子20は、レーザ素子10から出射された基本波LS1をそのまま透過する。また、パルス波モードにおいて、SHG素子20は、レーザ素子10から出射されたパルス波LS2の一部を透過する。また、SHG素子20は、後述するFBG素子30からの選択反射波を入射すると、波長変換を行い反射波の二次高調波を出射するように構成されている。
FBG素子30は、入射したレーザ光の中で特定の波長のレーザ光のみを反射波として反射する光学素子であり、基本波モードにおいてSHG素子20から基本波LS1が透過してきた場合、FBG素子30は、反射波長と基本波LS1の波長とが一致しないため、この基本波LS1をそのまま透過し、基本波LS1がFBG素子30から出射光LS5と
して外部に出射される。
また、パルス波モードにおいてSHG素子20からパルス波LS2が透過してきた場合、FBG素子30は、パルス波LS2の波長分布が広く、FBG素子30の反射波長成分も含んでいるので、特定の波長の反射波LS3をSHG素子20側にフィードバックする。
SHG素子20は、フィードバックされた反射波LS3を入射すると、前述したように、反射波LS3の一部を内部で波長変換するが、変換効率はSHG素子20の入射波の振幅に依存し、この時点では反射波の振幅が小さいため、反射波LS3の大部分はレーザ素子10に戻る。レーザ素子10に戻った反射波LS3は、図示しないがレーザ素子10のゲイン領域でFBG素子30で波長選択された波長成分が増幅され、可飽和吸収体部でパルス変調を受けて、レーザ素子10の端面のミラーで反射し、もう一度ゲイン領域で増幅される。これにより、パルス化されピーク値の高くなったパルス波LS2は、FBG素子30で選択された反射波長成分も多く含み、SHG素子20の変換波長とも一致しているため、高効率で波長変換され、反射波LS3の二次高調波である変換波LS4をFBG素子30に向けて出射する。FBG素子30は、変換波LS4を入射して透過し、変換波LS4を出射光LS5として出射する。
すなわち、レーザ光源装置1は、レーザ素子10から連続波の基本波LS1が出射される基本波モードでは、基本波LS1が出射光LS5として出射され、また、レーザ素子10からパルス波LS2が出射されるパルス波モードでは、変換波LS4が出射光LS5として出射されるのである。なお、基本波LS1、パルス波LS2、反射波LS3、変換波LS4の詳細は、後述する図3を用いて説明する。
またPD40は、ミラー41によって出射光LS5の一部を反射した検出光LS6を入射し、検出光LS6の光強度に応じた検出信号K0を出力して制御回路50に入力する。
制御回路50は、レーザ素子10の発振を切り換える発振状態切り換え手段としての発振切換回路51と、レーザ素子10のLD11の駆動電流Idを出力する駆動電流制御回路52と、LD11の劣化特性を補正するルックアップテーブル53とを含んでいる。発振切換回路51は、前述したレーザ素子10のSA電極12aにバイアス電圧Vbを印加する。駆動電流制御回路52は、前述したレーザ素子10のLD電極11aに、駆動電流Idを出力する。また、制御回路50は、レーザ光源装置1の外部入力2から制御信号C1を入力し、この制御信号C1に基づいて、発振切換回路51、駆動電流制御回路52が動作して、レーザ素子10が駆動される。
[第1の実施形態のレーザ素子10の内部構成の説明:図2]
次に、公知技術ではあるが、第1の実施形態で用いられるレーザ素子10の内部の概略構成を図2を用いて説明する。レーザ素子10は、半導体結晶層によって構成され、ゲイン領域となるLD11と可飽和吸収体部からなるSA12を有している。このLD11とSA12の共通の面には、カソード電極10aが形成され、LD11とSA12の共通電極となって、前述したように0Vに接続されている。一方、LD11側の対向する面には、LD電極11aが形成され、前述したように、駆動電流Idが供給される。また、SA12側の対向する面には、SA電極12aが形成され、前述したように、バイアス電圧Vbが印加される。
また、カソード電極10aの近傍には、n型半導体層10nが形成され、LD電極11aとSA電極12aの近傍にはp型半導体層10pが形成され、このn型半導体層10nとp型半導体層10pの間に活性層10dが形成されている。また、SA12側の活性層
10dの近傍には、SA層12bが形成されている。さらに、SA12の図面上左側の端面は、基本波の反射ミラーとして作用するHRコート10eが形成され、LD11の図面上右側の端面には、基本波のARコート10fが形成されている。
[第1の実施形態のレーザ素子10の動作説明:図2]
次に、レーザ素子10の概略動作を図2を用いて説明する。図2において、レーザ素子10を基本波モードで発振させる場合、カソード電極10aを0V(GND)に接続し、SA電極12aに0Vのバイアス電圧Vbを印加し、LD電極11aに所定の駆動電流Idを供給する。この基本波モードでは、LD11は、駆動電流Idによって所定の波長の基本波LS1を発振するが、SA電極12aは0Vであるので、SA12は常に透明体として機能する。これにより、基本波LS1は、活性層10dで連続波として発生してHRコート10eを反射し、ARコート10fの面から外部に出射される。
