JP6008310B2 - ゴム組成物及び該ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤ - Google Patents

ゴム組成物及び該ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、ゴム組成物及び該ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤに関する。
タイヤトレッドには、主に低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能などの性能を高レベルで付与することが要求され、これらの性能の改善方法について種々の検討がなされている。
例えば、低燃費性の改善方法として、ポリマー末端にフィラーと親和性のある官能基を導入することが知られ、また、耐摩耗性を改善する方法として、分子量25万以上の高分子量ポリマーを、ウェットグリップ性能を改善する方法として、高ガラス転移温度(Tg)のポリマーを使用することが知られている。
しかしながら、フィラーと親和性のある官能基を導入する方法、高分子量ポリマーを用いる方法、スチレン量を高めて高Tgとしたポリマーを用いる方法を採用しても、ゴム組成物の硬度が上昇し、加工性が悪化するという問題がある。
特許文献1には、軟化点−20〜45℃の液状樹脂及び特定のシリカを配合することで、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能を改善したタイヤ用ゴム組成物が開示されているが、加工性を良好にしながら、これらの性能をバランス良く改善することは未だ改善の余地がある。
特開2013−053296号公報
本発明は、前記課題を解決し、良好な加工性を得ながら、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能をバランス良く改善したゴム組成物及び該ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、共役ジエン系単量体と下記式(1)で表される化合物とを共重合して合成される共重合体と、カーボンブラック及び/又はシリカとを含有するゴム組成物に関する。
Figure 0006008310
(式(1)中、R11及びR12は、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
前記共重合体は、構成単位100質量%中、前記共役ジエン系単量体単位の含有量が5〜95質量%、前記式(1)で表される化合物単位の含有量が5〜95質量%であることが好ましい。
前記共重合体は、乳化重合して合成され、重量平均分子量5,000〜2,000,000、分子量分布2.1〜11であることが好ましい。
前記R11及びR12がエチル基であることが好ましい。
前記共役ジエン系単量体が1,3−ブタジエンであることが好ましい。
前記共重合体は、更に下記式(2)で示される化合物を乳化重合して合成されるもので、かつ構成単位100質量%中、該共重合体単位の含有量が1〜50質量%であることが好ましい。
Figure 0006008310
(式(2)中、R21は、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜8の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、R22は、水素原子又はメチル基を表す。)
前記共重合体は、連鎖移動剤として、フィラーと親和性のある官能基及びメルカプト基を有する化合物を用いて合成されるものであることが好ましい。
本発明はまた、前記ゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、共役ジエン系単量体と上記式(1)で表される化合物とを共重合して合成される共重合体と、カーボンブラック及び/又はシリカとを含有するゴム組成物であるので、良好な加工性を得ながら、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能をバランス良く改善したトレッドを有する空気入りタイヤを提供できる。
本発明のゴム組成物は、共役ジエン系単量体と上記式(1)で表される化合物とを共重合して合成される共重合体と、カーボンブラック及び/又はシリカとを含有する。単量体成分として、共役ジエン系単量体の他に、更に上記式(1)で表される化合物を共重合して得られる共重合体と、カーボンブラック及びシリカとを用いることで、未加硫ゴム組成物で良好な加工性が得られると同時に、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能がバランス良く改善され、これらの性能バランスに優れたゴム組成物を提供できる。
本発明のゴム組成物は、共役ジエン系単量体と上記式(1)で表される化合物とを共重合して合成される共重合体と、カーボンブラック及び/又はシリカとを含有する。
前記共重合体は、構成単位として、共役ジエン系単量体に基づく単量体単位を有している。共役ジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられ、なかでも、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記共重合体において、共役ジエン系単量体単位の含有量は、該共重合体を構成する構成単位100質量%中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。また、該含有量は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。5質量%未満であると、耐摩耗性が低下するおそれがあり、95質量%を超えると、低燃費性が低下するおそれがある。
前記共重合体は、構成単位として、下記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位を有する。
Figure 0006008310
(式(1)中、R11及びR12は、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
11及びR12の炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。なかでも、脂肪族炭化水素基が好ましい。炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10である。
