JP6007615B2 - 樹脂製リッド構造 - Google Patents

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本発明は、車両に搭載された樹脂製リッド構造に関する。
従来、車両に搭載されたトランクリッドまたはボンネットフード等のリッドは、リッドを車体に固定するため車体側に設けられたラッチ機構を係合させるためのストライカ部が設けられている。そして一般にリッドは、鋼板で構成されたリッド本体に、該リッド本体と別部品として金属で構成されたストライカ部をねじや接着等によって組み付けたものがよく知られている。
一方で、近年、燃費性能向上のため、エンジンの燃焼改善などと共に、車体の軽量化をさらに押し進めるため、車体を構成する部品であるリッドについても軽量化が行われている。具体的には、鋼板の替わりに樹脂でリッドを形成し、さらに、樹脂として炭素繊維等を含有する繊維補強樹脂を用いることで、リッドの強度を確保しつつ軽量化する技術が実用化されている。
例えば、特許文献1には、ソリッド樹脂からなる外面樹脂層と、該外面樹脂層の裏面に一体に成形され、ソリッド樹脂からなるスキン層で覆われた、樹脂密度が低い発泡層から構成された基材樹脂層とを備え、該基材樹脂層の裏面側にリブが略全体に亘って網状に設けられた、ボンネットフード等の樹脂製車両用外装樹脂パネルに関する技術が記載されている。
また、特許文献2には、ボンネット全面にわたって広がっているアウターと、該アウターのフロント縁部と両サイド縁部のみに補強のため接合されたフレーム状のインナーとによって構成された、炭素繊維強化プラスチックからなる自動車用ボンネットに関する技術が記載されている。
特開2011−195080号公報 特開2006−306363号公報
ここで、一般に複数の射出部から樹脂を流入する射出成形の場合、異なる射出部から流入した樹脂同士が会合するのは、これら射出部から離間した場所である。また、成形品の形状によっては、一箇所の射出部から流入した樹脂が分岐した後、会合することもある。そして、一般に、樹脂同士の会合位置には、他の部位に比べて強度が低くなるウェルドラインが発生する可能性がある。したがって、強度が要求される部位で樹脂同士が会合しないように射出部の場所を決定することが、成形品を設計する際に非常に重要である。しかしながら、いずれの文献にも、射出成形の際に成形品であるリッドのどこの部位から樹脂を入射するのか記載されておらず、その射出部を設ける場所が不明である。
また、ボンネットフード等のリッドに設けられるストライカに関し、特許文献1には、ストライカがナットで締結された締結部材をパネルに固設することしか記載されておらず、ストライカはリッドを構成するパネルとは明らかに別体の部品である。特許文献2には、ボンネットのフロント縁部を延びる高剛性部にストライカを装着する、もしくは、設けるとしか記載されておらず、いずれの文献に記載された技術も、ストライカをパネルとは別に製造する製造工程と、別体であるストライカをパネルへ組み付けて一体にする組立工程とが別途必要になる。
さらに、ストライカをパネルに組み付けるため、例えば接着剤等により接合した場合、この接合部での接合強度が不十分であると、リッドの開閉の繰り返しや車体の振動等によって、この接合部で破断するおそれがある。なお、この接合部での接合強度を上げるためストライカの接合面積を大きくすると、ストライカの質量が大きくなってしまう。
さらにまた、パネルとストライカとを形成する材料が異なる場合で、例えば、パネルが炭素繊維含有樹脂で形成されると共に、ストライカが金属で形成されている場合には、パネルからストライカに電気が流れることによりストライカが錆びる現象、いわゆる電食が生じる可能性がある。この電食を防止しようとすると、ストライカに防錆のためのメッキを施したり、内部の炭素繊維が表出しないようにパネルの加工を行ったり、パネルとストライカを非導電性の接着剤を介して接着する等、組立工程や加工工程でのさまざまな技術的制約が生じてしまう。
上述の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、
脂によって形成され車両用樹脂製リッドの構造において、
前記リッドは、
リッド本体と、
該リッド本体の前端部又は後端部の左右両端に形成され、車体に対して回動可能に連結するためのヒンジが取り付けられる左右のヒンジ取付部と、
