JP6007852B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Description

この発明は、エンジンに搭載され、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射と燃焼室に燃料を噴射する筒内噴射とを実行する燃料噴射装置に関する。
特許文献1には、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁と燃焼室に燃料噴射する筒内噴射弁とを備え、要求される量の燃料をポート噴射と筒内噴射とに振り分けて噴射するエンジンの噴射装置が記載されている。この燃料噴射装置では、吸気中に蒸発燃料がパージされて噴射燃料の減量要求が生じた場合には、筒内噴射量は減量せず、ポート噴射量を優先して減量するようにしている。また、特許文献2には、ポート噴射弁と筒内噴射弁と備え、筒内噴射弁による筒内噴射を複数回に分けて実行することで混合気の燃焼状態を改善するようにした噴射装置が記載されている。
特開2006−037741号 特開2006−194098号
ところで、特許文献1に記載の噴射装置において、ポート噴射の噴射量が減量されてポート噴射弁の最小噴射量に達した場合には、それ以上はポート噴射量を減量することができないため、筒内噴射量を減量する必要が生じる。特許文献2に記載の燃料噴射装置においても、こうした減量要求が複数回の筒内噴射に対して生じた場合には、筒内噴射の噴射量を減量して対処することになるが、その減量方法によっては混合気の燃焼状態を悪化させてしまうおそれがある。
また、ポート噴射弁によるポート噴射と、複数回の筒内噴射とが行われる場合には、そのポート噴射量に相当する量だけ筒内噴射量が少なくなる。このように筒内噴射量が少なくなると、筒内噴射量に対してその減量分の占める割合が大きくなり、噴射量をわずかに減量しても燃焼状態が大きく変化するようになる。このため、上述したような燃焼状態の悪化も発生しやすい。
この発明の目的は、ポート噴射と、複数回の筒内噴射とを実行する燃料噴射装置において、筒内噴射量の減量に伴う燃焼状態の悪化を抑制することにある。
上記課題を解決する燃料噴射装置は、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁と燃焼室に燃料を噴射する筒内噴射弁とを備え、ポート噴射弁によるポート噴射と、筒内噴射弁による複数回の筒内噴射とを実行する。そして、この燃料噴射装置は、筒内噴射に減量要求があるときには、複数回に分けて実行される各筒内噴射のうち吸気上死点から噴射開始までの期間が短い噴射ほど優先して噴射量を減量する減量処理を実行する。
複数回の筒内噴射が実行される場合、噴射開始から点火までの期間が短い噴射ほど、すなわち吸気上死点から噴射開始までの期間が長い噴射ほど、混合気の燃焼状態に及ぼす影響度(以下、燃焼影響度ともいう)が高い。この燃料噴射装置では、こうした複数回の筒内噴射のうち、吸気上死点から噴射開始までの期間が短い噴射ほど優先して、すなわち上述した燃焼影響度が低い噴射ほど優先して噴射量を減量するようにしている。このため、筒内噴射量の減量に伴う燃焼状態の悪化を抑制することができる。
ここで、吸気上死点から噴射開始までの期間が最も短い噴射から順に筒内噴射弁の最小噴射量を噴射量の下限値とする噴射量の減量を実行することとすれば、上述したような燃焼影響度の低い噴射から優先して噴射量を減量することができる。なお、こうした構成で、例えば3回の筒内噴射が実行されるのであれば、まず1回目の筒内噴射の噴射量が減量され、その噴射量が筒内噴射弁の最小噴射量に達したときには、同噴射量が最小噴射量に維持された状態で2回目の筒内噴射の噴射量が減量される。そして同様に、2回目の筒内噴射の噴射量が最小噴射量に達したときに、3回目の筒内噴射の噴射量が減量されるようになる。
また、減量要求量を各筒内噴射に振り分けて減量を実行し、複数回の筒内噴射のうち吸気上死点から噴射開始までの期間が短い噴射ほど減量要求量の振り分け量を多くすることとしても、上述したような燃焼影響度の低い噴射から優先して噴射量を減量することができる。なお、こうした構成で、例えば3回の筒内噴射が実行されるのであれば、各噴射についていずれも噴射量の減量が開始されるが、その減量度合いが異なり、3回目の筒内噴射、2回目の筒内噴射、1回目の筒内噴射の順に、噴射量の減量度合いが大きくされる。
上記燃料噴射装置は、例えば以下の態様にて具体化できる。すなわち、この燃料噴射装置では、空燃比フィードバック制御の学習補正量に相当する量だけ噴射量を減量するときには、その学習補正量をポート噴射と筒内噴射とに振り分けるとともに、筒内噴射への振り分け量を上述した減量処理の減量要求量として同処理を実行する。
この燃料噴射装置では、空燃比フィードバック制御の学習補正量により噴射量を減量補正するときには、その学習補正量がポート噴射と筒内噴射とに振り分けられ、ポート噴射及び筒内噴射の双方の噴射量が減量される。このため、例えばポート噴射量だけを減量したり、筒内噴射量だけを減量したりする場合とは異なり、ポート噴射弁及び筒内噴射弁の噴射特性についての個体差や経時変化を適切に補償することができる。さらに、筒内噴射量を減量する際には、上述した減量処理を通じて燃焼影響度が低い噴射ほど優先して噴射量が減量されるため、筒内噴射量の減量に伴う燃焼状態の悪化を抑制することができる。
