JP2007231850A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】気筒内に燃料を噴射する噴射系の噴射特性を高精度に補正する。
【解決手段】エンジン200は、デリバリパイプ229を介して高圧燃料が供給される直噴インジェクタ216を備える。デリバリパイプ229内の燃圧は、高圧ポンプ装置228によって圧送される燃料により常に目標圧に維持されている。ECU100は、噴射制御処理を実行する過程で、係る高圧ポンプ228の制御量Cpを学習し、その時点の制御量と筒内噴射量の目標値に相当する制御量との差分の絶対値が所定値を超えた場合に補正処理を実行する。この際、係る制御量に基づいて補正された直噴インジェクタ216の噴射特性に従って噴射時間が再設定され、筒内噴射量が目標値に補正される。一方、補正後の噴射時間が上下限値によって制限される場合、ECU100は、点火時期及びバルブオーバラップ量を現時点での噴き分け比率に応じて制御する。
【選択図】図4

Description

本発明は、吸気系及び気筒内に夫々燃料を噴射することが可能に構成された内燃機関を制御する内燃機関の制御装置の技術分野に関する。
燃料を噴射するための、例えばインジェクタ等の噴射装置における噴射量を補正する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献献1に開示された燃料噴射制御装置(以下、「従来の技術」と称する)によれば、パイロット噴射時の圧力変動幅と高圧燃料配管圧力とから実際のパイロット燃料噴射量を算出し、目標値からの偏差が所定の範囲内になるように燃料の噴射時間を増減補正することによって、燃料噴射弁の燃料噴射特性にかかわらず正確に燃料を噴射することが可能であるとされている。
尚、混合燃料使用内燃機関において、空燃比学習値が異常となる回数が所定回数を超えた場合に噴射時間を補正する技術も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−27910号公報 特開平5−18282号公報
従来の技術では、高圧燃料配管の圧力変動幅に基づいて実際のパイロット噴射量が算出されるため、例えば、高圧燃料配管の圧力を検出するための圧力センサ等各種検出手段の精度によって算出されるパイロット噴射量も変化する。即ち、従来の技術では、必ずしも正確な噴射量に基づいて燃料噴射特性が補正されるとは限らず、燃料噴射量の補正が十分になされ難いという技術的な問題点がある。
一方、燃料の噴射系が一系統であれば、空燃比の制御等を介して燃料の噴射量は適宜補正され得るし、噴射系を二系統備える場合であっても燃料の総量は同様に補正され得る。しかしながら、例えばこれら二系統のうち気筒内に燃料を噴射する噴射系の噴射特性に変化が生じた場合、各噴射系相互間の噴き分け比率が変化するため、内燃機関の燃焼状態は必ずしも最適な状態を維持し得ない。即ち、噴射系を二系統備える場合には、一の噴射系の噴射特性を高精度に補正する必要があるという側面もある。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、吸気系と気筒内に燃料を噴射する際に、気筒内に燃料を噴射する噴射系の噴射特性を高精度に補正し得る内燃機関の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る内燃機関の制御装置は、吸気系に燃料を噴射する吸気系噴射手段、デリバリを介して気筒内に前記燃料を噴射する筒内噴射手段及び前記デリバリに対し前記デリバリにおける前記燃料の圧力が目標圧に維持されるように前記燃料を供給する供給手段を備える内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、前記筒内噴射手段を介した前記燃料の噴射量を表す筒内噴射量の目標値を設定する目標値設定手段と、予め設定された前記筒内噴射手段の噴射特性に従って、前記筒内噴射量が前記目標値となるように前記筒内噴射手段を制御する筒内噴射制御手段と、前記デリバリに対する前記燃料の供給量との間に所定の対応関係を伴う前記供給手段の制御量に基づいて前記噴射特性を補正する補正手段とを具備し、前記筒内噴射制御手段は、前記補正された噴射特性に従って前記筒内噴射手段を制御することを特徴とする。
本発明において「内燃機関」とは、燃料の燃焼を動力に変換する機関であって、特に例えば吸気ポート等の吸気系に対し燃料を噴射する例えば電子制御インジェクタ等の吸気系噴射手段及び例えばデリバリパイプ或いはコモンレール等のデリバリを介して気筒内に直接燃料を噴射する例えば電子制御インジェクタ装置等の筒内噴射手段を備えると共に、当該デリバリに対し、当該デリバリにおける燃料の圧力(以下、適宜「燃圧」と称する)が目標圧に維持されるように燃料を供給する例えば高圧ポンプ装置等を含む供給手段を備えるものを包括する概念である。
本発明に係る内燃機関の制御装置によれば、その動作時には、目標値設定手段により、筒内噴射量の目標値が設定される。係る目標値は、本発明に係る内燃機関の制御装置に相異なる二つの燃料噴射手段が備わることに鑑みれば、筒内噴射手段のみによって燃料を噴射すべきものとして規定される運転条件では、即ち、例えば機関回転数及び負荷等から定まる内燃機関の要求噴射量と等価であり、また吸気系噴射手段のみによって燃料を噴射すべきものとして規定される運転条件では、即ちゼロである。更に、これら両噴射手段各々を介して燃料の噴射がなされる場合には、例えば内燃機関全体としての要求噴射量に、例えば内燃機関の運転条件に応じて決定される両噴射手段相互間の噴き分け比率を乗じた値であってもよい。
筒内噴射制御手段は、例えば、筒内噴射手段における燃料噴射時間を規定する制御量と噴射との対応関係を定めてなるマップ等の形態を有する予め設定された噴射特性に従って、筒内噴射量が目標値となるように筒内噴射手段を制御、例えば噴射時間等を制御する。