また、レーザ素子10をパルス波モードで発振させる場合、カソード電極10aを0Vに接続し、SA電極12aに、一例として、約−2Vの逆バイアス電圧Vbを印加し、LD電極11aに所定の駆動電流Idを供給する。このパルス波モードでは、SA12に逆バイアス電圧が印加されることで、SA12は光強度の弱いレーザ光には吸収体として機能し、光強度の強いレーザ光には透明体として機能する。
これにより、LD11の発振はパルス状になるパルス発振(自励発振)となって、パルス波LS2がHRコート10eを反射して、ARコート10fの面から外部に出射される。このようにして、レーザ素子10は、SA電極12aに印加するバイアス電圧Vbを切り換えることで、出射光を連続波である基本波LS1と、パルス波LS2に切り換えることができる。
[第1の実施形態のレーザ光源装置の基本波と変換波の切り換え動作説明:図1、図3]
次に、レーザ光源装置1の基本波と変換波の切り換え動作の詳細を図1と図3を用いて説明する。なお、図3はレーザ光のスペクトルを模式的に示しており、横軸がレーザ光の波長であり、縦軸がレーザ光の出射レベル(光強度)である。
図1において、レーザ素子10へのバイアス電圧Vbが0Vのとき、前述したように、レーザ素子10が発生するレーザ光は連続した基本波LS1となって、SHG素子20に入射される。この基本波LS1のスペクトルは、図3に示すように、基本波LS1の中心となる波長W1の出射レベルが高く、波長W1から外れた領域では、非常に少ないことが理解できる。すなわち、基本波LS1は、波長W1の成分がほとんどであって、他の波長成分は少ないのである。これは、基本波LS1が正弦波に近い連続波であるからである。
ここで、基本波LS1は、SHG素子20とFBG素子30を透過するが、図3で示すように、FBG素子30が反射する反射波LS3の波長がW3であるとすると、基本波LS1は、反射波LS3の波長W3の成分が非常に少ないので、反射波LS3は、ほとんど発生せず、基本波LS1が反射波LS3の波長W3に引き込まれることがなく、SHG素子20とFBG素子30は、基本波LS1に対して何も作用しない。この結果、基本波LS1は、前述したように、SHG素子20とFBG素子30をそのまま透過して、出射光LS5として出射される。すなわち、レーザ素子10へのバイアス電圧Vbが0Vのとき、出射光LS5は、基本波LS1が出射されるのである。
従って、基本波LS1は、SHG素子20とFBG素子30を単に透過するだけなので、SHG素子20とFBG素子30の温度特性などの影響を受けることがない。すなわち、レーザ素子10に0Vのバイアス電圧Vbが印加されたとき、出射される基本波LS1は、SHG素子20とFBG素子30の特性の影響を受けずに出射光LS5として出射さ
れるので、レーザ光源装置1からの出射光LS5の出射レベルは、レーザ素子10の出射特性にだけ依存した値となる。
このために、レーザ素子10の基本波モードにおいて、出射光LS5の一部をミラー41によって反射して得た検出光LS6の光強度をPD40によって検出した検出信号K0の値は、レーザ素子10単体の出射特性を示しており、レーザ素子10が経時変化などで劣化して出射レベルが低下した場合、その出射レベルの変動は検出信号K0によって確実に把握することができる。この結果、検出信号K0の値が一定になるように、制御回路50が駆動電流Idを調整することで、レーザ素子10の出射変動を補正して、出射光LS5を一定に保つことが出来る。
一方、レーザ素子10へのバイアス電圧Vbが約−2Vのときは、前述したように、レーザ素子10が発生するレーザ光はパルス波LS2となって、SHG素子20に入射され、SHG素子20はパルス波LS2を透過して、FBG素子30に入射される。このパルス波LS2のスペクトルは、図3に示すように、パルス波LS2の中心波長W2の出射レベルがもっとも高いが、波長W2から外れた領域でも出射レベルが高い領域が広く存在することが理解できる。すなわち、パルス波LS2は波長分布が広く、短い波長から長い波長まで多くの波長成分を有している。これは、パルス波LS2が、パルス状にONとOFFを高速に繰り返すレーザ光だからである。
ここで、図3に示すように、FBG素子30が反射する特定の反射波長がW3であるとすると、パルス波LS2は波長分布が広く、FBG素子30の反射波長W3の波長成分を多く含んでいるので、パルス波LS2が反射波長W3に引き込まれるようにして、FBG素子30に反射波LS3が生じる。この反射波LS3は、SHG素子20に戻る方向に進んでレーザ素子10にフィードバックされる(図1参照)。これにより、レーザ素子10とSHG素子20とFBG素子30の間にフィードバックループが形成されて、FBG素子30の反射波長W3でロックされた反射波LS3が継続して発振する。反射波LS3は、FBG素子30で波長選択されるもののパルス波であり、同じ平均光強度の連続波と比較して高い波高値を持つため、SHG素子20で同じ平均光強度の連続波より高い変換効率を得ることができる。この反射波LS3の波長W3を一例として1,064nmとする。