11及びR12の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、1〜10のものがより好ましい。好ましい例として、アルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。なかでも、良好な加工性を得ながら、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の性能バランスを顕著に改善できる点から、メチル基、エチル基が好ましく、エチル基がより好ましい。
脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜8のものが好ましく、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜10のものが好ましく、具体的には、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル(tolyl)基、キシリル(xylyl)基、ナフチル基等が挙げられる。なお、トリル基及びキシリル基におけるベンゼン環上のメチル基の置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置でもよい。
上記式(1)で表される化合物として、具体的には、例えば、イタコン酸、イタコン酸1−メチル、イタコン酸4−メチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸1−エチル、イタコン酸4−エチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸1−プロピル、イタコン酸4−プロピル、イタコン酸ジプロピル、イタコン酸1−ブチル、イタコン酸4−ブチル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸1−エチル4−メチル等が挙げられる。なかでも、良好な加工性を得ながら、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の性能バランスを顕著に改善できる点から、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、イタコン酸1−プロピルが好ましく、イタコン酸ジエチルがより好ましい。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記共重合体において、上記式(1)で表される化合物単位の含有量は、該共重合体を構成する構成単位100質量%中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。また、該含有量は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。5質量%未満であると、低燃費性が低下するおそれがあり、95質量%を超えると、耐摩耗性が低下するおそれがある。
前記共重合体は、構成単位として、下記式(2)で表される化合物に基づく単量体単位を有することが好ましい。上記共重合体が、上記構成単位に加えて、下記式(2)で表される化合物に基づく単量体単位(好ましくはスチレン)を有することにより、ウェットグリップ性能、耐摩耗性をより顕著に改善でき、良好な加工性を得ながら、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の性能バランスをより顕著に改善できる。
Figure 0006008310
(式(2)中、R21は、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜8の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、R22は、水素原子又はメチル基を表す。)
上記式(2)で表される化合物において、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3のアルキル基が挙げられ、なかでもメチル基が好ましい。
上記式(2)で表される化合物において、炭素数3〜8の脂環式炭化水素基としては、上記式(1)で表される化合物と同様のものが挙げられる。
上記式(2)で表される化合物において、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、上記式(1)で表される化合物と同様のものが挙げられ、反応性が高い点で、フェニル基、トリル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
21としては、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基が好ましく、R22としては、水素原子が好ましい。
上記式(2)で表される化合物としては、例えば、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、α−ビニルナフタレン、β−ビニルナフタレン、ビニルキシレン等が挙げられ、なかでも反応性が高い点で、スチレン、α−メチルスチレン、α−ビニルナフタレン、β−ビニルナフタレンが好ましく、スチレンがより好ましい。
前記共重合体中において、上記式(2)で表される化合物単位の含有量は、前記共重合体を構成する構成単位100質量%中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。また、該含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。上記範囲内であると、本発明の効果を充分に発揮できる。
上記共重合体中において、上記式(1)で表される化合物単位及び上記式(2)で表される化合物単位の合計含有量は、上記共重合体を構成する構成単位100質量%中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、特に好ましくは15質量%以上である。また、該含有量は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、特に好ましくは40質量%以下、最も好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、本発明の効果を充分に発揮できる。
なお、前記共重合体において、上記共役ジエン系単量体単位、上記式(1)又は(2)で表される化合物単位等、各種単量体単位の含有量は、NMR(ブルガー社製)により測定できる。
前記共重合体の共重合方法としては、特に限定されず、溶液重合法、乳化重合法、気相重合法、バルク重合法などが挙げられるが、高収率で共重合体が得られるという点で、乳化重合が好ましい。