該リッド本体において前記ヒンジ取付部と前後方向で反対側に形成され、車体に対してロックを行うための車体側のラッチ機構を係合するストライカ部と、
前記左右のヒンジ取付部と前記ストライカ部との間をそれぞれを結ぶ方向に沿って延びて連結する補強フレーム部と、を有し、
前記左右のヒンジ取付部および前記ストライカ部の各形成部には、前記樹脂の射出部がそれぞれ設けられており、
前記ストライカ部は、前記樹脂により少なくとも前記補強フレーム部と一体構造として形成されたものである
ことを特徴とする。
請求項2に係る発明は、
請求項1に係る発明において、
前記ストライカ部は、前記リッド本体のストライカ部形成面部から垂直方向に立設された2つの脚部と、該脚部の先端部を連結する連結部とにより略U字形状に構成され、
前記ストライカ部の形成部に設けられた前記射出部は、前記面部における一方の前記脚部の基端部に対応する部位に設けられており、
前記面部における2つの前記脚部の基端部の間には、開口部が設けられている
ことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、
請求項2に係る発明において、
前記開口部は、前記ストライカ部の一方の前記脚部の基端部に対応する部位に設けられた前記射出部から、前記面部に流入して当該開口部を迂回する樹脂の他方の前記脚部の基端部への到達が、前記ストライカ部の内部を流れる樹脂の他方の前記脚部の基端部への到達よりも遅くなる形状寸法を有する
ことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、
請求項2または3のいずれか1項に係る発明において、
前記面部に対して前記ストライカ部の突設側と反対側に設けられ、他方の前記脚部の基端部から前記脚部の延伸方向へ連続して延びる縦壁部を有する
ことを特徴とする。
請求項5に係る発明は、
請求項1から4のいずれか1項に係る発明において、
前記樹脂は、炭素繊維含有樹脂である
ことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、補強フレーム部で互いに連結されたストライカ部と左右のヒンジ取付部との各形成部に、射出成形時における樹脂の射出部をそれぞれ設けたことにより、リッドの開閉時や車体の振動時などに力がかかる、これらヒンジ取付部とストライカ部の形成部では、異なる射出部から金型内に流入した樹脂同士が会合せず、ウェルドラインの発生を抑制できると共に、ストライカ部が補強フレーム部と一体構造であるため、ヒンジ取付部とストライカ部の形成部での十分な強度の確保が可能である。
また、ストライカ部が補強フレーム部と一体構造として射出成形により形成されていることによって、そもそもストライカ部と補強フレーム部との間には接合部がないため、接合部の耐久性を心配する必要がなく、一般に射出成形により形成された成形品の強度は一定の成形条件のもとでは安定しているから、ストライカ部の信頼性を向上できる。
さらに、ストライカ部と補強フレーム部とが一体構造になった一つの部品であることにより、部品点数を一点減らすことができるから、これによる製造コストや管理コストの削減ができると共に、別体のストライカ部と補強フレーム部を一体にするための組立工程を省くことができるから、組立コストの削減もできる。
さらにまた、リッド本体とストライカ部は射出成形時に同じ樹脂材料で形成されているため、電食によるストライカ部の錆を心配しなくてよい。
請求項2に係る発明によれば、射出部をストライカ部形成面部における一方の脚部の基端部に対応する部位に設けたことにより、射出成形時にこの射出部から入射された樹脂は、リッドのストライカ部形成面部の内部を流れるものと、ストライカ部の内部を流れるものに分かれる。このとき、射出成形時にリッドのストライカ部形成面部を流れる樹脂とストライカ部を流れる樹脂とがストライカ部の途中で会合し、この会合部で発生するウェルドラインによって強度が低下するおそれがある。しかし、ストライカ部形成面部における2つの脚部の基端部間に開口部を設け、該開口部の形状寸法を適切に設定することによって、ストライカ部の途中での会合を回避することが可能となる。
請求項3に係る発明によれば、開口部を迂回して面部内を流れる樹脂が、ストライカ部の内部を流れる樹脂よりも遅く到達するように、開口部の形状寸法が設定されていることにより、ストライカ部の途中でこれらの樹脂が会合するのを確実に回避できる。