ここで特に、筒内噴射手段は、例えばその一部が気筒内に露出している為デポジットに晒され易く、前述した噴射特性は、内燃機関の動作過程において必ずしも安定しない。噴射特性が一時的恒久的の別によらず変化した場合には、必然的に筒内噴射量が変化する。
ガソリンを含む燃料を使用する内燃機関では、空燃比が所定値(例えば、理論空燃比)になるように空燃比フィードバック制御が実行されることが多く、このような内燃機関では、筒内噴射量が目標値と比較して増加又は減少したとしても、その増加分又は減少分を補償するように吸気系噴射手段が制御され、全体としての噴射量は要求噴射量に維持され得る。
一方で、要求噴射量が維持されたとしても、両者の噴き分け比率は変化するため、例えば、点火プラグの点火時期や吸排気バルブ相互間のバルブオーバラップ量等が、目標となる噴き分け比率に応じて燃焼状態を最適化し得るように定められる場合には、噴き分け比率が変化することによって内燃機関の効率的な動作が阻害されかねない。しかしながら、吸気系噴射手段と筒内噴射手段とを介して燃料が噴射されている場合、筒内噴射量のみを検出することは困難である。
そこで、本発明に係る内燃機関の制御装置は、筒内噴射手段の噴射特性を補正する補正手段を備えることにより係る問題を解決している。補正手段は、デリバリに対する燃料の供給量との間に所定の対応関係を伴う供給手段の制御量に基づいて係る噴射特性を補正する。
デリバリの燃圧は、例えばフィードバック制御等によって、既に述べたように所定の目標圧に維持されるように制御される。係る燃圧はデリバリ内の燃料量と比例するから、筒内噴射量の目標値が如何なる値であるかにかかわらず、燃圧はデリバリ内の燃料量が多ければ高く、少なければ低く即ち実際の筒内噴射量と比例した値となる。従って、筒内噴射量は、燃圧を維持するためにデリバリへ供給される燃料の供給量と理想的には等しいものとなる。
本発明に係る「供給手段の制御量」とは、例えば、高圧ポンプ装置等の制御デューティ比や、筒内噴射手段に燃料を供給する配管系に設置されたバルブが開いている期間等、係る供給量との間に既知となる所定の対応関係を伴う制御量を包括する概念である。従って、係る制御量の値は、筒内噴射量を正確に表し得る値となる。即ち、係る制御量に基づいて噴射特性を補正することにより、筒内噴射手段の噴射特性を高精度に補正することが可能となるのである。
尚、前述の筒内噴射制御手段は、このようにして補正された噴射特性に従って燃料を噴射するため、筒内噴射量は高精度に目標値に維持され得、以って内燃機関の効率的な動作が促進される。
本発明に係る内燃機関の制御装置の一の態様では、前記補正手段は、前記吸気系噴射手段及び前記筒内噴射手段各々を介して前記燃料が噴射される期間の少なくとも一部において前記噴射特性を補正する。
本発明に係る効果は、少なくとも筒内噴射手段を介して燃料が噴射される期間であれば実践上有効であるが、筒内噴射手段に加え、吸気系噴射手段を介して燃料が噴射される期間については、これら相互間の噴き分け比率を正確に制御し得るため顕著に有効である。
本発明に係る内燃機関の制御装置の他の態様では、前記補正手段は、前記内燃機関が定常状態にある場合に前記噴射特性を補正する。
内燃機関が例えば過渡期間にある場合、筒内噴射量の変化速度が相対的に高くなるため、デリバリの燃圧を目標圧に維持するための、例えばフィードバック制御が追従しきれない場合がある。このような期間では、供給手段の制御量は正確に筒内噴射量を表し得ないから、噴射特性の補正精度が低下しかねない。
この態様によれば、補正手段は、内燃機関が定常状態にある場合に噴射特性を補正するため、正確且つ効率的に筒内噴射手段の噴射特性を補正し得る。尚、本発明における「定常状態」とは、供給手段の上述した制御量に基づいて効率的に補正を行い得る内燃機関の動作期間として、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいて決定されていてもよい。
尚、この態様では、前記定常状態は、前記内燃機関の機関回転数の変動幅が所定値未満である状態、前記内燃機関の吸気量の変動幅が所定値未満である状態及び前記圧力の変動幅が所定値未満である状態のうち少なくとも一つを含んでもよい。
例えば、定常状態がこのように定義される場合には、比較的高精度に筒内噴射手段の噴射特性を補正し得る。この際、各条件における所定値は、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいて、筒内噴射手段の噴射特性を好適に補正し得るように定められていてもよい。
本発明に係る内燃機関の制御装置の他の態様では、前記対応関係に基づいて前記目標値に相当する前記供給量に対応する前記制御量を前記制御量の基準値として設定する基準値設定手段を更に具備し、前記補正手段は、前記基準値と前記制御量との差分に基づいて前記噴射特性を補正する。
この態様によれば、基準値設定手段によって供給手段の制御量の基準値が設定され、現時点における制御量と係る基準値との差分に基づいて噴射特性が補正される。この基準値は、前述した対応関係における筒内噴射量の目標値に相当する制御量であり、従って燃圧を維持する際の制御量と係る基準値との差分は、筒内噴射量の目標値からの乖離量に相当することになる。従って、係る差分に基づいて効果的に噴射特性を補正することが可能となる。
尚、この態様では、前記補正手段は、前記差分が所定範囲外である場合の少なくとも一部において前記噴射特性を補正してもよい。
基準値と現時点における制御量との差分は、基本的に筒内噴射量の目標値からの乖離量に相当するが、内燃機関の動作期間中は外気温、湿度、燃料性状又は圧力センサ等各種検出手段の検出誤差等各種外乱要素によって、係る差分もある程度の誤差範囲を伴うことがある。そのような場合に厳密に差分に基づいて噴射特性の補正を行うと、かえって精度の低下を招きかねない。また、補正手段の負荷が増大しかねない。従って、このように、差分が所定範囲外である場合に噴射特性を補正することによって、効率的且つ効果的に筒内噴射手段の噴射特性を補正することが可能となるのである。尚、係る所定範囲は、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいて、上述したような外乱要素の影響を排除し且つ効果的に噴射特性を補正し得るように決定されていてもよい。