また、上記燃料噴射装置は、例えば以下の態様にて具体化できる。すなわち、この燃料噴射装置では、蒸発燃料のパージ制御によりパージ補正量に相当する量だけ噴射量を減量するときには、ポート噴射量を減量し、パージ補正量が減量前のポート噴射量とポート噴射弁の最小噴射量との差を上回るときには、ポート噴射量をその最小噴射量に維持しつつ、その上回る量を減量処理の減量要求量として同処理を実行する。
吸気通路にパージされる蒸発燃料は吸気とともに吸気ポートを通じて燃焼室に導入されることから、蒸発燃料が吸気にパージされたときは、ポート噴射量が蒸発燃料の燃料分に相当する量だけ増量されたときとほぼ同じ状況になる。そのため、この燃料噴射装置では、筒内噴射量よりもポート噴射量を優先して減量するようにしている。これにより、混合気の燃焼状態をパージがなされていないときの状態に近づけることができ、蒸発燃料のパージによる噴射量の増加を適切に補償することができるようになる。
ただし、パージされる蒸発燃料が多い場合には、ポート噴射量がポート噴射弁の最小噴射量に達し、それ以上の減量ができなくなることがある。この場合には、筒内噴射量を減量して対処することになるが、この燃料噴射装置では、こうした減量を行う場合であっても、上述した減量処理を通じて燃焼影響度が低い噴射ほど優先して噴射量が減量される。したがって、筒内噴射量の減量に伴う燃焼状態の悪化を抑制することができる。
その他、上記燃料噴射装置は、以下の態様にて具体化することもできる。すなわち、この燃料噴射装置では、燃料の壁面付着量補正により壁面付着補正量に相当する量だけ噴射量を減量するときには、ポート噴射量を減量し、壁面付着補正量が減量前のポート噴射量とポート噴射弁の最小噴射量との差を上回るときには、ポート噴射量をその最小噴射量に維持しつつ、その上回る量を減量要求量として上述した減量処理を実行する。
ポート噴射の噴射量が減少した直後には、吸気ポートの壁面に付着している燃料の一部が吸気とともに燃焼室に吸入される。このように燃焼室に壁面付着燃料が吸入される場合にも、吸気通路に蒸発燃料がパージされる場合と同様に、吸気ポートの壁面から燃料室に吸入される燃料の分だけポート噴射量が増量されたときとほぼ同じ状況となる。そのため、この燃料噴射装置では、筒内噴射量よりもポート噴射量を優先して減量するようにしている。これにより、混合気の燃焼状態を壁面付着燃料が燃焼室に吸入されていないときの状態に近づけることができ、同壁面付着燃料による噴射量の増加を適切に補償することができるようになる。
ただし、燃焼室に吸入される壁面付着燃料が多い場合には、ポート噴射量がポート噴射弁の最小噴射量に達し、それ以上の減量ができなくなることがある。この場合には、筒内噴射量を減量して対処することになるが、この燃料噴射装置では、こうした減量を行う場合であっても、上述した減量処理を通じて燃焼影響度が低い噴射ほど優先して噴射量が減量される。したがって、筒内噴射量の減量に伴う燃焼状態の悪化を抑制することができる。
燃料噴射装置の全体構成を示す模式図。 ポート噴射及び筒内噴射の噴射態様の一例を示す模式図。 ポート噴射量及び筒内噴射量を減量する際の処理手順を示すフローチャート。 ポート噴射量及び筒内噴射量の時間的推移を示すタイミングチャート。 ポート噴射量及び筒内噴射量を減量する際の処理手順を示すフローチャート。 ポート噴射量及び筒内噴射量の時間的推移を示すタイミングチャート。 エンジンの負荷と壁面付着量との関係を示すグラフ。 (a)はエンジンの負荷が増加するときの壁面付着補正量の推移を示すタイミングチャート、(b)はエンジンの負荷が低下するときの壁面付着補正量の推移を示すタイミングチャート。
[第1の実施形態]
以下、燃料噴射装置の第1の実施形態について図1〜図4を参照して説明する。
図1に示すように、エンジンの吸気通路10には、上流側から順に、吸入空気量を検出するエアフローメータ11、吸入空気量を調整するスロットルバルブ12が配設されている。吸気通路10は、スロットルバルブ12の下流にてエンジンの気筒毎に分岐した後、吸気ポート13を介して各気筒の燃焼室14に接続されている。
各気筒の吸気ポート13には、その内部に燃料を噴射するポート噴射弁15がそれぞれ配設されている。各気筒の燃焼室14には、その内部に燃料を噴射する筒内噴射弁16と点火プラグ17とがそれぞれ配設されている。また、各気筒の燃焼室14に接続される排気通路18には混合気の空燃比を検出するための空燃比センサ19が配設されている。
このエンジンには、ポート噴射弁15や筒内噴射弁16から噴射される燃料を貯留する燃料タンク20が設けられている。燃料タンク20には、その内部から燃料を汲み出すフィードポンプ21が配設されている。このフィードポンプ21は、低圧燃料通路22を介して、フィードポンプ21の汲み出した燃料を蓄圧する低圧燃料配管23に接続されている。低圧燃料配管23には、各気筒のポート噴射弁15がそれぞれ接続されている。
一方、低圧燃料通路22の途中からは、高圧燃料通路30が分岐している。高圧燃料通路30には、フィードポンプ21の汲み出した燃料を更に加圧して吐出する高圧燃料ポンプ31が配設されている。高圧燃料通路30は、高圧燃料ポンプ31により加圧された燃料を蓄圧する高圧燃料配管32に接続されている。この高圧燃料配管32には、各気筒の筒内噴射弁16がそれぞれ接続されている。
