JP6005581B2 - プレス金型 - Google Patents
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Description
一方、平行面は、鋳片の移送方向と平行な平面状に形成されており、テーパ面で1回目のプレス加工が行われた鋳片をさらにプレスする部分である。このようにサイジングプレスでは、プレス金型の異なる部分を用いて複数のステップに分けて鋳片をプレスし、代表的な装置であれば、900〜2000mm程度の鋳片を最大300〜350mm程度の幅までプレスして鋼板製品の製造を可能としている。
たとえば、特許文献1のサイジングプレス機は、テーパ面を、鋳片の進行方向の出側方向に向かって狭まるように傾斜した第1の傾斜部と、鋳片の進行方向に略平行な中間平行部と、この中間平行部から鋳片の進行方向の出側に向かって狭まるように傾斜した第2の傾斜部とで構成し、これらの傾斜部の傾斜角や鋳片の送りピッチなど所定の範囲に調整することにより大きな幅圧下量を達成可能となっている。
なお、特許文献1及び2の他に、サイジングプレス機として、特許文献3〜7に示すものがある。
また、プレス金型のテーパ面の傾斜角度を10〜15°程度にした場合、図9に示すように、変形抵抗が大きな材料のもの(図中、変形抵抗大)は、幅圧下量(サイジングプレス圧下量)の変化にともなって発生するモーメントが著しく変化する。即ち、従来プレス金型の場合、小さな幅圧下量でもモーメントが非常に大きくなり、圧下装置に過大な負担がかかって設備短寿命化の原因となる。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、プレス金型を支持する機構に対する負荷を低減しつつ変形抵抗が高い材料のサイジングプレスを行うことができるプレス金型を提供することを目的とする。
即ち、本発明のプレス金型は、長手方向に移送される鋳片の幅方向の両側を間歇的に押圧することで当該鋳片を所定の幅までプレスするサイジングプレス機に備えられたプレス金型であって、前記プレス金型は、最も出側に設けられ且つ前記鋳片の移送方向と平行な押圧平行部と、前記押圧平行部の入側に連接され且つ鋳片が導入される入側から出側に向けて幅方向に傾斜する押圧テーパ部と、を備えており、前記押圧テーパ部は、傾斜角度が異なる複数のテーパ面を連接させたものであり、前記押圧テーパ部においては、各テーパ面の傾斜角度を前記押圧平行部から順に入側に向けて次第に大きくすると共に、最も入側に位置するテーパ面の傾斜角度を20〜35°としていることを特徴とする。
(β/2)−10°≦α≦(β/2)+10° ・・・(1)
前記傾斜角度が最大となるテーパ面から出側に向けて延長した第1延長線と、前記押圧平行部から入側に向けて延長した第2延長線との交点から押圧平行部の出側端点までの長さは、前記鋳片の送り量の1.0〜1.2倍であることが好ましい。
図1は、サイジングプレス機2を模式的に示したものである。
図1に示すように、サイジングプレス機2は、長手方向に移送される鋳片Sに対して、この鋳片Sの幅方向の両側を間歇的に押圧するプレス金型1を備えたものであり、プレス金型1を用いて鋳片Sを所定の幅までプレス可能となっている。また、サイジングプレス機2には、図示しない鋳片Sの移送手段が設けられており、鋳片Sを長手方向に沿って移送できるようになっている。
スライダ7は、移送方向と垂直な方向(図2の紙面における左右方向)に向かってプレス金型1を押圧するものであり、押圧平行部10から押圧テーパ部11にかけてプレス面(プレス加工部)12の反対側に設けられている。スライダ7は、クランク機構8により鋳片S側に向かって前進したり鋳片Sから遠ざかるように後退する。
