JP2014201692A - ベーストレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】低燃費性及び耐破壊強度をバランス良く改善できるベーストレッド用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供する。【解決手段】ゴム成分と、シリカと、メルカプト基を有するシランカップリング剤とを含有し、前記ゴム成分100質量%中、炭化水素溶媒中において、ルイス塩基性化合物と共存下で、共役ジエンモノマー又は共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとをアルカリ金属系触媒を用いて重合させることにより得られるアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、イソシアヌル酸トリグリシジルに代表される化合物を反応させた変性ジエン系重合体ゴムの含有量が5質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が5〜150質量部であるベーストレッド用ゴム組成物に関する。【選択図】なし
Description
本発明は、ベーストレッド用ゴム組成物及びこれを用いて作製した空気入りタイヤに関するものである。
従来から、タイヤの転がり抵抗を低減させる技術(車の低燃費化)として、充填剤としてシリカを配合する方法が知られており、例えば、トレッドにシリカを配合することで、転がり抵抗を低減できるとともに、WETトラクション性能も同時に向上できる。また、特許文献1〜3には、窒素吸着比表面積や粒子径が異なる2種類のシリカをトレッドに配合して低燃費性などを改善する方法が開示されている。しかし、トレッドのみの改善では低燃費性の改善には限界があり、ベーストレッドにも優れた低発熱性が要求されている。
ベーストレッドは、トレッドと異なり、低燃費性の改善のために従来から粒子径の大きいカーボンブラックが使用されている。そのため、カーボンブラックの一部又は全部をシリカに置換しても、転がり抵抗の低減効果はそれほど大きくない。また、置換することで、耐破壊強度が低下するという問題もある。転がり抵抗を低減できる他の技術として、充填剤の含有量を減量する方法も知られているが、この方法でも、耐破壊強度が低下するという問題がある。そのため、低燃費性及び耐破壊強度をバランス良く改善する方法が求められている。
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性及び耐破壊強度をバランス良く改善できるベーストレッド用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分と、シリカと、メルカプト基を有するシランカップリング剤とを含有し、前記ゴム成分100質量%中、炭化水素溶媒中において、ルイス塩基性化合物と共存下で、共役ジエンモノマー又は共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとをアルカリ金属系触媒を用いて重合させることにより得られるアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、下記式(1)で表される化合物を反応させた変性ジエン系重合体ゴムの含有量が5質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が5〜150質量部であるベーストレッド用ゴム組成物に関する。
(式中、l〜nは、独立に、1〜8の整数を表す。)
前記変性ジエン系重合体ゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表される分子量分布が1.0〜1.5であることが好ましい。
前記変性ジエン系重合体ゴムのビニル結合量が、共役ジエン単位の含有量を100モル%として、10〜70モル%であることが好ましい。
前記シランカップリング剤が、下記式(I)で表されるシランカップリング剤、及び/又は下記式(II)で示される結合単位Aと下記式(III)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤であることが好ましい。
(式中、R101〜R103は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基、又は−O−(R111−O)b−R112(b個のR111は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。b個のR111はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R112は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。bは1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。R101〜R103はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R104は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
(式中、R201は水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基、又は該アルキル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを表す。R202は分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基を表す。R201とR202とで環構造を形成してもよい。)
本発明はまた、前記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、特定の変性ジエン系重合体ゴムと、シリカと、メルカプト基を有するシランカップリング剤とを配合したゴム組成物であるので、低燃費性及び耐破壊強度がバランス良く改善された空気入りタイヤを提供できる。
本発明に係る変性ジエン系重合体ゴムは、炭化水素溶媒中において、ルイス塩基性化合物と共存下で、共役ジエンモノマー又は共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとをアルカリ金属系触媒を用いて重合させることにより得られるアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して、下記式(1)で表される化合物を反応させた変性ジエン系重合体ゴムである。
(式中、l〜nは、独立に、1〜8の整数を表す。)
共役ジエンモノマーとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン(ピペリン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等をあげることができ、これらのうちでは、得られる重合体の物性、工業的に実施する上での入手性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等をあげることができ、これらのうちでは、得られる重合体の物性、工業的に実施する上での入手性の観点から、スチレンが好ましい。