また、このエンジンには、燃料タンク20に発生する蒸発燃料を吸気通路10にパージし、燃焼室14で燃焼させて処理する装置が搭載されている。この装置では、燃料タンク20の上部に、その内部で発生した燃料蒸気を流すベーパ通路40が接続されている。ベーパ通路40は、燃料蒸気を吸着する吸着材が内蔵されたキャニスタ41に接続されている。キャニスタ41は、パージ通路42を介して、吸気通路10におけるスロットルバルブ12の下流側の部分に接続されている。パージ通路42には、パージバルブ43が配設されている。
燃料タンク20で発生した蒸発燃料は、ベーパ通路40を通ってキャニスタ41に送られる。キャニスタ41に送られた蒸発燃料の燃料分は、その内部の吸着剤に吸着される。パージバルブ43が開かれると、スロットルバルブ12の下流に発生する吸気負圧によって、パージ通路42を通ってキャニスタ41から空気が吸引される。キャニスタ41内の吸着材に吸着された燃料分は、このときの空気の流勢で吸着材から脱離され、吸引された空気と共に吸気中にパージされる。そして、吸気中にパージされた燃料分は、ポート噴射弁15や筒内噴射弁16から噴射された燃料と共に、燃焼室14内で燃焼する。
また、このエンジンは、電子制御ユニット50により制御されている。上述のエアフローメータ11、空燃比センサ19などのセンサ類の検出信号は、この電子制御ユニット50に取り込まれる。そして、電子制御ユニット50は、これらセンサ類の検出結果に基づき、ポート噴射弁15、筒内噴射弁16、パージバルブ43などの、機関各部に設けられたアクチュエータ類を駆動することで、機関制御を行っている。例えば、電子制御ユニット50は、そうした機関制御の一例として、ポート噴射弁15や筒内噴射弁16の噴射態様を機関運転状態に基づいて制御する燃料噴射制御を行っている。この燃料噴射制御を通じてポート噴射弁15及び筒内噴射弁16の噴射態様は決定される。
図2に示すように、例えばこのエンジンでは、吸気行程前半にポート噴射弁15によるポート噴射PIが行われる。一方、吸気行程後半、圧縮行程前半、圧縮行程後半にはそれぞれ、筒内噴射弁16による第1筒内噴射DI1、第2筒内噴射DI2、第3筒内噴射DI3が行われる。
ここで、第1筒内噴射DI1は、ピストンの移動速度が低下して燃焼室14内の気流が弱くなるときに、燃料噴射によって燃焼室14内の気流を強める機能を有する。第2筒内噴射DI2はこの第1筒内噴射DI1の機能に加え、筒内噴射弁16を燃料により冷却する機能も有している。また、第3筒内噴射DI3は、噴射燃料により燃焼室14内に強い気流を発生させつつその噴射燃料を点火プラグ17の周りに集めることで混合気の着火性を高め、燃焼速度を高める機能を有する。一方で、ポート噴射PIは、第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3のような燃焼状態を改善する機能はほとんどなく、総噴射燃料のうち第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3によって噴射されない残りの燃料を噴射して空燃比を目標空燃比とするために行われる。
また、第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3はいずれも、混合気の燃焼状態に影響を及ぼすものではあるが、その影響度(燃焼影響度ともいう)はそれぞれ異なっている。すなわち、第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3のうち、噴射開始から点火までの期間が短い噴射ほど燃焼影響度は高い。具体的には、第1筒内噴射DI1、第2筒内噴射DI2、第3筒内噴射DI3は、その順で燃焼影響度が高くなる。
この燃料噴射装置では、上述したように第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3が混合気の燃焼状態に影響を及ぼすものであることから、それらに減量要求があるときには、第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3の噴射量Q1〜Q3を適切に減量することで燃焼状態の悪化を抑えることが望ましい。
以下では、こうした第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3に対する減量要求が、空燃比フィードバック制御による噴射量の減量処理で生じた場合を例に、この燃料噴射装置による対処方法を説明する。
図3に示すように、この処理ではまず、ポート噴射PIの噴射量Qp、第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3の噴射量Q1〜Q3を機関運転状態に基づいて算出する(ステップS300)。次に、空燃比フィードバック制御で算出された学習補正量Qgを読み込む(ステップS301)。この学習補正量Qgは、ポート噴射弁15及び筒内噴射弁16の各噴射特性についての個体差や経時変化分を補償するためのものであり、空燃比センサ19やエアフローメータ11の検出信号に基づいて算出される。なお、ここでの学習補正量Qgは、ポート噴射弁15及び筒内噴射弁16の実際の噴射量がその目標量を上回るときに算出される値を対象としている。
次に、ポート噴射PIの噴射量Qpを学習補正量Qgの振り分け量(Qg・(1−r))に相当する量だけ減量する(ステップS302)。ここで、係数rは、総噴射量(Qp+Q1+Q2+Q3)に占める筒内噴射量(Q1+Q2+Q3)の割合であり、次の式(1)により求められる。