請求項4に係る発明によれば、ストライカ部形成面部に脚部から該脚部の延伸方向に連続して延びる縦壁部を設けたことにより、開口部を迂回して面部内を流れる樹脂とストライカ部の内部を流れる樹脂とが、この縦壁部で互いに会合してウェルドラインができたとしても、このウェルドラインにかかる応力は、せん断応力でなく引張応力であるため、ストライカ部形成部周辺での強度の低下を抑制できる。
請求項5に係る発明によれば、樹脂に炭素繊維を含有することにより、リッドの強度を向上と軽量化を実現すると共に、炭素繊維は他の繊維に比べて潤滑性に優れるため、ストライカ部と係合する車体側のラッチ機構の磨耗を防止できる。
本発明の実施形態に係るリッド構造を備えたトランクリッドを搭載した車両の後部斜視図である。 本発明の実施形態に係るリッド構造の分解斜視図と断面図である。 図2のリッド構造を射出成形する際に樹脂が時間と共に入射される様子を示す平面図である。 図3のストライカ部周辺における樹脂の流れを示す拡大斜視図である。 図3のストライカ部周辺における樹脂の流れを示す拡大断面図と拡大平面図である。 比較例のストライカ部周辺における樹脂の流れを示す拡大断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。各実施の形態の説明において、理解を容易にするために方向を示す用語(例えば、「上方」、「下方」、「右方」および「左方」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本発明を限定するものではない。また以下の添付図面において、同様の構成部品については同様の符号を用いて参照する。
まず、図1から図6を参照しながら、本発明に係るリッド構造の実施形態について以下に詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る樹脂製リッド構造を備えたトランクリッドを搭載した車両の後部斜視図である。図1では、2ドアタイプの車両1が示されており、車両1の車室2内には、運転席シート及び助手席シートからなる不図示のシートが配設される。そして、シートの後方には、トランクリッド10によって上方が覆われるトランクルーム3が配設されている。
図2は、トランクリッド10の内部構造を車両斜め上後方から見た分解斜視図とその断面図である。なお、図中において矢印(FR)は車体前方、矢印(UP)は車体上方、矢印(LH)は車体左方をそれぞれ示している。
図2に示すように、トランクリッド10は、車体外側のアウタパネル11と車体内側のインナパネル12とから構成されている。ここで、インナパネル12は、射出成形によって樹脂から形成されており、アウタパネル11も、インナパネル12と同様に射出成形によって樹脂から形成されている。ただし、アウタパネル11は、必ずしもインナパネル12と同じ材料である必要はなく、例えば、鋼板等で形成されていてもよい。そして、これらアウタパネル11とインナパネル12は、互いに一体になるように接合されている。
インナパネル12は、アウタパネル11の外縁に沿って伸びる中央に中空部を備えたインナパネル本体23(リッド本体)と、トランクリッド10を車体に対して回動可能に連結するための(図示しない)ヒンジを取り付けるヒンジ取付部22、22と、車体側の(図示しない)ラッチ機構を係合するストライカ部21とを有する。ここで、ヒンジ取付部22、22は、インナパネル本体23の前端部の左右方向(車幅方向)の両端にそれぞれ設けられており、また、ストライカ部21は、インナパネル本体23の後端部の左右方向の中間点に設けられている。
なお、図1のようにトランクリッド10が略水平でトランクルーム3が閉鎖されている状態のとき、トランクリッド10は、左右のヒンジ取付部22、22と、ストライカ部21およびラッチ機構により構成されるロック装置とにより3点で保持されている。
そして、インナパネル12におけるストライカ部21の形成部と左右のヒンジ取付部22、22の形成部とには、射出成形時に金型内に樹脂を入射するための第1射出部31および第2射出部32、32がそれぞれ設けられている。