ここで、フィードバックループの中に位置するSHG素子20が、反射波LS3の波長W3の1/2波長である532nmに位相整合するように設定されているとすると、SHG素子20は、反射波LS3を入射して内部で波長変換を行い、二次高調波である532nmの波長W4を有する変換波LS4を出射する。これにより、変換波LS4は、FBG素子30を透過して、出射光LS5として外部に出射される。なお、532nmの変換波LS4は、緑色のレーザ光(G光)である。
すなわち、レーザ素子10に約−2Vのバイアス電圧Vbが印加されると、レーザ素子10はパルス波LS2を出射し、FBG素子30とSHG素子20の動作によって、出射光LS5は、波長W4が532nmの変換波LS4を出射するのである。このときの出射光LS5の出射レベルは、SHG素子20とFBG素子30の温度特性などによって変動する。なぜならば、出射光LS5は、FBG素子30による反射波LS3と、その反射波LS3をSHG素子20によって波長変換した変換波LS4で成り立つからである。
このため、レーザ素子10のパルス波モードにおいて、出射光LS5の一部をミラー41によって反射して得た検出光LS6の光強度をPD40によって検出した検出信号K0の値は、SHG素子20とFBG素子30の温度特性などに依存した値となる。これにより、この検出信号K0の値が一定となるように、制御回路50が駆動電流Idを調整する
ことで、SHG素子20とFBG素子30の温度特性などを補正して、環境に影響されない安定したレーザ光を出射することが出来る。
このように、本発明のレーザ光源装置は、レーザ素子10に印加するバイアス電圧Vbを切り換えることで、レーザ素子10からの出射光を連続波である基本波LS1とパルス波LS2に切り換え、さらに、SHG素子20とFBG素子30の動作によって、出射光LS5を基本波LS1と二次高調波である変換波LS4に切り換えることが出来る。
[第1の実施形態のレーザ光源装置の基本波検出による基本波補正説明:図1、図4]
次に、基本波LS1の光強度検出によって、レーザ素子10の出射レベルの変動(劣化)を補正する動作を図4のフローチャートとルックアップテーブルを用いて説明する。なお、レーザ光源装置1の構成は、図1を参照する。
図4(a)において、制御回路50の発振切換回路51は0Vのバイアス電圧Vbを出力し、駆動電流制御回路52は所定の値の駆動電流Idkを出力して、レーザ素子10から連続波である基本波LS1を出射する(ステップST1)。これにより、レーザ光源装置1は、基本波LS1を出射光LS5として出射する。
次にPD40は、検出光LS6を入射して、基本波LS1の光強度に応じた検出信号K0を出力する(ステップST2)。
次に制御回路50は検出信号K0を入力し、検出信号K0が予め定められた所定の範囲内であるかを判定する(ステップST3)。ここで、検出信号K0が、所定の範囲内であれば、ステップST4に進み、所定の範囲外であれば、ステップST5に進む。
次に、ステップST3の判定で、検出信号K0が所定の範囲内であれば、駆動電流Idを変化させずに所定の一定値としてステップST6に進む(ステップST4)。
また、ステップST3の判定で、検出信号K0が所定の範囲外であれば、予め記憶しているルックアップテーブル53を参照し、検出信号K0に応じた駆動電流Idを決定する(ステップST5)。
次に、制御回路50は、決定した駆動電流Idを駆動電流制御回路52から出力し、LD11を駆動して基本波LS1の光強度を調整して変動を補正する(ステップST6)。
図4(b)はルックアップテーブル53の一例であり、横軸はPD40が検出した検出信号K0であり、縦軸は検出信号K0に対応して設定する駆動電流Idである。駆動電流Idの設定値は、検出信号K0に対して非線形であり、検出信号K0が小さいと駆動電流Idの設定値は大きくなり、検出信号K0が大きくなると駆動電流Idの設定値は小さくなる。制御回路50が検出信号K0に基づいて、このルックアップテーブル53を参照することで、レーザ素子10の駆動電流Idに対する基本波LS1の光強度が非線形であったとしても、ルックアップテーブル53によって補正し、変動の少ない安定した出射光LS5を出射することが可能となる。
このように、ルックアップテーブル53を用いることで、レーザ素子10の経時変化による出射特性が、どのような非線形で変化しても、その非線形特性をルックアップテーブル53に記憶させることで、出射光LS5を高精度に補正することができる。また、基本波LS1の光強度の変動は、前述したようにレーザ素子10単体の出射特性を示しているので、基本波LS1の光強度を検出することで、他の光学素子の特性に影響されることなく、レーザ素子10単体に対して高精度な補正を実施でき、長期間安定したレーザ光を出
射するレーザ光源装置を提供できる。なお、基本波検出のタイミング動作は、後述する第2の実施形態で説明する。
[第1の実施形態のレーザ光源装置の変換波検出による変換波補正説明:図1、図5]