炭化水素溶媒としては、アルカリ金属系触媒を失活させないものであり、適当な炭化水素溶剤としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環族炭化水素から選ばれ、特に炭素数3〜12個を有するプロパン、n−ブタン、iso−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、iso−ブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどをあげることができる。また、これらの溶剤は2種以上を混合して使用することができる。
アルカリ金属系触媒としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の金属、これらの金属を含有する炭化水素化合物又は該金属と極性化合物との錯体などをあげることができる。なお、アルカリ金属系触媒として好ましいものとしては、2〜20個の炭素原子を有するリチウム又はナトリウム化合物をあげることができ、その具体例としては、たとえば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム4−シクロペンチルリチウム、1,4−ジリチオ−ブテン−2、ナトリウムナフタレン、ナトリウムビフェニル、カリウム−テトラヒドロフラン錯体、カリウムジエトキシエタン錯体、α−メチルスチレンテトラマーのナトリウム塩などをあげることができる。
本発明で使用する前記の活性ジエン系重合体ゴムに反応させる変性化合物としては、上記式(1)で示される化合物が用いられ、l〜nは独立に1〜8の整数が好ましく、低燃費性改良のためには、l〜nがいずれも1であるイソシアヌル酸トリグリシジルが最も好ましい。
重合用モノマーとしては、共役ジエンモノマーのみを用いてもよく、共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーを併用してもよい。共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーを併用する場合の両者の比率は、共役ジエンモノマー/芳香族ビニルモノマーの重量比で50/50〜90/10が好ましく、より好ましくは55/45〜85/15である。該比が過小であると重合体ゴムが炭化水素溶媒に不溶となり、均一な重合が不可能となる場合があり、一方該比が過大であると重合体ゴムの強度が低下する場合がある。
重合に際しては、アルカリ金属系触媒、炭化水素溶媒、ランダム重合性を高める試薬、共役ジエン単位のビニル結合含有量調節剤など通常使用されているものを用いることが可能である。該共重合体の製造における重合温度は、特に制約を受けないが、通常−80℃〜150℃であり、反応速度とアルカリ金属系触媒の安定性の観点から、20〜110℃が好ましい。重合時間は特に制限されないがアルカリ金属系触媒が少なくとも24時間以内で完了する。
共役ジエン部のビニル結合含有量を調節するためには、ルイス塩基性化合物として、各種の化合物を使用し得るが、エーテル化合物又は第三級アミン化合物が、工業的実施上の入手容易性の点で好ましい。エーテル化合物としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル;ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなどの脂肪族モノエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどの脂肪族ジエ−テル;ジフェニルエーテル、アニソールなどの芳香族エーテルがあげられる。また、第三級アミン化合物の例としては、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどのほかに、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−ジエチルアニリン、ピリジン、キノリンなどをあげることができる。
アルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体に対して本発明の前記一般式(1)で示される変性化合物を添加して製造する際に使用する量は、アルカリ金属を付加する際使用するアルカリ金属系触媒1モル当たり、通常0.06〜10モルであり、好ましくは0.1〜5モルであり、より好ましくは0.2〜2モルである。該使用量が少なすぎる場合は低燃費性の改良効果が少なく、逆に多すぎる場合は、重合溶媒中に残存するため、その溶媒をリサイクル使用する場合には溶媒からの分離工程を必要とする等、経済的に好ましくない。
該変性化合物とアルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系重合体との反応は、迅速に起きるので、反応温度及び反応時間は広範囲に選択できるが、一般的には、室温乃至100℃、数秒乃至数時間である。反応は、アルカリ金属含有ジエン系重合体と該変性化合物とを接触させればよく、たとえば、アルカリ金属系触媒を用いて、ジエン系重合体を重合し、該重合体溶液中に該変性化合物を所定量添加する方法が、好ましい態様として例示できるが、この方法に限定されるものではない。
アルカリ金属末端を有する活性共役ジエン系共重合体に対して、前記式(1)で示される変性化合物を反応させることにより、改質されたジエン系重合体ゴムは反応溶媒中から凝固剤の添加あるいはスチーム凝固など通常の溶液重合によるゴムの製造において使用される凝固方法がそのまま用いられ、凝固温度も何ら制限されない。
反応系から分離されたクラムの乾燥も通常の合成ゴムの製造で用いられるバンドドライヤー、押し出し型のドライヤー等が使用でき、乾燥温度も何ら制限されない。
変性ジエン系重合体ゴムのムーニー粘度(ML1+4)は、10〜200であることが好ましく、より好ましくは20〜150である。ムーニー粘度が低すぎると加硫物の引張り強度等の機械物性が低下する場合があり、一方該粘度が高すぎると他のゴムと組み合わせて使用する場合に混和性が悪く、加工操作性が困難となり、得られたゴム組成物の加硫物の機械物性が低下する場合がある。
変性ジエン系重合体ゴムの共役ジエン部のビニル結合量は、共役ジエン単位の含有量を100モル%として、10〜70モル%であることが好ましく、より好ましくは15〜65モル%である。10モル%未満であると、グリップ性能が劣る場合があり、70モル%を超えると、低燃費性に劣る場合がある。
本発明に係る変性ジエン系重合体ゴムの分子量分布は、低燃費性を高めるために、好ましくは1.0〜5.0であり、より好ましくは1.0〜1.5である。分子量分布は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定し、MwをMnで除すことにより求められる。
本発明に係る変性ジエン系重合体ゴムは、他の重合体成分や添加剤などを配合して、共役ジエン系重合体組成物にして用いることができる。
ゴム成分100質量%中の上記変性ジエン系重合体ゴムの含有量は、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。5質量%未満であると、低燃費性の改善効果が得られにくい傾向がある。また、上記変性ジエン系重合体ゴムの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。90質量%を超えると、耐摩耗性が低下するとともに、高コストになる傾向がある。