さて、上述したように、チタンやステンレス鋼などのように変形抵抗が高い材料で構成された鋳片Sをプレスした場合、低圧下量であっても高い負荷(荷重やモーメント)が金型移動機構3に加わることがある。ここで、金型移動機構3に加わる負荷を低減させるためには、鋳片Sの厚みの低減や鋳片Sの温度上昇をする方法が考えられるが、これらの方法は、生産性などが低下する虞があり、操業において常に取り得ることのできる方策ではない。
以下、プレス金型1について詳しく説明する。説明の便宜上、プレス金型1に鋳片Sが導入される側を入側といい、プレス金型1から鋳片Sが導出される側を出側という。
図2、図3に示すように、プレス加工部12は、大別して、鋳片Sの移送方向に平行な押圧平行部10と、この押圧平行部10から入側に連設されて幅方向に傾斜する押圧テーパ部11とで構成されている。押圧平行部10は、入側から出側に向けて鋳片Sの側面に平行な面(平行面)により構成されている。押圧テーパ部11は、平行面(出側)10から入側にかけて順にテーパ面13を複数連設することにより構成されている。
図3に示すように、各テーパ面13、13は、平面視において入側から出側に向けて次第に幅方向内側に移行するような傾斜状とされている。各テーパ面13、13の傾斜角度は、それぞれ異なってている。
第1テーパ面13aの傾斜角度αは12°とされ、第2テーパ面13bの傾斜角度βは30°とされ、第1テーパ面13aよりも第2テーパ面13bの傾斜角度α、βが大きくなっている。なお、傾斜角度α、βは、平行面10の出側から出側に向けて引いた基準直線L1と、テーパ面13を構成する面とのなす角のことである。
図2に示すように、鋳片Sをプレス金型1に導入すると、まず、第1テーパ面13aが鋳片Sに接触して鋳片Sの側面をプレスし、次に、第1テーパ面13aに続く、第2テーパ面13bが鋳片Sの側面をプレスすることになる。上述したように、第1テーパ面13aと第2テーパ面13bとは傾斜角度が大きくなりつつ(幅方向外側に広がりつつ)多段となっているため、圧下時に、それぞれのテーパ面13(第1テーパ面13a、第2テーパ面13b)が鋳片Sに接触する長さが、従来プレス金型に比して短くなる。そのため、プレス時には、テーパ面13が一様(テーパ面13が1つ)な従来プレス金型に比べて、各テーパ面13と鋳片Sとの接触面積が減少し、プレス荷重(サイジングプレス荷重)が小さくなる。プレス荷重を小さくすることができるため、金型移動機構3にかかる負荷を低減することができる。
図4に示すように、テーパ面13の傾斜角度が大きくなるにしたがって、サイジングプレス荷重が徐々に小さくなる。特に、テーパ面13の傾斜角度が小さい場合は、サイジングプレス荷重を減少する度合いが大きく、テーパ面13の傾斜角度が大きくなるにつれて、サイジングプレス荷重が減少するものの、減少する度合いが小さくなる。ここで、テーパ面13の傾斜角度を大きくすればするほど、サイジングプレス荷重の増加を抑えることができるが、テーパ面13の傾斜角度が35°を超えてしまうと傾斜角度が急過ぎて鋳片Sの形状が不均一になり易く、テーパ面13にしたときのサイジングプレス荷重の減少の割合が小さくなる。そのため、テーパ面13の傾斜角度の上限値は、35°以下にしている。即ち、最も入側に位置するテーパ面13、即ち、第2テーパ面13bの傾斜角度βを35°以下にすることが好ましい。さらに好ましくは、第2テーパ面13bの傾斜角度βを20°以上35°以下にすることが好ましい。
さて、鋳片Sをテーパ面13(第1テーパ面13a、第2テーパ面13b)でプレスした後は、平行面10で鋳片Sをプレスすることにより、鋳片Sを目標となる幅にする。このように、テーパ面13でプレス後に、平行面10でプレスするため、平行面の周囲の長さ(移送方向の長さ)を十分にとる必要がある。
交点Pをクランク軸9の中心よりも入側に位置させると、モーメントを低く保つことができる。一方、例えば、後述する図7及び図8の「―●― −40mm」に示すように、長さL4がマイナスなっていて、交点Pをクランク軸の中心よりも出側方向に位置させてしまうと、モーメントの最大値が大きくなってしまう。