また、インナパネル12は、トランクリッド10を補強するために、インナパネル本体23の中空部を跨ぐフレーム部を有している。当該フレーム部として、左右のヒンジ取付部22、22とストライカ部21との間をそれぞれ連結する左右補強フレーム部24、24と、左右のヒンジ取付部22、22の中間点とストライカ部21とを連結する中央補強フレーム部25とを有する。
さらに、インナパネル12は、左右補強フレーム部24、24および中央補強フレーム部25の途中から分岐する第1分岐部26、26および第2分岐部27、27をそれぞれ備えている。ここで、第1分岐部26、26は、左右補強フレーム部24、24から外側に向かって分岐している、すなわち、射出成形時に左右補強フレーム部24、24の両端から流入する樹脂の会合位置に相当する部位に一端が連結すると共に、インナパネル本体23においてストライカ部21の形成部に設けられた第1射出部31とヒンジ取付部22、22の形成部に設けられた第2射出部32、32とから流入する樹脂の会合位置に相当する部位に他端が連結している。また、第2分岐部27、27は、左右補強フレーム部24、24から中心方向に向かって分岐している、すなわち、左右補強フレーム部24、24の両端から流入する樹脂の会合位置に相当する部位と、中央補強フレーム部25の両端から流入する樹脂の会合位置に相当する部位とを連結している。
さらにまた、本発明の実施形態は、補強フレーム部24、25に対して鋭角をなして分岐している分岐部を含んでおり、具体的には、左右補強フレーム部24、24に対して、第1分岐部26、26は鋭角をなしているが、第2分岐部27、27は略垂直方向に延びている。なお、ここで言う「鋭角」とは、左右補強フレーム部24と第1分岐部26、26とのなす角が垂直をなしていないことを意味しており、第1分岐部26、26に対して左右のいずれの角が鋭角であってもよい。
次に、図2のA−A線、B−B線およびC−C線での矢視断面図を参照しながらインナパネル12の形状について、さらに詳細に説明する。
A−A線矢視断面図からわかるように、ストライカ部21は、インナパネル本体23のストライカ部形成面部23aから略垂直下向きに突出している2本の脚部と、該脚部の先端同士を連結する連結部とから構成されており、側面視で略U字形状をなす部材である。また、一方の脚部の基端部には、インナパネル本体23のストライカ部形成面部23aから略垂直上向きに突出している、樹脂を金型内に入射するための第1射出部31が設けられている。なお、当該ストライカ部21の構成については、後にさらに詳細に述べる。
そして、インナパネル本体23は、ストライカ部形成面部23aにおけるストライカ部21の2本の脚部の基端部の間に、左右方向に横長の開口部28を有している。また、インナパネル本体23は、第1射出部31が設けられていない方のストライカ部21を構成する脚部の基端部から略垂直上向きに連続して延びる縦壁部29を有している。なお、当該開口部28および縦壁部29の構成については、後にさらに詳細に述べる。
B−B、C−C線矢視断面図からわかるように、左右補強フレーム部24、24および中央補強フレーム部25は共に、略コ字形状の断面を有する。
ここで、インナパネル12は射出成形による樹脂成形品であるが、この際に原料として用いられる樹脂は、マトリックス樹脂に炭素繊維を添加して、強度を向上させた炭素繊維含有樹脂である。
マトリックス樹脂として使用可能な樹脂は、一般に射出成形の分野で使用される樹脂であれば特に制限はなく、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネイトとポリエチレンテレフタレートとのアロイ(PC/PET)、ポリカーボネイトとポリブチレンテレフタレートとのアロイ(PC/PBT)、ポリアミドとポリフェニレンエーテルとのアロイ(PA/PPE)等、或いはこれらを2種類以上ブレンドした樹脂であってもよい。
なお、本発明の実施形態では、ストライカ部21と係合する車体側のラッチ機構の磨耗防止のため、潤滑性に優れる炭素繊維を添加した樹脂を用いているが、添加する繊維はこれに限るものではなく、トランクリッド10に求められる特性等を考慮して適宜選択し得るものであり、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維等であってもよい。また、炭素繊維を用いる場合も、その含有量、繊維径およびアスペクト比等を調整することにより、樹脂の特性を適宜変えることができる。