上記変性ジエン系重合体ゴム以外に使用できるゴム成分としては限定されないが、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。これらのゴム成分は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。なかでも、低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性及び加工性をバランス良く示すことから、NR、BRが好ましい。これらのゴム成分としては特に限定されず、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは45質量%以上である。5質量%未満であると、充分な低燃費性が得られない傾向がある。また、NRの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。90質量%を超えると、加工性が悪化する傾向がある。
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上である。5質量%未満であると、充分な耐破壊強度が得られない傾向がある。また、BRの含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。60質量%を超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、補強剤として、シリカを使用する。上記シリカとしては、乾式シリカ(無水ケイ酸)、湿式シリカ(含水ケイ酸)、コロイダルシリカ、沈降シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムなどをあげることができる。これらは1種以上用いることができる。シリカのBET比表面積は、好ましくは、50〜250m2/gである。該BET比表面積は、ASTM D1993−03に従って測定される。シリカの市販品としては、デグッサ社製 商品名 ウルトラシルVN3−G、東ソー・シリカ社製 商品名 VN3、AQ、ER、RS−150、Rhodia社製 商品名 Zeosil 1115MP、1165MPなどを用いることができる。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、5〜150質量部である。該含有量は、低燃費性を高めるために、好ましくは15質量部以上、より好ましくは25質量部以上である。また、耐破壊強度及び加工性を高めるために、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下である。
本発明のゴム組成物は、シランカップリング剤として、メルカプト基を有するシランカップリング剤を使用する。上記共役ジエン系重合体及びシリカとともにメルカプト基を有するシランカップリング剤を配合することで、シリカを良好に分散させ、低燃費性及び耐破壊強度を顕著に改善できる。
メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、下記式(I)で表されるシランカップリング剤、及び/又は下記式(II)で示される結合単位Aと下記式(III)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤を好適に使用できる。
(式中、R101〜R103は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基、又は−O−(R111−O)b−R112(b個のR111は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。b個のR111はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R112は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。bは1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。R101〜R103はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R104は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
(式中、R201は水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基、又は該アルキル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを表す。R202は分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基を表す。R201とR202とで環構造を形成してもよい。)
以下、上記式(I)で表されるシランカップリング剤について説明する。
R101〜R103は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基、又は−O−(R111−O)b−R112で表される基を表す。本発明の効果が良好に得られるという点から、R101〜R103は、少なくとも1つが−O−(R111−O)b−R112で表される基であることが好ましく、2つが−O−(R111−O)b−R112で表される基であり、かつ、1つが分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基であることがより好ましい。
R101〜R103の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜5)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基などがあげられる。
R101〜R103の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜5)のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトシキ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトシキ基、tert−ブトシキ基、ペンチルオキシ基、へキシルオキシ基、へプチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基などがあげられる。
R101〜R103の−O−(R111−O)b−R112において、R111は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)の2価の炭化水素基を表す。
該炭化水素基としては、例えば、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基、炭素数6〜30のアリーレン基などがあげられる。中でも、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基が好ましい。
該炭化水素基としては、例えば、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基、炭素数6〜30のアリーレン基などがあげられる。中でも、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基が好ましい。
R111の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基などがあげられる。
R111の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜3)のアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基などがあげられる。
R111の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜3)のアルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基などがあげられる。
