図1には本発明の第1実施形態に係る自動車用照明装置10の斜視図が示されている。自動車用照明装置10は、光源としてのランプ等が収納されたケース12、光源からの光を透過させる照明レンズ14、および、照明レンズ14の表面と同一面を有する意匠パネル16を備えている。また、付属物として、眼鏡等が収納される小物ケース18、および、マイク等が取り付けられたオーディオパネル20を備えている。自動車用照明装置10は、照明レンズ14が車室側に向けられた状態で自動車の天井に取り付けられる。
自動車用照明装置10は、車室を全体的に照らす2つのルームランプ22を光源として備えている。ルームランプ22は、照明レンズ14をタッチパネルとしたタッチスイッチによってスイッチ操作が行われる。すなわち、照明レンズ14に指、掌等、人体が触れることでルームランプ22の点灯または消灯が行われる。
自動車用照明装置10は、タッチスイッチの他、赤外線センサを用いた人体の検知に基づいて、ルームランプ22の点灯状態を制御する。そのため、照明レンズ14には、赤外線センサが送受信する赤外線を透過させる赤外線窓24が設けられている。
図2には、自動車用照明装置10のA−B線断面図が示されている。意匠パネル16はケース12の開口部に嵌め合わされている。意匠パネル16には、ケース12から外側に張り出したパネル部分の表面よりも下がった段差が形成されており、この下段に照明レンズ14が嵌め合わされている。
ケース12内には回路基板28が収納されている。ルームランプ22は、光を照らす方向が照明レンズ14に向けられて、ソケット36を介して回路基板28に取り付けられている。ルームランプ22には、例えば、フィラメントを有する電球の他、発光ダイオードが用いられる。
照明レンズ14のケース12側の面にはダイヤカット加工が施されている。光の強さの加減や美観等に応じて、ダイヤカット加工は照明レンズ14の一方の面のみに施してもよいし、両面に施してもよい。また、照明レンズ14はダイヤカット加工を施さないものとしてもよい。
照明レンズ14のケース12側の面には、透明電極26が設けられている。透明電極26には、例えば、透明導電性フィルムが用いられる。透明電極26は、照明レンズ14と共にタッチスイッチのタッチパネルを形成する。すなわち、照明レンズ14の車室側の面に人体が触れることで透明電極26の静電容量が変化する。回路基板28に実装された制御回路は、透明電極26の静電容量の変化に応じてルームランプ22の点灯または消灯の切り換えを行う。
照射レンズ14には赤外線窓24が設けられている。赤外線窓24は、プラスチック樹脂等、赤外線を透過する材料によって形成され、その両面は平坦に加工されている。赤外線窓24には、黒色等、外部からケース12内を視認することが困難となるような彩色を施してもよい。
回路基板28には、赤外線センサ30が実装されている。赤外線センサ30は放射部32および受信部34を有し、放射部32および受信部34が赤外線窓24に向けられている。赤外線センサ30は、放射部32から放射された赤外線と、受信部34で受信された赤外線とのなす角度等に基づいて、目標物までの距離を示す信号を回路基板28上の制御回路に出力する。制御回路は、赤外線センサ30から出力された信号に基づいて目標物までの距離を求める。これによって、放射部32から赤外線窓24を透過して放射され、目標物で反射し、赤外線窓24を透過して受信された赤外線を用いて、人体等の目標物までの距離が求められる。制御回路は、求められた距離に基づいてルームランプ22の点灯状態を制御する。
なお、透明電極26は、図2に示されていない電気配線構造によって回路基板28に電気的に接続されている。例えば、透明電極26と回路基板28との間に、上下方向を長手方向とする柱状の導電性部材を挟むことで、透明電極26と回路基板28との間が電気的に接続される。この部材を導電性樹脂等の弾力性のある材料で形成することで、透明電極26と回路基板28との間の接続状態が確実となる。
次に、自動車用照明装置10が備える電気回路の構成およびその動作について説明する。図3には、自動車用照明装置10の回路図が示されている。ここでは、ルームランプ22としてフィラメントを有する電球が用いられている。
上記の回路基板28に実装される制御回路は、制御部38、およびランプスイッチ42を備える。制御部38は、プロセッサ、外付けされる回路に対するインターフェース回路等を備える。ランプスイッチ42には、例えば、トランジスタ等の半導体素子、リレースイッチ等が用いられる。