基準値設定手段を備える態様では更に、前記補正された噴射特性に従って前記筒内噴射手段が制御された場合に前記筒内噴射手段の動作条件が所定種類の禁止条件に該当するか否かを、前記噴射特性が補正される以前に判別する判別手段を更に具備し、前記補正手段は、前記動作条件が前記禁止条件に該当しないと判別された場合に前記噴射特性を補正してもよい。
筒内噴射手段を介して燃料を噴射することが可能な期間は、内燃機関におけるクランク角等に対応付けられて規定されるが、クランク角の変化速度が内燃機関の運転条件に応じて変化することに鑑みれば、内燃機関の運転条件に応じて定まる時間概念たる上限値により律束される。また、筒内噴射手段には、電気的、物理的又は機械的な制約により噴射時間と噴射量とのリニアリティを確保し得る噴射時間の下限値が設定される。
この態様によれば、例えば、この様な噴射時間を含む筒内噴射手段の各種動作条件が、例えば上述したような噴射時間の上下限値によって規定される噴射可能時間範囲外となるかといった禁止条件が設定され、筒内噴射手段の動作条件が係る禁止条件に該当しない場合に筒内噴射手段の噴射特性が補正されるため、内燃機関の効率的な動作が阻害されず好適である。
尚、この態様では、前記対応関係及び前記差分に基づいて前記吸気系噴射手段を介した前記燃料の噴射量と前記筒内噴射量との総和に対する前記筒内噴射量の比率を推定する比率推定手段と、前記動作条件が前記禁止条件に該当すると判別された場合に前記推定された比率に応じて前記内燃機関の燃焼状態を制御する燃焼状態制御手段とを具備してもよい。
この態様によれば、比率推定手段によって、吸気系噴射手段を介した燃料の噴射量(以下、適宜「吸気系噴射量」と称する)と筒内噴射量との総和、即ち内燃機関の要求噴射量に対する筒内噴射量の比率(以下、適宜「噴き分け比率」と称する)が推定される。
この態様によれば、噴射特性の補正を行ったと仮定した場合の筒内噴射手段の動作条件が上述した禁止条件に該当する場合には、噴射特性の補正を行っても筒内噴射量を目標値に維持するだけの噴射量を実現し難いものとして、燃焼状態制御手段により、係る推定された噴き分け比率に応じて燃焼状態が制御される。
吸気系噴射手段を介して噴射される燃料と、筒内噴射手段を介して噴射される燃料とは、燃焼室において相互に異なる燃焼形態を採り易い。例えば、前者では燃料が吸気系において吸入空気と混合されるため、均質燃焼が支配的であり、後者は、燃料が主として筒内噴射手段の噴射口付近に偏在するため成層燃焼が支配的となる。従って、噴き分け比率に応じて燃焼状態を制御することにより、内燃機関を最適な燃焼状態に制御し得、噴射特性を補正し得ない場合にも内燃機関を好適に動作させることが可能となる。
尚、この態様では、前記内燃機関は、吸気バルブ及び排気バルブのうち少なくとも一方の開閉時期を可変とすることが可能な可変動弁系並びに前記燃料に点火する点火手段を備え、前記燃焼状態制御手段は、(i)前記可変動弁系を介して、前記吸気バルブの開弁時期と前記排気バルブの開弁時期とが相互に重なる期間を表すものとして規定されるバルブオーバラップ量を制御するバルブオーバラップ量制御手段及び(ii)前記点火手段を介して前記燃料への点火時期を制御する点火時期制御手段を含んでもよい。
燃焼状態制御手段の態様は、内燃機関の燃焼状態を制御し得る限りにおいて何ら限定されないが、このように点火時期及びバルブオーバラップ量を制御する各手段を備える場合には、例えば、筒内噴射量が目標値より多い場合に点火時期を遅角し且つバルブオーバラップ量を小さくすること等によって燃焼状態を効率的且つ効果的に向上させることが可能である。
燃焼状態制御手段を備える態様では更に、前記基準値設定手段は、前記比率に応じて燃焼状態が制御された場合に、前記制御量を新たに前記基準値として設定してもよい。
このように燃焼状態が噴き分け比率に応じて制御される状態では、実際の筒内噴射量が実際の噴射特性に従って目標値から乖離した値となるから、燃圧を維持するための制御量は、旧来の目標値に相当する制御量の基準値からは乖離した値を中心に変動する。この場合には、基準値を再設定することによって、不要な補正を抑制することが可能となる。
本発明に係る内燃機関の制御装置の他の態様では、前記補正された噴射特性に従って前記筒内噴射手段が制御される場合に、前記筒内噴射量と前記吸気系噴射手段を介した前記燃料の噴射量との総和が維持されるように前記吸気系噴射手段を制御する吸気系噴射制御手段を更に具備する。
この態様によれば、吸気系噴射制御手段によって、筒内噴射手段の噴射特性が補正され、筒内噴射量が目標値に漸近するのに伴い、吸気系噴射手段を介した燃料の噴射量と筒内噴射量との総和、即ち内燃機関の要求噴射量が維持されるように吸気系噴射手段を介した燃料の噴射量が補正せしめられる。従って、内燃機関の動作状態を阻害することなく筒内噴射手段の噴射特性を補正することが可能となる。尚、空燃比が目標空燃比に維持されるように両噴射手段による噴射量の総和が制御される場合であっても、筒内噴射手段の噴射特性が補正されたことに伴う筒内噴射量の変化に対して空燃比制御の追従が遅延するため、本態様に係る制御は有意義である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、適宜図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態に係るエンジンシステムの構成について説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10の模式図である。