図3は、図2のインナパネル12の射出成形時に樹脂が時間と共に入射される様子を示す平面図である。なお、実際の射出成形時は金型内を樹脂が流れるが、当該図面は、この金型を描かずに成形後のインナパネル12自体のうちで、射出成形中に樹脂が充填された部分をハッチングで表現することで、金型内での樹脂の流れを模式的に表現したものである。
また、以下の説明では、「射出成形時に成形品の所定部分を樹脂が流れる」というような表現を簡略化のために用いているが、実際には、射出成形時にはまだ成形品は形成されていないため、上記表現は正確には、射出成形時に成形品の所定部分を形成する金型の相当部分を樹脂が流れることを意味している。
まず、図3(a)において、射出成形時にまずストライカ部21の形成部に設けられた第1射出部31から樹脂を金型内に入射する。第1射出部31から入射された樹脂は、ストライカ部21の内部を通って前方(図のFR方向)に流れると共に、ストライカ部形成面部23aの内部を開口部28の周囲を左右に分岐して迂回しながら前方に流れる。これら三方から流れてきた樹脂は、縦壁部29で互いに会合する。
次に、図3(b)において、第1射出部31から樹脂の入射を開始してから所定時間を経過後、左右のヒンジ取付部22、22の端部に設けられた第2射出部32、32から樹脂を入射する。なお、ここでは、第1射出部31からの入射と第2射出部32、32からの入射のタイミングをずらしたが、各第1、2射出部31、32からどのようなタイミングで樹脂を入射するかは、金型の形状や所望の会合位置等を考慮して適宜決定するものである。
次に、図3(c)において、第1、2射出部31、32から入射した樹脂は、インナパネル本体23における中央の中空部の周囲に流れると共に、これら第1、2射出部31、32同士を結んだ左右補強フレーム部24、24にもその両端から流れる。さらに、第1射出部31から入射した樹脂は、中央補強フレーム部25にもその一端から流れる。
次に、図3(d)において、左右補強フレーム部24、24の両端から流入した樹脂は、左右補強フレーム部24、24の中央付近で会合し、この会合位置に相当する部位で分岐している第1分岐部26、26および第2分岐部27、27に流入する。またこの間、左右の第2射出部32、32から流入した樹脂が、インナパネル本体23におけるこれら第2射出部32、32の中間点で会合し、この会合位置に相当する部位に連結された中央補強フレーム部25の一方から流入し、さらに、中央補強フレーム部25の他方から流入した樹脂とその途中で会合して、この会合した位置で分岐する第2分岐部27、27に流入する。さらにこの間に、第1射出部31と第2射出部32、32から入射して、インナパネル本体23における中央の中空部の周囲に流れる樹脂が、インナパネル本体23において会合して、その会合した位置から分岐した第1分岐部26、26にその他端から樹脂が流入する。
最後に、図示していないが、その後、第1分岐部26、26および第2分岐部27、27の両端から流入した樹脂は、各分岐部26、27の途中で会合する。
なお、図3において、射出成形時に金型内で樹脂同士が会合する位置である会合位置MLを細点線で示すと共に、この会合位置MLで樹脂が固まって成形品の表面にウェルドラインWLが発生する可能性が比較的高い場所を細実線で示している。
以上のように射出成形時に樹脂を入射する場合、補強フレーム部で互いに連結された左右のヒンジ取付部22、22とストライカ部21の各形成部に、射出部31、32をそれぞれ設けたことにより、トランクリッド10の開閉時や車両の振動時などに力がかかる、これらヒンジ取付部22、22とストライカ部21の形成部では、異なる射出部31、32から金型内に流入した樹脂同士が会合せず、ウェルドラインWLの発生を抑制できると共に、ストライカ部が補強フレーム部と一体構造であるため、ヒンジ取付部22、22とストライカ部21の形成部での十分な強度の確保が可能である。
ここからは、本発明の特徴であるストライカ部21の具体的な構成とその効果について、図4および図5を参照しながら以下に詳細に説明する。
図4、図5(a)および図5(b)はそれぞれ、図3のストライカ部21周辺における樹脂の流れを示す拡大斜視図、拡大断面図および拡大平面図である。いずれの図面も、同じストライカ部21の周辺における射出成形時の樹脂の流れを異なる角度から見たものである。なお、図4についても、図3と同様に、成形品の表面にウェルドラインWLが発生する可能性が比較的高い場所を細実線で示している。