次に、変換波LS4の光強度検出によって、SHG素子20、FBG素子30の温度特性などによる変動を補正する動作を図5のフローチャートを用いて説明する。なお、レーザ光源装置1の構成は、図1を参照する。
図5において、制御回路50の発振切換回路51は、−2Vのバイアス電圧Vbを出力し、駆動電流制御回路52は所定の値の駆動電流Idhを出力して、レーザ素子10からパルス波LS2を出射する(ステップST10)。これにより、レーザ光源装置1は、変換波LS4を出射光LS5として出射する。
次にPD40は、検出光LS6を入射して、変換波LS4の光強度に応じた検出信号K0を出力する(ステップST11)。このときFBG素子30で反射されなかった一部の基本波のもれが同時にPD40に入るが、大部分は変換波LS4となるため、PD40に波長選択性がなくても出射光LS5を変換波LS4とみなすことができる。
次に制御回路50は検出信号K0を入力し、検出信号K0が予め定められた所定の範囲内であるかを判定する(ステップST12)。ここで、検出信号K0が所定の範囲内であれば、ステップST13に進み、所定の範囲外であれば、ステップST14に進む。
次に、ステップST12の判定で、検出信号K0が所定の範囲内であれば、駆動電流Idを変化させずに所定の一定値として、ステップST17に進む(ステップST13)。
また、ステップST12の判定で、検出信号K0が所定の範囲外であれば、検出信号K0が減少方向であるか否かを判定する(ステップST14)。ここで、検出信号K0が減少方向であれば(肯定判定)、ステップST15に進み、検出信号K0が増加方向であれば(否定判定)、ステップST16に進む。
次に、ステップST14が肯定判定であれば、駆動電流Idを所定量だけ増加してステップST17に進む(ステップST15)。
また、ステップST14が否定判定であれば、駆動電流Idを所定量だけ減少してステップST17に進む(ステップST16)。
次に、制御回路50は、ステップST13、ST15、ST16の各ステップで決定した駆動電流Idを駆動電流制御回路52から出力し、LD11を駆動して変換波LS4である出射光LS5の光強度を調整して変動を補正する(ステップST17)。このようにして、出射光LS5が、SHG素子20またはFBG素子30の温度特性などで変動しても、PD40による検出信号K0に応じて駆動電流Idを調整できるので、出射光LS5の変動を補正して、変動の少ない安定した出射光LS5を出射することが可能となる。なお、変換波検出のタイミング動作は、後述する第2の実施形態で説明する。
以上のように、本発明のレーザ光源装置によれば、基本波と変換波の検出を分離して実施することで、SHG素子20とFBG素子30の特性の影響を取り除き、レーザ素子10単体の出射特性を把握することが出来る。この結果、レーザ素子10単体の経時変化による劣化特性を補正する制御と、SHG素子20とFBG素子30による温度特性などによる変動を補正する制御とを個別に実施することで、出射光の出射レベルをきめ細かく調整して、長期間安定したレーザ光を出射する高性能なレーザ光源装置を提供できる。
また、基本波の検出を波長分布が狭く、且つ、ピーク波長が検出に十分な大きさである連続波で行うことが出来るので、基本波の検出が容易であり、基本波の出射レベルを高精度に検出できるため、出射光の変動を高精度に補正するレーザ光源装置を実現できる。
また、レーザ素子10に印加するバイアス電圧Vbによって連続発振とパルス発振を選択して、出射光を基本波と変換波に切り換えることが出来る。これにより、出射光LS5を検出する検出素子を本実施形態のように一つで構成することも可能である。
なお、第1の実施形態として示したレーザ光源装置は、緑色(G)のレーザ光を出射する光源装置として説明したが、出射するレーザ光の色は緑色に限定されず、青色(B)、または赤色(R)でもよい。すなわち、FBG素子30の反射波長W3と、SHG素子20の位相整合の波長(すなわち、変換波LS4の波長W4)を変えることで、様々な波長を安定して出射するレーザ光源装置を実現できる。
[第1の実施形態の変形例のレーザ光源装置の構成説明:図6]
次に、第1の実施形態の変形例であるレーザ光源装置の構成を図6を用いて説明する。この変形例は、レーザ光を検出する検出素子が複数、具体的には2個によって構成されることを特徴とし、二つの検出素子とその周辺の構成以外は、前述した第1の実施形態の構成(図1参照)と同様であるので、図6では、二つの検出素子とその周辺の構成のみについて図示し、図1と同一要素には、同一番号を付して説明する。
図6において、第1の実施形態の変形例のレーザ光源装置1´のFBG素子30から出射される出射光LS5は、ミラー41に入射し、ミラー41は大部分の出射光LS5を透過して外部に出射すると共に、出射光LS5の一部を反射して検出光LS6として出射する。ここで、符号42、43は、二つの検出素子である(以下、PD42、PD43と略す)。