各ルームランプ22の一端は、電力供給源の正極端子40に接続されている。この電力供給源としては、例えば、自動車の補機用の電力供給源が用いられる。各ルームランプ22の他端は、ランプスイッチ42の一端に接続されている。ランプスイッチ42の他端は接地導体に接続されている。接地導体としては、例えば、自動車のボデーが用いられる。ランプスイッチ42は、制御部38によって制御される。各ルームランプ22には、ランプスイッチ42がオンになることで電力が供給され、各ルームランプ22が点灯する。
制御部38には、赤外線センサ30が接続されている。制御部38は、赤外線センサ30から出力される信号に基づいて、自動車用照明装置10から人体までの距離を検出する。制御部38は、人体までの距離に基づいてルームランプ22の点灯状態を制御する。制御部38においては、人体までの距離が予め定められた閾値未満となったか否かによって人体の接近が検知され、赤外線センサ30は人体の接近を検知する手段として機能する。
また、制御部38には、透明電極26が接続されている。制御部38は、透明電極26の静電容量の変化量を検出し、透明電極26の静電容量の変化量に基づいてランプスイッチ42のオンオフを切り換える。人体が照明レンズ14に触れることで透明電極26の静電容量が変化するため、透明電極26は、人体の接触を検知する手段として機能する。
図4には、制御部38が実行する処理のフローチャートが示されている。この処理によれば、自動車用照明装置10に人体が接近したときに所定時間だけルームランプ22が点灯する。制御部38は、赤外線センサ30から出力される信号に基づいて、自動車用照明装置10から人体までの距離を検出する(S101)。そして、検出された距離が予め定められた閾値未満であるかを判定する(S102)。制御部38は、検出された距離が閾値以上であるときは、再び自動車用照明装置10から人体までの距離を検出する(S101)。他方、検出された距離が閾値未満であるときは、ランプスイッチ42をオンにする(S103)。
次に、制御部38は、ランプスイッチ42をオンにした時から、予め定められた時間Tが経過したか否かを判定する(S104)。そして、ランプスイッチ42のオン時から時間Tが経過していない間は、ランプスイッチ42をオンにした状態を維持して、ステップ104の判定を繰り返す。制御部38は、ランプスイッチ42をオンにした時から、予め定められた時間Tが経過したときは、ランプスイッチ42をオフにする(S105)。
この制御では、人体までの距離が閾値未満となった場合には、時間Tだけランプスイッチ42がオンになった後オフになり、ルームランプ22が時間Tの間だけ点灯する。これによって、例えば、ユーザが自動車用照明装置10に手を接近させて、一時的にルームランプ22を点灯させる動作が可能となる。したがって、あたかもユーザと自動車用照明装置10との間にコミュニケーションが成立しているかのような動作が可能となる。時間Tは、ユーザが書類を確認したり、小物を探したりするために十分な時間、例えば、1秒から1分の時間に設定される。
制御部38は、図4に示される処理から独立して、透明電極26の静電容量の変化量に基づいてランプスイッチ42のオンオフの切り変えを行う。すなわち、制御部38は、透明電極26の静電容量の変化量(絶対値)を検出し、静電容量の変化量が予め定められた閾値以上となる毎に、ランプスイッチ42をオフからオン、または、オンからオフに切り換える。これによって、人体が照明レンズ14に触れる毎にルームランプ22の点灯または消灯の切り換えが行われる。
制御部38は、赤外線センサ30を用いた処理と、透明電極26を用いた処理とを組み合わせた処理を実行することができる。図5には、この場合において制御部38が実行する処理のフローチャートが示されている。図4に示される処理と同一の処理については同一の符号を付する。この処理によれば、自動車用照明装置10に人体が接近したときに所定時間だけルームランプ22が点灯する。また、ルームランプ22が点灯している間に、人体が照明レンズ14に触れた場合には、ルームランプ22の点灯状態が維持される。
制御部38は、赤外線センサ30から出力される信号に基づいて、自動車用照明装置10から人体までの距離を検出する(S101)。そして、検出された距離が予め定められた閾値未満であるかを判定する(S102)。制御部38は、検出された距離が閾値以上であるときは、再び自動車用照明装置10から人体までの距離を検出する(S101)。他方、検出された距離が閾値未満であるときは、ランプスイッチ42をオンにする(S103)。
制御部38は、ランプスイッチ42をオンにした後、透明電極26の静電容量の変化量を検出し(S201)、静電容量の変化量が、予め定められた閾値以上であるか否かを判定する(S202)。制御部38は、静電容量の変化量が閾値未満であるときは、ステップS103でランプスイッチ42をオンにした時から、予め定められた時間Tが経過したか否かを判定する(S104)。そして、ランプスイッチ42のオン時から時間Tが経過していないときは、制御部38は、ステップS201の処理に戻る。他方、ランプスイッチ42のオン時から時間Tが経過したときは、ランプスイッチ42をオフにする(S105)。