乳化重合としては、公知の乳化重合で合成される。例えば、乳化剤を用いて共重合体を構成する単量体成分のジエン系単量体、上記式(1)、必要に応じて(2)で表される化合物を水中に乳化させ、得られた乳化液にラジカル開始剤を添加してラジカル重合する工程を含む製造方法により好適に得られる。
乳化液は、乳化剤を用いて公知の方法で乳化することで調製できる。乳化剤としては特に限定されず、公知の材料を使用でき、例えば、脂肪酸塩、ロジン酸塩などが挙げられる。脂肪酸塩、ロジン酸塩としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸などのカリウム塩又はナトリウム塩などが挙げられる。
乳化重合は、ラジカル重合開始剤を用いる公知の方法で実施できる。ラジカル重合開始剤としては特に限定されず、公知の材料を使用でき、例えば、パラメンタンヒドロペルオキシドなどのレドックス系開始剤、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、などが挙げられる。
乳化重合の温度は使用するラジカル開始剤の種類によって適宜調整すればよいが、好ましくは−30〜50℃、より好ましくは−10〜20℃である。
乳化重合の停止は、重合系に重合停止剤を添加することによって行われる。重合停止剤としては特に限定されず、公知の材料を使用することができ、例えば、N,N’−ジメチルジチオカルバメート、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキノンなどが挙げられる。
本発明における共重合体は、連鎖移動剤の存在下で乳化重合を行って調製されるものが好ましい。これにより、加工性、低燃費性及び耐摩耗性が更に改善される。
なお、連鎖移動剤とは、ポリマー生長末端に作用してポリマーの生長を停止するとともに、新たな重合開始ラジカルを発生することができるラジカル重合の制御剤である。これにより、ポリマーの分子量、分子量分布の制御(低分子量化、狭分子量分布化)や、ポリマー末端構造の制御などが可能となる。
上記連鎖移動剤としては、例えば、n−オクチルメルカプタン、n−ノニルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン等が挙げられ、なかでも分子量の制御が容易という点で、t−ドデシルメルカプタンが好ましい。
また、上記連鎖移動剤としては、フィラーと親和性のある官能基及びメルカプト基を有する化合物を好適に用いることができる。連鎖移動剤として、メルカプト基と共に、更に、フィラーと親和性のある官能基を有する化合物を使用することにより、ポリマー末端にフィラーと親和性のある官能基を導入でき、低燃費性、耐摩耗性をより顕著に改善できる。フィラーと親和性のある官能基としては、アミノ基、アミド基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エステル基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ニトリル基、ピリジル基などが挙げられる。なかでも、アルコキシシリル基、エステル基が好ましく、アルコキシシリル基がより好ましい。なお、ここで、フィラーとは、カーボンブラック、シリカ等の補強用充填剤を意味する。
エステル基を有する化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸エチル、3−メルカプトプロピオン酸プロピル、3−メルカプトプロピオン酸ブチル、3−メルカプトプロピオン酸ペンチル、3−メルカプトプロピオン酸ヘキシル、3−メルカプトプロピオン酸ヘプチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル、メルカプトエタン酸2−エチルヘキシル、メタン酸2−メルカプトエチル、エタン酸2−メルカプトエチル、プロピオン酸2−メルカプトエチル、ブタン酸2−メルカプトエチル、ペンタン酸2−メルカプトエチル、ヘキサン酸2−メルカプトエチル、ヘプタン酸2−メルカプトエチル、オクタン酸2−メルカプトエチル、オクタン酸2−メルカプトメチルを好適に用いることができる。なかでも、3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル、オクタン酸2−メルカプトエチルが好ましい。
アルコキシシリル基を有する化合物としては、下記式(3)で表される化合物を好適に用いることができる。これにより、低燃費性、耐摩耗性をより顕著に改善できる。
Figure 0006008310
(式(3)中、R31〜R33は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基、又は−O−(R35−O)−R36(z個のR35は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。z個のR35はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R36は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。zは1〜30の整数を表す。)で表される基を表し、少なくとも1つが分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基である。R31〜R33はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R34は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
31〜R33は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基、又は−O−(R35−O)−R36で表される基を表し、少なくとも1つが分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基である。
31〜R33は、本発明の効果がより良好に得られるという点から、更に少なくとも1つが−O−(R35−O)−R36で表される基であることが好ましく、残りの2つが−O−(R35−O)−R36で表される基であることがより好ましい。
また、R31〜R33全てが分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜3)のアルコキシ基であることも好ましい。
31〜R33の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜5)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基などがあげられる。