r=(Q1+Q2+Q3)/(Qp+Q1+Q2+Q3) …(1)

また、上記振り分け量(Qg・(1−r))は、ポート噴射PIと筒内噴射DI1〜DI3との噴射量比率に応じて学習補正量Qgを各噴射に振り分けたときの、ポート噴射PIの振り分け量である。したがって、筒内噴射DI1〜DI3に対する学習補正量Qgの振り分け量は、同学習補正量Qgからポート噴射PIの振り分け量(Qg・(1−r))を差し引いた残りの量(Qg・r)になる。
次に、上述した筒内噴射DI1〜DI3の振り分け量(Qg・r)が第1筒内噴射DI1で減量可能な最大量(Q1−Qdmin)以下である場合(ステップS303:NO)、第1筒内噴射DI1の噴射量Q1を上記振り分け量(Qg・r)に相当する量だけ減量して処理を終了する(ステップS310)。
一方、上記振り分け量(Qg・r)が第1筒内噴射DI1で減量可能な最大量(Q1−Qdmin)を上回っている場合(ステップS303:YES)、次の式(2)により第1の減量不足分ΔQ1が求められる(ステップS304)。

ΔQ1←Qg・r−(Q1−Qdmin) …(2)

上式(2)に示すように、第1の減量不足分ΔQ1は、筒内噴射の振り分け量(Qg・r)から第1筒内噴射DI1で減量可能な最大量(Q1−Qdmin)を差し引いた残りの量であり、その後の処理により第2筒内噴射DI2の噴射量Q2又は第3筒内噴射DI3の噴射量Q3を減量することにより補填される。そして、第1筒内噴射DI1の噴射量Q1を筒内噴射弁16の最小噴射量Qdminに相当する量まで減量する(ステップS305)。
次に、第1の減量不足分ΔQ1が第2筒内噴射DI2で減量可能な最大量(Q2−Qdmin)以下である場合(ステップS306:NO)、第2筒内噴射DI2の噴射量Q2を第1の減量不足分ΔQ1に相当する量だけ減量して処理を終了する(ステップS311)。
一方、第1の減量不足分ΔQ1が第2筒内噴射DI2で減量可能な最大量(Q2−Qdmin)を上回っている場合(ステップS306:YES)、次の式(3)により第2の減量不足分ΔQ2が求められる(ステップS307)。

ΔQ2←ΔQ1−(Q2−Qdmin) …(3)