制御部38は、ステップS202の判定において、静電容量の変化量が閾値以上であると判定したときは、次に静電容量の変化量が閾値以上となるまでの間、ランプスイッチ42をオンに維持する(S203およびS204)。すなわち、制御部38は、透明電極26の静電容量の変化量を検出し(S203)、静電容量の変化量が閾値以上であるか否かを判定する(S204)。制御部38は、静電容量の変化量が閾値未満であるときはステップS203の処理に戻り、静電容量の変化量が閾値以上であるときは、ランプスイッチ42をオフにする(S105)。
この制御では、人体が接近した後、人体が照明レンズ14に触れない場合には、時間Tだけルームランプ22が点灯した後、消灯する。また、人体が接近してルームランプ22が点灯した時から時間Tが経過する前に人体が照明レンズ14に触れた場合には、次に人体が照明レンズ14に触れるまでの間、ルームランプ22が点灯した状態が維持される。
このような制御によれば、手を照明レンズ14に近づけてルームランプ22を一時的に点灯させるという動作や、手を照明レンズ14に近づけてルームランプ22を点灯させた後、手を照明レンズ14に触れて点灯状態を維持させるといった動作が可能となる。したがって、あたかもユーザと自動車用照明装置10との間にコミュニケーションが成立しているかのような動作が可能となる。
図6には、本発明の第2実施形態に係る自動車用照明装置44の斜視図が示されている。この自動車用照明装置44は、第1実施形態に係る自動車用照明装置10に対し、運転席および助手席をそれぞれ個別に照らす2つのマップランプ46および48を光源として追加したものである。自動車用照明装置44は、照明レンズ14の近傍における人体の移動方向を判定するための2つの赤外線センサを備える。2つの赤外線センサによって、人体の接近と共に人体の移動方向が検出され、ルームランプ22、マップランプ46および48のうち、人体の移動方向に対応したものが点灯する。以下の説明においては、第1実施形態に係る構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を簡略化する。
ルームランプ22、マップランプ46および48は、照明レンズ14をタッチパネルとしたタッチスイッチによってスイッチ操作が行われる。照明レンズ14のケース12側の面には、ルームランプ22、マップランプ46および48にそれぞれ対応する、透明電極58、54および56が設けられている。各ランプに対応する透明電極に対向する照明レンズ14上の領域に指、掌等、人体が触れることで、各ランプのスイッチ操作が行われる。
自動車用照明装置44は、タッチスイッチの他、赤外線センサを用いた人体の移動方向の検知に基づいて、ルームランプ22、マップランプ46および48のそれぞれの点灯状態を制御する。そのため、照明レンズ14には、赤外線センサが送受信する赤外線を透過させる2つの赤外線窓50および52が設けられている。
図7には自動車用照明装置44のC−D線断面図が示されている。意匠パネル16には、左右からそれぞれケース12の内側方向に伸びるランプ支持腕64および66が取り付けられている。ランプ支持腕64および66の先端には、それぞれ、マップランプ46および48が取り付けられている。マップランプ46および48には、スポット状の光を発する光源として、例えば、発光ダイオードが用いられる。マップランプ46および48は、運転席および助手席が個別に照らされる向きに固定されている。
照明レンズ14のケース12側の面においてマップランプ46に対向する位置には、透明電極54が設けられている。また、照明レンズ14のケース12側の面においてマップランプ48に対向する位置には、透明電極56が設けられている。透明電極54および56には、例えば、透明導電性フィルムが用いられる。
照明レンズ14の車室側の面において透明電極54に対向する領域は、マップランプ46のスイッチ操作のためのタッチ部となる。同様に、照明レンズ14の車室側の面において透明電極56に対向する領域は、マップランプ48のスイッチ操作のためのタッチ部となる。
透明電極54に対応するタッチ部に人体が触れることで透明電極54の静電容量が変化し、人体の接触が検知される。また、透明電極56に対応するタッチ部に人体が触れることで透明電極56の静電容量が変化し、人体の接触が検知される。回路基板28に実装された制御回路は、透明電極54の静電容量の変化に応じてマップランプ46の点灯または消灯の切り換えを行い、透明電極56の静電容量の変化に応じてマップランプ48の点灯または消灯の切り換えを行う。