31〜R33の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜3)のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトシキ基、tert−ブトシキ基、ペンチルオキシ基、へキシルオキシ基、へプチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基などがあげられる。
31〜R33の−O−(R35−O)−R36において、R35は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)の2価の炭化水素基を表す。
該炭化水素基としては、例えば、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基、炭素数6〜30のアリーレン基などがあげられる。中でも、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基が好ましい。
35の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基などがあげられる。
35の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜3)のアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基などがあげられる。
35の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜3)のアルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基などがあげられる。
35の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜15)のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基などがあげられる。
zは1〜30(好ましくは2〜20、より好ましくは3〜7、さらに好ましくは5〜6)の整数を表す。
36は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。中でも、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。
36の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜15)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基などがあげられる。
36の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜15)のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、オクタデセニル基などがあげられる。
36の炭素数6〜30(好ましくは炭素数10〜20)のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基などがあげられる。
36の炭素数7〜30(好ましくは炭素数10〜20)のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基などがあげられる。
−O−(R35−O)−R36で表される基の具体例としては、例えば、−O−(C−O)−C1123、−O−(C−O)−C1225、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1429、−O−(C−O)−C1531、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1327などがあげられる。中でも、−O−(C−O)−C1123、−O−(C−O)−C1327、−O−(C−O)−C1531、−O−(C−O)−C1327が好ましい。
34の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜5)のアルキレン基としては、例えば、R35の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基と同様の基をあげることができる。
上記式(3)で表される化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランや、下記式で表される化合物(EVONIK−DEGUSSA社製のSi363)などがあげられ、本発明の効果がより良好に得られるという点から、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、下記式で表される化合物を好適に使用でき、下記式で表される化合物をより好適に使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 0006008310
前記共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは5,000以上、より好ましくは50,000以上、更に好ましくは100,000以上、特に好ましくは300,000以上、最も好ましくは450,000以上である。また、該重量平均分子量は、好ましくは2,000,000以下、より好ましくは1,500,000以下、更に好ましくは1,000,000以下である。5,000未満であると、低燃費性及び耐摩耗性が悪化するおそれがあり、2,000,000を超えると、加工性が悪化するおそれがある。
前記共重合体の数平均分子量(Mn)に対するMwの比、すなわち分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは2.1以上、より好ましくは2.5以上、更に好ましくは3.0以上である。また、該分子量分布は、好ましくは11以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは5以下である。2.1未満であると、加工性が悪化するおそれがあり、11を超えると、低燃費性が悪化するおそれがある。
なお、Mw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用い、標準ポリスチレンより換算した値である。
前記共重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−100〜100℃、より好ましくは−70〜0℃である。上記範囲内であると、本発明の効果を充分に発揮できる。