この第2の減量不足分ΔQ2は、第1筒内噴射DI1及び第2筒内噴射DI2の双方で減量可能な最大量(Q1+Q2−2・Qdmin)をポート噴射の振り分け量(Qg・(1−r))から差し引いた残りの量であり、第3筒内噴射DI3の噴射量Q3を減量することにより補填される。そして、第2筒内噴射DI2の噴射量Q2を筒内噴射弁16の最小噴射量Qdminに相当する量まで減量した後(ステップS308)、第3筒内噴射DI3の噴射量Q3を第2の減量不足分ΔQ2に相当する量だけ減量して処理を終了する(ステップS309)。
次に、この燃料噴射装置の作用について図4を参照して説明する。
図4の区間Aでは、学習補正量Qgがポート噴射PIに加え、各筒内噴射DI1〜DI3のうちの第1筒内噴射DI1に振り分けられる。したがって、ポート噴射PIの噴射量Qpはポート噴射の振り分け量(Qg・(1−r))に相当する量だけ減量され、第1筒内噴射DI1の噴射量Q1は筒内噴射の振り分け量(Qg・r)に相当する量だけ減量される。
また区間Aでは、第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3のうち、燃焼影響度が最も低い第1筒内噴射DI1の噴射量Q1が減量され、第1筒内噴射DI1よりも燃焼影響度が高い第2筒内噴射DI2や第3筒内噴射DI3の噴射量Q2,Q3は減量されない。
そして、学習補正量Qgが増加し、第1筒内噴射DI1の噴射量Q1が筒内噴射弁16の最小噴射量Qdminに相当する量まで減量されると、同噴射量Q1が最小噴射量Qdminに維持された状態で第2筒内噴射DI2の噴射量Q2の減量が開始される。
次に、区間Bでは、学習補正量Qgがポート噴射PIに加え、各筒内噴射DI1〜DI3のうちの第2筒内噴射DI2にも振り分けられる。したがって、区間Aと同様に、ポート噴射PIの噴射量Qpはポート噴射の振り分け量(Qg・(1−r))に相当する量だけ減量される。一方、第2筒内噴射DI2の噴射量Q2は、第1の減量不足分ΔQ1に相当する量だけ減量される。
また区間Bでは、第1筒内噴射DI1の噴射量Q1に加えて第2筒内噴射DI2の噴射量Q2が減量され、燃焼影響度が最も高い第3筒内噴射DI3は減量されない。
そして、学習補正量Qgが更に増加し、第2筒内噴射DI2の噴射量Q2が筒内噴射弁16の最小噴射量Qdminに相当する量まで減量されると、同噴射量Q2が最小噴射量Qdminに維持された状態で、燃焼影響度が最も高い第3筒内噴射DI3の噴射量Q3の減量が開始される。
そして、区間Cでは、学習補正量Qgがポート噴射PIに加え、各筒内噴射DI1〜DI3のうちの第3筒内噴射DI3にも振り分けられる。したがって、区間A,Bと同様に、ポート噴射PIの噴射量Qpはポート噴射の振り分け量(Qg・(1−r))に相当する量だけ減量される。一方、第3筒内噴射DI3の噴射量Q3は第2の減量不足分ΔQ2に相当する量だけ減量される。
以上説明したように、この燃料噴射装置では、第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3のうち吸気上死点から噴射開始までの期間が短い噴射ほど優先して、すなわち燃焼影響度が低い噴射ほど優先して噴射量が減量される。具体的には、筒内噴射弁16の最小噴射量Qdminを噴射量の下限値とする減量が、第1筒内噴射DI1、第2筒内噴射DI2、第3筒内噴射DI3に対して順次行われる。
以上説明した燃料噴射装置によれば、次の効果を奏することができる。
(1)第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3のうち、燃焼影響度が低い噴射から順に噴射量を減量するようにしたため、筒内噴射量の減量に伴う燃焼状態の悪化を抑制することができる。
(2)学習補正量Qgをポート噴射PI及び筒内噴射DI1〜DI3に振り分け、ポート噴射PI及び筒内噴射DI1〜DI3の双方の噴射量Qp,Q1〜Q3を減量するようにした。このため、例えばポート噴射量だけを減量したり、筒内噴射量だけを減量したりする場合とは異なり、ポート噴射弁15及び筒内噴射弁16の噴射特性についての個体差や経時変化を適切に補償することができる。
[第2の実施形態]
次に、燃料噴射装置の第2の実施形態について図5及び図6を参照して説明する。なお、この燃料噴射装置の構成は、図1に示す第1の実施形態の構成と同様である。
以下では、第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3に対する減量要求が、蒸発燃料のパージ制御による噴射量の減量処理で生じた場合を例に、この燃料噴射装置による対処方法を説明する。
図5に示すように、この処理ではまず、ポート噴射PIの噴射量Qp、第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3の噴射量Q1〜Q3を機関運転状態に基づいて算出する(ステップS500)。次に、パージ制御のパージ補正量Qkを読み込む(ステップS501)。このパージ補正量Qkは、パージ通路42を通じて吸気にパージされた蒸発燃料の流量と、蒸発燃料に含まれる燃料の濃度とに基づき算出される。蒸発燃料の流量は、例えばエンジンの吸入空気量や回転速度から推定される吸気負圧の大きさと、パージバルブ43の開度とから求められる。また、蒸発燃料の燃料濃度は、例えば蒸発燃料の流量変化に伴う空燃比の変化から求められる。
次に、パージ補正量Qkがポート噴射PIで減量可能な最大量(Qp−Qpmin)以下である場合(ステップS502:NO)、ポート噴射PIの噴射量Qpをパージ補正量Qkに相当する量だけ減量して処理を終了する(ステップS512)。なお、上記「Qpmin」はポート噴射弁15の最小噴射量である。
一方、パージ補正量Qkがポート噴射PIで減量可能な最大量(Qp−Qpmin)を上回っている場合(ステップS502:YES)、次の式(4)により第1の減量不足分ΔQ1が求められる(ステップS503)。

ΔQ1←Qk−(Qp−Qpmin) …(4)

上式(4)に示すように、この第1の減量不足分ΔQ1は、パージ補正量Qkからポート噴射PIで減量可能な最大量(Qp−Qpmin)を差し引いた残りの量であり、第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3の噴射量Q1〜Q3を減量することにより補填される。そして、ポート噴射PIの噴射量Qpをポート噴射弁15の最小噴射量Qpminに相当する量まで減量する(ステップS504)。
次に、第1の減量不足分ΔQ1が第1筒内噴射DI1で減量可能な最大量(Q1−Qdmin)以下である場合(ステップS505:NO)、第1筒内噴射DI1の噴射量Q1を第1の減量不足分ΔQ1に相当する量だけ減量して処理を終了する(ステップS513)。
一方、第1の減量不足分ΔQ1が第1筒内噴射DI1で減量可能な最大量(Q1−Qdmin)を上回っている場合(ステップS505:YES)、次の式(5)により第2の減量不足分ΔQ2が求められる(ステップS506)。

ΔQ2←ΔQ1−(Q1−Qdmin) …(5)

この第2の減量不足分ΔQ2は、ポート噴射PI及び第1筒内噴射DI1の双方で減量可能な最大量(Qp+Q1−Qpmin−Qdmin)をパージ補正量Qkから差し引いた残りの量であり、第2筒内噴射DI2又は第3筒内噴射DI3の噴射量Q2,Q3を減量することにより補填される。そして、第1筒内噴射DI1の噴射量Q1を筒内噴射弁16の最小噴射量Qdminに相当する量まで減量する(ステップS507)。
次に、第2の減量不足分ΔQ2が第2筒内噴射DI2で減量可能な最大量(Q2−Qdmin)以下である場合(ステップS508:NO)、第2筒内噴射DI2の噴射量Q2を第2の減量不足分ΔQ2に相当する量だけ減量して処理を終了する(ステップS514)。
一方、第2の減量不足分ΔQ2が第2筒内噴射DI2で減量可能な最大量(Q2−Qdmin)を上回っている場合(ステップS508:YES)、次の式(6)により第3の減量不足分ΔQ3が求められる(ステップS509)。