照明レンズ14には2つの赤外線窓50および52が設けられている。赤外線窓50および52は、プラスチック樹脂等、赤外線を透過する材料によって形成され、その両面は平坦に加工されている。これらの赤外線窓には、黒色等、外部からケース12内を視認することが困難となるような彩色を施してもよい。
回路基板28には、赤外線センサ60および62が所定の距離を隔てて実装されている。赤外線センサ60および62のそれぞれは、放射部32および受信部34を有する。赤外線センサ60は、その放射部32および受信部34が赤外線窓50に向けられ、赤外線センサ62は、その放射部32および受信部34が赤外線窓52に向けられている。
赤外線センサ60および62のそれぞれは、放射部32から放射された赤外線と、受信部34で受信された赤外線とのなす角度等に基づいて、目標物までの距離を示す信号を回路基板28上の制御回路に出力する。制御回路は、赤外線センサ60から出力された信号に基づいて赤外線センサ60から目標物までの距離を求める。また、制御回路は、赤外線センサ62から出力された信号に基づいて赤外線センサ62から目標物までの距離を求める。制御回路は、求められた距離に基づいてルームランプ22、マップランプ46または48の点灯状態を制御する。
図8には、自動車用照明装置44のE−F線断面図が示されている。照明レンズ14のケース12側の面において2つのルームランプ22に対向する位置には、透明電極58が設けられている。照明レンズ14の車室側の面において透明電極58に対向する領域は、2つのルームランプ22のスイッチ操作のためのタッチ部となる。このタッチ部に人体が触れることで透明電極58の静電容量が変化し、人体の接触が検知される。回路基板28に実装された制御回路は、透明電極58の静電容量の変化に基づいて、ルームランプ22の点灯または消灯の切り換えを行う。
なお、ルームランプ22、マップランプ46、48、透明電極54、56、58等、回路基板28に直接実装されていない電気部品は、図7および図8に示されていない電気配線構造によって回路基板28に電気的に接続されている。
次に、自動車用照明装置44が備える電気回路の構成およびその動作について説明する。図9には、自動車用照明装置44の回路図が示されている。ここでは、ルームランプ22としてフィラメントを有する電球が用いられ、マップランプ46および48として発光ダイオードが用いられた例が示されている。
上記の回路基板28に実装される制御回路は、制御部38、ランプスイッチ42、68および70を備える。ランプスイッチ42、68および70には、例えば、トランジスタ等の半導体素子、リレースイッチ等が用いられる。
各ルームランプ22の一端は、正極端子40に接続されている。各ルームランプ22の他端は、ランプスイッチ42の一端に接続されている。ランプスイッチ42の他端は接地導体に接続されている。また、マップランプ46および48のそれぞれのアノード端子は、正極端子40に接続されている。マップランプ46および48のそれぞれのカソード端子は、それぞれ、ランプスイッチ68および70の一端に接続されている。ランプスイッチ68および70の他端は接地導体に接続されている。ランプスイッチ42、68、および70は、制御部38によって制御される。
各ルームランプ22、マップランプ46および48には、それぞれに接続されたランプスイッチがオンになることで電力が供給され、各ルームランプ22、マップランプ46および48が点灯する。
制御部38には、赤外線センサ60および62が接続されている。制御部38は、赤外線センサ60から出力される信号に基づいて、赤外線センサ60から人体までの距離およびその変化を求める。制御部38は、赤外線センサ60から人体までの距離の変化、および、赤外線センサ62から人体までの距離の変化に基づいて、ランプスイッチ42、68、および70のオンオフを切り換える。制御部38においては、人体までの距離が予め定められた閾値未満となったか否かによって人体の接近が検知され、赤外線センサ60および62は人体の接近を検知する手段として機能する。
制御部38には、透明電極54、56および58が接続されている。制御部38は、透明電極54、56および58のそれぞれの静電容量の変化量を検出する。制御部38は、透明電極54、56および58のそれぞれの静電容量の変化量に基づいて、ランプスイッチ68、70および42のオンオフを切り換える。人体が照明レンズ14におけるタッチ部に触れることで、タッチ部に対応する透明電極の静電容量が変化するため、各透明電極は、人体の接触を検知する手段として機能する。