図1において、エンジンシステム10は、図示せぬ車両に搭載され、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)100及びエンジン200を備える。
ECU100は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、エンジン200の動作を制御する装置であり、本発明に係る「内燃機関の制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムを実行することによって、燃料の噴射量を制御するための後述する噴射制御処理を実行することが可能に構成されている。
エンジン200は、シリンダ201(即ち、本発明に係る「気筒」の一例)内において点火プラグ202により混合気を爆発させると共に、その爆発力に応じて生じるピストン203の往復運動を、コネクティングロッド204を介してクランクシャフト205の回転運動に変換することが可能に構成された、本発明に係る「内燃機関」の一例である。尚、図1においては、一のシリンダ201のみが示されているが、本実施形態に係るエンジン200は直列4気筒エンジンであり、図1において紙面と垂直な方向にシリンダ201と同等な3本のシリンダが並列配置されているものとする。以下に、エンジン200の要部構成をその動作の一部と共に説明する。
シリンダ201内における燃料の燃焼に際し、外部から吸入された空気(以下、適宜「吸入空気」と称する)は、吸気管207内を通過する過程で、吸気管207上に設けられたエアクリーナ208及びエアフローメータ209を介して、係る吸入空気の量たる吸入空気量を制御するスロットルバルブ210に到達する。エアクリーナ208は、吸入空気を浄化することが可能に構成されている。また、エアフローメータ209は、ホットワイヤー式と称される形態を有しており、吸入空気の質量流量を直接測定することが可能に構成されている。
スロットルバルブ210近傍にはスロットルバルブモータ211とスロットルポジションセンサ212が配設されている。一方、不図示のアクセルペダルの踏込み量は、不図示のアクセルポジションセンサを介しECU100に電気的に入力される。スロットルバルブモータ211には、ECU100からアクセルポジションセンサの出力に対応するスロットルバルブの開度(以下、適宜「スロットル開度」と称する)を表す制御信号が与えられており、スロットル開度が係る制御信号に応じて制御される構成となっている。
スロットルバルブ210を通過した吸入空気は、吸気管207の一部として構成された吸気ポート213に到達する。シリンダ201内部の燃焼室と吸気ポート213との連通状態は、吸気バルブ215の開閉状態に応じて制御される。
吸気ポート213には、ポートインジェクタ214(即ち、本発明に係る「吸気系噴射手段」の一例)を介して燃料が噴射される。即ち、吸気ポート213は、本発明に係る「吸気系」の一例である。吸気ポート213に到達した吸入空気は、ポートインジェクタ214から噴射された燃料と混合され、前述の混合気となる。尚、ポートインジェクタ214は、ECU100と電気的に接続され、ECU100によってその燃料噴射量及び燃料噴射タイミングが制御される構成となっている。
一方、本実施形態では、ポートインジェクタ214とは別個に、燃焼室に直接燃料を噴射する直噴インジェクタ216が備わる。直噴インジェクタ216は、本発明に係る「筒内噴射手段」の一例であり、ECU100と電気的に接続され、ECU100にその燃料噴射量及び燃料噴射タイミングが制御される構成となっている。
燃焼室における燃焼済みの混合気は、吸気バルブ215の開閉に連動して開閉する排気バルブ217を介して排気ポート218に排気される。排気ポート218は、排気管219に連通する構成となっており、排気ガスは、排気管219に設置された三元触媒221により適宜浄化された後、最終的には車外へ排気される。尚、排気管219には、空燃比を検出するための空燃比センサ220が設置されている。空燃比センサ220はECU100と電気的に接続されており、検出された空燃比は常にECU100によって把握される構成となっている。
尚、エンジン200の不図示の吸気カムシャフトには、吸気バルブ215の開閉時期を規定する吸気カムの回転位相を可変とすることが可能な回転位相差可変アクチュエータ232が設置されており、吸気バルブ215の開閉時期が可変に構成されている。同様に、エンジン200の不図示の排気カムシャフトには、排気バルブ217の開閉時期を規定する排気カムの回転位相を可変とすることが可能な回転位相差可変アクチュエータ233が設置されており、排気バルブ217の開閉時期が可変に構成されている。即ち、本実施形態に係るエンジン200には、一種の吸排気VVT(Variable Valve Timing)機構が備わっている。
シリンダ201を収容するシリンダブロック内のウォータージャケットには、エンジン200の冷却水温度を検出するための水温センサ222が配設されている。水温センサ222も、空燃比センサと同様にECU100と電気的に接続されており、検出された水温が常にECU100によって把握される構成となっている。
ポートインジェクタ214及び直噴インジェクタ216には、燃料タンク223から燃料が供給される。燃料タンク223には、燃料224が貯留されており、ECU100によって制御される低圧ポンプ225により、供給管226及び燃料を濾過するフィルタ227を夫々介して各インジェクタに供給される構成となっている。
一方、直噴インジェクタ216が燃料を噴射する燃焼室内部は高圧状態であるため、燃料の供給圧を更に昇圧する必要がある。従って、直噴インジェクタ216へ分岐した後の供給管226上には、高圧ポンプ装置228が設置されている。高圧ポンプ装置228は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によりその動作が制御されている。