ΔQ3←ΔQ2−(Q2−Qdmin) …(6)

この第3の減量不足分ΔQ3は、ポート噴射PI、第1筒内噴射DI1、及び第2筒内噴射DI2で減量可能な最大量(Qp+Q1+Q2−Qpmin−2・Qdmin)をパージ補正量Qkから差し引いた残りの量であり、第3筒内噴射DI3の噴射量Q3を減量することにより補填される。
そして、第2筒内噴射DI2の噴射量Q2を筒内噴射弁16の最小噴射量Qdminに相当する量まで減量した後(ステップS510)、第3筒内噴射DI3の噴射量Q3を第3の減量不足分ΔQ3に相当する量だけ減量して処理を終了する(ステップS511)。
次に、この燃料噴射装置の作用について図6を参照して説明する。
図6の区間Aでは、ポート噴射PIの噴射量Qpがパージ補正量Qkに相当する量だけ減量される。ここで、第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3の噴射量Q1〜Q3の減量は行われない。
そして、パージ補正量Qkが増加し、ポート噴射PIの噴射量Qpがポート噴射弁15の最小噴射量Qpminに相当する量まで減量されると、同噴射量Qpが最小噴射量Qpminに維持された状態で燃焼影響度が最も低い第1筒内噴射DI1の噴射量Q1の減量が開始される。
次に、区間Bでは、第1筒内噴射DI1の噴射量Q1が第1の減量不足分ΔQ1に相当する量だけ減量される。なお、第1筒内噴射DI1よりも燃焼影響度が高い第2筒内噴射DI2や第3筒内噴射DI3の噴射量Q2,Q3は減量されない。
そして、パージ補正量Qkが増加し、第1筒内噴射DI1の噴射量Q1が筒内噴射弁16の最小噴射量Qdminに相当する量まで減量されると、同噴射量Q1が最小噴射量Qdminに維持された状態で第2筒内噴射DI2の噴射量Q2の減量が開始される。
次に、区間Cでは、第2筒内噴射DI2の噴射量Q2が第2の減量不足分ΔQ2に相当する量だけ減量される。そして、パージ補正量Qkが増加し、第2筒内噴射DI2の噴射量Q2が筒内噴射弁16の最小噴射量Qdminに相当する量まで減量されると、同噴射量Q2が最小噴射量Qdminに維持された状態で、燃焼影響度が最も高い第3筒内噴射DI3の噴射量Q3の減量が開始される。
そして、区間Dでは、第3筒内噴射DI3の噴射量Q3が第3の減量不足分ΔQ3に相当する量だけ減量される。
ところで、吸気通路10にパージされる蒸発燃料は吸気とともに吸気ポート13を通じて燃焼室14に導入されることから、蒸発燃料が吸気にパージされたときは、ポート噴射PIの噴射量Qpが蒸発燃料の燃料分に相当する量だけ増量されたときとほぼ同じ状況になる。そのため、この燃料噴射装置では、第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3よりもポート噴射PIの噴射量Qpが優先して減量される。
また、この燃料噴射装置では、パージされる蒸発燃料が多く、ポート噴射PIの噴射量Qpがポート噴射弁15の最小噴射量Qpminに達したときには、筒内噴射弁16の最小噴射量Qdminを噴射量の下限値とする減量が、第1筒内噴射DI1、第2筒内噴射DI2、第3筒内噴射DI3に対して順次行われる。
以上説明した燃料噴射装置によれば、次の効果を奏することができる。
(3)蒸発燃料が吸気にパージされたときは、第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3よりもポート噴射PIの噴射量Qpを優先して減量するようにした。このため、混合気の燃焼状態をパージがなされていないときの状態に近づけることができ、蒸発燃料のパージによる噴射量の増加を適切に補償することができる。
また、パージされる蒸発燃料が多く、ポート噴射PIの噴射量Qpがポート噴射弁15の最小噴射量Qpminに達したときには、第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3のうち、燃焼影響度が低い噴射から順に噴射量を減量するようにしたため、筒内噴射量の減量に伴う燃焼状態の悪化を抑制することができる。
[第3の実施形態]
次に、燃料噴射装置の第3の実施形態について図7及び図8を参照して説明する。なお、この燃料噴射装置の構成は、図1に示す第1の実施形態の構成と同様である。
ポート噴射弁15の噴射量が一定となるエンジンの定常運転時には、吸気ポート13の壁面から離脱して燃焼室14に流入する燃料の量とポート噴射弁15から噴射されて吸気ポート13の壁面に新たに付着する燃料の量が等しい。このため、エンジンの定常運転時には、ポート噴射弁15から噴射されて燃焼室14に流入する量と吸気ポート13の壁面から離脱して燃焼室14に流入する燃料との和は一定に維持される。一方で、ポート噴射弁15の噴射量が変化するエンジンの過渡運転時には、吸気ポート13の壁面から離脱する燃料の量と新たに付着する燃料の量との平衡が乱れるようになる。
図7に示すように、エンジンの負荷が上昇して同負荷と燃料の壁面付着量との関係が点Aに示す状態から点Bに示す状態に変化する場合には、壁面付着量が増加する。したがって、この場合は吸気ポート13の壁面に新たに付着する燃料の量が同壁面から離脱する燃料の量を上回り、吸気ポート13を介して吸入される燃料の量が減少するようになる。
一方で、エンジンの負荷が低下して同負荷と燃料の壁面付着量との関係が点Bに示す状態から点Aに示す状態に変化する場合には、壁面付着量が減少する。したがって、この場合は吸気ポート13の壁面から離脱する燃料の量が同壁面に新たに付着する燃料の量を上回り、吸気ポート13を介して吸入される燃料の量が増加するようになる。