このPD42、PD43は、ミラー41からの検出光LS6をそれぞれ略均等に入射するように配置され、検出光LS6の光強度に応じたそれぞれの検出信号K1、K2を出力して制御回路50に入力する。ここで、一例として、PD42の入射口には基本波LS1の波長W1(図3参照)のみを透過するフィルタ42aが装着されており、PD43の入射口には変換波LS4の波長W4(図3参照)のみを透過するフィルタ43aが装着されている。
この構成によって、レーザ光源装置1´が基本波モードであるときは、前述したように、出射光LS5は基本波LS1であるので、PD42がフィルタ42aを透過した基本波LS1を入射し、基本波LS1の光強度に応じた検出信号K1を出力して制御回路50に入力する。また、レーザ光源装置1´が変換波モードであるときは、出射光LS5は変換波LS4であるので、PD43がフィルタ43aを透過した変換波LS4を入射し、変換波LS4の光強度に応じた検出信号K2を出力して制御回路50に入力する。
制御回路50は、基本波モードにおいて検出信号K1を入力し、図4のフローチャートと同様に、検出信号K1に応じて駆動電流Idを決定し、レーザ素子10単体の経時変化による劣化特性を補正して出射光LS5の変動を安定させる。また、制御回路50は、変換波モードにおいて検出信号K2を入力し、図5のフローチャートと同様に、検出信号K2に応じて駆動電流Idを決定し、SHG素子20とFBG素子30による温度特性などによる変動を補正して出射光LS5の変動を安定させる。
以上のように、第1の実施形態の変形例のレーザ光源装置1´は、レーザ光を検出する
検出素子がPD42、PD43の2つ必要であるが、それぞれに装着されるフィルタ42a、43aによって、基本波LS1と変換波LS4を独立して個別に検出するので、より高精度な検出が可能となり、出射光LS5の出射レベルをきめ細かく高精度に補正するレーザ光源装置を提供できる。
[第2の実施形態のレーザ・プロジェクタの構成説明:図7]
次に、第2の実施形態として、本発明の第1の実施形態のレーザ光源装置を用いたレーザ・プロジェクタの概略構成を図7を用いて説明する。図7において、レーザ・プロジェクタ100は、第1の実施形態のレーザ光源装置1、レーザ光源装置1を制御する制御手段としての制御部110、レーザ光源装置1からの出射光をコリメータレンズ120に伝達する光ファイバ130、コリメータレンズ120によって集光されたレーザ光121を水平または垂直に走査する走査手段140、走査手段140を駆動する走査ドライバ150、走査手段140に走査されるレーザ光121の走査領域の周囲を遮光する遮蔽部160から構成される。
また、レーザ・プロジェクタ100がカラー画像を表示する場合、レーザ光源装置1は、図示しないが、RGBの3種類の波長のレーザ光を出射する3台によって構成され、それぞれのRGBレーザ光が合成されて光ファイバ130に入射される。なお、光ファイバ130から出射されるレーザ光121は、第1の実施形態の出射光LS5に相当する。また、符号170はスクリーンであり、その表示領域171上に、遮蔽部160の開口部161を透過するレーザ光121が照射されて、投影スポット122として画像が形成される。
制御部110は、外部からビデオ信号V1を入力し、RGBのレーザ光をそれぞれ出射する3台のレーザ光源装置1の各レーザ光の光強度をビデオ信号V1に応じて制御する制御信号C1と、走査ドライバ150を制御する走査制御信号C2を出力する。
走査手段140は、MEMSミラー141が用いられ、走査ドライバ150によって水平方向(以後、X方向と記す)および垂直方向(以後、Y方向と記す)に揺動可能であって、X方向には約20KHzで共振駆動され、X方向の走査角は時間に対して正弦波状に変化する。また、Y方向には鋸波状の強制駆動により60Hzで駆動されて、その走査角は鋸波状に変位する。
従って、レーザ光121は、X方向には表示する画像の1ライン分の走査を高速で繰り返すと共に、Y方向には表示する画像の1画面の走査が低速で行われる。この走査手段140の駆動方式は静電方式、電磁方式、ピエゾ方式等があり、さらに水平走査と垂直走査で異種方式を組み合わせたものであってもかまわない。
すなわち、レーザ光121は、走査手段140のX方向とY方向の走査角変位によって、最上部の最初のX方向の1ライン走査から、最下部の最後のX方向の1ライン走査まで正弦波で描きながらY方向に移動し、そして、最上部の最初のX方向の1ライン走査に戻る動作を繰り返して、画面単位で画像を形成するように構成されている。
[第2の実施形態のレーザ・プロジェクタによるレーザ光の走査説明:図8]
次に、第2の実施形態のレーザ・プロジェクタ100による走査によって投影されるレーザ光の軌跡を図8を用いて説明する。なお、レーザ・プロジェクタ100の構成は図7を参照する。
図8において、MEMSミラー141のXY方向の揺動によって、レーザ光の投影スポ
ット122は、矢印H1方向に走査して、点線及び実線で示した軌跡Lを形成する。ここで、投影スポット122の軌跡Lは、遮蔽部160の周辺部162を走査しているとき(点線で示す軌跡)は遮光され、遮蔽部160の開口部161を走査しているとき(実線で示す軌跡)は、スクリーン170の表示領域171(図7参照)に到達し画像を表示する。