高圧ポンプ装置228により昇圧された燃料は、本発明に係る「デリバリ」の一例たるデリバリパイプ229に圧送され、デリバリパイプ229に一旦貯留される。デリバリパイプ229は、高圧状態の燃料を安定して貯留することが可能に構成されている。デリバリパイプ229から直噴インジェクタ216には、枝管231を介して係る高圧状態の燃料が供給される構成となっている。尚、デリバリパイプ229は、紙面に垂直な方向、即ち各シリンダの配列方向に延在し、また枝管231はシリンダ毎に設けられており、デリバリパイプ229から供給される燃料は、各直噴インジェクタへ個別に供給される構成となっている。尚、デリバリパイプ229には、デリバリパイプ229内部の燃圧を検出するための圧力センサ230が設けられている。圧力センサ230は、ECU100と電気的に接続されており、デリバリパイプ229内部の燃圧は、常にECU100によって把握される構成となっている。本実施形態では特に、係るデリバリパイプ229の燃圧は、所定の目標圧に維持されている。
<実施形態の動作>
<燃料噴射の概要>
エンジンシステム10では、ECU100により、直噴インジェクタ216及びポートインジェクタ214各々について燃料の噴射タイミング及び噴射量が制御されている。更に、直噴インジェクタ216を介して噴射される燃料量(即ち、本発明に係る「筒内噴射量」の一例であり、以下、適宜「筒内噴射量」と称する)と、ポートインジェクタ214を介して噴射される燃料量(以下、適宜「ポート噴射量」と称する)との比率(即ち、本発明に係る「比率」の一例であり、以下、適宜「噴き分け比率」と称する)が、エンジン200の機関運転条件に応じて適宜設定されている。
エンジン200の要求噴射量(即ち、筒内噴射量とポート噴射量との総和)は、エンジン200の機関回転数及び負荷等に基づいて求められる。ECU100は、係る要求噴射量に対し、エンジン200の機関運転条件に応じて定まる噴き分け比率に従って、直噴インジェクタ216の噴射量目標値(即ち、本発明に係る「目標値」の一例)及びポートインジェクタ214の噴射量目標値を決定している。尚、ECU100は、空燃比センサ220の出力に基づいた空燃比フィードバック制御を実行しており、各インジェクタからの噴射量は、所定の空燃比(例えば、理論空燃比近傍の空燃比)を維持し得るように制御されている。
燃料を噴射する際、ECU100は、予め設定された噴射特性に従って、目標値に対する噴射時間を決定し、各インジェクタを構成する噴射弁の開弁時間が係る決定された噴射時間となるように各インジェクタを制御している。
一方、ポートインジェクタ214を介して噴射される燃料による燃焼は均質燃焼が支配的であり、直噴インジェクタ216を介して噴射される燃料による燃焼は、成層燃焼が支配的となるため、ECU100は、前述した噴き分け比率に基づいて、燃焼室内部を適切な燃焼状態に制御するべく点火プラグ202の点火時期並びに吸気バルブ215及び排気バルブ216のバルブオーバラップ量を制御している。
<噴射制御処理の詳細>
上述したように、エンジン200を動作させるに当たって燃料の噴き分け比率は重要な意味を持つため、噴き分け比率は、常に所望の値に制御される必要がある。一方で、直噴インジェクタ216は、一部が燃焼室内部に設置されるため、燃焼室内部で生じるデポジット等によりその噴射特性に変化が生じ易い。また、このようなデポジットの影響以外にも何らかの噴射特性の変化が生じる可能性もある。
然るに、筒内噴射量を実測することは実践上極めて困難であり、このような直噴インジェクタ216の噴射特性の変化を把握することは難しい。従って、空燃比制御により要求噴射量自体は担保され得るとしても、各インジェクタの噴き分け比率を所望の値に高精度に制御することは技術的な困難を伴う。
このような問題に対処するため、本実施形態に係るエンジンシステム10では、高圧ポンプ装置228における、例えばスピル制御弁等のデューティ比として規定されるポンプ制御量に基づいて、直噴インジェクタ216の噴射特性を高精度に補正することが可能となっている。
本実施形態において、デリバリパイプ229内の燃圧は、燃圧フィードバック制御により常に目標圧に維持されている。より具体的には、ECU100は、圧力センサ230によって検出される燃圧に基づいて、燃圧が目標圧に維持されるようにポンプ制御量を制御している。デリバリパイプ229の燃圧が低下するのは、即ち直噴インジェクタ229により燃焼室に燃料が噴射されたためであり、燃圧を維持するために高圧ポンプ装置228を介してデリバリパイプ229に圧送される燃料量は、実際の筒内噴射量と一対一の関係を有している。従って、係る圧送量を規定するポンプ制御量によって、実際の筒内噴射量を代替的に且つ正確に表すことが可能となるのである。
ECU100は、係るポンプ制御量に基づいた噴射制御処理を実行することが可能に構成されている。係る噴射制御処理により、直噴インジェクタ216の噴射特性が高精度に補正される。ここで、図2を参照して、本実施形態に係る噴射制御処理の詳細について説明する。ここに、図2は噴射制御処理のフローチャートである。
図2において、ECU100は、現時点におけるエンジン200の動作状態が、高圧ポンプ装置228における上述した制御量の学習実行条件に該当するか否かを判別する(ステップA10)。本実施形態においては、既に述べたように絶えず燃圧のフィードバック制御が実行されている。然るに、加速時等の過渡期間では、高圧ポンプ装置228から圧送される燃料量は燃圧の変化に追従しきれないため、ポンプ制御量による噴射特性の補正は困難となる。従って、本実施形態において、ECU100は、エンジン200が定常状態である場合に係る制御量の学習を実行するように構成されている。
ここに、定常状態とは、機関回転数Neの変動幅が所定値未満であり、吸気量の変動幅が所定値未満であり且つデリバリパイプ229における燃圧の変動幅が所定値未満である場合として定められている。従って、ECU100は、クランクポジションセンサ206の出力に基づいて算出される機関回転数Ne、エアフローメータ209によって検出される吸気量及び圧力センサ230によって検出される燃圧に基づいて係る判別を実行する。