まず、ストライカ部21とその周辺の構造について説明する。
図5(a)に示されているように、ストライカ部21は、ストライカ部形成面部23aから略垂直下向きに突出している2本の脚部21aと、該脚部21aの先端同士を連結する連結部21bとから構成されており、側面視で略U字形状をなす部材である。
また、ストライカ部形成面部23aにおける一方の脚部21aの基端部に対応する部位には、ストライカ部形成面部23aから略垂直上向きに突出している、樹脂を金型内に入射するための第1射出部31が設けられている。
そして、インナパネル本体23のストライカ部形成面部23aには、ストライカ部21の2本の脚部21aの基端部の間に、左右方向に横長(図5(b)では半月状)の開口部28を有している。
さらに、インナパネル本体23は、第1射出部31がその基端部の対応する部位に設けられていない他方の脚部21aの基端部から略垂直上向きに連続して延びる縦壁部29(図5(b)では凹面状)を有している。
次に、ストライカ部21とその周辺における射出成形時の樹脂の流れについて説明する。
ストライカ部形成面部23aにおける一方の脚部21aの基端部に対応する場所に設けられた第1射出部31から入射した樹脂は、図5(a)において点線矢印aで示すように、ストライカ部21の内部を通って前方(図のFR方向)に流れる。一方で、第1射出部31から入射した樹脂は、図5(b)において点線矢印b、bで示すように、インナパネル本体23の開口部28の周囲を左右に迂回しながら前方に流れる。
図4において点線矢印a、bで示すように、これら三方から流れてきた樹脂は、縦壁部29で互いに会合する。また、第1射出部31から入射した樹脂は、縦壁部29の先にある補強フレーム部24、25や、インナパネル本体23の他の部分にもさらに流れる。
したがって、ストライカ部21は、射出成形時に樹脂により補強フレーム部24、25と一体構造として形成される。これにより、ストライカ部21と補強フレーム部24、25との間には接合部がないため、接合部の耐久性を心配する必要がなく、一般に射出成形により形成された成形品の強度は一定の成形条件のもとでは安定しているから、ストライカ部21の信頼性を向上できる。また、部品点数を一点減らすことができるから、これによる製造コストや管理コストの削減ができると共に、別体の部品を一体にするための組立工程を省くことができるから、組立コストの削減もできる。
ここで、比較例を説明する図6において点線矢印で示すように、仮にインナパネル本体23に開口部28が設けられていなかった場合、射出成形時にこの開口部28に相当する面部の内部も樹脂が流れるため、この樹脂がさらに他方の脚部21aの基端部からストライカ部21の内部に流れて、第1射出部31からストライカ部21の内部に他方から流れ込んだ樹脂とストライカ部21の途中で会合するおそれがある。
しかし、本発明のようにストライカ部形成面部23aにおける2つの脚部21aの基端部間に開口部28を設けたことにより、射出成形時に第1射出部31からストライカ部形成面部23aの内部を流れる樹脂は、開口部28の周辺を迂回して流れるため、迂回する分他方の脚部21aの基端部への樹脂の到達を遅らせることができる。したがって、開口部28の形状寸法を適切に設定することにより、ストライカ部21の途中での会合を回避することが可能となる。
さらに、開口部28の形状寸法を、開口部28を迂回してストライカ部形成面部23a内を流れる樹脂が、ストライカ部21の内部を流れる樹脂よりも遅く到達するように設定することにより、ストライカ部21の途中でこれらの樹脂が会合するのを確実に回避できる。したがって、ストライカ部21の途中にウェルドラインWLが発生することが防止でき、ストライカ部21の強度低下を防止できる。
また、図4において細線で示すように、縦壁部29における会合位置でウェルドラインWLが発生した場合、トランクリッド10の開閉時にストライカ部21に引張応力がかかったとしても、この引張応力は縦壁部29の延在する方向と略平行であるため、当該ウェルドラインWLには引張応力がかかる。
仮に、本発明の実施形態のような縦壁部29ない場合、すなわち、ストライカ部21の脚部21aの基端部周辺が該脚部21aに垂直方向に延びる所定面のみから構成されており、この垂直方向に延びる所定面で樹脂が会合してウェルドラインWLが発生した場合、ストライカ部に引張応力がかかると、このウェルドラインWLにはせん断応力がかかる。