すなわち、走査による投影スポット122の軌跡Lは、図8の点P1を始点として周辺部162の中を点線で示す正弦波として移動し、遮蔽部160の開口部161の点P2から開口部161の中の軌跡は、例えば、軌跡La1、La2は、実線で示すような正弦波の軌跡を形成し、周辺部162の中の軌跡は、例えば、軌跡Lb1、Lb2は、点線で示すような正弦波の軌跡を形成し、それぞれが周期的に繰り返し、点P3で開口部161の中の走査を終了して、周辺部162で遮蔽されて点線で示す軌跡を描き最下端の点P4に到る。
そして、上方への戻りの正弦波の軌跡に沿って、開口部161を粗い点線で示す軌跡Lc1、Lc2で通過して、上方の始点P1に戻る。この動作によって1画面の描画が終了する。以上の動作を繰り返し、投影スポット122の軌跡Lが遮蔽部160の開口部161の中を走査することで、スクリーン170の表示領域171に連続した画像を表示することが出来る。なお、図8においては、説明を分かりやすくするために、走査本数を少なくして説明しているが、実際のY方向の走査本数は、一例として600本程度ある。
ここで、MEMSミラー141の走査角度は、投影スポット122の軌跡LのX方向の最大走査振幅A1にMEMSミラー141のX方向最大走査角α1が相当し、Y方向の最大走査振幅B1にY方向最大走査角β1(図示せず)が相当する。
また、遮蔽部160の開口部161は、X方向表示幅A2とY方向表示幅B2により形成され、この領域がスクリーン170(図7参照)の表示領域171に画像を表示形成する。そして、開口部161のX方向表示幅A2とMEMSミラー141のX方向表示走査角α2が一致し、Y方向表示幅B2とY方向表示走査角β2(図示せず)が一致する。
すなわち、X方向のレーザ光121は正弦波状に走査角が変化するから、X方向の最大走査角α1近傍の走査速度がゼロに近い領域の光、例えば、点線で示した軌跡Lb1、Lb2の光は、遮蔽部160の周辺部162によって遮蔽されてスクリーン170に投射スポット122が到達せず、画像は表示されない。また、X方向表示走査角α2内の走査速度の変化が少ない領域の光、例えば、実線で示した軌跡La1、La2の光は、スクリーン170の表示領域171に画像を表示するように構成される。
なお、X方向最大走査角α1に対するX方向表示走査角α2の比は所定の割合で設定可能であって、例えば表示走査角α2の最大走査角α1に対する比を0.75以上として遮蔽することが望ましい。
ここで、第2の実施形態のレーザ・プロジェクタの特徴とするところは、投射スポット122の軌跡Lが、遮蔽部160の周辺部162の両端で遮光されている間の時間、すなわち、上述した軌跡Lb1、Lb2の点線で示した部分を走査している時間(最大走査角α1近傍の時間)、及び、軌跡Lが点P4から点P1まで戻るブランキング期間を有効に活用して、変換波と基本波の検出を行うことである。
[第2の実施形態のレーザ・プロジェクタによるレーザ光の検出タイミングの説明:図9]
次に、第2の実施形態に係わるレーザ・プロジェクタのレーザ光の変換波と基本波の検
出タイミングを図9を用いて説明する。なお、レーザ・プロジェクタ100は、R光、G光、B光のレーザ光をそれぞれ出射する3台のレーザ光源装置1を用いるが、ここでは、説明を分かりやすくするために、1台のレーザ光源装置を例として説明する。
図9(a)は、1画面分の描画において、スクリーン170(図7参照)の表示領域171の上部が暗く、下部に行くに従って明るくなる画像を例として、輝度信号の時間的変化を示すグラフであり、縦軸はレーザ光121による輝度Qを表し、横軸は時間軸tである。なお、以下の全てのグラフの横軸は時間軸tである。ここで、輝度Qは輝度信号に基づいて、直線的に上昇する。
図9(b)は、輝度信号に基づきLD11への駆動電流Id(図1参照)の制御の時間的変化を示し、縦軸が駆動電流Idのグラフである。この駆動電流Idは、後述する1走査表示期間Ta1、Ta2・・・Ta9、Ta10で輝度信号に基づいた輝度Q1、Q2・・・Q9、Q10を得るための駆動電流Id1、Id2・・・Id9、Id10が流れ、後述する1走査ブランキング期間Tb1、Tb2・・・Tb9では、表示するための駆動電流は流れないように制御される。
図9(c)は、レーザ光121をX方向に走査するためのMEMSミラー141のX方向の走査角の時間的変化を示し、縦軸が走査角αのグラフである。
図9(d)は、レーザ光121をY方向に走査するためのMEMSミラー141のY方向の走査角の時間的変化を示し、縦軸が走査角βのグラフである。
図9(e)は、レーザ素子10のSA12に印加するバイアス電圧Vbを示している。また、図9(f)は、変換波の検出を行うタイミングを示しており、図9(g)は、基本波の検出を行うタイミングを示している。
以下、図8の投影スポット122の軌跡Lの各点P1、P2、P3、P4と対比しながら図9において、MEMSミラー141の走査角α、β、駆動電流Id、輝度Q、バイアス電圧Vb、変換波LS4と基本波LS1の検出タイミングを時間軸に沿って説明する。