学習実行条件ではない場合(ステップA10:NO)、ECU100は、ステップA10に係る処理を繰り返し実行して、処理を実質上待機状態に制御すると共に、エンジン200の動作状態が学習実行条件に該当する場合(ステップA10:YES)には、現時点における各インジェクタの動作条件が制御対象運転領域に該当するか否かを判別する(ステップA11)。
本実施形態において、制御対象運転領域とは、ポートインジェクタ214及び直噴インジェクタ216各々によって燃料が噴射される領域を指す。例えば、エンジンシステム10では、低回転低負荷領域の運転領域において、直噴インジェクタ216のみを使用した希薄燃焼を実行しており、このような運転領域では、空燃比フィードバック制御によって噴射量は補正され得るため、ポンプ制御量に基づいた噴射特性の補正は行われない。また、スロットルバルブ210がWOT(Wide Open Throttle)に制御される高負荷高回転時には、ポートインジェクタ214のみを使用した均質燃焼が積極的に採用されるため、直噴インジェクタ216における噴射特性の補正の必要性は低いものとなる。
制御対象運転領域ではない場合(ステップA11:NO)、ECU100は処理をステップA10に戻す。制御対象運転領域である場合には(ステップA11:YES)、ECU100は、ポンプ制御量の学習を開始し、ポンプ制御量Cpを取得する(ステップA12)。
ポンプ制御量Cpを取得すると、ECU100は、従前の学習値Cpaと取得したポンプ制御量Cpとの差分ΔCpを算出する(ステップA13)。ここで、従前の学習値Cpaとは、後述する過程で適宜更新され得る値であり、噴射制御処理の開始時には初期値が与えられる。ここで、図3を参照して、ポンプ制御量Cpと筒内噴射量Qdとの対応関係を説明する。ここに、図3は、ポンプ制御量Cpと筒内噴射量Qdとの対応関係を表す特性図である。
図3において、筒内噴射量Qdとポンプ制御量Cpとはリニアな関係を有している。ポンプ制御量の初期値とは、筒内噴射量Qdの前述した目標値に対応するポンプ制御量であり、例えば、図3において、筒内噴射量Qdの目標値がQd2である場合、ポンプ制御量Cp2に相当する値である。この場合、直噴インジェクタ216から目標値に相当する燃料が噴射されていれば、燃圧フィードバック制御によって決定されるポンプ制御量はCp2となる(即ち、フィードバック補正量としては、ゼロとなる)。何らかの原因により実際の筒内噴射量が係る目標値Qd2から乖離した場合には、フィードバック制御によって決定されるポンプ制御量もそれに伴って変化する。
図2に戻り、ECU100は、差分ΔCpの絶対値が、所定値Aより大きいか否かを判別する(ステップA14)。実際上、外気温、湿度、燃料性状或いはその他物理的、電気的又は機械的な各種要因によって、直噴インジェクタ216の噴射特性に微小な変化は生じ得る。係る所定値Aとは、このような実際上補正の必要のない噴射特性の変化(或いは変化とみなし得る挙動)を規定するものとして、予め実験的に、経験的に或いはシミュレーション等に基づいて設定される値である。
差分ΔCpの絶対値が所定値A以下である場合(ステップA14:NO)、ECU100は、噴射特性の補正の必要はないものとして処理をステップA10に戻し、一連の処理を繰り返す。一方で、差分ΔCpの絶対値が所定値Aより大きい場合(ステップA14:YES)、ECU100は、直噴インジェクタ216の噴射特性が変化しており、補正の必要が生じたものとして後述する補正処理を実行した後処理をステップA10に戻し、一連の処理を繰り返す。噴射制御処理は以上のように実行される。
次に、図4を参照して、補正処理の詳細について説明する。ここに、図4は補正処理のフローチャートである。
図4において、ECU100は、補正後筒内噴射量目標値を算出する(ステップB10)。ここに、補正後筒内噴射量目標値とは、筒内噴射量を目標値に相当する量に補正するために、実際の直噴インジェクタ216の噴射特性に基づいて設定される制御上の目標値である。
ここで、図5を参照して、補正後筒内噴射量目標値の詳細について説明する。ここに、図5は、ポンプ制御量Cpと筒内噴射量Qdとの対応関係を表す他の特性図である。尚、同図において、図3と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図5において、実特性Pr0として描かれる特性線は、ポンプ制御量Cpと筒内噴射量Qdとの対応関係を表しており、エンジン200において不変な特性である。今、筒内噴射量の目標値が、図示Qd2に設定されているとする。直噴インジェクタ216の噴射特性に変化がないならば、目標値Qd2が設定されたことに伴い直噴インジェクタ216から噴射される実際の筒内噴射量もQd2となる。従って、燃圧フィードバック制御におけるポンプ制御量はCp2となるはずである。
ところが、直噴インジェクタ216の噴射特性に変化が生じた結果、目標値をQd2に設定した場合にポンプ制御量としてCp3が得られたとする。この場合、ポンプ制御量Cpと筒内噴射量Qdとの対応関係は仮想的には図示仮想特性Pr1の如く変化する。従って、係る仮想特性Pr1における、ポンプ制御量Cp3に対応する座標点から、実特性Pr0へ線分を伸ばして交わった座標点に相当する筒内噴射量であるQd3が、実際に直噴インジェクタ216から噴射された燃料量になる。即ち、図5は、目標値以上の燃料が噴射されている状態が表されている。
従って、実際に筒内噴射量としてQd2を得ようとした場合には、仮想特性Pr1を図示左方向へ辿って、ポンプ制御量がCp2となる座標点に対応する筒内噴射量、即ちQd1を制御上の目標値(実際の目標値はあくまでQd2である)とすればよいことになる。即ち、この制御上の目標値たるQd1が、この場合の補正後筒内噴射量目標値となる。