さて、図6は、圧下前の鋳片幅(スラブ幅)を1300mm、厚さを240mm、鋳片の加熱温度を1000℃、幅圧下量を300mmとしたときの第1テーパ面13aの傾斜角度αと、第2テーパ面13bの傾斜角度βと、鋳片の幅方向の寸法偏差量との関係をまとめたものである。これらテーパ面13の傾斜角度と、幅方向の寸法偏差量との関係は、コンピュータシミュレーションで計算したものである。幅方向の寸法偏差量は、圧下後の鋳片の幅寸法の変化量であり、幅方向の寸法偏差量=0mmが最も望まれる状況である。なお、実操業においては、幅方向の寸法偏差量は20mm以下であれば良いとされている。
(β/2)−10°≦α≦(β/2)+10° ・・・(1)
(β/2)−10°<α<(β/2)+10° ・・・(2)
ただし、β≦35°(好ましくは、20°≦β≦35°)
つまり、第1テーパ面13aの傾斜角度αを、第2テーパ面13bの傾斜角度βに対して式(1)又は式(2)で求められる値の範囲内にすることにより、形状が良好な鋳片Sを得ることができる。一方、第1テーパ面13aの傾斜角度αと第2テーパ面13bの傾斜角度βとが式(1)又は式(2)を満たさない場合、幅方向の寸法偏差量が20mm越えとなり、プレス後の鋳片Sの形状が長手方向に沿って波形となる不良となった。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
2 サイジングプレス機
3 金型移動機構
6 支持フレーム部
7 スライダ
8 クランク機構
9 クランク軸
10 押圧平行部
11 押圧テーパ部
12 プレス加工部
13 テーパ面
13a 第1テーパ面
13b 第2テーパ面
S 鋳片
α 第1テーパ面の傾斜角度
β 第2テーパ面の傾斜角度
Claims (4)
- 長手方向に移送される鋳片の幅方向の両側を間歇的に押圧することで当該鋳片を所定の幅までプレスするサイジングプレス機に備えられたプレス金型であって、
前記プレス金型は、最も出側に設けられ且つ前記鋳片の移送方向と平行な押圧平行部と、前記押圧平行部の入側に連接され且つ鋳片が導入される入側から出側に向けて幅方向に傾斜する押圧テーパ部と、を備えており、
前記押圧テーパ部は、傾斜角度が異なる複数のテーパ面を連接させたものであり、
前記押圧テーパ部においては、各テーパ面の傾斜角度を前記押圧平行部から順に入側に向けて次第に大きくすると共に、最も入側に位置するテーパ面の傾斜角度を20〜35°としていることを特徴とするプレス金型。 - 前記押圧平行部につながるテーパ面の傾斜角度αと前記傾斜角度αのテーパ面に続く他のテーパ面の傾斜角度βとは、式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のプレス金型。
(β/2)−10°≦α≦(β/2)+10° ・・・(1) - 前記傾斜角度が最大となるテーパ面から出側に向けて延長した第1延長線と、前記押圧平行部から入側に向けて延長した第2延長線との交点から押圧平行部の出側端点までの長さは、前記鋳片の送り量の1.0〜1.2倍であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプレス金型。
- 前記傾斜角度が最大となるテーパ面から出側に向けて延長した第1延長線と、前記押圧平行部から入側に向けて延長した前記第2延長線との交点は、前記プレス金型を支持するクランク軸の中心よりも入側に位置させており、前記クランク軸の中心から交点までの移送方向の距離は、前記鋳片の送り量の0.3倍以下としていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプレス金型。
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