R111の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜15)のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基などがあげられる。
bは1〜30(好ましくは2〜20、より好ましくは3〜7、更に好ましくは5〜6)の整数を表す。
R112は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。中でも、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。
R112の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜15)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基などがあげられる。
R112の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜15)のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、オクタデセニル基などがあげられる。
R112の炭素数6〜30(好ましくは炭素数10〜20)のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基などがあげられる。
R112の炭素数7〜30(好ましくは炭素数10〜20)のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基などがあげられる。
−O−(R111−O)z−R112で表される基の具体例としては、例えば、−O−(C2H4−O)5−C11H23、−O−(C2H4−O)5−C12H25、−O−(C2H4−O)5−C13H27、−O−(C2H4−O)5−C14H29、−O−(C2H4−O)5−C15H31、−O−(C2H4−O)3−C13H27、−O−(C2H4−O)4−C13H27、−O−(C2H4−O)6−C13H27、−O−(C2H4−O)7−C13H27などがあげられる。中でも、−O−(C2H4−O)5−C11H23、−O−(C2H4−O)5−C13H27、−O−(C2H4−O)5−C15H31、−O−(C2H4−O)6−C13H27が好ましい。
R104の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜5)のアルキレン基としては、例えば、R111の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基と同様の基をあげることができる。
式(I)で表されるシランカップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランや、下記式で表される化合物(デグッサ社製のSi363)などがあげられ、下記式で表される化合物を好適に使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
次に、式(II)で示される結合単位Aと式(III)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤について説明する。
式(II)で示される結合単位Aと式(III)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤は、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのポリスルフィドシランに比べ、加工中の粘度上昇が抑制される。これは結合単位Bのスルフィド部分がC−S−C結合であるため、テトラスルフィドやジスルフィドに比べ熱的に安定であることから、ムーニー粘度の上昇が少ないためと考えられる。
また、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシランに比べ、スコーチ時間の短縮が抑制される。これは、結合単位Aはメルカプトシランの構造を持っているが、結合単位Bの−C7H15部分が結合単位Aの−SH基を覆うため、ポリマーと反応しにくく、スコーチが発生しにくいためと考えられる。
上述した加工中の粘度上昇を抑制する効果や、スコーチ時間の短縮を抑制する効果を高めることができるという点から、上記構造のシランカップリング剤において、結合単位Aの含有量は、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上であり、好ましくは99モル%以下、より好ましくは90モル%以下である。また、結合単位Bの含有量は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上であり、好ましくは70モル%以下、より好ましくは65モル%以下、更に好ましくは55モル%以下である。また、結合単位A及びBの合計含有量は、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
なお、結合単位A、Bの含有量は、結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合も含む量である。結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合の形態は特に限定されず、結合単位A、Bを示す式(II)、(III)と対応するユニットを形成していればよい。
なお、結合単位A、Bの含有量は、結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合も含む量である。結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合の形態は特に限定されず、結合単位A、Bを示す式(II)、(III)と対応するユニットを形成していればよい。
R201のハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素などがあげられる。
R201の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などがあげられる。該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜12である。
R201の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基などがあげられる。該アルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
R201の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基などがあげられる。該アルキニル基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
R202の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基などがあげられる。該アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜12である。
R202の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基としては、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基などがあげられる。該アルケニレン基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