このため、エンジンの壁面付着量補正では、壁面付着燃料の影響による変化に応じてポート噴射量や筒内噴射量を増減補正することにより、総噴射量の過不足を補償するようにしている。
例えば、図8(a)に示すように、エンジンの負荷が上昇したときには、ポート噴射量及び筒内噴射量の総噴射量を一時的に増大させることにより、実際に燃焼室14に流入する燃料の量を目標噴射量に一致させる。一方、図8(b)に示すように、エンジンの負荷が低下したときには、ポート噴射量及び筒内噴射量の総噴射量を一時的に減少させることにより、実際に燃焼室14に流入する燃料の量を目標噴射量に一致させる。
ここで、こうした燃料の壁面付着量補正により、筒内噴射量を減量補正する場合にも、上述したような筒内噴射量を減量することに伴う燃焼状態の悪化が懸念される。このため、本実施形態では、エンジンの負荷が減少して壁面付着補正量Qk(図8(b)参照)に相当する量だけ噴射量を減量するときにも、第2の実施形態と同様に図6に示す減量処理を行うようにしている。なお、第2の実施形態の図6及び図7に関する説明で「パージ補正量Qk」、「蒸発燃料」とあるのは、本実施形態では「壁面付着補正量Qk」、「壁面付着燃料」とそれぞれ読み替え、「蒸発燃料が吸気にパージされる」ことは「壁面付着燃料が燃焼室に吸入される」ことを意味することとする。
次に、この燃料噴射装置の作用を説明する。
ポート噴射PIの噴射量Qpが減少した直後は、吸気ポート13の壁面に付着している燃料の一部が離脱して吸気とともに燃焼室14に流入する。このように燃焼室14に壁面付着燃料が流入する場合には、ポート噴射PIの噴射量Qpがその壁面付着燃料の量だけ増量されたときとほぼ同じ状況となる。そのため、この燃料噴射装置では、第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3よりもポート噴射PIの噴射量Qpが優先して減量される。
また、この燃料噴射装置では、燃焼室14に流入する壁面付着燃料が多く、ポート噴射PIの噴射量Qpがポート噴射弁15の最小噴射量Qpminに達したときには、筒内噴射弁16の最小噴射量Qdminを噴射量の下限値とする減量が、第1筒内噴射DI1、第2筒内噴射DI2、第3筒内噴射DI3に対して順次行われる。
以上説明した燃料噴射装置によれば、次の効果を奏することができる。
(4)壁面付着燃料が燃焼室14に流入したときは、第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3よりもポート噴射PIの噴射量Qpを優先して減量するようにした。このため、混合気の燃焼状態を壁面付着燃料が燃焼室14に吸入されていないときの状態に近づけることができ、同壁面付着燃料による噴射量の増加を適切に補償することができるようになる。
また、燃焼室14に吸入される壁面付着燃料が多く、ポート噴射PIの噴射量Qpがポート噴射弁15の最小噴射量Qpminに達したときには、第1筒内噴射DI1〜第3筒内噴射DI3のうち、燃焼影響度が低い噴射から順に噴射量を減量するようにしたため、筒内噴射量の減量に伴う燃焼状態の悪化を抑制することができる。
なお、上述した各実施形態は以下のように変更して実施することもできる。また、以下の各変形例を適宜組み合わせて実施することもできる。
・3回の筒内噴射を行うようにしたが、筒内噴射の回数は2回でもよいし、4回以上であってもよい。ただし、この場合でも吸気上死点から噴射開始までの期間が短い噴射ほど優先して噴射量を減量するようにする。
・ポート噴射を吸気行程前半に、各筒内噴射をそれぞれ吸気行程後半、圧縮行程前半、圧縮行程後半にそれぞれ実行するようにしたが、各筒内噴射の実行時期は適宜変更できる。また、ポート噴射は少なくとも吸気行程中に行われればよく、例えば排気行程後半から吸気行程にかけてポート噴射を行うようにしたり、圧縮行程前半に吸気弁がまで閉弁していない期間があれば、吸気行程からその期間にかけてポート噴射を行うようにしたりしてもよい。また、ポート噴射の噴射期間と筒内噴射の噴射期間とが重なるようにしてもよい。
・複数回の筒内噴射のうち、燃焼影響度の最も低い噴射から順次、筒内噴射弁の最小噴射量を噴射量の下限値とする減量を行うようにしたが、少なくとも3回の筒内噴射が行われる場合には、燃焼影響度の最も低い噴射の噴射量が減量により筒内噴射弁の最小噴射量に達したときに、それ以外の筒内噴射の噴射量の減量を同時に開始するようにしてもよい。
・また、筒内噴射量を減量する際、筒内噴射弁の最小噴射量を噴射量の下限値とする減量を行うようにしたが、この噴射量の下限値を筒内噴射弁の最小噴射量を上回る量に変更してもよい。この場合、例えば機関運転状態に基づいて決定された各筒内噴射量の比率に基づいて各筒内噴射量の下限値をそれぞれ設定し、燃焼影響度の最も低い噴射から順に噴射量の減量を行うこととしてもよい。
・また例えば、減量要求量を各筒内噴射に振り分けてそれぞれの筒内噴射における減量を開始するようにし、複数回の筒内噴射のうち燃焼影響度が低い噴射ほど減量要求量の振り分け量を多くするようにしても、燃焼影響度が低い噴射ほど優先して噴射量を減量することはできる。この場合は、例えば、減量要求量Qを各筒内噴射DI1〜DI3に振り分け、その振り分け率を[α:β:γ](α+β+γ=1.0 α>β>γ)として、以下の式(7a)〜(7c)により各筒内噴射DI1〜DI3の噴射量Q1〜Q3を求める。