なお、Tgは、JIS−K7121:1987に従い、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製の示差走査熱量計(Q200)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定した値である。
前記共重合体のムーニー粘度ML1+4(130℃)は、好ましくは30〜100、より好ましくは40〜80である。上記範囲内であると、本発明の効果を充分に発揮できる。
なお、ムーニー粘度(ML1+4、130℃)は、JIS−K6300に従い、130℃でムーニー粘度を測定することにより得られる値である。
前記共重合体の含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上、100質量%であってもよい。1質量%未満であると、前記共重合体の含有量が少なすぎて、本発明の効果が得られないおそれがある。
本発明において、前記共重合体と共に使用する他のゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)などのジエン系ゴムが挙げられる。これらのジエン系ゴムは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のゴム組成物は、充填剤として、カーボンブラック及び/又はシリカを含有する。
カーボンブラックとしては、タイヤ製造において一般的に用いられるものを使用することができ、例えば、SAF、ISAF、HAF、FF、FEF、GPFなどが挙げられ、これらのカーボンブラックを単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは80m/g以上、より好ましくは100m/g以上である。また、該NSAは好ましくは200m/g以下、より好ましくは150m/g以下である。カーボンブラックのNSAが80m/g未満であると、補強性が小さく、耐摩耗性が充分に改善できない傾向があり、200m/gを超えると、カーボンブラックが分散しにくくなり、低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定できる。
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、好ましくは50ml/100g以上、より好ましくは100ml/100g以上である。また、該DBPは、好ましくは200ml/100g以下、150ml/100g以下である。50ml/100g未満であると、充分な補強性が得られず、耐摩耗性が低下するおそれがあり、200ml/100gを超えると、カーボンブラックの分散性が低下し、低燃費性が悪化するおそれがある。
なお、カーボンブラックのDBPは、JIS K6217−4:2001に準拠して測定できる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは50質量部以下、30質量部以下である。1質量部未満であると、耐摩耗性が悪化するおそれがあり、50質量部を超えると、低燃費性が悪化するおそれがある。
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカのNSAは、好ましくは100m/g以上、より好ましくは150m/g以上である。また、該NSAは好ましくは300m/g以下、より好ましくは200m/g以下である。シリカのNSAが100m/g未満であると補強効果が小さく、耐摩耗性が充分に改善できない傾向があり、300m/gを超えると、シリカが分散しにくくなり、低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−81に準拠して測定できる。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。1質量部未満であると、低燃費性及び耐摩耗性が十分でない傾向があり、150質量部を超えると、シリカの分散性が悪化し加工性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、シリカとともにシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロ系等が挙げられる。なかでも、スルフィド系が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドがより好ましい。
シランカップリング剤を含有する場合、その含有量は、シリカ100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。また、該含有量は、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。1質量部未満であると、分散性の改善等の効果が十分に得られない傾向があり、20質量部を超えると、充分なカップリング効果が得られず、補強性が低下する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、前記の成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、他の補強用充填剤、老化防止剤、オイル、ワックス、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤等を適宜配合することができる。
本発明のゴム組成物は、タイヤのトレッド(キャップトレッド、ベーストレッド)、ベーストレッド、サイドウォールなどに使用することができ、特にトレッド(なかでも特にキャップトレッド)に好適である。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどのタイヤ用部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック、バスなどの重荷重用タイヤ、ライトトラック用タイヤに好適であり、それぞれのウィンタータイヤ、スタッドレスタイヤとして使用可能である。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下に製造例で用いた各種薬品について説明する。
イオン交換水:自社製
ロジン酸カリウム石鹸:ハリマ化成(株)製
脂肪酸ナトリウム石鹸:和光純薬工業(株)製
塩化カリウム:和光純薬工業(株)製
ナフタレンスルホン酸ソーダホルマリン縮合物:花王(株)製
スチレン:和光純薬工業(株)製のスチレン
1,3−ブタジエン:高千穂商事(株)製の1,3−ブタジエン
t−ドデシルメルカプタン:和光純薬工業(株)製のtert−ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤)