R202の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基などがあげられる。該アルキニレン基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
式(II)で示される結合単位Aと式(III)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤において、結合単位Aの繰り返し数(x)と結合単位Bの繰り返し数(y)の合計の繰り返し数(x+y)は、3〜300の範囲が好ましい。この範囲内であると、結合単位Aのメルカプトシランを、結合単位Bの−C7H15が覆うため、スコーチタイムが短くなることを抑制できるとともに、シリカやゴム成分との良好な反応性を確保することができる。
式(II)で示される結合単位Aと式(III)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤としては、例えば、Momentive社製のNXT−Z30、NXT−Z45、NXT−Z60などを使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
メルカプト基を有するシランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.5質量部以上、更に好ましくは2.5質量部以上である。0.5質量部未満では、シリカを充分に分散させることが困難になるおそれがある。また、メルカプト基を有するシランカップリング剤の含有量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。20質量部を超えると、コストの増加に見合った効果が得られない傾向がある。
本発明のゴム組成物は、上述の薬品以外の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、公知のものを用いることができ、硫黄などの加硫剤;チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤などの加硫促進剤;ステアリン酸、酸化亜鉛などの加硫活性化剤;ジクミルパーオキシド、ジターシャリブチルパーオキシドなどの有機過酸化物;カーボンブラックなどの補強剤;炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカなどの充填剤;シランカップリング剤;伸展油;加工助剤;老化防止剤;滑剤を例示することができる。
上記硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄があげられる。硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜15質量部であり、より好ましくは0.3〜10質量部であり、更に好ましくは0.5〜5質量部である。
上記加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどのチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジンなどのグアニジン系加硫促進剤をあげることができる。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部であり、より好ましくは0.2〜3質量部である。
上記カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどをあげることができる。カーボンブラックとしては、EPC、MPC及びCCのようなチャンネルカーボンブラック;SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCF及びECFのようなファーネスカーボンブラック;FT及びMTのようなサーマルカーボンブラック;アセチレンカーボンブラックが例示される。これらは1種以上用いることができる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは、5〜200m2/gであり、また、カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、好ましくは、5〜300ml/100gである。該窒素吸着比表面積は、ASTM D4820−93に従って測定され、該DBP吸収量は、ASTM D2414−93に従って測定される。市販品としては、三菱化学社製 商品名 ダイアブラックN339、東海カーボン社製 商品名 シースト6、シースト7HM、シーストKH、デグッサ社製 商品名 CK3、Special Black 4Aなどを用いることができる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部である。また、該含有量は、耐破壊強度を高めるために、より好ましくは10質量部以上であり、更に好ましくは15質量部以上である。また、低燃費性を高めるために、より好ましくは45質量部以下であり、更に好ましくは40質量部以下である。
補強剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10〜150質量部である。また、該含有量は、耐破壊強度を高めるために、より好ましくは20質量部以上であり、更に好ましくは30質量部以上である。また、低燃費性を高めるために、より好ましくは120質量部以下であり、更に好ましくは100質量部以下である。
また、補強剤として用いるシリカの含有量とカーボンブラックの含有量との質量比(シリカの含有量:カーボンブラックの含有量)としては、0.1:1〜10:1であることが好ましい。該質量比は、低燃費性を高めるため、及び、補強性を高めるために、0.5:1〜2:1であることがより好ましい。
上記伸展油としては、アロマチック系鉱物油(粘度比重恒数(V.G.C.値)0.900〜1.049)、ナフテン系鉱物油(V.G.C.値0.850〜0.899)、パラフィン系鉱物油(V.G.C.値0.790〜0.849)などをあげることができる。伸展油の多環芳香族含有量は、好ましくは3質量%未満であり、より好ましくは1質量%未満である。該多環芳香族含有量は、英国石油学会346/92法に従って測定される。また、伸展油の芳香族化合物含有量(CA)は、好ましくは20質量%以上である。これらの伸展油は、1種以上用いられる。
本発明のゴム組成物を製造する方法としては、公知の方法、例えば、各成分をロールやバンバリーのような公知の混合機で混練する方法を用いることができる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を配合する場合、混練温度は、通常50〜200℃であり、好ましくは80〜190℃であり、混練時間は、通常30秒〜30分であり、好ましくは1分〜30分である。加硫剤、加硫促進剤を配合する場合、混練温度は、通常100℃以下であり、好ましくは室温〜80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を配合した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理を行って用いられる。加硫温度としては、通常120〜200℃、好ましくは140〜180℃である。
本発明のゴム組成物は、低燃費性及び耐破壊強度が高次元でバランス良く得られる。