ΔQ1←Q1−α・Q …(7a)
ΔQ2←Q2−β・Q …(7b)
ΔQ3←Q3−γ・Q …(7c)

・また、減量要求量を各筒内噴射に振り分けて各噴射量を減量する場合において、例えば、少なくとも3回の筒内噴射が行われる場合には、複数回の筒内噴射のうち燃焼影響度が最も低い噴射については減量要求量の振り分け量を最も多くする一方で、それ以外の噴射は減量要求量の振り分け量を等しくするようにしてもよい。
・ポート噴射及び各筒内噴射の噴射量を機関運転状態に基づいて各別に算出する際には、例えば、ポート噴射及び各筒内噴射の噴射量についてそれらの比率を予め設定しておき、筒内噴射の総噴射量をそれらの比率で各筒内噴射に分配することにより各噴射量を決定することができる。
・空燃比フィードバック制御、パージ制御、壁面燃料付着量補正の実行に伴って筒内噴射の減量要求が生じた場合の減量処理を例に説明したが、この燃料噴射装置は、例えばブローバイガスが吸気に導入される場合等、それ以外の減量要求に応じて筒内噴射量を減量する場合にも適用することができる。さらに、空燃比フィードバック制御、パージ制御、壁面燃料付着量補正等々、複数の制御での減量要求がある場合にも、上述した各実施形態で説明した燃料噴射装置の減量処理を併せて行うことで対処することができる。
10…吸気通路、11…エアフローメータ、12…スロットルバルブ、13…吸気ポート、14…燃焼室、15…ポート噴射弁、16…筒内噴射弁、17…点火プラグ、18…排気通路、19…空燃比センサ、20…燃料タンク、21…フィードポンプ、22…低圧燃料通路、23…低圧燃料配管、30…高圧燃料通路、31…高圧燃料ポンプ、32…高圧燃料配管、33…燃圧センサ、40…ベーパ通路、41…キャニスタ、42…パージ通路、43…パージバルブ、50…電子制御ユニット。

Claims (6)

  1. 吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁と燃焼室に燃料を噴射する筒内噴射弁とを備え、ポート噴射弁によるポート噴射と、筒内噴射弁による複数回の筒内噴射とを実行する燃料噴射装置において、
    筒内噴射に減量要求があるときには、前記複数回の筒内噴射のうち吸気上死点から噴射開始までの期間が短い噴射ほど優先して噴射量を減量する減量処理を実行する
    ことを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 前記減量処理では、前記複数回の筒内噴射のうち吸気上死点から噴射開始までの期間が最も短い噴射から順に筒内噴射弁の最小噴射量を噴射量の下限値とする減量を実行する
    請求項1に記載の燃料噴射装置。
  3. 前記減量処理では、減量要求量を各筒内噴射に振り分けて減量を実行し、前記複数回の筒内噴射のうち吸気上死点から噴射開始までの期間が短い噴射ほど減量要求量の振り分け量を多くする
    請求項1に記載の燃料噴射装置。
  4. 空燃比フィードバック制御の学習補正量に相当する量だけ噴射量を減量するときには、学習補正量をポート噴射と筒内噴射とに振り分けるとともに、筒内噴射への振り分け量を前記減量処理の減量要求量として同処理を実行する
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  5. 蒸発燃料のパージ制御によりパージ補正量に相当する量だけ噴射量を減量するときには、ポート噴射量を減量し、パージ補正量が減量前のポート噴射量とポート噴射弁の最小噴射量との差を上回るときには、ポート噴射量をその最小噴射量に維持しつつ、その上回る量を前記減量処理の減量要求量として同処理を実行する
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  6. 燃料の壁面付着量補正により壁面付着補正量に相当する量だけ噴射量を減量するときには、ポート噴射量を減量し、壁面付着補正量が減量前のポート噴射量とポート噴射弁の最小噴射量との差を上回るときには、ポート噴射量を前記最小噴射量に維持しつつ、その上回る量を減量要求量として前記減量処理を実行する
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
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