Si363:デグッサ社製の3−[エトキシビス(3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタコサン−1−イルオキシ)シリル]−1−プロパンチオール(連鎖移動剤、下記式で表される化合物)
Figure 0006008310
3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル:東京化成工業(株)製(連鎖移動剤)
オクタン酸2−メルカプトエチル:東京化成工業(株)製(連鎖移動剤)
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン:東京化成工業(株)製(連鎖移動剤、式(3)で表される化合物)
ハイドロサルファイドナトリウム:和光純薬工業(株)製
FeSO:和光純薬工業(株)製の硫酸第二鉄
EDTA:和光純薬工業(株)製のエチレンジアミン四酢酸ナトリウム
ロンガリット:和光純薬工業(株)製のソディウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート
重合開始剤:日油(株)製のパラメンタンヒドロペルオキシド
重合停止剤:和光純薬工業(株)製のN,N−ジエチルヒドロキシルアミン
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール:住友化学(株)製のスミライザーBHT
イタコン酸ジエチル(IDE):東京化成工業(株)製
イタコン酸ジブチル(IDB):東京化成工業(株)製
(乳化剤の調製)
イオン交換水9356g、ロジン酸カリウム石鹸1152g、脂肪酸ナトリウム石鹸331g、塩化カリウム51g、ナフタレンスルホン酸ソーダホルマリン縮合物30gを添加し70℃で2時間撹拌、乳化剤を調製した。
(製造例1)
内容積50リットルのステンレス製重合反応機を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した後に1,3−ブタジエン3500g、スチレン1500g、t−ドデシルメルカプタン5.74g、上記乳化剤9688g、ハイドロサルファイドナトリウム6.3ml(1.8M)、活性剤(FeSO/EDTA/ロンガリット)各6.3ml、重合開始剤6.3ml(2.3M)を添加し、攪拌下に10℃で3時間重合を行った。重合完了後、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン2.9g添加し、30分反応させ重合反応容器の内容物を取り出し、10gの2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを加え、水の大部分を蒸発させた後、55℃で12時間減圧乾燥し、共重合体1を得た。
(製造例2)
上記製造例1のスチレン1500gをイタコン酸ジエチル(IDE)1500gに変更した以外は同様の方法で製造し、共重合体2を得た。
(製造例3)
上記製造例1のスチレン1500gをイタコン酸ジブチル(IDB)1500gに変更した以外は同様の方法で製造し、共重合体3を得た。
(製造例4)
上記製造例1のスチレン1500gをイタコン酸ジエチル(IDE)1500g、t−ドデシルメルカプタン5.74gをSi363 6.40gに変更した以外は同様の方法で製造し、共重合体4を得た。
(製造例5)
上記製造例1のスチレン1500g中、750gをイタコン酸ジエチル(IDE)750gに変更した以外は同様の方法で製造し、共重合体5を得た。
(製造例6)
上記製造例1のスチレン1500g中、750gをイタコン酸ジエチル(IDE)750g、t−ドデシルメルカプタン5.74gをSi363 6.40gに変更した以外は同様の方法で製造し、共重合体6を得た。
(製造例7)
上記製造例1のスチレン1500gをイタコン酸ジエチル(IDE)1500g、t−ドデシルメルカプタン5.74gを3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル6.11gに変更した以外は同様の方法で製造し、共重合体7を得た。
(製造例8)
上記製造例1のスチレン1500g中、750gをイタコン酸ジエチル(IDE)、t−ドデシルメルカプタン5.74gを3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル6.11gに変更した以外は同様の方法で製造し、共重合体8を得た。
(製造例9)
上記製造例1のスチレン1500gをイタコン酸ジエチル(IDE)1500g、t−ドデシルメルカプタン5.74gをオクタン酸2−メルカプトエチル6.11gに変更した以外は同様の方法で製造し、共重合体9を得た。
(製造例10)
上記製造例1のスチレン1500g中、750gをイタコン酸ジエチル(IDE)、t−ドデシルメルカプタン5.74gをオクタン酸2−メルカプトエチル6.11gに変更した以外は同様の方法で製造し、共重合体10を得た。
(製造例11)
上記製造例1のスチレン1500gをイタコン酸ジエチル(IDE)、t−ドデシルメルカプタン5.74gを3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン6.11gに変更した以外は同様の方法で製造し、共重合体11を得た。
(製造例12)
上記製造例1のスチレン1500g中、750gをイタコン酸ジエチル(IDE)、t−ドデシルメルカプタン5.74gを3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン6.11gに変更した以外は同様の方法で製造し、共重合体12を得た。
上記製造例1〜12で製造された共重合体1〜12について、ブタジエン(共役ジエン系単量体)の含有量、イタコン酸ジエチル又はイタコン酸ジブチル(上記式(1)で表される化合物)の含有量、スチレン(上記式(2)で表される化合物)の含有量、Mw、Mw/Mn、Tg、ムーニー粘度を表1に示す。なお、これらの測定方法について、以下にまとめて説明する。
(各単量体単位の含有量)
23℃にてブルカー社製NMR装置を用いてH−NMRを測定し、そのスペクトルより求めた6.5〜7.2ppmのスチレン単位に基づくフェニルプロトンと、4.9〜5.4ppmのブタジエン単位に基づくビニルプロトンと、3.9〜4.2ppmのイソブチルビニルエーテル単位に基づくピークの比から各単量体単位の含有量を決定した。
(重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)の測定)
共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。