図4に戻り、補正後筒内噴射量目標値が算出されると、ECU100は更に、係る目標値に相当する燃料を噴射するために必要となる噴射時間Tdを算出する(ステップB11)。
ここで、図6を参照して、噴射時間Tdの詳細について説明する。ここに、図6は直噴インジェクタ216の噴射特性の模式図である。尚、同図において図5と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図6において、基本噴射特性Pr2が描かれる。基本噴射特性Pr2は、噴射特性に何ら変化が生じない場合の特性である。例えば、筒内噴射量としてQd2を得たい場合、係る基本噴射特性Pr2に従えば、必要となる噴射時間はTd2となる。
ところが、既に述べたように噴射特性に変化が生じた結果、本来筒内噴射量Qd2が得られるはずの噴射時間Td2において、筒内噴射量Qd3が得られたとする。この場合、実際の噴射特性は図示実噴射特性Pr3に変化したことになる。
従って、実際に筒内噴射量としてQd2を得ようとした場合、実噴射特性Pr3を図示左方向に辿って筒内噴射量がQd2となる座標点から鉛直下方に伸ばした線分が横軸と交わる点、即ち制御上の目標値を実現するための噴射時間はTd1となる。即ち、前述した制御上の目標値Qd1とは、基本噴射特性Pr2に従った場合に噴射時間Td1に相当する筒内噴射量である。
図4に戻り、制御上の目標値に相当する噴射時間(即ち、実噴射特性に従って目標値に相当する筒内噴射量が得られる噴射時間)Tdが算出されると、ECU100は、係る噴射時間Tdが、予め設定された上限値Tmax及び下限値Tminによって規定される範囲内であるか否かを判別する(ステップB12)。
ここで、上限値Tmaxは、機関回転数Neによって定まる値であり、実際に燃料を噴射することが可能なクランク角の範囲に相当する時間である。また、下限値Tminは、直噴インジェクタ216における噴射量のリニアリティを確保し得る最低限の時間値であり、直噴インジェクタ216に固有の値である。
ステップB11に係る処理において算出された、設定すべき噴射時間Tdがこれらによって規定される範囲内である場合(ステップB12:YES)、ECU100は、直噴インジェクタ216の噴射時間を係る算出されたTdに設定し、目標値に相当する燃料が噴射されるように筒内噴射量Qdを補正する(ステップB13)。その結果、直噴インジェクタ216による筒内噴射量Qdは、速やかに目標値に収束する。
ここで、直噴インジェクタ216の噴射特性の如何によらず、ポートインジェクタ214及び直噴インジェクタ216から夫々噴射される燃料の総和は、空燃比フィードバック制御により要求噴射量に維持されているため、ステップB13に係る処理において、筒内噴射量Qdを急激に変化させた場合には、係る総和が一時的に要求量に対し過剰となる。そこで、ECU100は、筒内噴射量Qdを補正した場合、係る総和が要求噴射量に維持されるように、補正量に対応する量をポート噴射量の目標値から加算する(ステップB14)。
ステップB14に係る処理が終了すると、エンジン200における噴き分け比率が目標値に修正され、エンジン200の燃焼状態が最適化される。
一方で、設定すべき噴射時間Tdが、前述した範囲外である場合(ステップB12:NO)、ECU100は、目標とする燃料を噴射することが実践上困難であると判断し、筒内噴射量の補正を行うことなく、現時点における筒内噴射量を取得する(ステップB15)。現時点における筒内噴射量は、図5において説明したように、仮想特性Pr1及び実特性Pr0から容易に取得される。
現時点における筒内噴射量が取得されると、ECU100は、燃料過不足量ΔQdを算出する(ステップB16)。燃料過不足量ΔQdとは、即ち、目標値と実際の筒内噴射量との差分に相当する値である。例えば、図5において例示した関係では、燃料過不足量ΔQdは、「Qd3−Qd2」となる。
燃料過不足量ΔQdが算出されると、ECU100は、下記(1)式に従って実噴き分け比率Dを算出する(ステップB17)。尚、(1)式は、要求噴射量に対する実際の筒内噴射量の割合を表し、言わば直噴インジェクタ216の噴き分け比率を表す。即ち、ポートインジェクタ214の噴き分け比率は、「1−D」となる。
D=(筒内噴射量目標値+ΔQd)/要求噴射量・・・・・・(1)
実噴き分け比率Dが算出されると、ECU100は、係る実噴き分け比率Dに応じて燃焼状態を最適化するための制御量である、点火時期及びバルブオーバラップ量を調整する(ステップB18)。例えば、この場合、筒内噴射量が目標値よりも多いため、点火時期が遅角制御され、バルブオーバラップ量が減少せしめられる。ステップB18に係る処理によって、実際の噴き分け比率に応じた最適な燃焼状態が実現される。
燃焼状態が最適化されると、最後にECU100は、噴射制御処理における学習値Cpaに噴射制御処理におけるステップA13に係る処理で得られた差分ΔCpaを加算して
学習値Cpaを更新する(ステップB19)。即ち、ステップB15からステップB18に至る処理が実行された場合、直噴インジェクタ216の実際の噴射特性を考慮して、ポンプ制御量の学習値の基準(即ち、本実施形態で述べる所の学習値Cpa)を変更する必要がある。ステップB19に係る処理が実行されると、噴射制御処理におけるステップA14に係る判別処理は、これ以上直噴インジェクタ216の噴射特性が変化しない限り「NO」となり、最適な燃焼状態が維持されたまま、燃料の噴射が継続される。ステップB14又はステップB19に係る処理が実行されると、補正処理が終了する。