本発明のゴム組成物は、タイヤのベーストレッドに使用される。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤのベーストレッドの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して、本発明の空気入りタイヤを製造できる。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤとして好適に用いることができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
<重合体製造例1>
内容積20リットルのステンレス製重合反応機を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した後に1,3−ブタジエン1404g、テトラヒドロフラン328g、ヘキサン10.2kg、n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液15.0mmol)を添加し、攪拌下に65℃で3時間重合を行った。重合完了後、イソシアヌル酸トリグリシジルを7.5mmol(2.23g)添加した。攪拌下に65℃で30分間反応させた後、10mlのメタノールを加えて、更に5分間攪拌した。その後、重合反応容器の内容物を取り出し、10gの2,6−ジ−t−フチル−p−クレゾール(住友化学(株)製のスミライザーBHT)を加え、ヘキサンの大部分を蒸発させた後、55℃で12時間減圧乾燥し、重合体1を得た。
内容積20リットルのステンレス製重合反応機を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した後に1,3−ブタジエン1404g、テトラヒドロフラン328g、ヘキサン10.2kg、n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液15.0mmol)を添加し、攪拌下に65℃で3時間重合を行った。重合完了後、イソシアヌル酸トリグリシジルを7.5mmol(2.23g)添加した。攪拌下に65℃で30分間反応させた後、10mlのメタノールを加えて、更に5分間攪拌した。その後、重合反応容器の内容物を取り出し、10gの2,6−ジ−t−フチル−p−クレゾール(住友化学(株)製のスミライザーBHT)を加え、ヘキサンの大部分を蒸発させた後、55℃で12時間減圧乾燥し、重合体1を得た。
<重合体製造例2>
内容積20リットルのステンレス製重合反応機を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した後に1,3−ブタジエン1404g、テトラヒドロフラン328g、ヘキサン10.2kg、n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液8.5mmol)を添加し、攪拌下に65℃で3時間重合を行った。重合完了後、四塩化珪素を0.16mmol(0.027g)を添加し、攪拌下に65℃で15分間反応させた。更にイソシアヌル酸トリグリシジルに変えて、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを7.65mmol(1.19g)添加し、攪拌下に65℃で30分間反応させた後、10mlのメタノールを加えて、更に5分間攪拌した。その後、重合反応容器の内容物を取り出し、10gの2,6−ジ−t−フチル−p−クレゾール(住友化学(株)製のスミライザーBHT)を加え、ヘキサンの大部分を蒸発させた後、55℃で12時間減圧乾燥し、重合体2を得た。
内容積20リットルのステンレス製重合反応機を洗浄、乾燥し、乾燥窒素で置換した後に1,3−ブタジエン1404g、テトラヒドロフラン328g、ヘキサン10.2kg、n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液8.5mmol)を添加し、攪拌下に65℃で3時間重合を行った。重合完了後、四塩化珪素を0.16mmol(0.027g)を添加し、攪拌下に65℃で15分間反応させた。更にイソシアヌル酸トリグリシジルに変えて、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを7.65mmol(1.19g)添加し、攪拌下に65℃で30分間反応させた後、10mlのメタノールを加えて、更に5分間攪拌した。その後、重合反応容器の内容物を取り出し、10gの2,6−ジ−t−フチル−p−クレゾール(住友化学(株)製のスミライザーBHT)を加え、ヘキサンの大部分を蒸発させた後、55℃で12時間減圧乾燥し、重合体2を得た。
<重合体製造例3>
n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液を8.7mmolに変更したこと、四塩化珪素を0.17mmol(0.029g)に変更したこと及び、イソシアヌル酸トリグリシジル、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを添加しなかったこと以外は、重合体2と同様に行い、重合体3を得た。
n−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液を8.7mmolに変更したこと、四塩化珪素を0.17mmol(0.029g)に変更したこと及び、イソシアヌル酸トリグリシジル、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを添加しなかったこと以外は、重合体2と同様に行い、重合体3を得た。
得られた重合体1〜3について、下記の方法により分析した。結果は表1に示す。
(ムーニー粘度(ML1+4))
JIS K6300(1994)に従って、100℃にて重合体のムーニー粘度を測定した。
JIS K6300(1994)に従って、100℃にて重合体のムーニー粘度を測定した。
(ビニル結合量(単位:モル%))
赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm−1付近の吸収強度より重合体のビニル結合量を求めた。
赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm−1付近の吸収強度より重合体のビニル結合量を求めた。
(分子量分布(Mw/Mn))
下記の条件(i)〜(viii)でゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、重合体の分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
(i)装置:東ソー社製HLC−8220
(ii)分離カラム:東ソー社製HM−H(2本直列)
(iii)測定温度:40℃
(iv)キャリア:テトラヒドロフラン
(v)流量:0.6mL/分
(vi)注入量:5μL
(vii)検出器:示差屈折
(viii)分子量標準:標準ポリスチレン
下記の条件(i)〜(viii)でゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、重合体の分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
(i)装置:東ソー社製HLC−8220
(ii)分離カラム:東ソー社製HM−H(2本直列)
(iii)測定温度:40℃
(iv)キャリア:テトラヒドロフラン
(v)流量:0.6mL/分
(vi)注入量:5μL
(vii)検出器:示差屈折
(viii)分子量標準:標準ポリスチレン
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
NR:RSS#3
BR:宇部興産(株)製のウベポールBR150B