ここで、一般に材料力学において、許容引張応力の方が許容せん断応力よりも大きいため、縦壁部29を設けた本発明の実施形態の方が、この縦壁部29を設けなかった場合に比べ、ストライカ部21周辺での強度低下を抑制できる。
以上のように、本発明により、左右のヒンジ取付部22、22およびストライカ部21に射出部31、32を設けると共に、ストライカ部21を補強フレーム部24と一体に射出成形することで、ヒンジ取付部22、22とストライカ部21の形成部について十分な強度を確保できる、ストライカ部21の信頼性を向上できるなどの効果が得られる。
なお、上述の実施の形態においては、トランクリッドの場合について述べたが、本発明のリッド構造に関する技術をボンネットに適用してもよい。
以上のように、本発明によれば、車両に搭載された樹脂製リッド構造に関し、ヒンジ取付部とストライカ部に射出部を設けると共に、ストライカ部をフレーム部と一体に射出成形することで、ヒンジ取付部とストライカ部とその形成部について十分な強度を確保できると共に、ストライカ部の信頼性を向上できる。したがって、トランクリッド等の車両用樹脂製リッドを製造する産業分野において、好適に利用される可能性がある。
1 車両
2 車室
3 トランクルーム
10 トランクリッド
11 アウタパネル
12 インナパネル
21 ストライカ部
21a 脚部
21b 連結部
22 ヒンジ取付部
23 インナパネル本体(リッド本体)
23a ストライカ部形成面部
24 左右補強フレーム部
25 中央補強フレーム部
26 第1分岐部
27 第2分岐部
28 開口部
29 縦壁部
31 第1射出部
32 第2射出部
WL ウェルドライン
ML 会合位置

Claims (5)

  1. 脂によって形成され車両用樹脂製リッドの構造において、
    前記リッドは、
    リッド本体と、
    該リッド本体の前端部又は後端部の左右両端に形成され、車体に対して回動可能に連結するためのヒンジが取り付けられる左右のヒンジ取付部と、
    該リッド本体において前記ヒンジ取付部と前後方向で反対側に形成され、車体に対してロックを行うための車体側のラッチ機構を係合するストライカ部と、
    前記左右のヒンジ取付部と前記ストライカ部との間をそれぞれを結ぶ方向に沿って延びて連結する補強フレーム部と、を有し、
    前記左右のヒンジ取付部および前記ストライカ部の各形成部には、前記樹脂の射出部がそれぞれ設けられており、
    前記ストライカ部は、前記樹脂により少なくとも前記補強フレーム部と一体構造として形成されたものである
    ことを特徴とする車両用樹脂製リッド構造。
  2. 請求項1に係る発明において、
    前記ストライカ部は、前記リッド本体のストライカ部形成面部から垂直方向に立設された2つの脚部と、該脚部の先端部を連結する連結部とにより略U字形状に構成され、
    前記ストライカ部の形成部に設けられた前記射出部は、前記面部における一方の前記脚部の基端部に対応する部位に設けられており、
    前記面部における2つの前記脚部の基端部の間には、開口部が設けられている
    ことを特徴とする車両用樹脂製リッド構造。
  3. 請求項2に係る発明において、
    前記開口部は、前記ストライカ部の一方の前記脚部の基端部に対応する部位に設けられた前記射出部から、前記面部に流入して当該開口部を迂回する樹脂の他方の前記脚部の基端部への到達が、前記ストライカ部の内部を流れる樹脂の他方の前記脚部の基端部への到達よりも遅くなる形状寸法を有する
    ことを特徴とする車両用樹脂製リッド構造。
  4. 請求項2または3のいずれか1項に係る発明において、
    前記面部に対して前記ストライカ部の突設側と反対側に設けられ、他方の前記脚部の基端部から前記脚部の延伸方向へ連続して延びる縦壁部を有する
    ことを特徴とする車両用樹脂製リッド構造。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に係る発明において、
    前記樹脂は、炭素繊維含有樹脂である
    ことを特徴とする車両用樹脂製リッド構造。
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