以上説明したように、本実施形態に係るエンジンシステム10によれば、直噴インジェクタ216を介した筒内噴射量をデリバリパイプ229の燃圧を目標圧に維持すべく設定される高圧ポンプ装置228のポンプ制御量の値によって代替的且つ高精度に特定し、係るポンプ制御量に基づいて直噴インジェクタ216の噴射特性の変化を高精度に補正することが可能である。従って、エンジン200の燃焼状態を常に最適に維持することが可能となる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内燃機関の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の一実施形態に係るエンジンシステムの模式図である。 図1のエンジンシステムにおいて実行される噴射制御処理のフローチャートである。 図1のエンジンシステムにおけるポンプ制御量と筒内噴射量との対応関係を表す特性図である。 図2の噴射制御処理から分岐する補正処理のフローチャートである。 図1のエンジンシステムにおけるポンプ制御量と筒内噴射量との対応関係を表す他の特性図である。 図1のエンジンシステムにおける直噴インジェクタの噴射特性の模式図である。
符号の説明
10…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、201…シリンダ、202…点火プラグ、214…ポートインジェクタ、216…直噴インジェクタ、220…空燃比センサ、228…高圧ポンプ装置、229…デリバリパイプ、230…圧力センサ、232、233…回転位相差可変アクチュエータ。

Claims (11)

  1. 吸気系に燃料を噴射する吸気系噴射手段、デリバリを介して気筒内に前記燃料を噴射する筒内噴射手段及び前記デリバリに対し前記デリバリにおける前記燃料の圧力が目標圧に維持されるように前記燃料を供給する供給手段を備える内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、
    前記筒内噴射手段を介した前記燃料の噴射量を表す筒内噴射量の目標値を設定する目標値設定手段と、
    予め設定された前記筒内噴射手段の噴射特性に従って、前記筒内噴射量が前記目標値となるように前記筒内噴射手段を制御する筒内噴射制御手段と、
    前記デリバリに対する前記燃料の供給量との間に所定の対応関係を伴う前記供給手段の制御量に基づいて前記噴射特性を補正する補正手段と
    を具備し、
    前記筒内噴射制御手段は、前記補正された噴射特性に従って前記筒内噴射手段を制御する
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記補正手段は、前記吸気系噴射手段及び前記筒内噴射手段各々を介して前記燃料が噴射される期間の少なくとも一部において前記噴射特性を補正する
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記補正手段は、前記内燃機関が定常状態にある場合に前記噴射特性を補正する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記定常状態は、前記内燃機関の機関回転数の変動幅が所定値未満である状態、前記内燃機関の吸気量の変動幅が所定値未満である状態及び前記圧力の変動幅が所定値未満である状態のうち少なくとも一つを含む
    ことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記対応関係に基づいて前記目標値に相当する前記供給量に対応する前記制御量を前記制御量の基準値として設定する基準値設定手段を更に具備し、
    前記補正手段は、前記基準値と前記制御量との差分に基づいて前記噴射特性を補正する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記補正手段は、前記差分が所定範囲外である場合の少なくとも一部において前記噴射特性を補正する
    ことを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記補正された噴射特性に従って前記筒内噴射手段が制御された場合に前記筒内噴射手段の動作条件が所定種類の禁止条件に該当するか否かを、前記噴射特性が補正される以前に判別する判別手段を更に具備し、
    前記補正手段は、前記動作条件が前記禁止条件に該当しないと判別された場合に前記噴射特性を補正する
    ことを特徴とする請求項5又は6に記載の内燃機関の制御装置。
  8. 前記対応関係及び前記差分に基づいて前記吸気系噴射手段を介した前記燃料の噴射量と前記筒内噴射量との総和に対する前記筒内噴射量の比率を推定する比率推定手段と、
    前記動作条件が前記禁止条件に該当すると判別された場合に前記推定された比率に応じて前記内燃機関の燃焼状態を制御する燃焼状態制御手段と
    を具備する
    ことを特徴とする請求項7に記載の内燃機関の制御装置。
  9. 前記内燃機関は、吸気バルブ及び排気バルブのうち少なくとも一方の開閉時期を可変とすることが可能な可変動弁系並びに前記燃料に点火する点火手段を備え、
    前記燃焼状態制御手段は、(i)前記可変動弁系を介して、前記吸気バルブの開弁時期と前記排気バルブの開弁時期とが相互に重なる期間を表すものとして規定されるバルブオーバラップ量を制御するバルブオーバラップ量制御手段及び(ii)前記点火手段を介して前記燃料への点火時期を制御する点火時期制御手段を含む
    ことを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の制御装置。
  10. 前記基準値設定手段は、前記比率に応じて燃焼状態が制御された場合に、前記制御量を新たに前記基準値として設定する
    ことを特徴とする請求項8又は9に記載の内燃機関の制御装置。
  11. 前記補正された噴射特性に従って前記筒内噴射手段が制御される場合に、前記筒内噴射量と前記吸気系噴射手段を介した前記燃料の噴射量との総和が維持されるように前記吸気系噴射手段を制御する吸気系噴射制御手段を更に具備する
    ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
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