(ガラス転移温度(Tg)の測定)
ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に従い、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製の示差走査熱量計(Q200)を用いて昇温速度10℃/分で昇温しながら測定することにより、ガラス転移開始温度として求めた。
(ムーニー粘度(ML1+4、130℃))
JIS−K6300に従い、(株)島津製作所製のムーニー粘度計(SMV−200)を使用して、130℃で1分間予熱したのち、4分間測定してゴムのムーニー粘度(ML1+4、130℃)を測定した。
Figure 0006008310
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
ゴム成分:上記製造例1〜12で製造された共重合体1〜12
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(NSA:111m/g、DBP:115ml/100g)
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3(NSA:175m/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
<実施例及び比較例>
表2に示す配合内容に従い、硫黄および加硫促進剤を除く各種薬品を、バンバリーミキサーにて、150℃で5分間混練りした。得られた混練物に、硫黄及び加硫促進剤を添加して、オープンロールを用いて、170℃で12分間混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を、170℃で20分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物及び加硫ゴム組成物を使用して、下記の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(加工性)
各未加硫ゴム組成物について、JIS K6300に準拠したムーニー粘度の測定方法に従い、100℃で測定した。数値が小さいほど、加工性に優れる。
(低燃費性)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度30℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で各加硫ゴム組成物のtanδを測定した。tanδが小さいほど低燃費性に優れることを示す。
(ウェットグリップ性能)
各加硫ゴム組成物から調製した試験片について、レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機(ARES)を使用して、ねじりモードで、粘弾性パラメータを測定した。0℃において周波数10Hz、ひずみ1%でtanδを測定した。tanδが大きいほどウェットグリップ性能に優れることを示す。
(耐摩耗性)
ランボーン型摩耗試験機を用いて、室温、負荷荷重1.0kgf、スリップ率30%の条件で上記加硫ゴム組成物の摩耗量を測定し、下記計算式により指数表示した。数値が大きいほど耐摩耗性に優れることを示す。
(耐摩耗性指数)=(比較例1の摩耗量)/(各配合の摩耗量)×100
Figure 0006008310
表2より、本発明における共重合体2〜12を含有した実施例では、良好な加工性を得ながら、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能をバランス良く改善することが明らかとなった。

Claims (8)

  1. 1,3−ブタジエンに基づく単量体単位と下記式(1)で表される化合物に基づく単量体単位とを有する共重合体と、カーボンブラック及び/又はシリカとを含有するゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する空気入りタイヤであって、
    前記共重合体は、構成単位100質量%中、前記1,3−ブタジエン単位の含有量が30質量%以上である空気入りタイヤ
    Figure 0006008310
    (式(1)中、R11及びR12は、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)
  2. 前記共重合体は、構成単位100質量%中、前記1,3−ブタジエン単位の含有量が30〜95質量%、前記式(1)で表される化合物単位の含有量が5〜95質量%である請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記共重合体は、乳化重合して合成され、重量平均分子量5,000〜2,000,000、分子量分布2.1〜11である請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記R11及びR12がエチル基である請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記共重合体は、連鎖移動剤の存在下で乳化重合を行って調製されるものである請求項1〜4いずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記共重合体は、更に下記式(2)で示される化合物を乳化重合して合成されるもので、かつ構成単位100質量%中、該下記式(2)で示される化合物単位の含有量が1〜50質量%である請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
    Figure 0006008310
    (式(2)中、R21は、水素原子、炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜8の脂環式炭化水素基、又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、R22は、水素原子又はメチル基を表す。)
  7. 前記共重合体は、連鎖移動剤として、フィラーと親和性のある官能基及びメルカプト基を有する化合物を用いて合成されるものである請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記共重合体は、乳化重合して合成され、ガラス転移温度−100〜100℃、ムーニー粘度ML1+4(130℃)30〜100である請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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