はじめに、図8と図9(d)において、点Pと時間軸tの関係について説明する。時間軸t上の時間t1、t2、t3、t4、t5=t1は、1画面を表示する時間の1画面描画期間Fであり、遮蔽部160上の点P1、P2、P3、P4、P5=P1のY方向変位が鋸波状に周期的に繰り返すように構成され、1周期で1画面が形成されることを示している。
そして、時間t1〜t2における点P1〜P2は、遮蔽部160の周辺部162の上部でレーザ光121が遮蔽される上部ブランキング期間TB1である。また、時間t2〜t3における点P2〜P3は、遮蔽部160の開口部161を投影スポット122が透過してスクリーン170の表示領域171に表示可能な1画面表示期間TSである。また、時間t3〜t4における点P3〜P4は、遮蔽部160の周辺部162の下部でレーザ光121を遮蔽する下部ブランキング期間TB2であり、時間t4〜t5(t1)における点P4〜P5(P1)は、下方に走査した投射スポット122を再び上方に戻すための戻りブランキング期間TB3である。
この戻りブランキング期間TB3は、投影スポット122が開口部161を透過する期間(図8の粗い点線Lc1、Lc2参照)である。そして、Y方向の走査角に関して、Y方向最大走査角β1は、図8で示した点P1から点P4のY方向の最大走査振幅B1に相当し、Y方向表示走査角β2は、図8で示した点P2から点P3のY方向表示幅B2に相
当する。
また、図9(c)において、X方向の走査角αは、正弦波状に周期的に繰り返し変化し、例えば、時間t1〜t2の間隔が一周期の正弦波で構成されている。そして、その周期の半分の間隔が1走査期間Ts1に相当する。そして、その1走査期間Ts1は、1走査表示期間Ta1と1走査ブランキング期間Tb1から構成され、次の1走査期間Ts2は、1走査表示期間Ta2と1走査ブランキング期間Tb2から構成され、1画面表示期間TSの終わりで、1走査ブランキング期間Tb9、1走査表示期間Ta10に至る。従って、1走査期間Ts1と次の1走査期間Ts2で正弦波の1周期が構成され、X方向の走査は、この繰り返しにより形成される。
この1走査表示期間Ta1、Ta2と1走査ブランキング期間Tb1、Tb2は、図8の軌跡Lの一部分である軌跡La1(実線)、Lb1(点線)、La2(実線)、Lb2(点線)を投影スポット122が通る期間に相当して、それを繰り返すことで1画面が形成される。そして、X方向の走査角に関して、図9(c)のX方向最大走査角α1は、図8で示したX方向の最大走査振幅A1に相当し、X方向表示走査角α2は、図8で示したX方向表示幅A2に相当する。
次に、図9(e)において、レーザ素子10のSA12に印加されるバイアス電圧Vbは、戻りブランキング期間TB3に0Vとなり、上部ブランキング期間TB1と1画面表示期間TSと下部ブランキング期間TB2に約−2Vとなるように制御回路50の発振切換回路51(図1参照)が制御する。この制御によって、前述したように、バイアス電圧Vbが0Vの期間は、出射光LS5は連続した基本波LS1となり、バイアス電圧Vbが約−2Vの期間は、出射光LS5は変換波LS4となる。すなわち、戻りブランキング期間TB3においては基本波LS1が出射され、他の期間においては、変換波LS4が出射されるのである。
この制御によって、1画面表示期間TSにLD11へ所定の駆動電流Idが流れると、駆動電流Idの大きさに応じた変換波LS4が出射され、レーザ光121となって、スクリーン170に画像を表示することが出来る。なお、変換波LS4の波長が、前述したように532nmのG光であれば、スクリーン170には緑色の画像が表示される。また、戻りブランキング期間TB3に駆動電流Idが流れても、レーザ光源装置1からは、赤外光の基本波LS1が出射されるので、投影スポット122が開口部161を軌跡Lc1、Lc2として通過しても、スクリーン170上で見えることがない。
また、図9(f)において、変換波LS4の出射レベルを検出するためのタイミングThは、変換波LS4が出射される1画面表示期間TSの中で、一例として、投影スポット122が遮蔽部160の周辺部162を走査しているときの軌跡Lb1の期間、すなわち、1走査ブランキング期間Tb1で行われる。このタイミングTh期間に、駆動電流Idh(図9(b)参照)をレーザ素子10に供給し、その時の出射光LS5の出射レベルをPD40が検出する。これにより、レーザ光源装置1の制御回路50は、変換波LS4の出射レベルを把握して、変換波LS4を補正するためのデータを取得することができる。すなわち、この変換波LS4の検出タイミングThにおいて、第1の実施形態の図5で説明した変換波補正動作が行われる。
また、駆動電流Idhがレーザ素子10に供給されることで、レーザ光源装置1から変換波LS4が出射されるが、前述したように、変換波LS4の検出タイミングThは、投影スポット122が遮蔽部160の周辺部162を走査している1走査ブランキング期間Tb1に行われるので、変換波LS4は、遮蔽部160によって遮蔽されてスクリーン170上では見えず、表示画像に影響を及ぼすことがない。