図10には、制御部38が実行する処理のフローチャートが示されている。このフローチャートには、照明レンズ14の近傍で人体が移動した場合の処理が示されている。この処理によれば、ルームランプ22、マップランプ46および48のうち、人体の移動方向に対応したランプが所定の時間だけ点灯する。
この処理は、制御部38が、赤外線センサ60から出力された信号、または、赤外線センサ62から出力された信号に基づいて人体までの距離を検出し、その検出された距離が所定の閾値未満であるという条件下で実行される。
制御部38は、赤外線センサ60から出力される信号に基づいて、赤外線センサ60から人体までの距離の時間変化率を第1距離変化D1として求める(S301)。同様に、制御部38は、赤外線センサ62から出力される信号に基づいて、赤外線センサ62から人体までの距離の時間変化率を第2距離変化D2として求める(S301)。
制御部38は、第1距離変化D1および第2距離変化D2に基づいて移動方向判定処理を実行する(S302)。この処理は、次に説明するように、人体の移動方向が予め規定された方向のいずれに該当するかを判定するものである。
図11には、自動車用照明装置44に対するxy座標の定義が示されている。赤外線窓50および52の中間点を原点として、x軸は赤外線窓50から赤外線窓52へと向かう方向を正とする座標軸として定義されている。y軸は、図11の奥に向かう方向を正とする軸として定義されている。
移動方向判定処理において制御部38は、第1距離変化D1および第2距離変化D2に基づいて、x軸正方向、x軸負方向、および、y軸方向の3つの規定方向のうちいずれかを人体の移動方向として判定する。ここで、y軸方向については、正方向および負方向の区別はされないものとする。
すなわち、制御部38は、第1距離変化D1および第2距離変化D2に基づいて、x座標が負の領域から正の領域に人体が移動したか、または、x座標が正の領域から負の領域に人体が移動したかを判定する。また、制御部38は、y軸とのなす角度がδ未満であるy軸方向経路を人体が移動したかを判定する。このδの値は、予め制御部38に設定された値である。
制御部38は、(1)人体がy軸方向経路を移動しておらず、かつ、x座標が負の領域から正の領域に人体が移動したと判定した場合には、人体の移動方向はx軸正方向であると判定する。また、(2)人体がy軸方向経路を移動しておらず、かつ、x座標が正の領域から負の領域に人体が移動したと判定した場合には、人体の移動方向はx軸負方向であると判定する。さらに、(3)人体がy軸方向経路を移動したと判定した場合には、人体の移動方向はy軸方向であると判定する。
図10に戻り、制御部38は、人体の移動方向に対応するランプスイッチ(以下、移動方向ランプスイッチとする。)をオンにする(S303)。本実施形態においては、x軸正方向、x軸負方向、および、y軸方向に対し、それぞれ、ランプスイッチ70、68および42が対応付けられているものとする。これによって、人体の移動方向がx軸正方向である場合にはマップランプ48が点灯し、x軸負方向である場合にはマップランプ46が点灯する。そして、人体の移動方向がy軸方向である場合にはルームランプ22が点灯する。
次に、制御部38は、移動方向ランプスイッチをオンにした時から、予め定められた時間Tが経過したか否かを判定する(S304)。そして、移動方向ランプスイッチのオン時から時間Tが経過していない間は、移動方向ランプスイッチをオンにした状態を維持して、ステップ304の判定を繰り返す。制御部38は、移動方向ランプスイッチをオンにした時から、予め定められた時間Tが経過したときは、移動方向ランプスイッチをオフにする(S305)。
この制御では、人体が自動車用照明装置44に接近し移動したときは、移動方向が判定され、移動方向に応じたランプが点灯する。そして、時間Tだけそのランプが点灯した後、消灯する。時間Tは、ユーザが書類を確かめたり、小物を探したりするために十分な時間に設定され、例えば、1秒から数10秒の時間とされる。
これによって、手を照明ランプ14に近づけた後、手を動かすというような人体の動きに応じてランプの点灯および消灯を行うことが可能となる。また、手を動かす方向に応じて、点灯させるランプをユーザが選択する動作が可能となる。したがって、あたかもユーザと自動車用照明装置44との間にコミュニケーションが成立しているかのような動作が可能となる。