重合体1〜3:上記方法で合成
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックN220(N2SA:111m2/g、DBP吸収量:115ml/100g)
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3(N2SA:175m2/g)
シランカップリング剤1:Momentive社製のNXT−Z45(結合単位Aと結合単位Bとの共重合体(結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%))
シランカップリング剤2:デグッサ社製のSi363(下記式で表される化合物、メルカプト基の含有量:3.3%)
シランカップリング剤3:デグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン3C
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
オイル:(株)ジャパンエナジー製のX−140
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:住友化学(株)製のソクシノールCZ
NR:RSS#3
BR:宇部興産(株)製のウベポールBR150B
重合体1〜3:上記方法で合成
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックN220(N2SA:111m2/g、DBP吸収量:115ml/100g)
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3(N2SA:175m2/g)
シランカップリング剤1:Momentive社製のNXT−Z45(結合単位Aと結合単位Bとの共重合体(結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%))
シランカップリング剤2:デグッサ社製のSi363(下記式で表される化合物、メルカプト基の含有量:3.3%)
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン3C
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
オイル:(株)ジャパンエナジー製のX−140
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:住友化学(株)製のソクシノールCZ
(実施例及び比較例)
表2に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で20分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
表2に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で20分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
得られた加硫ゴム組成物について、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
<評価項目及び試験方法>
<tanδ>
シート状の加硫ゴム組成物から幅1mm又は2mm、長さ40mmの短冊状試験片を打ち抜き、試験に供した。(株)上島製作所製スペクトロメーターを用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度70℃でtanδを測定した。tanδの逆数の値について比較例3を100として指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性であることを示している。
<tanδ>
シート状の加硫ゴム組成物から幅1mm又は2mm、長さ40mmの短冊状試験片を打ち抜き、試験に供した。(株)上島製作所製スペクトロメーターを用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度70℃でtanδを測定した。tanδの逆数の値について比較例3を100として指数表示した。指数が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性であることを示している。
<耐破壊強度>
加硫ゴム組成物について、JIS K6251に準じて3号ダンベルを用いて引張り試験を実施し、破断強度(TB)及び破断時伸び(EB)(%)を測定した。TB×EB/2の数値を耐破壊強度として、比較例3の耐破壊強度を100とした指数で示した。指数が大きいほど耐破壊強度に優れる。
加硫ゴム組成物について、JIS K6251に準じて3号ダンベルを用いて引張り試験を実施し、破断強度(TB)及び破断時伸び(EB)(%)を測定した。TB×EB/2の数値を耐破壊強度として、比較例3の耐破壊強度を100とした指数で示した。指数が大きいほど耐破壊強度に優れる。
表2に示すように、特定の変性共役ジエン系重合体(重合体1)と、シリカと、メルカプト基を有するシランカップリング剤(シランカップリング剤1、2)を配合した実施例は、比較例のゴム組成物に比べて、低燃費性及び耐破壊強度が相乗的に改善し、これらの性能が高次元でバランス良く得られた。
Claims (5)
- 前記変性ジエン系重合体ゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表される分子量分布が1.0〜1.5である請求項1記載のベーストレッド用ゴム組成物。
- 前記変性ジエン系重合体ゴムのビニル結合量が、共役ジエン単位の含有量を100モル%として、10〜70モル%である請求項1又は2記載のベーストレッド用ゴム組成物。
- 前記シランカップリング剤が、下記式(I)で表されるシランカップリング剤、及び/又は下記式(II)で示される結合単位Aと下記式(III)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤である請求項1〜3のいずれかに記載のベーストレッド用ゴム組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2013080501A Pending JP2014201692A (ja) | 2013-04-08 | 2013-04-08 | ベーストレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014201692A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021066543A1 (ko) * | 2019-09-30 | 2021-04-08 | 주식회사 엘지화학 | 변성 공액디엔계 중합체, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 고무 조성물 |
-
2013
- 2013-04-08 JP JP2013080501A patent/JP2014201692A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021066543A1 (ko) * | 2019-09-30 | 2021-04-08 | 주식회사 엘지화학 | 변성 공액디엔계 중합체, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 고무 조성물 |
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