なお、図9(f)では、変換波LS4の検出タイミングは、1画面表示期間TSの中で、1回のみ(すなわち、Tb1)として示しているが、これに限定されず、検出タイミングThは繰り返される1走査ブランキング期間Tbにおいて複数回あってもよい。また逆に、1画面表示期間TSの毎回ではなく、ある程度の間隔を置いて変換波LS4の検出を行ってもよい。
また、図9(g)において、基本波LS1の出射レベルを検出するためのタイミングTkは、戻りブランキング期間TB3の中の所定の期間に行われる。このタイミングTk期間に、駆動電流Idk(図9(b)参照)をレーザ素子10に供給し、その時の出射光LS5の出射レベルをPD40が検出する。これにより、レーザ光源装置1の制御回路50は、基本波LS1の出射レベルを把握して、基本波LS1を補正するためのデータを取得することができる。すなわち、この基本波LS1の検出タイミングTkにおいて、第1の実施形態の図4で説明した基本波補正動作が行われる。
また、この戻りブランキング期間TB3に基本波検出のための駆動電流Idkがレーザ素子10に供給されても、前述したように、レーザ光源装置1からは、赤外光の弱い基本波LS1が出射されるだけなので、スクリーン170上では見えず、表示画像に影響を及ぼすことがない。
以上のように、第2の実施形態のレーザ・プロジェクタは、レーザ光源装置1からのレーザ光が水平走査によって遮蔽部160で遮蔽されている1走査ブランキング期間Tbに変換波LS4の検出を行い、また、レーザ光源装置1からのレーザ光の垂直走査の戻りブランキング期間TB3に基本波の検出を行うように構成される。この結果、各検出電流による出射光が、表示画像に影響を与えることがないと共に、変換波と基本波を個別に検出することが出来る。これにより、各光学素子の経時変化や温度特性等による出射光の変動を補正して、常に安定した美しい映像を表示する小型のレーザ・プロジェクタを提供することが出来る。
なお、本発明の実施形態で示した構成図やフローチャート等は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を満たすものであれば、任意に変更してよい。また、第2の実施形態のレーザ・プロジェクタの走査手段は、MEMSミラー方式として例示したが、走査手段の方式は限定されず、どのような方式による走査手段であっても、本発明は適応される。
1、1´ レーザ光源装置
10 レーザ素子
11 LD(レーザダイオード)
12 SA(可飽和吸収体)
20 SHG素子(波長変換素子)
30 FBG素子(FBG型反射素子)
40、42、43 PD(検出素子)
41 ミラー
42a、43a フィルタ
50 制御回路
51 発振切換回路
52 駆動電流制御回路
53 ルックアップテーブル
100 レーザ・プロジェクタ
110 制御部
120 コリメータレンズ
121 レーザ光
122 投影スポット
130 光ファイバ
140 走査手段
141 MEMSミラー
150 走査ドライバ
160 遮蔽部
161 開口部
162 周辺部
170 スクリーン
171 表示領域
LS1 基本波(基本波レーザ光)
LS2 パルス波
LS3 反射波
LS4 変換波
LS5 出射光
LS6 検出光
Id 駆動電流
Vb バイアス電圧
C1 制御信号
C2 走査制御信号
K0、K1、K2 検出信号

Claims (3)

  1. レーザ素子と、
    前記レーザ素子からのレーザ光の波長を変換して出射する波長変換素子と、
    を有するレーザ光源装置において、
    前記レーザ素子の駆動を制御する制御手段と、
    前記波長変換素子からの出射光を検出する検出手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記レーザ素子の発振状態を切り換える発振状態切り換え手段を含み、
    前記発振状態切り換え手段は、前記レーザ素子の発振状態をパルス発振と連続発振に切り換えるものであり、
    前記検出手段は、ひとつの検出素子によって、前記レーザ素子がパルス発振状態である場合には、前記レーザ光の変換波を検出し、前記レーザ素子が連続発振状態である場合には、前記レーザ光の基本波を検出し、
    前記制御手段は、前記検出手段からの前記基本波の検出情報および前記変換波の検出情報に基づいて、前記レーザ素子の駆動を制御する、ことを特徴とするレーザ光源装置。
  2. 請求項1に記載のレーザ光源装置と、
    前記レーザ光源装置を制御する制御手段と、
    前記レーザ光源装置からのレーザ光を水平または垂直に走査する走査手段と、
    前記レーザ光のうち、前記走査手段による走査角の最大走査角に対する比が、所定の割合以上となる光を遮蔽する遮蔽部と、を備え、
    前記制御手段は、水平走査期間に前記レーザ光源装置からの前記変換波を検出し、
    垂直走査期間に前記レーザ光源装置からの基本波を検出するように制御することを特徴とするレーザ・プロジェクタ。
  3. 前記制御手段は、前記水平走査期間の中で、前記レーザ光が前記遮蔽部で遮蔽されている間に前記変換波の検出を行うことを特徴とする請求項に記載のレーザ・プロジェクタ。
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