制御部38は、図10に示される処理から独立して、透明電極54、56および58のそれぞれの静電容量の変化量に基づいて、それぞれ、ランプスイッチ68、70、および42のオンオフの切り換えを行う。すなわち、制御部38は、各透明電極の静電容量の変化量(絶対値)を検出する。そして、透明電極54、56および58のうちいずれかの静電容量の変化量が予め定められた閾値以上である場合には、静電容量の変化量が閾値以上である透明電極に対応するランプスイッチをオフからオン、または、オンからオフに切り換える。制御部38は、このようなオンオフ切り換えを、いずれかの透明電極の静電容量の変化量が閾値以上となる毎に行う。これによって、人体が照明レンズ14上のタッチ部に触れる毎に、そのタッチ部に対応するランプの点灯または消灯の切り換えが行われる。
制御部38は、赤外線センサ60および62を用いた処理と、透明電極54、56および58を用いた処理とを組み合わせた処理を実行することができる。図12には、この場合において制御部38が実行する処理のフローチャートが示されている。図10に示される処理と同一の処理については同一の符号を付する。この処理によれば、ルームランプ22、マップランプ46および48のうち、人体の移動方向に対応したランプが所定の時間だけ点灯する。さらに、ランプが点灯している間に、照明レンズ14上におけるそのランプに対応するタッチ部に人体が触れた場合には、ルームランプ22の点灯状態が維持される。
この処理は、制御部38が、赤外線センサ60から出力された信号、または、赤外線センサ62から出力された信号に基づいて人体までの距離を検出し、その検出された距離が所定の閾値未満であるという条件下で実行される。
制御部38は、赤外線センサ60から出力される信号に基づいて、赤外線センサ60から人体までの距離の時間変化率を第1距離変化D1として求める(S301)。同様に、制御部38は、赤外線センサ62から出力される信号に基づいて、赤外線センサ62から人体までの距離の時間変化率を第2距離変化D2として求める(S301)。
制御部38は、第1距離変化D1および第2距離変化D2に基づいて移動方向判定処理を実行し、人体の移動方向を判定する(S302)。そして、移動方向ランプスイッチをオンにし(S303)、図5のフローチャートに示されるステップS104より後の処理と同様の処理を実行する。すなわち、制御部38は、人体の移動方向に対応する透明電極の静電容量の変化量を検出し(S401)、静電容量の変化量が、予め定められた閾値以上であるか否かを判定する(S402)。制御部38は、静電容量の変化量が閾値未満であるときは、ステップS303で移動方向ランプスイッチをオンにした時から、予め定められた時間Tが経過したか否かを判定する(S304)。そして、移動方向ランプスイッチのオン時から時間Tが経過していないときは、制御部38は、ステップS401の処理に戻る。他方、移動方向ランプスイッチのオン時から時間Tが経過したときは、移動方向ランプスイッチをオフにする(S305)。
制御部38は、ステップS402の判定において、静電容量の変化量が閾値以上であると判定したときは、次に静電容量の変化量が閾値以上となるまでの間、移動方向ランプスイッチをオンに維持する(S403およびS404)。すなわち、制御部38は、人体の移動方向に対応する透明電極の静電容量の変化量を検出し(S403)、静電容量の変化量が閾値以上であるか否かを判定する(S404)。制御部38は、静電容量の変化量が閾値未満であるときはステップS403の処理に戻り、静電容量の変化量が閾値以上であるときは、移動方向ランプスイッチをオフにする(S305)。
この制御では、人体が自動車用照明装置44に接近し移動したときは、移動方向が判定され、移動方向に応じたランプが点灯する。そして、人体が照明レンズ14に触れない場合には、時間Tだけそのランプが点灯した後、消灯する。さらに、そのランプが点灯した時から時間Tが経過する前に、人体が照明レンズ14におけるそのランプに対応するタッチ部に触れた場合には、次に人体がそのタッチ部に触れるまでの間、そのランプが点灯した状態が維持される。時間Tは、ユーザが書類を確かめたり、小物を探したりするために十分な時間に設定され、例えば、1秒から数10秒の時間とされる。
これによって、手を照明ランプ14に近づけた後、手を動かすというような人体の動きに応じてランプの点灯および消灯を行うことが可能となる。また、手を動かす方向に応じて、点灯させるランプをユーザが選択する動作が可能となる。したがって、あたかもユーザと自動車用照明装置44との間にコミュニケーションが成立しているかのような動作が可能となる。
なお、上記では、2つの赤外線センサを用いた実施形態につき説明した。このような構成の他、3つ以上の赤外線センサを用い、人体の移動方向をより厳密に検出する構成としてもよい。また、タッチスイッチによってスイッチ操作されるランプを追加してもよい。これによって、様々な移動方向について異なるランプを点灯させ、多様な点灯および消灯動作が可能となる。